平成26年度 研究成果発表会 平成 26 年度 研究成果発表会 放射線イメージングデバイスの開発 ○ 櫻 井 昇 *1)、 永 川 栄 泰 *1)、 河 原 大 吾 *1) 眞 正 浄 光 *2)、 福 士 政 広 *2)、 小 倉 泉 *2)、 齋 藤 秀 敏 *2) 1. 目 的 ・ 背 景 近年、治療効果の高い放射線治療法(高精度放射線治療)が、がん重点施設によって実 施されているが、放射線治療装置は、高エネルギー放射線を利用するため、機械的に複雑 で精密に作られており、機器管理や治療計画の検証には細心の注意が必要である。現在、 放射線を照射する技術が進む一方で、この治療効果の高い放射線治療を安全に行うための システムは十分でなく、早急に対策を講じることが必要である。本研究では、熱ルミネセ ン ス 現 象 ( Thermoluminescence) を 利 用 し た 新 し い 測 定 シ ス テ ム の 開 発 を 行 っ た 。 2. 研 究 内 容 線量の測定素子として、ファントム自体が線量計となる 熱ルミネセンス素子(組織等価ファントム熱ルミネセンス 線量計)を用いた。軽量セラミック板に熱蛍光物質を塗布 し た 板 状 の 熱 ル ミ ネ セ ン ス 素 子 ( TL 板 ) を 開 発 し 、 TL 板 を 重 ね た も の を フ ァ ン ト ム 兼 線 量 計 と し ( 図 1)、 3 次 元 線 量分布測定システムの構築を行った。 放 射 線 照 射 後 の TL 板 は 、 ヒ ー タ ー で 加 熱 す る こ と で そ の 照 射 量 に 応 じ た 発 光 を し 、CCD カ メ ラ で 撮 像 し た 発 光 画 像 か ら 、 TL 板 上 2 次 元 の 線 量 分 布 が 得 ら れ る ( 図 2)。 各 TL 板 を 加 熱・測 定 し て 得 ら れ た そ れ ぞ れ の 2 次 元 の 線 量 分 布を解析ソフトウェアで再構成することにより、3 次元の 線量分布が得ることができた。 測 定 の 効 率 化 を 目 的 に 、 TL 板 の 加 熱 及 び 発 光 の 撮 像 を 自 動 化 す る 機 構 、 ま た TL 試 料 を 連 続 し て 測 定 可 能 と す る 試料搬送交換機構の検討を行った。 こ れ ら を も と に TL 板 試 料 の 加 熱 測 定 、 試 料 の 搬 送 交 換 等、照射後のファントム線量計の 3 次元線量分布の測定を 自 動 で 行 う 装 置 の 試 作 を 行 っ た ( 図 3)。 図 1. 図 2. ファントム線量計 解析した線量分布 3. 今 後 の 展 開 今後、都内中小企業と共同で、試作した自動測定装置を 用いた病院等における実際の医療現場での治療計画検証装 置としての実証試験を行い、製品化・事業化を進める予定 である。 謝辞 本研究は、東京都の「都市課題解決のための技術戦略プロ グラム」の支援により実施された。 図 3. 試作した自動測定装置 *1)バ イ オ 応 用 技 術 グ ル ー プ 、 *2)首 都 大 学 東 京 H23.4~ H26.3 放 射 線 イ メ ー ジ ン グ デ バ イ ス の 開 発 | 111 |
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