第6編_第15章_1_1

第15章 背後地防災
15.1 北部・南部排水門、潮受堤防及び内部堤防の安定・安全性
15.1.1 北部・南部排水門の安定・安全性
(1) 調査の結果の概要
1) 調査事項及びその選択理由
調査事項及びその選択理由は、表 6.15.1.1-1 に示すとおりである。
表 6.15.1.1-1
調査事項及びその選択理由
調査事項
選択理由
海水導入に伴う排水門周辺の洗掘、調整池の水位の変化、及
北部・南部排水門
び塩分などの水質の変化により、北部・南部排水門の安定性、
の現状
安全性に影響が生じる可能性があることから左記の情報を調
査した。
2) 調査地域
調査地域は、開門調査により構造物の安定・安全性への影響を受ける可能性のある
北部・南部排水門及びそれらの施設の周辺地域とした。図 6.15.1.1-1 に調査地点図を
示す。
3) 調査手法
① 施設の状況
A 文献その他の資料調査
北部・南部排水門に関する情報は、表 6.15.1.1-2 に示す資料により整理した。
表 6.15.1.1-2
資
料
名
文献その他の資料調査状況
等
潮受堤防他技術資料整理業務報告書
(排水門・資料編)
諫早地区水門施設機能保全検討業務
実施機関
調査期間
九州農政局
平成 11 年
九州農政局
平成 20 年
6.15.1.1-1
調査内容等
設計条件、基本構
造及び断面
施設機能診断
北部排水門
南部排水門
調査地点
図 6.15.1.1-1
北部・南部排水門の
調査地点図
6.15.1.1-2
① 施設の状況
A 文献その他の資料調査
イ 基本構造
北部・南部排水門の基本構造は、表 6.15.1.1-3~表 6.15.1.1-5 に示すとおりであ
る。また、基本構造・断面を図 6.15.1.1-2~図 6.15.1.1-3 に示す。
表 6.15.1.1-3
施設名称
項
北部・南部排水門の基本構造
目
○型
式
フローティングタイプ
○規
模
北部:径間 36.95m×扉高 9.0m×6 門
北部・南部
排水門
南部:径間 28.30m×扉高 9.0m×2 門
○ゲート構造
シェル構造鋼製ローラゲート
○基礎工
鋼管杭φ400~φ900
○護床工規格
外海側:3t型、調整池側:1t型
表 6.15.1.1-4
施
北
設
名
備考
基本構造
称
杭
種
北部・南部排水門の堰柱の杭種
杭
径
板
厚
杭
長
(mm)
(mm)
(m)
床版寸法と杭本数
部
中間堰柱
鋼管杭
φ900
14.0
10.0
13m×25m,5× 9=45 本
排水門
端部堰柱
〃
〃
〃
〃
13m×25m,5×10=50 本
南
部
中間堰柱
〃
〃
16.0
14.0
13m×25m,5× 8=40 本
排水門
端部堰柱
〃
〃
〃
〃
15m×25m,6× 8=48 本
表 6.15.1.1-5
施設名称
北部・南部排水門の床板の鉄筋配置状況
堰
柱
中
方
向
流心方向
堰軸方向
流心方向
堰軸方向
上側
D16@250
D22@250
D16@250
D25@250
下側
D16@125
D22@125
D19@250
D25@125
上側
D16@250
D19@250
D16@250
D25@250
下側
D16@125
D19@125
D19@250
D25@125
北部排水門
配筋鉄筋
南部排水門
配筋鉄筋
6.15.1.1-3
間
端
部
平面図
調整池側
外海側
正面図
断面図
外海側
調整池側
図 6.15.1.1-2
北部排水門基本構造
6.15.1.1-4
平面図
調整池側
外海側
正面図
断面図
外海側
調整池側
6.15.1.1-5
図 6.15.1.1-3
南部排水門基本構造
4) 施設劣化状況
北部・南部排水門の現状を把握するため、施設の劣化状況を調査した。
平成 17 及び 19 年実施の機能診断調査の結果によれば、土木施設部(橋台や堰柱部
等)にクラックやジャンカが確認されているが、いずれも初期欠陥(施工不良、乾燥
収縮等)に類するものであり、構造上直ちに問題となるような欠損・劣化は無く、安
全性を確保している。
また、ゲート設備に関しても、同様に問題となるような欠損・劣化は無く、健全性
を保っている。
5) ゲート部の耐食性
北部・南部排水門の現状を把握するため、ゲートの耐食性を調査した。
北部・南部排水門のゲート表面及び内部には、電気陽極棒による防食加工(電気防
食)がなされている。陽極棒には、調整池側(低電導度)でマグネシウム合金、海域
側(高電導度)でアルミニウム合金がそれぞれ使用されている。
陽極棒
マグネシウム合金
図 6.15.1.1-4
電気陽極棒の設置状況(調整池側)
6.15.1.1-6
(2) 予測の結果
1) 予測事項
予測事項は、調整池への海水導入・調整池からの排水に伴う海域・調整池水位の変
化、排水門周辺の流速増加及び調整池の塩水化による北部・南部排水門への影響とし
た。また、同事項の影響予測は、①排水門の安定性への影響、②排水門護床工周辺の
洗掘、③ゲートの振動、④ゲートの腐食に区分し、各々行うこととした。
2) 予測手法
① 予測手順
A 排水門の安定性
排水門の開門に伴う海域及び調整池の水位の変化及び排水門の開閉操作の変化に
より、北部・南部排水門の安定性が変化する可能性がある。この影響に対する予測
手順は、図 6.15.1.1-5 に示す手順で北部・南部排水門の安定計算(転倒、滑動に対
する安定)を常時及び地震時について実施した。
安定計算モデルの設定
既往検討資料
計算条件の設定
主な設定条件
水位条件
構造条件
外力条件
安定計算条件
許容安全率
北部・南部排水門の安定計算
図 6.15.1.1-5
排水門の安定性の予測手順
B 排水門護床工周辺の洗掘
排水門の開門に伴う北部・南部排水門周辺の流速増加で、排水門護床工周辺の底
質が洗掘される可能性があることから、底質に洗掘が生じる許容流速(1.6m/s)を
超える範囲を予測する。これに対する予測手順は、図 6.15.1.1-6 に示すとおりとす
る。
6.15.1.1-7
底泥の巻上げ条件の設定
既往調査及び検討資料
周辺地盤の
含水比分布状況
開門調査時の排水門周辺の流速予測
予測モデル構築
底泥の
限界掃流速度
予測条件の設定
開門調査を実施した場合の予測計算
流況(水位・流速)
開門ケース毎の流速分布範囲の予測
図 6.15.1.1-6
排水門周辺の洗掘の予測手順
C ゲートの振動
排水門の開門に伴う海域及び調整池の水位変化により、潜り流出状態時に、北部・
南部排水門のゲートで過度な振動が発生し、構造全体に影響(ワイヤーロープの滑
車からの滑落による開閉不能、前後方向の振動による扉体部へのクラック発生等)
が生じる可能性がある。
「土木学会論文報告集、第 279 号(1978 年 11 月)、長径間ゲートの振動特性に関
する研究」に基づき、ゲートからの流出条件(ゲート開度条件)や上下流の水深の
関係によって、①初期の微小開度時に流出水の水脈の不安定性に起因する自励振動、
②定常運転におけるゲートの半開放流中に流況が遷移流出状態下でゲート直下流に
生じて波動誘引される強制振動が発生することから、振動発生の予測を行う。
なお、北部・南部排水門は排水専用構造として設計・施工がなされており、導入
時においてゲート下の流れが不安定となるため、導入時を対象に検討を実施した。
振動発生の予測手順は、図 6.15.1.1-7 に示すとおりである。
既往検討資料
ゲートの振動条件の整理
自励振動の
発生領域
海域・調整池の水位
強制振動の
発生領域
ゲート開度
ゲートの振動発生の予測
図 6.15.1.1-7
ゲートの振動による施設への影響予測手順
6.15.1.1-8
D ゲートの腐食
排水門の開門に伴う調整池の塩水化により、北部・南部排水門のゲートが腐食す
る可能性があるため、現況のゲートの防食対策について検討した。
② 予測条件
A 周辺流況の変化による安定性への影響予測条件
イ 堰柱の安定計算条件
a 計算手法
堰柱の安定計算は、「建設省河川砂防技術基準(案)
No.310
設計編」及び「港湾技術資料、
防潮水門の計画設計について」等を参考に行った。
b 計算時期
計算対象時期は、「常時」、「地震時」、「洪水時」、「高潮時」の 4 とおりとした。
c 計算方向
計算方向は、「流心方向」、「堰軸方向」の 2 とおりとした。
d ゲート開度条件
排水門ゲートの開度条件としては、
「全開」、
「全閉」、
「固定開度」の 3 とおりとした。
固定開度については、開門調査の方法に応じて適宜決定した。
e 水位条件
水位条件は、予測条件 b~d の組合せケースを設定して、対象施設の安定上危険と予
想される状況を想定し各々設定した。海域・調整池の設定水位は、既往の検討条件、
開門調査の方法、及び数値シミュレーション結果に基づいた。具体的な設定値につい
ては、後述の表 6.15.1.1-9、及び表 6.15.1.1-10 に示す。
f 外力条件
ⅰ)
載荷重
載荷重として、群集荷重 0.35(t/m 2 )、自動車荷重 1.00(t/m 2 )を各々考慮した。
ⅱ)
水圧(残留水位)
端部堰柱等の背面の残留水位は、「河川砂防基準(案)設計偏(P-46)」に従い、朔
望平均満潮位と前面水位の 2/3 の水位差を考慮した。
ⅲ)
土圧
土圧は、クーロン公式を用いて、常時及び地震時のそれぞれで計算した。土圧係数
は、下表のとおりとした。地震時の土圧係数は、固有周期別補正係数を C T =1.00 とし
た設計水平震度、すなわち K h =0.14(見かけの設計水平震度;K h '=0.28)により求
めた。また、水中における見かけの震度は、K h '=γ b /(γ b -1)・K h とした。
6.15.1.1-9
表 6.15.1.1-6
土
圧
φ
(度)
θ
(度)
α
(度)
δ
(度)
時
30
0
0
30
0.297
10.100
地震時
30
0
0
15
0.399
(0.538)
4.261
(3.764)
常
時
30
0
0
10
0.308
4.143
地震時
30
0
0
0
0.425
(0.548)
2.746
(2.462)
係
数
常
安定計算
構造計算
ⅳ)
土圧係数の設定
Ka
Kp
(主働) (受働)
地震力(設計水平震度)
地震時における設計水平震度は、「平成 8 年度 道路橋示方書・同解説[ⅴ]耐震設
計編 P-51」に従い、次式より算出した。
K h =C Z ・K ho
ここに、K h
:
震度法に用いる設計水平震度(小数点以下 2 けたに丸める)
CZ
:
地域別補正係数(C 地域:0.70)
K h0 :
震度法に用いる設計水平震度の標準値
以上より、安定計算に用いる設計水平震度は、北部・南部排水門ともに設計水平震
度 0.18 とした。なお、北部排水門については、設計水平震度の大きい堰軸方向の値を
採用した。
表 6.15.1.1-7
設計水平震度
北部排水門
中間堰柱
端部堰柱
堰軸
流心
堰軸
流心
南部排水門
中間堰柱
端部堰柱
堰軸
流心
堰軸
流心
K h0
0.25
0.23
0.25
0.22
0.25
0.25
0.25
0.25
CZ
0.70
0.70
0.70
0.70
0.70
0.70
0.70
0.70
Kh
0.18
0.16
0.18
0.15
0.18
0.18
0.18
0.18
※)鋼桁 2.0m
ⅴ)
風荷重
風荷重は、「土地改良事業計画設計基準・設計「頭首工」P-246」に従い、鉛直投影
面積に作用するものとし、P=3kN/m 2 に(0.3tf/m 2 )形状係数を乗じた値とした。
ここに、形状係数は、平面形状に対して
ⅵ)
:
1.2
トラス形状(風上側)に対して
:
1.6
トラス形状(風下側)に対して
:
1.2
円筒形状(1本もの)に対して
:
0.7
揚圧力
揚圧力は、
「昭和 60 年度制定 建設省河川砂防技術基準(案)設計編 P-57」に従い、
次式より求めた。
U px =(h 2 +Δh・(Σl-l x )/l x +d i )・W o
6.15.1.1-10
ここに、U px :
任意の点の揚圧力(tf/m 2 )
:
上下流の水位差(m)
lx
:
上流端から任意の点までの浸透経路(m)
Σl
:
全浸透経路(m)
Wo
:
水の単位体積重量(tf/m 3 )
di
:
任意の点における床版もしくは水叩きの厚さ(m)
L1
L2
・8
d3
・7
・6
・5
・4
・3
・2
・1
h1
d1
d2 h2 Δh
Δh
L3
Upx
図 6.15.1.1-8
ⅶ)
揚圧力のイメージ
動水圧
地震時の動水圧は、以下に示す「ウエスターガードの近似式」より求めた。
P d =7/12・W 0 ・K h ・H 2
y d =2/5・H
:動水圧の合力(tf/m)
W0
:水の単位体積重量(tf/m 3 )
Kh
:設計水平震度
H
:水深(m)
yd
:動水圧の合力の作用位置(m)
Pd
yd
図 6.15.1.1-9
ⅷ)
H
ここに、P d
動水圧のイメージ
摩擦力(摩擦係数)
堰柱底面部の摩擦係数は、
「昭和 60 年度制定 建設省河川砂防技術基準(案) 設計
編」に従い、μ=0.60(砂質土)とした。
ⅸ)
荷重の組合せ
各検討ケースにおける荷重の組合せは、「平成 9 年度制定 建設省河川砂防技術基準
(案)設計編 P-83」に従い、洪水と地震は同時に作用させないものとした。
6.15.1.1-11
g 安定計算結果の許容値
安定計算の各項目に対する許容値は、以下のとおりとした。
堰柱は、重要構造物であるため、転倒照査を行い、常時・地震時ともにミドルサー
ド内に収まるかどうかを確認した。
支持に関する照査は、杭基礎として検討を実施し、杭軸方向押込み力が許容支持力
以内、かつ杭頭部変位量が許容値以内に収まるかどうかを確認した。
滑動照査については、杭基礎支持であることから、上記の杭基礎検討で杭体応力や
杭頭部変位量が許容変位以下となれば安全性は確保されることとなる。
表 5.15.1.1-8
項
堰
柱
目
転
滑
常
安定計算結果の許容値
時
倒
動
合力の作用点が中央 1/6 以内
安全率≧1.5
許容支持力(軸方向押込み力)
北部中間 :237 tf/本
杭
北部端部 :229 tf/本
基
支持力
南部中間 :199 tf/本
礎
南部端部 :229 tf/本
水平変位
許容変位量 1.0cm
6.15.1.1-12
地
震
時
合力の作用点が中央 1/6 以内
安全率≧1.2
許容支持力(軸方向押込み力)
北部中間 :356 tf/本
北部端部 :344 tf/本
南部中間 :298 tf/本
南部端部 :344 tf/本
許容変位量 1.5cm
h 安定計算ケース
安定計算の予測ケースは、既往の検討条件、並びに開門調査時の数値シミュレーシ
ョンの結果を踏まえ、計算時期、計算方向、ゲート開度条件、水位条件、及び外力条
件を組合せて表 6.15.1.1-9 及び表 6.15.1.1-10 のとおり設定した。
表 6.15.1.1-9
安定計算ケース一覧(ケース 1)
番号
状態
計算方向
ゲート
海側水位
調整池水位
1-1
洪水時
流心方向
全開
(+)0.7m
(+)2.8m
調整池高水位+最大水位差(2.018m)
1-2
常時
流心方向
全開
(+)2.5m
(+)0.5m
朔望平均満潮位+最大水位差(1.933m)
1-3
常時
流心方向
全開
(-)2.9m
(-)0.8m
朔望平均干潮位+最大水位差(2.018m)
1-4
常時
流心方向
全開
(-)2.9m
(-)1.9m
最低水位
1-5
常時
堰軸方向
全開
(-)2.9m
(-)1.9m
最低水位
1-6
洪水時
流心方向
全開
(+)2.5m
(+)2.8m
最高水位:朔望平均満潮位,調整池高水位
1-7
高潮時
流心方向
全閉
(+)4.9m
(-)1.9m
高潮時
1-8
地震時
流心方向
全開
(+)2.5m
(+)0.5m
常時最大水位差(番号 1-2)の地震時
1-9
地震時
流心方向
全開
(-)2.9m
(-)1.9m
最低水位の地震時
1-10
地震時
堰軸方向
全開
(-)2.9m
(-)1.9m
堤防→門 最低水位の地震時
1-11
地震時
流心方向
全開
(-)2.9m
(-)0.8m
常時最大水位差(番号 1-3)の地震時
1-12
地震時
流心方向
全開
(+)2.5m
(+)2.5m
最高水位の地震時
表 6.15.1.1-10
地震方向
備
考
(調整池側:最低水位)
安定計算ケース一覧(ケース 3-1)
番号
状態
計算方向
ゲート
海側水位
調整池水位
地震方向
3-1
洪水時
流心方向
全開
(-)0.5m
(+)1.5m
調整池高水位+最大水位差(1.901m)
3-2
常時
流心方向
0.9m 開
(+)2.5m
(-)0.5m
朔望平均満潮位+上限調整池水位
3-3
常時
流心方向
1.2m 開
(-)2.9m
(-)1.2m
朔望平均干潮位+下限調整池水位
3-4
常時
堰軸方向
1.2m 開
(-)2.9m
(-)1.2m
最低水位
3-5
洪水時
流心方向
全開
(+)2.5m
(+)1.5m
最高水位:朔望平均満潮位,調整池高水位
3-6
高潮時
流心方向
全閉
(+)4.9m
(-)1.2m
高潮時
3-7
地震時
流心方向
0.9m 開
(+)2.5m
(-)0.5m
常時最大水位差(番号 3-2)の地震時
3-8
地震時
流心方向
1.2m 開
(-)2.9m
(-)1.2m
最低水位の地震時
3-9
地震時
堰軸方向
1.2m 開
(-)2.9m
(-)1.2m
堤防→門 最低水位の地震時
6.15.1.1-13
備
考
B 底泥の過剰洗掘による安定性への影響予測条件
イ 底泥の巻上げ速度
底泥の巻上げ速度は、前出の「2.2
ケース 3-1 の許容流速及び管理水位の設定」に
示すとおりであり、限界掃流速度(平均流速)を 1.6(m/s)以上とした。
ロ 開門調査時の排水門周辺の流速予測の解析条件
a 予測モデル
排水門周辺の流速予測に用いるモデルは、
「14.4
結果」「4)
予測手法」「④
農地・農業用施設」
「(2)
予測の
予測モデル」に示すとおりである。
b 潮受堤防排水門の条件
潮受堤防排水門の条件は、
「14.4
測手法」「④
予測条件」「A
農地・農業用施設」
「(2)
予測の結果」
「4)
予
潮受堤防排水門の条件」に示すとおりである。
c 内水排除条件
背後地の内水排除の条件は、
「14.4
測手法」「④
予測条件」「B
農地・農業用施設」
「(2)
予測の結果」
「4) 予
内水排除条件」に示すとおりである。
d 対象降雨
平常時の流速状況を確認するため、降雨なしとした。ただし、各河川流域の基底流
量が、常時調整池に流下しているものとした。
e 開境界条件
諫早湾干拓事業の計画潮位として採用されている朔望平均潮位式(大潮モデル潮位、
小潮モデル潮位)を採用し、各々の潮位を開境界条件として与えた。潮位式は、
「14.4
農地・農業用施設」「(2)
条件」「イ
予測の結果」「4)
予測手法」「④
予測条件」「E
開境界
洪水時排水への影響予測の開境界条件」に示すとおりである。
f その他計算条件
その他解析に関する計算条件は、
「14.4
予測手法」「④
予測条件」「G
農地・農業用施設」
「(2)
予測の結果」
「4)
その他計算条件」に示すとおりである。
C ゲートの振動による施設への影響予測条件
イ 自励振動の発生領域
自励振動は、微小開度の潜り放出状態で放流するときにみられ、扉体底面板の下
に流入した薄い水脈の振動に伴って生じる圧力振動によりゲートが振動し、この振
動がまた水脈の動揺を励起するという現象である。
前出の文献記述によれば、潜り流出状態での排水門表裏の水位が、図 6.15.1.1-10
に示す 2 つの図のいずれかにおいて自励振動が発生しない領域での水位変動となれ
6.15.1.1-14
ば、自励振動が発生する可能性は低いとされる。なお、同図の自励振動②に関して
は、調整池水位の変動状況より影響ないことが歴然であることから、自励振動①を
対象に検討を実施した。
自励振動②
自励振動①
自励振動境界
1.2
排水先の水位(m)
1
1.0
0.8
0.6
自励振動①が
発生しない領域
0.4
自励振動①
発生領域
自励振動②が
発生しない領域
0
‐1
自励振動②
発生領域
‐2
0.2
‐3
0.0
-2
-1
0
1
2
-3
3
-2
-1
0
1
2
3
排水元の水位(m)
排水元の水位(m)
図 6.15.1.1-10
自励振動の発生領域
ロ 強制振動の発生領域
強制振動はゲートを半開放(もぐり開門)中に流況が遷移流出状態下でゲート直
下流に生じる波動で誘引される振動である。
前出の文献記述によれば、潜り流出状態での排水門表裏の水深と排水門開度の関
係が、図 6.15.1.1-11 に示す上下限の境界外あれば、強制振動が発生する可能性は
低いとされる。
強制振動
強制振動上限
強制振動下限
1
強制振動が
発生しない領域
0.8
(hd‐a)/hu
-3
強制振動
発生領域
0.6
0.4
強制振動が
発生しない領域
0.2
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
a/hu
強制振動(導入時)
開度3 90cm
2
調整池水位(m)
ゲート開度(m)
自励振動境界
2
1.4
強制振動下限
強制振動
発生領域
強制振動が
発生しない領域
1
強制振動上限
0
‐1
強制振動が
発生しない領域
‐2
‐3
-3
-2
-1
0
1
海側水位(m)
6.15.1.1-15
2
3
4
5
hd: 外 水 位 ( 排 出 先 の 水 位 )
hu: 内 水 位 ( 排 出 元 の 水 位 )
a :排水門開度
図 6.15.1.1-11
強制振動の発生領域
3) 予測結果
① 排水門の安定性
A ケース 1
ケース 1 の場合において予測される海域及び調整池の水位条件下で、北部・南部
排水門の安定計算を実施した。
安定計算の結果より、堰柱部及び杭基礎ともに許容値を満足することから、北部・
南部排水門の安定性への影響はないものと予測される。
堰柱部及び杭基礎の安定計算結果を表 6.15.1.1-11(1)~(2)にそれぞれ示す。
B ケース 2
第 1 段階の水位条件は、ケース 3-1 の水位条件の範囲内に収まり、ケース 3-1 の
安定計算の結果から、北部・南部排水門の安定性への影響はないと予測される。
第 2 段階、第 3 段階はそれぞれケース 3-1、ケース 1 と同様であり、安定性への
影響はないと予測される。
C ケース 3-1
ケース 3-1 の場合において予測される海域及び調整池の水位条件下で、北部・南
部排水門の安定計算を実施した。
安定計算の結果より、堰柱部及び杭基礎ともに許容値を満足することから、北部・
南部排水門の安定性への影響はないものと予測される。
堰柱部及び杭基礎の安定計算結果を表 6.15.1.1-12(1)~(2)にそれぞれ示す。
D ケース 3-2
ケース 2 の第 1 段階と同様である。
6.15.1.1-16
表 6.15.1.1-11(1)
項 目
鉛直力
CASE
堰柱名
北
部
排
中間堰柱
水
門
堰
柱
端部堰柱
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
項 目
堰柱名
南
部
排
中間堰柱
水
門
堰
柱
端部堰柱
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
抵抗
水平力
モーメント
堰柱の安定計算結果(ケース 1)
転倒
モーメント
ΣV(t)
ΣV・x(t・m) ΣH(t) ΣH・y(t・m)
5314.17
66093.96
324.52
3708.12
5264.09
63364.53
48.24
2819.26
5563.38
69209.98
300.02
3523.79
5597.53
69084.16
239.13
3381.43
5597.53
36383.95
93.68
1493.26
5243.41
64300.66
204.39
3317.82
4935.34
57979.49
-1892.45 -12015.42
5101.09
60134.34
1077.71
10894.75
5434.53
65853.97
1259.99
11292.18
5434.53
35324.45
1215.23
11216.63
5400.38
65979.79
1324.17
11452.93
5040.28
60404.34
1223.47
11285.55
6887.82
83097.89
252.72
2546.46
6927.01
83315.35
-22.32
1667.96
7606.61
92076.71
230.16
2378.78
7729.59
93545.59
169.86
2240.68
8400.80
68001.75
1693.56
8976.84
6727.71
80975.20
132.59
2156.16
6864.33
82807.33
-1197.13
-7223.47
6808.01
80993.38
1453.54
13534.23
7610.59
91223.62
1650.21
14159.54
8159.36
65636.66
4098.76
25301.60
7487.61
89754.74
1710.02
14288.00
6564.60
78079.50
1590.27
13975.99
鉛直力
CSE
北部・南部排水門
抵抗
モーメント
水平力
転倒
モーメント
ΣV(t)
ΣV・x(t・m) ΣH(t) ΣH・y(t・m)
4695.93
58251.53
291.06
3159.87
4634.16
55355.11
22.03
2315.54
4925.12
61119.33
268.61
2990.01
4953.24
60908.52
208.61
2852.59
4953.24
32196.07
92.25
1444.64
4625.31
56459.58
174.11
2790.17
4428.46
50946.60
-1538.68
-9594.66
4495.16
52630.21
966.50
8941.11
4814.24
58183.62
1145.20
9430.53
4814.24
31292.57
1101.25
9358.60
4786.12
58394.43
1208.20
9585.32
4445.63
53056.55
1107.93
9417.92
7141.72
86489.91
247.46
2255.66
7174.91
86485.78
-49.56
1372.01
7930.12
96346.10
226.79
2102.97
8062.44
97892.14
159.63
1955.02
8730.11
83125.43
1601.84
8263.52
6961.82
84064.39
117.91
1864.00
7193.37
86490.40
-1061.98
-6031.16
7074.91
84575.56
1530.55
13221.72
7962.44
95981.92
1746.35
13877.21
8419.21
79845.63
4047.65
24214.93
7830.12
94435.88
1812.44
14010.02
6810.49
81468.27
1678.12
13665.84
滑動に対する安定
転倒に対する安定
B/6
安 全 率
1) 偏心距離
判定
判定 2)
(m)
e(m)
計算値 許容値
9.83 > 1.50
0.76 < 4.17
OK
OK
65.47 > 1.50
1.00 < 4.17
OK
OK
11.13 > 1.50
0.69 < 4.17
OK
OK
14.04 > 1.50
0.76 < 4.17
OK
OK
35.85 > 1.50
0.27 < 2.17
OK
OK
15.39 > 1.50
0.87 < 4.17
OK
OK
1.56 > 1.50
-1.68 < 4.17
OK
OK
2.84 > 1.20
2.85 < 4.17
OK
OK
2.59 > 1.20
2.46 < 4.17
OK
OK
2.68 > 1.20
2.06 < 2.17
OK
OK
2.45 > 1.20
2.40 < 4.17
OK
OK
2.47 > 1.20
2.75 < 4.17
OK
OK
16.35 > 1.50
0.81 < 4.17
OK
OK
186.21 > 1.50
0.71 < 4.17
OK
OK
19.83 > 1.50
0.71 < 4.17
OK
OK
27.30 > 1.50
0.69 < 4.17
OK
OK
2.98 > 1.50
-0.53 < 2.17
OK
OK
30.44 > 1.50
0.78 < 4.17
OK
OK
3.44 > 1.50
-0.62 < 4.17
OK
OK
2.81 > 1.20
2.59 < 4.17
OK
OK
2.77 > 1.20
2.37 < 4.17
OK
OK
1.56 < 2.17
1.19 < 1.20 OK 3)
OK
2.63 > 1.20
2.42 < 4.17
OK
OK
2.48 > 1.20
2.73 < 4.17
OK
OK
滑動に対する安定
転倒に対する安定
B/6
安 全 率
1) 偏心距離
判定
判定 2)
(m)
e(m)
計算値 許容値
9.68 > 1.50
0.77 < 4.17
OK
OK
126.21 > 1.50
1.05 < 4.17
OK
OK
11.00 > 1.50
0.70 < 4.17
OK
OK
14.25 > 1.50
0.78 < 4.17
OK
OK
32.22 > 1.50
0.29 < 2.17
OK
OK
15.94 > 1.50
0.90 < 4.17
OK
OK
1.73 > 1.50
-1.17 < 4.17
OK
OK
2.79 > 1.20
2.78 < 4.17
OK
OK
2.52 > 1.20
2.37 < 4.17
OK
OK
2.62 > 1.20
1.94 < 2.17
OK
OK
2.38 > 1.20
2.30 < 4.17
OK
OK
2.41 > 1.20
2.68 < 4.17
OK
OK
17.32 > 1.50
0.71 < 4.17
OK
OK
86.86 > 1.50
0.64 < 4.17
OK
OK
20.98 > 1.50
0.62 < 4.17
OK
OK
30.30 > 1.50
0.60 < 4.17
OK
OK
3.27 > 1.50
-1.08 < 2.50
OK
OK
35.43 > 1.50
0.69 < 4.17
OK
OK
4.06 > 1.50
-0.36 < 4.17
OK
OK
2.77 > 1.20
2.41 < 4.17
OK
OK
2.74 > 1.20
2.19 < 4.17
OK
OK
1.25 > 1.20
0.89 < 2.50
OK
OK
2.59 > 1.20
2.23 < 4.17
OK
OK
2.44 > 1.20
2.54 < 4.17
OK
OK
※1)滑動照査では、計算値が許容安全率以上を「OK」、未満を「OUT」と判定。
※2)転倒照査では、偏心距離がミドルサード未満を「OK」、以上を「OUT」と判定
※3)表 6.15.1.1-11(2)のとおり、杭体応力が許容応力度以内かつ杭頭部変位量が許容変位以下
と確認しており、OK と判定。
6.15.1.1-17
表 6.15.1.1-11(2)
北部・南部排水門
北
部
排
水
門
杭
基
礎
項 目
CASE
堰 柱 1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
中間
1-7
1-8
北
1-9
1-10
部
1-11
1-12
排
1-1
1-2
水
1-3
1-4
門
1-5
1-6
端部
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
南
項 目
堰 柱 部
排
中間
水
門
杭
南
部
排
水
門
基
※2)
端部
CASE
礎
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7
1-8
1-9
1-10
1-11
1-12
杭基礎の計算結果(ケース 1)
軸方向押込み力
許容値
計算値
140.1 ≦
237
143.2 ≦
237
144.5 ≦
237
146.8 ≦
237
138.6 ≦
237
140.3 ≦
237
162.1 ≦
237
190.2 ≦
356
192.7 ≦
356
227.4 ≦
356
190.4 ≦
356
186.3 ≦
356
163.4 ≦
229
159.8 ≦
229
176.9 ≦
229
178.6 ≦
229
水平変位(cm)
計算値 許容値
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.3 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.50
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
判
定
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
※1)
158.1
162.3
219.0
237.9
293.7
235.8
216.1
229
≦
229
≦
344
≦
344
≦
344
≦
344
≦
344
≦
軸方向押込み力
許容値
計算値
140.2 ≦
199
143.2 ≦
199
144.8 ≦
199
147.3 ≦
199
139.6 ≦
199
140.4 ≦
199
153.7 ≦
199
188.8 ≦
298
192.2 ≦
298
225.5 ≦
298
189.7 ≦
298
185.4 ≦
298
174.2 ≦
229
170.3 ≦
229
189.8 ≦
229
191.6 ≦
229
0.0
0.1
0.1
0.1
0.3
0.1
0.1
≦ 1.00
≦ 1.00
≦ 1.50
≦ 1.50
≦ 1.50
≦ 1.50
≦ 1.50
水平変位(cm)
計算値 許容値
0.1 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.5 ≦ 1.00
0.2 ≦ 1.50
0.2 ≦ 1.50
0.2 ≦ 1.50
0.2 ≦ 1.50
0.2 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
判
定
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
※1)
168.2
170.3
235.6
257.3
267.0
255.2
232.3
≦
≦
≦
≦
≦
≦
≦
229
229
344
344
344
344
344
0.0
0.3
0.2
0.3
0.6
0.3
0.3
≦
≦
≦
≦
≦
≦
≦
1.00
1.00
1.50
1.50
1.50
1.50
1.50
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
※1)偏心位置が水平力方向と反対位置にあるため、土圧は主働
状態ではない。したがって、基礎等については十分安全である。
※2)南部排水門端部堰柱においては、背面土内の EPS 設置を考
慮した。
6.15.1.1-18
表 6.15.1.1-12(1)
項 目
鉛直力
CASE
堰柱名
北
部
排
中間堰柱
水
門
堰
柱
端部堰柱
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-6
3-7
3-8
3-9
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-6
3-7
3-8
3-9
項 目
堰柱名
南
部
排
中間堰柱
水
門
堰
柱
端部堰柱
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-6
3-7
3-8
3-9
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-6
3-7
3-8
3-9
抵抗
水平力
モーメント
転倒
モーメント
ΣV(t)
ΣV・x(t・m) ΣH(t) ΣH・y(t・m)
5401.67
67130.03
309.78
3614.76
5292.05
63167.47
-764.63
-5580.57
5576.23
69162.85
314.10
3081.45
5576.23
36245.50
90.31
1472.96
5327.12
64657.33
114.00
3013.93
4914.31
58091.51
-1786.44 -11600.16
5129.05
59937.28
588.45
7091.00
5413.23
65932.66
1372.39
11164.37
5413.23
35186.00
1220.95
10633.83
7140.01
86230.47
238.67
2459.62
7046.29
84717.71
-327.96
-436.29
7651.88
92610.24
226.09
2130.73
8316.39
67205.60
1667.93
8938.59
6898.75
83000.76
42.89
1858.79
6779.38
81794.95
-1124.17
-6969.31
6927.29
82395.74
1179.18
11614.79
7532.88
90288.27
1723.83
14125.92
8078.17
64882.25
4070.43
25279.43
鉛直力
CASE
北部・南部排水門堰柱の安定計算結果(ケース 3-1)
抵抗
モーメント
水平力
転倒
モーメント
ΣV(t)
ΣV・x(t・m) ΣH(t) ΣH・y(t・m)
4776.20
59189.41
277.16
3072.48
4656.49
55088.09
-431.75
-1185.47
4935.79
61039.33
289.17
2510.90
4935.79
32082.64
88.91
1424.34
4702.84
56717.91
86.20
2501.68
4411.37
51107.71
-1449.81
-9262.94
4517.49
52363.19
584.80
6204.88
4796.79
58314.43
1238.85
9421.24
4796.79
31179.14
1107.03
8994.79
7418.19
89923.73
233.51
2174.33
7304.31
87973.26
-313.55
-465.12
7978.88
96906.50
223.32
1832.57
8594.31
81414.50
1576.40
8240.56
7150.51
86254.35
21.34
1566.61
7101.11
85423.36
-992.86
-5811.30
7641.81
91409.29
1303.29
11769.56
7878.88
94996.28
1814.97
13907.84
8383.62
79156.60
4017.33
24193.67
滑動に対する安定
転倒に対する安定
B/6
安 全 率
1) 偏心距離
判定 2)
判定
(m)
e(m)
計算値 許容値
10.46 > 1.50
0.74 < 4.17
OK
OK
4.15 > 1.50
-0.49 < 4.17
OK
OK
10.65 > 1.50
0.65 < 4.17
OK
OK
37.05 > 1.50
0.26 < 2.17
OK
OK
28.04 > 1.50
0.93 < 4.17
OK
OK
1.65 > 1.50
-1.68 < 4.17
OK
OK
5.23 > 1.20
2.20 < 4.17
OK
OK
2.37 > 1.20
2.38 < 4.17
OK
OK
2.66 > 1.20
1.96 < 2.17
OK
OK
17.95 > 1.50
0.77 < 4.17
OK
OK
12.89 > 1.50
0.42 < 4.17
OK
OK
20.31 > 1.50
0.68 < 4.17
OK
OK
-0.51 < 2.17
2.99 > 1.50
OK
OK
96.51 > 1.50
0.74 < 4.17
OK
OK
3.62 > 1.50
-0.59 < 4.17
OK
OK
3.52 > 1.20
2.28 < 4.17
OK
OK
2.62 > 1.20
2.39 < 4.17
OK
OK
1.60 < 2.17
1.19 < 1.20 OK 3)
OK
滑動に対する安定
転倒に対する安定
B/6
安 全 率
1) 偏心距離
判定 2)
判定
(m)
e(m)
計算値 許容値
10.34 > 1.50
0.75 < 4.17
OK
OK
6.47 > 1.50
0.42 < 4.17
OK
OK
10.24 > 1.50
0.64 < 4.17
OK
OK
33.31 > 1.50
0.29 < 2.17
OK
OK
32.73 > 1.50
0.97 < 4.17
OK
OK
1.83 > 1.50
-1.19 < 4.17
OK
OK
4.63 > 1.20
2.28 < 4.17
OK
OK
2.32 > 1.20
2.31 < 4.17
OK
OK
2.60 > 1.20
1.88 < 2.17
OK
OK
19.06 > 1.50
0.67 < 4.17
OK
OK
13.98 > 1.50
0.39 < 4.17
OK
OK
21.44 > 1.50
0.58 < 4.17
OK
OK
-1.01 < 2.50
3.27 > 1.50
OK
OK
201.05 > 1.50
0.66 < 4.17
OK
OK
4.29 > 1.50
-0.35 < 4.17
OK
OK
3.52 > 1.20
2.08 < 4.17
OK
OK
2.60 > 1.20
2.21 < 4.17
OK
OK
1.25 > 1.20
0.94 < 2.50
OK
OK
※1)滑動照査では、計算値が許容安全率以上を「OK」、未満を「OUT」と判定。
※2)転倒照査では、偏心距離がミドルサード未満を「OK」、以上を「OUT」と判定
※3)表 6.15.1.1-12(2)のとおり、杭体応力が許容応力度以内かつ杭頭部変位量が許容変位以下
と確認しており、OK と判定。
6.15.1.1-19
表 6.15.1.1-12(2)
北部・南部排水門
北
項 目
堰 柱 部
排
水
門
杭
基
北
部
排
水
門
中間
礎
端部
CASE
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-7
3-8
3-9
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-7
3-8
3-9
南
CASE
南 中間
部
排
水
門 ※2)
端部
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-7
3-8
3-9
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-7
3-8
3-9
部
項 目
堰 柱 杭基礎の計算結果(ケース 3-1)
軸方向押込み力
許容値
計算値
141.8 ≦
237
135.2 ≦
237
143.7 ≦
237
137.6 ≦
237
143.5 ≦
237
172.2 ≦
356
190.5 ≦
356
222.1 ≦
356
168.2 ≦
229
152.1 ≦
229
177.0 ≦
229
水平変位(cm)
計算値 許容値
0.0 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.50
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
判
定
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
※1)
160.4
212.2
236.4
293.4
≦
≦
≦
≦
229
344
344
344
排
水
門
杭
基
軸方向押込み力
許容値
計算値
141.9 ≦
199
123.2 ≦
199
143.7 ≦
199
138.9 ≦
199
143.8 ≦
199
174.2 ≦
298
190.5 ≦
298
221.9 ≦
298
179.3 ≦
229
162.9 ≦
229
189.3 ≦
229
0.0
0.1
0.1
0.3
1.00
1.50
1.50
1.50
OK
OK
OK
OK
水平変位(cm)
計算値 許容値
0.1 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.0 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.50
0.2 ≦ 1.50
0.2 ≦ 1.50
0.1 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
0.1 ≦ 1.00
判
定
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
OK
≦
≦
≦
≦
※1)
礎
171.1
240.7
255.7
268.8
≦
≦
≦
≦
229
344
344
344
0.0
0.2
0.3
0.6
≦
≦
≦
≦
1.00
1.50
1.50
1.50
OK
OK
OK
OK
※1)偏心位置が水平力方向と反対位置にあるため、土圧は主働
状態ではない。したがって、基礎等については十分安全である。
※2)南部排水門端部堰柱においては、背面土内の EPS 設置を考
慮した。
6.15.1.1-20
② 排水門護床工周辺の洗掘
A ケース 1
開門調査時の排水門周辺の流速予測の結果、ケース 1 の場合における北部・南部
排水門周辺部の流速分布状況(大潮モデル潮位、無降雨時)は、図 6.15.1.1-12 の
とおりと予測され、図中の水色着色部にて底泥の限界掃流速度(平均流速 v=1.6m/s)
を上回る結果となった。
【北部排水門周辺の流速分布状況】
1 区画は 50m×50m
限界掃流速度を上回る区域
北部海域側
61.0ha
北部調整池側
71.8ha
【南部排水門周辺の流速分布状況】
1 区画は 50m×50m
限界掃流速度を上回る区域
南部調整池側
9.5ha
南部海域側
4.5ha
図 6.15.1.1-12
北部・南部排水門周辺の流速分布図(ケース 1)
6.15.1.1-21
B ケース 2
第 1 段階では、水位条件及び排水門のゲート開度(90cm)から、排水門周辺で発
生する流速はケース 3-1 よりも低く抑えられることから底泥の限界掃流速度(平均
流速 v=1.6m/s)を超えることはないと予測される。
また、第 2 段階、第 3 段階はそれぞれケース 3-1、ケース 1 と同様の流速になる
ことから、第 3 段階ではケース 1 と同様の範囲で底泥の限界掃流速度を超えると予
測される。
C ケース 3-1
開門方法ケース 3-1 の場合では、排水門周辺で発生する流速を底泥の限界掃流速
度以下で制御するように排水門の開度を操作するため、底泥の限界掃流速度を超え
ることはないと予測される。
D ケース 3-2
ケース 2 の第 1 段階と同様である。
6.15.1.1-22
③ ゲートの振動
A ケース 1
ケース 1 では、北部・南部排水門のゲートを全開にしていることから、自励振動
や強制振動のゲート振動は発生しないと予測される。
B ケース 2
イ 自励振動
自励振動は、微小開度の潜り放出状態で放流するときにみられ、扉体底面板の下
に流入した薄い水脈の振動に伴って生じる圧力振動によりゲートが振動し、この振
動がまた水脈の動揺を励起するという現象である。
ケース 2(第 1 段階)の場合の数値シミュレーション結果に基づき、海域及び調
整池水位の関係を自励振動の発生領域図にプロットした(図 6.15.1.1-13 参照)。同
図から、微小開度 0~20 ㎝未満で自励振動が発生する可能性があるが、危険な微小
開度でゲートを停止させることなく連続的に開閉すれば防止できる。開門方法ケー
ス 2(第 1 段階)での開度は 90cm である。また、北部・南部排水門ゲートの場合、
30cm ピッチで開閉することから、ゲートが危険な開度で停止することはなく自励振
動が発生する可能性は低いと予測される。なお、短期開門調査における振動調査結
果では、自励振動は確認されていない。
また、第 2 段階、第 3 段階は、それぞれケース 3-1、ケース 1 と同様であると予
測され、いずれに段階においても自励振動の発生の可能性は低いと予測される。
自励振動① 導入時
シミュレーション結果
1.2
1.2
1.0
1.0
0.8
0.6
自励振動が
発生しない領域
0.4
自励振動
発生領域
自励振動境界
シミュレーション結果
1.4
ゲート開度(m)
ゲート開度(m)
自励振動① 排水時
自励振動境界
1.4
0.8
0.6
自励振動が
発生しない領域
0.4
0.2
自励振動
発生領域
0.2
0.0
0.0
-3
-2
-1
0
1
2
3
-3
海側水位(m)
図 6.15.1.1-13
-2
-1
0
1
2
3
調整池水位(m)
自励振動①の発生領域と内外水位の関係(ケース 2:第 1 段階)
イ 強制振動
強制振動はゲートを半開放(もぐり開門)中に流況が遷移流出状態下でゲート直
下流に生じる波動で誘引される振動である。
排水門は、調整池から海域に向かう排水時の流れのみを対象として設計されてお
り、排水時には、円滑な流れとなるようになっており、振動の問題は生じないと考
えられる。また、現実にも問題は生じていない。
一方、このような排水用の構造で海水を導入する場合には、流れに乱れが生じや
6.15.1.1-23
すく、ゲートに影響を与えるような強制振動が発生する可能性があると考えられる。
従って、以下、海水導入時について検討する。
ケース 2 の第 1 段階の場合(開度 90cm)の数値シミュレーション結果に基づき、
導入時の海域及び調整池水位の関係を強制振動の発生領域図にプロットした。
図 5.15.1.1-9 にその整理結果を示すが、調整池水位と海域水位の関係より、強制
振動の発生領域内に位置する場合が生じる。具体的に、海水導入時(開度 90cm)に
は外海側水位(-)0.3m~(+)1.6m の範囲で強制振動が発生する可能性がある。
また、第 2 段階、第 3 段階は、それぞれケース 3-1、ケース 1 と同様であると予
測され、第 2 段階ではケース 3-1 と同様の範囲で強制振動が発生する可能性がある。
強制振動 導入時
強制振動上限
3
強制振動下限
調整池水位(m)
2
強制振動が
発生しない領域
1
シミュレーション結果
0
‐1
強制振動が
発生しない領域
‐2
‐3
-3
強制振動
発生領域
図 6.15.1.1-14
-2
-1
0
1
2
3
4
5
海側水位(m)
強制動発生領域と内外水位の関係(ケース 2:第 1 段階)
C ケース 3-1
イ 自励振動
ケース 3-1 の場合の数値シミュレーション結果に基づき、海域及び調整池水位の
関係を自励振動の発生領域図にプロットした(図 6.15.1.1-15 参照)。開門方法ケー
ス 3-1 での開度は 90~120cm であり、また、北部・南部排水門ゲートの場合、30cm
ピッチで開閉することになっていることから、ゲートが危険な開度で停止すること
はなく自励振動が発生する可能性は低いと予測される。
自励振動① 導入時
シミュレーション結果
1.2
1.2
1.0
1.0
0.8
0.6
自励振動が
発生しない領域
0.4
自励振動
発生領域
自励振動境界
シミュレーション結果
1.4
ゲート開度(m)
ゲート開度(m)
自励振動① 排水時
自励振動境界
1.4
0.8
0.6
自励振動が
発生しない領域
0.4
0.2
自励振動
発生領域
0.2
0.0
0.0
-3
-2
-1
0
1
2
3
海側水位(m)
図 6.15.1.1-15
-3
-2
-1
0
1
調整池水位(m)
自励振動①の発生領域と内外水位の関係(ケース 3-1)
6.15.1.1-24
2
3
ロ 強制振動
ケース 2 第 1 段階と同様に、海水導入時についてのみ検討を行う。
ケース 3-1 の場合の数値シミュレーション結果に基づき、導入時の海域及び調整
池水位の関係を強制振動の発生領域図にプロットした。
図 5.15.1.1-11 にその整理結果を示すが、調整池水位と海域水位の関係より、強
制振動の発生領域内に位置する場合が生じる。具体的に、海水導入時(開度 90cm)
には外海側水位(-)0.3m~(+)2.9m の範囲で強制振動が発生する可能性がある。
強制振動 導入時
強制振動上限
3
強制振動下限
強制振動が
発生しない領域
調整池水位(m)
2
1
シミュレーション結果
0
‐1
強制振動が
発生しない領域
‐2
‐3
-3
強制振動
発生領域
図 6.15.1.1-16
-2
-1
0
1
2
3
4
5
海側水位(m)
強制動発生領域と内外水位の関係(ケース 3-1)
D ケース 3-2
ケース 2 の第 1 段階と同様である。
④ ゲートの腐食
排水門のゲートでは、陽極棒をゲートに設置し、陽極棒とゲート本体の電位差によ
り陽極棒からゲートへ電流を流して防食している。
現在、排水門ゲートでは、海域側にアルミニウム合金陽極が、調整池側にマグネシ
ウム合金陽極が、それぞれ設置されている。
アルミニウム合金陽極は、電気発生量が高く、海中や海底土中の環境に適している。
これに対して、マグネシウム合金陽極は、鉄に対する有効電圧が大きいので抵抗率の
高い淡水の環境に適している。しかし、海水中の抵抗率の低い環境では、各ケースと
も陽極棒自身が短期間に消耗する可能性がある。
6.15.1.1-25
(3) 環境保全措置の検討
開門調査の実施による北部・南部排水門の安定性・安全性への影響に対する環境保
全措置の検討結果を表 6.15.1.1-13 に示す。
表 6.15.1.1-13
環境保全措置の実施内容
開門方法ケース
影響予測項目
排水門の安定性
排水門護床工周辺
の洗掘
ゲートの振動
環境保全措置の実施内容
ケース 1
-
護床工の
設置
-
ケース 2
ケース 2
ケース 2
第 1 段階
第 2 段階
第 3 段階
-
-
-
-
-
振動調査・ 振動調査・
監視の実施 監視の実施
護床工の
設置
-
ケース 3-1
ケース 3-2
-
-
-
-
振動調査・監 振動調査・
視の実施
監視の実施
調整池側を 調整池側を 調整池側を 調整池側を 調整池側を 調整池側を
ゲートの腐食
アルミニウ アルミニウ アルミニウ アルミニウ アルミニウ アルミニウ
ム合金陽極 ム合金陽極 ム合金陽極 ム合金陽極 ム合金陽極 ム合金陽極
棒に変更
棒に変更
棒に変更
6.15.1.1-26
棒に変更
棒に変更
棒に変更
1) 排水門護床工周辺の洗掘に対する保全措置
① 検討結果
ケース 1 及びケース 2 において発生する可能性がある排水門護床工周辺の洗掘に対
する環境保全措置の検討結果を表 6.15.1.1-14 に示す。
表 6.15.1.1-14
開門調査の実施における環境保全措置及びその検証の結果
項
目
環境保全措置の対象となる開
門方法ケース
環境影響
環境保全措置の目的及び基本
方針
実施主体
実施方法
環境保全措 置
の具体的な 施
策
実施期間
そ
の
他
実施範囲
実施条件
環境保全措置を講じた後の環
境の状況の変化
環境保全措置の効果
環境保全措置の効果の不確実
性の程度
環境保全措置の実施に伴い生
ずるおそれがある環境への影
響
環境保全措置の実施の課題
検証の結果
底泥の過剰洗掘による北部・南部排水門の安定性への影響
ケース 1
ケース 2(第 3 段階)
ケース 1、ケース 2(第 3 段階)による開門調査を実施した場
合、潮受堤防排水門周辺に最大 4~5(m/s)の高流速が発生する
こととなる。これに伴い、排水門周辺の自然地盤(底泥)の過
剰な巻上げや洗掘等の発生が予測される。
護床工を講じて、潮受堤防排水門周辺施設の構造を維持すると
ともに、底泥巻上げによる周辺環境への負荷を軽減する。
九州農政局
ⅰ)浚渫工:護床工の設置による排水門からの排水阻害が発生
しないことを目的とし、既設護床工周辺部への円滑な取付けが
可能なよう既設護床工の周辺地盤を浚渫する。
ⅱ)ジオテキスタイル敷設:施工期間中の濁り抑制、不等沈下
抑制、護床材の投入ロス抑制等を理由として、保全措置位置の
現地盤面上にジオテキスタイルを敷設する。
ⅲ)護床材投入:護床材としては、石材を採用する。石材の規
格重量は、排水門周辺の流速により移動や流亡が発生しない規
格を採用すし護床する。
ケース 1:開門調査前
ケース 2(第 3 段階):開門調査前~第 2 段階
影響予測結果に基づき、底泥の限界掃流速度 v=1.6(m/s)以上
となる区域を保全対象とする。
-
排水門周辺の表層底泥が石材に置換され、周辺底泥の巻上げや
洗掘を防止できる。
排水門周辺の高流速に対して、周辺底泥の巻上げや洗掘を防止
して、排水門の所要の機能確保、周辺環境への負荷軽減を図れ
る。
特になし
特になし
特になし
実施する。
護床工の実施により、排水門周辺底泥の巻上げや洗掘を防止で
きる。これらのことから、実行可能な範囲で北部・南部排水門
の安定性への影響ができる限り回避されていると考えられる。
6.15.1.1-27
【北部排水門周辺の環境保全措置】
1 区画は 50m×50m
護床工(捨石工)の必要な範囲
北部海域側
61.0ha
北部調整池側
71.8ha
【南部排水門周辺の環境保全措置】
1 区画は 50m×50m
護床工(捨石工)の必要な範囲
南部調整池側
9.5ha
南部海域側
4.5ha
図 6.15.1.1-17
護床工の対策位置図(ケース 1、ケース 2(第 3 段階))
6.15.1.1-28
② 効果の検証
ケース 1 における護床工(捨石工)による洗掘防止、水質及び地形・地質への効果
について、数値シミュレーションにより検証した。
計算は、ケース 1 の対策なしにおいて、流速が 1.6m/s を超え、洗掘が顕著な排水門
近傍の範囲に護床工を設置した条件により行った。
A 洗掘防止効果
図 6.15.1.1-18 はケース 1 における対策なしの場合について、開門 1 年後の地形
変化量を諫早湾、調整池及び北部排水門周辺を拡大して示したものである。
護床工を赤線で囲んだ範囲に施工するものした場合の開門 1 年後の地形変化量は
図 6.15.1.1-19 に示すとおりであり、施工範囲内の洗掘は防止されている。
B 水質への効果
ケース 1 において対策を実施しない場合と実施した場合の諫早湾及び調整池の代
表地点における底層の SS、COD、T-N、T-P の経時変化を比較して図 6.15.1.1-20~
図 6.15.1.1-23 に示す。
対策の効果は、開門初期の 4 月(大潮期)に大きく、夏季出水時にも濃度減少が
みられる。その後の期間は有意な変化はほとんどみられない。
また、対策による水質濃度低減効果は、調整池内では北部側(B1)に比べて南部側
では小さい。海域では北部排水門前の S1 で顕著であり、効果の範囲は概ね湾央の
B3 付近までであり、湾口部(B4、B5、B6)ではほとんど変化はみられない。
次に、SS、COD、T-N、T-P、クロロフィルa及び溶存酸素量の 8 月の月平均濃度に
ついて、対策ありと対策なしを比較して、図 6.15.1.1-24~図 6.15.1.1-29 に示す。
T-N、T-P については、SS の低減に伴って諫早湾、調整池で一定の濃度低減効果が
みられるが、COD は北部排水門の底層でやや低減しているほかは大きな変化はみら
れない。また、クロロフィルa、溶存酸素量についても大きな変化はみられない。
C 地形・地質への効果
護床工を施工した場合の諫早湾及び調整池の開門開始から 1 年後の地形変化を図
6.15.1.1-30 に示し、現況での 1 年後の地形変化との差分図を図 6.15.1.1-31 に、
代表地点の水深経時変化を図 6.15.1.1-32 に示す。
ケース 1 の場合、海域で堆積量の多かった海域の北部沿岸域で 0.2m 程度に低減さ
れるほか、湾口部、潮受け堤防前面の堆積量が減少している。
また、調整池では流入河川の河口部や南側水域で堆積量が減少している。
6.15.1.1-29
0.9m の堆積
0.7m の堆積
6.15.1.1-30
図 6.15.1.1-18
ケース 1(対策なし)の地形変化量分布(開門 1 年後)
0.2m の堆積
0.2m の堆積
6.15.1.1-31
図 6.15.1.1-19
ケース 1(対策あり)の地形変化量分布(開門 1 年後)
6.15.1.1-32
SS(mg/L)
B1
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B2
SS(mg/L)
2,000
1,500
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
1,000
500
0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
S1
SS(mg/L)
20,000
15,000
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
10,000
5,000
0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
S6
SS(mg/L)
500.0
400.0
300.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
200.0
100.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B3
SS(mg/L)
500.0
400.0
300.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
200.0
100.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B4
SS(mg/L)
100.0
80.0
60.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
40.0
20.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B5
SS(mg/L)
50.0
40.0
30.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
20.0
10.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B6
SS(mg/L)
20.0
15.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
10.0
5.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
6.15.1.1-33
12/27
1/26
2/25
3/26
図 6.15.1.1-20
調整池、諫早湾の代表地点における底層 SS 濃度の経時変化比較
COD(mg/L)
B1
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B2
COD(mg/L)
20.0
15.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
10.0
5.0
0.0
1/1
1/31
3/1
3/31
4/30
5/30
6/29
7/29
8/28
9/27
10/27
11/26
12/26
S1
COD(mg/L)
20.0
15.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
10.0
5.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
S6
COD(mg/L)
10.0
8.0
6.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4.0
2.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B3
COD(mg/L)
10.0
8.0
6.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4.0
2.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B4
COD(mg/L)
10.0
8.0
6.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4.0
2.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B5
COD(mg/L)
10.0
8.0
6.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4.0
2.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B6
COD(mg/L)
10.0
8.0
6.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4.0
2.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
6.15.1.1-34
12/27
1/26
2/25
3/26
図 6.15.1.1-21
調整池、諫早湾の代表地点における底層 COD 濃度の経時変化比較
B1
T-N(mg/L)
20.0
15.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
10.0
5.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B2
T-N(mg/L)
5.0
4.0
3.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
2.0
1.0
0.0
1/1
1/31
3/1
3/31
4/30
5/30
6/29
7/29
8/28
9/27
10/27
11/26
12/26
S1
T-N(mg/L)
8.0
6.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4.0
2.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
S6
T-N(mg/L)
5.0
4.0
3.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
2.0
1.0
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
T-N(mg/L)
B3
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
T-N(mg/L)
B4
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
T-N(mg/L)
B5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
T-N(mg/L)
B6
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
4/1
5/1
図 6.15.1.1-22
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
調整池、諫早湾の代表地点における底層 T-N 濃度の経時変化比較
6.15.1.1-35
B1
T-P(mg/L)
2.0
1.5
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
1.0
0.5
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B2
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
1/1
1/31
3/1
3/31
4/30
5/30
6/29
7/29
8/28
9/27
10/27
11/26
12/26
S1
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
S6
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B3
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B4
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B5
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
12/27
1/26
2/25
3/26
B6
T-P(mg/L)
0.8
0.6
ケース1(対策なし)
ケース1(対策あり)
0.4
0.2
0.0
4/1
5/1
5/31
6/30
7/30
8/29
9/28
10/28
11/27
6.15.1.1-36
12/27
1/26
2/25
3/26
図 6.15.1.1-23
調整池、諫早湾の代表地点における底層 T-P 濃度の経時変化比較
6.15.1.1-37
B1:10,900mg/L
S1: 5,000mg/L
B3: 348mg/L
対策無し
B1:10,900mg/L
S1: 4,400mg/L
B3: 341mg/L
対策有
対策有-対策無し
(左:表層、右:各地点の最下層)
図 6.15.1.1-24 8 月の月平均 SS 濃度平面分布図及び差分図
(ケース 1(1 年目)対策有-無し)
6.15.1.1-38