事業報告書 (PDF) - 日本医薬情報センター

平成25年度 事業報告書
日本医薬情報センター
(J A P I C)
一般財団法人
平成25年度事業報告並びに決算報告概要
I.はじめに
JAPICでは、第四期中期3カ年計画(平成23年度~25年度)において事業目標を「事業の継続と
発展をめざした体制整備」と定め、現事業の品質と顧客満足を維持しつつ、一方で環境変化に適合
した新規事業の創生を実現し、3年後も安定した運営体制が整備・機能していることを達成目標と
して、次の5つの中期重点目標毎に複数の施策を設定し、事業に取り組んできた。
1.JAPICの現事業の充実・強化
2.新規事業の創生
3.普及・広報活動の推進
4.事業の見直し
5.運営基盤の強化
また、平成25年度事業計画では、ここ数年の医薬品・医療機器の安全監視強化策が具体化され、
薬事法の改正や医薬品リスク管理計画(RMP)の施行等に伴い業界の動きが活発化していること
から、JAPICもタイミングを逸することなく顧客ニーズに呼応したサービスを的確に実施してい
くため、これまで培ってきた公益性の高い事業を継続・発展させるとともに、新たに検討・着手し
た事業を実現し確実に事業の柱に育てていくこととし、上記中期重点目標である5項目ごとに施策
を設け、事業に取り組むこととした。
平成25年度の重点事業及び一般事業等の実施状況は以下のとおりである。
Ⅱ.平成25年度の重点事業
1.JAPICの現事業の充実・強化
(1)現有のJAPICデータベースの計画的システム開発と改修
1)病名データの充実
効能効果を標準病名と対応させた「添付文書記載病名集」は2006年に我が国で初めて刊
行した。同時に医療のIT化推進へ対応するためにデータベース化を行い、国立大学病院を
はじめ多くの病院、診療所でご利用いただいている。毎年改訂作業を実施しているが、平
成25年度も外部専門家による査読を実施し、内容の充実に努めた。
2)添付文書関連情報データベース開発・改修計画の見直しと実行
添付文書に関連した各種データベース(禁忌、用法用量、相互作用等)について、より
効率的なメンテナンスが可能なシステムの開発が終了し、旧システムと並行して稼動させ、
新システムへ完全移行した。
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3)iyakuSearchの機能充実
JAPIC公益事業のひとつであるiyakuSearchについては、多くの医療関係者や製薬企業
の会員等にご利用いただいている。これにより、JAPICの知名度向上にも貢献している。
更なるユーザ拡大のため、iyakuSearchの操作を説明する動画を作成した。
また、臨床試験情報(JapicCTI)については、検索操作性の向上を図るため、平成24
年に検索画面の改良に着手し、平成25年度に改良した検索画面のリリースを実施した。
4)新薬承認審査報告書データベース「日本の新薬」データ管理システムの改良
医薬品医療機器総合機構(PMDA)サイトで公開されている新薬承認審査報告書PDF
をXMLデータに加工し、データベース「日本の新薬」としてiyakuSearchで公開し、年
に1回書籍の発刊を行っている。これまで、このXMLデータの管理はAccessを使って人手
で処理をしていたが、業務効率の向上、データの品質保証の点からデータ管理のためのシ
ステム開発を行った。今後は、XML化処理の時間を短縮し、「日本の新薬」へ掲載する
までのタイムラグを削減し、書籍発刊時期を早めることが可能となった。
(2)受託事業の充実・協業の検討
1)受託安全確保業務(GVP対応)の受託の推進
受託安全確保業務については、実施体制を整え、自己点検による定期的見直し及び体系
的教育研修を履行した。
2)感染症情報の受託事業(スクリーニング)の開始
生物由来製品に関する感染症情報について、JAPIC-Q Plus、PubMed代行検索および
JDM Plusにて提供しているが、個別ユーザのご要望に応じてスクリーニングを行う受託
サービスを平成25年度より開始した。
3)外部データベースを利用した文献検索受託業務の実施
文献検索受託業務については、ユーザのニーズに対応するため、指定された成分等での
検索結果だけではなく、その後のスクリーニングも開始し提供した。
(3)現事業の強化
1)JAPIC-Qサービスの充実
・ユーザの要望に応じ、平成26年度から実施するべくキーワードの見直しを行った。
・採択誌の検討を行い、平成26年度は4誌追加することとした。
2)JAPIC Daily Mail(JDM)関連事業の充実・強化
・JDM(海外・国内の規制措置情報)調査対象サイトの検討
調査対象サイトについて検討し、ドイツ、オーストラリアの調査対象サイトの拡大を
行った。また、中国の規制当局のサイトについて、追加可否検討のため半年間のモニタ
リングを行った。
JDMユーザ数は平成26年3月末現在155機関である。
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・JDM Extraの検索機能改善
JDM個別サービスのJDM Extraについて、検索からメール配信までの機能改善のた
め一部システム改修を行った。
JDM Extraのユーザ数は平成26年3月末現在51機関である。
・JDM Plus(生物由来製品の感染症情報)の活用しやすい提供の検討
JDM Plusの提供内容について検討し、平成26年1月から内容分類を追加した。また、
個別対応サービスとして、平成25年5月からスクリーニングサービスを開始した。
JDM Plusのユーザ数は平成26年3月末現在57機関である。
3)JAPIC AERSサービスの充実・強化
・データ提供およびスポットサービスの利用拡大に努めた結果、データ顧客数は3社、ス
ポットサービス利用は4社の利用があった。スポットサービス利用企業のうち、2社は
年度内に2回の利用があった。
・大学研究機関に引き続きJAPIC AERSデータを提供し、5機関と共同研究を行い、3機
関が学会発表または論文掲載に至った。こうした学会発表や論文掲載等を通じて市場へ
の啓発活動を行い、さらなる利用拡大に努めた。
・「副作用が疑われる症例報告に関する情報」(JADER:医薬品医療機器総合機構の公
開DB)を利用した「JADER解析サービス」を9月に開始した。
4)医療機器会員向け情報提供サービスの普及(国内外)
医療機器会員向けのサービスである、国内文献・学会からのJAPIC-Q 医療機器情報及
び海外・国内の規制措置情報JDMからの医療機器情報について、広報活動を行い利用者
の拡大に努めた。
また、JAPIC-Q 医療機器情報については、平成25年5月より採択対象雑誌を拡大し、
医薬品のQサービスの採択対象雑誌は全て対象誌とした。
2.新規事業の創生
(1)JAPIC医薬品情報総合検索システムのリリース
JAPIC医薬品情報総合検索システムの開発については予定より遅れているが、平成25
年度に検証を行ったJAPICデータベースを横断的に検索し、結果を表示する簡易検索機
能と医薬品基本情報表示機能とあわせて、リリースの準備をすすめている。また、医薬文
献・学会演題情報と医療用・一般用添付文書情報を個別に検索する詳細検索機能が出来上
がり、これを検証中である。
(2)外部提携による海外文献・学会情報の提供
トムソン・ロイター社のCIS(Custom Information Services)を用いてJAPICが収集
した海外文献情報を提供するサービス「海外文献学会カスタマイズ情報」の説明会を7月
に東京と大阪で開催し、平成26年1月にQサービスユーザ向けにトライアルを開始し、4
月から本格提供を開始した。
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(3)新規事業創生の可能性の探索
顧客からの要望、現事業の改善あるいは内部提案などの情報からシーズ探索を行い、新
規事業としての実現可能性について検討した。
3.普及・広報活動の推進
(1)販促戦略
JAPIC-Q医療機器情報サービスの普及及び医療機器企業会員の獲得については、日本
医療機器テクノロジー協会、日本画像医療システム工業会など医療機器関係団体及び医療
機器企業を訪問し、JAPIC情報提供サービスの内容等を説明するとともに、団体事務局を
通じ会員各社にお知らせするなどサービスの普及及び会員・ユーザの拡大に努めた。
JAPIC-Q関連事業におけるユーザの獲得については、大手製薬企業や後発品企業を中
心に訪問等を行った。
書籍の出版(不定期刊行)及び販売については、「漢方医薬品集2014」、「成分から
調べる医薬品副作用報告一覧」を平成26年1月に発刊し、ダイレクトメールを含めた宣伝
を行った。
(2)広報活動の強化
1)広報活動については、国際モダンホスピタルショウや日本薬学会など多くの学会等に出
展しパンフレットを配布等した。また、大学の薬学部・医学部への構造式集、医薬品集非
インストール版DVDの無償配布等を行った。
2)iyakuSearchへのアクセス数増大のための活動
JAPIC職員によるiyakuSearch出張講習会を、大学・病院3機関で実施した。
また、iyakuSearchの操作を説明する動画を作成した(再掲)。
4.事業の見直し
(1)各種講演会の運営方針の再検討
各種講演会の開催については、業界団体や学会等が医薬品・医療機器企業の担当者等を対
象とした研修会を多数開催しているため、JAPIC開催の各種講演会の受講者が減少してき
ていること等から、今後の開催のあり方等について検討し、医薬情報講座は、名称を医薬品・
医療機器情報講座に変更し講演内容に医療機器を加え、開催場所も東京の他に大阪を追加し
た。また、薬事研究会は開催回数を年1回とした。
(2)業務効率化:業務の平準化、IT化等の推進
業務効率化等については、ITを積極的に活用し、業務の質の維持・向上を図りつつ、業務
の効率化及びコスト削減等に努めた。特に国内文献情報提供サービス業務については、改善
課題を抽出(調査)し、業務改善方策及びシステム整備(導入・改修)等について取りまと
めた。
(3)コスト削減
コスト削減については、平成25年度もコスト削減の視点から現行事業の見直しについて
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検討した。また、外部発注の見積もり合わせや物品(備品・消耗品)のまとめ買い等により
コスト削減に努めた。
(4)危機管理災害対策の実施
危機管理災害対策については、職員の安全、資産及び業務の運営等に大きな被害を及ぼす
大規模地震災害等に備えるため、新たに事業継続計画を策定するとともに、消防計画及び震
災対応マニュアルを見直した。また、定期的にデータ保全のためのバックアップ処理を行っ
た。
5.運営基盤の強化
(1)人材育成とスキル向上の推進
JAPIC全体として教育研修計画を策定し、計画的に教育・研修を実施した。特に、社内研
修を充実し、職員の更なる専門的知識の習得を図った。
また、受託安全確保業務手順書に対応した教育訓練を手順書に準拠し実行した。
(2)会員の維持・確保、長期的財政の安定化
会員の維持・確保については、医療機器関係団体及び医療機器企業を中心に訪問した(再
掲)。また、JAPIC維持会員制度については、会員の声に応えて会員にわかりやすい会費
に見直した。
平成26年度事業計画の策定にあたっては、事業と予算の関係を分かりやすくするため、
各事業を内閣府に提出する公益目的支出計画の会計区分別に整理した。
Ⅲ.平成25年度の一般事業
重点事業以外にもJAPICが扱っている諸々の医薬品情報データについて、継続して情報の収集・
加工・提供事業を行いメンテナンスに努めた。医療用・一般用医薬品の添付文書の収集・更新や提
供を行い、また生物由来製品の感染症情報についても例年どおり情報を収集し提供した。また、
「JAPICDOC(医薬文献情報)」等のデータベースを提供した。
更に、薬事研究会等の講演会の開催や、図書館での閲覧等を通じ一般向けの情報提供活動も実施
した。
詳細は一般事業報告に記述する。
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Ⅳ.平成25年度決算概要
平成25年度は一般財団法人への移行2年度目であり、内閣府に提出している公益目的支出計画に
沿った公益事業等を着実に実施した。
事業収益は、添付文書情報提供事業(公益目的支出計画実施対象継続事業1)収益が2.4億円、薬
事関連情報提供事業(継続事業2)収益が1.4億円、医薬文献情報提供事業(その他事業)収益が6.5
億円、法人会計(会費等)が5.6億円で、合計(経常収益)が15.9億円であった。
経常費用は、添付文書情報提供事業(公益目的支出計画実施対象継続事業1)費用が3.2億円、薬
事関連情報提供事業(継続事業2)費用が3.2億円、医薬文献情報提供事業(その他事業)費用が5.8
億円、法人会計(会費等)が2.4億円で、合計が14.6億円であった。
この結果、JAPIC全体の平成25年度当期経常増減額は1.3億円で、評価損益等を加味すると1.4
億円となった。
Ⅴ.今後の課題
JAPICは、既存事業の改善を行い効率的に遂行できるようにし、また新規事業についても積極
的に取り組んできた。また、平成24年4月より新たに医療機器業務を事業活動に加えるなど対象範
囲を拡充した。
このような状況において、引き続き、業務の効率やコスト削減を図り、それによって生ずるマン
パワーや経費を今後業務量の増大する事業等に投入し、事業運営の基盤を強化する。
また、平成24年度以降に開始した新規事業を確実に軌道に乗せるとともに、医療機器企業会員
の勧誘に努め情報提供サービスの利用者の拡大を図り、事業運営の基盤を強化する。
Ⅵ.まとめ
平成25年度は、重点事業を中心に事業を遂行し、概ね事業計画どおりの事業活動を行うことが
できた。特に、JAPIC-QXサービスやJDMが順調に推移し、また添付文書情報、病名データ等電
子情報の普及も伸張したことから、1.4億円の利益を上げることができた。
会員については、医薬品・医療機器等企業会員数は前年度よりも5社増加したが、医療機関等会
員数は9機関減少したため、総会員数は前年度よりも4機関減少した。また、維持会員制度につい
ては、会員からの声に応え、平成26年度から製薬企業・卸売企業等会員及び医療機器企業等会員
のA・B・C会員の種別を変更し、会費を現行C会員の会費額に一本化した。
組織・人員体制については、既存事業の充実、新規事業への取り組みの観点から、量的には50
名前後の正規職員と嘱託職員、派遣職員、短時間勤務職員で構成し、質的には計画的な人材育成の
観点から、教育研修を充実させ、職務遂行能力の向上に努めた。
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