ゲージ錐計画問題の双対性 小崎敏寛 (Toshihiro Kosaki)∗ ステラリンク株式会社 (Stera Link, Co., Ltd.) 平成 26 年 12 月 18 日 概 要 2 次錐計画問題 [1] に表れる 2 次錐に似たゲージ錐を導入する.この錐を使った数理計画問題を導 入する.その問題に対して双対問題を考える.そして主問題と双対問題の間に弱双対定理がなりたつ ことを示す. 1 はじめに 2 次錐は,ベクトルの 2 ノルムが非負実数で抑えられるという t≥ x 2 (1) という形式で記述される.アイデアは,ノルムより一般の関数であるゲージ f を考えることである.ゲー ジ錐を x0 ≥ f (x1:n ) とする.この時,弱双対定理がなりたつことを示す. 2 考える問題 ¯ をゲージ関数と言う. 次の 4 つの性質をみたす関数 f : ℜn → ℜ 1. f は凸関数, 2. f は非負, 3. f は正斉次 (すなわち, ∀α > 0, f (αx) = αf (x)), 4. f は f (0) = 0. 考えるゲージ錐問題は次のようになる. min cT x s.t. Ax = b f (x1:n ) ≤ x0 . 変数は x := (x0 , x1:n ). 関数 f ◦ (z1:n ) := inf{v ≥ 0 : xT1:n z1:n ≤ vf (x1:n ) ∀x1:n } とする. ∗ [email protected] 1 (P) 双対問題は, max bT y s.t. AT y + z = c (D) ◦ f (z1:n ) ≤ z0 となる.主問題と双対問題の目的関数値について,ゲージ関数 f と f ◦ について, xT y ≤ f (x)f ◦ (y) が成 り立つ [2] ことより, cT x − bT y = (AT y + z)T x − (Ax)T y = xT z = x0 z0 + x1 z1 + · · · + xn zn (2) ◦ ≥ x0 z0 − f (x1:n )f (z1:n ) ≥0 がなりたつことより,弱双対定理がなりたつ. 3 証明に使用した不等式 補題 1 実数 a ≥ b ≥ 0, c ≥ d ≥ 0 に対して, ac − bd ≥ 0 (3) がなりたつ. (証明) 0 ≤ (a − b)(c − d) = ac + bd − ad − bc = ac − bd + d(b − a) + b(d − c) (4) となる.d ≥ 0, a − b ≥ 0, b ≥ 0, c − d ≥ 0 より, ac − bd ≥ d(a − b) + b(c − d) ≥0 (5) がなりたつ. 4 まとめと今後の課題 この論文では,2 次錐計画問題を一般化したゲージ錐計画問題を提案した.ゲージ錐計画問題に対し て,弱双対性がなりたつことを示した. 今後の課題として次のようなものがある.強双対性がなりたつかどうか調べる.ゲージ錐計画問題を 解く主双対内点法を考える.ベクトル変数だけでなく,行列変数を考える. 2 参考文献 [1] F. Alizadeh and D. Goldfarb, Second-Order Cone Programming, Mathematical Programming, 95, 3-51, 2003. [2] R. M. Freund, Dual Gauge Programs, with Applications to Quadratic Programming and the Minimum-Norm Problem, Mathematical Programming, 38, 47-67, 1987. 3
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