学界うちそと 第53回高分子研究発表会(神戸)から

学界うちそと
第53回高分子研究発表会(神戸)から
高分子学会と同関西支部の共催で、第 53 回高分子研究
発表会(神戸)が 7 月 20 日(金)に兵庫県立中央労働センタ
ーで開催された。事前に応募を受け付けたヤングサイエンテ
ィスト(YS)講演賞とエクセレントポスター(EP)賞を設け、次世
代を担う研究者・技術者の育成を念頭に、学生や若手研究
者への関わりを一層鮮明に打ち出している。YS 講演賞は、
40 歳未満の第一線の研究者による応募講演(30 分)で全国
から 34 件の応募があり、その中から下記のように、関西支部
ヤングサイエンティスト講演賞(6件、講演番号順敬称略)
2 名、他支部 4 名の計 6 名の若手研究者が選考された。また、
・ 選択的水素結合形成を利用した立体特異性ラジカル重
関西支部と交流を行っている韓国太田地区から推薦を受け
合に関する研究(徳島大院ソシオテクノサイエンス研)
た Young Jin Kim 博士に Special Invited Lecture Award が授
平野 朋広
・ 蛋白質集積カプセルを利用した精密反応設計(名大院
与された。
理・PRESTO)上野 隆史
今回は、口頭発表 85 件、ポスター発表 67 件の申し込み
があり、参加者総数 329 名で、口頭発表 5 会場、ポスター発
・ 導電性ポリマーの量子化学的設計とホール移動度の定
性的評価(京大院工)川畑 弘
表 1 会場で行われた。それぞれの講演賞の受賞講演は、4
会場に分かれて熱気に包まれながら行われた。口頭発表は
・ コロイドフォトニック結晶の均一作製と光学特性チューニ
ング(理化学研究所)金井 俊光
昨年と同様 5 会場で行い、ポスター発表とプログラム上で時
間帯が重ならないようにした。そのため、両発表会場とも盛り
・ 高分子と生体分子の相互作用制御に向けた新表面の設
上がりをみせて良い雰囲気で研究発表が行われた。EP 賞の
計と構築(東大先端科技研究セ・JST さきがけ)芹澤 武
選考は、塚原安久運営委員を選考委員長として支部理事・
幹事の協力を得て行われた。研究発表の終了後、受賞者の
・
Smart polymer technologies for global health(阪大医・
未来医療センター)荏原 充宏
表彰式と講評、続いて懇親会のビヤパーティーに入り、各受
Special Invited Lecture Award (1件)
賞者のスピーチを交えて和やかな雰囲気の中で交流を深め
・ Block copolymer system using biodegradable polymers
た。予稿集の表紙デザインについては、今年も YS 講演賞受
for the drug delivery(Chungnam National Univ.)
賞者の応募案の中から採用された。昨年同様今年もカラー
Young Jin Kim
版で作成し、また、各講演賞の受賞者を写真入りで紹介する
エクセレントポスター賞:5件(66件中)
欄を設け、全体的に見易く好評であった。
・ 膜透過性を制御した生分解性中空カプセルによるサイト
最後に、高分子研究発表会(神戸)の開催にあたり、奔走
カインの局所的デリバリー(阪大院工)伊藤 祐貴
された運営委員長の大久保政芳関西支部長ならびに明石
・ ヘッドーテイル型ブロック共重合体の自己組織化:ポリ
満副支部長をはじめとする各運営委員、準備に多大なご協
-L-リシンテイル鎖のヘリックスーコイル転移に同期したナ
力を頂いた神戸大学の南 秀人、鈴木登代子の両実行委員
ノ微粒子形成(阪府大院工)中西 憲一
にこの場を借りて感謝の意を表したい。緻密に配慮された運
営と適度にリラックスした雰囲気が相俟って、若手の登竜門
としての役割は今回も成功したものと思える。「趣味特技:高
分子」と書いてくれる若者が増えたかもしれない。
中尾俊夫(運営委員)(住友ベークライト)
・ 保護・脱保護法によるアミノ基含有ポリ(ジフェニルアセチ
レン)の合成と特性(京大院工)米谷 昌樹
・ 多孔性金属錯体のナノ細孔におけるポリエチレングリコ
ールの動的及び熱的挙動(京大院工)楊井 伸浩
・ プローブ顕微鏡によるアイソタクチック・ポリプロピレンのト
ランスクリスタルの物性評価(神大院工)小林 司