Document 632190

症例⑤
症例
70歳台・女性
既往歴:特記事項なし
現病歴:労作時の呼吸困難あり
脈がとぶ感じあり
他院より心室期外収縮の精査加療目的に来院
来院時の12誘導心電図
四肢誘導4拍目、8拍目
胸部誘導1拍目、4拍目、7拍目
に心室期外収縮を認める
四肢Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導の波形より
心室期外収縮の起源が
心尖部付近なのか、流出路付近なのか推定する
Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導は下から
心臓を見ている
向かってくる→上向き(+)
⇒流出路付近
遠ざかる→下向き(-)
⇒心尖部付近
胸部V1誘導の波形から
右室由来なのか、左室由来なのか推定する
QS.rS.qrSなど左脚ブロック型
⇒右室起源
rsR’.qR.RR’.Rsなど右脚ブロック型
⇒左室起源
四肢Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導‥陽性波(向かってくる)
⇒流出路付近
胸部V1誘導‥rS 左脚ブロック型
⇒右室起源
右室流出路起源の心室期外収縮と推定される
右室流出路起源の心室期外収縮
・若年者に多い
・器質的心疾患を認めない事が多い
この症例では
心臓超音波検査 左室駆出率 70%
局所壁運動異常なし
少量の弁逆流
ホルター心電図 総心拍数 93947個
単形性心室期外収縮
5572個(6%)
採血検査 BNP 24.7pg/ml(正常値18.4pg/ml以下)
経過観察となる
補足1
移行帯より右室起源か
左室起源かを推定する
流出路起源の心室期外収縮において、
移行帯が…
V3~V5→右室流出路 V1~V2→左室流出路
or
Valsalva洞
補足2 右室流出路起源心室不整脈の
心電図部位診断のアルゴリズム
・右室流出路
自由壁
後中隔 or 前・中中隔側
・肺動脈弁上
・His束近傍
四肢Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導‥陰性波(遠ざかる)
⇒心尖部付近
胸部V1誘導‥右脚ブロック型
⇒左室起源
左室心尖部起源の心室期外収縮と推定
既往歴:心筋梗塞(前壁中隔梗塞)
既往歴:本態性低血圧 心室二段脈 胃癌術後
労作時にめまい、ドクドクする症状あり
質問1:心室期外収縮の起源を推定してみてください。
質問2:narrowQRSのR-R間隔が長いのは何故でしょうか?
まず、質問2の解答
心室期外収縮の後に逆行性P波
洞周期がリセットされるため、
代償性休止期が長くなったため
と考えられる
質問1の解答
心室期外収縮の起源を推定
四肢Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導‥Ⅱ誘導はRS型
Ⅲ誘導はrS型
aVF誘導はrS型
⇒流出路?心尖部?中間?
胸部V1誘導‥qR型
⇒右室?左室?
でも、QRS幅が広くない(100ms位)
⇒His束近傍?
その他の所見
・胸部症状(+)
・心臓超音波検査 左室駆出率 66%
局所壁運動異常なし
少量の弁逆流
・採血検査
BNP 109pg/ml
・ホルター心電図 総心拍数 81561個
心室期外収縮 18509個(23%)
カテーテル心筋焼灼術(RFCA)の適応となる
心室期外収縮の
最早期興奮部位を
探す
↓
右室流入部
(傍His束領域)
↓
房室ブロック合併
の危険があるため、
中止
三次元マッピングシステム