糖尿病治療、内服薬について

糖尿病治療
内服薬
2型糖尿病の病態
インスリン抵抗性
増大
インスリン
分泌能低下
インスリン作用不足
高血糖
食後高血糖
空腹時高血糖
経口血糖降下薬の選択
インスリン抵抗性
改善系
種
類
主な作用
ビグアナイド薬
肝臓での糖新生の抑制
チアゾリジン薬
骨格筋・肝臓でのインスリン感受性の改善
インスリン分泌
促進系
スルホニル尿素薬
インスリン分泌促進
食後高血糖改善系
DPP-4阻害薬
血糖依存性のインスリン分泌促進と
グルカゴン分泌抑制
速効型インスリン
分泌促進薬
より速やかなインスリン分泌の促進・
食後高血糖の改善
α-グルコシダーゼ
阻害薬
炭水化物の吸収遅延・食後高血糖の改善
①スルホニル尿素剤(SU剤)
膵臓からのインスリンの分泌を促進して、血糖を下げます。
この種類の薬は膵β細胞(インスリンを分泌する細胞)にあるSU受容体に長時間結合して
インスリンの分泌を促進します。
ジェネリック薬あり
②速効型インスリン分泌促進薬
膵臓から速やかにインスリンを分泌させて、食後の血糖値が上がるのを抑えます。この薬は
SU剤と同じように膵β細胞のSU受容体に作用してインスリンの分泌を促進します。
商品名(含有量)
成分名
スターシス (90 ㎎・30 ㎎)
ナテグリニド
ファスティック (90mg・30 ㎎)
グルファスト (10 ㎎・5 ㎎)
ミチグリニド
シュアポスト (0.25 ㎎・0.5mg)
レパグリニド
③ビグアナイド剤(BG剤)
筋肉での糖の利用を高め、肝臓での糖質の分解を抑えて、血糖を下げる薬です。
この種類の薬は、
①肝臓で糖が作られる(糖新生)のを抑える
②筋肉中への糖分の取り込みを促進する
③脂肪組織での糖の利用を促進するなどの作用により血糖を下げます
脂肪肝からの肝臓癌を抑制する抗腫瘍効果の報告があります。
商品名(含有量)
成分名
メデット(250 ㎎)
メトホルミン
メトグルコ(250 ㎎・500mg)
④インスリン抵抗改善薬
(チアゾリジン)
インスリンの効果をあげて血糖を下げます。(インスリンの抵抗性を改善します)
インスリン抵抗性とは、膵臓からインスリンが十分出ているにも関わらず、その効果が現れない状
態を言います。つまりインスリンが効きにくい状態のことです。
ジェネリック薬あり
⑤食後過血糖改善薬
(α-グルコシダーゼ阻害剤)
小腸での糖質の吸収を遅らせて、食後の血糖値が上がるのを抑える薬です。
ご飯などの炭水化物は唾液や膵液に含まれるα-アミラーゼという酵素により分解されて二糖類(糖が
2つ連なった形)となって、小腸へ運ばれます。2糖類のままでは腸管から吸収できないので、小腸で
単糖類に分解されます。この薬は二糖類から単糖類に分解するα-グルコシダーゼという酵素の働きを
抑え、糖質の吸収を遅らせることで血糖の上昇を抑える薬です。小腸全体を使って糖分はほとんど吸
収されます。
ジェネリック薬あり
(セイブルはなし)
⑥インクレチン関連薬
(選択性DPP-4阻害薬)
GLP-1(小腸のL細胞から分泌されるホルモン)を分解するDPP-4を阻害し、その濃度を上昇さ
せることによって、膵β細胞からインスリンの分泌を促すと同時に、血糖を上げる作用のあるグル
カゴンの分泌を抑えます。低血糖時にはその作用が弱まり、低血糖が起こりづらい特徴があります。
商品名(含有量)
ジャヌビア (50 ㎎)
成分名
シタグリプチン
エクア (50 ㎎) 1 日 2 回
ビルダグリプチン
ネシーナ (25 ㎎)
アログリプチン
トラゼンタ (5 ㎎)
リナグリプチン
テネリア (20 ㎎)
テネリグリプチン
スイニー (100 ㎎) 1 日 2 回
アナグリプチン
オングリザ (5mg)
サキサグリプチン
糖尿病性神経障害に使用する薬
商品名
成分名・効果
メチコバール 1 日 3 回
ビタミン B12
キネダック 1 日 3 回食前
アルドース還元酵素阻害薬
メキシチール 1 日 3 回
しびれ・痛みに効果
リリカ 1 日 2 回
神経性疼痛を緩和
サインバルタ 1 日 1 回
糖尿病神経障害に伴う疼痛
⑦SGLT2阻害薬
近位尿細管での糖の再吸収を抑制することによって、血糖降下作用を示します。
商品名(含有量)
スーグラ(50mg)
フォシーガ(5mg)
ルセフィー
アプルウェイ
デベルザ
成分名
イプラグリフロジン 4/17発売
タパグリフロジン
ルセオグリフロジン
トホグリフロジン
カナグリフロジン
エンパグリフロジン
今後の糖尿病薬
∗ GRP40作動薬・・・GRP40は、膵β細胞に発現している。
SU剤との違いは、血糖依存性に作用が減弱し、低血糖
が起きづらいところ。
∗ GK活性化薬・・・解糖系の律速酵素であるグルコキナーゼ
を活性化する。血糖値を下げ、体重を落とす作用がある。
∗ アディポロン(AdipoRon)・・・脂肪細胞から分泌されるホ
ルモンである“アディポネクチン”の作用する受容体に
働き脂肪を燃焼させたり、血糖値を下げたりする。