弱値増幅法を用いた増幅法の 統計的推測の限界

1
弱値増幅法を用いた増幅法の
統計的推測の限界
田中咲
山本直樹
2
本研究の目的と概要

←こっち
こっち
事後選択
事後選択の
成功確率と
精度の
トレ ドオフ
トレードオフ
3
2状態形式とAAV弱測定

2状態形式



事前状態・事後状態の2状態
で量子系の記述を行うこと
事前 事後の 状態で「事象
事前・事後の2状態で「事象」
を挟んで、事前事後の2状態
から推測する
測定装置
事象
AAV弱測定


2状態に挟まれた「事象」が
von Neumann型の間接測定
測定結果が弱値となる
時間変化
Y. Aharonov and L. Vaidman, arXiv: 0105101v2
Y. Aharanov and D. Rohrlich, Quantum Paradoxes (Wiley-VCH, Weinheim, 2005) ,
4
Aharonov Albert,
Aharonov,
Albert Vaidmannの弱測定
弱測定の流れ

被測定系
最も重要な特徴
装置系
事後選択
“網”を通る
か否か測定
弱値
時間
弱値の定義 : A
w

f Ai
f i
Y.Aharanov and D.Rohrlich Quantum Paradoxes (Wiley-VCH, Weinheim, 2005) ,
Y. Aharonov, D. Z. Albert, and L. Vaidman, Phys. Rev. Lett. 60, 1351 (1988).
通った時だけ
針の値を読み
取る
5
1 間接測定
1.間接測定



被測定系と測定装置系を想定する。
被測定系と測定装置系を想定する
被測定系の物理量に関する情報を測定装置系を介して
得る。
得る
相互作用から、被測定物理量を推測する
装置系
装
被測定系
定
J.v.ノイマン 量子力学の数学的基礎 (みすず書房 東京 1957)
石坂智 小川朋宏 河内亮周 木村元 林正人 量子情報科学ウィンタースクール (東北大 2011)
6
1 間接測定とvon Neumann型ハミルトニアン
1.間接測定とvon

 i 
e
相互作用ユニタリー

相互作用後の量子状態
e  ig  z p a 0 0  a1 1

z
p
 dx x  x

  dx a 0 e  ip  x  0  a1e ip  x  1 x
  dx a 0  x    0  a1  x    1  x
J.v.ノイマン 量子力学の数学的基礎 (みすず書房 東京 1957)
石坂智 小川朋宏 河内亮周 木村元 林正人 量子情報科学ウィンタースクール (東北大 2011)
7
2 AAV弱測定モデル
2.AAV弱測定モデル
事後選択後の合成系の状態
弱値の定義 :
相互作用後の合成系の状態
合成系の始状態
f
 f
f
 dx e
 x  i x
 i /   Aˆ  pˆ

A
w

f Ai
f i

ˆ  pˆ i   x  x


d
dx
f
1

i
/


A

 f i
 f i
 dx e
 i /   A
 dx x  
w
 x  x
pˆ
A
w
x
テーラー展開は
妥当なのか
本研究では高次
究
高
の展開組み込ん
で議論
Y.Aharanov and D.Rohrlich Quantum Paradoxes (Wiley-VCH, Weinheim, 2005) ,
8
3 純粋状態へ事後選択を実現する測定の条件
3.純粋状態へ事後選択を実現する測定の条件

9
弱測定の実験例




実験は光学実験で行われることが多い
レーザー光のy方向成分を測定装置系とした。
ザ
方向成 を 定装 系
偏光を被測定系とした。
複屈折の物質を用いて相互作用を生成する。
事前選択状態: cos(  )   sin(  ) 
事前選択状態: cos(  )   sin(  ) 
装置の波動関数:
1
2 1 / 4

y2 
exp  
2 
y
 4y 
P.R.L 66,1107 (1991) N. W. M. Ritchie, J. G. Story, and Randall G. Hulet
10
光学実験による弱測定の実験結果
(a)事前選択後事後選択が一致
   4 ,   4
弱値は0 ⇒ 並進なし
(b)事前選択後事後選択が直交から
ややずれたとき
   4 ,   3  4  2 . 2  10
2
弱値は-45.5 ⇒ 19倍
( )事前選択後事後選択が直交
(c)事前選択後事後選択が直交
   4 ,   3 4
弱値発散する
⇒ 直交する場合は、事後選択が成
り立たない。
P.R.L 66,1107 (1991) N. W. M. Ritchie, J. G. Story, and Randall G. Hulet
並進
並進の大きさ
きさ
11
弱測定の応用:弱値増幅法

x
弱値が無限大に大きくなることを精密計測に利用する。

d
 x
d
   Re A w , p

d
 p
d
 2  Im A
測定装置
O. Hosten and P.
O
P Kwiat,
Kwiat
Science 319, 787 (2008).
P. B.
P
B Dixon,
Di
D.
D J.J Starling,
S li A.
A N
N. Jordan,
J d
and J. C. Howell, Phys. Rev. Lett. 102, 173601 (2009).
w
 var( p )
12
弱値増幅の問題点

弱値増幅は統計ノイズを拡大している可能性がある。
x

 x    Re A
, p
w
増幅

 p  2  Im A
どっち?
w
 var( p )
x
x

統計による評価

知りたい値と真値の差
平均2乗誤差
ノイズの効果を考慮するため、統計理論を利用する
14
問題設定と量子推定量

Bornの確率則
?
POVM
量子
推定量
状態
積をとってTr
分布関数
?
推定量
15
量子Cramer Rao不等式とSLD Fisher情報量
量子Cramer-Rao不等式とSLD-Fisher情報量

推定量の平均2乗誤差
距離
16
SLD Fisherによる下限を達成する適応測定
SLD-Fisherによる下限を達成する適応測定

射
射影測定
定
推定
推定値か
ら決めた
射影測定
推定
十分な量の状態を用意しておき、
適応測定を繰り返すこと真値に近づく
・
・
・
H. Nagaoka, Asymptotic Theory of Quantum Statistical Inference ed. M. Hayashi (Singapore, World Scientific, 2005 ) pp. 125-32
(reprinted)、A. Fujiwara and H. Nagaoka, Phys. Rev. A. 201, 119 (1995)、A. Fujiwara, J. Phys. A: Math. Gen,39, 12489 (2002)
17
AAV弱測定による状態変化の流れ

装置系の状態の確率
的な状態変としても理
解できる。
測定装置系
被測定系
事前選択状態
始状態
相互作用
ただし
POVM
確率的
事後選択状態
18
問題設定:比較する2状態と推定限界

被測定系
事前選択状態
POVM
事後選択状態
測定装置系
始状態
19
各状態のSLD Fisher情報量
各状態のSLD-Fisher情報量

事後選択行う前

事後選択行った後
ただし
20
結果:事後測定後の装置系状態のSLD Fisher
結果:事後測定後の装置系状態のSLD-Fisher
特にGauss分布

I SLD

の場合
事後選択した場合のSLD-Fisher情報量
 1  ˆ
z
1
: 2 

4
w

2
2
2
2   /   / 2
 e   /     ˆ z w 1  e   /  
  1   /   e


2
2
2
  /   / 2  
  1  e   /  2 / 2   ˆ



z w 1  e
 



2

事後
事後選択しない場合
I SLD :
Fisher情
情報量

1
2
任意の事前事後選択
における情報量
事前事後選択を行わな
い場合の情報量
21
事後測定後の装置系状態のSLD Fisher情報量
事後測定後の装置系状態のSLD-Fisher情報量

任意の純粋状態に対してSLD-Fisher情報量が計算できる
として
2
†


ˆ
ˆ
†
ˆ
ˆ

B
B



B
B








I SLD : 4

2 
†ˆ
ˆ
†ˆ

B
B

ˆ


 B B



事後選択の実現確率
共通
p ( ) :  Bˆ † Bˆ 
事後選択の成功確率が低い場合に情報量が増える。
=>実現確率を加味したらどうなるか?
22
事後測定後の装置系状態のSLD Fisher
事後測定後の装置系状態のSLD-Fisher
成功確率を加味した情報量は、事後選択を行わない状
態の情報量よりも小さくなる
事後
後選択の
の成功確率
率
×Fisher情
情報量
が成り立つ
Gaussの場合
23
事後選択による損失の考慮(不等式と証明)
が成り立つ
証明の概略:

結論:


事後選択より推定精度の下限達成は遅くなる
下限の達成が遅れることを考慮すると、
事後選択は実行的に情報を増やさない
24
漸近論的意味合い
・・・
事後選択
・・・
25
まとめ


弱測定理論を用いた信号増幅法に対し、SLD-Fisher情
報量を用いて議論をした.
論
事後選択のよって失われる情報を考慮した。


事後選択を行う前の状態数が等しくなるようにしたもとで,
SLD-Fisher情報量比較した.
状態数が等しい場合には,
状態数が等
合
事後 択
事後選択によって情報は増え
情報 増
ないことが明らかとした.
×
=
ABL形式
(Aharanov Bergman Lebowitzk Formula)
(Aharanov-Bergman-Lebowitzk

事前選択状態と事後選択状態
による条件付き確率
時間の進行
Y.Aharanov and D.Rohrlich Quantum Paradoxes (Wiley-VCH, Weinheim, 2005) ,
26
27
弱測定増幅法の例
SHEL