研究特集 錯体を用いた燃料電池触媒材料の開発 家庭用燃料電池コジェネレーション システム 家プロジェクトが開始された 1992 年 を進めており、エネファームの CO 被 当時から蓄積してきた多くの技術やノ 毒軽減に貢献する新しい錯体系触媒技 天然ガス・LP ガスを燃料として家 ウハウをベースに、電極内で積極的に 術の開発を目指しています。 庭で電力と温水を供給する家庭用燃 CO を酸化除去できる新しい電極触媒 料電池コジェネレーションシステム の開発に取り組んでいます。 (エネファーム)は、高効率なエネル ダイレクト燃料電池用触媒への展開 耐 CO 燃料極触媒に類似の錯体触媒 錯体系 CO 酸化触媒の開発と燃料極 触媒への応用 の中には CO 以外にも糖類・アルコー ています。その大部分は 100 ℃以下の 産総研では、これまでの研究でポ (誘導体)などを効率的に酸化できるも 低温で作動する固体高分子形燃料電池 ルフィリン環にロジウム原子が取り込 のも見つかっています。液体燃料を改 (PEFC)であり、起動停止が容易など まれた、種々のロジウムポルフィリン 質することなく直接発電できるダイレ の優れた特徴をもっています。PEFC (Rh-Por)錯体(図1)が優れた CO 酸化 クト燃料電池はシステムの大幅な簡素 では天然ガスなどの燃料を直接利用で 触媒能をもっていることを見いだして 化が可能ですが、燃料極触媒での反応 きないため、改質器と呼ばれる触媒反 います。Rh-Por 錯体をカーボン担体表 効率が低い点が課題の一つです。錯体 応器により、水素を主成分とする「改 面に分散担持した触媒は貴金属量もと 触媒は貴金属あたりの活性がとても高 質ガス」に転換後に PEFC に供給され ても少なく(0.7 質量%以下) 、これまで く、原理的に金属を有効に利用し得る ます。PEFC の燃料極触媒(白金系)は の触媒に比べて低い電位領域で CO を 点がこれまでの固体触媒にはない特徴 改質ガスの副生成物である一酸化炭 酸化除去できます。この Rh-Por 触媒を です。ダイレクト燃料電池用触媒とし 素(CO)による被毒を受けやすいため、 既存の白金系(Pt-Ru)触媒と複合化す ての十分な性能を得るために、これら 改質ガス中の CO 濃度は極めて低いレ ることにより、白金系触媒の CO 被毒 の触媒の構造改良や省貴金属化にも取 ベルにコントロールされていますが、 が軽減され、高濃度の CO を含む水素 り組んでいます。 今後のシステムのコストダウンや簡素 ガスを効率よく酸化できる耐 CO 燃料 化に向けより高濃度の CO を許容でき 極触媒を開発しました(図 2) 。この耐 る燃料極触媒が求められています。 CO 燃料極触媒は、現在コンソーシア ユビキタスエネルギー研究部門 次世代燃料電池研究グループ ム型 NEDO プロジェクトで性能の改良 山﨑 眞一 ギー変換装置として 2009 年から市販さ れ、これまでに 40,000 台以上が稼働し 関西センターでは、PEFC 開発の国 150 ル・ボロハイドライド・ヒドラジン やまざき しんいち CO(2%)/H CO(2 %)/H 2 2 雰囲気 Rh-Por 錯体溶液 Rh-Por Pt-Ru/C 触媒 CO+H22O O CO+H CO CO 22 Rh-Rh-Por 錯体 CO22 CO+H CO+H22O O 電流( I / μAµA) in 0.1 0.1 M in M HClO HClO4 (60 (60oC) ℃) 100 100 Rh/ Rh-Por Pt-Ru/C 複合触媒 Pt-Ru/C 耐 CO 被毒性 向上 50 50 Pt-Ru/C 0 0 0.1 0 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Pt-Ru ナノ粒子 Pt-Ru カーボン担体 図 1 Rh-Por Pt-Ru/C 複合触媒 4 産 総 研 TODAY 2014-02 E / V vs. RHE 可逆水素電極) (vs.RHE: 電位(V) 図 2 Rh-Por Pt-Ru/C 複合触媒の 2 % CO/H2 酸化活性 このページの記事に関する問い合わせ:臨海副都心センター このページの記事に関する問い合わせ:ユビキタスエネルギー研究部門 http://unit.aist.go.jp/waterfront/ http://unit.aist.go.jp/ubiqen/
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