こちら - 日本健康・栄養食品協会

平成 26 年 4 月 23 日
学術情報部
平成 25 年度 食品の機能性評価事業
結果報告
● 目的と経緯
本事業は、当協会が平成 23 年度に消費者庁より受託した「食品の機能性評価モデル事業」(以
下、「モデル事業」という。)において構築された、現行の特定保健用食品の評価方法とは異なる
科学的根拠に基づく新たな機能性評価システムを基に、更なる評価システムの充実と、食品成分
の機能性に係る科学的根拠情報の蓄積を目的に、協会独自の事業としてその取り組みを継続して
いるものである。
本事業の発端となったモデル事業は、平成 22 年度に消費者庁が発表した「『健康食品の表示に
関する検討会』論点整理」での指摘事項を受けて実施されたものであった。その後、平成 25 年規
制改革会議において「一般健康食品の機能性表示の容認」は優先課題となった。さらに、平成 25
年 6 月に閣議決定された「規制改革実施計画」及び「日本再興戦略」においては、いわゆる健康
食品等の加工食品及び農林水産物に関し、企業等の責任において科学的根拠をもとに機能性を表
示できる新たな方策について検討を行い、平成 27 年度には新たな制度を実施する事となった。現
在、消費者庁では「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」において、その制度設計に係
る検討がなされている。
このように機能性表示を取り巻く環境が大きく変化する中、当協会では 3 年目となる本事業に
おいて、企業等からの申請に基づき、①ヒト介入試験論文の評価、②食品成分の機能性評価 を有
料で実施した。①については 6 成分 20 報の評価申請があり、評価を実施して申請企業に納めた。
②についてはハイアミロースコーンスターチ、サラシア属植物抽出物の 2 つの成分について申請
があり、評価を行った。これら 2 成分に関する機能性評価の経緯と結果について以下に示す。
● 実施体制
前年度に倣い、学識経験者 7 名からなる「機能性評価委員会」
(名簿は「添付資料 2」参照)を
設置し、これを中心とする以下のような実施体制を構築した。
なお、評価委員会の委員の利益相反(Conflict of Interest: COI)については、前年度に引き
続き、行政が行う委員会、審議会等における考え方を参考に、「自己申告書」による自己申告お
よび委員間での相互確認を行っている。
● 食品成分の機能性評価結果
本年度に評価を行った 2 成分の評価結果を次に示す。
1
I. ハイアミロースコーンスターチの機能性評価
(申請者:イングレディオン・ジャパン株式会社)
◆評価した機能
(1) 食後血糖値上昇抑制
(2) 空腹時血糖値の維持
(3) 短鎖脂肪酸、特に酪酸の産生による腸の健康の維持、増進
◆評価結果
評価委員会における評価結果は以下の通りである。各評価項目における評価結果(A~E の 5 段階評
価)のそれぞれの内容については、後述の「評価の経緯」を参照されたい。
評価項目
(1) 食後血糖値
(2) 空腹時血糖
(3) 短鎖脂肪酸、特に酪酸の産生
上昇抑制
値の維持
による腸の健康の維持、増進
総合評価
B
B
C
研究のタイプ・質・数
B
B
C
一貫性の目安
B
B
B
効果が見られた論文における 1 日摂取量と摂取期間の分布
1 日摂取量*
(レジスタント・スターチとして)
摂取期間
13~60g
24~40g
22~40g
単回~14 週間
3~12 週間
2~4 週間
*レジスタント・スターチ(ハイアミロースコーンスターチ中の消化されにくい部分)としての 1 日摂取量が、明確に記載
されている論文より抽出
◆評価の経緯
評価対象機能についてデータベースを用いて文献検索を行い、評価対象論文を選別した。次に、個々
の論文を読み込み内容をまとめて研究の質を評価し、効果の有無や研究の質による仕分けを行った。更
に、評価対象機能に対する科学的根拠の全体像の取り纏めを行い、機能性評価委員会において科学的
根拠の総合評価を 5 段階で評価した。
1. データベース検索結果
 データベース検索の基本的考え
ハイアミロースコーンスターチ(HACS)は、PubMed を用いて検索した。更に、欧州連合
の科学諮問機関 EFSA(*)においても評価されているため、評価書に引用されている論文の調
査も行った。
(*)EFSA: European Food Safety Authority(欧州食品安全機関)
 検索フロー
PubMed では、検索式を「(High Amylose Corn Starch) or (resistant starch) or RS2」とし
て、検索を行った。その後、
「Meta-Analysis」
「Clinical Trial」
「RCT(*)」
「Review」
「Systematic
2
Reviews」「Other Animals」「In Vitro」等についても検索した。
(*)RCT: Randomized Controlled Trial (無作為化比較試験)
 検索結果(検索日:2013 年 11 月 13 日)
PubMed での検索で 2268 報がヒットした。そのうち、RCT としては、107 報がヒットした。
更なる調査の結果、EFSA 評価書にある引用論文 22 報を見出した。
2. 対象論文の選定結果と除外理由のまとめ
上記の検索結果から重複する論文や総説、安全性論文、ヒト介入試験でヒットしたが動物試験で
あった論文、対象外の機能についての論文等を除き、下記の論文が選択された。
・ 食後血糖値上昇抑制 14 報(RCT12 報、RCT 以外 2 報)
・ 空腹時血糖値の維持 7 報(RCT7 報)
・ 短鎖脂肪酸、特に酪酸の産生による腸の健康の維持・増進 8 報(RCT 8 報)
検索結果まとめ(PubMed 検索と不要情報の除外)
ハイアミロースコーンスターチ(HACS)
食品(成分)名:
【一次検索】
食品(成分)、学名、素材名など
検索日(年/月/日):
2013/11/13
報
2268
検索式
(High Amylose Corn Starch) OR (resistant starch) OR RS2
不要情報の除外作業
基本絞込み条件
前
後
0
1
"Meta-Analysis"
2
"Clinical Trial"
158
⇒
20
3
"RCT" (Randomized Controlled Trial)
107
⇒
20
4
"Cohort"
5
"Case Control"
6
"Review"
7
"Systematic Reviews"
8
"Other Animals"
9
"In Vitro"
10
2
149
7
694
44
不要情報除外作業後の機能別集計(エビデンスデータシートへの記入対象)
機能
メタアナリ
シス
前向き
コホート
研究
ヒト介入試験
RCT以外
RCT
動物
機能別
報数
in vitro
食後血糖値上昇抑制
0
8
8
空腹時血糖値の維持
0
7
7
短鎖脂肪酸、特に酪酸の生産による
腸の健康の維持・増進
0
8
8
0
研究種別報数、総報数
0
0
23
0
0
0
23
3
検索結果まとめ(EFSA 評価書の調査と不要情報の除外)
ハイアミロースコーンスターチ(HACS)
食品(成分)名:
【一次検索】
食品(成分)、学名、素材名など
検索日(年/月/日):
2013/11/26
報
22
検索式
不要情報の除外作業
基本絞込み条件
1
前
EFSA 健康表示申請時の提出資料の参考文献
後
22
⇒
12
動物
in vitro
機能別
報数
※健康強調表示承認済
"Replacing digestible starches with resistant starch induces a lower blood
glucose rise after a meal."
不要情報除外作業後の機能別集計
機能
メタアナリ
シス
前向き
コホート
研究
ヒト介入試験
RCT以外
RCT
食後血糖値上昇抑制
2
9
11
空腹時血糖値の維持
0
1
1
短鎖脂肪酸、特に酪酸の生産による
腸の健康の維持・増進
0
2
2
0
研究種別報数、総報数
0
2
12
0
0
0
14
3. 対象論文の質の評価ととりまとめ (調査結果)
3.1 機能性に関する情報
選択された個々の論文について、「研究の質」の評価採点表(添付資料1)に基づき、研究の位
置づけから考察の妥当性などの項目ごとに採点し、研究の質を QL1 から QL4 までの4段階に分
類した。採点表の最高得点は 15 点、最低得点は-8 点、評価の区分は、QL1 が 10 点以上、
QL2 が 5~9 点、QL3 が 4 点以下であり、著しく質が低いとされる QL4 は評価対象から除外さ
れる。
QL1:質が高い(いずれの評価視点においても適切)
QL2:質は中程度(一部の評価視点において不十分な点はあるものの、概ね適切)
QL3:質が低い(多くの評価視点において要件を満たさない項目が見受けられる)
QL4:著しく質が低い(評価対象から除外する)
更に、個々の論文を機能毎に効果の有無や研究の質により仕分けを行い、評価対象機能に対する科学
的根拠の全体像を「総合評価用集計シート」に取り纏めた。以下に概要を示す。
4
(1) 食後血糖値上昇抑制
論文報数のまとめ
効果あり
ヒト介入試験
総計:
14
報
合計
判定保留
効果なし
負の効果あり
11
報
1
報
2
報
0
報
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
QL1:
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
QL2:
4報
1報
1報
0報
1報
0報
0報
0報
QL3:
5報
1報
0報
0報
1報
0報
0報
0報
 ヒト介入試験のまとめ
各論文が対象とした被験者は n 数が 9~25 名、健常者のみが 10 報、高 TG 血症者を含むも
のが 1 報、高インスリン血症者を含むものが 2 報、過体重者を含むものが 1 報であった。
効果ありの論文は 11 報(QL2 が 5 報、QL3 が 6 報)で、効果なしの論文は 2 報(QL2 が
1 報、QL3 が 1 報)で、判定保留は 1 報(QL2 が 1 報)であった。
効果ありの論文は、ハイアミロース食摂取群の方が、ローアミロース食摂取群と比べ血糖値
が有意に低値を示した。これにより、ハイアミロース食はローアミロース食と比べ、食後血
糖値上昇抑制に寄与することが示唆された。
効果なしの論文は、レジスタントスターチ(RS)摂取量が 8g と他試験と比較して少量だっ
た試験(#13)、試験当日は RS を摂取していなかった試験(#14)であった。
 評価対象論文
ヒト介入試験(効果あり)
#01
Am J Clin Nutr., 2006 83(4):817-22
#02
Eur J Clin Nutr., 2002 56(9):913-20
#03
Am J Clin Nutr., 1996 64(6):944-51
#04
Diabetologia, 2003 46(5):659-65
#05
Am J Clin Nutr., 1995 61(2):334-40
#06
Am J Clin Nutr., 1989 49(2):337-44
#07
Cereal Chem., 82(6):654-659
#08
Am J Clin Nutr., 1988 47(3):428-32
#09
Diabetes Care, 2006 29(5):976-81
#10
J Nutr., 1995 125(3):459-65
#11
Eur J Clin Nutr., 1999 53(5):360-6
ヒト介入試験(効果の判定保留)
#12
Diabetologia, 2005 48(11):2343-53
ヒト介入試験(効果なし)
#13
J Nutr., 2008 138(4):732-9
#14
Am J Clin Nutr., 2005 82(3):559-67
ヒト介入試験(負の効果あり): 該当なし
5
(2) 空腹時血糖値の維持
論文報数のまとめ
効果あり
ヒト介入試験
総計:
7
報
合計
判定保留
効果なし
負の効果あり
5
報
0
報
2
報
0
報
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
QL1:
2報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
QL2:
2報
0報
0報
0報
2報
0報
0報
0報
QL3:
1報
0報
0報
0報
0 報
0報
0報
0報
 ヒト介入試験のまとめ
各論文が対象とした被験者は n 数が 10~33 名、健常者のみが 2 報、過体重者が 3 報、イン
スリン抵抗性のあるものが 2 報であった。
効果ありの論文は 5 報(QL1 が 2 報、QL2 が 2 報、QL3 が 1 報)で、効果なしの論文は 2
報(QL2 が 2 報)であった。
空腹時血糖値を測定した論文が 6 報、インスリン感受性を測定した論文が 2 報、内 1 報は両
方を測定した論文であった。
効果ありの論文は、ハイアミロース食摂取群の方が、ローアミロース食摂取群と比べ有意に
低値を示した。これにより、ハイアミロース食はローアミロース食と比べ、空腹時血糖値の
維持に寄与することが示唆された。 論文#05 は、空腹時血糖値で有意差が見られなかったが、
インスリン感受性に有意差が認められたため、摂取期間(4 週間)を考慮し、効果ありとし
た。
 評価対象論文
ヒト介入試験(効果あり)
#01
J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo)., 2004 50(2):93-9
#02
PLoS One, 2012 7(7):e40834
#03
J Clin Endocrinol Metab., 2012 97(9):3326-32
#04
Diabet Med., 2010 27(4):391-7
#05
Am J Clin Nutr., 2005 82(3):559-67
ヒト介入試験(効果の判定保留): 該当なし
ヒト介入試験(効果なし)
#06
J Nutr., 2012 142(4):717-23
#07
Am J Clin Nutr., 1989 49(2):337-44
ヒト介入試験(負の効果あり): 該当なし
6
(3) 短鎖脂肪酸、特に酪酸の産生による腸の健康の維持、増進
論文報数のまとめ
効果あり
ヒト介入試験
総計:
8
報
合計
判定保留
効果なし
負の効果あり
6
報
0
報
2
報
0
報
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
QL1:
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
QL2:
3報
0報
0報
0報
2報
0報
0報
0報
QL3:
3報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
0報
 ヒト介入試験のまとめ
各論文が対象とした被験者は n 数が 11~46 名、健常者のみが 7 報、高 TG 血症者を含むも
のが 1 報であった。
効果ありの論文は 6 報(QL2 が 3 報、QL3 が 3 報)で、効果なしの論文は 2 報(QL2 が 2 報)で
あった。
効果ありの論文は、ハイアミロース食摂取群の方が、ローアミロース食摂取群と比べ、糞中
酪酸が有意に増加した。これにより、ハイアミロース食はローアミロース食と比べ、短鎖脂
肪酸、特に酪酸の産生による腸の健康の維持、増進に寄与することが示唆された。
 評価対象論文
ヒト介入試験(効果あり)
#01
Am J Clin Nutr., 1996 64(6):944-51
#02
Exerc Immunol Rev., 2013 19:102-19
#03
J Nutr., 2011 141(5):883-9
#04
J Am Coll Nutr., 1998 17(6):609-16
#05
Am J Clin Nutr., 1996 63(5):766-72
#06
Am J Clin Nutr., 1995 62(1):121-30
ヒト介入試験(効果の判定保留): 該当なし
ヒト介入試験(効果なし)
#07
Am J Clin Nutr., 1998 67(2):322-31
#08
Am J Clin Nutr., 1998 67(1):136-42
ヒト介入試験(負の効果あり): 該当なし
3.2 安全性に関する情報
評価対象論文において、消化器症状(鼓腸、膨満感等)に関する記載がある論文が 4 報あっ
たが、重篤なものはなかった。
7
4. 機能性評価委員会による総合評価
総合評価は総合評価表(添付資料 3)に基づき行われた。総合評価表では、「研究タイプ、質、
数の目安」として「効果あり」
「効果なし」とする論文の数値的基準を、また「一貫性の目安」と
して「効果あり」とする論文の数に対して「効果なし」とする論文の数を考慮する基準が設定さ
れている。また、その他総合評価に影響を与える考慮すべき項目として、

人種や食事などの文化的背景の違いにより、結果に差異を生むとのエビデンスが存在するか

作用機序を説明する論文があるか
といった点についても検討した上で、総合的な評価が行われた。
8
II. サラシア属植物抽出物の機能性評価結果
(申請者:サラシア属植物普及協会)
◆評価した機能
食後血糖値上昇抑制
◆評価結果
機能性評価委員会における審議の結果は以下の通りである。各評価項目における評価結果(A~E の
5 段階評価)のそれぞれの内容については、後述の「評価の経緯」を参照されたい。
評価項目
食後血糖値上昇抑制
総合評価
B
研究のタイプ・質・数
B
一貫性の目安
B
◆評価の経緯
評価対象機能についてデータベースを用いて文献検索を行い、評価対象論文を選別した。次に、個々
の論文を読み込み内容をまとめて研究の質を評価し、効果の有無や研究の質による仕分けを行った。更
に、評価対象機能に対する科学的根拠の全体像の取り纏めを行い、機能性評価委員会において科学的
根拠の総合評価を 5 段階で評価した。
1. データベース検索結果
 データベース検索の基本的考え
サラシア属植物抽出物に関する文献を、PubMed および JDream III を用いて検索した。
 検索フロー
PubMed では、検索式を「salacia」として、検索を行った。その後、
「Meta-Analysis」
「Clinical
Trial」「RCT(*)」「Systematic Reviews」等についても検索した。JDream III では、検索式
を「サラシア」として検索を行った。
(*)RCT: Randomized Controlled Trial (無作為化比較試験)
 検索結果(PubMed 検索日:2013 年 11 月 25 日、JDream III 検索日:2013 年 9 月 6 日)
PubMed での検索で 133 報がヒットした。そのうち、Clinical Trial としては、13 報がヒッ
トした。また、JDream III では 150 報がヒットした。そのうち、ヒト試験の可能性のあるも
のは 10 報であった。
9
2. 対象論文の選定結果と除外理由のまとめ
上記の検索結果から重複する論文や検索でヒットしたものの内容がヒト試験でなかったもの、総
説、安全性論文、対象外の機能についての論文、食後血糖値上昇抑制に関する研究であったが投
薬患者を対象とした論文を除き、下記の論文が選択された。
・ 食後血糖値の上昇抑制
10 報(RCT 9 報、RCT 以外 1 報)
検索結果まとめ(PubMed 検索と不要情報の除外)
食品(成分)名:
サラシア属植物抽出物
検索日(年/月/日):
133
食品(成分)、学名、素材名など
【一次検索】
2013/11/25
報
検索式
salacia
不要情報の除外作業
前
後
抄録確認結果
1
"Meta-Analysis"
2
"Clinical Trial" (RCTを含む)
13
3
素材・成分研究
14
4
合成・構造研究
24
5
総論
4
6
"Systematic Reviews"
0
0
⇒
6
7
動物試験
39
⇒
0
8
in vitro 研究
33
⇒
3
9
系統研究
3
10
分離・分析法研究
3
in vitro
機能別
報数
不要情報除外作業後の機能別集計
機能
メタアナリ
シス
前向き
コホート
研究
ヒト介入試験
RCT以外
RCT
動物
6
食後血糖値上昇抑制
0
3
9
0
0
研究種別報数、総報数
0
0
6
0
0
3
9
10
検索結果まとめ(JDreamⅢ検索と不要情報の除外)
食品(成分)名:
サラシア属植物抽出物
検索日(年/月/日):
150
食品(成分)、学名、素材名など
【一次検索】
2013/9/6
報
検索式
サラシア
不要情報の除外作業
抄録確認結果
前
後
115
1
原著論文以外(短報、解説、会議録、文献レビュー等)
2
動物試験・Invitro試験
25
⇒
4
3
ヒト試験の可能性のあるもの
10
⇒
4
動物
in vitro
機能別
報数
不要情報除外作業後の機能別集計
機能
メタアナリ
シス
食後血糖値上昇抑制
前向き
コホート
研究
ヒト介入試験
RCT以外
RCT
1
3
4
1
9
0
0
研究種別報数、総報数
0
1
3
0
4
1
9
3. 対象論文の質の評価と機能毎のとりまとめ (調査結果)
3.1 機能性に関する情報
選択された個々の論文について、「研究の質」の評価採点表(添付資料 1)に基づき、研究の位
置づけから考察の妥当性などの項目ごとに採点し、研究の質を QL1 から QL4 までの4段階に分
類した。採点表の最高得点は 15 点、最低得点は-8 点、評価の区分は、QL1 が 10 点以上、
QL2 が 5~9 点、QL3 が 4 点以下であり、著しく質が低いとされる QL4 は評価対象から除外さ
れる。
QL1:質が高い(いずれの評価視点においても適切)
QL2:質は中程度(一部の評価視点において不十分な点はあるものの、概ね適切)
QL3:質が低い(多くの評価視点において要件を満たさない項目が見受けられる)
QL4:著しく質が低い(評価対象から除外する)
更に、個々の論文を機能毎に効果の有無や研究の質により仕分けを行い、評価対象機能に対する科学
的根拠の全体像を「総合評価用集計シート」に取り纏めた。次に概要を示す。
11
論文報数のまとめ
ヒト介入試験
総計:
10 報
合計
効果あり
判定保留
効果なし
8
報
0
報
2
報
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
RCT
RCT以外
負の効果あり
報
RCT
RCT以外
QL1:
4報
報
報
報
報
報
報
報
QL2:
3報
報
報
報
1報
報
報
報
QL3:
1報
報
報
報
報
1報
報
報
作用機序、ヒト試験で確認された効果、食経験情報から推定される機能の確認・補強が出来たもの
動物試験
in vitro 試験
4
4
報
報
 ヒト介入試験のまとめ
効果ありは 8 報(QL1:4 報、QL2:3 報、QL3:1 報)、効果なしは 2 報(QL2:1 報、QL3:
1 報)であった。
効果ありは、①健常者を対象にコタラヒムブツ抽出物(サラシア)
(#03)、②糖尿病の治療を
受けていない健常者および境界型の被験者を対象にサラシア・レティキュラータ含有飲料
(#05)、③健常者を対象に Salacia chinensis 抽出物(サラシア)(#06)、④2 型糖尿病患者
を対象に Salacia oblonga 抽出物(サラシア)(#08)を摂取させた試験等で、食後血糖値が
有意に低下した。
効果なしは、①投薬の無い糖尿病予備軍および軽度・中等度の脂質代謝異常者を対象に、空
腹時および食後血糖値を測定した試験で(#10)、空腹時血糖値は有意に低下したものの、食
後血糖値は低下傾向しか見られなかった。
また、②健常者を対象に食後血糖値を測定した試験(#09)では、変化は見られなかったが、
インスリン値(60、120 分後)およびインスリン値の時間-濃度曲線下面積(AUC:0-180
分)は有意に低下した。
 動物 /in vitro 試験のまとめ
食事由来の糖質は、唾液中のアミラーゼや小腸粘膜に存在するαグルコシダーゼによりグル
コースに分解され、吸収される。αグルコシダーゼを阻害するとグルコースへの分解が抑制
されるため、食後の急激な血糖値の上昇が抑制される。
ラットを用いた糖負荷試験において、サラシア属植物抽出物を投与すると血糖値の上昇が抑
制されること、αグルコシダーゼ阻害活性試験(in vitro)において、サラシア属植物抽出物
やその特徴的な成分であるサラシノールやコタラノールがαグルコシダーゼを阻害すること
が報告されている。
以上のことから、サラシア属植物抽出物の食後血糖値上昇抑制作用は、αグルコシダーゼの
阻害に基づくことが示唆された。
12
 評価対象論文
ヒト介入試験(効果あり)
#01
J Am Diet Assoc., 2005 105(1):65-71
#02
Nutrition, 2005 21(7-8):848-54
#03
日本食品新素材研究会誌, 2005 8(2):105-117
#04
薬理と治療, 2010 38(6):545-550
#05
健康・栄養食品研究, 2008 10(2):23-36
#06
Pharmacogn Mag., 2013 9(36):344-9
#07
Anc Sci Life., 2009 29(1):14-6
#08
Am J Clin Nutr., 2007 86(1):124-30
ヒト介入試験(効果の判定保留):該当なし
ヒト介入試験(効果なし)
#09
New Diet Therapy, 2005 20(5):46-53
#10
J Med Food, 2013 16(6):564-8
ヒト介入試験(負の効果あり):該当なし
 参考論文(動物試験 /in vitro 試験)
薬学雑誌, 2003 123:871-880
薬学雑誌, 2004 124:217-223
機能性食品と薬理栄養, 2005 3(1):25-30
日本栄養食糧学会誌, 1998 51:279-287
Tetrahedron Lett., 1997 38:8367-8370
Chem Pharm Bull., 1998 46:1339-1340
J Nat Med., 2011 65:142-148
3.2 安全性に関する情報
評価対象論文において、消化器症状(不快感、鼓腸、おくび等)に関する記載がある論文が 3
報あったが、重篤なものはなかった。
4. 機能性評価委員会による総合評価
総合評価は総合評価表(添付資料 2)に基づき行われた。総合評価表では、
「研究タイプ、質、数
の目安」として「効果あり」
「効果なし」とする論文の数値的基準を、また「一貫性の目安」とし
て「効果あり」とする論文の数に対して「効果なし」とする論文の数を考慮する基準が設定され
ている。また、その他総合評価に影響を与える考慮すべき項目として、

人種や食事などの文化的背景の違いにより、結果に差異を生むとのエビデンスが存在するか

作用機序を説明する論文があるか
といった点についても検討した上で、総合的な評価が行われた。
13
文献番号
食品(成分)名
合計
論文の評価
QL1: 質が高い(いずれの評価視点においても適切)
QL2: 質は中程度(一部の評価視点において不十分な点はあるものの、概ね適切)
QL3: 質が低い(多くの視点において不適切)
QL4: 著しく質が低い(総合評価においては考慮しない)
②統計結果が適切に解釈されたか
①得られた結果は統計学的に十分な有意差があり、かつ医学的にも意味のある差である旨の記述があるかを確認できるものであったか
考察の妥当性
②統計解析の方法は適切か(例:多重性が考慮されているか)
★ ①結果は統計解析されているか
統計処理は適切か
①生物学的、方法論的に検証されているマーカーが用いられているか
マーカーは適切か
③プロトコール上の重大な変更はなかったか
②医薬品についての摂取制限が明記されているか
①食事コントロールの有無について明記されているか
介入の方法は適切か
④試験結果を観察するのに十分な期間が設けられているか
③摂取量は複数の水準が設けられているか
②摂取時期、摂取方法は明記されているか
①摂取形態が明記されているか
摂取形態、摂取時期、摂取方法、摂取量、摂取期間は適切か
④対照群が設定されている場合、比較対象物質の選定理由が明記されているか
③試験物質の分析方法は説明されているか
②試験物質の規格(機能成分含量他)について説明されているか
①試験物質の起源(使用部位)、製法についての記述があるか
試験物質は適切か
★ ①統計解析をする上で十分な対象者数が確保されているか(群間比較試験では、個人差のバラツキを解消するために十分な数であるか)
n数は適切か
③脱落者数や割合が記載され、脱落理由が示されているか
②対象者の除外基準が明記されているか
★ ①試験目的に照らして対象者の選定理由が明記されているか
該当すれば
QL3判定
「○」以外はQL3
研究の位置づけ
1つでも該当すれば
QL4判定
「○」以外はQL4
★印項目
評価対象機能
「○」は1点
それ以外は0点
加点項目
「○」は0点
それ以外は-1点
減点項目
雑誌名、Vol.、Page、発表年(西暦)
※ 1つでもQL3かQL4がある場合は、自動的に低いランクで判定する。
※ 最高得点は15点、最低得点は-8点。
※ 評価の目安は、QL1は10点以上、QL2は5~9点、QL3は4点以下。
(補足) 各区分の境界線は、韓国の採点法(QL1/QL2:75%、QL2/QL3:55%)で準用
しているが、最終的には個々の評価状況も踏まえて見直す可能性がある。
QL1/QL2の境界算出根拠: (15+8)×0.75=17.25 17.25-8=9.25 ⇒9点
QL2/QL3の境界算出根拠: (15+8)×0.55=12.65 12.65-8=4.65 ⇒5点
各設問への回答の選択肢(ドロップダウンメニューより選択): 当てはまる⇒「○」、当てはまらない⇒「×」、判断できない⇒「-」
当該研究の位置づけ
査読あり論文か (査読なし はQL3)
試験デザインは適切か
★ ①試験目的は説明されているか
★ ②試験デザインについて説明されているか
③対照群が設定されているか(プラセボまたは比較対象物質を置いているか)
④無作為化試験か
⑤無作為化試験の場合、無作為化が適切にされているか(乱数表、コンピューター処理など)
⑥盲検試験か
⑦盲検試験の場合、二重盲検か
⑧盲検試験の場合、盲検化の方法が具体的に記載されているか(リクルーティング方法、プラセボ形態や摂取方法などで、方法に違いがないか)
対象者は適切か
評価視点
「研究の質」の評価
ヒト介入試験の「研究の質」の評価採点表
QL○
得点とQL区分
PMID番号
添付資料1
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添付資料 2
機能性評価委員会名簿(50 音順・敬称略、平成 26 年 2 月 20 日現在)
氏名
縣 俊彦
入村 達郎
◎金澤 一郎
所属・役職
国際医療福祉大学 大学院教授
一般財団法人 聖路加国際メディカルセンター
特別顧問 医療イノベーション部 部長
東京大学名誉教授
国際医療福祉大学大学院長
東京大学名誉教授
唐木 英明
倉敷芸術科学大学学長
東京大学名誉教授
川合 陽子
国際医療福祉大学教授
医療法人財団 順和会 山王病院 臨床検査部長
山王メディカルクラブ部長
清水 誠
吉村 博之
東京大学大学院 農学生命科学研究科
食の安全研究センター 特任教授
昭和大学 薬学部
生体制御機能薬学講座毒物学部門 客員講師
◎は座長
15
添付資料 3
総 合 評 価 表
食品(成分)名:
評価対象機能:
(*)5 報(総数)以上を目安とする
A
B
科学的根拠レベル
「研究タイプ、質、数」の目
総合評価
安
機能性について明確で
十分な根拠がある
(Convincing)
機能性について
肯定的な根拠が
ある
(Probable)
A
B
・質が高く、効果があるとさ
れる RCT 論文が 5 報以上
・質が中程度以上で効果があ
るとされる RCT 論文が 4 報
以上
(効果があるとされる RCT 以
外の介入試験および質が高
い前向きコホート試験※が
あればこれも考慮する)
一貫性の目安(*)
A
効果がある
とされる結果で
ほぼ一貫している
B
効果がある
とされる結果が
効果がない
とされる結果に
大きく優る
C
効果がある
とされる結果が
効果がない
とされる結果に
優る
※
n 数 10,000 以上、追跡期間
5 年以上
C
機能性について
示唆的な根拠が
ある
(Possible)
C
・効果があるとされる RCT 論
文が 2 報以上
(効果があるとされる RCT 以
外の介入試験および質が中
程度以上の前向きコホート
試験※があればこれも考慮す
る)
※
n 数 1,000 以上、追跡期間 5
年以上
・RCT 以外の介入試験および
質が低い前向きコホート試
験※で効果確認例あり
機能性について
示唆的な根拠が
不十分
D
あるいは
ヒトでの効果
確認例がなく、
根拠レベルの
評価不能
あるいは
D
・ヒト試験による効果確認例
はないが、動物試験による
効果確認例あり
※
n 数 1,000 未満、追跡期間 5
年未満
D
効果がない
とされる結果が
効果がある
とされる結果に
優る
あるいは
ヒト試験の
報告例がない
・ヒト試験において、効果が
あるとされる論文はなく、
機能性について
効果がない
効果がない及び負の効果が
否定的な
E
E
E とされる結果で
あるとされる論文が複数あ
根拠がある
ほぼ一貫している
る
その他評価に影響を与える考慮すべき項目
 人種や食事などの文化的背景の違いにより、結果に差異を生むとのエビデンスが存在するか?
該当項目に○を記入 ⇒ [
] あり
[
] なし
 作用機序を説明する論文があるか?
該当項目に○を記入 ⇒ [
] あり
[
] 一部あり
[
] なし
 一貫性の評価で、RCT 論文だけでは判断が難しい場合、メタアナリシスの論文のエフェクトサイズ、異
質性を調査し、総合評価の参考とする。
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