ー材料力学講義ー 第13回 平成26年7月18日(金) 概説:材料力学(Strength of Materials)とは? 機械・構造物は,使用期間中,種々の 外力(荷重)に対し,安全にその機能を 果たさねばならない. ・このため,その設計にあたっては,次の2点を十 分に考慮せねばならない. 2 概説:材料力学(Strength of Materials)とは? ①強度(Strength): ・荷重が作用するとき,破壊しない. ②剛性(Stiffness): ・荷重の作用に対し,形や寸法の変化が小さい. ・このような問題を合理的に(なるべく簡単に,か つある程度の精度で)解決する学問 3 基本的荷重条件と評価パラメータ ①引張と圧縮(Tension/Compression) 強度:垂直応力 剛性:伸び/縮み ②曲げ(Bending) 強度:曲げ応力 剛性:たわみ ③ねじり(Torsion) 強度:せん断応力 剛性:ねじれ角 4 ①引張と圧縮(強度:垂直応力,剛性:伸び/縮み) W , A Wl EA ②曲げ(強度:曲げ応力,剛性:たわみ) d2y M 2 dx EI Z M y, IZ ③ねじり(強度:せん断応力,剛性:ねじれ角) T r, Ip Tl GI p 5 基本的荷重条件と評価パラメータ ①引張と圧縮(Tension/Compression) 強度:垂直応力 剛性:伸び/縮み ②曲げ(Bending) 強度:曲げ応力 剛性:たわみ ③ねじり(Torsion) 強度:せん断応力 剛性:ねじれ角 安定なつり合い 6 今日のテーマ:長柱の座屈 ①まずは,安定・不安定についてイメージする. W W ばねの力Fによる支点まわりの モーメントMFは, M F Fl kl 2 k l θ 荷重Wによる支点まわりのモー メントMWは, M W Wl よって,MF=MWとなる条件は, W kl 7 ②長柱の座屈 W 下端からxの位置における曲げ モーメントMxは, W δ e e M x W ( e y) よって,たわみの微分方程式は, y δ+e-y l d2y W ( e y ) 2 dx EI z W 2 a EI z x 2 d y 2 2 a y a ( e) 2 dx 8 d2y 2 2 a y a ( e) の一般解は, 2 dx y A sin ax B cos ax e 境界条件は, x=0 で y=dy/dx=0,および x=l で y=δより, e e(1 cos al ) A 0, B , cos al cos al W δ e よって,たわみ曲線は, e(1 cos ax) y cos al y x 9 e(1 cos ax) からわかるように, cos al 0 ,すなわち, y cos al al W (2n 1) l EI z 2 (n 0,1,2,) のとき,e が 0 でなければ,たわみ y は無限大になる. また,e=0 のとき,荷重 W が上式を満たさないとき y=0 となり, 上式を満たすとき y は不定となる.すなわち,偏心 e がないとき, 柱は一般にたわみを生じないで圧縮力に対する縮みだけを生じ てつり合うが,上式を満足する荷重が作用すれば y は不定とな り,たわみを生じない変形のつり合いも可能であるが,任意のた わみを生じてつり合うことも可能となる. 10 このような不安定な変形を,長柱の座屈と呼ぶ.また,対応する 荷重を座屈荷重,その最小値を臨界荷重と呼ぶ. W (2n 1) Wcr EI z 2 2 4l 2 (n 0,1,2,) EI z 2 4l 2 部材に圧縮荷重が作用する際,その部材の圧縮降伏荷重に比 べ臨界荷重が小さい場合は,長柱は座屈によって破損する. 11 Example 上端が自由,下端が固定支持された, 1辺がa=10mm,長さがLの正方形断 面の角棒に圧縮荷重Pが作用してい る. a a 1. この材料の圧縮降伏応力が, σy =20kgf/mm2 であるとき,圧縮降伏荷重Wyを求めよ. 2. この材料のヤング率が, E=21,000kgf/mm2 であるとき,全長Lが以下の場合に ついてそれぞれの臨界荷重を求めよ. P L a) L=50mm b) L=150mm c) L=1,000mm 12
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