Polyfile2014年7月号掲載記事

注目のフィルム評価技術
松尾産業㈱
テストコーターを活用したフィルム素材の開発
1.はじめに
有力なツールとして,
機能性フィルムは我々の身近なところで使われている。
既に 1,000 台以上が日
レトルト食品・冷凍食品・お菓子などの包装用フィルム,
本国内でも民間企業,
反射防止,偏光,配光位相差等,フラットパネル用の光学
大学,公的機関で採用
フィルム,タッチパネルで使われている導電フィルム,屋
されている。
外で使用される農業用耐候性フィルム,太陽電池用封止
均一膜塗布の方法は
フィルム,メディカルフィルムなど。これらは,素材フィ
目 的 に 応 じ て, バ ー
ルム単体ではなく,素材フィルムに,表面処理を加え,コー
コーター,フィルムア
ティングや印刷,ラミネート(貼り合わせ)加工などで機
能を付与されて作られている。
写真2 フレキシプルーフ 100UV
(F100UV)
プリケーター,グラビ
ア印刷,グラビアオフ
ユーザーの材料への要求精度は年々向上しており,各企
セット印刷,フレキソ
業は研究開発に注力している。各企業は,光学特性,電気
印刷を選べる。
的特性,耐熱性,ガスバリア性,耐薬品性,耐指紋・防汚
上記の枚葉式テスト
性,意匠性などの機能を高めた製品を開発し上市すること
コーターは小型卓上
によって収益の維持・拡大を図っている。
式 で あ る が, よ り 生
産機に近い輪転式の
2.フィルム開発とテストコーター(枚葉式)
VCML が 新 た に 発 売
研究開発の現場においては,材料の選定や配合の決定の
された。この
“VCML”
ためフィルムに均一な機能膜を塗布する作業が必要とな
は,前モデル“ロータ
る。また,開発スピードをあげるためには少量の材料で素
早く安定した塗布膜を作ることが重要である。数μm ∼数
写真3 ロータリーコーター (ROKO)
リーコーター”と同様
に輪転式の多目的コン
百μm
(wet)の塗布膜を作製できる英国 RK プリントコー
バーティング機械であ
トインスツルメント社(RK 社)のテストコーターはその
り,コンパクトで場所をとらない。また,取扱いがより簡
単になり精度も向上している。
3.輪転式テストコーター VCML の概要
VCML はロール to ロール式の応用自在なコンバーティ
ング機である。このコンパクトな装置は,小規模生産用/
パイロット塗工用/研究開発用のツールとして使用でき
る。現実的で精密にコントロールされた条件のもと,材料
の配合,工法や,サブストレートの選定ができる。製造機
を止めての試験と違って,生産のシミュレーションを材料
ロスもなく,段取り時間も短く,手軽に行うことができる。
写真1 K303 マルチコーター(K303)
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Polyfile 2014.7
機械は,基本的にプラグインプレイ(エア,電気,排気
― 機能性フィルムを実現する材料技術 ―
等の接続をすればすぐ
サイズ(制御盤内臓式)
使える仕様)となって
2.5m(L)× 1 m(W)
× 1.8m(H)
いるので設置も非常に
ラインスピード 1 − 100m/min
楽である。
ウェブ幅 300 mm(max)
操作はカラータッチ
パネルにて行う。ヘッ
4.今後の展開
ドを交換し印刷/塗工
2013 年 12 月に RK 社はイギリスにこの VCML のデモ
方式を選択する。
機を設置しデモを行っている。
コンバーター/コーティング材料メーカ/フィルムメー
写真4 輪転式テストコーター VCML
カなどの開発用に手軽なロール to ロールの多目的コン
バーティング機械として販売を行っていく予定である。
5.その他の情報
グラビア
リバースグラビア
グラビアオフセット
英国 RK 社は,1962 年に設立した印刷試験機・テストコー
ターの専業メーカである。当社の印刷試験機器は世界中の
企業の研究所や大学・公的研究機関で採用されている。日
本においては,松尾産業が日本総代理店として 40 年以上
ロータリースクリーン
キス
メーターバー
の販売活動を展開している。新横浜ショールームでは担当
者が,随時 K303(写真1)や F100UV(写真2)など枚
葉式印刷試験機を使い,サンプル持込みデモの対応をして
いる。
フレキソ
2ロールニップフェッド ナイフオーバーロール
リバースロール
併せて,ヒートサイクルをかけて連続的に物性評価がで
きる“樹脂硬化収縮率応力測定装置”,UV 樹脂の硬化状態
を確認できる“UV 硬化センサー”
,
“省エネ,環境に優し
い UV 照射装置”
,
“UV-LED 照射パネル”もショールーム
2ロール圧力
グラビアまたはフレキソ
サイズプレス
に常設し立会いデモを行っている。
(執筆:リーセントテクノディビジョン 片田行彦)
ホットメルト−押し出しまたはグラビア
ラミネーティング
図 VCML 印刷/コーティング技術
■お問い合わせ先
松尾産業株式会社 リーセントテクノディビジョン
東京支店
・ 印刷はグラビア,グラビアオフセット,フレキソ,ロー
〒 222-0033 横浜市港北区新横浜 2-3-8 タリースクリーン。 KDX 新横浜ビル 7F
・塗工は,グラビア,リバースグラビア,メータバー,
TEL 045-471-3963 FAX 045-471-4950
ダイ, リバースロール,ナイフオーバーロール,エ
大阪本社
アナイフ,ホットメルトコート他
〒 541-0053 大阪市中央区本町 3-5-7 御堂筋本町ビル 5F
・ラミネート(ウェットまたはドライ)も行うことが TEL 06-6261-1225 FAX 06-6261-1102
できる。
E-mail [email protected]
乾燥・硬化方式は 熱風乾燥/ IR / UV 硬化を選択する
URL http://www.matsuo-sangyo.co.jp
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