WALD NEWS LETTER

http://wald-inc.jp/
[email protected]
第 48 号
発行:株式会社ヴァルト 平成 27 年 1 月 5 日
WALD NEWS LETTER
しまった次世代省エネ基準の普及率さえも、まだ全新築住宅の半分
謹賀新年
程度。 エコポイントの導入によって、断熱リフォームに対する関心
謹んで初春のお喜びを申し上げます。
皆様には幸多きお年でありますよう
心からお祈り申し上げます。
めかもしれません。
平成 27 年元旦
株式会社ヴァルト 代表取締役 小野 治
スタッフ一同
は高まったものの、本格的な工事にはかなりの予算が必要となるた
簡単にはリフォームできない外皮の断熱と、数年から数十年で効
率の良い最新機器への取り換えが可能な省エネ設備。その両方に配
慮して生まれたのが新しい省エネ基準です。
次に新築住宅における過去の省エネ水準毎の戸数の実績と推測
を参考に掲載します。
(単位%)
100
2020 年
新築住宅の省エネ基準適合率の推移
(1999年[ 平成11年 ]基準)
住宅エコポイント効果により2011
年度上半期には約5~6割に上昇
90
80
省エネ基準が義務化へ
2010年4月より省エネ措置
の届出対称を拡大
70
60
エネルギー対策や地球温暖化対策に対する取り組みとして、省
50
エネルギーや再生可能エネルギーの活用はますます強く求められ
30
20
ています。このような状況において家庭用エネルギーの消費量は、
10
※ 2010年度までは住宅の断熱水準別戸数分布調査による推計値、2011年度
0
は住宅エコポイント発行個数による推計値(暫定値)
設備機器使用の増加、ライフスタイルの変化などの要因によって
逆に増加傾向にあります。
43
2006年4月より省エネ措置
の届出を義務付け
40
7
9
2001
2002
3
1999
2000
5~6割
12
15
15
15
16
18
2003
2004
2005
2006
2007
2008
28
2009
2010
2011
※ 2010年度までは住宅の断熱水準別戸数分布調査による推計値
2011年度は住宅エコポイント発行個数による推計値(暫定値)
国土交通省資料
住宅の省エネルギー化の目標は、居住水準を向上させつつ、同
時に一世帯当たりのエネルギー消費量の伸びを抑え、さらにエネ
ルギー消費の削減に向けて努力を継続することです。
■ 世界的な住宅のエネルギー消費量は
住宅全体で消費されるエネルギーのうち約4分の1は暖冷房エ
世帯当たりエネルギー消費量(GJ/世帯・年)
ネルギーで占められますが、これを削減するためには効率の良い
暖房
暖冷房設備を設置すると共に、住宅の断熱性能や気密性能の向上
給湯
調理
照明・家電
アメリカ
(2005)
40
20
イギリス
(2007)
41
18
による断熱性能等の向上は必ずしも容易でないため、新築段階に
フランス
(2007)
44
おいて一定以上の断熱性能を確保することは、中長期的な観点か
ドイツ
(2007)
43
が不可欠です。
住宅は一度建築されると長期にわたって使用され、リフォーム
らも大変重要になります。このような断熱性能等の優れた住宅で
は結露防止や部屋の温度ムラが小さくなるなど居住環境の向上も
日本(2008) 10
0
期待できます。
15
20
30
2
7 4 10
7 2 10
3
15
40
照明・家電・その他
14
8
冷房
99
75
64
61
1 44
60
80
100
120
行政も具体的な動きを見せており、2020 年度までに全ての新
日本の世帯当たりのエネルギー消費量を欧米と比べてみると、暖
築建物に対して、省エネ住宅適合基準を義務づけられることに
房エネルギーはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツのわずか1/4。
なっています。大規模な建築物については 2016 年から、中規
これは、日本の気候が北米やヨーロッパに比べて温暖だからだけ
模建築物は 2018 年から、戸建て住宅については 2020 年から。
ではありません。もともと全館24時間暖房が当たり前の欧米に比べ
これまで他の先進国の省エネ基準に遅れをとっていた日本の省
て、日本では個別暖房(局所間欠暖房)の文化があったためです。 エネ政策も一気に動き出したように感じます。
一方、暖房以外のエネルギー消費量を見ると、給湯、照明、家電は、
省エネ先進国といわれるドイツと比べて1.5倍から2倍。矛盾した結
■ 国内海外の省エネ基準の比較と省エネレベル実績
果のようにも見えます。
ヨーロッパの国々に比べて、南北に長い国土を持つ日本では、北
寒暖差の大きな日本の住宅では、ヒートショックによると思われる
海道から沖縄まで、気候風土、住宅構造、ライフスタイルも多種多
死亡が多いとされていますが、データでは最も寒さの厳しい北海道
様。 省エネ先進国と単純に比べるのは意味がないとはいえ、住宅の
より、東北地方や甲信越北陸の方が多いといいます。なぜなら北海
断熱化は大きく遅れています。
道は、住宅の断熱や暖房設備に重気がおかれていることが要因のよ
すでに施行から10年以上経ち、欧米に比べて低い基準値となって
うです。
Tel.026-268-4355 Fax.026-221-2678
1
News Letter Vol.48
採光や通風を考えると窓はなるべく大きく取りたいもの。しかし
省エネ性能向上の鍵
断熱と気密とパッシブデザイン
窓を大きくすると、冬は熱が逃げやすく夏は冷房が効きにくいという
矛盾が起こります。そこで必要なのが窓そのものの断熱性能です。
コストをかけて高気密・高断熱にする価値はあるのか、という
それにはサッシのガラスを日射侵入率の小さいものにしたり、ガラ
疑問もありますが世界的な情勢から、先進国から率先してしなけ
スの間に空気の層を設けた複層ガラスにしたりして、熱の出入りを
ればならない状況です。そして国民としてはなるべくそうしてい
減らすことが大切です。また、サッシの枠についても熱の伝わりや
きたいところでもあります。また先にふれたように、高気密高断
すい金属製からプラスチックや木製にするという工夫も有効です。
熱化はメリットも確実にあり、家全体が快適に暮らせる空間にな
り、ランニングコストの削減になります。特に快適空間はご家族
の健康や精神状態にも直結し、長い間には計り知れない恩恵も期
待できます。
■ パッシブデザイン
窓から入る日射については、室内に取り込んで暖かさが欲しい冬
と、日陰にして日射を遮りたい夏では逆の働きをしますので、太陽
の昇る高さを考えていろいろな工夫が施されてきました。
■ 住宅の断熱化
例えば、落葉樹の庭木を植える。あるいは、夏は窓辺が日陰にな
● エネルギーロスの割合(地域区分:Ⅳ地域、平成4(1992)年基準の場合)
屋根9%
屋根6%
開口部
48%
換気5%
外壁13%
換気17% 開口部
71%
外壁19%
床2%
床10%
図4:▲冬の暖房時に熱が逃げ出す割合
図5:▲夏の冷房時に熱が入る割合
断熱化の基本は、次項の図のように住宅全体をすっぽりと包み込む
るように、冬は低い位置の太陽が部屋の中まで入るような庇の張り
出し長さにするといったことです。そしてこれらの工夫をパッシブデザ
インと呼ぶこともあります。
冷暖房と快適性
省エネルギー住宅の住まい方
■ 暖房器具
省エネルギー住宅は断熱性能が向上するために住宅から逃げる
ように断熱層を設けることです。なぜなら、図4、図5にあるように冬
熱も少なくなりますので、暖房器具は、従来よりも小さい器具を選ぶ
は室内の熱が外に逃げ、夏は外気の暑さや日射熱が室内に入ってく
ことができます。また、石油ストーブやファンヒーターなどを使うと、
るからです。断熱材を施工し、窓等の開口部には断熱性の高いサッ
部屋の換気量が増え、それにより熱損失も増えます。暖房器具は、
シ等を使用し、隙間風が入らないように気密性を高めることで室内
燃焼ガスを屋外に直接排出するタイプのものをお薦めします。
外の環境をきちんと隔てることがポイントとなります。
また熱源温度の高いものや送風の伴うものは、常時室内の空気を
拡販することになり、天井付近と床付近の温度差が生じ、常時かく
■ 断熱施工の種類
はんされることでハウスダストや気流が原因の不快感の懸念もあり
住宅の断熱工法は、実績の多いものには2つあります。壁の内部
ます。
等に断熱材を充填する「充填断熱工法」と、躯体の外側に断熱材
を張り付ける「外張り断熱工法」です。しかし、双方ともに欠点があ
るので、その欠点をカバーするために、複合断熱工法というものが
■ 理想的な運転方法
間欠運転か、連続運転かまた、温度設定のレベルについてです。
あります。この方法を弊社では標準としており現在建築中の住宅は
間欠運転と連続運転の間に、温度設定と時刻による設定温度を変
100%この工法で行っています。またスイス生まれのパヴァテックス
更する方法がありますが、現在のところではこれが最も合理的な運
(PAVATEX)気密断熱システムという気密・断熱システムを採用し
転方法でしょう。基本は高温にしすぎないこと具体的には20℃前後
ています。このシステムは施工精度を高め施工ムラが出にくいように
が平均的な目標と思われます。高温にしすぎないことで、エネルギー
設計されており、断熱材結合部の熱橋なども生じない高い施工精度
消費量を抑え、結露など建物の健康にも望ましく、人の健康に悪影
となっています。
響を与える可能性を低くすることができると考えられます。
充填断熱
(壁の中の柱と柱の間に断熱材を)
外張り断熱
(壁の外に断熱材を)
複合断熱
(充填断熱と外断熱を合体【付加断熱】
)
目で見る断熱性能
画像の情報量は絶大
断熱性能を目で見ることは通常できませんが、特殊なカメラを
使って物体の表面温度の分布を確認することができます。
■ 開口部の断熱性能
【サーモグラフィー画像について】
サッシの 仕様比較
アルミ枠+単板ガラス
W/㎡K
6.51
樹脂枠 + 復層ガラス
(空気層12mm)
LOW-E 2 . 33 国内寒冷地で一般的
樹脂枠 + 復層ガラス
(アルゴンガス層16mm)
LOW-E 1 . 1 Wald採用DAKOサッシ
樹脂枠 + 三層ガラス
(アルゴンガス層18mm)
4/18/4/18/4 LOW-E 0 . 8 Wald採用DAKOサッシ
画像毎に、画像内最高と最高の温度が数値で表示されています。
その間を紺色から白色まで均等に温度分布スケールがあり補助的
に均等にメモリと温度を示す数値がつけてあります。
最高・最低温度は撮影範囲内の温度が自動で設定されるので、画
像毎に温度と色は異なります。最高と最低温度が同じ画像の中で
2
〒 381-0022 長野市大豆島 5215-1 株式会社 ヴァルト
http://wald-inc.jp/
[email protected]
は同じ色であればほぼ同じ温度であるといえます。
画像中心部の温度が左上に表示されています。
将来を見据えた設計であれば、時が経ても必要な基本機能をしっか
り確保できるということが言えます。
標準装備のドイツサッシ
世界標準の断熱性
省エネ性と断熱性能を追求するだけなら、窓は数も面積も小さく
した方が良いでしょう。しかし人々のニーズは逆の方向のようで、良質
な室内環境を望む住まい手ほど、窓の数が多くて大きな窓のある開
放的な住まいを望まれることが多いようです。そんな要望に対し弊
社が標準仕様としているのがドイツサッシ、DAKO社のサッシです。
DAKO社のサッシは、ドイツローゼンハイムにある窓関連製品のテ
スト認証機関の認証を受けたプロファイルに基づき製作されていま
す。同機関はEU では認証機関として広く認知信頼されています。
PVCサッシシリーズ(樹脂サッシ)
樹脂サッシ DPQ-82
サッシ外枠 82mm
トリプルガラス
Low-E アルゴン
4m / 18m / 4m / 18m / 4m
外気温約-5℃。弊社設計施工の建物の外壁には柱又は断熱材の繋
Ug(W/m2K)≒0.5
ぎ目の熱漏れは見えていな状況です。
Uw(W/m2K)≒0.8
Uw 値はサイズ変化により、枠部
分とガラス部分の割合が変化する
ため、数値は微妙に変化します。
木製サッシシリーズ
木製サッシ DDF-92
サッシ外枠 92mm
サッシ枠
トリプルガラス
Low-E アルゴン
4m / 18m / 4m / 18m / 4m
Ug(W/m2K)≒0.5
Uw(W/m2K)≒0.8
カバーリング
トリプルシール(3ヶ所)
トリプルシール(3ヶ所)
内部スチールフレーム
アルミ防水キャップ
強化集成材(木製)
トリプルガラスサッシはオプションですが、複層ガラス・アルゴンガス
仕様のドイツサッシは、複合断熱システム・パネルヒーターと並び弊
社の主な標準仕様となっています。
上の画像では熱橋がしっかりと現れています。設計時断熱性能は発
ドイツサッシは、上の写真のように、複数の開閉方向があり使い分
揮できていない可能性があります。
けが可能です。
Tel.026-268-4355 Fax.026-221-2678
3
News Letter Vol.48
換気)、サッシ枠内部に断熱材を充填されているなどトリプルサッ
新春の催しオープンハウス
シの中でも高性能なものを使用、送風のない輻射熱暖房設備パネ
暖房体感見学会
川中島の弊社オープンハウスは 2009 年7月に完成して以来、
ルヒーター、太陽光発電 7.9kw など高い仕様となっています。
住宅完成見学会
期 日:平成 27 年 1 月 17・18 日(土 ・ 日)
時 間:10:00 〜 17:00
場 所:諏訪郡原村
当日現地連絡先:090-3143-6253 快適さのレベルを具体的な温度 ・ 湿度・エネルギー消費量を数値
で示すためにデータを収集し続けています。そのためご自身のこ
れから建築される住まいの室内環境に近い実際の環境を事前に体
なっています。弊社標準の断熱性能と暖房設備が作り出す快適温
600
600
600
750
750
▽最高高さ
Z4
10
3.0
▽軒高
Z3
2,350
熱環境を体験できるこの機会に是非お出かけ下さい。
▼ 平面図など
1,420
験して頂きながら、入居後必要なエネルギー量の予測もしやすく
▽2FL
Z2
Z1
800 105
2,850
オープンハウス暖房体感見学会
▽1FL
Z0
S OUT H
600
E AST
600
600
750
750
1,420
(クスリのアオキ向かい)
10
3.0
▽軒高
Z3
2,350
100mm
▽2FL
Z2
2,850
会場
140mm
750
▽最高高さ
Z4
Z1
800 105
場 所:長野市川中島 オープンハウス
川中島駅
期 日:平成 27 年 1 月 10・11 日
(土 ・ 日)
時 間:10:00 〜 17:00
クスリのアオキ
▽1FL
Z0
NOR T H
株式会社
ヴァルト
WE S T
〒381-0022 長野市大豆島5215-1 TEL 026-268-4355
ヴァルト設計室2級事務所 登録(長野) C第83191号
管理士 2級建築士登録 第13643号 小 野 治
2級建築士登録 第11879号 富 井 文 博
date
14.09.18
scale
1: 100
▼ アクセスマップ
project
title
name
鮎 川 邸 新築工事
14.06.01
sheet no.
立面図
見学会場
ふれあいセンター
もみの湯
Google Map 座標
35.971151, 138.258287
■ ヴァルト推奨のパネルヒーター
人にやさしく健康的な暖房のパネルヒーター、輻射ねつと極緩や
かな対流で部屋全体また家全体を暖め、壁天井床からの冷輻射を
最小に抑えることができます。
冷輻射を抑えることで、体感温度が限りなく室温に近づきます。
ファンによる送風のない静かな冷暖房。ヴァルトの家の良質な室
内環境実現には欠かせない設備です。
諏訪南IC
20
▼ 室内のようす
2020 年義務基準先取り展示場に
大豆島展示場がリニューアル
高断熱仕様
原村住宅完成見学会
原村の完成住宅見学会のお知らせです。このお宅も超高断熱仕
様のお宅で、2020 年基準義務化に向けた政府の推進事業に応募
今月から来月にかけ、大豆島展示場は大幅に模様替えが行われ、
3月には新しい展示場に生まれ変わります。
EU のパッシブハウスに近い高い気密・断熱仕様の超省エネ住
宅となります。
し採択を受けています。ネットゼロエネルギー対応済みの高い省
エネ性能を実現しているお宅です。
外壁の外張り断熱材には 100mm の PAVATEX 木質繊維断熱
材を使用するなど、寒冷地の厳しい省エネ基準をクリアーするた
めに弊社がこれまでに建築した住宅の中でも最高の高気密・高断
熱の仕様となっています。
その他、熱交換効率 90% のダクトレス換気システム(第一種
4
〒 381-0022 長野市大豆島 5215-1 株式会社 ヴァルト