Clinical Case Study Interpretation of HIV Serologic Testing Results Vinay S. Mahajan1, Christine A. Pace2 and Petr Jarolim1,* 1 2 Departments of Pathology and Internal Medicine, Brigham and Women's Hospital, Boston, MA. * Address correspondence to this author at: Department of Pathology, Brigham and Women's Hospital, 75 Francis St., Boston, MA 02115. Fax 617-731-4872; e-mail [email protected]. 臨床症例研究 血清 HIV 検査結果の解釈について 症例 患者は、肥満、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、アレルギー性鼻炎、および抑うつ病の経過観察の定期検診のため に、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院を訪れた 33 歳の男性だ。彼は夜間、持続的陽圧呼吸装置とロラタジ ン、デュロキセチン、およびフルチカゾンのスプレー式点鼻薬を受けていた。患者はボストン在住で、国外に 出たことはないという。また、静脈麻薬の使用や高リスクな性行動の経験はないと言い、血液製剤も受けたこ とはないと言う。インフルエンザワクチンは、六ヶ月前に接種したということであった。2 型糖尿病と脂質異 常症の検査が行われ、CDC(疾病対策予防センター)の勧告により、ルーチン検査に含まれている HIV 検査も 患者に提示された(1)。シエメンズ・ヘルスケア・ダイアグノスティクス社製の ADVIA Centaur 分析器で HIV 検査(HIV 1/O/2 Enhanced (EHIV))を行ったところ、陽性反応が見られた。メーカーのアッセイプロトコルに 従い、反応が見られた検査サンプルを遠心分離機にかけて正副 2 通で再分析したところ、どちらにも陽性反応 が見られた。ウェスタンブロット法による確認分析を行ったところ、判定は「不確定」と出た。ウェスタンブ ロット解析(GS Western HIV-1; Bio-Rad Laboratories)に単独で p24 のバンドが見られたため、HIV 初期のセロコ ンバージョンが疑われた。 疑問点 1 1. HIV の血清検査において偽陽性判定を出しうる要因としては、どのようなものが考えられるだろうか。 2. ウェスタンブロット解析において「不確定」判定を出しうる要因としては、どのようなものが考えら れるだろうか。 3. ウェスタンブロット解析で、不確定判定が出た患者の評価をするにあたっては、どういった病歴確認 や検査が有益だろうか。 考察 今回行われたシエメンズ社製の EHIV スクリーンは、二重抗原結合する微小粒子を用いた化学発光による定量 分析法である。このスクリーンで検出できるのは、p24、gp41、1 型 HIV の gp120、2 型 HIV の gp36、および O 群 1 型 HIV の合成ペプチドなどに対する抗体である(図 1 を参照)。陽性反応が出た場合は、上記の抗体があ ると見て間違いない(ただし、抗体のアイソタイプおよび亜綱に関しては無差別である)。こういった第三次 の HIV 免疫解析の分析感度や分析特性は、改良に次ぐ改良のおかげでずいぶんと高まってきたが、偽陽性判定 が出る可能性は未だに残っている。こういった血清学的 HIV 検査における偽陽性判定は、多くの場合は患者が 最近インフルエンザワクチンを接種したり、偶発的にウイルスに感染していたりする場合に起こるとされてい る(2、3)。その他にこういったスクリーンにおいて偽陽性判定を出し得る要因としては、自己免疫疾患、腎 不全、のう胞性繊維症(CF)、多胎妊娠、輸血、肝臓の疾患、薬物の非経口乱用、血液透析、および B 型肝炎 や狂犬病に対するワクチンの接種、などが報告されている(4)。よって、HIV スクリーンにおいて陽性反応 が見られた場合、更に特異性の高い確認検査を行う必要がある。 2 図 1. 血清学的 HIV 検査は、複数の HIV 抗原を用いて行う。HIV 抗体が検出された場合、HIV 感染の判定が出る。 HIV 抗体は二重抗原結合微粒子の免疫解析(左)にかけられたのち、個別に WB 法(右)で確認検査にかけら れる。今回の患者の WB 法解析結果は、一番右に表示されてある。 血清学的 HIV 検査の陽性反応の確認を行うのには、大抵 WB 解析が用いられる。こういった場合の WB 解析は、 ウイルス性溶解物や HIV の組み換えタンパクを用いて、患者の血清中の抗体の抗原特異性を調べるために使わ れる。米国でもっとも多発する HIV は、1 型 HIV だ。この患者は 2 型 HIV がまん延している西アフリカなどの 地域に旅行したことがなかったので、1 型 HIV の確認検査が薦められた。1 型 HIV の WB 解析を行ったところ、 gp160、gp120、p65、p55、gp41、p40、p31、および p24 に対する抗原特異性が検出された。WB 解析のプロト コルでは、env4 (gp160, エンベロープ糖タンパク質) によってコードされる gp41 および gp120/160 のバンド に対する反応性が見られれば、検査結果は陽性であるとされている。あるいは、上記の env のバンドのどちら かに反応し、更に gag [Pr55(Gag)]によってコードされる p24 のバンドに対して反応した場合も陽性とされる。 この検査における陽性判定は、HIV 感染に対して非常に特異的である(5)。以上の定義だと、陰性検体は上 記のバンドのどれも示さないということになる。バンドは見られるが解析結果が陽性判定のプロファイルと一 致しない場合は、判定は「不確定」となる。今回の患者の WB 解析も、著しい p24 バンドとぼんやりとした p40 バンドが見られたため「不確定」となる(図 1 を参照)。 3 一般的に、HIV ウイルスに暴露されてから 3 週間は経たなければ、第三次 HIV 免疫解析で検出可能なレベルの 抗体価は出来上がらないとされている。この 3 週間の期間のことを、セロコンバージョンのウィンドウ期と呼 ぶ。感染経過の中でも p24 に対する抗体は比較的初期に出来上がるため、ウィンドウ期中の患者の不確定 WB 解析には単独の p24 バンドが見られる(6)。ウィンドウ期中の患者の HIV スクリーンや確認検査には、一般 的に定性的逆転写 PCR 解析が用いられる。この手法では、短いところで暴露から 10 日しか経過していなくて も、スクリーンは陽性判定を出す(7)。比較的珍しい遺伝子型の HIV 感染の疑惑が浮上した場合は、NAT (拡散増幅)検査を行う。この検査は新生児の HIV スクリーンにおいては、母親の抗体による干渉が生じるた めに特に重要である。感染初期のセロコンバージョンのほかにも、2 型 HIV 感染や進行したエイズなどでも、 WB 解析が「不確定」と出ることがある(6)。インフルエンザワクチンの接種、肝炎および狂犬病などにも 注意する必要がある。また、ヒト細胞白血病感染の際に作られる抗体は HIV 抗原に対して交差反応を示すため、 「不確定」判定の要因となり得る。更に、ヒト以外のウイルスにさらされる動物飼育係などのスクリーンでも、 同様の結果が報告されている。交差反応とは別に、WB 解析の HIV 抗原の調合中に抗体が非特異的に非ウイル ス性細胞成分に結合すれば、同じく「不確定」判定につながる可能性がある。こういった現象は、頻繁に輸血 を受ける患者、麻薬常用者、肝臓病を患っている患者、多胎妊娠を経た患者、リウマチ因子を持つ患者、リン パ腫の患者、多発性硬化症(MS)の患者、自己免疫疾患を持つ患者、急速血漿レアギン試験で陽性と出た患 者、および長期的に血液透析を受けてきた患者などに見られる(6)。 われわれは HIV 検査の経過観察と NAT 検査の予定を入れるべく、患者に連絡を取った。しかし質問を重ねて いくうちに、患者が五年以上前に、実験的な HIV ワクチンを接種していたことがわかった。HIV ワクチンには 大抵、gag または env によってコードされているタンパク質が含まれている(両方の場合もある)。細胞性免 疫反応を引き起こすことを狙ったワクチンは、体液性免疫反応も引き起こすことがあり、結果血清反応を陽性 にしてしまう場合もある。ある調査の報告では、Gag のワクチンを接種した患者の WB 解析には、大概 p24 や p40、および p55 のバンドが見られたと報告されている(8)。そういった WB 解析のプロファイルは大抵「不 確定」となるが、中には HIV 検査で陽性判定を受ける HIV ワクチンを接種した患者もいる。このような患者の 診断は、時に困難を極める。 HIV ワクチンを接種した患者の HIV 検査の結果は、間違った解釈をされやすく、患者にとっても社会的影響は 芳しくない(9)。ワクチンの臨床試験の多くは盲検化されているため、患者も研究者も患者が実験的ワクチ ンを接種したのか、プラシーボを接種したのか分からない場合が多い。ワクチンによって引き起こされた血清 の陽性反応に対する対応は、注意して行わなければ臨床試験の盲検性を破り、データの正当性を損なってしま う危険性がある。よって、ワクチンの臨床試験の参加者の HIV 検査はおおむね匿名化し、データを損なわずに 診断を下せるプロトコルがある専用施設で行われる。ワクチンを接種した患者の HIV 検査は、NAT 検査によっ て確認する必要がある。 ワクチンの臨床試験の参加者は、研究グループが行う HIV 検査しか受けないよう指示を受けるが、こういった 臨床試験の経過観察の期間は数十年にもわたることもあるので、参加した患者は研究グループの指示をすべて 覚えてないこともある。そのため、米・国立アレルギー感染病研究所(NIAID)は、国立衛生研究所(NIH)が 出資するワクチンの臨床試験の参加者すべてに対し、カウンセリング用のフリーダイアル番号と、試験参加の 4 記録となる ID カードを提供している(9)。過去二十年のうちに行われた HIV の実験的ワクチンの臨床試験の 数は相当なものにのぼり、HIV 検査に参加するワクチンを接種した患者の数も徐々に増えてきている。この傾 向は、特に最近タイで行われた HIV ワクチンの臨床試験の芳しい結果報告などを考慮すると、これからは更に 強まるのではないかと思われる(10)。臨床試験の施設外での HIV 検査の結果の間違った解釈を防ぐためにも、 臨床試験の研究グループは地元の臨床医や検査室などと連携をとるべきである。 今回のケースでは、NAT 検査は延期され、われわれはワクチンの研究グループに連絡をとり、研究グループは 研究プロトコルにのっとって、患者の検査結果の解釈や経過観察、およびカウンセリングを行うことになった。 このような手順をとれば、患者も研究者も、患者がプラシーボを接種したのか実験的ワクチンを接種したのか を知ることができるため、研究データの盲検性を保つことができる。 覚えておくべきポイント • 血清学的 HIV 検査における偽陽性判定は、最近のインフルエンザワクチンの接種、偶発的なウイルス 感染、自己免疫疾患、腎不全、のう胞性繊維症(CF)、多胎妊娠、輸血、肝臓の疾患、非経口薬物の乱用、血 液透析、および B 型肝炎や狂犬病に対するワクチンの接種などによって引き起こされている可能性がある。 • WB 解析における不確定判定は、(HIV 感染初期に見られるような)抗体価の低い 1 型 HIV に対する抗 体や、進行したエイズ、珍しいタイプの HIV による感染、および実験的 HIV ワクチンの接種などによって引き 起こされ得ることが報告されている。その他にも、HIV 抗原と交差反応を見せる(偶発的ウイルス感染や、イ ンフルエンザ・肝炎・狂犬病などに対するワクチンの接種などを受けた患者によく見られる)抗体がある場合 や、WB 解析の非ウイルス成分に結合する抗体があれば、不確定判定となる(こちらは、自己免疫疾患、多胎 妊娠、および度重なる輸血などと関連している)。 • WB 解析で不確定判定が出た場合は、HIV 感染初期のセロコンバージョンの可能性を除外するためにも、 定性的 NAT 検査を行うべきだ。また 2 週間から 4 週間後に、再度、免疫解析と WB 解析を行うべきであろう。 米、食品医薬品局(FDA)は HIV の診断用の定量的ウイルス量検査を認可していないが、急性 HIV 感染の患者 の場合、ウイルス量は 5000 コピー/mL より多いことはないだろう。WB 解析のプロファイルの変化がなく、抗 体スクリーンで持続的な陽性反応が見られる場合は、おそらく患者は HIV に感染していない。 • 血清学的 HIV 検査において、偽陽性判定を出しうる実験的 HIV ワクチンを接種された患者が、HIV 検査 を受けるという事例が増えている。可能な限りそのような患者の検査は、ワクチンの研究グループの指示に従 って行うべきだ。研究グループのプロトコルに従えば、検査の結果を誤解せずに済み、研究データの正当性を 損なう心配もない。 脚注 5 3 Nonstandard abbreviations: WB, western blot(ウェスタンブロット法); NAT, nucleic acid testing (核酸増幅検査). 4 Genes: env, gp160, envelope glycoprotein [HIV-1 gene]; gag, Pr55(Gag) [HIV-1 gene]. Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures of Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the Disclosures of Potential Conflict of Interest form. Potential conflicts of interest: Employment or Leadership: None declared. Consultant or Advisory Role: P. Jarolim, Gerson Lehrman Group and T2 Biosystems. Stock Ownership: None declared. Honoraria: P. Jarolim, Siemens Healthcare Diagnostics and Ortho Clinical Diagnostics. Research Funding: P. Jarolim, Siemens Healthcare Diagnostics and Roche Diagnostics. Expert Testimony: None declared. Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and interpretation of data, or preparation or approval of manuscript. Received for publication October 26, 2009. Accepted for publication March 22, 2010. 参考文献 1. Branson BM, Handsfield HH, Lampe MA, Janssen RS, Taylor AW, Lyss SB, Clark JE. Revised recommendations for HIV testing of adults, adolescents, and pregnant women in health-care settings. MMWR Recomm Rep 2006;55(RR-14):1– 17. 2. Erickson CP, McNiff T, Klausner JD. Influenza vaccination and false positive HIV results. N Engl J Med 2006;354:1422–3. 3. Simonsen L, Buffington J, Shapiro CN, Holman RC, Strine TW, Grossman BJ, et al. Multiple false reactions in viral antibody screening assays after influenza vaccination. Am J Epidemiol 1995;141:1089–96. 6 4. Celum CL, Coombs RW, Jones M, Murphy V, Fisher L, Grant C, et al. Risk factors for repeatedly reactive HIV-1 EIA and indeterminate western blots. A population-based case-control study. Arch Intern Med 1994;154:1129–37. 5. Interpretive criteria used to report western blot results for HIV-1-antibody testing—United States. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 1991;40:692–5. 6. Guan M. Frequency, causes, and new challenges of indeterminate results in Western blot confirmatory testing for antibodies to human immunodeficiency virus. Clin Vaccine Immunol 2007;14:649–59. 7. Feinberg MB. Changing the natural history of HIV disease. Lancet 1996;348:239–46. 8. Quirk EK, Mogg R, Brown DD, Lally MA, Mehrotra DV, DiNubile MJ, Robertson MN. HIV seroconversion without infection after receipt of adenovirus-vectored HIV type 1 vaccine. Clin Infect Dis 2008;47:1593–9. 9. Allen M, Lau CY. Social impact of preventive HIV vaccine clinical trial participation: a model of prevention, assessment and intervention. Soc Sci Med 2008;66:945–51. 10. Rerks-Ngarm S, Pitisuttithum P, Nitayaphan S, Kaewkungwal J, Chiu J, Paris R, et al. Vaccination with ALVAC and AIDSVAX to prevent HIV-1 infection in Thailand. N Engl J Med 2009;361:2209–20. 論説 Frederick S. Nolte* Department of Pathology and Laboratory Medicine, Medical University of South Carolina, Charleston, SC. * Address correspondence to the author at: Medical University of South Carolina, Pathology and Laboratory Medicine, 165 Ashley Ave., Suite 309, MSC 908, Charleston, SC 29425. Fax 843-792-7060; e-mail [email protected]. 今回のケースで、HIV 抗体スクリーンにおいて偽陽性判定が出た場合、考慮すべき要因がまた一つ増えたと言 えるだろう。WB 解析の結果の解釈は、注意して行う必要がある。HIV 検査が(米・疾病対策予防センターが 推奨するとおりに)ルーチンケアに組み込まれていけばいくほど、HIV 検査の結果を短時間で効果的に確認す る手段がより重要になってくる。 一般的に、1 型 HIV の RNA に対する NAT 検査のほうが WB 解析に比べて普及率が高く、コストも低く不確定 判定も出ないため有用とされている。1 型 HIV の診断における定量的 NAT 検査の使用は、まだ FDA に認可され ていないが、NAT 検査はもう何年も急性 HIV 感染の疑いがある患者の評価には使用されてきた。急性 HIV 感染 の患者のウイルス量は、大抵 1mL につきコピーが 10 万から 100 万個あり、結果の解釈で問題が起きることは 基本的にない。ウイルス量検査における偽陽性判定の報告は、すべて同じ検査(シエメンズ・ヘルスケア・ダ イアグノスティクス社、Versant bDNA 検査)を行った際に見られたもので、ウイルス量は 1mL につき 1 万コ ピー以下と出ている。 7 現在感染の診断における使用が認可されている NAT 検査は、Gen-Probe 社の APTIMA HIV-1 RNA Qualitative Assay のみだ。この NAT 検査は新生児のウイルス感染や急性ウイルス感染の診断に使われるほか、抗体スクリーン の陽性判定の確認検査として使用されたり、WB 解析の不確定判定の確認に使われる。著者たちも書いていた ように、今回のケースでもワクチン接種の情報が入るまでは、次は NAT 検査を行う予定になっていた。 稀に 1 型 HIV に感染するが、エイズへの進行が遅かったりなかったりする患者がいる。そういった患者の診断 も、また違った面で困難だといえるだろう。長期未発症感染者が 1 型 HIV に対する抗体を持っていることを証 明するのは簡単だが、こういった患者の 1 型 HIV の RNA 量は、臨床検査室で使用できる解析方法では検出で きないほど低いことが多い。ウイルス血症のコントローラのウイルス量は、低いが検出しやすい。しかし、エ リートコントローラと呼ばれるコントローラがある場合は、HIV のウイルス量はかなり抑圧されるため、分析 感度がとても高い解析手法を用いなければウイルスを検出することはできない。 脚注 Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures of Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the Disclosures of Potential Conflict of Interest form. Potential conflicts of interest: Employment or Leadership: None declared. Consultant or Advisory Role: F.S. Nolte, Gen-Probe and Abbott Molecular. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: None declared. Expert Testimony: None declared. Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and interpretation of data, or preparation or approval of manuscript. Received for publication July 23, 2010. Accepted for publication August 2, 2010. 論説 8 Bernard M. Branson* National Center for HIV/AIDS, Viral Hepatitis, STD, and TB Prevention, CDC, Atlanta, GA. * Address correspondence to the author at: National Center for HIV/AIDS, Viral Hepatitis, STD, and TB Prevention, 1600 Clifton Rd., N.E., Atlanta, GA 30333. Fax 404-639-0897; e-mail [email protected]. 今回のケースのような事例も、HIV スクリーン検査がルーチンケアに組み込まれていくに連れて増えていくこ とだろう。感染者ではない患者の HIV スクリーン解析による持続的な陽性反応や、WB 解析における不確定判 定のほとんどが、患者の抗体と HIV p24 抗原が非特異的に交差反応するため起こるのである。しかし、免疫グ ロブリン M(IgM)に対して敏感な、シエメンズ社の EHIV のような第三次スクリーン検査は、WB 解析のバン ドが現れるのより二週間も早くから抗体を検出し始めるので、WB 解析における不確定判定は、最近の HIV 感 染によって引き起こされている可能性もある。大概 HIV 感染後、WB 解析において最初に現れるのは、p24 や gp41 のバンドである。更にこういったケースの診断を難しくするのが、インフルエンザのワクチンの接種が、 HIV スクリーンにおける偽陽性判定や WB 解析における不確定判定につながりうるという報告だ。しかし、原 因がインフルエンザワクチンにあるケースであれば、WB 解析の結果は gp160(前駆体)や gp41(膜貫通)タ ンパクと反応するはずである。というのも、1 型 HIV のエンベロープタンパクの膜貫通分子と、インフルエン ザのエンベロープタンパクの赤球凝集素(HA)の相同性は驚くほど高い。患者の症状や病歴に HIV の標準的 な危険因子が見られない場合も、WB 解析で不確定判定が出た場合は、患者が HIV に感染していないことを確 かめることは大事である。最近の観測によれば、ルーチン検査で HIV 感染が確認される患者のおよそ 50%が、 標準的な危険因子を見せない患者であるという。WB 解析における不確定判定を解明するには、定性的 RNA 診 断検査か、定量的 RNA ウイルス量検査を使用し HIV の RNA がないことを確認するか、あるいは 4 週間後に再 度 WB 解析を行う必要がある。HIV の RNA が検出されない場合や、WB 解析を 4 週間以上置きに何度行っても 不確定判定が出る場合は、患者に HIV 感染の心配はないと伝えることが出来る。 (訳者:小野富大) 脚注 Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures of Potential Conflicts of Interest: No authors declared any potential conflicts of interest. Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and interpretation of data, or preparation or approval of manuscript. Received for publication July 22, 2010. Accepted for publication July 26, 2010. 9
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