Agilent B1505A パワーデバイス・アナライザ/ カーブトレーサ ステップ・バイ・ステップで学べる パワー MOSFET 測定ハンドブック ご注意 マニュアル・パーツ番号 © Agilent Technologies, Inc. 2012 B1505-97080 米国および国際著作権法の規定に基づき、 Agilent Technologies, Inc.による事前の 同意と書面による許可なしに、本書の内容 をいかなる手段でも (電子的記憶および読 み出し、他言語への翻訳を含む)複製する ことはできません。 版 2012年11月 Agilent Technologies 5301 Stevens Creek Blvd Santa Clara, CA 95051 USA 保証 本書に記載した説明は「現状のまま」で提 供されており、改訂版では断りなく変更さ れる場合があります。また、アジレント・ テクノロジー株式会社 (以下「アジレント」 という)は、法律の許す限りにおいて、本 書およびここに記載されているすべての情 報に関して、特定用途への適合性や市場商 品力の黙示的保証に限らず、一切の明示的 保証も黙示的保証もいたしません。アジレ ントは本書または本書に記載された情報の 適用、実行、使用に関連して生じるエラー、 間接的及び付随的損害について責任を負い ません。アジレントとユーザが別途に締結 した書面による契約の中で本書の情報に適 用される保証条件が、これらの条件と矛盾 する場合、別途契約の保証条件が優先され ます。 テクノロジー・ライセンス 本書に記載されたハードウエア及びソフト ウエア製品は、ライセンス契約条件に基づ き提供されるものであり、そのライセンス 契約条件の範囲でのみ使用し、または複製 することができます。 制限付き権利の説明 本ソフトウェアが米国政府の主契約者また は下請契約者によって使用される場合、本 ソフトウェアは、DFAR 252.227-7014 (1995年6月)に定められた“Commercial computer software”、またはFAR 2.101 (a)に定められた“commercial item”と (1987年6月) して、またはFAR 52.227-19 2 またはそれに相当する政府機関の規制また は契約条項に定められた“Restricted computer software”として提供され、ラ イセンスされます。本ソフトウェアの使用、 複製、または公開は、Agilent Technologiesの標準商用ライセンス条件 に従う必要があり、米国政府の国防総省以 外の機関に与えられる権利は、FAR 52.227-19(c) (1-2) (1987年6月)に定めら れたRestricted Rightsを超えることはあ りません。あらゆる技術データに関して米 国政府のユーザに与えられる権利は、FAR 52.227-14(1987年6月)またはDFAR 252.227-7015(b) (2) (1995年11月)に定め られたLimited Rightsを超えることはあり ません。 はじめに Agilent B1505Aパワーデバイス・アナライザ/カーブトレーサは、パワーデ バイスの測定と特性評価のための強力なツールです。 このパワー MOSFET測定ハンドブックは、パワー MOSFETの仕様を測定する 方法(表1のデータシートの代表的なパワー MOSFETパラメータを測定する方 法)について説明します。各テストに対して、パワー MOSFETへのケーブル接 続とテストのパラメータ設定を詳細に説明しています。ガイドに従ってテスト の設定と実施を簡単に行うことができます。 本書で取り扱う範囲 • 測定器からデバイス端子へのケーブル接続 • 測定パラメータのテスト・セットアップおよびデータの抽出方法 • B1505Aに搭載され、B1505Aのすべての制御を提供するEasyEXPERTソフ トウェアを使用した、テストの実行と解析 本書で紹介されている仕様をテストするために、カスタマイズされたアプリケー ション・テスト・ライブラリが作成されています。これらはAgilentのWebサイ トからダウンロードして、B1505Aにインポートして使用することができます。 また、これらにはアプリケーション・テスト・ライブラリとテスト定義が含まれ、 すぐに測定を開始できます。 パワーデバイスの測定には、デバイスと測定器の両方の専門知識が必要な場合 があります。 例えば、高電圧ブレークダウン・テストでは、異常なデバイス・ブレークダウ ンによるデバイスの損傷を防止するために、高電圧SMU (HVSMU)とパワー MOSFETのドレインの間に直列抵抗の接続が必要な場合があります。 もう1つの例として、大電流測定でデバイスの自己発熱を防ぐために必要なパル スド測定があります。パルスド測定では、時々パワー MOSFETの大きな浮遊容 量により、測定パルス信号の緩やかな上昇が発生し、測定結果に誤差が生じる ことがあります。 測定の基礎や測定のヒントについては、付録に記載されています。付録では、 幅広いアプリケーション情報とB1505Aのさらに詳細な情報により、トラブル シューティングをサポートしています。ここでは、本書で紹介する測定例に用 いられるさまざまなテスト手法と、それを使用する理由についての理解が得ら れます。測定のヒントを利用して、正しい手法を把握し、阻害要因を抑制する ことにより、B1505Aを使用したパワー MOSFETの特性評価のための時間を短 縮できます。 3 表1. パワー MOSFETの代表的なDCおよびキャパシタンス・パラメータと、B1505Aによる対応。 記号 単位 測定*1 B1505Aによる測定 B1505Aの測定可能範囲 V(BR)DSS V Id-Vd 可 −10000 V ∼ 10000 V (最小分解能200 μV) *2 VGSS V Ig-Vg 可 −200 V ∼ 200 V (最小分解能2 μV)*3 ID A Id-Vd 可 −2 A ∼ 2 A (最小分解能10 pA)*4 IDP、IDM A Id-Vd 可 −40 A ∼ 40 A (最小分解能10 pA)*4 超高電流ユニットにより 1500 Aまで対応可能 ドレイン-ソース間漏れ電流 IDSS A Id-Vd 可 −8 mA ∼ 8 mA (最小分解能10 fA、≦(1,500 V)*5 ゲート-ソース間漏れ電流 IGSS A Ig-Vg 可 −1 A ∼ 1 A (最小分解能10 fA)*3 VGS(th) VGS(off) V Id-Vg 可 −200 V ∼ 200 V (最小分解能2 μV)*3 |yfs| Gfs S Vd-Id@Vds 可 1 mS ∼ 1000 S*6 RDS(on) Ω Vd-Vg@Id 可 <100 μΩ*7 ダイオード順方向電圧 VSD V Is-Vs 可 −40 A ∼ 40 A (最小分解能10 pA)*4 逆方向ドレイン電流 ISD A Is-Vs 可 −40 A ∼ 40 A (最小分解能10 pA)*4 入力キャパシタンス Ciss pF C-V 可 <1 %、C<10 nF*8 出力キャパシタンス Coss pF C-V 可 <1 %、C<10 nF*8 逆伝達キャパシタンス Crss pF C-V 可 <1 %、C<10 nF*8 代表的なパワー MOSFETパラメータ ドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 ゲート-ソース間電圧 ドレイン電流(DC) ドレイン電流(パルス) ゲートのしきい値電圧、または カットオフ電圧 順方向伝送アドミタンス、または 順方向相互コンダクタンス 静的ドレイン-ソース間オンステート抵抗 注記: *1:パラメータの抽出に用いられる測定。 *2:HVSMU *3:HPSMU *4:2台のHCSMUを使用。デュアルHCSMUコンビネーション・アダプタが必要。 *5:最大4 mA、3,000 V *6:経験則(例:1 mA/1 V ∼ 1 A/1 mV) *7:経験則(例:1 mV/10 A) *8:最大DCバイアス3000 V、高電圧バイアス・ティー・アダプタ使用。 4 目次 第1章:B1505Aの概要 1-1. Agilent B1505Aパワーデバイス・アナライザ/カーブトレーサ 1-2. Agilent N1259Aパワーデバイス・フィクスチャ 1-3. EasyEXPERTソフトウェア ● アプリケーション・テスト ● クラシック・テスト ● トレーサ・テスト 第2章:測定の準備 2-1. B1505Aを使用する前に 2-2. 測定例で使用する測定器とアクセサリ 2-3. 測定例で使用するデバイス 2-4. B1505AとN1259Aテスト・フィクスチャ間のケーブル接続 2-5. B1505Aの起動 第3章:パワー MOSFETの仕様の測定 3-1. Id-Vgs測定グループ: N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 3-1-1 Id-Vgs測定 3-1-2 Vth、Vgs(off)ゲートのしきい値電圧またはカットオフ電圧の測定 3-1-3 RDS(on)静的ドレイン-ソース間オンステート抵抗の測定 3-1-4 |yfs|、Gfs順方向伝送アドミタンスまたは順方向相互コンダクタンスの 測定 3-1-5 IGSSゲート-ソース間漏れ電流の測定 3-1-6 VGSSゲート-ソース間電圧の測定 3-2. Id-Vds測定グループ1:大電流 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 3-2-1 Id-Vds測定 3-2-2 ISD-VSD逆方向ドレイン電流およびダイオード順方向電圧の測定 3-3. Id-Vds測定グループ2:高電圧 3-3-1 アプリケーション・テストを使用したV(BR)DSSおよびIDSSの測定 3-3-2 クラシック・テストを使用したIDSSドレイン-ソース間漏れ電流の測定 5 3-3-3. クラシック・テストを使用したV(BR)DSSドレイン-ソース間 ブレークダウン電圧の測定 3-4. キャパシタンス測定グループ: 3-4-1. 3-4-2. 3-4-3. 3-4-4. Cgd、Crssキャパシタンス測定 Cdsドレイン−ソース間キャパシタンスの測定 Coss出力キャパシタンス測定 Cgs、Cissキャパシタンス測定 4 付録 付録1:測定の準備についての補足 A1-1. AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード A1-2. ワークスペースの管理ページに戻る手順 付録2:モジュール・セレクタを使用した測定の準備 A2-1. 測定例で使用する測定器とアクセサリ A2-2. B1505AとN1259Aテスト・フィクスチャとのケーブル接続 A2-3. N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 付録3:測定の基礎/ヒント A3-1. DC測定の基礎 A3-2. パルスド測定 A3-3. CV測定の基礎 付録4:demo-B1505Aを返却する前に A4-1. 測定データの保存 A4-2. ワークスペースと測定データの削除 6 第1章:B1505Aの概要 この章では、本書で紹介する測定例による作業に進む前に、 B1505Aについて知っておくべき基本情報を提供します。 1.1 Agilent B1505Aパワーデバイス・アナライザ/ カーブトレーサ Agilent B1505Aパワーデバイス・アナライザ/カーブト レーサは、今日のパワーデバイスの測定用に設計されました。 B1505Aでは、専用に開発されたMicrosoft Windows®アプ リケーション・プログラムであるEasyEXPERTソフトウェ アを使用します。 B1505Aは、10 fA ∼ 1500 A、2 μV ∼ 10000 Vの広い範 囲でパワーデバイスを測定できます。さらに、3,000 VのCV 測定機能も備えています。 B1505Aに搭載されたEasyEXPERTソフトウェアは、直感 的で柔軟なデータ管理/解析環境を提供します。 B1505Aには、以下のモジュールをサポートする10個のモジュール・スロット があります。 • B1510Aハイ・パワー SMU(HPSMU)10 fA ∼ 1 A/2 μV ∼ 200 V • B1512A大電流SMU(HCSMU)10 pA ∼ 1 A/200 nV ∼ 40V(DC)または 10 pA ∼ 20 A/200 nV ∼ 20 V(パルス) • B1513A高電圧SMU(HVSMU)10 fA ∼ 4 mA/200 μV ∼ 3000 Vまたは 10 fA ∼ 8 mA/200 μV ∼ 1500 V • B1520Aマ ル チ 周 波 数CMU(MFCMU)1 fF ∼ 10 nF(1 MHz、 パ ワ ー MOSFETパラメータ用、DCバイアス0 ∼ 3000 V、高電圧バイアス・ティー・ アダプタ使用) • N1265A超高電流ユニット:∼ 1500 A測定 • N1268A超高電圧ユニット:∼ 10 kV測定(N1265A、N1268Aの制御には B1514A 中電流SMU×2が必要) 図1-1に、各モジュールの出力と測定範囲を示します。 7 (A)HPSMUの出力と測定範囲 電流 電圧 (B)HCSMUの出力と測定範囲 (C)HVSMUの出力と測定範囲 電流 電流 パルス DC 電圧 電圧 1500 Vの範囲 3000 Vの範囲 図1-1. 出力と測定範囲 8 1.2 Agilent N1259Aパワーデバイス・フィクスチャ Agilent N1259Aパワーデバイス・フィクスチャ(図1-2)は、 パッケージ化されたパワーデバイスに使用します。このフィ クスチャは40 Aおよび3000 Vに対応しています。 40 A以上の高電流測定が必要な場合は、N1265A超高電流 ユニットを、3000 V以上の測定が必要な場合は、N1268A 超高電圧を用います。 N1259Aと、オプション033 1 kΩ抵抗、オプション020高 電圧バイアス・ティー、オプション022 100 kΩ抵抗(オプ ション)を使用します。モジュール・セレクタ・オプション 300については、付録で説明します。 1 kΩ抵抗は、パワー MOSFETの高gm動作領域で、デバイ スの発振を防止するために使用します。これは、パワー 図1-2. Agilent N1259Aテスト・フィクスチャ オプション022 オプション033 MOSFETのゲートSMUとゲート端子の間に挿入されます (図1-4)。1 kΩ抵抗を挿入することによる副作用はありませ んが、高速パルスの使用は困難になります。しかし、抵抗を 使用することでより安定した測定を実現できるため、この欠 点は相殺されます。この抵抗は後の測定例で常に使用してい ます。 DCバイアス25 V以上でCV測定を行う場合、オプション020 高電圧バイアス・ティーが必要です。この場合、HVSMUの DCバイアス範囲が最大3000 Vまで拡張されます。MFCMU 自体から出力可能な最大バイアス電圧の要件が25 V未満の 場合、オプション020を使用せずにCV測定が可能です。 オプション020 オプション300 (出力) 図1-3. N1259Aのオプション020、022、033、300 オプション033抵抗 (デバイスの発振を防止) 図1-4. ゲートSMUとゲートの間に挿入された オプション033直列抵抗 9 オプション022 100 kΩ抵抗は、通常はHVSMUとパワー MOSFETのドレインの間に直列に挿入して使用します (図1-5)。 保護抵抗 注記: オプション300モジュール・セレクタは、パワー MOSFET と 各SMU間 の ケ ー ブ ル を 手 動 で 接 続 し 直 す こ と な く、 HVSMU、HCSMU、HPSMUの間で測定リソースを自動的 に切り替えるのに役立ちますが、ここでは使用しません。図 1-6に、パワー MOSFETのドレインに接続されたモジュール・ セレクタの簡略図を示します。 例では、オプション300を使用せずにテスト・セットアップ を簡略化し、多くのユーザのために汎用性を高めています。 N1259Aにオプション300をインストールしている場合、ド レイン接続の詳細な手順を理解していれば、このオプション を簡単に使用できます。 モジュール・セレクタの使用方法については付録を参照して ください。 図1-5. ドレインとドレインHVSMUの間に挿入されたオプショ ン022直列抵抗 モジュール・ セレクタ 保護抵抗 パワー MOSFET 図1-6. N1259Aオプション300モジュール・セレクタを使用し た接続の簡略図 10 1.3 EasyEXPERTソフトウェア B1505Aのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)として使用される Easy EXPEERTソフトウェアには、アプリケーション・テスト、クラシック・ テスト、トレーサ・テストの3種類のテスト・モードがあります。各テスト・モー ドには独自の機能があるため、テスト要件に適したテスト・モードを使用すれば、 より良い測定結果を迅速に得ることができます。B1505Aのテスト・モードに ついて以下に簡単に説明します。 アプリケーション・テスト・モード アプリケーション・テスト・モード (図1-7)は、B1505Aに付属の定義済みテスト・ ライブラリで、Id-Vd測定など、基本的かつ頻繁に使用されるテストが含まれて い ま す。 測 定 は ユ ー ザ が 測 定 パ ラ メ ー タ を 入 力 す る だ け で 開 始 で き ま す。 Measureボタンを押せば、測定から自動的に抽出された正しいデータによる測 定結果が得られます。 ここでは、B1505Aに付属のオリジナル・バージョンから少し変更したアプリ ケーション・テスト定義を使用します。次のセクションでは、本書で使用する これらのファイルのインストール手順について説明します。 例のように、変更は非常に簡単です。アプリケーション・ノートB1500A-4 『Customizing Agilent B1500A EasyEXPERT Application Tests』 (Agilent P/N:5989-5167EN)を参照してください。 結論として、要件を満たしていればアプリケーション・テストがベストな選択 です。そうでない場合、既存のアプリケーション・テスト定義を変更するか、 クラシック・テスト・モードを使用するかの2つの選択肢があります。 1. テスト・パラメータを入力する 2. Measureボタンを押す 図1-7. アプリケーション・テストのGUI 11 クラシック・テスト・モード クラシック・テストは、テストを定義して実行するための主要な測定エンジン として、アプリケーション・テスト定義内で使用されます。クラシック・テス トは、スタンドアロンのテスト・エンジンとしてそれ自体を使用することがで きます。また、独自のテストを定義することもできます。クラシック・テスト・モー ドのユーザ・インタフェースは、Agilentの半導体パラメータ・アナライザと同 じコンセプトを採用しているため、このインタフェースに簡単に慣れることが できます。クラシック・テスト・モードを使えば、アプリケーション・テスト・ ライブラリが対応していないアプリケーションにも対応できます。 図1-8に、クラシック・テストのセットアップ・ウィンドウの例を示します。こ こで、1.[Channel Setup]ページ、2.[Measurement Setup]ページ、3. オ プションのSMUパラメータのセットアップ用サブパネル、4.[Display Setup] ページは、測定開始前に入力する必要があるページです。 図1-8. クラシック・テストの測定パラメータのセットアップ・パネル 12 新しいクラシック・テストの定義を設定する場合、定義済みのアプリケーション・ テストと比較すると、デバイスとB1505AのSMUの間の接続や、図1-8のよう なSMUの機能設定などについて、より多くの知識が必要です。一般に、アプリ ケーション・テストでは、ユーザがアプリケーション・テスト定義を確認する まで、ある種のブラック・ボックスといえるのに対し、クラシック・テストの 場合、SMUを直接コントロールします。 新しいクラシック・テスト定義の作成後は、このクラシック・テスト定義を使 用し続けるか、このクラシック・テスト定義を新しいアプリケーション・テス ト定義に変換するかを選択することができます。新しいテスト定義が比較的長 期間多くのユーザによって使用されている場合、新しいアプリケーション・テ ストの作成が効果的です。これにより、アプリケーション・テストのGUIを介 してユーザまたはオペレータがより多くの情報を追加できます。また、新しい アプリケーション・テストの作成は、テスト定義の簡単な保存と考えることが できます。 注記:アプリケーション・テスト定義の例で使用されるクラシック・テストの サンプル・セットアップは、アプリケーション・テストと同じサンプル・ファ イル・セットに含まれています。 サンプル・セットアップを使用して、ユーザ関数、自動解析、表示項目などの 測定の詳細を変更できます。 トレーサ・テスト・モード トレーサ・テスト・モード(図1-9を参照)では、カーブトレーサと同様な感覚で の測定が行えます。また、新規または未知のデバイスの特性評価やクイック・ チェックのためのデバッグ・ツールとしても使用できます。トレーサ・テスト・ モードでは、繰り返し測定をさせた状態で、パラメータの最大値などを調整す る形で実行します。例えば、Id-Vd掃引のドレイン電圧は、カーブトレーサの電 圧ダイアルを回すのと同じように、B1505Aの回転ノブを回して手動で変更で きます。 図1-9に対話型の双方向掃引の例を示します。ここでは、パワー MOSFETのオ ン特性の評価のために、ドレイン電圧の順方向および逆方向の両方で掃引を行っ ています。 図1-9. トレーサ・テスト・モードのGUI 13 トレーサ・テスト・モードには、次のような使用方法もあります。トレーサ・ テスト・セットアップは、クラシック・テスト・セットアップに簡単に変換す ることができ、そのサンプル・セットアップ機能では、複雑なセットアップと 対話型測定制御機能を自動的に設定できるため、トレーサ・テスト・モードを 簡単なテスト・セットアップおよびテスト用デバッグ・ツールとして使用でき ます。続いて、終了したセットアップをクラシック・テストに変換し、決めら れた測定パラメータを繰り返し使用したり、自動マーカやラインなど、トレー スの表示や解析機能を追加したりできます。 注記:双方向サンプル・セットアップは、サンプル・セットアップ・ファイル に含まれています。 これらの3つのテスト・モードは、本書のテスト・セットアップ・サンプルで、 パワー MOSFETの仕様やデータシートに記載されているパラメータの測定に使 用されています。 14 第2章:測定の準備 2-1. B1505Aを使用する前に 警告 Agilent B1505Aのフォース端子、センス端子、ガード端子には、人体に 危険な電圧 (HVSMUで3000 V、HPSMUで200 V)が存在する場合があり ます。B1505Aの使用中は、感電を避けるために以下の安全に関する注 意事項を遵守する必要があります。 • 3極AC電源コードを使用して、キャビネット(使用する場合)とB1505Aをグ ランド(安全用アース端子)に接続してください。 • B1505Aとテスト・フィクスチャの間にインターロック・ケーブルを接続す る必要があります。 • インターロックが機能しているか定期的に確認してください。 • インターロック回路は変更しないでください。 • 拡張ケーブルを使用してDUTをテスト・フィクスチャの外に接続しないでく ださい。 • フォース端子、ガード端子、センス端子に接続する前に、B1505Aの電源を オフにしてすべてのコンデンサを放電させてください。B1505Aの電源をオ フにしたくない場合、B1505Aの設定に関わらず以下の項目を満たす必要が あります。 • Stopキーを押してモジュール出力をオフにする。 • 高電圧インジケータが点灯していないことを確認する。 • シールド・ボックスのアクセス・ドアを開く。 • SMUに接続されているすべてのコンデンサを放電させる。 15 2-2. 測定例で使用する測定器とアクセサリ 測定例では、B1505Aの構成を2種類使用します。1つはHPSMU2台とHCSMU1 台を使用する20 A構成 (図2-1 (A) ) で、もう1つはHPSMU1台とHCSMU2台を使 用する40 A構成 (図2-1 (B) ) です。 対応するSMUの名前を置き換えることにより、同じサンプル・ファイルを使用 することができます。 (A)HPSMU2台の構成 (B)HCSMU2台の構成 図2-1. サンプルで使用するB1505Aの構成 Agilent B1505Aパワーデバイス・アナライザ/カーブトレーサの20 A構成: • HVSMU(B1513A)高電圧SMU×1 • HCSMU(B1512A)大電流SMU×1 • HPSMU(B1510A)ハイ・パワー SMU×2(注記:サンプルでは1台の HPSMUのみを使用) • MFCMU(B1520A)マルチ周波数CMU×1 40 A構成: • HVSMU(B1513A)高電圧SMU×1 • HCSMU(B1512A)大電流SMU×2 • HPSMU(B1510A)ハイ・パワー SMU×1 • MFCMU(B1520A)マルチ周波数CMU×1 16 以下に、B1505AとN1259A間の接続に使用するN1259Aテスト・フィクスチャ の構成とケーブルを示します。 Agilent N1259Aハイ・パワー・テスト・フィクスチャ • オプション020高電圧バイアス・ティー • オプション300モジュール・セレクタ(オプション:モジュール・セレクタの 使用については付録の該当セクションを参照) • オプション010インライン・パッケージ・ソケット・モジュール(3ピン) • オプション022 100 kΩ Rボックス(オプション) • オプション033 1 kΩ Rボックス •(N1259Aにはテスト・リード×10、SHVケーブル×2、SHVバナナ・アダプ タが付属) 図2-2. Agilent N1259Aテスト・ フィクスチャ ケーブル (カッコ内は40 A構成の場合) • 16493S HCSMUケーブル×1(×2) • 16493T HVトライアキシャル・ケーブル×1 • 16494Aトライアキシャル・ケーブル×4(×2) • 16493L GNDUケーブル×1 • N1300A CMUケーブル×1 • 16493Jインターロック・ケーブル×1 16493T HVトライアキシャル・ケーブル 16494Aトライアキシャル・ケーブル 16493T HCSMUケーブル 16493Jインターロック・ケーブル N1300A CMUケーブル 図2-3. B1505AとN1259Aの間の接続に使用するケーブル 17 2台のHCSMUモジュールを使用した40 Aソリューションを構成するには、以下 のアダプタとケーブルが必要です。 オプションのアクセサリ(40 A構成の場合のみ): • 16493Sオプション021デュアルHCSMUコンビネーション・アダプタ×1 • 16493Sオプション021ケーブル×1 16493Sオプション021 (40 Aオプション) 16493Sオプション021ケーブル (40 Aオプション) 図2-4. 40 A構成に使用するケーブル 注記: 図2-5のデジタルI/Oケーブルは、N1259Aオプション300モジュール・セレク タの制御に使用します。 このセクションではモジュール・セレクタを使用しないので、当面はこのケー ブルを接続する必要はありません。 モジュール・セレクタについては、付録で、N1259Aオプション300モジュール・ セレクタをHCSMUとHVSMUの間の自動切り替えに使用している例で説明して います。 16493GデジタルI/Oケーブル (N1259Aオプション300用オプション) 図2-5. デジタルI/Oケーブル 18 2-3. 測定例で使用するデバイス 以下の2つのデバイスを本書の測定例で使用します。 2SK2745LSは、高電圧パワー MOSFETです。このトランジスタは高電圧測定 の例で使用します。このトランジスタの最大電流は2種類の最大アンペアに制限 されています。大電流測定のサンプルには使用しないでください。 後の例では、大電流パラメータ抽出の測定にIRFP2907を使用します。次の章 の例で使用するこれら2つのパワー MOSFETは、幅広いアプリケーションで B1505Aの性能を最大限発揮するのに適しています。 B1505Aのテスト・セットアップは、さまざまなパワー MOSFETに使用でき、 ユーザは使用するパワー MOSFETの仕様に応じて、適切なパラメータを入力す ることができます。 パワー MOSFETの仕様 2SK3745LS:高電圧アプリケーション 2SK3745LS • • • • • • • • • • • • • BVdss: Vgss: Idss: Igss: Idp PD Vgs(off): |yfs|: Rds(on): Vsd: Ciss: Coss: Crss: >1500 V <±20 V <100 μA <±10 μA <4 A 35 W 2.5 ∼ 3.5 V >0.7 S、1.4 S (代表値) <12 Ω、10 Ω(代表値) <1.2 V 380 pF(代表値) 70 pF(代表値) 40 pF(代表値) (ID=1 mA、Vgs=0 V) (絶対最大値) (Vds=1200 V、Vgs=0 V) (Vgs=±10 V、Vds=0 V) (絶対最大値) (Tc=25 ℃) (Vds=10 V、Id=1 mA) (Vds=20 V、Id=1 A) (Id=1 A、Vgs=10 V) (Id=2 A、Vgs=0 V) (Vds=30 V、f=1 MHz) (Vds=30 V、f=1 MHz) (Vds=30 V、f=1 MHz) IRFP2907:自動車用大電流アプリケーション IRFP2907 • • • • • • • • • • • • • BVdss: Vgss: Idss: Igss: Idp PD Vgs(th): |gfs|: Rds(on): Vsd: Ciss: Coss: Crss: >75 V <±20 V <200 nA <±200 nA <840 A (ID=250 μA、Vgs=0 V) (絶対最大値) (Vds=75 V、Vgs=0 V) (Vgs=±20 V、Vds=0 V) (絶対最大値) 470 W (Tc=25 ℃) 2.0 V ∼ 4.0 V (Vds=10 V、Id=250 μA) >130 S (Vds=25 V、Id=125 A) <4.5 mΩ、3.6 mΩ(代表値) (Id=125 A、Vgs=10 V) <1.3 V (Id=125 A、Vgs=0 V) 13,000 pF(代表値) (Vds=25 V、f=1 MHz) 2100 pF(代表値) (Vds=25 V、f=1 MHz) 500 pF(代表値) (Vds=25 V、f=1 MHz) 19 2-4. B1505AとN1259Aテスト・フィクスチャ間のケーブル接続 測定の前に、構成(20 Aまたは40 A)に応じてB1505AとN1259Aの間にケーブ ルを接続します。これらの接続はすべての測定例で使用します。この構成を変 更する必要はありません。 2-4-1. 20 A構成 B1505Aの背面 N1259Aの背面 トライアキシャル 同軸 同軸 トライ アキ シャル 接続しない 図2-6. HPSMU×2、HCSMU×1、20 A構成の接続 20 A構成は、B1505AにHCSMUが1台だけある場合に使用します。 図2-6のようにB1505AとN1259Aをケーブルで接続します。以下のステップ1 ∼ 6に従ってください。 図2-7に、各ステップの詳細について、ケーブルの写真とコネクタの位置を示し ます。 ステップ1: 16493Jインターロック・ケーブルを使用して、B1505Aのインターロック端 子とN1259Aのインターロック端子を接続します。 ヒント: インターロック・ケーブルを接続するには、ケーブル端子のプラスチック部 分を持って、測定器方向に押しながら回します(図2-8参照)。 20 インターロック・ケーブルの接続を外すには、ケーブル端子の金属部分を持って、 引きながら回します。 ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5 ステップ6 図2-7. 20 A構成のケーブル接続の詳細 接続する場合: 接続を外す場合: 押しながら回す 引きながら回す 図2-8. インターロック接続 21 ステップ2: 16493L GNDUケーブルを使用して、B1505AのGNDU端子とN1259Aの GNDU1入力端子を接続します。 ステップ3: 16494Aトライアキシャル・ケーブルを使用して、下側のB1510A HPSMU (SMU1)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1259AのHPSMU1のそれ ぞれの入力端子を接続します。 注記:HPSMUは、2本のトライアキシャル・ケーブルをペアで使用します。 HCSMUケーブルは、一見HPSMUケーブルに似ていますが、同軸ケーブル とトライアキシャル・ケーブルのペアになっています。これらのケーブルを 混同しないように注意してください。 ステップ4: N1300A CMUケーブルを使用して、B1520A CMUとN1259AのMF CMU 入力のそれぞれのコネクタ(Hcur、Hpot、Lcur、Lpot)を接続します。 注記:円形端子の付いた緑色のケーブルは接続せずにそのままにします。 ステップ5: 16493S HCSMUケーブルを使用して、B1512A HCSMUのフォースおよび センス・コネクタと、N1259AのHCSMU1入力のそれぞれのコネクタを接続 します。 注記:HCSMUケーブルは、同軸ケーブルとトライアキシャル・ケーブルの ペアです。HPSMUケーブルの場合、2本のトライアキシャル・ケーブルのペ アです。これらのケーブルを混同しないように注意してください。 ステップ6: 16493T HVトライアキシャル・ケーブルを使用して、B1513A HVSMUの フォース・コネクタとN1259AのHVSMU1入力端子を接続します。 22 2-4-2. 40 A構成 16493Sオプション021デュアルHCSMUコンビネーション・アダプタ 背面 フォース 前面 センス 出力 スレーブ 同軸 トライア キシャル センス フォース 同軸 マスタ トライア キシャル 接続しない N1259Aの背面 B1505Aの背面 図2-9. HPSMU×1、HCSMU×2、40 A構成の接続 40 A構成は、B1505Aに2台のHCSMUがある場合にのみ可能です。 この構成は、デバイスに20 A以上の電流が必要な場合に使用します。 図2-9のようにB1505AとN1259Aの間にケーブルを接続します。以下のステッ プ1 ∼ 7に従ってください。 図2-10に、各ステップの詳細について、ケーブルの写真とコネクタの位置を示 します。 ステップ1 ∼ 4: ステップ1 ∼ 4は20 A構成の場合と同じですので、20 A構成の手順を参照し てください。 23 ステップ5:(図2-10を参照) 16493S HCSMUケーブルを使用して、下側のB1512A HCSMUのフォースお よびセンス・コネクタと、16493Sオプション021デュアルHCSMUコンビネー ション・アダプタのマスタ入力 (下側) のそれぞれのコネクタを接続します。 注記:HCSMUケーブルは、同軸ケーブルとトライアキシャル・ケーブルの ペアです。HPSMUケーブルの場合、2本のトライアキシャル・ケーブルのペ アです。これらのケーブルを混同しないように注意してください。 ステップ6: 16493S HCSMUケーブルを使用して、上側のB1512A HCSMUのフォース およびセンス・コネクタと、16493Sオプション021デュアルHCSMUコンビ ネーション・アダプタのスレーブ入力(上側)のそれぞれのコネクタを接続し ます。 ステップ7: 16493Sオプション021 30 cm HCSMUケーブルを使用して、16493Sデュア ルHCSMUコンビネーション・アダプタ (出力側)のフォースおよびセンス出 力コネクタと、N1259AのHCSMU1入力のそれぞれのコネクタを接続します。 ステップ8: 16493T HVトライアキシャル・ケーブルを使用して、B1513A HVSMUの フォース・コネクタとN1259AのHVSMU1入力端子を接続します。 ステップ5 フォース 下側のHCSMU センス スレーブ マスタ トライアキシャル 同軸 同軸 ステップ6 フォース 上側のHCSMU トライアキ シャル センス スレーブ マスタ トライアキシャル 同軸 同軸 トライアキ シャル ステップ7 出力 センス フォース トライアキ シャル 同軸 トライアキシャル ステップ8 図2-10. 40 A構成のケーブル接続の詳細 24 同軸 2-4-3. 電源ケーブル、キーボードおよびマウス B1505Aを起動する前に、必ず電源ケーブルとキーボードおよびマウスを接続 してください。 キーボード マウス 電源ケーブル 図2-11. キーボード、マウス、電源ケーブル 25 2-5. B1505Aの起動 2-5-1 B1505Aの起動 ケーブル類の接続が完了した後、B1505Aの電源を入れます。 Windows®が起動した後、 [Start EasyEXPERT]アイコンをクリックし、 [Start EasyEXPERT]ボタンをクリックしてEasyEXPERTソフトウェアを開始します。 続いてワークスペースの管理ページである[Agilent EasyEXPERT Software]ページが開きます(図2-12)。 図2-12. ワークスペースの管理ページ 図2-13のように、B1505AによってEasyEXPERTのワー クスペースの1つが直接開かれた場合、付録の「ワークス ペースの管理ページに戻る手順」に記載されている手順に 従ってください。 他の問題については、該当するマニュアル(『B1505A User's Guide』、『EasyEXPERT Software User's Guide』、『EasyEXPERT Application Library Reference』など)を参照して、EasyEXPERTソフトウェ アの詳細を確認してください。 図2-13. EasyEXPERTワークスペース 2-5-1-1 新しいワークスペースの作成 本書で使用するために作成された新しいアプリケーション・テスト・ライブラ リを実行する際は、新しいワークスペースを作成することをお勧めします。 本書には、多くのアプリケーション・テスト・ライブラリ・セットアップ、ク ラシック・テスト定義、トレーサ・テスト定義、サンプル測定データの例が収 録されています。 この後のセクションで、これらのセットアップおよびデータ・ファイルを B1505Aにインストールする手順を説明します。 26 ヒント: 新しいワークスペースを作成すれば、EasyEXPERTを容易に管理できます。 例えば、これがAgilentデモ・システムである場合、システムを元に戻すと新し いワークスペースを削除できます。また、一度の操作で測定データを含むすべ てのトレースを削除できます。 B1505Aでこの操作を実行すれば、既存のワークスペースに不要な測定セット アップやデータを追加せずに済みます。 新しいワークスペースの作成手順 新しいワークスペースを作成するには、以下のステップに従ってください。 ステップ1. ワークスペース管理ウィンドウを開きます(図2-14)。 ステップ2. [Create a new Workspace]チェックボックスをオンにします。 ステップ3. 適切なワークスペース名を入力します(例:AN-Handbook)。 ステップ4. [Continue]をクリックして新しいワークスペースを開きます。 ステップ5. 現在のEasyEXPERTワークスペースの左下コーナに、新しいワー クスペースの名前が表示されます。 1. ワークスペースの管理ページを開く 4.[Continue]をクリックして 2.[Create a new Workspace] 新しいワークスペースを開く。 チェックボックスをオンにする 3. 適切なワークスペース名を 入力する(例:AN-Handbook)。 5. 現在のEasyEXPERTワークスペースの 左下コーナに、新しいワークスペースの 名前が表示される。 図2-14. 新しいワークスペースの作成 27 2-5-1-2 測定を開始する前のEasyEXPERTの設定 測定を開始する前に、HCSMUとモジュール・セレクタの構成を確認してくだ さい。以下のように構成を変更できます。 重要 1. 画面右側にある構成ボタン をクリックします。 2.[Dual HCSMU Combination]タブを選択します。 20 Aまたは40 Aのハードウェア構成に応じてHCSMUコンビネーションを設 定します(図2-15、図2-16)。 20 A構成:図2-15(A) 40 A構成:図2-16(A) 3.[SMU Output Limit Setting]タブを選択します。 20 Aまたは40 Aのハードウェア構成に応じて[Current Setting Limit]を 設定します(図2-15、図2-16)。 20 A構成:図2-15(B) 40 A構成:図2-16(B) 4.[Module Selector]タブを選択します。 モジュール・セレクタがオフであることを確認してください(図2-17)。 1. オフにする 2. 20 Aに設定する (A) [Dual HCSMU Combination]タブ 図2-15. 20 A構成の設定 28 (B) [SMU Output Limit Setting]タブ 1. オンにする 2. 40 Aに設定する 2. 適切なHCSMUを選択する (A) [Dual HCSMU Combination]タブ (B) [SMU Output Limit Setting]タブ 図2-16. 40 A構成の設定 1. オフにする 図2-17. モジュール・セレクタの設定 29 2-5-2 EasyEXPERTソフトウェアへのサンプル・ファイルセットの設定 測定を開始する前に、本書で使用するサンプル・アプリケーション・テスト・ ライブラリ、テスト・セットアップ、サンプル測定データをインストールします。 以下の手順に従ってください。 2-5-2-1 AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード B1505A用のサンプル・ファイルセットを入手するには、AgilentのWebサイト にアクセスしてサンプル・ファイルセットをダウンロードしてください。 サンプル・ファイルセットのダウンロード手順については、付録1を参照してく ださい。 ダウンロード後は、ファイルをCD-RまたはUSBメモリにコピーできます。 サンプル・ファイルセットのコピー • ダウンロードしたB1505A_ AN_HB1_Library.zipファイルをB1505Aの 適切なフォルダ (例:D:/tmpまたはdesktop)にコピーします。 2-5-2-2 zip圧縮ファイルからの抽出: ダウンロードしたB1505A_ AN_HB1_Library.zipファイルは、EasyEXPERT から読み取れるように、通常のWindows®ファイル・フォーマットで抽出する 必要があります。 以下のステップに従って、ダウンロードしたzipファイルからファイルを抽出し ます(図2-18)。 ステップ1: B1505A_ AN_HB1_Library.zipファイルを右クリックします。 ステップ2: ポップアップ・ウィンドウのメニューから[Extract All ...]を選 択します。 ステップ3:[Extraction Wizard]が開きます。[Next]をクリックします。 ステップ4: zipファイルから抽出したファイルを格納するためのフォルダを選 択します。[Next]をクリックします。 抽出されたすべてのファイルがB1505A_ AN_HB1_Libraryという親フォルダ 内に格納されます。 このフォルダ名を記録しておいてください。後でファイルをEasyEXPERTソフ トウェアにインポートする際に使用します。 30 1. zipファイルを右クリック 2.[Extract All]を選択 3.[Next]をクリック 5. zipファイルからの抽出が完了 4. 抽出したファイルを格納 するフォルダを選択 図2-18. ダウンロードしたzipファイルからのファイルの抽出 31 圧縮ファイルからの抽出により、以下の3種類のファイルセットが作成されます。 1. 新しいアプリケーション・テスト定義: • Cgs_Vd. xtd:Cgs対Vd測定(最大100 kHz) • gfs_Id-Vgs_DP.xtd:デュアル・パルスを使用したGfsまたはyfs測定(ゲー トおよびドレイン用) • Id(off)-Vds R.xtd:Id offおよびVbd測定(Vbdの検出時点でVd掃引は停 止) • Id-Vds_DP.xtd:デュアル・パルスを使用したId対Vd測定(ゲートおよび ドレイン用) • Id-Vgs_DP.xtd:デュアル・パルスを使用したId対Vgs測定(ゲートおよ びドレイン用) • Igss.xtd:Ig対Vg測定 • Igss_DP.xtd:Ig対Vg測定(順方向と逆方向の両方向用) • Is_Vsd.xtd:ダイオード順方向電圧測定 • Rds-Id_DP.xtd:Id-Vgデュアル・パルス・テストを使用したRds対Idの 特性 • Rds-Vgs_DP.xtd:Id-Vgデュアル・パルス・テストを使用したRds対Vgs の特性 これらの新しいテスト定義は既存のライブラリに追加され、すべてがパワー MOSFETの仕様を適切に測定するためにカスタマイズされています。拡張子_ DPの 付 い た 新 し い ア プ リ ケ ー シ ョ ン 定 義 は、 高Gmお よ び 大 電 流 パ ワ ー MOSFETの測定に有効です。他の種類の新しいアプリケーション・テスト定義 は、B1505Aに付属していない補足的なアプリケーション・テストです。 2. アプリケーション・テスト、クラシック・テストまたはトレーサ・テストのセッ トアップ・ファイル: • Example_AT.xpg 本書で使用するアプリケーション・テスト・セットアップはこのファイル に含まれ、プリセット・グループとしてEasyEXPERTにインポートでき ます。 • Example_CT.xpg 本書で使用するクラシック・テストまたはトレーサ・テストのセットアッ プはこのファイルに含まれ、プリセット・グループとしてEasyEXPERT にインポートできます。 本 書 で 測 定 例 と し て 紹 介 さ れ て い る テ ス ト・ セ ッ ト ア ッ プ は す べ て、My Favorite Setupのプリセット・グループからアクセスできます。これらのファ イルは、EasyEXPERTの測定機能に対して測定パラメータを変更するか、必要 な変更を加えることで使用できます。 3. EasyEXPERTサンプル・データ・ファイル • EE_example.ztr このファイルは、圧縮フォーマットのテスト結果で、テスト・サンプルで 使用されるサンプル測定データが含まれています。 32 2-5-2-3 サンプル・ファイルのEasyEXPERTソフトウェアへのインポート ファイルをEasyEXPERTにインポートする際は、順番どおりにインストールす る必要があります。最初にサンプル・アプリケーション・テスト・ライブラリ をインポートしてから、テスト・セットアップまたはサンプル測定データをイ ンポートします。 1. サンプル・アプリケーション・テスト・ライブラリのインポート サンプル・テスト・ライブラリは、新しいPo_MOS_smplアプリケーション・ テスト・カテゴリと既存のPowerMOSFETアプリケーション・カテゴリの両方 にインストールされます。Po_MOS_smplカテゴリは、EasyEXPERTのカテゴ リ・セクションに作成されます。 サンプル・アプリケーション・テスト・ライブラリをインストールすると、ラ イブラリ・セクションに次の9つのアプリケーション・テストが表示されます。 Cgs_Vd、gfs_Id-Vgs_DP、Id(off)-Vds Stop、Id-Vds_DP、Id-Vgs_DP、 Igss、Igss_DP、Rds-Id_DP、Rds-Vgs DP [手順]:図2-19を参照 ステップ1: EasyEXPERTの[Library]バーをクリックします。 [Library]メニューが開きます。 ステップ2:[Library]メニューから[Import Test Definition]を選択します。 Windows®エクスプローラが開きます。 ステップ3: サンプル・ファイルセットを抽出したフォルダを探します。 (図のステッ ステップ4: すべてのアプリケーション・テスト定義を選択します プ4を参照)。 ステップ5: Windowsエクスプローラの[Open]ボタンをクリックします。 EasyEXPERTのライブラリにすべてのアプリケーション・テスト 定義がインポートされます。 PO_MOS_smpl(パワー MOSFETのサンプル)カテゴリが作成され ます。 新しいアプリケーション・テスト定義はすべてPO_MOS_smplお よびPowerMOSFETカテゴリに含まれています。 ステップ6:[Category]ウィンドウの[PO_MOS_smpl]チェックボックス をオンにします。 ステップ7:[Library]ウィンドウに新しいアプリケーション・テスト定義が 表示されます。 メニュー・バーをスクロールして、すべてのアプリケーション・テ スト定義が存在するかどうかを確認します。 33 1.[Library]をクリック 2.[Import Test Definition]を選択 3. インポートするライブラリ・ セットを探す 6.[PO_MOS_smpl]に チェック 7. 新しいアプリケー ション・テスト定義 5.[Open]をクリック 4. すべてのファイルを選択 図2-19. アプリケーション・テスト定義のインポート 34 2-5-2-4 サンプル・テスト・セットアップ・ファイルのインポート サンプル・ファイルセットには、測定例で使用するテスト・セットアップが含 まれています。テスト・セットアップ・ファイルは、My Favorite Setupのプ リセット・グループにインポートされます。 サンプル・テスト・セットアップ・ファイルには2種類のセットアップ・データ が含まれています。 1つは、測定例で使用する、各データシートの仕様に対応したアプリケーション・ テ ス ト 定 義 の テ ス ト・ セ ッ ト ア ッ プ で す。 こ れ ら は[Example-AT] (Example-Application Test)プリセット・グループにインポートされます。 もう1つのテスト・セットアップは、アプリケーション・テスト・セットアップ に対応したクラシック・テスト定義です。クラシック・テスト定義は、アプリケー ション・テスト・セットアップと全く同じデータが得られるため、アプリケーショ ン・テスト・セットアップを使用する必要はありません。ただし、これらのセッ トアップ・ファイルは、サンプル・アプリケーション・テスト・ライブラリの テスト機能の一部を変更する場合に便利なので、その目的のために提供されて います。 これらは[Example-CT](Example-Classic Test)プリセット・グループにイ ンポートされます。 [手順]:図2-20を参照 ステップ1: 1.[My Favorite Setup]をクリックします。 [My Favorite Setup]メニューが開きます。 ステップ2. メニュー・リストから[Preset Group]を選択します。 [Preset Group]メニューが開きます。 ステップ3. メニュー・リストの[Import Preset Group]をクリックします。 Windowsエクスプローラが開きます。 ステップ4. エクスプローラを使用して、インポートするセットアップ・ファイ ルを探します。 ステップ5. 一度に1つのファイルを選択して、 [Open]ボタンをクリックします。 [Example-AT]および[Example-CT]プリセット・グループ、 および関連するセットアップ・ファイルが、各グループにインポー トされます。 35 1.[My Favorite Setup]をクリック 2.[Preset Group]を選択 3.[Import Preset Group]を クリック 4. インポートするセットアップ・ファイル を探す 5. 一度に1つのファイルを選択して、 [Open]ボタンをクリック [Example-AT]および[Example-CT] プリセット・グループ、および関連 するセットアップ・ファイルが、各 グループにインポートされる 図2-20. My Favorite Setupファイルのインポート 36 2-5-2-5 サンプル測定データのインポート 本書の測定例で使用する測定データは、サンプル・ファイルセットに含まれて います。 EasyEXPERTの[Results]ウィンドウにデータをインポートすれば、実際の 測定データを使ってEasyEXPERT機能を体験することができます。 [手順]:図2-21を参照 ステップ1. [Results]をクリックします。 [Results]メニューが開きます。 ステップ2. [Transport Data]を選択します。 [Transport Data]メニューが開きます。 ステップ3. [Import . . .]を選択します。 Windows®エクスプローラが開きます。 ステップ4. エクスプローラを使用して、インポートするテスト結果ファイルを 探します。 ステップ5. インポートするファイルを選択して、[Open]ボタンをクリック します。 サンプル・データ・セットが結果エリアにインポートされます。 2.[Transport Data]を選択 3.[Import . . .]を選択 4. インポートするテスト結果ファイルを探す 1.[Results]をクリック 5. EE-example.ztrファイルを選択して、 [Open]ボタンをクリック。 図2-21. サンプル結果データ・ファイルのインポート 37 第3章:パワー MOSFETの仕様の測定 この章では、B1505Aでデータシートに記載されているパワー MOSFETのパラ メータを測定する方法について例を挙げて説明します。 本書に収録されているテスト・パラメータは、以下の4つの測定グループに分類 されます。 各測定グループは、基本的に同じハードウェア・セットアップとデバイス接続 を使用します。本書では、測定例を以下のグループとリストの順番に紹介して います。 1. Id-Vgs測定グループ: • Id-Vgs曲線 一般的なId-Vg特性 • VGS(th)、VGS(off)ゲートのしきい値電圧、またはカットオフ電圧 • RDS(on) 静的ドレイン-ソース間オンステート抵抗 • |yfs|、Gfs 順方向伝送アドミタンス、または順方向相互 コンダクタンス • IGSS ゲート-ソース間漏れ電流 • VGSS ゲート-ソース間電圧 2. Id-Vds測定グループ1:大電流 一般的なId-Vds特性 • ID-Vds曲線 • VSD ダイオード順方向電圧 • ISD 逆方向ドレイン電流 3. Id-Vds測定グループ2:高電圧 ドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 • V(BR)DSS • IDSS ドレイン-ソース間漏れ電流 4. キャパシタンス測定グループ: 入力キャパシタンス • Ciss 38 • Coss 出力キャパシタンス • Crss 逆伝達キャパシタンス EasyEXPERTソフトウェアを使用した測定の一般的な手順 図3-1に、EasyEXPERTアプリケーション・テスト・ライブラリを使用した測 定の一般的な手順を示します。 この手順は単純なため、すぐに操作できます。 ステップ1. [Category]フィールドからデバイスの種類またはアプリケーショ ン・カテゴリを選択します。 または、ステップ1’で[My Favorite Setup]フィールドに保存 されている独自のセットアップのセットアップ・アイコンを選択す るだけで、ステップ2をスキップしてステップ3の測定に進むこと ができます。 ステップ2. [Library]フィールドからアプリケーション・テスト定義を選択 します。 ステップ3. [Measurement]ボタンをクリックします。ボタンには単一測定用、 追加測定用、繰り返し測定用の3種類があります。 測定データ画面が開き、データが[Results]エリアに自動的に保 存されます。 第3章では、これらの使いやすいEasyEXPERTテスト環境のすべての機能を使 用します。 EasyEXPERTには、基本的な測定のために多くのデフォルト・アプリケーション があります。必要なアプリケーションを選択するだけで、デバイスの測定が簡 単にできます。わかりやすいユーザ・インタフェースにより、被試験デバイス に適したパラメータに直感的に変更できます。 [Measure]ボタンを クリックして測定を開始 デバイスまたはアプリケー ション・カテゴリを選択 または、 [My Favorite Setup] から選択 アプリケーション・ テストを選択 リアルタイムで測定データを表示。 同時にパラメータも表示 図3-1. EasyEXPERTソフトウェアを使用した測定の一般的な手順 39 3-1. Id-Vgs測定グループ: この章では、Id-Vgs測定グループで以下の測定を行います。 • VGS(th)、VGS(off)ゲートのしきい値電圧、またはカットオフ電圧 • RDS(on) 静的ドレイン-ソース間オンステート抵抗 • |yfs|、Gfs 順方向伝送アドミタンス、または順方向相互 コンダクタンス • IGSS ゲート-ソース間漏れ電流 • VGSS ゲート-ソース間電圧 Id-Vgs測定グループは、基本的にゲート電圧をプライマリ掃引ソースとして掃 引します。ゲートは掃引されますが、ドレイン電圧は定電圧で変化しません(図 3-2)。一部のアプリケーション・テスト・セットアップでは、ドレイン電圧が セカンダリ・パラメータによりステップ変化します。この場合、各ゲートのプ ライマリ掃引が終わるとドレイン電圧が上昇します。 セカンダリ掃引 プライマリ掃引 図3-2. Id-Vgs測定グループの基本的な構成 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リード(図3-3)を図3-4のように接続します。 注記:テスト・リードの色には、黒と赤の2種類しかありません。図3-4では、 わかりやすくするためにテスト・リードを色分けしています。 ステップの番号は、図3-4のテスト・リードの接続図の番号に対応しています。 図3-3. N1259Aテスト・フィクスチャ用 テスト・リード 40 [手順] (例:IRFP2907または2SK3745LS)をN1259Aの ステップ1. パワー MOSFET ソケットに挿入します。デバイスのピン名がソケットの番号(図 3-4)と一致するようにしてください。 ステップ2. HPSMU1のフォース端子と1 kΩ抵抗の端子1を接続します。 ステップ3. HPSMU1のセンス端子と1 kΩ抵抗の端子1を接続します。 ステップ4. 1 kΩ抵抗の端子2とインライン・パッケージ・ソケットの端子1の フォース(ゲート)を接続します。 ステップ5. HCSMU1のハイ・フォース端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子2のフォース(ドレイン)を接続します。 ステップ6. HCSMU1のハイ・センス端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子2のセンス(ドレイン)を接続します。 ステップ7. HCSMU1のロー・フォース端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子3のフォース(ソース)を接続します。 ステップ8. HCSMU1のロー・センス端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子3のセンス(ソース)を接続します。 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-4. SMUとパワー MOSFETフィクスチャの間の接続 41 ステップ9. GNDU1のフォース端子とインライン・パッケージ・ソケットの端 子3のセンス(ソース)を接続します。 ステップ10. GNDU1のセンス端子とインライン・パッケージ・ソケットの端 子3のセンス(ソース)を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-1 の手順に従ってください。 N1259A内の接続のヒント ヒント1: 高gmパワー MOSFETを測定する場合、ステップ2に示すゲート端子の近くに1 kΩ抵抗を直列に挿入することが必要な場合もあります。この抵抗により、パワー MOSFETの発振を大幅に低下させることができます(付録の該当セクションを 参照)。 ヒント2: 高gmおよび大電流パワー MOSFETは、寄生コンポーネント、特に直列インダ クタンスに非常に敏感です。HCSMUからのテスト・リードのレイアウトや、 N1259Aテスト・フィクスチャ内のパワー MOSFETによって、測定が妨害され る場合があります(図3-5)。 配線インダクタンスを抑制するには、接続ケーブルを束ねてねじるのが効果的 です。 HCSMUのハイ/ロー端子 からのケーブルをねじった 場合。 ねじらなかった場合 図3-5. ケーブル配線によって測定値に違いが生じる例 42 3-1-1. Id-Vgs測定 測定パラメータ:一般的なId-Vgs特性、gfs max アプリケーション・テスト名:Id-Vgs_DP (Id-Vgs特性、SMUデュアル・パルス) アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Id-Vgs_DP クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):ID-VGS_DPC サンプルで使用するデバイス:IRFP2907 アプリケーションの概要: パワー MOSFETの特性が不明な場合、一般的な考え方として、Id-Vg特性から 測定を開始し、その後Id-Vd測定で詳細を確認するのが効果的です。これら2つ の測定を行うことにより、テストの初期段階でパワー MOSFETの特性の概要が 得られます。 図3-6. Id-Vgテスト その後、Vth、ブレークダウン特性、オン抵抗など、他のパ ラメータのより詳細な測定に進むことができます。 通常、データシートの仕様は一般的なId-Vg測定曲線 (図3-6) から開始します。 この測定により、パワー MOSFETの特性評価において最初 の段階で重要なパラメータが得られます。図3-7に、デュア ルHCSMU (DHC)を使用したこのテスト・セットアップの 例を示します。ここでは、全ドレイン振幅の能力を確認す るために最大ドレイン電流を40 Aに拡大し、Vgがプライマ リ掃引ソースとして0 Vからしきい値電圧をわずかに超える まで掃引します。ドレイン電圧は、セカンダリ掃引ソース により別の電圧にステップ変化する可能性もありますが、 ここでは10 Vに固定されています。ドレイン電圧をセカン ダリ掃引ソースとして掃引すると、出力グラフがやや煩雑 になり、判別が困難になる場合があります。 Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト定義は、ゲートおよび ド レ イ ン に パ ル ス を 入 力 し、 大 電 流 お よ び 高gmパ ワ ー MOSFETの安定した測定を保証します。この測定の詳細に ついては、付録の「改善された2パルス・ソースI/V」セクショ ンを参照してください。 このテストでは、図3-9に示すように、Id-Vgs曲線のgmの最 大ポイントに引かれたラインのVgs X軸座標の交点でVthを 検出することができます。 図3-7. デュアルHCSMU構成を使用したId-Vg_DPアプリケー ション・テスト・セットアップ このテストでは測定にパルスを使用するため、すべての SMUの範囲はその電流コンプライアンス範囲に固定され、 測定範囲は最大6桁に制限されます。次のセクション3-1-2に、 「Vth、Vgs (off)」アプリケーション・テストを使用したVth の100 μA範囲の測定が記載されています。 43 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-8. Id-VGS_DPアプリケーション・テスト・セットアップ gfsMaxのマーカ マーカの読み値 gfsMaxでの接線 図3-9. Id-VGS_DPテストの表示 44 抽出された gfsMaxおよびVth A. 測定手順:Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-8の「1. アプ リケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示され ています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Id-Vgs_DP]を選択します([Id-Vgs_DP]をクリックし、次に [Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-8)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg掃引パラメータの設定 c. ドレインSMUのセットアップ d. Vdテスト条件の設定 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン す)。 をクリックしま ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-9のように、Id-Vgs曲線とgfs(Y2軸)のグラフが表示されます。 図3-9では、X軸のゲート電圧Vgsに対してドレイン電流IvがY1軸に、gfsがY2 軸にプロットされています。gfsの頂点にマーカが自動的に配置され、Y1軸に接 線が引かれます。接線とX座標の交点がVthとして定義されます。図では、パラ メータ表示部の最大gfsとVthを丸で囲んでいます。 確認: 測定は20 Aに制限されていますが、曲線はデータシートの情報と一致していま す。Id-Vg曲線の急激な上昇に比べてVgステップが比較的大きいため、gfsデー タはあまり正確とはいえません。40 A構成で、Vgステップ電圧が小さい場合、 gfsの結果が異なる可能性があります。 45 A'.測定手順:Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテストでは、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初から 測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・セッ トアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-8の「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3'. [Id-Vgs_DP]を選択します([Id-Vgs_DP]をクリックします)。 ステップ4'. [Recall]ボタンをクリックします。 次のステップ:上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステッ プ5に進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:ID-VGS_DPCクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-10を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [ID-VGS_DPC](ID-VGSデュアル・パルス)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルID-VGS_DPCクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:VGSを設定できます。 ステップ9. VDS定電圧を設定できます。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ11. [Pulse]ボタンをクリックすると、[Pulse Setup]サブウィン ドウが開きます。 ステップ12. パルスド測定の積分時間を設定できます。HCSMUの最大パルス 幅が1 msであることを考慮して、積分時間が1 ms未満になるよ うにしてください。 46 パルスが大電流領域 (10 Aまたは20 A以上)の場合、セトリングす るまでに50 μ( s 代表値)以上が必要です。積分時間はパルス幅の 50 μsより小さくします。 ステップ13. パルス幅を設定できます。HPSMUの最小パルス幅は500 μsで、 HCSMUの最大パルス幅は20 Aの範囲で1 msであるため、HPSMU のパルス幅の範囲は500 μs ∼ 1 msの間になります。HCSMUは 500 μs未満に設定できます。これはパワー MOSFETの消費電力を 抑えるのに役立ちます。HCSMUの最小パルス幅が50 μs+積分時 間であることに注意してください (ステップ12を参照) 。パルスド測 定の詳細については、付録の該当セクションを参照してください。 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。このページでは、測定 結果の[X-Y Graph]、[List Display]、[Parameters]を設定 できます。 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 ステップ16. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ17. [Parameters]フィールドで、抽出されたパラメータの表示を設 定します。 サンプル・セットアップでは、 [Auto Analysis]タブおよび [Function Setup]タブでgfsMaxとVthが定義されています。 ステップ18. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ19. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 (Y2軸)のグラフが ステップ20. 図3-9のグラフと同じように、Id-Vgs曲線とgfs 表示されます。 注記:ステップ19およびステップ20は、図3-9のステップ7およびステップ8と 同じです。 ヒント: クラシック・テストはアプリケーション・テストに比べて多くのセットアップ・ ステップが必要ですが、クラシック・テストの方が、測定機能、測定パラメータ、 表示パラメータ、フォーマットなどのテスト・セットアップを、見やすいユーザ・ インタフェースによって、より自由に変更できます。 47 図3-10. ID-VGS_DPCクラシック・テスト・セットアップ 48 3-1-2 Vth、Vgs(off)ゲートのしきい値電圧またはカットオフ電圧の測定 (off)ゲートのしきい値またはカットオフ電圧 測定パラメータ:Vth、Vgs アプリケーション・テスト名:Vth、Vgs (off) (図3-11) アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]): Vth Vgs(off)-Vth、Vth Vgs(off)-Vgsoff クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Vth_ID-VGS、Vgsoff_ID-VGS サンプルで使用するデバイス:IRFP2907 アプリケーションの概要: VGS(th)、VGS(off)アプリケーション・テストは、指定したドレイン電流(Id@ Vth_Vgsoff)で、VthまたはVg(off)ゲート電圧を測定します。テストではDC(パ ルスではない)を使用します。これは、オートレンジ・モードを使用することに より、広いダイナミック・レンジでドレイン電流を測定できるためです。 このアプリケーション・テストは、 [MeasMode]パラメータで[Vth]と[Vgsoff] の2種類の測定モードをサポートしています(図3-11)。 Vthの測定手法は、ドレイン電圧を定電圧に設定してゲート電圧を掃引し、指定 したドレイン電流でゲート電圧を抽出します。 Vgsoffの測定手法は、同じ同期電圧(図3-12を参照)を使 用してゲートおよびドレインを掃引し、指定したドレイ ン電流でゲート電圧を抽出します。 Vthの測定手法は業界標準の測定手法ともいえますが、 Vgsoffの測定手法は従来のカーブトレーサで使用できま す。これは、従来のアナログ・カーブトレーサにはゲー トへの独立した掃引ソースがなく、ゲート電圧掃引はゲー トとドレインを接続することで代用されるためです。 図3-11. 「Vth Vgs (off)」アプリケーション・テストのGUI 2つのSMUを同期させることに より、ゲートおよびドレイン 電圧を同じ電位で掃引します。 図3-12. 「Vgs (off)」アプリケーション・テスト測定: 従来のカーブトレーサによる測定をエミュレート 49 A. 測定手順:Vthアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-13の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PowerMOSFET]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 (off)]をクリックし、 ステップ3、4.Vth、Vgs(off)を選択します([Vth]、[Vgs 次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-13)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. MeasMode=Vth b. ゲートSMUのセットアップ c. Vg掃引パラメータ 注記:ゲートの掃引電圧幅を狭めることで、Id-Vgs測定の速度を 上げることができます。データシートの仕様が対応可能かどうか確 認してください。ドレイン電流はIdLimitパラメータによって制限 されているため、通常は考慮する必要のあるパワー MOSFETへの ストレス印加を懸念することなく、ゲートの掃引電圧幅をより広く することができます。 d. ドレインSMUのセットアップ e. Vg抽出条件 Id@Vth_Vgoffは、Vth値を自動的に抽出するための設定パラメー タです。これは特に重要です。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 (Y2軸)のグラフが表示されます。 ステップ8. 図3-14のように、Id-Vgs曲線とgfs 図3-14では、X軸のゲート電圧Vgsに対してドレイン電流IdrainがY1リニア軸 とY2ログ軸にプロットされています。マーカは指定したId@Vth_Vgsoffのポイ ントに自動的に配置されます。図では、[Parameters]のフィールドにVthパ ラメータが表示されています。 50 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-13. 「Vth、Vgs (off)」アプリケーション・テストのVthテスト・セットアップ マーカの読み値 抽出されたVth リニアY1およびログY2 スケール内のマーカ 図3-14. Vthテストのデータ例 51 確認: 例で使用されるIRFP2907のVth仕様は2 ∼ 4 V (Id=250 μA)です。例では抽 出されたVthが2.83 Vと、良好な一致を示しています。 この測定に見られるように、DC測定は、Id特性の広いダイナミック・レンジで 低電流を測定するために不可欠です。また、低電流特性をモニタするためにロ グIdスケールも使用しています。 A'.測定手順:Vthアプリケーション・テスト • My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-13の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 (off)-Vth]を選択します([Vth Vgs (off)-Vth]をクリッ ステップ3'. [Vth Vgs クします)。 ステップ4'. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:Vth_ID-VGSクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-15を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Vth_ID-VGS]を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルVth_ID-VGSクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 52 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:Vgsを設定できます。 ステップ9. Vds定電圧を設定できます。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 [A/D Converter & ステップ11. [ADC/Integ]ボタンをクリックすると、 Integration Time Setup]サブウィンドウが開きます。 ステップ12. 積分時間を設定できます。 ステップ13. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ14. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 ステップ15. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ16. [Parameters]フィールドで、抽出されたパラメータの表示を設 定します。 このサンプル・クラシック・テスト・セットアップでは、Vthパ ラメータは[Auto Analysis]タブおよび[Function Setup] タブで定義されています。 ステップ17. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ18. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ19. 図3-16のように、Vth(Id-Vg)のグラフが表示されます。 注記: Vthパラメータを抽出するためのId定義は、図3-17に示すように自動マーカ位 置を指定することにより、[Auto Analysis Setup]ページで作成されます。 結果はアプリケーション・テストの結果と同じになります。 53 図3-15. Vth_ID-VGSクラシック・テスト・セットアップ 54 図3-16. Vth_ID-VDSクラシック・テストのデータ例 [Auto Analysis Setup]ページの下部。 図3-17. [Auto Analysis Setup]ページで定義されるマーカ位置 55 C. 測定手順:Vgsoff_ID-VGS これまで説明してきたように、Vthパラメータ測定には、アプリケーション・テ スト・ライブラリから開始する方法、My Favorite Setupのアプリケーション・ テスト定義から開始する方法、およびMy Favorite Setupのクラシック・テス ト定義から開始する方法の3種類があります。 アプリケーション・テストは、 [MeasMode]パラメータで[Vgsoff]を選択 する場合を除いて基本的に同じです。 クラシック・テスト・セットアップは、基本的に以前のVth_ID-VGSクラシック・ テスト定義と同じですが、このテストの場合、ドレインを掃引します (図3-18 (A))。ドレインとゲートの掃引パラメータは同じになります(図3-18 (B))。 このクラシック・テスト・セットアップの使用についてのその他の手順は、前 のセクションBと同じです。 確認: Vgsoff_ID-VGSクラシック・テストの結果エリアにサンプル・データが表示さ れますが、結果はVthテストと同じです。これは、IRFP2907パワー MOSFET のId-Vd特性が非常に平坦なため、上記の両方のテストにおけるドレイン電圧の Vthのドレイン特性が非常に似てしまうためです。 (A)Vgoff-ID-GGSクラシック・テストでは、VgsとVdsの両方をVAR1として掃引 (B)Vgoff-ID-GGSクラシック・テストでは、ゲートとドレインのスタート/ストップ掃引電圧が同じに設定される。 図3-18. Vgoff-ID-VGSとVth_ID-VGSクラシック・テストの違い 56 3-1-3 RDS(on)静的ドレイン-ソース間オンステート抵抗の測定 測定パラメータ:RDS (on)、Rds-IdまたはRds-Vg 静的ドレイン-ソース間オンステート抵抗 アプリケーション・テスト名:Rds-Id_DP、Rds-Vgs_DP アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Rds-Id_DP、Rds-Vgs_DP クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Rds-Id_DPC、Rds-Vg_DPC サンプルで使用するデバイス:IRFP2907 アプリケーションの概要: ドレイン電流対ゲート電圧特性を測定し、Rds-IdまたはRds-Vgs特性を抽出し ます。ドレイン-ソース電流およびゲート-ソース電圧出力の両方でSMUパルス を使用します。 A. 測定手順:Rds-Vg_DPアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-19の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ([Rds-Vgs_DP]をクリックし、 ステップ3、4.[Rds-Vgs_DP]を選択します 次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-19)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg掃引パラメータの設定 c. ドレインSMUのセットアップ d. Idおよびテスト条件の設定 Idはセカンダリ掃引としてステップ変化する場合がありますが、 例では1つのバイアス電流 (10 A)に設定されています。最大ド レイン電圧は2 Vに設定されています。 e. 出力グラフのリニアまたはログRdsの表示スケールを選択でき ます。[Device Parameters]フィールドで、最小および最大 Rdsプロット・スケールを設定できます。 57 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-19. Rds-Vgs_DPアプリケーション・テスト・セットアップ 抽出されたRds_on Rds_onのマーカ 図3-20. Rds-Vgs_DPテストの結果 58 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-20のように、Rds-Vgs_DPのグラフが表示されます。 図3-20では、X軸のゲート-ソース間電圧に対してY1軸にログ・ス ケールのドレイン-ソース間抵抗Rds、Y2軸にドレイン電圧がプロッ トされています。マーカは指定されたゲート電圧Vg@Rds_onに自 動 的 に 配 置 さ れ、 自 動 的 に 抽 出 さ れ たRds_onパ ラ メ ー タ は [Parameters]フィールドに表示されます (図の丸で囲まれた箇 所)。 確認: 測定されたRds onは、約3.3 mΩ(Id=20 A、Vg=10 V)です。 IRFP2907の仕様は3.6 mΩ(Id=125 A)です。B1505Aではドレイン電流の測 定条件が制限(例ではId=20 A)されていますが、測定されたRds onの値はデー タシートの仕様と一致しています。 また、測定ボタンを1回クリックするだけで測定とデータ抽出が完了することも 注目すべき点です。 A’.測定手順:Rds-Vgs_DPアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-19の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3'. [Rds-Vgs_DP]を選択します([Rds-Vgs_DP]をクリックし、次 に[Select] をクリックします)。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 59 B. 測定手順:Rds-Vg_DPCクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-21を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Rds-Vg_DPC](Rds-Vgデュアル・パルス)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルRds-Vg_DPCクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:Vgを設定できます。 ステップ9. Vd定電圧を設定できます。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ11. [Pulse]ボタンをクリックすると、[Pulse Setup]サブウィン ドウが開きます。 ステップ12. パルスド測定の積分時間を設定できます。HCSMUの最大パルス 幅が1 msであることを考慮して、積分時間が1 ms未満になるよ うにしてください。パルスが大電流領域(10 Aまたは20 A以上) の場合、セトリングするまでに50 μ( s 代表値)以上が必要です。 積分時間はパルス幅の50 μsより小さくします。 ステップ13. パルス幅を設定できます。HPSMUの最小パルス幅は500 μsで、 HCSMUの 最 大 パ ル ス 幅 は20 Aの 範 囲 で1 msで あ る た め、 HPSMUのパルス幅の範囲は500 μs ∼ 1 msの間になります。 HCSMUは500 μs未満に設定できます。これはパワー MOSFET の消費電力を抑えるのに役立ちます。HCSMUの最小パルス幅が 50 μs+積分時間であることに注意してください(ステップ12を 参照)。パルスド測定の詳細については、付録の該当セクション を参照してください。 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 ステップ16. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 60 ステップ17. [Parameters]フィールドで、抽出されたパラメータの表示を設 定します。 サンプル・セットアップでは、 [Auto Analysis]タブおよび [Function Setup]タブでRds_onが定義されています。 ステップ18. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ19. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 (Y2軸)のグラフ ステップ20. 図3-20のグラフと同じように、Id-Vgs曲線とgfs が表示されます。 注記:ステップ19およびステップ20は、図3-20のステップ7およ びステップ8と同じです。 ヒント: クラシック・テストはアプリケーション・テストに比べて多くのセットアッ プ・ステップが必要ですが、クラシック・テストの方が、測定機能、測定パ ラメータ、表示パラメータ、フォーマットなどのテスト・セットアップを見 やすいユーザ・インタフェースによって、より自由に変更できます。 61 図3-21. Rds-Vg_DPCクラシック・テスト・セットアップ 62 C. 測定手順:Rds-Id_DP、Rds-Id_DPC Rdsについては2つの方法があります。1つはこれまで説明してきたRds対Vgs (Rds-Vg)測定で、もう1つはRds対Id (Rds-Id)測定です。 これら2つの測定には、Rds-Vg測定が定ドレイン電流でゲート電圧Vgを掃引す るのに対して、Rds-Id測定ではドレイン電流Idをプライマリ掃引として掃引し、 各Id掃引に対してVgがステップ変化するという違いがあります。 図3-22に、Rds-Id_DPアプリケーション・テストのユーザ・インタフェースを示 します。赤い丸で囲まれた項目は、これら2つの測定手法の主な違いを示してい ます。 スケール・パラメータはリニアまたはログ掃引を定義します。ログ掃引を選択 すると、ログ・スケールにRdsのX軸とIdのY軸の両方がプロットされます。 図3-23に、Rds-Id_DPアプリケーション・テストの結果のログ・スケール出力 の例を示します。 クラシック・テスト定義のRds-Id_DPC測定プロセスは、Rds-Vg_DPCクラシッ ク・テスト測定の場合と全く同じです。 図3-22. Rds- Id_DPアプリケーション・ セットアップの場合の違い Vg=4 V Vg=4.2 V Vg=4.4 V Vg≧4.6 V 図3-23. Rds-Id_DPアプリケーション・ テストのログ・スケール・テスト 63 3-1-4 |yfs|、Gfs順方向伝送アドミタンスまたは順方向相互コンダクタンスの測定 測定パラメータ:|yfs|、Gfs順方向伝送アドミタンス、または順方向相互コン ダクタンス アプリケーション・テスト名:gfs_Id-Vgs_DP アプリケーション・テスト・セットアップ名: ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):gfs_Id-Vgs_DP クラシック・テスト・セットアップ名: ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Yfs_ID-VGS サ ン プ ル で 使 用 す る デ バ イ ス:2SK3745LS ( ア プ リ ケ ー シ ョ ン・ テ ス ト )、 IRFP2907(クラシック・テスト) アプリケーションの概要: ドレイン電流対ゲート電圧特性を測定し、gfs–Idrain特性を抽出します。ドレ イン-ソース間およびゲート-ソース間電圧出力の両方でSMUデュアル・パルス を使用します。 A. 測定手順:gfs_Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-24の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ステップ3、4.[gfs_Id-Vgs_DP]を選択します([gfs_Id-Vgs_DP]をクリック し、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-24)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg掃引パラメータの設定 c. ドレインSMUのセットアップ d. Vdテスト条件の設定: Vdはセカンダリ掃引としてステップ変化する場合があります が、例では1つのバイアス電圧(10 V)に設定されています。最大 ドレイン電流は1 Aに設定されています。 e. 出力グラフのリニアまたはログgfsのY1軸の表示スケールを選択 できます。[Device Parameters]フィールドで、最小および最 大gfsプロット・スケールを設定できます。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 64 をクリックし 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-24. gfs_Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト・セットアップ gfs maxのマーカ 抽出されたgfsMax 図3-25. gfs_Id-Vgs_DPテストの結果 65 ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-25のように、gfs_Id-Vgs_DPのグラフが表示されます。 図3-25では、X軸のドレイン電流に対して、ログ・スケールのドレ イン-ソース間のgfs順方向伝送コンダクタンスがY1軸に、対応する ゲート電圧がY2軸にプロットされています。マーカは自動的にgfs の頂点に配置されます(図の丸で囲まれた箇所)。抽出されたgfsと そのドレイン電流は、[Parameters]表示フィールドにgfsMaxと して表示されます。 確認: 測定されたgfsは最大約1.5 S(Id=1 A)で、自動的に抽出されて[Parameters] フィールドに表示されます。2SK3745LSのyfs (=gfs)仕様は代表値1.4 S (Vd= 20 V、Id=1 A)です。サンプルの実測gfsは仕様データと一致しています。 Y軸はリニア・スケールとログ・スケールのどちらでも選択できます。 A’.測定手順:gfs_Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-24の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3'. [gfs_Id-Vgs_DP]を選択します([gfs_Id-Vgs_DP]をクリックし ます)。 ステップ4'. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 66 B. 測定手順:Yfs_ID-VGSクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-26を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Yfs_ID-VGS](Yfs_ID-VGSデュアル・パルス)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルYfs_ID-VGSクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:VGSを設定できます。 ステップ9. VDS定電圧と電流コンプライアンスを設定できます。 電流範囲がコンプライアンス範囲で固定されており、テストで使用 できる最小分解能が制限されていることに注意してください。 HCSMUのダイナミック・レンジは6桁で、サンプル・セットアッ プの最小ドレイン電流分解能は20 μAです。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ11. [Pulse]ボタンをクリックすると、[Pulse Setup]サブウィン ドウが開きます。 ステップ12. パルスド測定の積分時間を設定できます。HCSMUの最大パルス 幅が1 msであることを考慮して、積分時間が1 ms未満になるよ うにしてください。パルスが大電流領域(10 Aまたは20 A以上) の場合、セトリングするまでに50 μ( s 代表値)以上が必要です。 積分時間はパルス幅の50 μsより小さくします。 ステップ13. パルス幅を設定できます。HPSMUの最小パルス幅は500 μsで、 HCSMUの 最 大 パ ル ス 幅 は20 Aの 範 囲 で1 msで あ る た め、 HPSMUのパルス幅の範囲は500 μs ∼ 1 msの間になります。 HCSMUは500 μs未満に設定できます。これはパワー MOSFET の消費電力を抑えるのに役立ちます。 HCSMUの最小パルス幅が50 μsプラス積分時間であることに注 意してください(ステップ12を参照)。パルスド測定の詳細につい ては、付録の該当セクションを参照してください。 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 67 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 ステップ16. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ17. [Parameters]フィールドで、抽出されたパラメータの表示を設 定します。 サンプル・セットアップでは、 [Auto Analysis]タブおよび [Function Setup]タブでYfsが定義されています。 ステップ18. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ19. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 (Y2軸) のグラフが表示されま ステップ20. 図3-27のように、yfs-ID曲線とVGS す。Auto Analysis Setupのマーカ機能で指定されたIdにマーカ が自動的に配置され、 対応するYfsとドレイン電流が[Parameters] フィールドに表示されます。 Auto Analysisのマーカ位置は、[Auto Analysis Setup]タブ の[Marker]フィールドで設定できます(図3-28)。 ヒント: クラシック・テストはアプリケーション・テストに比べて多くのセットアッ プ・ステップが必要ですが、クラシック・テストの方が、測定機能、測定パ ラメータ、表示パラメータ、フォーマットなどのテスト・セットアップを見 やすいユーザ・インタフェースによって、より自由に変更できます。 68 図3-26. Yfs_ID-VGSクラシック・テスト・セットアップ 69 指定したIDのマーカ マーカ位置のYfsおよび IDの値 図3-27. IRFP2907のYfs_ID-VGSクラシック・テスト [Auto Analysis Setup]ページの下部。 図3-28. [Auto Analysis Setup]ページで定義されるマーカ位置 70 3-1-5 IGSSゲート-ソース間漏れ電流の測定 測定パラメータ:IGSSゲート-ソース間漏れ電流 アプリケーション・テスト名:Igss、Igss_DP (双方向) アプリケーション・テスト・セットアップ名: ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Igss、Igss_DP クラシック・テスト・セットアップ名: ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Igss-CT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS アプリケーションの概要: ゲート電流対ゲート-ソース間電圧特性を測定し、指定したゲート電圧のIgss (Vg@Igss)を抽出します。 A. 測定手順:Igssアプリケーション・テスト アプリケーションの概要: ゲート電流対ゲート-ソース間電圧特性を測定し、指定したゲート電圧のIgss (Vg@Igss)を抽出します。 順方向と負方向のゲート漏れ電流は、個別に測定する必要があります。 ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-29の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Igss]を選択します([Igss]をクリックし、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-29)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg掃引パラメータの設定 このテストでは、指定されたゲート電圧のゲート電流Igss (Vg@ Idss)を取得します。開始電圧をVg@Idss近くに設定することで、 テストを高速化できます。 c. ドレインSMUのセットアップ d. Vdテスト条件の設定: Vd電圧は通常0 Vです。 e. Igssを抽出するようにゲート電圧を設定します。 f. ゲート開始電圧がVg@Igssの値に近い場合、Extended Setup のホールド時間と遅延時間を変更することが効果的です。 71 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-30のように、Igssのグラフが表示されます。 図3-30では、ゲート電圧に対するIgssゲート-ソース間漏れ電流が プロットされています。 マーカは自動的に指定したVg@Igssのポイントに配置されます (図の 丸で囲まれた箇所) 。抽出されたIgssとゲート電圧は、 [Parameters] フィールドに表示されます。 確認: Igssではゲート漏れ電流を測定しますが、MOSFETでは非常に低い値になりま す。2SK3745LSの仕様は最大10 μA (Vgs=16V、Vds+0 V)です。測定され たIgssは26 nAで、これは仕様と比べて非常に低い値ですが、正常です。各ゲー ト掃引ステップ電圧(この値はExtended Setupで設定)に対し、最初の測定が 終わるまで、初期値100 msのホールド時間で、次に20 msの遅延時間でゲート 電圧を掃引します。漏れ電流の測定はこれらの待ち時間の設定に影響されるこ とに注意してください。 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-29. Igssアプリケーション・テスト・セットアップ 72 抽出されたIgss Vgs@Igssのマーカ 図3-30. Igssアプリケーション・テストの結果 73 A’.測定手順:Igssアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-29の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3'. [Igss]を選択します([Igss]をクリックします)。 ステップ4'. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:Igss_DP(Igss双方向)アプリケーション・テスト アプリケーションの概要: ゲート電流対ゲート-ソース間電圧特性を測定し、指定したゲート電圧のIgss (Vg@Igss)を抽出します。ゲート電圧を反転して第2の測定が行われ、最終的に 両方の極性のIgssパラメータが[List]ウィンドウに抽出されます。 このテストでは、2つの測定を個別に行う必要はありません。 ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-31の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Igss_DP]を選択します([Igss_DP]をクリックし、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-24)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg掃引パラメータの設定 このテストでは、指定されたゲート電圧のゲート電流Igss (Vg@ Idss)を取得します。開始電圧をVg@Idss近くに設定することで、 テストを高速化できます。 74 c. ドレインSMUのセットアップ d. Vdテスト条件の設定: Vd電圧は通常0 Vです。 e. Igssを抽出するようにゲート電圧を設定します。 f. ゲート開始電圧がVg@Igssの値に近い場合、Extended Setup のホールド時間と遅延時間を変更することが効果的です。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて1番目の測定が開始され、順方向の Igssが抽出されます。 ステップ8. 負方向のVgsのための2番目の測定が開始され、2番目のIgssが抽出 されます。 ステップ9. 最終的に、図3-32のように、抽出された両方の極性のIgssが3番目 のウィンドウに表示されます。 測定を実行すると図3-32の測定グラフが表示されますが、 [Result] フィールドに保存されるのは最終的な結果データだけであることに 注意してください。 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-31. Igss_DPアプリケーション・テスト・セットアップ 75 順方向のVgのための1番目の測定 負方向のVgのための2番目の測定 最終結果: - 順方向Igss - 負方向Igss - ゲート電圧 図3-32. Igss_DPアプリケーション・テストの結果 確認: 前述のように、Igssでゲート漏れ電流を測定します。また、これは正負両方の 極性に対して指定されます。このアプリケーション・テストでは順方向の掃引 と負方向の掃引が順に実行され、指定した電圧での漏れ電流が抽出されます。 測定曲線自体は多くの情報を含んでいるわけではないので、このテストでは最 終値だけが保存されます。測定されたIgssは、両方の極性でほぼ同じで、前の テストともほとんど同じです。 Quick Testを使用すると2つのテストが一度に実行されるため、グラフを保存 する必要がある場合に効果的です。 B'.測定手順:Igss_DPアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-31の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 76 ステップ3'. [Igss_DP]を選択します([Igss_DP]をクリックします)。 ステップ4'. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」の ステップ5に進み、その後のステップを実行します。 C. 測定手順:Igss-CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ18については、図3-33を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Igss-CT](Igssクラシック・テスト)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルIgss-CTクラシック・テスト・セットアップの [Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:Vgate掃引パラメータの [Start]、[Stop]、[Step]を設定します。 ステップ9. Vdrain定電圧と電流コンプライアンスを設定できます。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 [A/D Converter & ステップ11. [ADC/Integ]ボタンをクリックすると、 Integration Time Setup]サブウィンドウが開きます。 ステップ12. 積分時間を設定できます。 ステップ13. [Auto Analysis Setup]タブをクリックします。 ステップ14. ゲート漏れ電流を測定するゲート電圧を設定します。 ステップ15. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ16. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 ステップ17. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 77 ステップ18. [Parameters]フィールドで、抽出されたパラメータの表示を設 定します。 サンプル・セットアップでは、 [Auto Analysis]タブおよび [Function Setup]タブで定義されたIgssとゲート電圧が設定さ れます。 ステップ19. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ20. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ21. 図3-34の よ う に、Vgate曲 線 に 対 す るIgateが 表 示 さ れ ま す。 Auto Analysis Setupのマーカ機能で指定されたIdにマーカが自 動的に配置され、対応するYfsとドレイン電流が[Parameters] フィールドに表示されます。 Auto Analysisのマーカ位置は、[Auto Analysis Setup]タブ の[Marker]フィールドで設定できます(図3-33のステップ14)。 負方向のIgssを測定するには、[Measurement Setup]ページでVg掃引のテス ト・セットアップを変更し、[Auto Analysis Setup]ページでVgateのマーカ 値を変更する必要があります。 ヒント: Quick Testを使用すると、順方向のIgssと負方向のIgssの測定が一度に行えます。 78 [Auto Analysis Setup]ページの下部。 図3-33. Igss-CTクラシック・テスト・セットアップ 79 マーカ位置のIgss値 指定したVgateのマーカ 図3-34. Igss-CTクラシック・テスト 80 3-1-6 VGSSゲート-ソース間電圧の測定 測定パラメータ:VGSS、Vgsゲート-ソース間電圧 トレーサ・テスト・セットアップ名: ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):IG-VGS TT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS ドレイン ゲート アプリケーションの概要: VgssまたはVgs(ゲート-ソース間電圧)は、パワー MOSFETの仕様の絶対最大 値定格に分類されます。このパラメータは、回路ブロックの設計に重要なVdss ドレイン-ソース間電圧と同様に測定する必要はありません。 通常、パワー MOSFETのゲートとソースの間には保護ダイオードが存在し、 Vgss性能チェックの実際の測定では、この保護ダイオードのブレークダウン特 性を測定することになります。 本書では、トレーサ・テスト・モードの双方向対話型掃引を使用したゲートの ブレークダウン特性の測定を試みます。 ゲート保護 ダイオード ソース 注記:このテストは、アプリケーション・テストおよびクラシック・テストのセッ トアップ用にVgストップ電圧を上げることにより、3-1-5の手順を使用して実行 できます。 A. 測定手順:IG-VGS TTトレーサ・テスト 測定手順:IG-VGS TTトレーサ・テスト トレーサ・テストの機能の1つに、双方向掃引機能があります。これは、測定ボ タンをワンクリックするか、回転ノブを使って最大掃引値を連続的に変更する ことにより、ゼロから正負両方向の電圧掃引または電流掃引が行えます。 Vgssテストは、双方向掃引機能を試みるのに適したサンプルです。 [Tracer ステップ1. 画面の左上にあるEasyEXPERTのテスト・メニューから、 Test]をクリックします(図3-35)。 図3-35. [Tracer Test]ページを開く 81 表示セットアップ・グループ 測定セットアップ・グループ トレーサ・テスト・メニュー チャネル・セットアップ・グループ 図3-36. IG-VGSトレーサ・テスト・セットアップ ヒント:トレーサ・テスト・セットアップを開くには、[Tracer Test]ページを最初に開く必要があります。 以下のステップ2 ∼ステップ6については、図3-36を参照してください。 ステップ2. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ3. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ4. [IG-VGS TT](IG-VGSトレーサ・テスト)を選択します。 ステップ5. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ6. 定義済みのサンプルIG-VGS TTトレーサ・テスト・セットアップ が開きます。 注記: トレーサ・テストでは、すべてのセットアップとテスト結果の表示 が1つのページで行われます。図に示すように、テスト・セットアッ プ機能は、チャネル・セットアップ、測定セットアップ、表示セッ トアップ、およびトレーサ・テスト・メニューの4つのエリアにグ ループ化されています。 これらの機能については、以下のテスト・セットアップの手順で簡 単に紹介します。 ステップ7. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-37)。 82 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートおよびドレインSMUのセットアップ ターゲットの[Unit]エリアをクリックすると[Channel]定 ボタンをクリックしてSMUを選択 義エリアが有効になり、 できます。電圧と電流の名前は、各フィールドに入力すること で変更できます。 b.[VAR1]フィールドでVg掃引パラメータを設定する。 [VAR1]フィールドの をクリックすると、VAR1パラメータ・ エリアを拡張できます。図のようにVAR1パラメータを設定し ます。 入力フィールドが設定されていない[VAR1]エリアをドラッグ して、メニュー・バーをスクロールできます。入力フィールドは、 測定パラメータの右側に でマークされています。これらの インジケータでマークされた箇所を避けるようにすれば、フィー ルドをドラッグできます。 c. セットアップにVAR2はありません。ステップaでVAR2を設定 した場合、パラメータを変更できます。ステップbと同様の方法 で、入力フィールドを拡張できます。 d.[CONST]フィールドでのVdテスト条件の設定: Vd電圧は通常0 Vです。 e. Y軸の表示パラメータの設定。 f. Y軸の表示パラメータの設定。 g、h、i、j: Y軸とX軸の最大/最小値を設定します。画面に表示されている 各スケールの最大または最小値をクリックすると、ポップアッ プ・ウィンドウが開きます。マウス・ポインタを確実に数字フィー ルドに合わせるようにしてください。そうしないとポップアッ プ・ウィンドウが開きません。 k. ヒント: アイコンをクリックすると[Tracer Test]メニューが開き、 定義済みのセットアップから開始できます。これにより、トレーサ・ テスト・セットアップを簡単に作成できます。パルス・ソースを含 むなど複雑なテスト・セットアップを作成する場合、この方法が特 に効果的です。 この設定は、後でクラシック・テスト・セットアップ (プリセット・ テスト定義は使用不可) に変換することができます。 ステップ8. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ9. 測定が開始され、図3-38のようにグラフが表示されます。 ステップ10. グラフ・ディスプレイの下側のバーの マークをクリックする と、指定したデータをマーカに読み取らせるようにできます。 83 [VAR1]メニューを 拡張 マークなしのフィールド( を除 く)をドラッグすれば、メニュー・ バーを簡単にスクロール可能 SMUを選択 図3-37. IG-VGSトレーサ・テストのパラメータ・セットアップ マーカ 図3-38. IG-VGS TTトレーサ・テスト 84 対話型掃引制御: 次のステップに従って、掃引を手動で制御できます(図3-39)。 ステップ11. VAR1のストップ電圧を有効にして、電圧をより低い安全電圧(例: 10 V)に設定します。 ステップ12. 繰り返し測定 始します。 ボタンをクリックして、繰り返し測定を開 ステップ13. 図3-39の左上の「ステップ13」のように、±10 Vの掃引のグラ フが表示されます。 ステップ14. VAR1のストップ電圧を有効にします。 これで、回転ノブを回して最大掃引電圧をリアルタイムで制御で きるようになります。 ステップ15. 回転ノブを時計回りに回します。 図3-39の左下の「ステップ15」のように、掃引のエンド・ポイン トが増加します。 サンプルでは、VGS=39.8 Vで掃引が完了しています。 ヒント: Vgss絶対最大値定格とゲート保護ダイオードのブレークダウン電圧の間には、 通常は多くのマージンがあります。そのため、保護ダイオードのブレークダウ ンを表示するテストは行われません。このテストを実行する場合、ゲートSMU の電流コンプライアンスを小さい値に設定してデバイスの損傷を防ぎます。ま た、図に示すようなブレークダウン特性をモニタリングしながら、ゲート電圧 を徐々に上げてゆくのも効果的です。 10 V掃引 24.6 Vでの掃引 39.8 Vでの掃引 図3-39. IG-VGS TTトレーサ・テスト:対話型掃引制御 85 3-2. Id-Vds測定グループ1:大電流 このセクションでは、Id-Vds測定グループを使用して以下の測定を行います。 Id-Vds曲線 一般的なId-Vds特性、IDおよびIDP ISD-VSD 逆方向ドレイン電流およびダイオード順方向電圧の測定 Id-Vds測定グループは、基本的にドレイン電圧をプライマリ掃引ソースとして 掃引します。ドレインが掃引される間にゲート電圧はセカンダリ掃引電圧ソー スによりステップ変化します(図3-40)。 図3-40. Id-Vgアプリケーション・テスト・セットアップ パワー MOSFETの特性が不明な場合、一般概念として、Id-Vg特性から測定を 開始し、その後Id-Vd測定から詳細を確認するのが効果的です。これら2つの測 定を行うことにより、テストの初期段階でパワー MOSFETの特性の概要が得ら れます。 通常、データシートの仕様は、一般的なId-Vds測定曲線(図3-41)とId-Vgs曲線 (セクション3-1-1を参照)から始まります。 上述のように、Id-Vg測定によってパワー MOSFETの動作領域のゲート電圧の 範囲が検出されると、掃引を除外することによりId-Vd測定が効率的に行えます。 このとき追加のゲートは、ドレイン電圧がほぼゼロか、すでに測定リミットを 超えている所にステップ変化します。この手法は、DCテストに比べて比較的長 時間を要するパルスドId-Vd測定で効果を発揮します。 Id-Vd測定は、パワー MOSFETと外部パワー回路を接続する上でのさまざまな 情報が得られます。 86 図3-41. 代表的なId-Vd測定 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続は、セクション3-1のId-Vgs測定グルー プの場合と同じです。 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続を行うには、セクション3-1と図3-3 ∼ 3-5の説明に従ってください。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-1 の手順を使用してください。 87 3-2-1. Id-Vds測定 測定パラメータ:一般的なId-Vds特性、IDおよびIDP アプリケーション・テスト名:Id-Vds_DP (Id-Vds特性、SMUデュアル・パルス) アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Id-Vds_DP クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):ID-VDS_DPC サンプルで使用するデバイス:IRFP2907 アプリケーションの概要: ドレイン電流対ドレイン電圧特性を測定します。ドレイン-ソース間およびゲー ト-ソース間の両方でSMUパルスを使用します。 以下のパラメータ(通常、絶対最大値定格に含まれる)を評価できます。 ID ドレイン電流(DC) IDP、IDM ドレイン電流(パルス) A. 測定手順:Id-Vgs_DPアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-42の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ([Id-Vds_DP]をクリックし、次 ステップ3、4.[Id-Vds_DP]を選択します に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-42)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vgセカンダリ掃引パラメータの設定 c. ドレインSMUのセットアップ d. Vdsプライマリ掃引パラメータの設定 e. ドレイン電圧掃引は、リニアまたはログ掃引に設定できます。 ログ・スケールの場合、低いドレイン電圧範囲でより詳細な結 果が得られます。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 88 をクリックし 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-42. Id-Vds_DPアプリケーション・テスト・セットアップ ステップ8. 図3-43のように、Id-Vds曲線のグラフが表示されます。 図3-43では、X軸のドレイン電圧Vgsに対してY軸にドレイン電流Ivがプロット されています。 ヒント: 回転ノブを回すことにより、マーカを各ドレイン電流および電圧の読み取りに 使用できます。補間モードをオンにすると、2つの測定ポイントの間を読み取る ことができます。 回転ノブを押すと、マーカ位置は次のセカンダリ掃引 (Var2)ステップにステッ プ変化します。 89 マーカのスキップ:次のVar2へステップ マーカおよび補間のオン/オフ マーカ 図3-43. Id-Vds_DPアプリケーション・テスト・ディスプレイ A'. 測定手順:Id-Vds_DPアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-42の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1'. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2'. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3'. [Id-Vds_DP]を選択します([Id-Vgs_DP]をクリックします)。 ステップ4'. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」の ステップ5に進み、その後のステップを実行します。 90 B. 測定手順:ID-VGS_DPCクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-44を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [ID-VDS_DPC](ID-VDSデュアル・パルス)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルID-VDS_DPCクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:VDSを設定できます。 ステップ9. VAR2またはセカンダリ掃引パラメータ:VGSを設定できます。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ11. [Pulse]ボタンをクリックすると、[Pulse Setup]サブウィン ドウが開きます。 ステップ12. パルスド測定の積分時間を設定できます。HCSMUの最大パルス 幅が1 msであることを考慮して、積分時間が1 ms未満になるよ うにしてください。パルスが大電流領域(10 Aまたは20 A以上) の場合、セトリングするまでに50 μ( s 代表値)以上が必要です。 積分時間はパルス幅の50 μsより小さくします。 ステップ13. パルス幅を設定できます。HPSMUの最小パルス幅は500 μsで、 HCSMUの 最 大 パ ル ス 幅 は20 Aの 範 囲 で1 msで あ る た め、 HPSMUのパルス幅の範囲は500 μs ∼ 1 msの間になります。 HCSMUは500 μs未満に設定できます。これはパワー MOSFET の消費電力を抑えるのに役立ちます。HCSMUの最小パルス幅が 50 μs+積分時間であることに注意してください(ステップ12を 参照)。パルスド測定の詳細については、付録の該当セクション を参照してください。 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 ステップ16. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 91 これはVAR2とId掃引曲線との関係を知る唯一の方法であるため、 VGSパラメータをリストに追加することは重要です。 ステップ17. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ18. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 (Y2軸)のグラフ ステップ19. 図3-43のグラフと同じように、Id-Vgs曲線とgfs が表示されます。 注記:ステップ18およびステップ19は、図3-43のステップ7およびステップ8と 同じです。 92 図3-44. ID-VDS_DPCクラシック・テスト・セットアップ 93 ヒント: このサンプルには自動解析機能は含まれていませんが、自動マーカおよびライ ンは追加できます。 クラシック・テスト定義では、測定パラメータを簡単に変更できます。例えば、 [Measurement Setup]ページでドレインSMUのパワー・コンプライアンスの 設定を100 Wに変更すると、電力が限定されたId-Vdsグラフが生成されます (図3-45)。 パワー・コンプライアンスを制限すると、従来のアナログ・カーブトレーサで コレクタ電源ラインの直列コレクタ抵抗の電圧降下によって生成されるコレク タ負荷ラインと同様の効果をエミュレートすることができます。 これら2つのシステムのSMUアーキテクチャの違いと利点の詳細については、 付録を参照してください。 図3-45. 電力を100 Wに制限した場合のID-VDS曲線 確認: ハイ・パワー MOSFETのデータシートでは、1つの図で広い範囲の性能を表す ために、ログId対ログVd特性が掲載される場合があります。 既存のクラシック・テストの定義を使用すれば、この測定を非常に簡単に実行 できます。図3-46に、クラシック・テスト定義を変更する場所を示します。 ステップ1. [Measurement Setup]ページを開きます。 ステップ2. VAR1のリニア/ログ掃引を[LOG10]に変更します。 (例:10 mV) に ステップ3. VAR1の開始電圧をログ掃引の開始電圧に適した電圧 変更します。 ステップ4. [Display Setup]ページを開きます。 ステップ5. YとXの表示スケールを[Log]に変更し、ログ表示の最小スケー ル値を設定します。 測定を開始すると、ログIDに対するLog VDSのグラフが生成されます (図3-47) 。 94 Log-Log測定は、幅広い範囲の測定を一目で把握するのに役立ちます。 図3-46. Log Id-Vd掃引と表示のセットアップ 図3-47. Log ID-VDS測定 95 3-2-2. Isd-Vsd測定 測定パラメータ:Vsdダイオード順方向電圧 アプリケーション・テスト名:Is-Vsd (Is-Vsd特性) アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Is-Vsd クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):ISD-VSD_CT サンプルで使用するデバイス:IRFP2907 アプリケーションの概要: このテストでは、パワー MOSFETのドレイン-ソース間の順方向ダイオード特 性を測定します。ダイオード順方向電圧Vsと逆方向ドレイン電流またはソース 電流は、VGS=0 Vの条件で測定します。ドレインSMUパルスは、ソース-ドレ イン間の電圧出力に使用します。 実際のテストでは負電圧のドレインを掃引します。このときソースとゲートは0 Vに維持されます(図3-48のEasyEXPERTのGUIを参照)。 結果はソースに正電圧を適用した場合と同じになります。このときソースとゲー トは短絡しています。 A. 測定手順:Is-Vsdアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-48の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Is-Vsd]を選択します([Is-Vsd]をクリックし、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-48)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vgセカンダリ掃引パラメータの設定 この測定ではゲート電圧とソース電圧が同じため、ゲート電圧 は常に0 Vです。 このテストでは、ゲートとソースを同じ電圧で掃引する代わり にドレインを掃引します。 c. ドレインSMUのセットアップ d. Vdsプライマリ掃引パラメータの設定 ソースとゲートが0 Vに設定されているので、ドレインを負電位 で掃引してソース-ドレイン間のダイオード順方向特性を測定し ます。 96 e. ソース電流はリニアまたはログ・スケールでプロットされます。 ログ・スケールでは、低い電源電流範囲での詳細な情報が得ら れます。ライン・フィッティングでは、ダイオード・プロセス の品質が得られます。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-49のように、Is-Vsd曲線のグラフが表示されます。 図3-49では、X軸のソース電圧Vsdに対してY1軸にソース電流Ivが プロットされています。 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-48. Is-Vsdアプリケーション・テスト・セットアップ 97 ライン機能 マーカ 接線 図3-49. Is-Vsdアプリケーション・テストを使用したソース-ドレイン間ダイオード順方向特性 確認: 回転ノブを回すことにより、マーカを各ソース電流および電圧の読み取りに使用 できます。図のように[Line]機能を使用して線を引くことができます。例で は接線を使用しています。 サンプルIRFP2907のVsdの仕様は最大1.3 V(125 A)です。20 A曲線を外挿し てデータを読み取るのは困難ですが、ここでは問題ありません。 98 A'. 測定手順:Is-Vsdアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-48の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Is-Vsd]を選択します([Is-Vsd]をクリックします)。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:ISD-VSD_CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-50を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [ISD-VSD_CT](ISD-VSDクラシック・テスト)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルISD-VSD_CTクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:VDSを設定できます。 ドレインが掃引されることと、極性が負であることに注意してくだ さい。 ステップ9. VGSの定数を設定できます。VGSは通常0 Vです。 ステップ10. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 [AD Converter & ステップ11. [ADC/Integ] ボ タ ン を ク リ ッ ク す る と、 Integration Time Setup]ページが開きます。 99 ステップ12. 高速ADCの[Integration Time]を設定します。 HCSMUの パ ル ス・ モ ー ド で 使 用 す る 場 合、 最 大ADC時 間 は 1 msです。 ステップ13. [Pulse]ボタンをクリックすると、[Pulse Setup]サブウィン ドウが開きます。 ステップ14. HCSMUのパルス幅を設定できます。パルス幅の許容範囲は50 μs ∼ 1 msです。 ステップ15. [Function Setup]タブをクリックします。 [User Function]フィールドでIsとVsが定義されています。 ステップ16. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ17. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 アプリケーション・テストでユーザGUIで設定した場合と同様に、 Y1のスケール・フィールドでリニア/ログ表示スケールを設定で きます。 ステップ18. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ19. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ20. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 (Y2軸)のグラフ ステップ21. 図3-49のグラフと同じように、Id-Vgs曲線とgfs が表示されます。 注記: ステップ20およびステップ21は、図3-49のステップ7およびステッ プ8と同じです。図3-49のように、 [Maker]機能と[Line]機能 をオンにすることができます。 測定のヒント: このテストでは、負電圧に向けてドレインを掃引しますが、実際の出力は、ソー ス電圧および電流へのドレイン電圧および電流に変換されます。測定の最も簡 単な方法は、ソース端子へのソース掃引電圧の適用ですが、この方法では、ド レインからソースへのHCSMUが必要です。ここでは、ケーブル接続を変更せ ずに測定全体を効率良く進めるために、ドレインを掃引する方法を使用してい ます。 100 図3-50. ISD-VSD_CTクラシック・テスト・セットアップ (次ページに続く) 101 図3-50. ISD-VSD_CTクラシック・テスト・セットアップ 102 3-3. Id-Vds測定グループ2:高電圧 このセクションでは、Id-Vds測定グループを使用して以下の測定を行います。 V(BR)DSS IDSS ドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 ドレイン-ソース間漏れ電流 高電圧Id-Vds測定グループは、基本的にドレイン電圧または電流をプライマリ 掃引ソースとして掃引し、電流または電圧を測定します。このときゲート電圧 は0 Vに設定されます。パワー MOSFETのドレイン端子とドレインSMUの間に 保護抵抗が直列で挿入されて いる場合があります(図 保護抵抗(オプション) 3-51)。 電圧降下が無視できる場合、 直列保護抵抗による電圧降下 を補正する必要があります。 測定モード: 通常、Idssテストでは指定さ れた電圧で高抵抗領域の微小 電流を測定し、Vdssテストで は指定された電流で低抵抗領 域の電圧を測定します。Idss テストは電圧印加法を使用し て、Vdssテストは電流印加法 を使用して簡単に実行するこ とができます。 Vgss:電流印加電圧測定 Igss:電圧印加電流測定 図3-51: Id-Vd、高電圧グループ測定の基本的な構成 このセクションでは、アプリ ケーション・テストおよびク ラシック・テスト・グループの異なるテスト手法を使用して、これらのテスト を行います。 注記:安全規格 このテスト・グループは通常1 kVを超える高電圧を使用するため、測定器の操 作の安全を確保することが重要です。本書で使用するN1259Aテスト・フィク スチャは、B1505Aメインフレームと組み合わせた安全インターロック・シス テムを提供しています。 B1505AのSMUのいずれかが42 Vを超えると、フィクスチャのカバーが開いて いる場合、出力電圧がオフになります。すなわちインターロック・システムが 作動します。 カバーが閉じられていて出力が42 Vを超えると、フィクスチャ前面にある感電 警告ランプのLEDが赤色に点灯します。感電警告ランプが点灯しているときは フィクスチャを開けないでください。 103 3-3-1. アプリケーション・テストを使用したV(BR)DSSおよびIDSSの測定 測定パラメータ: V(BR)DSS IDSS ドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 ドレイン-ソース間漏れ電流 アプリケーション・テスト名:Id(off)-Vds R (Id (off)-Vds特性、保護抵抗をサ ポート) アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Id (off)-Vds R クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):なし サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS アプリケーションの概要: カットオフ領域のドレイン電流対ドレイン電圧特性を測定およびプロットし、 ブレークダウン電圧とカットオフ電流を抽出します。ドレイン・ブレークダウ ンが検出されると、ただちに測定が中止されます。 A. 測定手順:Id(off)-Vds Rアプリケーション・テスト(100 kΩ抵抗なし) N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続(100 kΩ保護抵抗なし) N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リードを図3-52のように接続します。ステップの番号は、図3-52のテスト・リー ドの接続図の番号に対応しています。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-1 の手順を使用してください。 [手順] (例:2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入 ステップ1. パワー MOSFET します。デバイスのピン名がソケットの番号 (図3-51)と一致する ようにしてください。 ステップ2. HPSMU1のフォース端子と1 kΩ抵抗の端子1を接続します。 ステップ3. HPSMU1のセンス端子と1 kΩ抵抗の端子1を接続します。 ステップ4. 1 kΩ抵抗の端子2とインライン・パッケージ・ソケットの端子1の フォース(ゲート)を接続します。 ステップ5. GNDU1のフォース端子とインライン・パッケージ・ソケットの端 子3のフォース(ソース)を接続します。 ステップ6. GNDU1のセンス端子とインライン・パッケージ・ソケットの端子3 のセンス(ソース)を接続します。 104 ステップ7. HVSMU1のフォース端子とインライン・パッケージ・ソケットの 端子2のフォース(ドレイン)を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続のヒント: 高電圧測定の場合、ステップ2のようにゲート端子付近に1 kΩ抵抗を直列に挿 入する必要はありません。なお、ケーブルを接続し直す手間を省くため、大電 流Id-Vd測定グループの場合と同じ接続にしてあります。 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-52. SMUとパワー MOSFETフィクスチャの間の接続 105 ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-53の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PO_MOS_smpl]カテゴリのチェックボックスをオンにします。 (off)-Vds R]を選択します([Id (off)-Vds R]をクリックし、 ステップ3、4.[Id 次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-53)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg固定パラメータを設定、通常は0 V。 c. ドレインSMUのセットアップ。HVSMUを選択。 d. Vd掃引条件の設定。 開始電圧は、Idssの指定した電圧付近の電圧を選択すると、テ ストを高速化できます。 停止電圧は、Vdssより高いものを選択します。 Idリミットは、Idss仕様よりもわずかに高く設定します。 ドレインの直列抵抗を使用しない場合、Vdstepは、掃引速度と Vdss検出確度の間の妥協ポイントになります。 e. ドレイン電圧を定義するVd@IdssをIdss測定用に、ドレイン電 流を定義するId@Vdssをドレイン・ブレークダウン電圧測定用 に設定します。 注記:ドレイン・ステップ電圧が非常に大きく、100 kΩ直列抵 抗が挿入されていない場合、Vdss測定確度が低下します。 f. 実際の構成に応じてドレイン抵抗の値を設定します。サンプル では「0 Ω」を選択しています。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。感電警告ランプ が赤色に点灯します。 インターロックされていない (例:フィクスチャのカバーがしっか りと閉じられていないなど)場合、測定が開始されず、警告メッセー ジが表示されます。 このような場合、インターロック・ケーブルが接続され、フィクス チャのカバーが閉じられていることを確認し、ステップ6を繰り返 します。 106 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-53. Id (off)-Vds Rアプリケーション・テスト・セットアップ ステップ8. 図3-54のように、Id-Vds曲線と抽出されたIdssおよびBVdssが表 示されます。 図3-54では、X軸のドレイン電圧Vdrainに対してリニア・ドレイン電流Idrain がY1軸、ログIdrainがY2軸にプロットされています。水平線がIdssの位置に引 かれ、マーカは補間法によって自動的にBVgssのポイントに配置されます。 確認: 抽出された結果は2SK2745LSの仕様と一致しています。BVdssは1.645 kVで、 仕様の1.5 kVより大きく、Idssは95 nAで、仕様より大幅に低くなっています。 ヒント: Idss測定の確度は、図3-55のようにホールド時間と遅延時間を適切に設定する ことによって向上します。最初のVdrainステップが大きい場合、ホールド時間 を追加してドレイン電圧のセトリングを待つことで、正確な測定が行えます。 遅延時間は各ドレイン電圧ステップを測定するまでの待機時間です。適切な待 機時間を追加することが重要です。 107 マーカ リスト表示 図3-54. IdssおよびBVdssブレークダウン・テスト(100 kΩ抵抗なし) 図3-55. ホールド時間と遅延時間の設定 108 A'.測定手順:Id(off)-Vds Rアプリケーション・テスト(100 kΩ抵抗なし) ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-53の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 (off) -Vds R]を選択します([Id(off)-Vds R]をクリックします)。 ステップ3. [Id ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 次のステップ:上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステッ プ5に進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:Id(off)-Vds Rアプリケーション・テスト(100 kΩ抵抗使用) N1259Aテスト・フィクスチャ内部の接続(100 kΩ保護抵抗使用) N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リードを図3-56のように接続します。ステップの番号は、図3-52のテスト・リー ドの接続図の番号に対応しています。 [手順] ステップ1 ∼ステップ6:これらのステップに関しては、前のセクションAの 図3-52のステップと同じですので、そちらを参照してください。 次に、以下のステップ7および8に従って配線を変更してください。 ステップ7. HVSMU1のフォース端子とN1279Aオプション022(100 kΩ)の端 子2を接続します。 (100 kΩ)の端子1とインライン・パッケー ステップ8. N1279Aオプション022 ジ・ソケットの端子2のフォース(ドレイン)を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 109 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-56. SMUとパワー MOSFETフィクスチャ間の接続(100 kΩ抵抗使用) 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-1 の手順を使用してください。 また、[Enable Series Resistor]チェックボックスをオンにしてください(付録セク ションの図A2-5を参照)。 ただし、このテスト終了後は必ずこのチェックボックスをオフにしてください。そ うしないと、100 kΩ抵抗が有効なままになり、他のテスト構成に影響する場合があ ります。 110 ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 テスト・セットアップのステップは前のセクションAまたは図3-53と同じです。 ただし、ステップ5-fだけは異なります(図3-57を参照)。 ここでは、ステップ5から説明します。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-57)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ゲートSMUのセットアップ b. Vg固定パラメータを設定、通常は0 V。 c. ドレインSMUのセットアップ。HVSMUを選択。 d. Vd掃引条件の設定。 開始電圧は、Idssの指定した電圧付近の電圧を選択すると、テ ストを高速化できます。 停止電圧は、Vdssより高いものを選択します。 Idリミットは、Idss仕様よりもわずかに高く設定します。 ドレインの直列抵抗を使用しない場合、Vdstepは、掃引速度と Vdss検出確度の間の妥協ポイントになります。 e. ドレイン電圧を定義するVd@IdssをIdss測定用に、ドレイン電 流を定義するId@Vdssをドレイン・ブレークダウン電圧測定用 に設定します。 ドレイン停止電圧が過度に高く、100 kΩ直列抵抗が挿入されて いない場合、Vdss測定確度が低下します。 f. 実際の構成に応じてドレイン抵抗の値を設定します。サンプル では「100 kΩ」を選択しています。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。感電警告ランプ が赤色に点灯します。 インターロックされていない (例:フィクスチャのカバーがしっか りと閉じられていないなど)場合、測定が開始されず、警告メッセー ジが表示されます。 このような場合、インターロック・ケーブルが接続され、フィクス チャのカバーが閉じられていることを確認し、ステップ6を繰り返 します。 ステップ8. 図3-58のように、Id-Vds曲線と抽出されたIdssおよびBVdssが表 示されます。 図3-58では、X軸のドレイン電圧Vdrainに対してリニア・ドレイン電流Idrain がY1軸、ログIdrainがY2軸にプロットされています。水平線がIdssの位置に引 かれ、マーカは補間法によって自動的にBVgssのポイントに配置されます。 111 図3-57. Id (off)-Vds Rアプリケーション・テスト・セットアップ(100 kΩドレイン抵抗使用) マーカ リスト表示 図3-58. IdssおよびBVdssブレークダウン・テスト(100 kΩ抵抗使用) 112 確認: 抽出された結果は2SK2745LSの仕様と一致しています。BVdssは1.648 kVで、 仕様の1.5 kVより大きいですが、前のセクションAの場合よりもわずかに高い 程度です。Idssは96 nAで、前のセクションAの場合と同じく仕様よりも大幅に 低い値です。 図3-59では、2つのグラフを重ね合わせてブレークダウン領域の違いを示してい ます。この違いは100 kΩ抵抗に起因するエラーによるもので、1 mAドレイン 電流で約100 Vの電圧降下が見られます。 100 kΩ抵抗を挿入すると、抵抗がない場合に比べてブレークダウン領域の測定 ポイントの数が増えますが、小さなエラーが発生することがあります。予期し ないブレークダウンや発振によるデバイスの損傷を防ぐには、100 kΩ抵抗を使 用することをお勧めします。 ヒント: Idss測定の確度は、図3-55のようにホールド時間と遅延時間を適切に設定する ことによって向上します。最初のVdrainステップが大きい場合、ホールド時間 を追加してドレイン電圧のセトリングを待機することで、正確な測定が行えま す。遅延時間は各ドレイン電圧ステップを測定するまでの待機時間です。適切 な待機時間を追加することが重要です。 100 kΩ抵抗使用、補正あり 100 kΩ抵抗なし 図3-59. 100 kΩ抵抗を使用する場合と使用しない場合の違い 113 3-3-2. クラシック・テストを使用したIDSS測定 測定パラメータ:IDSSドレイン-ソース間漏れ電流 クラシック・テスト・セットアップ名( [My Favorite Setup]->[Example_ CT]):Idss-Vds CT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続:セクション3-3-1 A(図3-52)を参照 (100 kΩ抵抗なし) 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-1 の手順を使用してください。 アプリケーションの概要: カットオフ領域のドレイン電流対ドレイン電圧特性を測定およびプロットし、 カットオフ電流、Idss (ゼロゲート電圧ドレイン電流)を抽出します。 基本的には、Idss測定とVdss測定には異なるテスト手法を使用します。 クラシック・テスト手法では、Idssテストには電圧印加電流測定の手法を使用 します。これは前のアプリケーション・テストと同じです。 A. 測定手順:Idss-Vds CTクラシック・テスト このテストではドレイン電圧の代わりにドレイン電流を掃引し、急激に変化す るドレイン・ブレークダウン特性を検出します。 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-60を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Idss-Vds CT]を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルIdss-Vds CTクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:IDSSを測定するための VDSを設定します。 V-Start、V-Stop、およびI-Complianceの値を入力します。Idss の 測 定 用 に、V-StopをVDSと 同 等 か そ れ 以 上 に 設 定 し ま す。 I-ComplianceをIDSSの仕様最大値と同等かそれ以上に設定します。 ステップ9. ステップの番号: 注記:この測定の「ヒント」を参照してください(例:5)。 114 ステップ10. VGS定電圧と電流コンプライアンスを設定できます。 ステップ11. ホールド時間と遅延時間を設定できます。ドレイン・キャパシタ ンスが1 nFより大きいか、スイング電圧が2 kVを超える場合以外 は、ホールド時間は通常10 msで十分です。 [A/D Converter & ステップ12. [ADC/Integ]ボタンをクリックすると、 Integration Time Setup]サブウィンドウが開きます。 ステップ13. 積分時間を設定できます。このテストでは高速ADCのみを使用し ます。 ステップ14. [Auto Analysis Setup]タブをクリックします。 ステップ15. Idssの検出用に自動マーカを設定できます。Idss測定用にドレイ ン電圧を設定します。 ステップ16. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ17. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 サンプルでは、広い範囲の電流を表示するためにリニアIDとログ IDの両方を設定しています。 ステップ18. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ19. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ20. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ21. 図3-61のように、ID-VDS曲線と抽出されたIdssが表示されます。 115 [Auto Analysis Setup]ページの下部。 図3-60. Idss-Vds CTクラシック・テスト・セットアップ 116 図3-61. ID-VGS曲線と抽出されたIdss 確認: 測定されたIdssは84 nAで、前のセクション3-3-1のデータとほとんど同じです。 データシートの仕様は100 μAで、実際の値はその約1/1000です。 ヒント: ステップ9で「ステップの番号」を5に設定しましたが、このテストはIdssを測 定するものなので、測定ポイントを1ポイントにまで減らし、ステップの番号を 1として同じ値で開始/停止できます。 117 3-3-3. クラシック・テストを使用したV(BR)DSS測定 測定パラメータ:V(BR)DSS、VDSSドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Vdss-Vds IF CT (Vdss-Vds電 流印加クラシック・テスト) サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続:セクション3-3-1 A(図3-52)を参照 (100 kΩ抵抗なし)。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-1 の手順を使用してください。 アプリケーションの概要: ブレークダウン領域のドレイン電流対ドレイン電圧特性を測定およびプロット し、ブレークダウン電圧を抽出します。 このテスト手法は、前のアプリケーション・テスト(測定用にドレイン電圧を掃 引する)とは異なります。 このテストでは、ドレイン電流を印加してドレイン・ブレークダウン電圧を測 定します。このテスト手法は、いくつかの電流ステップを直接印加して、急激 に変化するドレイン・ブレークダウン特性を検出するのに適しています。また、 より正確で迅速なテストが行えます。 A. 測定手順:Vdss-Vds IF(電流印加)CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-62を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Vdss-Vds IF CT](Vdss-Vds電流印加)を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルVdss-Vds IF CTクラシック・テスト・セット アップの[Channel Definition]ページが開きます。 [Channel Definition]ページでは、SMUとその測定機能のセッ トアップを行います。 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 [Unit]フィールドを適切に設 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 SMU4:HVはVAR1用にIモードに設定されていることに注意してく ださい。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. VAR1またはプライマリ掃引パラメータ:Vdssの測定用にStart-I、 Stop-IおよびV-Complianceを印加するためのIDを設定します。 Stop-Iを、ドレイン・ブレークダウン検出用に指定したドレイン電 流と同等かそれ以上に設定します。V-Complianceを予想されるブ レークダウン電圧より大きい値に設定します。 118 ステップ9. ステップの番号:このテストはIDSSを測定するので、2つのポイン トを設定し、ステップの番号を1として同じ値で開始/停止できま す(注記:サンプルではステップの番号は5)。この場合、必ず十分 な遅延時間を設定してください(ステップ11を参照)。 ステップ10. VGS定電圧と電流コンプライアンスを設定できます。 ステップ11. ホールド時間と遅延時間を設定できます。ドレイン・キャパシタ ンスが1 nFより大きいか、スイング電圧が2 kVを超える場合以外 は、ホールド時間は通常10 msで十分です。 ステップ12. [ADC/Integ]ボタンをクリックすると、[A/D Converter & Integration Time Setup]サブウィンドウが開きます。 ステップ13. 積分時間を設定できます。このテストでは高速ADCのみを使用し ます。 ステップ14. [Auto Analysis Setup]タブをクリックします。 ステップ15. BVdssの検出用に自動マーカを設定できます。BVdss測定用にド レイン電流仕様を設定します。 ステップ16. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ17. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 サンプルでは、広い範囲の電流を表示するためにリニアIDとログ IDの両方を設定しています。 ステップ18. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ19. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ20. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ21. 図3-63のように、ID-VDS曲線と抽出されたBVdssが表示されます。 119 注記:Iモード [Auto Analysis Setup]ページの下部。 図3-62. Vdss-Vds IF CTクラシック・テスト・セットアップ 120 図3-63. ブレークダウンID-VGS曲線と抽出されたBVdss 確認: 測定されたBVdssは1.644 kVで、前のセクション3-3-1のデータとほぼ同じで す。データシートの仕様は最小1.5 kV (Id=1 mA)で、この結果は仕様と一致し ています。 図3-63の拡大されたブレークダウン領域は、100 μA ∼ 1 mAにおける電圧の 変化がわずか3 Vであることを示しています。これは、このブレークダウン動作 を検出するために少なくとも1 VステップのVdステップ電圧が必要であること を示しています。また、100 kΩ抵抗なしでセクション3-3-1の手法を使用して ドレイン電圧を掃引する場合、長い時間が必要です。BVdssは、電流印加の手 法を使用するほうが、簡単に、迅速に、正確に測定できます。 ヒント: 1. ステップ9で「ステップの番号」を5に設定しましたが、このテストはIdssを 測定するものなので、測定ポイントを1ポイントにまで減らし、ステップの番号 を1として同じ値で開始/停止できます。 2. Quick Testを使えば、BVdssテストとIdssテストを一度に実行できます。 3. クラシック・テストはアプリケーション・テストに比べて多くのセットアップ・ ステップが必要ですが、クラシック・テストの方が、測定機能、測定パラメータ、 表示パラメータ、フォーマットなどのテスト・セットアップを見やすいユーザ・ インタフェースによって、より自由に変更できます。 121 3-4. キャパシタンス測定グループ: パワー MOSFETの次の3つのキャパシタンスは、通常、パワー MOSFETのデー タシートにリストされています。 Crss 逆伝達キャパシタンス Coss 出力キャパシタンス Ciss 入力キャパシタンス 図3-64に、パワー MOSFETの内部のキャパシタンス(ゲート-ドレイン間コンデ ンサCgd、ドレイン-ソース間コンデンサCds、ゲート-ソース間コンデンサCgs) を示します。 Crss、CossおよびCissキャパシタンスは、図のようにCgd、CdsおよびCgsコ ンポーネントを使用して計算できます。 このセクションでは、パワー MOSFETの内部の容量成分 (Cgd、Cds、および Cgs)の測定します。また、データシートの表現(Crss、Coss、Ciss)に変換する 方法、またはこれらが追加ハードウェアなしで簡単に測定できる場合、直接測定 する方法を紹介します。 MOSFETパラメータ: Coss: 出力キャパシタンス =Cds+Cgd Ciss: 入力キャパシタンス =Cgs+Cgd Crss: 逆伝達キャパシタンス =Cgd 図3-64. MOSFETの浮遊容量とMOSFETパラメータ 122 3-4-1. Cgd、Crssキャパシタンス測定 測定パラメータ: Cgd ゲート-ドレイン間キャパシタンス Crss 逆伝達キャパシタンス アプリケーション・テスト名:Cgd アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Cgd-Vd クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Cgd-Vd CT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS アプリケーションの概要: ゲート-ドレイン間キャパシタンス (Cgd)を測定し、Cgd-Vd特性をプロットし ます。 CgdはCrssと同じです。 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リード、SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ (図3-65)を図3-66のように 接続します。ステップの番号は、図3-66のテスト・リードおよびSHVケーブル の接続図の番号に対応しています。 ステップ1. パワー MOSFET (例:2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入 します。デバイスのピン名がソケットの番号 (図3-66)と一致する ようにしてください。 ステップ2. テスト・リードを使用して、AUX2外側シールド(GND)とインラ イン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を接続し ます。 注記: GNDへの接続は、MFCMUの下側の端子ガード(外側シールド)に 接続することと同じです。 ステップ3. テスト・リードを使用して、HVSMU1のフォース端子とDCバイア ス入力のフォース端子を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、HVSMU1のガード端子とDCバイアス 入力のガード端子を接続します。 ステップ5. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子2のフォース (ドレイン) を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子1のフォース (ゲート)を 接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-2 (図A2-7)の手順を使用してください。 123 テスト・リード SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ 図3-65. N1259Aテスト・フィクスチャ用のテスト・リード、SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-66. CgdおよびCrssキャパシタンス測定用の接続 124 A. 測定手順:Cgdアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-67の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PowerMOSFET]アプリケーション・テスト・カテゴリのチェッ クボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Cgd]を選択します([Cgd]をクリックし、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-67)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ドレインCMUのセットアップ(ここでは他の選択肢はありませ ん。) b. MFCMU DCバイアスHVSMU(VdBias)セットアップの設定 c. Vd(ドレイン電圧)掃引パラメータの設定 d. MFCMU測定パラメータの設定 e. ログCgd表示のためのY軸Cgd最小/最大スケールの設定 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-68のように、Cgd-Vdrainのグラフが表示されます。 図3-68では、X軸のドレイン電圧Vdrainに対してY軸にCgdがプロットされて います。 ヒント: 回転ノブを回すことにより、マーカを各Cgd値および電圧の読み取りに使用で きます。補間モードをオン状態にすると、2つの測定ポイントの間を読み取るこ とができます。 確認: 2SK3745LSのCrssの代表値は40 pF(30 V、測定周波数1 MHz)です。 マーカからの読み値は30.48pFです。測定曲線はデータシートの測定曲線と一 致しており、測定結果は良好です。 125 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-67. Cgdアプリケーション・テスト・ セットアップ マーカおよび補間のオン/オフ マーカ 図3-68. Cgdアプリケーション・テストからの Cgd-Vds出力 126 A'.測定手順:Cgd-Vdアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-67の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Cgd-Vd]を選択します([Cgd-Vd]をクリックします)。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:Cgd-Vd CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-69を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Cgd-Vd CT]を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルCgd-Vd CTクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Unit]フィールドを適切に設 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. [V Name]フィールドで、電圧ソース名を指定します。このサン プルでは、電圧ソースは[Channel Definition]で指定された HVSMUです。 ステップ9. 掃引パラメータを設定します。 ステップ10. MFCMUの測定周波数を設定します。 ステップ11. MFCMUのACテスト信号レベルを設定します。 ステップ12. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ13. MFCMUの積分時間を設定できます。 127 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 CV測定では、通常ログ・スケールはY軸のコンデンサの表示に使 用します。 ステップ16. [List Display]で[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ17. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ18. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ19. 図3-68と同じグラフが表示されます。 注記:ステップ18およびステップ19は、図3-68のステップ7およびステップ8と 同じです。 ヒント: クラシック・テスト定義では、測定パラメータを簡単に変更できます。 このサンプルには自動解析機能は含まれていませんが、自動マーカは簡単に追 加できます。これは30 V仕様ポイントに表示されます。 128 図3-69. Cgd-Vd CTクラシック・テスト・ セットアップ 129 3-4-2. Cdsキャパシタンス測定 測定パラメータ: Cds ドレイン-ソース間キャパシタンス アプリケーション・テスト名:Cds アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Cds-Vd クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Cds-Vd CT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS アプリケーションの概要: ドレイン-ソース間キャパシタンス(Cds)を測定し、Cds-Vd特性をプロットし ます。 ゲートとソースの両方をMFCMUの下側の測定端子に接続するか、またはCds およびCgdを追加することにより、Cdsアプリケーション・テストでCossを測 定できます。 Coss測定については、セクション3-4-3を参照してください。 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リード、SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ (図3-65)を図3-70のように 接続します。ステップの番号は、図3-70のテスト・リードおよびSHVケーブル の接続図の番号に対応しています。 ステップ1. パワー MOSFET (例:2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入 します。デバイスのピン名がソケットの番号 (図3-70)と一致する ようにしてください。 ステップ2. テスト・リードを使用して、AUX2外側シールド(GND)とインラ イン・パッケージ・ソケットの端子1のフォース (ゲート)を接続し ます。 注記: GNDへの接続は、MFCMUの下側の端子ガード(外側シールド)に 接続することと同じです。 ステップ3. テスト・リードを使用して、HVSMU1のフォース端子とDCバイア ス入力のフォース端子を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、HVSMU1のガード端子とDCバイアス 入力のガード端子を接続します。 ステップ5. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子2のフォース (ドレイン) を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を 接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-2 (図A2-8)の手順を使用してください。 130 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-70. Cdsキャパシタンス測定用の接続 131 A. 測定手順:Cdsアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-71の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PowerMOSFET]アプリケーション・テスト・カテゴリのチェッ クボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Cds]を選択します([Cds]をクリックし、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-71)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ドレインCMUのセットアップ(ここでは他の選択肢はありません) b. MFCMU DCバイアスHVSMU(VdBias)セットアップの設定 c. Vd(ドレイン電圧)掃引パラメータの設定 d. MFCMU測定パラメータの設定 e. ログCds表示のためのY軸Cds最小/最大スケールの設定 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-72のように、Cds-Vdrainのグラフが表示されます。 図3-72では、X軸のドレイン電圧Vdrainに対してY軸にCdsがプロットされて います。 ヒント: 回転ノブを回すことにより、マーカを各Cds値および電圧の読み取りに使用で きます。補間モードをオン状態にすると、2つの測定ポイントの間を読み取るこ とができます。 確認: 2SK3745LSデータシートにはCdsの仕様はありません。Coss出力キャパシタ ンスを計算するにはCdsおよびCgdを追加する必要があります。図3-72では、 Cdsをマーカの値から33.3 pFと読み取れます。これは[List Display]にも表 示されています。 サンプルのドレイン・バイアス30 VでのCds+Cgsは、33.3 pF+30.48 pF= 63.78 pFです。Coss仕様は70 pF(30 V、測定周波数1 MHz)なので、測定結果 は良好です。 132 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-71. Cdsアプリケーション・テスト・ セットアップ マーカおよび補間のオン/オフ マーカ 図3-72. Cdsアプリケーション・テストからの Cds-Vds出力 133 A'.測定手順:Cdsアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-71の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Cds-Vd]を選択します([Cds-Vd]をクリックします)。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:Cds-Vd CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-73を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Cds-Vd CT]を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルCds-Vd CTクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Unit]フィールドを適切に設 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. [V Name]フィールドで、電圧ソース名を指定します。このサン プルでは、電圧ソースは[Channel Definition]で指定された HVSMUです。 ステップ9. 掃引パラメータを設定します。 ステップ10. MFCMUの測定周波数を設定します。 ステップ11. MFCMUのACテスト信号レベルを設定します。 ステップ12. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ13. MFCMUの積分時間を設定できます。 134 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 CV測定では、通常ログ・スケールはY軸のコンデンサの表示に使 用します。 ステップ16. [List Display]で[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ17. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ18. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ19. 図3-72と同じグラフが表示されます。 注記:ステップ18およびステップ19は、図3-72のステップ7およびステップ8と 同じです。 ヒント: クラシック・テスト定義では、測定パラメータを簡単に変更できます。 このサンプルには自動解析機能は含まれていませんが、自動マーカは簡単に追 加でき、30 V仕様ポイントに表示されます。 135 図3-73. Cds-Vd CTクラシック・テスト・セットアップ 136 3-4-3. Cossキャパシタンス測定 測定パラメータ: Coss 出力キャパシタンス アプリケーション・テスト名:Cds アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Coss-Vd クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Coss-Vd CT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS アプリケーションの概要: ドレイン出力キャパシタンス(Coss)を測定し、Coss-Vd特性をプロットします。 ゲートとソースの両方をMFCMUの下側の測定端子に接続することにより、 Cdsアプリケーション・テストでCossを測定できます。 このセクションでは、My Favorite ApplicationのCoss-Vdsのテスト・セット アップを使用してCoss測定を行います。 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リード、SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ (図3-65)を図3-74のように 接続します。ステップの番号は、図3-74のテスト・リードおよびSHVケーブル の接続図の番号に対応しています。 ステップ1. パワー MOSFET (例:2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入 します。デバイスのピン名がソケットの番号 (図3-74)と一致する ようにしてください。 ステップ2. テスト・リードを使用して、インライン・パッケージ・ソケット内 で端子3のセンス (ソース) と端子1のフォース (ゲート) を接続します。 ステップ3. テスト・リードを使用して、HVSMU1のフォース端子とDCバイア ス入力のフォース端子を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、HVSMU1のガード端子とDCバイアス 入力のガード端子を接続します。 ステップ5. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子2のフォース (ドレイン) を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を 接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 注記:オプション300モジュール・セレクタを使用して測定を行う場合、付録A2-3-2 (図A2-9)の手順を使用してください。 137 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-74. Cossキャパシタンス測定用の接続 138 ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法は、My Favorite Setupに保存された定義済みのテスト・セッ トアップを使用して測定を開始します。 注記:Cossアプリケーション・テスト・ライブラリはありません。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-75の 「1. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Coss-Vd]を選択します([Coss-Vd]をクリックします)。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 Cossセットアップが表示されます。グラフィックが異なり、ガードの代わりに、 ゲートからソースへの接続の手順メモが追加されていることに注意してください。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-75)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ドレインCMUのセットアップ(ここでは他の選択肢はありません) b. MFCMU DCバイアスHVSMU(VdBias)セットアップの設定 c. Vd(ドレイン電圧)掃引パラメータの設定 d. MFCMU測定パラメータの設定 e. ログCgd表示のためのY軸Cgd最小/最大スケールの設定 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-76のように、Coss-Vdrainのグラフが表示されます。 図3-76では、X軸のドレイン電圧Vdrainに対してY軸にCossがプロットされて います。ただし、ラベルはCdsとなります。 ヒント: ステップ9. 回転ノブを回すことにより、マーカを各ドレイン電流および電圧の 読み取りに使用できます。補間モードをオン状態にすると、2つの 測定ポイントの間を読み取ることができます。 ステップ10. [X-Y Graph Plot]画面にコメントを入力することができます (図3-76)。 アプリケーション・テストの場合、スケール名の変更などのちょっ とした変更を反映させるには、手順がやや煩雑になります。この 場合、結果にメモが残されるコメント入力機能が役立ちます。 139 1. My Favorite Setupから開始 図3-75. Coss-Vdアプリケーション・テスト・セットアップ 確認: Cossは、元のCdsアプリケーション・テスト定義を変更することなく、既存の アプリケーション・テスト定義を使用して簡単に測定できます。 測定されたCossは63.7 pF(ドレイン・バイアス30 V、測定周波数1 MHz)です。 この値は、前の2つのテスト結果の合計と一致します。 前の測定のドレイン・バイアス30 VでのCds+Cgsは、33.3 pF+30.48 pF= 63.78 pFでした。 140 マーカおよび補間のオン/オフ マーカ 図3-76. Cdsアプリケーション・テストからのCoss-Vd出力 141 B. 測定手順:Coss-Vd CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ17については、図3-77を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Coss-Vd CT]を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルCoss-Vd CTクラシック・テスト・セットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Unit]フィールドを適切に設 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. [V Name]フィールドで、電圧ソース名を指定します。このサン プルでは、電圧ソースは[Channel Definition]で指定された HVSMUです。 ステップ9. 掃引パラメータを設定します。 ステップ10. MFCMUの測定周波数を設定します。 ステップ11. MFCMUのACテスト信号レベルを設定します。 ステップ12. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ13. MFCMUの積分時間を設定できます。 ステップ14. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ15. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 CV測定では、通常ログ・スケールはY軸のコンデンサの表示に使 用します。 ステップ16. [List Display]で、[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ17. Cossは、自動でマーカが配置された位置のY1軸として取得でき ます。 ステップ18. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 ステップ19. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ20. 図3-78と同じグラフが表示されます。 142 をクリックし 図3-77. Coss-Vd CTクラシック・テスト・セットアップ 143 確認: このサンプルではクラシック・テストの定義は非常に簡単に変更できます。こ のCoss-Vdクラシック・テスト定義は、CdsからCoutputに名前を変更し、自 動マーカ機能を加えただけです。Cossは、[Parameters]フィールドで直接読 み取ることができるため、いくつかのマウス操作を省略できます。 Coss値は、アプリケーション・テストの結果と一致しています。 抽出されたCoss マーカ 図3-78. Coss-Vd CT出力および抽出されたCoss 144 3-4-4. Cgs、Cissキャパシタンス測定 測定パラメータ: Cgs ゲート-ソース間キャパシタンス Ciss 入力キャパシタンス アプリケーション・テスト名:Cgs_Vd アプリケーション・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_AT]):Cgs_Vd クラシック・テスト・セットアップ名 ([My Favorite Setup]->[Example_CT]):Cgs-Vd CT サンプルで使用するデバイス:2SK3745LS アプリケーションの概要: ゲート-ソース間キャパシタンス(Cgs)を測定し、Cgs-Vd特性をプロットします。 ドレインSMUはACガードとして使用します。最大AC測定周波数は100 kHzに 制限されます。 Cissは、CgsとCgdを加えたものです。 測定周波数1 MHzで測定する場合には外部のコンデンサと抵抗の組み合わせが 必要なので、この例では測定周波数を100 kHzに制限しています。Agilentアプ リケーション・ノート『3000V/20Aにおける高精度かつ効率的なパワーデバイ ス特性評価』(Agilentカタログ番号5990-3749JAJP)の14ページを参照してく ださい。 シリコンのパワー MOSFETは測定周波数にほとんど依存性がないため、パワー MOSFETの浮遊容量は、1 MHzを使用するよりも100 kHzの方がより正確に測 定できます。 そのため本書では、追加ハードウェアを必要としない100 kHzでのCgsの測定 手法を紹介しています。 ACガード 高電圧 バイアス・ ティー AC信号 図3-79に、基本的なCgs-Vds測定ブロック のダイヤグラムを示します。ここではドレ インSMUがDCバイアスおよびACガードと して動作し、Cgdコンデンサを介してゲート からACテスト信号の一部が流れます。ゲー ト-ソース間のAC信号のみMFCMUによって 測定されます。AC測定信号が100 kHzより 大きい場合、SMUがACガードとして動作 せず、CgdおよびCdsを介して漏洩したエ ラー信号が測定エラーになります。詳細に ついては、付録セクションを参照してくだ さい。 図3-79. 基本的なCgs-Vds測定ブロックのダイヤグラム 145 N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のステップに従ってテスト・ リード、SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ (図3-65)を図3-80のように 接続します。ステップの番号は、図3-80のテスト・リードおよびSHVケーブル の接続図の番号に対応しています。 ステップ1. パワー MOSFET (例:2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入 します。デバイスのピン名がソケットの番号 (図3-80)と一致する ようにしてください。 ステップ2. テスト・リードを使用して、HPSMU1のフォース端子とインライン・ パッケージ・ソケットの端子2のフォース(ドレイン)を接続します。 ステップ3. テスト・リードを使用して、HPSMU1のセンス端子とインライン・ パッケージ・ソケットの端子2のセンス (ドレイン) を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、HVSMU1のフォース端子とDCバイア ス入力のフォース端子を接続します。 ステップ5. テスト・リードを使用して、HVSMU1のガード端子とDCバイアス 入力のガード端子を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を 接続します。 ステップ7. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子1のフォース (ゲート)を 接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 注記:オプション300モジュール・ セレクタを使用して測定を行う場 (図A2-10)の手順を 合、付録A2-3-2 使用してください。 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図3-80. Cgsキャパシタンス測定用の接続 146 A. 測定手順:Cgsアプリケーション・テスト ・アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して測定 を開始します。これはデフォルト設定パラメータから開始するため、要件に応 じて測定パラメータをカスタマイズする必要があります。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-81の「1. ア プリケーション・テスト・ライブラリから開始」に、同じ手順が番号順に示さ れています。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [PowerMOSFET]アプリケーション・テスト・カテゴリのチェッ クボックスをオンにします。 ステップ3、4.[Cgs_Vd]を選択します ([Cgs_Vd]をクリックし、次に[Select] をクリックします)。 ステップ5. B1505Aの構成と被試験デバイスに応じて、テスト・パラメータを 適切に設定します(図3-81)。 以下は重要なチェック・ポイントです。 a. ドレインSMUのセットアップ b. Vd(ドレイン電圧)掃引パラメータの設定 c. ゲート-ソース間CMUのセットアップ(ここでは他の選択肢はあ りません) d. MFCMU DCバイアスHVSMU(VdBias)セットアップの設定 e. Vgateを0 Vに設定 f. MFCMU測定パラメータの設定。 g. ログCgs表示のためのY軸Cgs最小/最大スケールの設定。 ステップ6. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選択 されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャのカ バーを閉じます。 測定を開始します (単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ7. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ8. 図3-82のように、Cgs-Vdsのグラフが表示されます。 図3-82では、X軸のドレイン電圧Vdsに対してY軸にCgsがプロットされています。 ヒント: 回転ノブを回すことにより、マーカを各ドレイン電流および電圧の読み取りに 使用できます。補間モードをオン状態にすると、2つの測定ポイントの間を読み 取ることができます。 確認: 2SK3745LSデータシートにはCgsの仕様はありません。Ciss出力キャパシタン スを計算するにはCgsとCgdを加算します。図3-82では、Cgsをマーカの値から 311 pFと読み取れます。これは[List Display]にも表示されています。 サンプルのドレイン・バイアス30 VでのCgs+Cgdは、311 pF+33.3 pF= 344.3 pFです。Ciss仕様は380 pF(30 V、測定周波数1 MHz)なので、測定結 果は良好です。 147 1. アプリケーション・テスト・ライブラリから開始 1'. My Favorite Setupから開始 に進む 図3-81. Cgs_Vdアプリケーション・ テスト・セットアップ マーカおよび補間のオン/オフ マーカ 図3-82. Cgs_Vdアプリケーション・テストからの Cgs-Vds出力 148 A'.測定手順:Cgsアプリケーション・テスト ・My Favorite Setupの定義済みテスト・セットアップからの開始 このテスト手法では、アプリケーション・テスト・ライブラリを使用して最初 から測定を始める代わりに、My Favorite Setupに保存された定義済みテスト・ セットアップを使用して測定を開始します。 以下のステップに従って、テストの設定を行い、実行します。図3-81の 「1'. My Favorite Setupから開始」に、同じ手順が番号順に示されています。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_AT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Cgs-Vd]を選択します([Cgs-Vd]をクリックします)。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 次に、上の「アプリケーション・テスト・ライブラリから開始」のステップ5に 進み、その後のステップを実行します。 B. 測定手順:Cgs-Vd CTクラシック・テスト 以下のステップ1 ∼ステップ16については、図3-83を参照してください。 ステップ1. [My Favorite Setup]のプリセット・グループをクリックします。 ステップ2. [Example_CT]プリセット・グループを選択します。 ステップ3. [Cgs-Vd CT]を選択します。 ステップ4. [Recall]ボタンをクリックします。 ステップ5. 定義済みのサンプルCgs-Vd CTクラシック・テストのセットアッ プの[Channel Definition]ページが開きます。 [Unit]フィールドを適切に設 ステップ6. B1505Aおよび接続状態に応じて、 定します。 SMU定義とパワー MOSFETのピンが互いに一致するように接続す る必要があります。 ステップ7. [Measurement Setup]タブをクリックします。 このページで測定パラメータを変更できます。 ステップ8. [V Name]フィールドで、電圧ソース名を指定します。このサン プルでは、電圧ソースは[Channel Definition]で指定された HVSMUです。 ステップ9. 掃引パラメータを設定します。 ステップ10. MFCMUの測定周波数を設定します。 ドレインSMUはACガードとして使用されているため、最大周波 数は100 kHzに制限されます。 ステップ11. MFCMUのACテスト信号レベルを設定します。 149 ステップ12. ホールド時間と遅延時間を設定できます。 ステップ13. ゲート・バイアス電圧を0 Vに設定します。 ステップ14. MFCMUの積分時間を設定できます。 ステップ15. [Range]ボタンをクリックします。[Range Setup]サブウィン ドウが開きます。 ステップ16. ドレイン用のSMU範囲を設定します。ドレインSMUはACガード として使用されるため、最小範囲は約1 mAになります。 ヒント:最小範囲の設定が小さすぎる場合、ACガードの性能が 低下します。この場合、ゲート-ドレイン-ソース間のパスからの 漏洩コンデンサ(エラー)がCgsパラメータに追加されます。 ステップ17. [Display Setup]タブをクリックします。 このページでは、測定結果の[X-Y Graph]、[List Display]、 [Parameters]を設定できます。 ステップ18. X-Yグラフとして表示するX軸とY軸(Y1、Y2など。最大Y8まで) を定義できます。 スケール・パラメータの[Log]または[Linear]を選択し、 [Min.] および[Max.]を設定します。 CV測定では、通常ログ・スケールはY軸のコンデンサの表示に使 用します。 ステップ19. [List Display]で[Display Graph]ウィンドウの[List]エ リアに表示される測定パラメータを設定します。 ステップ20. 「サンプルで使用するデバイス」に示されるデバイスが適切に選 択されていることを確認します。N1259Aテスト・フィクスチャ のカバーを閉じます。 測定を開始します(単一測定のボタン ます)。 をクリックし ステップ21. グラフ・ウィンドウが開いて測定が開始されます。 ステップ22. 図3-82と同じグラフが表示されます。 注記:ステップ21およびステップ22は、図3-82のステップ7およびステップ8と 同じです。 ヒント: クラシック・テスト定義では、測定パラメータを簡単に変更できます。 このサンプルには自動解析機能は含まれていませんが、自動マーカは簡単に追 加できます。これは30 V仕様ポイントに表示されます。 150 図3-83. Cgs-Vd CTクラシック・テスト・セットアップ 151 確認: 測定データは[List Display]フィールドか らスプレッド・シートにコピーできます。 図3-84にスプレッド・シートを使用してCgs とCgdを合計したCissを示します。 図3-84. Cissデータ(Ciss=Cgs+Cgd) リスト・データからデータをコピーする場合のヒント: リスト・データをクリップ・ボードにコピーする前に、[List Display]のプロ パティを変更する必要があります(図3-85)。 図3-85に示す手順に従ってください。 ステップ1. [List Display]の[Properties...]をクリックします。 ステップ2. [Physical Unit]チェックボックスのチェックを外します。 ステップ3. [Scientific Notation]チェックボックスをオンにします。 ステップ4. [OK]をクリックします。 ステップ5. [Edit]をクリックします。 ステップ6. [Edit]メニューから[Copy List]をクリックします。 これで、リスト・データをクリップ・ボードにコピーできます。 図3-85. スプレッドシート・アプリケーションにコピーするためのリストのプロパティの変更 152 付録 目次 付録1:測定の準備についての補足 A1-1. AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード A1-2. ワークスペースの管理ページに戻る手順 付録2:モジュール・セレクタを使用した測定の準備 A2-1. 測定例で使用する測定器とアクセサリ A2-2. B1505AとN1259Aテスト・フィクスチャとのケーブル接続 A2-3. N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 付録3:測定の基礎/ヒント A3-1. DC測定の基礎 A3-1-1. スポット測定と掃引測定:TBD A3-1-2. 大電流測定:発振の回避 A3-1-3. 高電圧測定 A3-2. パルスド測定 A3-2-1. 従来のパルスドIV A3-2-2. 代替1パルス・ソースI/V A3-2-3. 改善された2パルス・ソースI/V A3-3. CV測定の基礎 ACガードの手法 測定周波数とSMUガード 付録4:demo-B1505Aを返却する前に A4-1. 測定データの保存 A4-2. ワークスペースと測定データの削除 153 付録1:測定の準備についての補足 A1-1. AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード 以下の手順に従ってAgilentのWebサイトからサンプル・ファイルセットをダウ ンロードします。 手順: - Webサイト: www.agilent.co.jp/find/b1505a にアクセスして[Technical Support] に移動します。 『B1505A Step by Step Measurement Handbook for Power MOSFET Specs』のタイトルとzipファイルのアイコンを探します。 - ダウンロード: リンクをクリックすると「B1505A_AN_HB1_Library.zip」サンプル・ ファイルをダウンロードできます。 ダウンロードしたファイルをB1505Aの適切なフォルダに保存します (例:D:/tmpまたはdesktop)。 ファイルセットのEasyEXPERTソフトウェアへのインストールについては、本 編のセクション「2-5-2. EasyEXPERTソフトウェアへのサンプル・ファイルセッ トの設定」を参照してください。 154 A1-2.ワークスペースの管理ページに戻る手順 このセクションでは、使用中のEasyEXPERTワークスペースから「ワークスペー スの管理ページ」に戻る方法について説明します。本編の図2-13も参照してく ださい。 EasyEXPERTソフトウェアを起動すると、デフォルト設定ではワークスペース の管理ページが開きます(本編の図2-12)。 図A1-1に、EasyEXPERTのワークスペースの管理ページに戻る手順を示します。 以下のステップに従ってワークスペースの管理ページに戻ります。 ステップ1. EasyEXPERTソフトウェアのファイル・メニューを開きます。 ステップ2. [Close Workspace]を選択します。 OK/Cancelプロンプトが表示されます。 ステップ3. [Close Workspace]プロンプトで[OK]を選択します。 ワークスペースの管理ページが開きます。 ステップ4. [Choose the same workspace in the next time]チェックボッ クスのチェックを外します(図A1-2)。 1.[File]をクリック これで、次回のEasyEXPERTの起動時に、使用するワークスペー スをこのページで選択して開始することができます。 2.[Close Workspace] を選択 OK/Cancelプロンプト が表示される 3.[OK]をクリック ワークスペースの管理ページ 図A1-1. ワークスペースの管理ページに戻る手順 に戻る 4. チェックボックスのチェックを外す。 図A1-2. ワークスペースの管理ページ 155 付録2.モジュール・セレクタを使用した測定の準備 このセクションでは、N1259Aオプション300モジュール・セレクタを使用した 測定についての補足情報を提供します。構成は20 Aソリューション用です。 A2-1.測定例で使用する測定器とアクセサリ 図A2-1. サンプルで使用するB1505Aの20 A構成 B1505Aの20 A構成では、以下のモジュールを使用します。 Agilent B1505Aパワーデバイス・アナライザ/カーブトレーサ(20 A): • HVSMU(B1513A)高電圧SMU×1 • HCSMU(B1512A)大電流SMU×1 • HPSMU(B1510A)ハ イ・ パ ワ ー SMU×2( 注 記: サ ン プ ル で は1台 の HPSMUのみを使用) • MFCMU(B1520A)マルチ周波数CMU×1 以下に、B1505AとN1259Aの接続に使用するN1259Aテスト・フィクスチャ の構成とケーブルを示します。 Agilent N1259Aハイ・パワー・テスト・フィクスチャ: • オプション020高電圧バイアス・ティー • オプション300モジュール・セレクタ(オプション:モジュール・セレクタの 使用については付録の該当セクションを参照) • オプション010インライン・パッケージ・ソケット・モジュール(3ピン) • オプション022 100 kΩ Rボックス(オプション) • オプション033 1 kΩ Rボックス •(N1259Aにはテスト・リード×10、SHVケーブル×2、SHVバナナ・アダプ タが付属) 156 ケーブル: • 16493S HCSMUケーブル×1 • 16493T HVトライアキシャル・ケーブル×1 • 16494Aトライアキシャル・ケーブル×4 • 16493L GNDUケーブル×1 • N1300A CMUケーブル×1 • 16493Jインターロック・ケーブル×1 • 16493GデジタルI/Oケーブル×1 16493T HVトライアキシャル・ケーブル 16494Aトライアキシャル・ケーブル N1300A CMUケーブル 16493T HCSMUケーブル 16493Jインターロック・ケーブル 16493GデジタルI/Oケーブル (N1259Aオプション300用 オプション) 図A2-2. B1505AとN1259Aの接続に使用するケーブル 157 A2-2.B1505AとN1259Aテスト・フィクスチャとのケーブル接続 測定を開始する前に、図A2-3のようにB1505AとN1259Aをケーブルで接続し ます。 図A2-4に、各ステップのブレークダウンについて、ケーブルの写真とコネクタ の位置を示します。 これらの接続はすべての測定例で使用します。この構成を変更する必要はあり ません。 HCSMU1台構成(20 A)とオプション300モジュール・セレクタの接続 B1505Aの背面 N1259Aの背面 トライアキシャル 同軸 接続しない 同軸 トライアキシャル 図A2-3. モジュール・セレクタを使用する測定のための全接続 ステップ1: 16493GデジタルI/Oケーブルを使用して、B1505AのデジタルI/Oコネクタと N1259Aテスト・フィクスチャのデジタルI/Oコネクタを接続します。 ステップ2: 16493Jインターロック・ケーブルを使用して、B1505Aのインターロック端子 とN1259Aのインターロック端子を接続します。 ヒント: インターロック・ケーブルを接続するには、ケーブル端子のプラスティック部 分を持って、測定器方向に押しながら回します (本編の図2-8参照)。 インターロック・ケーブルの接続を外すには、ケーブル端子の金属部分を持って、 引きながら回します。 158 ステップ3: 16493L GNDUケーブルを使用して、B1505AのGNDU端子とN1259Aの GNDU1入力端子を接続します。 ステップ4: 16494Aトライアキシャル・ケーブル2本を使用して、下側のB1510A HPSMU (SMU1)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1259AのHPSMU1のそれぞ れの入力端子を接続します。 注記: HPSMUは、2本 の ト ラ イ ア キ シ ャ ル・ ケ ー ブ ル を ペ ア で 使 用 し ま す。 HCSMUケーブルは、一見HPSMUケーブルに似ていますが、同軸ケーブル とトライアキシャル・ケーブルのペアになっています。 これらのケーブルを混同しないように注意してください。 ステップ5: 16494Aトライアキシャル・ケーブル2本を使用して、上側のB1510A HPSMU (SMU2)とN1259AのHPSMU2を接続します。 ステップ6: N1300A CMUケーブルを使用して、B1520A CMUとN1259AのMF CMU入力 のそれぞれのコネクタ(Hcur、Hpot、Lcur、Lpot)を接続します。 注記:円形端子の付いた緑色のケーブルは接続せずにそのままにします。 ステップ7: 16493S HCSMUケーブルを使用して、B1512A HCSMUのフォースおよびセン ス・コネクタと、N1259AのHCSMU1入力のそれぞれのコネクタを接続します。 注記: HCSMUケーブルは、同軸ケーブルとトライアキシャル・ケーブルのペアです。 HPSMUケーブルの場合、2本のトライアキシャル・ケーブルのペアです。こ れらのケーブルを混同しないように注意してください。 ステップ8: 16493T HVトライアキシャル・ケーブルを使用して、B1513A HVSMUのフォー ス・コネクタとN1259AのHVSMU1入力端子を接続します。 ステップ9: 電源ケーブルをフィクスチャに接続します。 159 ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5 N1259Aの上部ブロック ステップ6 ステップ7 同軸 トライアキシャル ステップ8 図A2-4. 20 A構成のケーブル接続の詳細 160 同軸 トライアキシャル 重要 測定を開始する前に、モジュール・セレクタの設定を確認してください。設定 が図A2-5のセットアップと異なる場合、図と同様になるようにセットアップし 直してください。 以下のようにモジュール・セレクタの構成を変更できます。 1. 画面右側にある構成ボタン をクリックします。 2.[Module Selector]タブを選択します。 a.[Enable Module Selector]チェックボックスをオンにします。 b.[Auto Detection]チェックボックスをオンにします。 c.[Enable Series Resistor]チェックボックスのチェックを外します。 ヒント: N1259Aテスト・フィクスチャには、このステータスを示すインジケータは ありません。そのため、この機能を使用した後は、B1505Aを後で使用した ときに予期しないテスト結果が出るのを回避するために、このチェックボッ クスのチェックを外しておくことをお勧めします。 d. SMUモジュールを確認します。 e.[Apply]をクリックします。 3. 変更が終了した後、[Apply]ボタンをクリックします。 4.[Close]をクリックします。 このセットアップでは、N1259AのステータスLEDは現在の接続ステータスを 表示します。 図A2-5. モジュール・セレクタを使用する測定のための[Module Selector]のセットアップ 161 A2-3.N1259Aテスト・フィクスチャ内の接続 A2-3-1.DC測定 すべてのDC測定は、図A2-6の接続を使用します。 [手順] N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のようにテスト・リード を接続します。接続図の番号は手順のステップ番号に対応しています。 ステップ1. デバイス(2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入します。 ステップ2. HPSMU2のフォース端子と1 kΩ抵抗の端子1を接続します。 ステップ3. 1 kΩ抵抗の端子2とインライン・パッケージ・ソケットの端子1の フォース(ゲート)を接続します。 ステップ4. モジュール・セレクタ出力のハイ・フォース端子とインライン・パッ ケージ・ソケットの端子2のフォース(ドレイン)を接続します。 ステップ5. モジュール・セレクタ出力のハイ・センス端子とインライン・パッ ケージ・ソケットの端子2のセンス(ドレイン)を接続します。 ステップ6. モジュール・セレクタ出力のロー・フォース端子とインライン・パッ ケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース) を接続します。 ステップ7. モジュール・セレクタ出力のロー・センス端子とインライン・パッ ケージ・ソケットの端子3のセンス(ソース)を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 図A2-6. DC測定用の接続 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 162 A2-3-2.キャパシタンス測定 測定パラメータに応じて以下の接続を使用します。 CgdおよびCrss測定: N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のようにテスト・リード およびSHVケーブルを接続します。図A2-7の接続図を参照してください。接続 図の番号は手順のステップ番号に対応しています。 ステップ1. デバイス(2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入します。 ステップ2. テスト・リードを使用して、AUX2外側シールド(GND)とインラ イン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を接続し ます。 ステップ3. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・セ ンス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・フォー ス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ5. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・ガー ド端子とDCバイアス入力のガード端子を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子1のフォース (ゲート)を 接続します。 ステップ7. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子2のフォース (ドレイン) を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 図A2-7. CgdおよびCrssキャパシ タンス測定用の接続 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 163 Cds測定 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のようにテスト・リード およびSHVケーブルを接続します。図A2-8の接続図を参照してください。接続 図の番号は手順のステップ番号に対応しています。 ステップ1. デバイス(2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入します。 ステップ2. テスト・リードを使用して、AUX2外側シールド(GND)とインラ イン・パッケージ・ソケットの端子1のフォース (ゲート)を接続し ます。 ステップ3. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・セ ンス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・フォー ス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ5. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・ガー ド端子とDCバイアス入力のガード端子を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を 接続します。 ステップ7. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子2のフォース (ドレイン) を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図A2-8. Cdsキャパシタンス測定用の接続 164 Coss測定 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のようにテスト・リード およびSHVケーブルを接続します。図A2-9の接続図を参照してください。接続 図の番号は手順のステップ番号に対応しています。 ステップ1. デバイス(2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入します。 ステップ2. テスト・リードを使用して、インライン・パッケージ・ソケット内 で端子3のフォース (ゲート) と端子3のセンス (ソース) を接続します。 ステップ3. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・セ ンス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・フォー ス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ5. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・ガー ド端子とDCバイアス入力のガード端子を接続します。 ステップ6. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を 接続します。 ステップ7. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子2のフォース (ドレイン) を接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図A2-9. Cossキャパシタンス測定用の接続 165 CgsおよびCiss接続 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを外し、以下のようにテスト・リード およびSHVケーブルを接続します。図A2-10の接続図を参照してください。接 続図の番号は手順のステップ番号に対応しています。 ステップ1. デバイス(2SK3745LS)をN1259Aのソケットに挿入します。 ステップ2. HPSMU2のフォース端子とインライン・パッケージ・ソケットの 端子2のフォース(ドレイン)を接続します。 ステップ3. HPSMU2のセンス端子とインライン・パッケージ・ソケットの端 子2のセンス(ドレイン)を接続します。 ステップ4. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・セ ンス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ5. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・フォー ス端子とDCバイアス入力のフォース端子を接続します。 ステップ6. テスト・リードを使用して、モジュール・セレクタ出力のハイ・ガー ド端子とDCバイアス入力のガード端子を接続します。 ステップ7. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのロー出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子3のフォース (ソース)を 接続します。 ステップ8. SHVケーブルおよびアダプタを使用して、MFCMUのハイ出力と インライン・パッケージ・ソケットの端子1のフォース (ゲート)を 接続します。 N1259Aテスト・フィクスチャのカバーを閉じます。 1:ゲート 2:ドレイン 3:ソース 図A2-10. Cgsキャパシタンス測定用の接続 166 付録3.測定の基礎/ヒント B1505Aを使用してパワー MOSFETを測定する際に役立つヒントをいくつか紹 介します。 パワー MOSFETの主要なテストは2つに分類できます。1つは大電流性能にお ける特性評価、もう1つは高電圧特性評価です。 大電流測定では、考慮すべき点が2つあります。1つ はゲート端子への直列抵抗の挿入です(図A3-1)。こ れは、パワー MOSFETの高gm動作領域でよく見ら れる発振を抑制し、安定した測定を実現するのが目 的です。 デバイスの発振を 防止するための抵抗 もう1つは、パワー MOSFETの自己発熱の影響を減 らすためのパルスド測定に関するものです。従来の パルスドId-VdまたはId-Vg測定は、ゲートにパルス を入力し、ドレインにDC電圧を印加することによっ て行われます。B1505Aの場合、HCSMUがパルス ド電圧または電流を出力できるのは測定電流が1 A よりも大きい場合であることを考慮し、HCSMUの パルス機能を使用してドレインにパルスを入力する のが最も簡単な方法です。サイズの小さいパワー MOSFETでもこの構成で問題ありません。後のセク ションでは、大電流パワー MOSFETの評価で役立つ 測定のヒントを紹介しています。 図A3-1. ゲートSMUとゲートの間に挿入された オプション033直列抵抗 保護抵抗 高電圧測定では、ドレインとドレインSMUの間に抵 抗を直列に挿入して、デバイスのブレークダウン時 の損傷を防止することがあります。N1259Aテスト・ フィクスチャには、オプション22として100 kΩ抵 抗が搭載されています。この抵抗による電圧降下を 補正する方法を解説します。 図A3-2. ドレインとドレインHVSMUの間に挿入された オプション022直列抵抗 167 A3-1 DC測定の基礎 パワー MOSFETのDC測定は、大まかに大電流特性と高電圧(またはブレークダ ウン)特性の2つの動作領域に分類されます。 A3-1-1 SMU:スポットおよび掃引測定 Vソース・モード 出力スイッチ Iソース・モード B1505AのDC測定(SMU使用)は、SMUとグランド・ユニッ ト (GNDU)の間で、電圧または電流のいずれかを印加し て電圧または電流を測定する方法を用います。これは、電 圧を印加して電流を測定するか、電流を印加して電圧を測 定することにより、SMUでスポット測定を非常に簡単に 行うことができることを意味します。この機能は、 掃引デー タが不要な場合に、多くのデバイスをテストする際の測定 スループットを高速化するのに役立ちます。 図A3-3. SMUを使用したDC測定 ドレインの プライマリ掃引 および電流測定 ゲートの ステップ電圧 Id-Vd掃引 図A3-4. SMUを使用した測定 168 図A3-4に、 い く つ か のSMUを 使 用 し た 場 合 の パ ワ ー MOSFETのId-Vd測定例を示します。ここではドレイン がプライマリ掃引として掃引され、各ドレイン掃引に対 してゲートがセカンダリ掃引としてステップ変化してい ます。ドレインSMUは電圧を掃引し、ドレインからの電 流を測定します。ゲートSMUにはステップ電圧を入力し ます。必要に応じて、各ドレイン掃引に対するゲート電 流がSMUによって測定されます。 電流センシング抵抗と 電圧計 ドレイン電流に 変換 コレクタ供給電圧 ゲートのステップ電圧 ステップ・ ジェネレータ コレクタ供給電圧 ドレイン 電圧 負荷直線 Id-Vd掃引 従来のカーブトレーサ 図A3-5に、従来のアナログ・カーブトレー サとその等価回路の測定例を示します。 従来のカーブトレーサは、電流センシン グ抵抗「R」を介してドレイン電圧を供 給するため、ドレインに入力される実際 の電圧はコレクタ供給電圧とは異なりま す。図では、青色の実線が、コレクタ供 給電圧と電流センシング抵抗によって決 定された負荷直線で分断されています。 負荷直線は、Vd=Vc_max-Id×Rで表さ れます。負荷直線の右側の赤色の破線は、 電流センシング抵抗による電圧降下を示 しています。これは、コレクタ供給電圧 を手動で調整しない限りドレインに正確 な電圧を適用するのは不可能であること を示しており、従来のカーブトレーサを 使用すると自動測定が制限される大きな 要因になっています。 抵抗による 電圧降下のため、 この領域は 測定されない 図A3-5. 従来のカーブトレーサの測定 SMUの場合、セットアップで指定したす べての領域 (図A3-4)を制限なしで測定で 100 Wパワー・コンプライアンス線 きます。電流センシング抵抗による電圧 降下は、パワー MOSFETに供給される 電力を制限するのに役立つ場合もありま す。この場合、B1505Aのパワー・コン プライアンス機能が使用できます (図A3-6)。 図A3-6. B1505Aのパワー・コンプライアンス 169 A3-1-2 大電流測定のヒント:発振の防止 大電流測定には図A3-1の接続を使用することをお勧めします。ここでは、 パワー MOSFETの高gm動作領域で測定(通常は大電流条件)する際に、ゲートSMUと ゲートの間に1 kΩ抵抗を直列に挿入して、FETの発振を低減しています。 図A3-7に、図A3-1のAC等価回路の図について、発振条件に焦点を絞ったもの を示します。発振条件には、接続ケーブルの寄生インダクタンス、SMUの出力 インピーダンス、パワー MOSFETの容量が含まれます。この図は発振条件を理 解するには非常に複雑に見えますが、回路シミュレータを使用すれば、発振を 低減するための一般的な解決法が得られます。 ゲートSMU パワー MOSFET ケーブル ケーブル ドレインSMU 図A3-7. 図A3-1のAC等価回路 ヒント: • パワー MOSFETのgmを低減。 • ゲートに接続されるインダクタンスを低減。 • ドレインに接続されるインダクタンスを低減。 • ゲートに接続される抵抗を増加。 図A3-8. パワー MOSFETの発振条件を低減するためのヒント 発振を低減するための回路シミュレータから得られる4つのヒントを、以下に要 約します。 1. パワー MOSFETのgmを低減。 2. ゲートに接続されるインダクタンスを低減。 SMUケーブルの長さを短くし、ルーティングを変更して、広いSMU電流範 囲を使用することで可能になります。 3. ドレインに接続されるインダクタンスを低減。 SMUケーブルの長さを短くし、ルーティングを変更して、広いSMU電流範 囲を使用することで可能になります。 4. ゲートに接続される抵抗を増加。 ゲートに抵抗を直列に挿入することで可能になります。 発振を低減するためのこれらの項目は、過去の経験から得られたものです。また、 ゲートへの抵抗の挿入は最も効果的なソリューションですので、最初に試すこ とをお勧めします。1 kΩ直列抵抗による電圧降下は、パワー MOSFETの非常 に小さいゲート電流を考慮すると、ほとんどのケースで無視してもかまわない ため、ゲートに1 kΩ抵抗を追加しても問題はありません(パワー MOSFETの過 渡応答を確認する場合を除く)。 170 A3-1-3 高電圧測定 パワー MOSFETの高電圧アプリケーションで最も頻繁に測定されるパラメータ は、ドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 (V (BR)DSS)とドレイン-ソース間 漏れ電流(IDSS)です。 スポット測定 これらのパラメータを測定する最も簡単で高速な方法は、スポット測定です (図A3-9)。 IDSSは、指定した電圧を印加して電流を読み取ることにより測定できます (図A3-9(a))。V (BR)DSSは、指定した電流を印加することにより測定できま す(図A3-9(b))。 スポット測定は最も簡単な方法ですが、これらのテストは通常、電圧掃引測定 を使用して行われます。この場合、正確で高速な測定を実現するには、適切な 電圧掃引方式を用いることが重要です。 ドレイン電流 ドレイン電流 電圧印加電流測定 電流印加電圧測定 ドレイン電圧 (a)ドレイン-ソース間漏れ電流(IDSS) ドレイン電圧 (b)ドレイン-ソース間ブレークダウン電圧 図A3-9. スポット電流/電圧印加測定モードを使用した高電圧測定 回転ノブによる掃引と保護抵抗 デバイス特性が未知であり、テストに使用できるデバイスのサンプル数が限ら れている場合、測定に最大の注意を払う必要があります。このような場合に対 して2つの測定ヒントがあります。1つは、トレーサ・テスト・モードでの回転 ノブによる掃引機能の使用で、表示されるデータをモニタしながらリアルタイ ムで対話的に掃引を制御できます。もう1つは、ドレインへの100 kΩ抵抗の挿 入です。 ドレインに挿入された100 kΩ直列抵抗(図A3-2)は、デバイスのブレークダウ ンや発振などの予期しない動作からデバイスを保護するのに有用です。 ドレイン電流と抵抗による電圧降下は、クラシック・テスト・モードのUSER FUNCTIONを使用して補正できます。この例は後のセクションで紹介します。 ただし、この補正方法はトレーサ・テスト・モードでの回転ノブによる掃引に は使用できません。 171 A3-2 パルスド測定 パワーデバイスは、テスト中の自己発熱を防ぐために、通常はパルスを使用し てテストされます。異なるタイミングの異なる製造ロットでデータを比較する 場合や、工場のQA部門とエンド・ユーザによる受入れ検査などの異なる場所で データ比較する場合、デバイスを安定した条件でテストすることが非常に重要 です。 パルスド測定は、デバイスのテスト中の温度上昇を抑えるための手法です。基 本的には、データ比較時に1つのエラー・コンポーネントを低減します。 A3-2-1 従来のパルスドIV パルスド測定では、測定セットアップが正しい方法で行われ、同じ測定パラメー タが使用されている場合、安定した結果が得られます。図A3-10に、Id-Vgおよ びId-Vd測定のパルスド測定に使用する従来の手法を示します。ここでは、ゲー トにパルスが入力されています。 このテスト手法の原点は、バイポーラ・トランジスタの時代までさかのぼります。 バイポーラ・トランジスタは、通常の動作条件でコレクタ電圧がない場合にバ イアスが0になります。これは、コレクタ電圧が0のときに大きなベース電流が ゲートに流れるためです。 電圧 電圧 測定Id 測定Id 時間 (a)Id-Vg測定 図A3-10. ゲートにパルスを適用する従来の1パルス・ソース「パルスドI/V」 172 時間 (b)Id-Vd測定 A3-2-2 代替1パルス・ソースI/V 図A3-11に、1つのパルス・ソースしか使用できない場合のHCSMUを使用した 代替パルスド測定の手法を示します。この手法は、比較的低gmのFETに適して います。 図A3-12に、図A3-11の測定手法を使用して高gm、大電流のパワー MOSFET を測定する場合のゲート信号に焦点を絞った測定回路の動作を示します。 電圧 電圧 測定Id 測定Id 時間 時間 (a)代替パルスドId-Vg測定 (b)代替パルスドId-Vd測定 図A3-11. ドレインに入力されるHCSMUパルスを使用した代替1パルス・ソースI/V HCUパルスによって生成された過渡電流と、比較的大きなCrss逆伝達キャパシ タンスは、パワー MOSFETの動作を安定させるために挿入された1 kΩ抵抗に よって、ゲート信号内のスパイク状ノイズに変換されます。通常のゲート・バ イアスに追加されたこのスパイク状電圧 (図A3-12 (b))はFETに向かって反射 し、ドレイン電流が通常の動作条件より増大します。 ドレイン・パルスは、 Crssを介してゲート電圧 を増大します。 ゲートにはスパイク状 ノイズが生成されます。 DCステップ ドレイン・パルス から生じた スパイク状ノイズ 電圧 ドレイン・パルス 時間 (a)パルスド測定の等価回路 (b)パルスのタイミング・チャート 図A3-12. 大電流および高gmのパワー MOSFETの測定 173 図A3-13に、FETから要求された電流がHCSMUの電流コンプライアンスを超 過し、ドレイン電圧がユーザの予想よりも低い電圧に制限された場合の例を示 します。 ゲート・スパイク ゲート・スパイクがあるため、 ドレインSMUが電流コンプライアンス を超えそうになってもドレイン・ パルスは急上昇しません。 DCステップ ドレイン・パルス FETのId要求 HCSMUの 電流コンプライアンス ドレイン電流 図A3-13. ドレイン・パルスによってゲート電圧が急上昇(スパイク状)したことによる、ドレイン電流の予期しない増大 図A3-14に、図A3-11の手法を使用して測定された異常なプロット(太線)を示 します。ゲート・バイアスはDCです。また、次に説明する改善された手法を使 用して測定された正常な出力(細線)も示します。図A3-14はゲートのスパイク 状ノイズと解釈することもできます。スパイク状ノイズは、赤い丸で囲まれた 領域でHCSMUの電流コンプライアンスのレベルに匹敵するか超えるまでドレ イン電流を増大しています。HCSMUが電流コンプライアンスのステータスを 検出すると、測定は中断されます。 正常なプロット 異常なプロット: DCゲート・バイアス 図A3-14. 高gmパワー MOSFETの異常なプロット(太線) 174 A3-2-3 改善された2パルス・ソースI/V 図A3-15に、B1505Aの改善されたパルスドIV手法を示します。ここでは、パワー MOSFETのドレインとゲートの両方にパルスが使用されます。図A3-16に、追 加されたドレイン・パルスからのゲート・パルスとパルス状ノイズの両方のゲー ト信号を示します。ドレインからのスパイク状ノイズがゲート・パルスのベース・ レベルに追加されますが、これは一般的にゲート信号のパルス・レベルには表 れないため、ゲートには明らかなノイズ信号は生じません。 電圧 電圧 測定Id 測定Id 時間 (a)改善されたパルスドId-Vg測定 時間 (b)改善されたパルスドId-Vd測定 図A3-15. ドレインとゲートの両方にパルスを使用する、改善された2パルス・ソースI/V ドレイン・パルス ゲート・パルス 図A3-16. ドレインとゲートの両方へのパルスは 通常、過剰なスパイク状ノイズを抑制 パワー MOSFETのすべてのパルスドI/V測定にこの手法を使用することをお勧 めします。従来の手法でもパルスをゲートに使用しますし、この手法であれば B1505AのパルスドI/V測定をより簡単に、エラーなく実行できます。 175 A3-3 CV測定の基礎 図A3-17に、MOSFETの浮遊容量(Cds、Cgd、およびCgs)を示します。これ らのコンポーネントはB1505Aを使用して測定できます。B1505A高電圧バイ アス・ティー・アダプタを使用すれば、マルチ周波数キャパシタンス測定ユニッ ト(MFCMU)をHVSMUとともに使用して容量測定を最大3000 VのDCバイア スで行うことが可能になり、これらの浮遊容量の測定が容易になります。 一般に、パワー MOSFETの仕様/データシートの容量は、入力キャパシタンス がCiss、出力キャパシタンスがCoss、逆伝達キャパシタンスがCrssとして記載 されています。通常、これらのパラメータは、Cds、Cgs、Cgdから図A3-17の 式を使用して計算されます。 ある容量をMOSFETのようなサークル・チェーンに接続された他のコンポーネ ントとは別に測定する場合、ACガードの手法を使用することをお勧めします。 MOSFETパラメータ: Coss: 出力キャパシタンス =Cds+Cgd Ciss: 入力キャパシタンス =Cgs+Cgd Crss: 逆伝達キャパシタンス =Cgd 図A3-17. MOSFETの浮遊容量とMOSFETパラメータ 176 ACガード手法 図A3-18に、MFCMUとハイ、ロー、およびガード端子の基本的なブロック図 を示します。ここで、ガードは基本的に回路のコモン電位になります。「V」は AC出力信号のベクトル電圧で、「i」はロー端子に流れるベクトル電流です。 測定されたインピーダンスはZ=V/iまたはC=1/ (2×pi×f×Z)で表されます (fはAC信号周波数)。図では、3つのコンデンサC1、C2、C3も示されています。 C1とC2はガードに接続されています。 AC信号i1はコンデンサC1を通過してガード端子に流れ、AC信号源に戻ります。 このときACメータは通過しません。C1を通過する信号はACメータによって測 定されないため、C1は測定対象と見なされません。C2の場合、ガードとロー端 子の間に電位が存在しないため、信号は通過しません。C1と同様にACメータ によって電流が測定されることもありません。C3を通過するi3だけがACメー タによって測定されます。また、これはMFCMUで測定済みのキャパシタンス としてC3に変換されます。 C1とC2がガードに接続されていない場合、C1とC2を流れる電流はACメータ によって測定され、追加のキャパシタンスとしてカウントされます。 この方法では、ガードの手法を効果的に使用して容量を区別できます。 ハイ AC信号 Z=V/i ZC3=V/i3または C3=i3/(2×pi×f×V) DCバイアス ガード 回路 コモン ACメータ ロー 図A3-18. MFCMUの基本的なCV測定のブロック図 177 測定周波数とSMUガード 従来は、半導体デバイスの容量の測定には1 MHzテスト信号が使用されました。 浮遊コンデンサを抽出する場合、100 kHzテスト信号を使用すれば、テストを より簡単に、正確に行うことができます。例として、図A3-19にCgs測定用の等 価回路を示します。これには、SMU測定ケーブルのインダクタンスLsmuと、ガー ド目的で追加されたDCブロッキングおよびACバイパス・コンデンサCguardが 含まれています。 ハイ DCブロッキングおよび ACバイパス・コンデンサ SMUケーブル のインダクタンス Lsmu AC信号 DCバイアス エラー 1 Aまたは100 mA コンプライアンス 回路コモン ガード ACメータ ロー 図A3-19. Cgs測定のヒント Cgsを測定する場合、Cgsを通過するAC信号のみを測定して、ドレイン端子に 分岐する他の信号はガード接点に戻るようにするのが理想です。図では、2つの パスがあります。1つはドレイン・バイアスSMUを通過します。もう1つは Cguardです。1 MHzのAC測定周波数を使用する場合、約1 μFのコンデンサ Cguardが必要です。しかし、AC測定周波数を100 kHzまで下げた場合、1 μF コンデンサの接続を外し、SMUに直接接続することができます。 AC測定周波数を1 MHzから100 kHzまで下げる場合、コンデンサのインピーダ ンスが10倍に増加し、ケーブルのインダクタンスのインピーダンスは1/10に減 少します。そのためコンデンサのインダクタンスに対するインピーダンス比は 100倍になります。 1 μFコンデンサと3 μHインダクタンス(SMUケーブルのインダクタンスを考 慮した大まかな数値)のインピーダンスは、いずれもほぼ100 kHzです。これは、 SMU電位とガード電位が100 kHzでほぼ同じであるという前提で、ドレイン SMUがCguardと同じ機能を発揮すると考えることができます。 浮遊容量成分が大きくなると、Cdgを通過するエラー信号が大きくなり、測定 確度が低下することに注意してください。このような場合、SMUを使用して AC測定周波数を下げると効果的です。 178 100 kHz以下のテスト信号でSMUのガード機能を検証する場合、図A3-20の接 続を使用したCdsパラメータを測定するための実験として、ACガードとSMU ガード測定の間のゲート接続を切り替えることにより比較が行われます 図A3-21に、Cds測定によるSMUのガード機能の検証の一例を示します。ここで、 太線はACガードのデータで、細線はSMUガードのデータです。 拡大図から、約1.5 %の差があることがわかります。ガードに接続していない キャパシタンスは約300 pF大きい値を示しており、測定周波数が100 kHz未満 の場合、SMUガードの場合でもガード手法がうまく機能すると結論づけること ができます。 注記:ケーブルとコンデンサの共振周波数はMHzの範囲にあり、エラーが 100 kHz以上の過大なものになるため、SMUガード手法は100 kHz未満の測定 信号でのみ有効です。 ハイ AC信号 回路 コモン DCバイアス ACガード ACメータ SMU ガード ロー 1 Aコンプライアンス SMUケーブル(3 m)の インダクタンス 図A3-20. ACガードとSMUガードの切り替え実験 ACガード SMUガード 図A3-21. 100 kHz測定信号でのCdsデータの比較 179 付録4:demo-B1505Aを返却する前に 本書の測定例をAgilent demo-B1505Aで行った場合、測定データを将来の参 照用に保存し、demo-B1505AをAgilentに返却する前に操作履歴を削除するこ とが必要になる場合があります。 このセクションでは、そのための情報を提供します。 A4-1.測定データの保存 測定データは、いくつかのフォーマットで保存できます。 このセクションでは、EasyEXPERTフォーマットでデータを保存する方法を紹 介します。これにより、B1505AまたはDesktop EasyEXPERTにデータをイ ンポートできます。インポートしたデータは非常に柔軟に管理することができ ます。 Desktop EasyEXPERTソフトウェアは、ダウンロードして、Windows® PCに インストールできます。 測定データをEasyEXPERTフォーマットでエクスポートする場合、本書のアプ リ ケ ー シ ョ ン・ テ ス ト・ ラ イ ブ ラ リ は 元 の ま ま に し て お い て く だ さ い。 Desktop EasyEXPERTソフトウェアにデータをアップロードするときに、親 アプリケーション・ライブラリがEasyEXPERTソフトウェアにインストールさ れていない場合、測定データをインポートする前にアプリケーション・テスト・ ライブラリをインストールしておく必要があります。 [エクスポートの手順] 以下の手順に従ってください(図A4-1も参照) 。図A4-1の番号は以下のステップ 番号に対応しています。 ステップ1. 上向きの矢印をクリックして[Results]エリアを拡げます。 ステップ2. 図A4-1の右側のように[Results]エリアが拡大します。 ステップ3. エクスポートするデータを選択します。選択されたデータは図のよ うにバックグランド・カラーが青色に変わります。 ステップ4. [Results]バーを左クリックします。 結果エリアのメニューが開きます。 ステップ5. [Transport Data]を選択します。 次のメニューが表示されます。 ステップ6. [Export As Compressed Test Result ...]を選択します。 [Compressed Test Result Export]エクスプローラが開きます。 ファイル名を入力し、適切な記録メディアにデータを保存します。 注記:ここで保存するデータは、本書で使用したサンプルの結果データのフォー マットと同じです。 このデータを別のEasyEXPERTソフトウェアで開く場合、同じ手順を使用して ください。 180 図A4-1. [Results]エリアを拡大して測定データのセットを選択 181 A4-2.ワークスペースと測定データの削除 ワークスペースの管理ページからワークスペースを削除するだけで、demoB1505Aから履歴も削除できます。 ワークスペースの管理ページは、標準の起動プロセスか、付録のセクション A1-2の方法で開きます。 図A4-2に、既存のワークスペースを削除する手順を示します。 以下の手順に従ってください。以下のステップ番号は図A4-2の番号に対応して います。 データを一度削除すると、回復する手段がありませんので、この作業は慎重に 行ってください。 [削除の手順] ステップ1. [Your Workspaces:]チェックボックスをオンにします。 ステップ2. [Manage Workspace]ボタンをクリックします。 ステップ3. [Workspace Manager]サブウィンドウが開きます。 ステップ4. [Available Workspaces:]のリストからワークスペース名を選択 します。 ステップ5. [Delete]ボタンをクリックします。[Confirmation]サブウィン ドウが表示されます。 ステップ6. [Confirmation]サブウィンドウで、[OK]ボタンをクリックし ます。 EasyEXPERTから、ワークスペースと関連するデータおよびセットアップが削 除されます。 図A4-2. EasyEXPERTからの既存のワークスペースの削除 182
© Copyright 2024