News Release 報道関係各位 2014 年 6 月 10 日 低酸素活性化プロドラッグ TH-302 局所進行切除不能または転移性膵がん患者を対象とした 第 III 相国際共同治験 国内の組み入れ開始 • 低酸素活性化プロドラッグTH-302を用いてグローバルで計660名の患者を組み入れ予定 • 2014年4月に日本人の最初の症例が組み入れられ、症例エントリーが進行中 メルクセローノ株式会社(本社:東京都目黒区、以下メルクセローノ社)は、治療歴のない 局所進行切除不能、または転移性の膵がん患者を対象に、低酸素活性化プロドラッグTH-302 をゲムシタビンと併用する場合の有効性と安全性を評価する第III相国際共同治験(MAESTRO 試験)において、2014年4月に国内における最初の症例が組み入れられたことを報告いたしま す。 本試験は、2012年2月に、メルクセローノを医薬品部門としてグループに有するメルク(本 社:ドイツ・ダルムシュタット市)とThreshold Pharmaceuticals Inc.(以下Threshold)の間 で締結された、TH-302の共同開発及びメルクによる全世界的販売(Thresholdは米国において 共同販売のオプションを有する)に関する契約に基づいて行われています。 本試験(MAESTRO試験)は治療歴のない局所進行切除不能または転移性の膵がん患者を対 象に、TH-302+ゲムシタビンとプラセボ+ゲムシタビンを比較する国際的な多施設共同無作 為化二重盲検プラセボ対照の第III相試験で、2013年1月より開始されました。MAESTROとは、 対象疾患であるMetastAtic or unrESectable pancreaTic adenocaRcinOma(転移性または切除 不能膵臓腺がん)を表しています。 本試験は、660名の患者を組み入れる予定で、有効性の主要評価項目は全生存期間とし、副次 的評価項目には安全性と忍容性の評価・薬物動態・バイオマーカーをはじめ、無増悪生存期 間(PFS)に基づく有効性・全奏効率・病勢コントロール率が含まれます。試験の詳細は www.clinicaltrials.gov (MAESTRO [NCT01746979]) に掲載されています。 メルクセローノ株式会社研究開発統括本部長兼北東アジアハブ・サイトヘッド 桂幸一は、次 のように述べています。「MAESTRO試験は、メルクセローノ株式会社が日本において長期 的な成長を遂げるために戦略的に重要な国際共同治験であり、同試験の順調な進行は、当社 の腫瘍領域における継続したコミットメントを表明するものです。一方、当社は東京を北東 アジアにおける研究開発の拠点(北東アジアハブ)と位置付けており、このハブの機能を通 1/3 じて、日本人を含むアジア人に特有の腫瘍疾患に対する薬剤の研究開発をリードし、本地域 におけるアンメットメディカルニーズを満たし、患者さんのより良い生活のために貢献して いきたいと考えております。」 本試験は膵がん患者を対象とした、TH-302のランダム化対照フェーズIIb試験の結果を受けて 開始されました。欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2012)においてフェーズIIb試験の最新の結果が 発表され、ゲムシタビン投与に340mg/m2のTH-302を追加した患者において、疾患進行また は死亡(PFS)リスクが41%減少しPFSの有意な改善(P=0.008)が確認されました。つまり、 ゲムシタビン投与に340mg/m2のTH-302を追加した患者において、PFSの中央値が2.4ヶ月延 長されたことになります。12か月の全生存率についても、340mg/m2のTH-302投与群が対照 群と比較し優れていました(38%対26%(P=0.13)。最も多く認められた有害事象は、疲 労・悪心・末梢性浮腫でしたが、治療群間で差はありませんでした。主にグレード1および2 の皮膚・粘膜毒性及び骨髄抑制は、TH-302関連の有害事象の中で最も多く出現しましたが、 治療中止の増加には繋がりませんでした。重篤な有害事象をはじめ、試験治療の中止に至る 有害事象については、全治療群間で差がありませんでした。重度(グレード3または4)の骨 髄抑制は、ゲムシタビン単剤投与群に比較し多く認められました。他のすべての重篤な有害 事象は概して10%未満でした1。 全世界で膵がんと診断される患者数は、毎年およそ277,000人で、全てのがんの2.2%を占め ています。膵がんは欧州で8番目に多いがんであり、米国では11番目に多く発生しています2。 全世界の膵がんによる死亡者数は、毎年およそ266,000人と推定されています2。 日本では膵がんによる死亡者はおよそ28,000人で全てのがんの7%(男性)および9%(女性)を占 めています4。膵がん症例のほぼ67%は65歳以上の患者で、40歳未満では稀です3。 膵がんは病期に関わらず生存率が低く、ほぼ95%の患者が5年以内に死亡しています3。延命 に寄与する治療法の開発が望まれています。 参照: 1. 2. 3. Borad M, et al. Annals Oncol 2012;23(Supplement 9):ix27 Ferlay J, et al. Int J Cancer 2010;127(12):2893-917. http://seer.cancer.gov/statfacts/html/pancreas.html (Accessed: November 2012) 4. 日本臨床腫瘍学会、新臨床腫瘍学改訂第3版: 423 TH-302について: TH-302は腫瘍内低酸素を標的とするプロドラッグであり、多くのがんで顕著に認められる腫 瘍組織内の重度の低酸素状態(ハイポキシア)下で活性化するよう設計されています。固形 がんにおける低酸素領域は、異常な脈管構造が招く血流低下により生じます。同様に、造血 器腫瘍患者の骨髄においても重度の低酸素状態を認める場合があります。 2/3 News Release TH-302は現在2つの第III相試験において評価中であり、本MAESTRO試験のほかに、軟部肉腫 (STS)の患者を対象にドキソルビンとの併用投与とドキソルビン単剤投与を比較する試験 です。以上のように、TH-302は固形がんおよび造血器腫瘍においてその有用性が検討されて います。 Merck Serono( (メルクセローノ) メルクセローノ)について メルクセローノは Merck(メルク)のバイオ医薬品部門です。ドイツ・ダルムシュタットに本拠を置き、世界 150 カ国にお いて、がん、多発性硬化症、内分泌・代謝疾患及び循環器疾患の治療に用いられる先進的な医薬品を提供していま す。合衆国及びカナダにおいては、EMD Serono がメルクセローノ子会社として事業を展開しています。 メルクセローノは、化学及び生物由来のスペシャリティ領域における医療用医薬品の研究開発、製造及び販売を行っ ています。重点領域である腫瘍領域、免疫腫瘍領域、免疫領域および神経領域における最新の治療法の提供に注力 しています。 メルクセローノの詳細については、www.merckserono.com.をご覧ください。 Merck(メルク)は、医薬・化学品分野において、最高水準の品質と高度な技術に基づく革新的な製品を提供するリー ディングカンパニーです。メルクセローノ、コンシューマヘルス、パフォーマンスマテリアルズ、メルクミリポアの 4 事業 部を有し、2013 年の総売上高は約 111 億ユーロとなっています。世界 66 カ国におけるグループ従業員約 38,000 名が、患者さんの QOL の向上や顧客企業の支援、地球的規模の課題の解決に向け取り組んでいます。 メルクは世界で最も歴史の古い医薬・化学品会社です。1668年以来、革新性、事業の成功及び責任ある企業家精神 を標榜しています。メルクの創業家は全体の約70%の株式を保有し、今日にいたるまで株式の過半数を所有し続けて おります。EMDとして事業を行っているカナダ及び合衆国を除き、ドイツ・ダルムシュタットのメルクはMerckの名称及 びブランドのグローバルな権利を有しています。 メルクセローノ株式会社 メルクセローノ株式会社について 株式会社について メルクセローノ株式会社は、ドイツ、ダルムシュタットに本社を置くメルク(Merck)のバイオ医薬品事業部門の日本法 人で、2007年10月1日に発足し、がん及び不妊治療領域を重点領域としています。 メルクセローノ株式会社の詳細については www.merckserono.co.jpをご覧ください。 以上 3/3
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