再生可能資源の勤学的最適管理: 経路積分の近似による解法

久 留 米 大 学 産 業 経 済 研 究 第4
9巻 第 3号 (
2
0
0
8年 1
2月)
一
論 文
再生可能資源の勤学的最適管理:
経路積分の近似による解法
山
下
純
要 約
再生可能な自然資源の最適収穫問題は.資源経済学の重要なテーマであった。
従来.この問題は決定論的な枠組みで論じられることが多かったが.近年.
不確実性を考慮したモデルへと議論が発展している。この展開は.動学分析
の枠組みを確かに拡張したが
一方で
最適解の分析をより困難なものとし
た。この課題に応えるべく.近似計算によって解の挙動を分析する手法が試
みられるようになった。一方.金融市場におけるアメリカンオプション取引
と資源管理問題の本質的な類似に注目して.そこで地われた手法を応用する
流れも鳩加している。そこでもやはり.数値的な分析が不可欠となる.本稿
は.この二つの流れをふまえ.不確実な環境の下での動学的な最適収穫問題
をアメリカンオプションのリアルヴァージョン(リアルオプション)と見な
して考察する。その際.これまでの数値的な手法では無視されていた
Feynman-Kacによる経路積分の近似によって.最適管理政策の数値解を求
める。
目次
1.再生可能資源の収穫:資源ストックの最適管理
1.1.はじめに
1
.
2
. 伝統的なモデル:私的所有権を前提にする管理政策
1
.
3
. 古典的な動学モデルの定常解
1
.
4
. ストック効果の導入
1
.5
. ストック成長の不確実性
1
.6
. ストック効果を考慮した社会的資源管理モデル
2
. 収穫問題の理論的な基礎:最適停止問題
2
.1.臨界的なストック水準
(
2
9
3)
1一
-2ー
2
.
2
. 割引のないケース
2
.
3
. 割引因子を伴う最適停止問題
2
.
4
. 1次元の Bang-Bang
制御
2
.
5
. アメリカンオプションとしてみた収穫停止問題
3
. 収穫問題の理論的な基礎:最適停止問題
3
.1
. Feynman-Kacの公式
3
.
2
. 離散化とベルマンの鼠適性の原理
3
.
3
. 確率的な最適収穫問題の数値解
3
.
4
. 結語
1.再生可能資源の収穫:資源ストックの最適管理
1.1.はじめに
漁業や林業のような再生可能資源の収穫において.資源ストックの枯渇はもっ
とも深刻な問題の一つである.本来,海洋資源などの再生可能資源は,その適正
な管理がなされている限り,ほとんどの場合.持続的な収穫が可能である。とこ
やその他の報告によれば,これらが枯渇に向かう傾向は深刻度
ろが,最近の FAO
を増しているように思える l。
こうした問題が生じるのは,ひとつには.再生可能資源が私的所有権に基づく
法的強制力をもった管理になじまない場合が少なくないからである。もっとも,
所有権が個人に属さない場合でも.管理が可能な場合もある。たとえば,その資
源の所有がある共同体に帰属するような場合がそれである。共同体の中での信頼
や社会的規範が揺るがない限り,共有財産としての管理は可能であろう。ところが,
資源の収穫がひとたび市場経済を経由する生産・消費の循環に組み込まれてしま
うと.資源管理は市場原理の壁に直面する。
1FAOF
i
s
h
e
r
i
e
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c
u
l
t
u
r
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p
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r
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n
t:
TheStateofWorld丹 I
'
s
heries
andAQuaculture.2006.
(294)
‘
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
一 3-
この「壁」とは.たとえば次のようにいえる。財の所有権が取引の基礎となる
市場経済では,投資の果実は.当然その主体に帰属する。漁業の場合でも.漁獲
に対しては.いうまでもなく所有権を主張できる。しかし.取り残した魚につい
ては.だれもそれを主張できない。取り残しを一種の将来投資とみれば.その投
資収益に対する所有権が主張できない。つまり.資源保護の意図を.市場機構の
なかの誘因として実現するメカニズムが存在しない。存在しないだけではなく.
資源の市場価格が高い場合は特に.より強力な動機付けとなるのは.保護ではなく.
収穫である。結果として.資源の枯渇が現実的な懸念となりやすい。
本稿では.特に漁業における資源管理を念頭に置いて.オープンアクセスの再
生可能資源の最適管理問題を理論的に考察する。この問題そのものは古くから議
論されており.理論的な蓄積も多い。静学的にも,動学的にも.最適管理は議論
S
h
e
a
f
e
r
[1
4
]
,G
ordon[4
.
JC
l
a
r
kandM
u
n
r
o
[
2
]
)。さらにここ数年.
されてきた (
従来のアプローチに加えて,再生可能な生物資源の収穫意図を.金融資産の派生
A
r
a
n
t
z
aand
証券の理論と同じ観点からとらえようとする議論が増加している (
Chamorro[l]
,D
anglandW
i
r
l
[
3
]
), N
φ
s
t
b
a
k
k
e
n
[
7
]
)。
本稿は.資源管理を本質的に金融派生証券におけるアメリカオプションの評価
と同一の問題として扱う。文字通りの派生証券の場合には.権利行使に関する意
思決定の分岐点となるのは,資産価格のある臨界値である。資産管理の場合も同
様に,収穫政策における態度の変更.すなわち.収穫か保護か.という最適政策
の切り替えが,どのレベルの資源ストック水準をもって実施されるべきかが.考
察の核となる。その際
本稿が従来のアプローチと異なるのは.最適解を見いだ
すための数値的な手法においてである。すなわち
これまでの数値的アプローチ(差
分法や選点法など)とは異なり.境界値問題を解くために Feyman-Kacの経路積
分法に注目する。その積分の数値解を求めることによって,最適解を近似する九
(2
9
5)
-4以下ではまず 1節で.再生可能資源の収積問題が伝統的にどのように定式化さ
れてきたかを概観する。伝統的なモデルの重要な問題点のひとつが、所有権と外
部性の扱いにあることを振り返る。 2節では.資源管理問題を収種オプションの
権利行使問題とみる立場から.巌適管理を収種の最適停止問題として定式化する。
3節では,最適政策の数値解を経路積分の近似によって求める。
1
.2
. 伝統的なモデル:私的所有権を前提にする管理政策
漁業における収種管理モデルは.伝統的にいくつかの特徴をもっている。その
基本的な構造を決定づける点で特に重要なのが.収離における私的所有権の仮定
である。この仮定を一言で言えば,漁業は,収積(生産)した財に対する私有権
制度の下で,自由競争的に操業する多数の企業からなる産業と同一視できるとい
う前提である。したがって
各収穫主体は
市場で定まる価格を受け入れて,利
潤最大化原理に基づいて行動する私企業とみなされる。収穫量の決定弘私企業
が生産量を決定するのと基本的に同一で
利潤最大化原理によって決定される。
この利潤原理は.オープンアクセス漁業においては
収穫の最適管理と矛盾する
傾向をもっ。
具体的なモデルの特徴をみよう。モデル全体は.大きく分けて,二つのサブモ
デルに分けて考えることができる。一つは
経済学的な最適化行動を記述する部
分であり,もう一つは生物学的な資源の成長プロセスを記述する部分である。
後者からみよう。 X(t)を時刻
tにおけるある漁業資源のストックサイズとする。
ストックサイズの自然成長を記述する関数を G(X(
t
))とおしさらに.
h(
t
)を時刻 t
E
EF
EA
唱
(2
9
6)
、
2選点法 (
c
o
l
l
o
c
a
t
i
o
nmethod) の解説書としては,たとえば石岡 [
1
6
]がある。
,
,
dX(t)=(G(
X
(
t
)
)-h
(
t
)
)d
t
、
の収穫量とする。このとき,
再生可能資源、の動学的民適管埋:経路純分の近似による解法
ー
5一
は.収稽によるストックの減少を考慮したストックサイズの変動を記述する方程
式である。古典的なモデルでは.関数 G(・)は確率的な要素を含まないので.x
(,
)
は収穫の大きさ h(,)が決まれば.決定論的に定まる。一般には.ストックの変動は
のは確率変数とみる方が妥当である。
人為的な要因だけで定まるのではないので.x(
ストックの変動を所与として.漁撞による市場での利潤を鼠大化するように収
稽量が決定される。利潤を式でかくと.次のようにあらわされる。
C=C(h(
,
)
.x
(
,
)
)
を収穫に要するコスト .pを収磁 l単位の市場価格とすると .p
h(
,
)-C
(
h(
,
)
.x
(
,
)
)
が利潤である。ここで.簡単化のために.価格 pは一定であるとする。
1
.3
.古典的な動学モデルの定常解
所有権を前提とするときの最適収穫問題は,たとえば次のようになる九収穫管
理の時間的視野が無限大で,資源ストックの成長プロセス(1)に不確実性は存在し
ないとすれば.
=(G(X(t))-h(t))d
t
-rt(
p
h
(
t
)-C
(
h
(
t
),
X
(
t
)
)
)d
t subjectto d
X
(
t
)
maxI e
h
(
t
)J
o
(
2
)
を解くことによって最適収穫の時間的な経路 h(,)が決定される。ここで r は安全
資産の市場利子率(=割引率). p は収穫 1単位の市場価格.h(,)は収穫量.x(,
)
は(非確率的な)資源ストック水準. C(・
,・)は費用関数. G(・
)は資源、の再生産関
数である。また.r
. pともに一定と仮定する。
(
2
)は,資源ストック量の変動が決定論的なケースにおける利潤 π(,
)=
ph(
t
)-C
の最大化問題である。ここでは,収穫量とストック量がコストに影響を与えるこ
とはあっても.収入
p
h
(
t
)に影響することはない。価格が固定されているので.ス
トックレベルを無視して収穫しでも.当座のところはストックの減少による収入
l0
]の 1
7章参照。
3Permane
ta
L[
(2
9
7)
-6ー
への影響は存在しない。ストック減少の影響は.コスト面から利潤に反映される。
そのような前提で.収穫量そのものも最適水準に決定できるというモデルである。
資源ストックが減少しているような魚類の収穫管理をこのモデルに即して考え
てみよう。そのような資源の市場価格 p は高止まり状態にある可能性が高い。し
たがって.漁獲が増加するにつれて収穫も増加すると予想される(ここでは漁護
規制は考えない)。とはいえ.この推論はストレートに結論に結びつくわけではな
い。コスト関数 C=C(X(
t
)
.h(
t
)
)に.ストック減少の影響がコスト増としてあら
われるであろうからである。その分だけ利潤の増加は相殺され,収穫努力に歯止
めがかかるだろう。このとき
ストックレベルの均衡がどのようになるかは.次
のようにしてわかる。
最大値原理をもちいて.最大化問題 (
2
)の必要条件をもとめると.
λ(
t
)=P-Ch(
h
(
t
),
X
(
t
)
)
.
入'
(
t
)=r入(
t
)一入 (
t
)
G
'(
X
(
t
)
)+C (
h
(
t
),
X
(
t
)
)
"
,
となる.ここで.プライム'は導関数をあらわし .C
:
.
.Chはそれぞれの添字につい
t
)はシャドウプライスである。
てのコスト関数の偏導関数をあらわす。入 (
上の必要条件において d
λ(
t
)
l
d
t
=
Oとおいて,定常状態において成立する関係を
求めれば.
r=G'一 千 入 =pー Ch
(
3
)
をえる。
(
3
)をもちいて.資源ストックの定常状態がどのように決まるかを知ることがで
きる。いま,資源の追加 1単位を取得するか.それとも,収穫を停止するかの決
定を考えてみよう。もし収穫しなければ,それは G'の資源の増加をもたらす。一
方.資源の増加は収穫コストの減少 Cxく Oをもたらすであろう。このコストをシャ
ドウプライス (=価格から限界コスト分を控除した収穫 1単位の限界収入)で相
'一Cxlλ
対評価して,収穫しないという決定のもたらす便益を考えると.それは G
(298)
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
一 7ー
である。つまり,収穫しないという選択を投資であると考えれば.この投資のも
たらす収益がこれである。この収益を,投資 1単位の機会費用 rと比較する。両者
が一致するレベルに均衡ストック量が決定されることになる。
このようにみると,均衡ストック水準が.一般の投資理論とほとんど同じ原理
で決定されることがわかる。ところが.漁業のようなオープンアクセス資源では.
たとえ投資のつもりで収穂を控えても.そのリターンがだれに帰属するかを前もっ
て知ることはできない。自分の取り残した魚が.他の漁船に収穫されてしまうこ
とがおこる。つまり.投資決定の比較対象となる安全資産の市場利子率は,オー
プンアクセス資産の投資のリスクからすれば低すぎる可能性がある。その結果と
して,ここから理論的に導出されるストックの定常水準は.持続可能な資源管理
のメルクマールとしては信頼できない可能性が生じる。
このモデルの欠陥のひとつは.未収穫分については所有権が基本的に設定でき
ない再生可能資源を,あたかもそれが可能な一般の投資財と同列に論じることによっ
て生じている。また.収穫による便益がもっぱら生産者の側からのみ把握されて
いることも問題であろう。オープンアクセス資源については,社会全体での便益
を考えるのでなけらばならない。
1
.
4
. ストック効果の導入
これらの問題点を解消し,社会的に適正な資源ストック水準は何か,を考察す
るアプローチとして, リアルオプションは有力である。これはオープンアクセス
資源の私的収穫の機会を,一種のデリパティプとみなすという考え方である。そ
の際,理論立ての基礎となる資産は再生可能資源そのものである。生産者は,そ
のストックサイズおよび価格変動の不確実性によって生じるリスクを,収穫権利
の行使(留保)によってへッジしようとすると考える。金融オプションの場合と
同じく,どの水準の価格あるいはストックで収穫権利を行使するかが問題となる。
(
2
9
9)
-8一
以下では.簡単化のために.このうちストックサイズのみが.確率的に変動する
とみなす.
ただし.注意すべき点として.このストック量の減少リスクの社会的影響は.
必ずしも市場経由で生じるとは限らない。たとえば.特定の生物資源の過剰な収
穫が生物多様性のバランスを破壊し
遺伝子の多様性の面で偏った生物環境が生
まれると.ある伝染病に対する耐性が著しく損なわれることが知られている。結
果として.生物資源の再生可能性を支える環境の基盤そのものが失われるリスク
が生じる。そうしたりスクを最適収穫の評価の中に含めるためには.収穫の社会
的利益をあらわす便益関数のなかに.それらが何らかの形で表現されるのが望ま
しいであろう。しかし.その種の社会的効用の表現は必ずしも容易ではなく.そ
れ自身で全く独立した考察を必要とする問題である。
以下では,もっとも単純な方法で.ストック減少の社会的効果を調べる。すな
わち,ストックレベルの低下が収入の減少につながるように生産者の利得関数を
定める。前項のモデルのように.社会的な便益が利潤の大きさだけで決定される
のではなく.直接的に資源ストックのサイズにも依存すると仮定する。その結果.
その他の変数を一定とすれば.ストックレベルが落ち込めば利益も減少し,一方
ストックの増加は利得の増加をもたらすことになる。
1
.5
. ストック成長の不確実性
さらにもう一点,上記モデルの拡張を試みる。モデルにストック水準の不確実
な変動を導入する。モデル (
2
)では.制約条件の動学が示しているように,資産ス
トックの増減を規定する要因は.自然の再生産過程と収穫量だけである。その再
生産過程は決定論的に記述されているから
関数 G が即知であれば.収穫量がス
トック増減を左右する唯一の制御となる。
ところが.生物資源の増減に影響を与える要素がすべて知られているわけでは
(
3
0
0)
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
ない。たとえば
-9ー
漁業の場合. 海洋環境の変化に伴って 「漁種交代 j とよばれる
現象が起きる。 この一例として. イワシのストック水準の変化がある。現在.
1980年代と比較して. 世界的にマイワシ
(
S
a
r
d
i
n
o
p
sm
e
l
a
n
o
s
t
i
c
t
u
s
) の漁獲が
E
n
g
r
a
u
l
i
sj
a
p
o
n
i
c
a
) のストックが培
激減し. これに替わってカタクチイワシ (
加している (
図 l参照)。 この変動は. 主として魚種交代の結果であるとされる九
にもかかわらず. 実際はストック水準が危機的に減少しているのに. 高値で売れ
るというだけの理由で, 収機が継続されるといったことが生じ得る。実際. これ
1
7
]参照)。決定論
は我が国の漁業の現場で起きていることである (小松. 前掲書 [
6.000.0001
一一 一一一~
,". .-
.
ー
5
.
0
0
0
.
0
0
0
1
4
.
0
0
0.
0
0
0
1
/
3
.
0
0
0
.
0
0
0
1・
4
・
2
.
0
0
0
.
0
0
0
1 -_
ー
jl
-ーー・マイワシ
---_.カヲクチイワシ
/
一…
017 ーでで~明白..( _
~~~~~まま S 8222222sasaS22222222
図 1 :鰯の世界的な漁獲高の推移(国連食糧農業機関のデータより作成)
4 r
魚が棲息する海洋の環境は.常に一定ではない。全体が, 30年から 50年の周期で変
動している。日本でいえば.親潮の強い時期と,黒潮の強い時期が.交Eに訪れるの
だ。現在.海が温かくなっているのは.一つは地球温暖化のためだが.それだけでは
ない。(中略)マイワシが「バブル」を起こすほど獲れていたのは.親潮の強い時期だっ
た。事実.それより以前に線潮が弱くなった時期には.そんなに獲れていない。 1965
年には.わずか 9000トンまで減少している。 450万トンを記録した年のおよそ 20年前
小
のことだ。海洋環境の変化は.それぐらい多大な影響を及ぼしているのである。 J (
松[
1
7
], p
p
.
5
8・5
9
)
(3
0
1)
-10的な動学で許容される収穫量のみ管理する資源政策では.こうした確率的なストッ
ク変動は考慮されない。最適管理政策を導出するモデルとしては,不十分といわ
ねばならない。
まとめると.ストックレベルは.自然の不確実な増加プロセスとそこからの収
穫による減少の二つの相互作用によって決定される。また.この不確実な変動が.
ストックレベルの不確実性となり.収穫オフションを行使するかどうかという問
題へ発展する。
1
.6
. ストック効果を考慮した社会的資源管理モデル
資源管理モデルとして以下であらたに考察するのは.ストックレベルの影響を
受ける便益関数と.不確実な資源の変動を考慮したモデルである。具体的には.
H
ι
f
d経
(
4
)
門 バ(
t
)-c
)
h
(
t
)d
t
s
u
b
j
e
c
tt
o dX(t)=
α
(X(t)(l-X(t))-h(t)X(t))d
t+
σX(t)dW(
t
),X(O)=
x (5)
ω
である。 (
4
)
で h =h は収穫努力をあらわす実数(=制御変数)で , W
(
t
)は標準
プラウン運動である。 X=X(t)は時刻 tでの資源量の確率過程をあらわし.積 X'
hが努力 h に対応する収穫量である。この収穫に応じて.社会的余剰(=生産者
余剰)としての利潤 (
p
'
X
為一 c
'
h
) が生じる。ここで cは収穫努力 1単位の限界費
用(一定)であり ,pは資源の市場価格(一定)である。したがって,前節の費用
関数は , C
(
h
(
t
),
X
(
t
)
)=c'h(t)となる。つまり,このモデルでは,
r
ストック効果」
は費用関数を通してではなく,生産関数を通してあらわれる。 X
(
t
)が確率変数で
あることを除けば,これは古典的な S
c
h
a
e
f
e
r型の生産関数である。
(
3
0
2)
-11-
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
s
t
o
c
kl
e
v
e
l
0
.
8
0
.
6
0.
4
0
.
2
。
3
2
4
5
t
J
m
e
図 2:決定論的および確率的なロジスティック成長の時間経路:
α=1,o=0.4
,h
=0.8,x=1のケース
制約条件 (
5
)は
, α,0 を非確率的な定数とする資源ストックの確率的なロジスティッ
ク成長モデルである。 0=0のとき,これは決定論的なロジスティックモデルとな
る。図 2では初期値を x=1として , 0=0, α=1, h=0.8のときの解の経路を描
いている九 0=0のときには, (5)の厳密解X(t)は.
X(t)=
α
( -h
)
x
x+(
α
(
1-x
)-h
)e-(a-h)t
である。したがって , t→∞となるとき ,X
(
t
)は単調に減少して (
α -h)/α=0.2
に収束する。
これに対して, α>0のときは,環境に依存する不確定な変動が,ストック水
準に影響を与える。図 2は, 0=0.4のときの確率微分方程式 (
5
)の解経路の例(モ
5 図 2の滑らかな曲線に対応する.
(
3
0
3)
-12ー
ンテカルロ解) も描いている九
附 )= ぷEHEz lfrt(PX(t)-c)h(t)dtl
(
6
)
とおけば. この問題の B
ellman方程式は
げ
仇)
(
x
)=必 "
H{
(
P
xー 仙 +[ω(1-x
)-x
h
J九 +jσ2
(
7
)
である。
s
o
c
i
a
lb
e
n
e
f
i
t
s
M~(p 一九 )x -c>0のケース
Max
:(
p一九 )
x-cく Oのケース
。
H
h
図 3 :再生可能資源の最適収稽量の選択
この最適問題の l階条件からわかるのは. 次のように h を定めるのが最適であ
るということである:
fH i
f(
p一九 )x>C,
h={
l0 i
f(
p一九 )
x<c
.
ギザギザ」の経路がそれである。これは疑似正規乱数を発生させて標準ブラウン運
6r
動を近似し.さらに.同様にして確率積分を近似して得られる。ただし. ここでは h
を常に一定に定めている。 したがって.収機量の主体的な変更が.更にストック水準
に影響を与える様はとらえられていないことに注意すべきである.
(3
0
4)
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
-13ー
ここで得られる収穫政策は.いわゆる Bang-Bang 制御である。現在のストック
レベル X(
O
)=xで評価して ,(p一九)xー C がプラスであるかマイナスであるかに
応じて.フル操業と禁漁という両極端の政策をスイッチする。たとえば.追加 l
単位のストックからもたらされる社会的余剰,すなわち社会的な限界収入凡 (
x
)三
v
'(
x
)が,市場価格(私的限界収入)より小さいストックレベル xを考えてみよう。
つまり ,p-V'(
x
)>Oとする。この場合.資源ストックの市場評価は社会的評価を
上回っている。さらに,その差額で.単位コスト c
/
xをまかなうことができるとき.
(
p一九)xーc
>0にはフル操業が選択される。ただし.最適政策がどちらの選択で
あっても.資源ストック成長の最適経路そのものはやはり確率過程である。したがっ
て,その経路は確率的に変動する。これは決定論的なモデルと本質的に異なる点
である。
次に.二つの政策を切り替えるべき臨界的なストック水準について考察する。
まず.
=
={xl(p-Vz)X>c}
S
o {
x
l
(
p一九 )
x<c
}, S
I
とおく。この段階では
v(
x
)そのものが知られていないので.その導関数九を含
むこれらの集合も未知であり , v
(
x
)と同時に決定されることになる。それぞれの
集合上では,以下の微分方程式が成り立つ:
rV-ω(1一 机
j
σ
2
九 =
0 on品
,
1
2
rVー α
[x
(
l-x
)-Hx]Vz一一 σ2X2Vz
p
x-c)H=0onS
I・
zー (
(
8
)
(
9
)
ストックのダイナミクスについての仮定から,
V
(
O
)=
0
である。これは.生物資源ストックがひとたび 0に落ち込めば,そこから再び回
復しない (x=0は吸収壁)ので.資源、は無価値になるという意味である。
(
3
0
5)
-14ー
v
(
p-Vz(x.))x.-c=0
¥'
(
x
)
(
p- \・~)x
く r
(
p-Vz)x>c
,
.z
。
。
S
•
S•
z
s
t
o
c
kl
e
v
e
l
図 4:ストック水準の臨界値
2
. 収穫問題の理論的な基礎:最適停止問題
2
.1.臨界的なストック基準
現在の資源のストック水準を xとおこう。そのときの社会的便益は V(
X
)である。
この関数関係がどうなるかを考察しよう。厳密な議論はひとまずおいて. まず全
体的な見通しを描いてみる。
図 4は,経済学的にみて予想される両者の関係を描いている。 V(
O
)= 0である
ので.社会的な便益曲線引x)は原点から出る。そして. ストック水準が増加する
について.高くなると考えるのが合理的である。その大きさが. ある臨界的な水
準 f 以下では,収穫による資源ストックの減少が懸念される。 このような場合に
は
, 収穫の凍結 h=Oが選択されると予想される。 一方.x
. を超えると. 資源の
収穫による社会的利益は高まると考えることができる。 つまり. 相対的にストッ
. になるまで収穫を控える。一方. ストッ
クレベルが落ち込んでいるときには.x
(
3
0
6)
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
-15ー
クレベルが臨界値 f 以上に回復すれば.収穫を開始する.そして,その臨界的な
収積水準の決定は,社会的余剰の最大化から導かれるのでなければならない。
このような経済学的な推論を.前節のモデルと対比させてみよう。まず,xが臨
界値以上のストック水準.すなわち.領域 S
Iに属する場合から考えよう(図 4参
照)。このときは.収穫努力がフルに発揮され , h=Hである。そのときの社会的
余剰 V(
X
)は微分方程式
j
σ
2
仇
+[ax(l-x)-HxJ九一 rV+印Ix-c)H=O
(
10
)
を解くことによって決定される。
一例として.システム状態を記述する微分方程式 (
5
)が ,X(O)=xεSIから出発
x
)に対し
して時刻 τではじめて f に到達すると仮定してみよう:ある時刻 τ=τ (
て
,
X
(
T
)=x
.
.
このとき,それ以前の期間 O壬 tく τまでは.社会的余剰として j(X(
t
))=(
P
X
(
t
)
-c)Hが発生したことになる。これに加えて,
τの時点で.残っている資源ストッ
クの社会的な便益をg(X(τ
)
)とかく。この両者の価値を集計し.割引現在価値と
してあらわせば.
←ι[
l川
v
(
T
e-r
である。ここでτ
I 〈∞は τが有限であるとき 1,そうでないときは値 0をとる指示
関数である。 (
1
1
)の最初の項は X(t)が図 2のような経路上を確率的に動くとき,
それが時刻 τで臨界水準に到達するまでの社会的余剰の値を総計したものである。
第 2項 g(X(τ))e一円が,残された資源の価値である。両者の期待値の合計が(計
x
)と定義されている。
算可能であると仮定して), v(
(
3
0
7)
-16ー
2
.
2
. 割引のないケース
2
.
1節の例にしたがえば.問題は収種をいつやめるか.すなわち.どのストック
水準で h=0とするかということである。この種の問題は.最適停止問題として
定式化される。この問題も含めて.確率微分方程式のドリフトに制御項が入る形
のダイナミクスのもとでは
最適停止問題は一般的に次のように記述できる〉
まず.一般に.収纏停止時のストックレベルを Bとおいてみよう。すなわち.上
B,∞)= (
x
*,∞)の範囲のストックで収種がなされると
の例では , B=x*であり , (
仮定した。さらに.制御 uEUは実数空間 R1 におけるフィードパックタイプの制
御であるとする。ここで Uはがのコンパクト集合で.制御変数の変域をあらわ
す。状態変数のダイナミクスは.
d
X
(
t
)=b
(
X
(
t
),
U
(
X
(
t
)
)
)d
t+0 (
X
(
t
)
)d
W
(
t
)
(
12)
とする。ここで U
(・)がフィードパック制御プロセスをあらわす確率過程である。
停止時刻 τを
T
=inf{
t
lX
(
t
)極(
0,
B
)
}
とおく。この時刻は, 2
.
1節の例でみれば.収穫がいつ解禁になるかをあらわす。
さらに.利得関数を
川
とおく。作用素 E~ は X(ω
0)
勾
叫[
!
か
O
い
T
)
k
州
k
収
削
刻
X
(
伏
閃
(
附
)=
T
=x
,U
(
x
)=uとして期待値をとる操作をあらわしてい
る。さらに , v
の境界条件を.
=
=
V(O,
u
) g
(
O
), V(B,
u
) g
(
B
)
.
(
1
4
)
とする。ここでが・)は所与の関数である。伊藤の公式を関数 V(X,u
) に当てはめれ
同
?
.
ぴ
(
:
r
:)
V(x,
u)+k(x,
u(x))=O
i
f xε(
O,
B)
7 この部分については. KushunerandDupuis[
6
].例 4(
p
.
9
7
)参照。
(
3
0
8)
(15)
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
-17ー
という形になる。ここで.ζα は制御が αであるときの微分作用素であり.境界条
件(14)のもとで,この微分方程式を考察することになる。
α
ιの具体的な形がどう
なるか.また割引因子をもっときの最適停止問題がどう記述されるかを次に述べる。
2
.
3
. 割引因子を伴う最適停止問題
割引因子 s>Oが入っているモデルのケースは.最適停止問題は一般的に以下
のように記述される。状態変数のダイナミクスは.やはりドリフトに制御変数が
)とする。 τ =i
n
f{tlx(t)~ GO}とおく。ここで,集合 G(CRn)はあ
入る形の式(12
るターゲット集合 , GOはその n次元空間における内部をあらわす。前記の例では
0
, B)が GOに相当した。このとき.社会的便益は割引因子で現
がにおける開集合 (
在価値評価された形で,
V(
日 )=母
[
l九 州 , 削
T
ds+内
(
X
(
T
)
)
]
ω
となる。このとき.すべての制御 uEUのなかで.期待効用を最大にする選択を
V(x)=s
u
pV(X,
U
)
uεu
とおく。この V(
x
)が満足すべき微分方程式は次のようになる 8 •
βV
(x)=s
u
p[
.
cuV(x)+k(
x,
u
)
]
uEU
三
s
u
pI九 (
x
)
b
(
い)+ふr[弘 (x)α(x)]+k(日 )1,x
uEUL
J
~
ε GO •
V(x)=g
(
x
), xε8G.
(
17
)
(
18
)
ただしここで, α(
x
)三 σ(
x
)aT(
x
)であり θGはGのR
nにおける境界をあらわす'。
8証明については, KushnerandD
u
p
u
i
s[
6
]
.P
P
.
6
2・6
5を参照。
9上付の添字 Tは行列の転置をあらわし. t
r
はトレース (
t
r
a
c
e
) である.
(3
0
9)
-18-
2
.
4
. 1次元の B
a
n
g
B
釦 g 制御
節のモデルに戻って.上の一般的な定式化をそのモデルに再度当てはめてみ
1
.6
ellman 方程式(17
)を
よう。次のように対応していることがわかる。 l次元で B
かきなおすと,
s
u
pI
九(
x
)
b
(い )
+
:
σ
2
(机 z
(
x
)-rV(x)+k(x,
u
)I
=0,xε G
O
ueuL
(
1
9
)
J
.
c
.
となる。1.6
節のモデルでは.制御は u=hとかかれていた。そして.
U
=[
0,
H], b
(
x,
h
)=αx
(
1-x
)-hx, k(x,
h
)=
(
p
x-c
)
h
となり.社会的余剰を最大にする制御は II=Hあるいは II=0であった。これは(19
)
のカギ指弧[ ]の中が.h の 1次式であり,その係数部分(スウィッチング関数)
p(
x-c)-xV
xがプラスであるか.マイナスであるかによって,最大値が領域 Uの右
端か左端になるからである(図 3参照)。このように制御が拡散項に影響せず,
ド
リフト項にのみ l次式であらわれるときは.Bang-Bang制御となる。
さらに. 1
.6
節のモデルについて,上で定義したターゲット集合の内部 GO と境
界条件がどうなるのかをみてみよう。 (
9
)に対応している。 Vx が xの連
19)は. (
続関数であると仮定すれば.集合 S
lは開集合だから. S
l= G
O= (xへ∞)である.
また. θG= {x*}となる(図 4参照)。ただし.g(
x
*
)がどうなるか,すなわち.
V(
x
*
)がどうなるかは.ここで決定することはできないことに注意しなければなら
ない。点
f は,微分方程式 (
8
)の右側の境界に相当するもので,境界を共有する
これら二つの微分方程式の解が x
*で一致すること (
v
a
l
u
e
m
a
t
c
h
i
n
gc
o
n
d
i
t
i
o
n
)
および両方の解の接続が x
*で滑らかになされること (sm
∞血p
a
s
t
i
n
gc
o
n
d
i
t
i
o
n
)
を要求するのが,常套的な解法である。
とはいえ,このような方法で f を求めることができるのは.解 V(
x
)の形があら
(310)
再生可能資源の動学的最適管男:経路積分の近似による解法
-19ー
かじめ予測できるときである。そのような場合.まず係数を未定としたままで V(
X
)
の関数型を一般的にかく。次に.臨界点において.上記 2条件が満たされるよう
に未定係数を決定する。一方,関数型が定めることが困難な場合や数値的に解く
しかない場合は.この手法で V(x)をもとめることはできない。いずれにせよ.通
常の境界値問題と異なり . d
G
が実際どのレベルになるのかが.事前には知られて
いないため.そのときの臨界値もあらかじめ決定することはできない。これが収
穫最適停止問題の重要な特徴である。そして.それはまさに金融市場におけるア
メリカンオプションの特徴に他ならない。
2
.
5
. アメリカンオプションとしてみた収穫停止問題
X
)をストック水準 xの関数として図示することが.
数値的なアプローチで. V(
ここからの課題である。前節で言及したように
金融市場におけるアメリカンオ
プションの評価問題は.収穫停止問題と本質に於いて同ーの問題を扱っている。
異なるのは.議論の文脈だけである。したがって.前者を解くために利用できる
数値的手法が後者にもそのまま適用できる。ただし
われわれがもちいるやり方は,
これまでのものとは異なり. Feynman-Kac による経路積分を数値的に近似する
手法である。
最初に厳密解が知られているアメリカンオプション評価問題をもちいて.この
手法を例証する。例としてもちいるのは,永久アメリカンプット (
p
e
r
p
e
t
u
a
l
Americanp
u
t
) である。これは権利行使の時間的な限度がなく,いつでも権利行
. 資産価格をX(O)=x
とす
使が可能なプットオプションである。権利行使価格を K
れば,そのときの利得関数は max(K-x.O)である。このオプション価値を V=
V
(
t
.x)とおく。
再生可能資源の収穫問題では.資源ストックのレベルの変動がシステムの基礎
的な状態変数であった。金融オプションでは資産価格の変動がそれに対応する。
(3
1
1)
-20ー
例を単純にするために.価格は幾何ブラウン運動にしたがうと仮定しよう:非確
率的な定数 μ> 0,0>0に対して.
=
=x.
dX μXdt+σX d W
, X(O)
このとき無裁定原理(危険中立評価)から,このオフション価値
(
2
0
)
V は Black
司
Scholesの基本方程式
a
v+ー1σ"
。θ2V
a
v
一
"
l
.一
一
ー
+rx一一一 rV=0
2 ・
θ一
t .2-"l.x
-θ
x
θz
(
2
1
)
を満足しなければならない。すなわち.現在の資産価格の状態に関わりなく .無
,O
)である。 V >max(K-x
,0
)となるときは.
裁定市場では常に Vと max(K-x
(
2
1
)が成り立つヘ
永久プットオプションの解は時間に依存しない定常解である。すなわち, (21)
において θV/θ
1=0. そこで V=V(x)と置き直して
になる。,
定常解を考えると,次のよう
>0を安全資産の利子率,g(x)=max(K-x,0)とし,
G=
{
x
lV(x)三g
(
x
)
}
と定める。さらに微分作用素 ι
。を
乙,
n-1-22θ2
x
θ
、
一
一 (1-X 一
一
一・
+r
r
x
_
v
2 - θx2 ・『 θz
(
2
2
)
とおく。このとき.
ω
(川
W州刊……
仲
(
吋
Z
x
←
山
山
哨
=
)
山
=
円
ι
同
白
c
0
…
=
(
2
3
)
V(x) g
(
x
) 汀
i
fxεθG
である。 V(
X
)を求めることはもちろんだが,集合 G の境界 θGを定める資産価格
1
0 この例は, W
i
l
m
o
t
t[
1
5
]による。解の導出法そのほかについても.同書の 9章を参
照せよ。
(3
1
2)
再生可能資源の動学的最適管碍:経路積分の近似による解法
-21-
水準々(権利行使の臨界値)も同時に知らなければならない。
簡単に結論だけ記せば.
1
(+
三
)
=K/
Xc
となることが計算される。また
(24)
オプションの価値 V(
X
)は
V
(
山
K-xc}(三)~
となる。これを K=0.5
,a=
0.3,r
=
O
.
1の場合に図示したのが図 6である。このと
き, Xc =0.344828である。これらはいわば幸運なケースについてももとめること
ができた厳密解である。収穫停止問題や.より複雑なオプション評価では,数値
的アプローチが必要になってくる。
0
.
5
0
.
4
0
.
3
0
.
2
0
.
1
0
.
2
0
.
4
0
.
6
0
.
8
図 5 :オプション価格:K=0.5
,
σ=0.3,r=O.lのケース
3
. 経路積分による臨界値の計算
3
.1
. Feynm
a
n
K
a
c
の公式
Feynman-Kacの公式を述べよう 11。n・次元空間 F における楕円作用素£を
11F
eynmanKa
cの公式については Krylov [
5
]が厳密かつ詳細である.たとえば.同
書 5章の定浬 4(
p
.
1
9
8
)を参照のこと。
(3
1
3)
-22-
lι、
θ 2 J
ζ(X)v(X)=
ー ):aり (X)一一;::-V(X)+).
b
;
(
x
),
,
_v
(
x
)
ゴ
うt
と定義する。ここでX =(X1
・ 川
『
bJZJ
J
t
f
xn)である。 R"の有界領域 G とその滑らかな境界 dG
に対して.境界値問題
ω
(
仁
に
に
山
に
口
(
引
刈
x
仰
件
功
刷
)
例
v収
仰
川
仲
川
川
…
4
州
)
ト
川
川
β
創
州州州
刈
仰
一
イ
桝
刈
x
川
功
州
川
)
刷
(
叫
U
v
(
何
同
仰
剛
…
(
2
5
)
v
(
x
)=
g
(
X
), XεθG
を考える。
j
(
x
)(
i
.
j
=1
.
_
_
_
.
n
)を (
n
.m)行列。 (
x
)の積として定義される行列a(x)三
さて.a;
。(x)aT(x)の (
i
.
j
)成分とする。また.同じくあ (
x
)はn次元ベクトル b(x)の第 i成分
γ
「
「
γ
(
.bをもちいて.ある確率空間上で定義された確率
である。このとき. この関数 a
微分方程式
α
訓州削ル
ω
μ
(
(
t
吋
t
)斗
=b
肌附叩
x
引
…
刈
(
μ
t
(は聞仰
(26)
X
(
仰
0
)=x
.
を考えよう。なお.W(t)=(Wl(
t
)
. Wm(t))Tは m 次元標準ブラウン運動である。
吋
Feynman-Kac の公式とは.この微分方程式と境界値問題 (25)の間の関係に関わ
るものである。
n次元の微分方程式 (26)は一定の条件の下で強い解をもつことが知られている。
x
i
tt
i
m
eを
その解を X(t)とおく。また.X(t)の領域 Gからの e
i
T=T(x)=inf{tと0
1X(t) G}
とおけば,一定の条件の下で,境界値問題 (25)の解は (26)の強い解 X(t)をもちい
て次のようにあらわすことができる:任意の xEGに対して.
ル
ι
[
1
T
(
X
(27)
(3
1
4)
再生可能資源の動学的最適管理:経路間分の近似による解法
-23ー
ただしここで.
拘
l
β附
(
x
)= t
)
d
s
である 12。
o
l
J1
アメリカンオプションの定める境界値問題に. Feynman-Kac の方法を適用し
てみよう。 (23)と (25)とを比較すると.
。
(
x
)= σ
, b(x)= rx, β(x)=r, u(x)=0, g(x)=max(K-x,
O
)
2X2
である。したがって.微分方程式 (23) は,確率微分方程式 (20) の経路上での
積分値
=ι[e-rT(Z)max(K-Xヤ 肌 吋
V(x)
(28)
に他ならない。ここで τ=τ (
x
)は集合 G からの最初の e
x
i
tt
i
m
e
r
(
x
)=
i
n
f{
s三0
1X(s)~ G}
である。 τがわかれば.Xc=X(τ
)によって,臨界値を決定できる。ヨーロピアンオ
プションの場合は.権利行使の満期が Tとして定まっているので. τ=Tとして,
V
(
X
)を計算できる。一方.アメリカンオプションの場合は,この臨界値が微分方
程式 (23)の解と同時に決定される。したがって.解が解析的にもとめられる上記
のようなケースを除けば,臨界値の計算は一般に困難である。
また,この金融オプションの例では資産価格の確率過程 (20)が単純であった。
しかし,生物資源のストック変動をあらわすような確率過程は.それほど単純で
はない。特に,環境の中における資源ストック間の相互作用(魚種交代現象や捕
食関係)などを考慮すれば,基礎過程はかなり複雑な微分方程式になるであろう。
12ちなみに. (
2
5
)はある正の数 6と n次元単位行列 I
nに対して.
a
(
x
)=σ(x)σT(X) 主 ðln •
β(x) 主 6
となるとき,一意の粘性解をもつことが知られている。
(3
1
5)
-24また.将来世代への遺産に相当する資源の価値g(x)も複雑な関数型をもっ可能性
がある。これらすべてを考慮すれば.数値的な方法によってしか.継続領域と停
止領域を分ける臨界的なストック水準を知ることはできないのはむしろ当然である。
3
.
2
. 離散化とベルマンの晶適性の原理
以下では.まず
Feynman-Kacの公式を数値的に解くための手続きーそのアウ
トラインのみーを述べる。それから.その手法を我々の資源管理問題に応用した
計算結果を述べる。
数値的に最適停止問題を解くために.離散近似された最適問題にベルマン原理
を適用する。まず.問題を離散化する。簡単化のために割引を無視し.時間の上
限を Tく∞に固定する。次に.刻み幅 dで減少する時間列 s=T-d. T-2d. T3
d
.…を考える。この時間列に対して.v
(
s
.y
)を.時刻J
I S のプロセス状態 X
(s)=y
nに対して. Pd(X.dy)を X(O)=xのと
に対する社会的便益とする。いま.自然数
きの X(r)の推移確率密度関数とすれば.
に
v(T-nd
,
y
)
p
川
y
)
は時期~ s =T-nd における期待便益をあらわす。この期待値が仮にg(x)よりも大
きければ.プロセスは停止領域に到達していないことになる。 g(
x
)がこの値より
大きければ.継続領域から出る時刻が s=T-nd であることになる。いずれにせ
ー (n+l
)dでの社会的
よ,ベルマンの最適性の原理では.次の時間スッテフ s=T
便益はこのいずれか大きい方になる:
ζ
川T ー (n+1
)d,
x
)=
max[
9
(
X
),
v(T-nd
,
y
)
山
y
)
]
したがって,プロセス X(r)の確率推移密度関数 Pd(
x
.d
y
)がわかっていれば,この
反復プロセスが社会的便益の離散的な近似を与える。割引まで考慮するのであれば,
(3
1
6)
再生可能資源の動学的鼠適管理:経路積分の近似による解法
川
U
σ
(
ト
叩
T
ト小
一引
似
(
川
η
n+
山
1
川
イ
[
gι
ζ
=ma
叩以
a
斗
x
→
卜
ぱ
g
い
仰
い
例
(
州
い
x
z
吋
札
似
机
)
,
門
叫
)
]
(
T一M
山,
ν
y
)
眺吻
ω
一2
5ー
α
となる。 (
2
9
)において Pd(
x
.d
y)がどうなるかが次のポイントとなる。この点の数
学的考察はそれ自身別の論文を必要とするので.ここでは省略する。以下では上
記の原理の適用した結果のみを示す。
例2
厳密解が知られている前節の例 lを数値的に近似してみよう 。 パラメータは。
=0
.
4
.r=0.
2
.K =15とおく ,つまり.
σ(
x
)=O.
4x, b
(
x
)=0.2x, g
(
x
)=m以 [
1
5-x,
O
]
である。状態空間を区間 [
2
.7
8
] とし. この間の幅1/2の 1
5
2個の小区間に分割す
1とする。このとき
る。また.時間は T=3として.時間の離散的な区切りはd=0.
近似手法 (
2
9
)を利用すれば.図 6を描くことができる。厳密解によるオプション
の権利行使価格は.すでにみたように.
Xc
+
手
)
勾 10.7
=K/ (1
凶
である。一方,上記の F
eynman-Kac による近似手法で求めたv(x)では.この臨
界価格
Xcにおける関数値は
v(10.
714285714285714)勾 4
.
2
8
5
7
1
である。(図 6の上側の曲線 v
(
x
)の近似値)。これは利得関数 g(
X
)=max[15-x.
0
] の閉じ点における値にほぼ等しい :v(xc)=g{xc)。また.図からうかがわれる
(
x
)注 g
(
x
)である。
ようにすべての川こついて v
3
.
3
. 確率的な最適収穫問題の数値解
以下では,前項におけるアメリカンオプションの数値解法を.再生可能資源の
(3
17)
-26ー
最適管理問題に応用する。
上記の数値的な方法が真の威力を発揮するのは.システムの動学や社会的な便
益関数が複雑になる場合である。
g
(
x
),
v
(
x
)
1
2ト
¥
¥¥
¥
¥
、
、
6
4
¥¥
、
、
、、
ー
・
ー一
一 -r-- , l--'- =r-• J
5
10
1
5
20
25
30
x
図 6 :オプション価値: a=0
.
4
, r=0.2,g(
X
)=max[15-x
,0
]
v
(
川
2
1
.2x1
0
-1
2
I
.x1
0
-1
/
8
.
x1
0
・日
/
6
.
x1
0
-13
/
4
.
x1
0
-日
/
/
2
.
x1
0
ー日
。
2
3
4
x
図 7 :V(
X
)とストック水準の臨界値 :
σ(
x
)=0
.
2
x
,b(
x
)=0
.
5
x(
1-x
)・
10x
(318)
再生可能資源の動学的最適管理:経路積分の近似による解法
-27ー
伊J
I3
資源ストックの変動 (5)のもとで.社会的便益関数 (4)を最大化する資源管理問
題に戻ろう。これまでみたように.この問題は.いつ収種を停止するか.という
最適停止問題に他ならなかった。モデルのパラメータを次のように設定する:
p= 1
0
0, c=2
5, r=0
.
2, σ =0
.
2, H = 1
0, α =0
.
5
.
資源ストックのダイナミズムは.これらのパラメータをもちいて.
=
=
σ(
x
) σx, b
(
x
) αx(l-x)-Hx
である。さらに.社会的便益 uと境界条件を定める関数 gは
u
(
x
)= (
p
x-c)H, g
(
x
)=0
である。ここで.g
(
x
)=0が境界条件となるのは.すでに述べたように.収穫がゼ
ロのときには社会的にどのような便益も発生しないからである。
経路積分を数値的に計算する手法を用いれば.図 7および図 8を え る ヘ 図 7の
x
*
)
)β
垂直の破線が示しているのが.図4において ,(p-Vx(
-c=Oとなる臨界的
なストック水準である。この破線の左側が収穫を停止する領域であり.右側が収
穫を継続する領域である。この図から明らかなように,資源ストックの水準がか
なり低い段階で,最大収穫努力 Hを傾注して収穫にあたることが社会的便益を最大
化することになる。一方,社会的便益はストック水準 x =15
前後で最大になった
後は緩やかに減少に転ずる。これは図 8の示すとおりである。
1
3この近似計算では.ストック水準の区間を [
0
.
10
0
] にとり.刻み幅 1
/
2で外持してい
る.また,時間の近似はT=3で刻みは 0.1である。
(3
1
9
)
-28v
(
x
)
〆
2.x1
0
-12
、
、
¥
/
¥
、
2
1
.5x1
0-1
¥
1
2
I
.x1
0¥
¥
5.
x1
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リ
トj
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~
4
0
20
図 8:再生可能資源の社会的便益関数
.
.
.
.
.
_
_
_
60
8
0
v
(
x
):
a(
x
)=
O.
2
x
.
b(
x
)=
O.
5
x(
1-x
)・lOx
3.4.結語
本稿で考察した再生可能資源の収穂モデルは
いくつかの間題を含んでいる。
その第ーは.社会的便益の関数型に関する前提にある。ここでは,価格 p とコス
トcを一定と仮定し.収穫努力 h=h(t)と資源のストック水準 xによって増減す
る利潤の大きさを社会的便益と同一視した。この前提では.生産の側からみた社
会的余剰は把握できても.消費の側の余剰は考慮されていない。また.仮に消費
サイドの余剰を取り込むにせよ,価格・市場ベースで評価し得る要素だけを社会
的便益と定義するアプローチには,おのずと限界がある。
その限界とは,特に絶滅危倶種の保護や生物多様性の維持,つまり複雑な生命
システムとしての環境・生態系の全体的価値が
社会的便益のどこにも反映され
ていない,という点である。そうした環境サービスの評価は.現在精力的に研究
されている領域であるが,その定量化は容易でない。それらが必ずしも市場ベー
スでは捕捉できないからである。そして
我々は
(3
2
0
)
これら市場ベースでは評価困
-29ー
再生可能資漉の動学的品適管理:経路積分の近似による解法
難な領域こそが.資源の社会的な価値にとって重要な意味をもっ時代を目撃しつ
つある。
第二に,本稿で前提した社会的便益関数をそのまま認めるとしても.資源価格
一定の仮定は問題となろう。資源ストックと収種量が時間とともに変動するので
あれば.市場における価格もそれに応じて変動しなければならない。第三に.制
御のタイプが Bang-Bang 制御になっていることも問題である。収穫の漸減・漸
増のように.より現実的な管理政策を誘導するようなモデルを考察する必要があ
ろう。さらに.本稿では資源ストックの確率的な変動は.ロッジスティック成長
であると仮定した。この点でも拡張や修正が可能である。これらは今後の課題と
なる。
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