廃棄物焼却残渣溶融時のセシウムおよびストロンチウムの挙動に関する

第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
C6-8
平成26年9月16日
廃棄物焼却残渣溶融時のセシウムおよび
ストロンチウムの挙動に関する研究
京都大学
○青木洋志、大下和徹、福谷哲、塩田憲司、藤森崇、高岡昌輝
背景と目的
結果・考察② 安定性と放射性の比較
都市ごみ模擬灰
CsCl
SrCl2
指定廃棄物の減容化・安定化が急務
スラグへの核種分配率(%)
100
福島第一原発事故によるCsやSrなどの放射性核種の放出
その他 9%
指定廃棄物(8,000Bq/kg)
:14.6万トン発生
指定廃棄物の大半が焼
却灰
溶融による焼却灰の
減容化・安定化の必要性
農林業系副産物
6%
下水汚泥
(焼却灰含む)
9%
浄水発生土
(上水) 4%
焼却灰(一般)
70%
焼却灰(産廃)
2%
環境省:2014年6月
実験方法
スラグ中のCs、Sr 飛灰中のCs、Sr
アルミナ管
フロート式
流量計
ガラスウール
15℃/分
0
高純度空気
O2:21% N2:79%
模擬灰組成
管状炉
120分
0
なし
基本模擬灰
SiO2
Al2O3
CaO
MgO
Fe2O3
P2O5
Cs
Sr
50.0
30.0
20.0
-
58.9
15.8
18.5
2.10
4.70
-
31.2
16.3
12.5
2.20
9.50
28.3
0.16(外比)
0.16(外比)
0.16(外比)
0.16(外比)
0.16(外比)
0.16(外比)
都市ごみ模擬灰 下水汚泥模擬灰
NaCl Al2(SO4)3
なし
NaCl Al2(SO4)3
添加剤の影響なし
ほぼ全量がスラグに分配
スラグに固定・安定化
して処分できる
結論
積算流量計 ポンプ
5%硝酸
組成(%)
分析方法
Cs濃度に応じた処理が可能
安定性核種
Cs:添加剤により傾向が変化
Sr:添加剤によらずスラグに固定
酸分解 → ICP-MS
放射性核種
金槌で破砕
→ Ge半導体検出器
NaCl添加
Cs
① Csが高濃度(基準値を大きく超過)の飛灰
CsClの形態をとると考えられる[2]
→NaCl添加で飛灰にCsを濃縮
→飛灰のみを指定廃棄物として処分
スラグは通常処分、指定廃棄物の処分量減少
23
100
基本模擬灰
都市ごみ模擬灰
下水汚泥模擬灰
Cs
Sr
Al2(SO4)3添加
Cs
②
② Csが低濃度(基準値に近い濃度)の飛灰
Cs
スラグ中にCsを留めても基準値を下回る
→ Al2(SO4)3 添加で飛灰中Cs量減少
スラグ中のCsを安定化、スラグは通常処分
飛灰のみ指定廃棄物、処分量減少
60
③ 主灰
Sr
Al2(SO4)3添加
③
Cs
CsCl以外の形態をとると考えられる[3]
40
→ Al2(SO4)3の効果が期待できる
→ Al2(SO4)3 添加でスラグにCsを固定
20
Cs
指定廃棄物の減容化・安定化
0
①
→ Csをスラグに留めるAl2(SO4)3の効果が小さい
結果・考察① 添加剤の影響
安定性Cs(Cs-133)
Cs2CO3
スラグへの核種分配率(%)
20
CsClの形態ではAl2(SO4)3
添加でも25%程度
三方バルブ
添加剤(NaCl、Al2(SO4)3):外比で5%
80
40
全体的にスラグへの分配率低下
時間(分)
アルミナボート
CsClで添加
スラグへの
分配率
添加剤の影響は
Cs2CO3の形態と同様
1500
温度センサ
60
放射性
(Cs-134)
(Sr-85)
安定性と放射性は同様の挙動
試験条件
温度(℃)
実験装置
80
安定性
(Cs-133)
(Sr-88)
なし
NaCl
→CsCl(沸点:1290℃ [1])の形態で揮発
ただし、下水汚泥模擬灰では大きな変化なし(Fe2O3、P2O5の影響?)
Al2(SO4)3:70~80%に増加
→Cs2(SO4)3(融点:1010℃ [1])が生成し塩化揮発を抑制
謝辞・参考文献
今後の課題
Al2(SO4)3
NaCl:10%程度に減少
Sr
下水汚泥模擬灰では添加剤の影響が小さい
→灰組成の影響に関する調査が必要
Fe2O3? P2O5?
→Csをスラグ中に固定する他の添加剤の可能性
CsClをスラグ中に固定する他の添加剤の調査
CsやSrのスラグからの溶出率の調査が必要
本研究の一部は、環境省環境研究総合推進費(3K122106)「焼却・溶融処理を用いた放射能汚染土壌・廃棄物の放射能分離・減容・固定化技術の確立」
(研究代表者:京都大学・米田稔)、同推進費(3K143009)「放射性CsおよびSrで汚染された廃棄物の熱処理を中心とした最終処分技術に関する研究」
(研究代表者:京都大学・米田稔)によって実施されました。ここに記して謝意を表します。
[1] William M. Haynes, ed., CRC Handbook of Chemistry and Physics, 93rd Edition
[3] 環境省:放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分、pp32-47
[2] 渡邉優香ら:都市ごみ焼却残渣中セシウムの存在形態の同定、Spring-8 利用成果集 2012B1862