第5章 運動量の法則とその応用

2014/11/22
y
5章 運動の法則とその応用
5.1 運動量の法則の流れに対する適用
は
Newtonの
1'
D
(mv )   F
Dt
1
(5.1)
s
2'
2
v2
v1
この式は物体の
(質量m×速度v)の
x
時間的変化が物体に働く外力の総和に等しい
ことを意味しており,
(law of momentum)あるいは運動
量の式(momentum equation)と呼んでいる.ここでは,流線Sに沿っ
た一次元定常(
なので D Dt  v d ds  d dt )非圧縮流れに
ついて,仮想的な検査体積(Control volume)内の流体の運動量変化を
考える.その流体の
は次のように表すことができる.

2
Ads
1

2

2
Avds  Qds
1
1
dt時間後に断面1が1’に,2が2’に移動すると,この間の
は,
2-2’間と1-1’間で流体が持つ運動量の差で生じる(∵1’-2間の分はdt時
間の前後で等しい)と考えることができる.したがって
d mv mv 2 2'  mv 11'

dt
dt

A2v2 dt v2  A1v1dt v1  Q v
dt
2 2
 Q1v1
となる.流体力学では質量流量Q×vを流体 y
の
と呼ぶことが多いので,運動量の
時間変化は,「検査体積を出る流体の運動
量-検査体積に入る流体の運動量」と表す
1' v
1
ことができる.結局,式(5.1)と(5.2)より,次
1
式が得られる.
(5.3)
(5.2)
2
2'
s
v2
x
1
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5.2 流れが管に及ぼす力
y
V2
p2
水平面内の
に流れが及ぼ
A2
す力Fを求める.検査体積は管内の流
体であり,Fのx方向分力とy方向分力
A1
Fy
をFxとFyとする.
1~2内の
p1
F

流体に働く外力を求める時,入口と
1
V1
Fx
出口の圧力p1とp2は図示の方向分だけ
を考える必要がある.また,流体に
は上記のFxとFyの
として,管壁
からそれぞれ-Fxと-Fyが働く.
(マイナスは
方向を意味する)
まず,xとyの各方向について運動量式を立ててFxとFyを求める.
2
x
x方向:
p1 A1 cos 1  p 2 A2 cos  2  Fx  Qv2 cos  2  v1 cos 1  (5.4)
y方向:
p1 A1 sin 1  p 2 A2 sin  2  Fy  Qv 2 sin  2  v1 sin 1  (5.5)
より,
Fx  Qv1 cos 1  v2 cos  2   p1 A1 cos 1  p 2 A2 cos  2
(5.6)
Fy  Qv1 sin 1  v 2 sin  2   p1 A1 sin 1  p 2 A2 sin  2
(5.7)
次に両者の合力と合力の方向を求める.
F  Fx2  Fy2
,
なお,管が真っ直ぐな場合は,管軸をx方向とすると,1 = 2 = 0で
あるので,
Fx  p1 A1  p2 A2  Qv2  v1 
Fy  0
5.3噴流が物体に及ぼす力
前提条件
•一次元の
噴流である.
•衝突の前後で
の損失が無く,速度vは変わらない.
•噴流は板に衝突して水平面内で分岐するので
の影響は無視できる.
•噴流に働く圧力は全ての点で大気圧であり一定である.
2
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5.3.1噴流が固定平板に垂直に衝突する場合
Control volume v
圧力による力は互いに打ち消し合うので考えな
くて良い.流れに働く外力は
だけで
ありFとは逆方向に-Fである.検査体積から出
て行く運動量は衝突方向とは直角方向なので,衝
突方向の成分は0である.したがって,
 F  0  Qv
⇒
v, A, Q
F
v
F  Qv  Av 2 (5.8)
5.3.2 噴流が固定平板に斜めに衝突する場合
(+)
Control volume
まず,板に垂直方向の作用力Fを
運
v, A, Q
動量式から求める.外力は板からの反力だ
けであるので,Fとは逆方向に-Fである.

検査体積を出る運動量はF方向には無いので
v
0である.検査体積に入る運動量はx方向に
 v cos
はQvであるが,F方向では
となる. v sin
v Q2
したがって,
⇒
F  Qv sin   Av 2 sin 
v
Q1
F
(5.9)
分岐後の流量Q1,Q2を表す式を導く.まず,連続の式より,
Q1 + Q2 = Q
(5.10)
次に,板に平行な方向の運動量式を考える.検査体積内の流体に働
く外力はこの方向では0である.検査体積を出る運動量はこの方向で
はQ1v(+方向)とQ2v(-方向)であり,入る運動量はQvcos(+
方向)である.したがって,
v
(+)
0  Q1v  Q2 v  Qv cos 
⇒
Q1  Q2  Q cos 
(5.11)
式(5.10)と(5.11)を連立して解くと次式
が得られる.
Q1  Q1  cos   / 2
Q2  Q1  cos   / 2
,
Q1
Control volume
v, A, Q
v
 v cos
v sin
v

F
Q2
(5.12)
3
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5.3.3噴流が動いている平板に垂直に衝突する場合
噴流と同じ方向に速度uで動いている平板に到
達する流量Q’は,噴流の
A=Q/vと噴流の平
板に対する
v-uの積として与えられるの
で,Q(v-u)/vとなる.平板に対する相対運動を考
えて
方向の運動量式を書くと,
 F  0  Q v  u 
⇒
2

v  u
F  Q
v
v, A, Q
u
v
u
v-u
 Av  u 
2
(5.13)
平板が噴流から受ける動力(=仕事/時間=力×距離/時間)Pは
(5.14)
動力Pが最大となる平板の速度は,
P
 Av  u v  3u   0
u
⇒ u = v/3
(5.15)
半径方向翼を持つ水車の場合,
がいずれかの翼に衝突
するので,式(5.13)のQ’はQのままでよい.したがって,
F  Qv  u   Avv  u 
(5.16)
P  Fu  Auvv  u 
(5.17)
噴流が持つ単位時間当たりの
エネ
ルギーは
1
1

P0   v 2 Q  Av 3 (5.18)
2
2

なので,この水車の
v
u
は次式で与えられる.

効率が最大となるのは,
P 2u v  u 

P0
v2
 2v  2u 

0
u
v2
(5.19)
⇒
(5.20)
の時であり,最大効率は式(5.19)よりmax = 0.5である.
4
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5.3.4噴流が固定曲面板に沿って曲がる場合
y
噴流が固定曲面板に沿って角度だけ
曲げられる時に曲板に及ぼす力Fを求め
る.ここでは,
作用力は互い
に打ち消し合うので考えなくて良い.ま
ず,xとyの各方向について運動量式を立
ててFxとFyを求める.

v, A, Q
Fx
Fy
Fx  Qv1 cos   ,
F
x
(5.21)
次に両者の合力を求める.
F  Fx2  Fy2  Qv 21  cos  
(5.22)
上式より,cos = -1,すなわち
に衝突する時の式(5.8)のFの2倍である.
の時に最大となり,平板
5.3.5噴流が動いている曲面板に沿って曲がる場合
噴流と同じ方向に速度uで動いている平板に到達する流量Q’は,先
に述べたようにQ’ =
であり,噴流の曲面に対する相対速度はv uであるので,運動量の法則により
Fx  Q' v  u 1  cos    Q
v  u 2 1  cos    Av  u 2 1  cos  
v
Fy   Q' v  u sin    Q
曲面板が噴流から受ける
(5.24)
v
と動力が最大となる条件は次式となる.
P  Fxu  Av  u  u1  cos 
2
v  u 2 sin   Av  u 2 sin
(5.23)
(5.25)
P
 A1  cos v  u v  3u   0
u
⇒ u=
(5.26)
5.4 ぺルトン水車(流体機械の講義で説明)
y

v, A, Q
u
Fx
Fy
F
u
x
5
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5.5 噴流による推進(Jet propulsion)
ジェットエンジンとロケットエンジンでは燃焼ガスを,ジェット推
進船では水を,それぞれ高速で噴出して,反作用で
力を得る.
推進船では,船底から流量Qの水をポンプで吸って,断面積
Aの噴出口から船に対する相対速度vで水を噴出する.船は周りの水か
ら反力を受けて絶対速度uで進むので,噴流の
はw = v – uであ
る.吸引口から噴出口までの管内の水を検査体積にとり,運動量の法
則を適用すると,進行の逆方向の外力はFのみであるので,Fと動力P
は次式で与えられる.
F  Qw  0  Avv  u 
(5.31) u
P  Fu  Avv  u u
Q
(5.32)
Q
ポンプが水に与える単位時間当たりのエネルギーは
推進効率は
P
2u v  u 

Qv 2 2

であるので,
(5.33)
v2
で与えられ,効率が最大となるのはu =
= 0.5である.
v
の時で,最大効率はmax
5.7 ジェットポンプ
ノズル(Nozzle)から高圧の第一流体
を噴出させると,ノズル出口の圧力p1が
Q3 =
H
p 0, v 0
p 1, v 1 3
Q1 + Q2
下がって第二流体を
,拡がり管
(Diffuser)を通って排出できる.この
Q1
Q2 H 1
ような流体力学的作用に基づくポンプ
を
ポンプ(Jet pump)と呼ぶ.
なお,両流体が共に気体の場合は,
第二流体を吸引する
ポンプ(Vacuum pump), 第二流体の排気や
排出を目的とするものを
(Ejector)と呼ぶ.
両流体が共に水の場合についてポンプの作動条件と効率を表す式を
導く.損失を無視すると,エネルギー保存より次式が得られる.
1
1
1
2
2
p0  v02  p1  v12
⇒ p1  p 0   v1  v0
(5.7a)
2
2
2
ここで,p0とv0は第一流体の元圧と速度,p1とv1はノズル出口の圧力と
速度である.p1が
で-gH1まで下がると,第二流体を吸引し
て揚水できる.したがって,作動条件は次式となる.

p0 


1
 v12  v02   gH1
2

(5.7b)
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ノズル出口から拡がり管入口までの流
v2
れを右に示す.速度v1とv2の第一流体と
v1
第二流体(圧力はいずれもp1)は
区
間において完全に混ざり合って速度v3,
圧力p3となって
へ流出している.
Nozzle
運動量の法則より,
d
Mixing section
 p1  p3   D 2    D 2v32    d 2v12    D 2  d 2 v22
4
∴
4
4
v3
D
Diffuser
(5.47)
4
2



d2 
 d 

p3  p1     v12  1  2 v22  v32 


D


 D 
 

(5.48)
連続の式,
2

d2 
d
(5.49)
v3    v1  1  2 v 2
D
D


2
2
を式(5.48)に代入すると, p  p    d  1  d v  v 2
(5.50)


3
1
1
2
D 2 
 D  
となる.式(5.50)の右辺は必ず正の値となるので,p3 > p1となり,ジェ
ットポンプは
に逆らって流体を送ることができる.
5.8 角運動量の法則
回転中心Oから半径rの位置において,質量mの物体が
速度vで運動している時,運動量ベクトルと半径ベクト
ルの
mv×r = mrv sin (/2 - ) = mrv cosを,点Oに関
r
する運動量のモーメント(Moment of momentum)ある
いは
(Angular momentum)と呼ぶ.
O
定常流に関する運動量の法則(Law of linear momentum)は
 v
m
(5.1)
で表されるので,
となる.
の法則(Law of angular momentum)は次式
d
(mv  r )   F  r  T
dt
2 v2 2'
(5.51)
2
ここで,Tは
(力のモーメント)である.
mv×r = mvr cos aを代入すると
d
(mvr cos )  T
dt
r2
r1
(5.52)
1
v1
1'
1
O
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d
(mvr cos )  T
dt
2 v2 2'
(5.52)
次に
に角運動量の法則を
適用する.断面1~2で囲まれた流体を検査
体積とすると,その流体の角運動量の時間
変化は検査体積から出て行く量と入ってく
る量の差によって生じるので,
T
2
r2
1
v1
1'
1
r1
O
d mvrcos  Qdtvr cos  22'  Qdtvr cos  11' 

dt
dt
 Qv2 r2 cos 2  v1r1 cos1 
(5.53)
5.9 角運動量の法則の渦巻きポンプへの適用(流体機械の講義で説明)
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