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平成26年度 和臨技新人オリエンテーション
細菌検査~グラム染色から始めよう~
日本赤十字社和歌山医療センター
原 幹也
細菌検査とは
≪細菌検査の目的≫
①感染症であるか?
感染症なら原因菌は?
原因菌に対して有効な薬は?
②治療効果の判定
③感染症の予防
細菌検査の流れ(一般細菌)
1日目:塗抹・鏡検・培養
グラム染色
2日目:同定・薬剤感受性検査
3日目:判定
1日目:塗抹・鏡検・培養
グラム染色
・患者より採取した検体のグラム染色
を行い、顕微鏡で観察する。感染の原
因となっている細菌(起炎菌)を推定
する。
・同時に培養検査を開始し、35℃で
一昼夜、菌を増殖させる。
グラム染色用
スライド作成
検体を
培地に塗布
グラム染色
鏡検中
喀痰、膿汁、創部などの培養
に使用する培地
BTB寒天培地
チョコレート寒天培地
血液寒天培地
MRSA選択培地
便の培養に使用する培地
SS寒天培地
CCDA寒天培地
S/XM-EHEC寒天培地
CT-SMAC寒天培地
TCBS寒天培地
STEC寒天培地
2日目:同定・薬剤感受性検査
・増殖した菌の中で、起炎菌を疑うコ
ロニーの菌種同定検査を行う。
・同時にどのような抗菌薬が有効なの
か、薬剤感受性試験を行う。
24時間培養後
3日目:判定
・塗抹、培養、同定、薬剤感受性結果より臨
床に最終結果を報告する。検出菌が起炎菌か
否か、感染症法により届出の義務があるかな
ど必要なコメントも同時に報告する。
同定試験部
細菌の生化学的性状により
変化する色で菌種を同定する
薬剤感受性試験部
微量液体希釈法によりMIC
を測定し、判定する
グラム染色
グラム染色について
・ハッカーの変法
・フェイバー法(西岡の方法)
・バーミー法
検体の塗抹
水洗
固定
ビクトリア
青
サフラニン
液
水洗
水洗
乾燥
ピクリン酸
エタノール
鏡検
グラム染色の手順(フェイバー法)
サフラニン液
ピクリン酸エタノール
ビクトリア青
水洗
水洗
グラム染色について
≪グラム染色の有用性≫
・培養検査に比べて迅速で安価
・菌の形態、配列から菌種を推定でき、抗菌
薬の適正化や効率化につながる
・検体の質の評価ができる
・白血球数や貪食像など起炎菌を示唆する情
報が得られる
≪グラム染色の欠点≫
・結果が経験に左右されやすく、検査者に
よって精度が異なる
・菌数が少ないと検出できない
グラム陽性
グラム陰性
球菌
桿菌
菌の形態や配列から菌種を推定でき、有効な抗生剤を選択できる
耐性菌の発生を防ぐことができる
・耐性菌が発生する大きな原因は抗生物質の乱用である
・よってグラム染色で菌を推定し、できるだけ狭いスペクトルの薬剤を選ぶ
事が重要である
1,000倍
1,000倍
グラム染色像
ブドウ球菌
肺炎球菌
肺炎球菌
ヘモフィルス
モラクセラ
モラクセラ
肺炎桿菌
肺炎桿菌
緑膿菌
緑膿菌
酵母様真菌
酵母様真菌
キャンピロバクター
キャンピロバクター
コリネバクテリウム
コリネバクテリウム
淋菌
淋菌
クロストリジウム
クロストリジウム
ノカルジア
アスペルギルス