氏 名(本 学 位 籍) はや さか しん 早 坂 真 竺 の 種 類 博 学 位 記 番 号 医 学 位授与 年 月 日 平 学位 授与 の条件 学 位 規 則 第4条 研 究 科 専 攻 東北大学大学 院医学系研究科 士(医 博 学) 第2603号 成20年3月25日 第1項 該 当 (博士課程)医 科学専 攻 学 位 論 文 題 目 不 妊 症 例 を用 い た ヒ ト受 精 系 に お け る精 子 一卵 子 細 胞 膜 融 合 に関 す る機 能 的 蛋 白,IZUMOの 発現 の検 証 (主 論 文 審 査 委 員 査) 教授 岡 村 州 博 教授 笹 野 公 伸 一401一 教授 荒 井 陽 論 近 年,体 文 内 容 要 旨 外 受 精(clVF:conventionalinvitrofertilization),卵 Intracytoplasmicsperminjection)に technology)は 年20∼30%台 細 胞 質 内精 子 注 入 法(ICSI: 代 表 さ れ る 生 殖 補 助 技 術(ART:assistedreproductive 格 段 の 進 歩 を 遂 げ て い る。 しか しな が らcIVF,ICSI共 と満 足 す べ き も の に な って い な い 。ARTの 成 功 率 を 上 げ る た め に は,未 分 も 多 い 受 精 現 象 の メ カ ニ ズ ム の 解 明 が 必 須 で あ る。 最 近,精 え ら れ るIZUMOと い う蛋 白 が 同 定 さ れ た。IZUMOは に 成 功 率 は,こ は 正 常 で あ る が 雄 は 不 妊 で,そ そ こ で 本 研 究 で は ヒ トに お い て,正 射 精 直 後 の精 子 膜表 面 に は 存在 せ ず 先体 ノ ッ ク ア ウ ト した マ ウ ス で の 精 子 は 卵 子 細 胞 膜 と融 合 す る 能 力 を 完 全 に欠 失 して い た 。 常 妊 孕 能 を 持 つ 男 性 の 精 子 と 比 べ て,臨 応 と な っ た 重 症 男 性 不 妊 症 例 の 精 子,及 IZUMOの 解 明 な部 子 と 卵 子 細 胞 膜 の 融 合 に必 須 と考 反 応 後 の 精 子 に お い て は じめ て 先 体 内 膜 表 面 に 露 出 す る。IZUMOを は,雌 こ10数 びclVFに 床 的 にICSIの 適 お い て 受 精 障 害 とな った不 妊 症 例 の 精 子 の 発 現 に 変 化 が あ る か 検 証 した 。 本 研 究 に は,同 意 の 得 ら れ た 妊 孕 能 を確 認 さ れ て い る 健 康 な 男 性 の 射 出 精 子,臨 の 適 応 と な っ た 男 性 不 妊 症 例13例 で あ っ た 受 精 障 害 症 例12例 の 射 出 精 子(凍 浄,遠 お い て 受 精 率=0% 心 し,培 養 して先 体 反 光 顕 微 鏡 に て 観 察 し精 子 先 体 内 膜 表 面 上 のIZUMO 体 反 応 後 精 子 を 同 定 す る マ ー一カ ー と して,IZUMO同 後 に 精 子 先 体 内 膜 上 に 出 現 す る こ と が わ か っ て い るCD46を た 精 子 の う ち,CD46陽 含 む),clVFに の 射 出 精 子 を 用 い た 。 精 子 を 液 化,洗 応 を 誘 起 さ せ 免 疫 蛍 光 染 色 を 行 っ た 後,蛍 の 発 現 を 検 討 し た 。 な お,先 結 精 子2例 床 的 にICSI 様 に先 体 反応 同 時 に 蛍 光 免 疫 染 色 した。 観 察 し 性 と考 え ら れ る 先 体 反 応 後 精 子 の 中 で,IZUMOが 陽 性 で あ る も の,陰 性 で あ る もの を そ れ ぞ れ カ ウ ン トした。 妊 孕 能 を 確 認 さ れ て い る射 出 精 子 で は,観 精 子(精 子 数170,先 臨 床 的 にICSIの 体 反 応 率32.7%)は 察 さ れ た 精 子 数570の 全 てIZUMO陽 適 応 と な っ た 重 症 男 性 不 妊 症 例13例 媒 精 さ れ た 平 均 卵 子 数8.92個 検 討 に お い て も,観 の 射 出 精 子(凍 203,先 体 反 応 率50%)は,妊 う ちCD46陽 孕 能 確 認 例 同様 全 てIZUMO陽 発 現 が 確 認 され た。 結 精 子2例 性 で あ りIZUMOの に つ い て 受 精 率=0%で 察 さ れ た 平 均 精 子 数403の 性 の先 体 反 応 後 性 で あ りIZUMOの て の 先 体 反 応 後 精 子 に お い て 妊 孕 能 確 認 例 同 様 にIZUMO陽 れ た 。clVFで う ちCD46陽 含 む)で は,全 発現 が確認 さ あ っ た 受 精 障 害 症 例12例 性 の 先 体 反 応 後 精 子(平 性 で あ りIZUMOの の 均精子数 発 現 が確 認 さ れ た。 本 研 究 に よ り,臨 床 的 にICSIの 適 応 と さ れ た,著 し い 精 子 濃度,運 の 卵 子 細 胞 膜 と の 融 合 能 は 正 常 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ れ は,単 子 運 動 率 の 低 下,IZUMOの 発 現,他 動 率 の 低 下 を認 め る精 子 一 の フ ァ ク タ ー,例 え ば精 の 受 精 過 程 に 必 須 と考 え ら れ る フ ァ ク タ ー な ど の 情 報 か ら・ 一402一 生 殖 治 療 に お け るARTの 受 精 障 害 症 例12例 計 画 を た て る こ と の 困 難 さ を 示 唆 して い る も の と考 え ら れ た 。 ま た, の 中 に は,蛋 か っ た 。IZUMOが 白 質 レ ベ ル の 解 析 でIZUMO陰 欠 如 して い る 男 性 はICSI以 え ら れ る た め,ICSIが 可 能 性 が 考 え られ,そ 性 と考 え られ る症 例 は存 在 しな 外 の 方 法 で は 子 孫 を 残 す こ と が 困 難 で あ る と考 生 殖 医 療 に 取 り入 れ ら れ て い な か っ た 約15年 前 で は子 孫 を 残 せ な か った の 存 在 が 非 常 に 稀 で あ り今 回 の 検 体 数 で は 検 出 で き な か っ た 可 能 性 が 考 え られ た 。 一403一 審 査 結 果 IZUMOは の 要 旨 精 子 と卵 子 細 胞 膜 の融 合 に必 須 と考 え られ る最 近 同定 され た 蛋 白で あ る。IZUMO は 射 精 直 後 の 精 子 膜 表 面 に は存 在 せ ず 先体 反 応 後 の 精 子 に お い て は じめ て 先体 内膜 表 面 に露 出 す る。IZUMOを ノ ッ クア ウ トした マ ウ スで は雌 は正 常 で あ るが 雄 は不 妊 で,そ の 精 子 は卵 子 細 胞 膜 と融 合 す る能 力 を 完 全 に欠 失 して いた。 筆 者 は ヒ トに お い て,正 常 妊孕 能 を持 つ 男 性 の 精 子 と比 べ て,臨 床 的 に顕 微 授 精 の適 応 と な っ た 重 症 男 性 不 妊 症 例 の精 子,及 び体 外 受 精 に お い て受 精 障 害 とな った 不 妊症 例 の 精 子 のIZUMO の発 現 に変 化 が あ るか検 証 した。 本 研 究 で は,同 意 の得 られ た妊 孕 能 を確認 され て い る健 康 な 男 性 の射 出精 子,臨 床 的 に顕 微 授 精 の 適 応 とな った男 性 不 妊 症 例13例 の 射 出精 子,体 外 受 精 に お い て受 精 率=0%で あ った 受 精 障 害 症 例12例 の射 出 精 子 を用 い,精 子 先 体 反 応 を 誘 起 後 に免 疫 蛍 光 染 色 を行 った 後,蛍 光 顕 微 鏡 に て 観 察 し精 子 先 体 内膜 表 面 上 のIZUMOの す る マ ー カ ー と して,IZUMO同 るCD46を 発 現 を 検 討 した。 な お,先 体 反 応 後 精 子 を 同 定 様 に先体 反 応 後 に精 子 先 体 内膜 上 に出現 す る こ とが わ か って い 同 時 に蛍 光免 疫 染 色 した。 観 察 した精 子 の うち,CD46陽 る精 子 の 中 でIZUMOが 性 で先 体 反 応 後 と考 え られ 陽 性 で あ る もの,陰 性 で あ る もの を そ れ ぞ れ カ ウ ン トした。 妊 孕 能 を確 認 され て い る射 出 精 子 で は,観 察 さ れ た 精 子 の う ちCD46陽 (精 子 数170,先 体 反 応 率32.7%)は 全 てIZUMO陽 性 で あ りIZUMOの 性 の先体反 応後精子 発現 が 確 認 され た 。 臨 床 的 に顕 微 授 精 の 適 応 と な った 重 症 男 性 不 妊 症 例13例 の 射 出 精 子 で は,全 て の 先 体 反 応 後 精 子 に お い て 妊 孕 能確 認 例 同 様 にIZUMO陽 性 で あ りIZUMOの 精 され た平 均 卵 子 数8.92個 につ い て 受精 率=0%で 発 現 が確 認 され た。 体 外 受 精 で 媒 あ っ た受 精 障害 症 例12例 の 検 討 に お い て も, 観 察 され た 精 子 の うちCD46陽 性 の 先 体反 応 後 精 子(平 均 精 子 数203,先 孕 能 確 認 例 同 様 全 てIZUMO陽 性 で あ りIZUMOの 体 反 応 率50%)は,妊 発 現 が 確 認 され た 。 本 研 究 に よ り,臨 床 的 に顕 微 授 精 の適応 と され た著 しい精 子 濃 度,運 動 率 の低 下 を認 め る精 子 の卵 子 細 胞 膜 との融 合 能 は正 常 で あ る こ とが示 唆 され た。 これ は,単 一 の フ ァ ク ター,例 え ば 精 子 運 動 率 の低 下,IZUMOの 発現 他 の受 精 過 程 に必 須 と考 え られ る フ ァク タ ー な どの情 報 か ら 生 殖 治 療 の 計 画 を た て る こ との 困難 さを示 唆 して い る もの と考 え られ た 。 また,受 精 障 害 症 例12 例 の 中 に は 蛋 白質 レベ ル の 解 析 でIZUMO陰 性 と考 え られ る症 例 は存 在 しな か った 。IZUMO が 欠 如 して い る男 性 は顕 微 授 精 以 外 の方 法 で は子 孫 を 残 す こ とが 困難 で あ る と考 え られ るた め, 顕 微 授 精 が生 殖 医 療 に取 り入 れ られ て いな か った 約15年 前 で は子 孫 を 残 せ な か った 可 能 性 が考 え られ,そ の 存 在 が 非 常 に稀 で あ り今 回の検 体 数 で は検 出 で き な か った 可能 性 が 考 え られ た。 よ っ て,本 論 文 は博 士(医 学)の 学 位 論文 と して合 格 と認 め る。 一404一
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