◉週刊T&Amaster 商品概要 https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_2531.html ☎0120-6021-86 見本誌請求 http://www.lotus21.co.jp/mihonsi.html 立ち読みコーナー http://www.lotus21.co.jp/ta 税務 IBM 判決、事実認定が勝敗の分かれ目に IBM 側の行為が、法人税負担を「不当に」減少させるとは認められず 同族会社に係る行為計算否認規定 (法法 132 条)の適用を巡る IBM 裁 判で、国側が全面敗訴。 国は IBM 側の行為が 132 条にいう 「法人税負担を不当に減少させる」 ことになると主張するも認められ ず。132条の解釈そのものよりも、 事実認定が勝敗の分かれ目に。 IBM の持株会社としたことに正当な理由 や事業目的があったとは言えない、②日本 IBM 株取得の際に、WT 社から受けた融資 の条件が、AP 社に極めて有利なものであ り、独立した当事者間の通常の取引とは異 なる、③株式の譲渡の前後のグループ内で の検討の状況等からすると、AP 社や IBM グループの行為には租税回避の意図が認め られる、ことなどを挙げた。 本件は、IBM・AP ホールディングス(以 これに対し裁判所は、① AP 社は、日本 下、AP 社)が、米国 IBM の系列子会社で の IBM グループの組織再編のおける「持 ある IBM ワールド・トレード・コーポレー 株会社」又は複数の企業買収案件の「受皿 ション(以下、WT 社)が 保 有する日本 会社」としての役割、IBM グループの金 IBM 株全株を WT 社から提供された資金に 融仲介機能などを果たしていた、② AP 社 より購入した後、今度は日本 IBM に購入 にあっては、IBM グループに属する会社 させる(日本 IBM にとっては自社株買い) 以外の者と債権債務関係の発生が想定され ことで、AP 社において株式譲渡損失を発 ていないことに照らすと、WT 社からの融 生させ、さらに、AP 社と日本 IBM が連結 資は、独立した当事者間の通常の取引とし 納税制度を採用して当該譲渡損失を日本 て到底あり得ないとまでは認め難い、③ IBM の課税所得と相殺したもの。 「IBM グループが税負担を軽減する目的で これに対して税務署は同族会社に係る行 意図的に譲渡損失を発生させた」とする国 為計算否認規定である法人税法 132 条 1 項 の主張と整合し難い複数の事実が認められ を適用、上述の日本 IBM 株式の譲渡損失 る、などとして、税務当局の事実認定を 1 (計 3,995 億円)の損金への算入を否認した。 つずつ否定している。 本裁判で国は、譲渡損失の計上による法 ヤフー・IDCF 事件と並び、行為計算否 人税負担の減少は、法人税法 132 条 1 項に 認規定に係る訴訟として注目された本件だ いう「不当」なものと評価される旨の主張 が、法人税法 132 条の解釈そのものより を行った。国はその根拠として、①ペー も、事実認定の部分で納税者側に軍配が上 パーカンパニーである AP 社をあえて日本 がった判決との見方もできそうだ。 こちらの記事を含む最新号の見本誌を無料で進呈しております。下記よりご請求下さい。 見本誌お申し込みページへ No.546 2014.5.19 11
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