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過酢酸系除菌剤*
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平成_`年b月d日本血液浄化技術学会l札幌開催q
r各過酢酸系洗浄剤u検討xy発表資料
発表施設:熊本中央病院*透析室*臨床工学技士
橋口誠一8石上洸8山下真理子8田島陽介
前田哲也8小川円8西本浩司
【各過酢酸系洗浄剤の検討】
熊本中央病院 透析室
臨床工学技士
橋口 誠一
石上 洸
山下 真理子
田島 陽介
前田 哲也
小川 円
西本 幸司
【目的】
当院は、過酢酸系洗浄剤であるディアロックスを16年間使用し、
その、クオリティは透析液清浄化を大きく支えてきた。
しかし、近年の過酢酸系洗浄剤は、種類も多くLowコストで
ありながら高い洗浄・殺菌作用を有し、ディアロックスより優れ
ている可能性がある。
そこで我々は、IN vitro によりディアロックスを含む7社10種
類の過酢酸系洗浄剤の抗菌作用、除錆作用、安全性、コスト等
を比較しディアロックスに替わる洗浄・殺菌剤を検討した。
【過酢酸系洗浄剤】
ディア
ロックス
S-Z
PA-ネ
オプラ
ス
メーカー
エアーガシ
ス・ジャパ
ン
東和コーポレーション
滞留推奨
希釈倍率
50
150
150
100
100
50
pH(希釈
後)
2.5
3.4
3.2
3.2
3.5
150
150~170
70~120
メーカー推奨
希釈倍率
ミンケア
ステラ
ケア
ヘモク
リーン
クリ
ネード
プレ
モーブ
BC
ガンブロ
東レ
メディツー
ル
100
50
100
100
3.0
3.3
2.1
3.1
2.4
100~120
35~70
75~150
サナサ
イド-NX
佐々木
化学
サナサ
イド-EP
サナイ
サドKG
アムテック
過酢酸濃
度
(希釈後)
80
100
300
99
120
140
175
300
200
200
過酸化水
素濃度
(希釈後)
1200
400
1466
590
600
1200
1500
1200
500
590
酢酸濃度
(希釈後)
900
1066
600
1050
1400
1800
750
3200
2800
2000
2剤洗浄
推奨
△
○
○
○
○
○
○
×
×
○
有機酸化
合物
無機過酸
キレート剤
無機過酸
無機過酸
非イオン界
面活性剤
キレート剤
130611
130731
130305
131015
10214
130719
添加剤
Lot
希釈用水
1303
P13G15
712987
日本局法 注射用水 大塚蒸留水 Lot 3J78N
HC911F3
017
【方法】
期待する効果
【抗菌作用】
【除錆作用】
安全性
【薬液残留性】
総合評価
【コストを含めた総合評価】
【方法】
1)洗浄殺菌剤に統一された抗菌作用の判定基準は無い。
そこで、抗菌剤の薬剤感受性テストに用いられる「ディスク法」を代替法とした。
ディスク法は、抗菌剤感受性定性試験で、その判定にはCLSI法が用いられる。
しかし、殺菌洗浄剤には判定基準は無い為、阻止円の有・無と、その大きさを比較した。
2)対象菌は院内分離株であるMRSA、腸球菌、真菌、緑膿菌、カーボンフィルタ通過水より分離した
Sphingomonas pautimobilis(GNR)の5菌種を対象菌にした。
対象菌に院内分離株を用いたのは、同菌種であっても菌株によっては抗菌スペクトルが違う、
ローカルアンチバイオグラムを考慮した。
3)菌数はマックファーランド0.5 1.5×108CFU/mlの濃度でミューラーヒュントン寒天培地に塗布させ約37度、
48時間培養した。
カーボンフィルタ通過水から分離したSphingomonas pautimobilisはR2A培地を用いて、22度、7週間培
養した。
4)ろ紙ディスクは抗生物質検定用φ 13mmを乾熱滅菌し各洗浄剤0.2cc浸透させ、菌塗布直後の培地中
央に静置した。
Φ13mm
阻止円径
【阻止円径】
S.pauti
mobilis
ミンケア
ヘモクリーン
(+)
(+)
enterococ
cus
(+)
(+)
MRSA
(+)
(+)
C.albica
ns
(+)
P.aeru
ginosa
(+)
(+)
サナサイド-KG
サナサイド-EP
S.pautimo
bilis
プレモーブBC
クリネード
(+)
(+)
enterococ
cus
(+)
(+)
ステラケア
(+)
ディアロックス
S-Z
ミューラーヒュントン平板培地
Lot 3X020
R2A培地
Lot 3276354
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
MRSA
C.albica
ns
(+)
(+)
(+)
PA-ネオプラス
阻止円径(mm)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+)
(+):阻止円有
(+):阻止円有
80
70
60
50
40
30
20
10
0
P.aeru
ginosa
S.pautimobilis
Enterococcus
MRSA
C.albicans
P.aeruginosa
ミンケア
ヘモクリーン
サナサイド-KG ディアロックスS-Z サナサイド-EP プレモーブ
BC
クリネード
ステラケア
PAネオプラス
【阻止円径(抗菌性)と過酢酸系洗浄剤3組成の関連性】
過酢酸濃度(ppm)
過酸化水素濃度(ppm)
80
60
40
S.pautimobilis
enterococcus
MRSA
C.albicans
P.aeruginosa
20
0
S.pautimobilis
enterococcus
MRSA
C.albicans
P.aeruginosa
2000
80
1500
60
1000
40
200
500
20
100
0
0
60
40
20
0
S.pautimobilis
enterococcus
MRSA
C.albicans
P.aeruginosa
300
0
Ph
酢酸濃度(ppm)
80
400
pH
0
4000
80
3000
60
2000
40
1000
20
3
0
4
0
S.pautimobilis
enterococcus
MRSA
C.albicans
P.aeruginosa
1
2
【除錆作用】
未使用ブランク(SUS304)
錆びたブランク(SUS304)
【除錆スコア】
10
1)SUS304のテストピースを、次亜塩素酸Naにより全面腐食させ、希釈した各過酢酸系洗浄
に浸漬させ、3時間、6時間、12時間で未使用ブランクと比較した。
2)評価は、目視により10段階で行い未使用ブランクに近いほど高い評価を付けた。
希釈用水:日本局法 注射用水 大塚蒸留水 Lot 3J78N
ステラケア
プレモーブBC
サナサイド-NX
サナサイド-KG
ヘモクリーン
ミンケア
8
ディアロックスSZ
6
4
2
サナサイドEP
0
3時間後
6時間後
【浸漬時間】
12時間後
【安全性】
【残留過酸化水素濃度】
【ppm】
ミンケア
ヘモクリーン
サナサイドKG
サナサイドNX
クリネード
ディアロックス
サナサイドEP
PAネオプラス
ステラケア
0.8
0.6
0.4
0.2
個人用コンソール
NIKKISO社製DBG-03
0
後洗浄開始8分後
共立理化学研究所
デジタルパックテストにより測定
後洗浄開始12分後
【残留過酸化水素濃度と過酸化水素濃度の関連性】
8分間水洗残留過酸化水素濃度(ppm)
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
過酸化水素濃度(ppm)
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
(推奨希釈倍率)
【総合評価】
抗
菌
作
用
10
コ
ス
ト
コスト:希釈時の原液価格
ディアロックス
抗
菌
作
用
PAネオプラス
プレモーブ
ステラケア
サナサイドNX
10
8
8
6
6
4
4
2
2
0
0
除
錆
作
用
コ
ス
ト
ディアロックス
クリネード
ミンケア
サナサイド-EP
ヘモクリーン
サナサイド-KG
除
錆
作
用
【考察】
1)抗菌作用は過酸化水素・過酢酸濃度が高いほど阻止円径が大きい傾向にあり、
濃度依存傾向であった。
2)除錆作用は、サナサイド-NX、プレモーブBC、ヘモクリーンに早い除錆作用がみられ、酢酸濃度・
キレート剤によるものと考えられた。
3)全洗浄剤において水洗後の過酸化水素濃度の残留濃度は、12分の後洗浄で未検出で
あった。
しかし、8分の後洗浄では過酸化水素濃度が高いほど残留濃度を確認した。
4) Lowコストの洗浄殺菌剤では、プレモーブBCのバランスが良かった。
5)vitroの結果が必ずしも、vivoと同様では無いが、ディアロックスの結果は両者のブレイクポイント
と判断して良いと思われた。
【結論】
ディアロックスは全ての面で優れた作用を発揮しバランスの取れた洗浄殺菌剤であるこ
とが確認できた。
代替品としては、Lowコストながらも期待する効果が高いプレモーブBC(Medi tool)と考
えられた。