地盤との連成効果を考慮した RC造建物の震害に関する研究

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総会都市研究
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7
号 1
9
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地盤との連成効果を考慮した RC造建物の震害に関する研究
望 月 利 男 キ 松 田 磐 余 榊 荏 本 孝 久T
宮野道雄 tt
小泉敏 ~tt
要 約
中低層の RC造建物は地震時にしばしば被害を受ける。特に, 1
9
6
8年十勝沖地震ならびに 1
9
7
8年宮
城県沖地震時には近代的な RC 造建物が少なからず被害を受けた。これらの造建物の被害と地盤との
関係については既往の被害調査に基づく検討結果から両者の相関性が比較的明瞭であり,その傾向を無
視することができないと報告されている。しかしながら都市に多く分布している同様な中低層 RC 造
建物の地震時の被害を地盤との相関性を考慮して解析的に検討された研究は,その重要性にもかかわら
ずまだ数少ない。そこで本研究では,主に D
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e 理論に基づいて地盤ー建
物連成効果を考慮した RC 造建物の振動モデルを作成する手法を用いて,表層地盤の地盤特性をパラ
メトリッグに変化させた場合の地盤ー建物連成系の質点モデルを作成し,次いで応答解析を実施するこ
とによって RC 造建物の地震時の被害についての解析的な研究を試みることにした。その結果,すで
に調査報告された RC 造建物の地震時の被害と地盤の相関性に関する傾向が,応答計算によって解析
的に検討された結果と比較的良好な対応関係を示したので報告する。
ついて被害と地盤との関係を示している(望月ほか,
1
9
7
8
)。また,同様な調査を 1
9
7
8年宮城県沖地震の被災
1
.まえがき
RC (鉄筋コンクリート〕造建物は大地震時にしばし
9
6
8
年十勝沖地震で
ば倒壊等の被害を受ける。例えば, 1
は近代的な RC 造建物の振動被害が見られた。また,
1
9
7
8
年宮城県沖地震においても少なからず RC 造建物
の被害が発生している。これらの RC 造建物の被害に
ついては地震時の被害調査ならびに解析が各方面で行な
9
6
8
年十勝沖地震時に災
われ報告されている。例えば, 1
被した RC 造建物のみならず被災地に存在したすべて
の RC造学校建物を対象とした詳細な解析から被害の差
異および原因を構造面から説明づけた研究(青山ほか,
1
9
7
1
)。また,志賀ほかは4
9
棟の RC造建物の壁・柱率
などを調べ,それらの量と被害の棺関性を明らかにした
(志賀ほか, 1
9
7
5
)。そして,これらの研究成果は耐震診
断等に有益に活用されている。一方, RC造建物の被害
9
6
8
年十
が地盤との関係を無視できないとの考えから, 1
勝沖地震における被災地域内の主に RC 造学校建物に
地における RC造建物についても実施し, RC造建物
の被害と地盤の性質との相関性が極めて高いことを指摘
している(望月ほか, 1
9
7
9
)。 このことは木造建物とは
別に RC 造建物のような重量構造物の被害については
地盤と建物の相互作用を考慮した検討が必要であること
を示していると考えられる。 しかしながら, これらの
RC造建物の被害について,ある特定の建物の被害に着
目して振動学的見地から解析的に検討された報告は見ら
れるが,地盤との関係を考慮して全体的な RC造建物の
被害傾向を解析的に検討した研究は,これまでにあまり
例がなく例えば都市の地震防災学的な立場から都市部に
存在する多数の RC 造建物の地震時危険度や被害想定
を実施するためには,まだ不十分な点がある。
ー方,地盤と建物の相互作用を解析的に検討する手法
は D
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e 理論としてまとめ
られている(小為・南井ほか, 1
9
6
5,1
9
6
6
)。 この理論
は地盤ー建物系の相互作用を建物基礎周辺地盤のバネ効
*東京都立大学都市研究セ γ タ ・工学部(現在.'福井工業大学工学部〉
料東京都立大学都市研研センター・理学部
T神奈川大学工学部
t
t東京都立大学工学部
F
32
号
総 合 都 市 研 究 第1
7
この手法を用い
に多くなされている。その中で古くから実施され数も多
て,地盤建物系の地震時の挙動を実測の強震計記録を用
いものは標準貫入試験の結果として得られる N値を変数
いて検討する研究結果が報告されている。その結果,実
として S波速度を求めようとする研究である。 N値は土
の剛性あるいは強度に関係する土性指標として土木・建
果と減衰効果として評価する方法で,
測結果と計算結果が比較的よく対応していると報告して
いる(石田・大沢, 1
9
7
6
)。
本研究は これまでに調査・研究された貴重な資料な
らびに結果に基づき,上記こことを考慮して 1
9
6
8
年十勝
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沖地震ならびに1
9
7
8
年宮城県沖地震における RC 造建
物の震害に関して, DynamicalGround Compliance理
論に基づく地盤 建物系の連成効果を考慮した RC 造
建物の振動モデルを作成し, RC造建物の震害に関する
解析的な検討を試みたものである。
築工学の分野で広く活用され,しかも比較的容易に測定
できる利点があるため既存の資料も豊富で‘ある。しかし
ながら,この値は土質毎に一様でなく例えば,砂質系の
土の場合,同一の締り方であってもその土被り厚さによ
り深さの増加とともにN値が増加することはよく知られ
ている。また,粘性土の場合は粘着力を主とするその抵
抗性状からみて同ーのN値であっても砂質土とは異った
評価をすべきであると思われる。このような観点から従
来の推定式を改良する目的をもって,筆者らはすでにN
値の他に各地層の存在深さを変数として加え,さらに地
2
.地盤の s
波速度の推定式
地盤の振動性状や地盤と建物の相互作用に関して弾性
波動理論を用いて解析的な検討を実施するためには,弾ー
盤の形成年代および土質毎に区分した S波速度推定式を
線型関数の形で作成した(田治米・望月・松田, 1
9
7
7
)。
一方,太田・後藤は同様に S波速度を推定するために N
性体と仮定される地盤の性質を示す物理定数としての S
波速度, P波速度,ポアソン比および密度等の指標を必
値の他に深さを変数に加え,更に数量化理論を用いて形
成年代・土質をカテゴリー数量として数値的な重みで係
要とする。特に,地震工学・耐震工学の分野では S波速
数を表わす試みを行って S波速度推定式を作成している
度に関する情報を必要とする。これらの物理定数は弾性
波探査 (P-s検層〕や同時に実施される標準貫入試験に
よって調査され,その数値が与えられる場合が多い。し
かしながら,これらの弾性波探査の試験結果は地域的な
調査密度として必ずしも満足のいく程多数得られていな
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。
、
(太田・後藤, 1
9
7
6
)。また,今井は各土質毎に S波速度
の推定値を示している〈今井, 1
9
7
6
)。
本研究では,これまでの弾性波探査資料数の増加に伴
って前述の S波速度の推定式に若干の改良を行い新たな
推定式を作成することとした。すなわち,筆者らが求め
た前述の推定式の線型関数であったため, 目的変数 (S
そのために既存の蝉性波探査資料を用いて地盤の S波
速度と他のより入手し易い土性指標との関係式を求め地
盤の地震応答計算などに供しようとする試みがこれまで
波速度〕のとり得る{直の全域を十分包含し得ない傾向が
あった。そこで,本研究では S波速度の推定式を次式で
示す指数関数型で表わすこととした。
表 1 静都圏における S波速度推定式の各係数
(沖積地盤〕
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表 2 首都圏における波速度推定式における各係数
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RC造建物の震害に関する研究
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図 1 首都圏における S波速度の実測値と計算値の
比較(沖積地盤)
図 2 首都圏における波速度の実測値と計算値の比
較(洪積地盤〉
表 3 全国(首都圏と北海道を除く〉の S波速度推
定式の各係数(沖積地盤〕
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D:土厚の存在深さ(地表面から土質の
中間点までの深さ m)
a,
b
,
c:重回帰分析から土質および形成年代
によって決まる係数
推定式作成にあたっては,実用上ならびに地域的な資
料数の片寄りを考慮して,東京都を中心とする首都圏と
首都圏および北海道を除く全国とに区分して(北海道を
除くのは,他地域と比べて土質の形成過程がやや異なる
7
号
総合都市研究 第 1
34
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図 3 全国(首都圏と北海道を除く〉における S波
Vs(Measured)
図
4 全国(首都簡と北海道を除く〉における S波
速度の実測値と計算値の比較(洪積地盤〕
速度の実測値と計算値の比較(沖積地盤)
ことによる。),従来と同様に形成年代と土質により別々
3
. RC 造 建 物 の 被 害
地震時における RC造建物の倒壊等の顕著な被害は,
1
9
6
8
年十勝沖地震ならびに 1
9
7
8年宮城県沖地震時にも認
められた〈日本建築学会, 1
9
6
8,1
9
8
0
)。本研究を実施
するにあたって,これらの地震時の RC 造建物の被害
のうち調査が実施された建物棟数は無被害の建物も含め
て十勝沖地震では 7
1棟,宮城県沖地震では 1
5
4棟であ
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147
に推定式を求めた。
なお,土質の形成年代による区分は沖積層と洪積層の
2種類に区分し,土質区分は大別して粘土,シルト,ロ
ーム,砂,砂磯,腐食土とし,砂についてはその粘土に
より細砂,粗砂の区別を行い,更に各土質が混合する場
合は例えば、ンルト質砂(砂が主成分〉のように分類を行
っている。本解析に使用した郵性波探査の検層孔数は上
記首都圏で 1
5
3地点,全国で 1
2
1地点である。表 1は
,
首都圏の資料から作成した沖積地盤の各土質別の S波速
度推定式の各係数であり,表 2は同じく洪積地盤の推定
式の各係数である。表中にはデータ数,重相関係数なら
びに標準偏差も併記されている。また,図1,図 2は各
々表 1,表 2の推定式作成に用いた資料の S波速度の実
測値と推定式による計算値とを比較した結果を示してい
る。同様に,首都圏と北海道を除く全国の資料から求め
た結果を表 3,表 4および図 3,図 Hこ示す。
以上の結果によれば,いくつかの例外を除けば全般的
に可成り良好な相関性を示しており,実用上満足できる
S波速度の推定式が得られたものと考えられる。
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8年十勝沖地震における RC 造建物の被
図51
害分布
る。図 5~ 図 7 に調査建物の被害程度とその分布を示
す。なお,調査対象建物は主に 3~4 階建程度の低層の
学校建築および事務所建築である。
図より, 1
9
6
8
年十勝沖地震では青森県八戸市,三沢市
および十和田市周辺に被害が集中し, 1
9
7
8
年宮城県沖地
0日の地震の│際には宮城県北部地域に 6月
震では 2月2
1
2日の地震の際には仙台市内の苦竹,卸町,長町および
原町付近に被害が集中している。また,その構造的な被
害の形態としては,建物の長手方向の柱のせん断破壊あ
るいは柱および壁のせん断亀裂などの構造部材の破損に
よる被害が両地震における RC 造建物被害に多く見ら
望月他:地盤との連成効果を考慮した RC造建物の震害に関する研究
3
5
れた。
4
. R C 造建物の被害と地盤の関係
RC造建物の被害が地盤性状と相関性が高いことは,
すでに望月らによって十勝沖地震時の RC 造建物被害
についての報告がなされている。
本研究では,前章で示された十勝沖地震ならびに宮城
県沖地震における RC 造建物の被害について,上述と
ほぼ同様な地盤性状との相関性について,次章以降の解
析的な検討結果との対比を考慮して,より一般的な地盤
種区分に対して被害棟数分布をまとめることとした。
地盤種の区分は建設省総プロによる第 1種地盤から第
11
3 8 5 42
40
45
図 6 1
9
7
8年宮城県沖地震における RC 造建物の
被害分布(仙台市を除く〉
4種地盤としすでに調査が実施され資料が収集されて
いる両地震時の RC 造建物の分布ならびにボーリング
柱状図に基づいて地盤種別区分の判定ならびに各地盤種
毎の被害建物棟数の分布を算定した。その結果を図 8に
示す。
図より,十勝沖地震では第 2種および第 3種地盤に被
害建物が多く分布し宮城県沖地震では第 1種および
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8年宮域県沖地震における RC造建物の被害分布(仙台市)
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7
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総合都市研究 第 1
36
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一 (a) RC造建物の被害と地盤の関係
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年十勝沖地震)
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図 8
一 (b) RC造建物の被害と地盤の関係
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年宮城県沖地震〉
表 5 周波数伝達関数のパターンによる地盤タイプ
の区分
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第 2種地盤に比較的被害建物が多く分布している。
また,地盤の振動特性を考慮した場合の地盤と RC造
建物被害の相関性についての検討を実施するために,各
調査建物位置におけるボ}リング柱状図から第三紀層
論を用いて地盤の周波数伝達関数を算定した。なお,そ
の周波数伝達関数のパターンにより地盤特性を分類した
結果,表 5に示すように 4タイプに分類された。
以上の結果より,横軸に周波数伝達関数のタイプ別,
縦軸にそれに対する RC 造建物の被害および無被害棟
数の頻度分布を示したものが図 9である。一方,建物の
被害程度(倒壊,大破,中破,小破ならびに無被害〉を
考慮して,全調査建物棟数に対する比率で示される被害
率を算定し,地盤種別ならびに周波数伝達関数のバター
ンによる地盤のタイプ別の被害率を示した結果が図 1
0で
ある ο
図 9ならびに図 1
0より,地盤の周波数伝達関数に基づ
くタイプ別ではんタイプおよび Bタイプに被害率が高
くなる傾向が見られる。このことは,地綾種別区分で十
勝沖地震では第 2種,第 3種地盤に宮城県沖地震では第
1種,第 2種地盤の両地震ともに比較的硬質の地盤に被
害建物の棟数分布が多いことと対応している。すなわ
ち
, A2 タイプは比較的高周波数 (
3
.2Hz以上〕に卓越
(本研究では基盤と定義する〕までの地盤性状に基づい
て表層地盤の層構造のモデノレを作成した。そして,第 2
周波数が見られ, Bタイプでは表層地盤の層構造によっ
て複数の周波数にピーグが見られるが基盤までの平均的
章で算定された地盤の S波速度の推定式に基づいて各地
層の S波速度を算定し,その他の計算に必要な地盤の物
理定数(密度, Q値など〉を設定し SH波の重複反射理
な性質としては比較的硬質であると考えられる。更にま
た,このことは地盤と建物の相互作用を考慮した場合,
比較的剛性の高い RC 造建物に対しては地下逸散減衰
37
望月他地盤との連成効果を考慮した RC造建物の震害に関する研究
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b) 地盤タイプ区分による RC造建物の
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総 合 都 市 研 究 第1
7
号
38
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図 11-(a) RC造建物の被害左表層の地盤性状
との関係(1968
年十勝沖地震)
図 1F-(b) RC造建物の被害と表層の地盤性状
年宮城県沖地震)
との関係 (1978
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効果の期待できない硬質の地盤に被害建物の棟数分布が
多くなるということに対応するものと考えられる。
そこで, RC造建物の被害について,より地盤との関
係を表層地盤の層厚と硬軟度 (S波速度に対応する〕と
に関して検討するために,基盤までの深度とそれ以浅の
表層の地盤内における各層の S波速度の単純な加算平均
値として表層地盤の平均 S波速度を算定し,その両者の
組合せに対して RC 造建物の被害の棟数分布を検討し
た。結果を図 1
1に示す。この結果,両地震において多少
傾向が異なるが十勝沖地震では基盤までの深さ 20m程
js程度の地盤に,宮城県沖地震
度で平均 S波速度 250m
では基盤までの深さが 30m 以上で平均 S波速度 250
mjs程度の地盤に RC造建物の被害棟数分布が多くな
る傾向が認められた。
以上のことから, RC造建物の被害と地盤性状との間
の相関性が認識される。
5
. 地盤との連成効果を考慮した地盤一建物
系の伝達関数
1
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年十勝沖地震ならびに 1
9
7
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年宮城県沖地震におい
て RC 造建物の被害と地盤性状との相関関係が認めら
れた。
一般に, RC造建物の地震時の挙動を検討するために
は地盤と建物の相互作用を考慮すべきであることが指摘
され,地盤一建物連成系として振動解析が実施されてい
る。これは基本的には建物の振動エネルギーが建物周辺
地盤の弾性的なパネ作用を介して波動エネルギーとして
地盤内に伝播し地下に逸散することによる減衰効果を考
慮することであり,この種の基本的な理論は半無限弾性
体上の矩形剛体基礎の場合の地盤との相互作用を考慮し
た基礎周辺地盤のパネ作用,ならびに減表作用について
DynamicalGroundCompliance理論として,すでに解
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析解が導かれ,吏に,その結果を用いて半無限弾性体上
の地盤建物系の伝達関数も導かれている。
本研究では,第 4章で示された RC 造建物の地震時
の被害を解析的に検討するために,地盤一建物系の連成
効果を考慮した振動モデルを作成するために,上述の
Dynamical Ground Compliance 理論に基づく地盤一
建物系の伝達関数を算定し,それと等価な振動特伎をも
っ質点系の振動そデルを作成することを検討することと
した。
Dynamical Ground Compliance理論は,三次元の等
方等質な半無限弾性地盤上の長方形剛体基礎に,水平方
向の harmonicな加振力が作用した場合(図 1
2参照〉の
地盤内の任意な位置での運動方程式に対して,基礎自重
を無視した基礎下の応力分布を仮定して三重フーリェ変
換を導入して応力で統一された境界値問題として運動方
程式を解き,基礎の応答変位を求めるものであり,この
ことによって基礎周辺地盤のバネ効果と減衰効果を解析
望月他:地盤との連成効果を考慮した
RC造建物の震害に関する研究
39
互
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図
1
4 建物の振動性状
表
図
1
3 半無限弾性地盤上の建物形状
的に表現するもので,結果は無限積分を含む積分表示式
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ている。
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μ:半無限弾性地盤の剛性率
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:長方形剛体基礎の半幅
flHJ2H:Dynamical GrQund C
ompliance
素子
3および図 1
4に示されるよ
そして,上式を用いれば図 1
6 地盤の諸定数
本研究では,まず(3)式~(め式を用いて地盤一建物達成
RC造建物の被害調査
うな半無限弾性地盤上にせん断型連続体が存在する場合
系の伝達関数を求めることとし,
の Sway のみを考慮した地盤一建物連成系の地盤と建
結果との対応を考慮して建物形状は 3階建学校建築を対
物頂部の伝達関数は D
ynamical Ground Compliance
3に示されたごとく長さ 60m,幅 10m,高
象として図 1
素子 f
i
H,1
mを用いて次式で計算される。
URF _ A
UGL
DH
さ 10m とし,半無限弾性地盤の地盤定数を表 6に示す
・
・
-(
3
)
ごとく設定された軟質な地盤から硬質地盤までの 8ケ }
スの場合を考慮した。
各地盤定数に対して,計算された伝達関数を図 1
5に示
ao
11
ピ
手 )U1H+品川ー
A=14
(号
弘 、 し2 ・
P'U I
・
・
但
)
す。同図によれば各ケースに対応する地盤ー建物達成系
山侍)(4-)
・
・
-(
5
)
倍率が求められる。
DH=Ac
o
s2/0k-sin2
1
0
k
・
・(
6
)
の伝達関数から連成系の固有周期(固有振動数)と応答
図1
6は,以上の結果より横軸に設定された地盤の S波
速度を示し,縦軸に計算された連成系の固有周波数と応
UGL:地盤の変位
答倍率を示したものである。同図より,達成系の固有周
URF:建物頂部の変位
波数ならびに応答倍率は半無限弾性地盤の S波速度が増
p
o,P:建物および半無限弾性地盤の密度
加するに従って荷者ともに増加する傾向が見られる。こ
C20,C2:建物および半無限弾性地盤の S波速
のことは地盤と建物の相互作用に基づく連成効果を示す
度
ものであり,特に地量産の S波速度が増加するに従って,
。
o:無次元振動数(胃袋)
すなわち硬質地盤になる程応答倍率が増加する傾向は,
/
2
0 :建物の高さ
盤ほど地下に逸散する波動エネルギーによる減衰効果を
2
b
:長方形剛体基礎の幡
期待することが不可能であるということを示しているも
2c:長方形剛体基礎の長さ
のと考えられる。
ここで検討されるような
RC造建物に対しては硬質地
総 合 都 市 研 究 第1
7
号
4
0
URF
UGL
地~
(=R)
UGL
一
一
一f
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f
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(
H
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氾2
叩 3
0
03
5
04
0
05
0
0
O~
vS(m/s)
図 1
6 地盤ー建物連成系の応答倍率と国有振動数
0
.5 .
1
0 2
.
0
PERIOD(sec)
図
1
5 地盤建物連成系の伝達特性
6
. RC造 建 物 の 振 動 モ デ ル
前章で求められた地盤一建物連成系の伝達関数に基づ
いて, RC造建物の応答解析を実施するための連成系と
等価な振動特性を有する質点系の振動モデルを作成す
る
。
振動モデルは 3質点のせん断型質点モデルとし図 1
7に
さ7
示されるものとする。
一般に,質点系振動モデルの振動数方程式は次式で示
図 1
7 3質点系振動モデル
される。
2
4
,
X
3-5w
X百十 6w
X-l=0
I
(K)-w2(
MJI
曲6
と
2
k一ω2M -k
0
2
-k
2k-w
M
-k
o
-k
k-ω2M
…例
ω:円振動数
k:パネ定数
M:質点の質量
(
K
):剛性マトリッグス
(M):質量マトリッグス
(
7
)式の行列式から,Mjk=Xとして X に関する 3次
方程式を求めると次式となる。
・
・
・
(
め
ここで,質点系振動モデルに地盤一建物連成系と等価
な振動特性を与えるために (
8
)式の曲に前章で求められた
連成系の固有振動数を質点系振動モデルの l次固有振動
数とみなして,その数値を代入し X の値を求める。一
8
)式より X の根が 3根
方,代入された ωの値に対して (
求まるが
1次固有振動数が初期に仮定された連成系の
固有振動数と一致するものを X の解として採用するこ
ととする。 このようはすれば, 質点系振動モデルの X
(=Mj
め と 1次 か ら 3次の間有振動数(曲グ, ω2*,
ωa*)が決定される。また, 同様に連成系の伝達関数か
41
望月他:地盤との達成効果を考慮した造建物の震筈に関する研究
表 7 地盤建物連成系の伝達関数から計算された振
動モデルの諸定数
sgん
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m
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山
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図 20 解析に用いた強震記録〈東北大学工学
部建設系建物 l階 N-S成分〉
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5
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,
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1
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7
9刷 局
30
図 18 振動モ}ド (No.1の地盤条件
の場合〉
40
(
a
) 八戸港湾
ら Half Power Band Width 法により 1次減衰定数
(h
勺を算定する。
1
従って,以上の数値が求められれば RC造建物の振
動モデルの内部粘性減衰係数が次に示す(
9
)
式 帥式で評
価され,地盤との達成効果を考慮した地盤一建物系の等
・
・
(
的
.
.
*xh1*
h.*="
~.~
・
-M
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{
u
.}
T[
C
J{
u
.
}=2M
山♂h
.
*
ら求まる円振動数
?に示し,結果の 1例として No.1の場合のモデル,す
合の振動モドを図 18に示す。
従って, これらの応答解析用の振動モデルを用いれ
ば,応答計算が比較的容易に実施できる。
・
-M
[CJ:減衰係数マトリックス
M.={uS}T[MJ{
u
.
}:S次の換算質量
C.={Us}T[CJ{u.}:S次の換算減衰係数
h
s
*
: S次の減衰定数
ー 動 数
(i=1,
2
):地盤ー建物連成系の伝達関数か
帥
(
M
J:質量マトリッグス
{
u
.
}:S次のモードベクトル
制
なわち,半無限弾性地盤の S波速度を 100mjsとした場
一方
*
_ C.
一回立旦鮮
• -2M.
蒜王子 2M
,
山S
(ω
以上の方法により算定された振動モデルの諸定数を表
h,
*=J
些 二 型L
2
ω
o
仙東北大学工学部建設系建物
図 2
1 各強震観測地点の地盤性状
ω。:連成系の固有円振動数
価な振動モデルが作成される。
剖
-
) M
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1
9 解析に用いた強震記録(八戸港湾
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) TOKACH
卜O
K
IEq・
7
. 入力地震動の算定
本章では前章で算定された地盤一建物達成系の振動モ
デルを用いて応答解析を実施するための入力地震動を算
定することとし,まず両地震において観測された代表的
な強震記録を用いて,観測地点の地盤性状を考慮して基
盤(第三紀膚〉での地震動を算定する oすなわち, 1968年
十勝沖地震では八戸港湾強震記録 (N-S成分), 1978年
4
2
総 合 都 市 研 究 第1
7
号
表 8 解析に用いた地盤条件
卜¥ Vs
1
5
0
2 2
0
0
3 2
5
0
4 3
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0
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300
図
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2
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2
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H
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ーーーー B
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図2
3 ベキ関数型復元力特性
1
0
0
算定した。
・
…帥
Hi(f)=O(f) G
i(f)
1
2
H
z
図
2
2
ー (a) 地震動のフーリエスベクトル
(
19
6
8
年十勝沖地震〉
宮城県沖地震では東北大学工学部建設系建物 1Fでの強
9および図 2
0
)
震記録 (N-S成分〉の各強震記録(図 1
を用いることとした。これらの強震記録が観測された各
地点のボーリング柱状図を図2
1に示す。これに基づいて
地盤のそデル化を行い SH波の重複反射計算によって基
盤における地震動特性を算定した。図22に観測された強
震記録ならびに算定された基盤での地震動のフーリエス
ベクトルを示す。
一方,応答計算用の入力地震動を作成するにあたって
は,表層の地盤性状に関して RC 造建物の被害調査の
結果との対応を考慮して基盤までの深さ (
1
I
)および地
盤の S波速度 (V.)を表 8に示すようにパラメト Fッタ
に変化させて各地盤性状に対して,前述の基盤での地震
動のフーリエスベクトルから重複反射理論により地表面
における応答計算用の入力地震動を次式によって 2
6
通り
Z
i(
t
)=人
品 (f)・e"."
(fT T / 1"
i
(
27
t
乃t
J/'
df
…M
。(f):基盤における地震動のブ』リエスベ
クト pレ
Hi(f):i地盤における地表面での地震動の
フーリェスベクトル
G
i(f):i地盤における周波数伝達関数
Z
i(
t
) :i地盤の地表面における入力地震動
8
.応 答 計 算
第 6章において, Dy
n
a
m
i
c
a
lGroundCompliance理
論に基づく地盤一建物連成系の伝達関数を用いて,それ
と等価な振動特性をもっ質点系の振動モデルを地盤性状
を変化させた場合について作成した。まずこ,第 7章にお
いて,同様な各種の地援性状に対して応答計算用の入力
地震動を算定した。本章では,これらの結果を用いて地
震時の RC 造建物の震害について,地盤性状をバラメ、
トリックに変化させ,地継との連成効果を考慮した振動
モデルを用いて弾撃性の応答計算を実施し解析的な検討
望月他地盤との連成効果を考慮した
RC造建物の震害に関する研究
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(e)応答加速度 (
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年十勝沖地震)
図
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oI150 200 250 3
o
V5 (
m
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s
)
({)応答加速度 (
1
9
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8
年宮城県沖地震)
2
4 応答計算結果
総 合 都 市 研 究 第1
7
号
44
7
0
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D
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円:ふ-D 1
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図
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Vs(m/s)
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9
7
8
年宮城県沖地震
2
5 RC造建物の被害と応答計算結果の比較
を試みることとした。
弾塑性の応答計算を実施するにあたっては, RC造建
物振動モデルの各層に図 2
3に示されるベキ関数型の復元
力特性を仮定し降伏変位を 0.5cmに仮定して線型加
速度法によって応答計算を実施した。計算された応答値
については,両地震の各振動モデルともに 1層位置での
応答変位,応答速度ならびに応答加速度の最大値を地盤
性状ごとにプロットし図24に示す。
図より,十勝沖地震では各応答値ともに基盤までの深
さ 20m程度の地盤において比較的大きな応答債を示し
ている。また,宮城県沖地震では基盤までの深さ 30m
が程度で大きな応答値を示している。特に応答変位(1
層の層間変位〉では,基盤までの深さ 20m で地盤の S
波速度 250m/sの地盤条件で, また宮城県沖地震では
て,傾向は異なるがともに地盤性状に対応して応答値が
変化する傾向が認められた。そこで,両地震時の RC
造建物の被害の調査結果から地盤と被害との関係として
まとめられた,基盤までの深さと表層地盤の平均 S波速
度をバラメ}ターとした RC 造建物の被害率(図1
1
)
と前章で求められた応答解析結果を比較検討するため
に,両者の結果を重ね合せて図2
5に示す。応答解析結果戸
は,最大の応答変位値を示した基盤までの深さの場合の
結果を図中に示してある。すなわち,十勝沖地震では基
盤までの深さ 20m,宮城県沖地震では基盤までの深さ
30m の場合の応答計算結果を用いている。同図より,
十勝沖地震では地盤の S波速度 250m/sで RC造建物
の被害率と応答計算結果による最大応答変位がともに大
きい値を示しており,宮城県沖地震では地盤の S波速度
基盤までの深さ 30m で地盤の S 波速度 150~200m/s
150~200m/s に応答計算結果が大きな値を示している。
の地盤条件で応答値が最大値を示し,仮定された降伏変
位を大きく越えている。また,その他の応答速度ならび
に加速度の最大応答値も同様な傾向を示している。この
ことは,地盤性状,建物振動モデルの振動特性ならびに
入力地震動特性の相互関係によって,上述の条件のもと
において最大の応答値を示したものと考えられる。
一方,被害率では平均 S 波速度 250~300m/s に大きな
9
.結果および考察
地震時の RC 造建物の被害について,主に地盤と建
物の相互作用に着目して解析的な検討を実施した。そ
の結果十勝沖地震ならびに宮城県沖地にの両地ににおい
値が認められ両者の対応関係は,それ程よくないように
見受けられる。しかしながら建物被害程度の小破を含
めた被害率(ロ印)の平均 S波速度 300m/sの場合には,
対象となる建物が 2棟中 1棟の小破によって計算上の被
害率が 50%と高い値となっているが,母数が少なく被害
率の数値としての精度に問題があり,特に考慮、の対象外
と考え,かつまた,建物の被害程度の高い倒壊,大破な
らびに中破の建物に対する被害率の傾向(ム印およびO
印)に着目すれば,被害率の傾向と応答解析結果の傾向
は比較的よく対応しているものと思われる。
以上の結果から考察されることは,地震時の RC 造
4
5
望月他:地盤との連成効果を考慮した RC造建物の震害に関する研究
建物の被害に関して,種々の地盤条件で地盤一建物連成
効果を考慮した RC 造建物の振動モデルを用い,対応
らびに RC 造建物各々の構造特性の差異等に関する検
討が必要であると考えられ,今後の課題として研究を進
する入力地震動も変化させて応答解析を実施した結果,
めたく考えている。末筆ながら,本研究を実施するにあ
たり多大な労力を提供して頂いた沼尻靖久氏(現東京
詳細については更に検討の余地があるものの概略的な傾
向については,実際の RC 造建物の被害の傾向との対
ソイルリサーチ(株))に感謝致します。
応関係が比較的よく認められたものと考えられる。ま
た,このことは,上述のような条件のもとで入力地震動
の主要な波動の中に含まれる振動数成分が,地盤一建物
系成系の固有娠動数に近接していることによるものと考
えられる。
文献一覧
青山博之・松下和徳
1
9
7
1 r
十勝沖地震における鉄筋コンクロート造校舎
の耐震性について一被害建物と無被害建物の比
19
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年十勝沖地震調査研究論文集』
較検討 J W
1
0
.あとがき
本研究では, 1
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年十勝沖地震と 1
9
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年宮城県沖地震
時に被害を受けた RC造建物の被害について地盤との相
日本建築学会。
志賀敏男・高橋揮雄
1
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5 r
鉄筋コンクリート構造建物の壁率と震害(続
報)J W 日本建築学会東北支部研究報告集~ p
p
.
45~48o
関性を検討した結果,荷者にある程度の相関性が認めら
れた。そこで主に地盤と建物の達成効果を考慮した応答
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解析用の振動モデルを D
日本建築学会
理論に基づいて作成し,地盤性状に応じた入力地震動を
日本建築学会
算定して応答計算を実施した結果,実際の RC 造建物
の被害の傾向と比較的よい対応関係が認められた。
望月利男・宮野道雄・田村俊和
以下に本研究で得られた結果を簡単に要約する。
1)通常のボーリング資料から地盤の各土質別の S波
速度を推定する実験式を次式のごとく作成した。
Vs=a.Nb・D
c
その結果,比較的簡単にかつ精度よく S波速度を推定で
きることがわかった。
2)RC造建物の地震時被害について地盤性状との相
関性が認められた。すなわち,総プロによる地盤種区分
によれば,十勝沖地震では第 2種,第 3種地盤に宮城県
沖地震では第 1種,第 2種地盤に被害建物棟数が多く分
布し,両地震では多少その傾向が相違するが概ね第 2種
地盤程度に被害を受ける建物の比率が高い。一方,地盤
の周波数伝達関数のタイプ別による地盤分類に対しても
被害建物の棟数分布に対応性が見られ比較的卓越周波数
の高い硬質な地盤に被害率が高い。そして,基盤までの
深さと基盤までの地盤の平均 S波速度によって更に RC
造建物の被害を検討すると,地盤の平均 S波速度が 2
5
0
m/s 程度で基盤までの深さが 20~30 m 程度の地盤に被
害率が高くなる傾向が認められる。
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塑性応答計算を実施した結果, RC造建物の地震時被害
に関する傾向を比較的よく説明できることがわかった。
以上の結果を, RC造建物の地震時の被害を検討する
上での定性的な議論として一般化するためには更に,地
盤一建物連成系の振動特性と入力地震動特性との関係な
1
9
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19
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8
年十勝沖地震災害調査報告』
1
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19
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年宮城県沖地震災害調査報告』
1
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年十勝沖地震における鉄筋コングリート
造建物の被害と地盤の関係 J W
総合都市研究』
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望月利男・宮野道雄・沼尻靖人・山田隆夫
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『日本建築学会大会学術講演梗概集』
小期鐸二・南井良一郎・鈴木有
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弾性地盤上の構造物の勤特性について J W京
都大学防災研究所年報~ Vo
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l9
,pp.193~224o
小堀鐸二・南井良一郎・鈴木有・日下部皇室
1
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長方形基礎の D
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e(その1) 半無限弾性地盤の場合一 JW京
都大学防災研究所年報~ Vo
.
l1
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p
.283~314 。
石田勝彦・大沢幹
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地震動向時観測にもとずく地盤一建物系の伝
達特性ーその 1
. 異なる基礎形態 2例の場合」
『日本建築学会論文報告集W
,第 2
4
9号
, p
p
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4
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田治米辰雄・望月利男・松田磐余
1
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地盤と震害一地域防災研究からのアプロー
チ』損害庖。
太田裕・後藤典俊
1
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6 1S波速度を他の土質的諸指標から推定する試
み JW物理探鉱~,第29巻第 1 号, p
p
.31~41o
今井常夫
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S波測定値と他の物性量との関連 J W
地震波
の生成・伝播に関する実験~
p
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.77~84o
46
総 合 都 市 研 究 第1
7
号
INVESTIGATION O NT H E EARTHQUAKE DAMAGE
O F R C BUILDINGS B Y CONSIDERING T H E SOILSTRUCTURE INTERACTION
紳
, TakahisaEnomoto***,
ToshioMochizuki*,Iwareお1atsuda
Michio Miyano+ and Toshikazu Koizumi++
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