[日本語翻訳版]Heads Up Volume21, Issue25

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2014 年 10 月 14 日
第 21 巻 第 25 号
注:本資料は Deloitte & Touche LLP が作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。
この日本語版については有限責任監査法人トーマツにお問合せください。
この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版ニュースレターの補助的な
ものです。あくまで英語版が(正)となります旨、ご了承下さい。
Heads Up
目次:
•
はじめに
•
背景
•
ASU 提案の主要規定
債務を純額表示しよう
起債コストの表示の簡素化
マシュー・ローリー( Mathew Lorie )及びマグナス・オレル( Magnus Orrel )(デロイト &トウ
シュ LLP)
はじめに
1
2014 年 10 月 14 日、FASB は ASU 提案 を発行した。これは、財務諸表における起債
コストの表示を変更するものである。当該提案では、事業体は、当該コストを貸借対照
表上、債務割引の会計上の取り扱いと整合した方法で、債務負債からの直接控除項目
として表示することになる。起債コストの償却は、利息費用として報告されることになる。
当該提案に対するコメント期限は、2014 年 12 月 15 日である。
当 Heads Up は、ASU 提案の背景を提供し、その主要規定を説明するものである。
背景
資産としての起債コス
トの表示は、米国会計
基準における債務割
FASB による起債コストの表示に関するプロジェクトは、範囲が狭く、かつ早期に作成可
能なガイダンスに対する限定的な変更を含むプロジェクトに焦点を当てる、審議会による
簡素化への取り組みの一環である。2014 年 6 月に立ち上げられた簡素化への取り組み
は、関連財務諸表情報の有用性を保持又は強化する一方で、コスト及び現行米国会計
基準の複雑性を減少させることが意図されている。
2
現在、ASC 835-30-45-3 は、事業体が、起債コストを貸借対照表上、繰延費用(すなわ
ち資産)として報告することを要求している。
引及び割増の表示と
編集者注:資産としての起債コストの表示は、米国会計基準における債務割引及び割
増の表示と整合しておらず、また、IFRS とコンフリクトが生じている。それによれば、起
債に直接起因する取引コストは、財務上の負債の当初帳簿価額に対する調整として取
り扱われる。それはまた、資本発行コストを資本募集の総収入の減算項目として取り扱
うとする、SEC スタッフの見解にも反している。さらに、起債コストの米国会計基準にお
3
ける現行の取り扱いは、FASB 概念書第 6 号 と整合していない。それは、「起債コスト
は、債 務 割 引 (これは将 来 の経 済 的 便 益 を提 供 しない)がそうではないのと同 じ理 由
で、資 産 ではない。起 債コストは、実 際に借 入の収 入 を減 少 させ、実 効 金 利を上 昇 さ
せ、したがって、債務割引と同一の会計処理がなされる可能性がある。
整合しておらず、また、
IFRS とコンフリクトが生
じている。
やむむたたたう言葉の意味、規則
1
2
3
FASB Proposed Accounting Standards Update, Simplifying the Presentation of Debt Issuance Cost.
FASB 会計基準編纂書 リファレンスのタイトルについては、デロイトの「FASB 会計基準編纂書 におけるトピック
及びサブトピックのタイトル」を参照のこと
FASB Concepts Statement No. 6, Elements of Financial Statements.
ASU 提案の主要規定
当提案では、ASC 835-30 の起債コストに関するガイダンスは、以下のよう解釈するよう
改訂されることになる。:
•
「発行コストは、貸借対照表上、社債の額面金額からの直接控除として
報告されるべきである。当該・・・・発行コストは、繰延費用として分類さ
れるべきではない。」
•
「発行コストは、利息費用として報告されなければならない。」
FASB は未だ、提案改訂の発効日、及び事業体がそれらを早期適用することが認めら
れるか否かを議論していない。事業体は、新規ガイダンスを過去の全期間に対して、遡
及的に適用することになる。
当提案によれば、事業体は、次のことを要求される。「事業体の採用日後の最初の年次
期間において、及び最初の年次期間内の期中期間において、以下を開示する。
1.
会計原則の変更の性質及び理由
2.
移行方法
3.
遡及的に調整された過去の期間の情報の説明
4.
財務諸表表示項目に対する変更の影響。」
改訂提案は、起債コストに係る認識及び測定ガイダンスには影響を与えないことになる。
例えば、転換社債発行のコストは、ASC 470-20-30-13 に従い、有利な転換特質を表象
する組込転換オプションの本源的価値の計算に影響を与えない。したがって、事業体は
未だ、債務割引とは別個に起債コストを追跡する必要がある可能性がある。
改訂提案は、起債コス
トに係る認識及び測定
ガイダンスには影響を
与えないことになる。
以下の設例は、事業体が、ASU 提案ガイダンスの採用前と採用後の起債コストの記帳
方法を例証するものである。
説例
2015 年 1 月 1 日、事業体は、額面金額 10,000,000 ドルの負債性証券を投資家に発
行した。同日、事業体には、投資家以外の当事者に対し、50,000 ドルの増分及び直接
発行費用が発生し、これを支払う。負債性証券は、5 年後(2020 年 12 月 31 日)に満
期を迎える。ASU 提案ガイダンス採用前に、事業体は、以下のように 2015 年 1 月 1 に
起債コスト 50,000 ドルを記帳することになる。
仕訳 1
現金
10,000,000
債務―長期
10,000,000
2015 年 1 月 1 日に社債 10,000,000 ドルを記帳する。
仕訳 2
繰延発行コスト(資産)
50,000
現金
50,000
ASU 提案ガイダンス採用後、事業体は、2015 年 1 月 1 日の債務発行コスト 50,000
ドルを以下のように記帳することになる。
仕訳
現金
9,950,000
債務―長期
9,950,000
2015 年 1 月 1 日に社債 9,950,000 ドル*を記帳する。
* 9,950,000 ドルは、社債金額 10,000,000 から未償却起債コスト 50,000 を控除す
ることにより算定される。
2
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