機械要素設計 中間試験 解答例

機械要素設計 中間試験 解答例
システム創成工学科 3 年次学生対象
(担当:大町)
2014 年 6 月 6 日実施
[第 I 問]
(1) 伝達動力 W [w],回転数 N [rpm] のモータ軸に作用する伝達トルク T [Nm] は次式
の通り求められる.
T =
60W
60 × 3.7 × 1000
=
= 27.18 [Nm]
2πN
2 × 1300π
(1)
(2) ねじりモーメント T [Nm] が作用する軸には,軸表面で最大のせん断応力 τmax [Pa]
が発生し,その大きさは軸のねじりの断面係数 Zp を用いて次式の通り表される.
τmax = T /Zp
(2)
直径 d[m] の中実軸の場合,Zp = πd3 /16 であり,最大せん断応力 τmax [Pa] が許
容せん断応力 τa [Pa] 以下となるよう,軸径 d[m] を次式の通り定めればよい.
τa ≥ τmax =
√
d≥
3
16T
=
πτa
√
3
16T
πd3
16 × 27.18
= 0.0140
50π × 106
(3)
(4)
従って,JIS B 0901 より d = 14 または 16[mm] を選択する.
[第 II 問]
(1) 回転速度比 (減速比)1 : 3 より,大歯車歯数 z2 は小歯車歯数 z1 の 3 倍である.ま
た,法線バックラッシ Cn = 0[mm] のもとでかみあう一対の標準平歯車対の軸間
距離 a0 は,モジュール m より a0 = m(z1 + z2 )/2 である.従って,
a0 =
m(z1 + z2 )
4mz1
=
= 2mz1
2
2
となり,a0 = 240[mm],m = 3[mm] より z1 = 40,z2 = 120 を得る.
(5)
(2) 小歯車のピッチ円直径 d01 [mm] および大歯車のピッチ円直径 d02 [mm] はそれぞれ
次の通り求められる.
d01 = mz1 = 3 × 40 = 120 [mm]
d02 = mz2 = 3 × 120 = 360 [mm]
(6)
(7)
(3) 法線ピッチ t[mm] は,次式の通り求められる.
t = πm cos α0 = 3π × cos 20◦ = 8.856 [mm]
(8)
(4) 小歯車の基礎円直径 dg1 [mm] および大歯車の基礎円直径 dg2 [mm] はそれぞれ次の
通り求められる.
dg1 = mz1 cos α0 = 3 × 40 × cos 20◦ = 112.763 [mm]
dg2 = mz2 cos α0 = 3 × 120 × cos 20◦ = 338.289 [mm]
(9)
(10)
[第 III 問]
(1) 軸間距離 a でかみあうインボリュート平歯車対のかみ合い圧力角を αb とすると,
a cos αb = a0 cos α0 =
m(z1 + z2 )
cos α0
2
(11)
より,かみ合い圧力角 αb は次式の通り求められる.
αb = cos
−1
{
m(z1 + z2 )
cos α0
2a
}
= cos
−1
{
3(25 + 37)
cos 20◦
2 × 94.5
}
= 22.365◦
(12)
また,invα = tan α − α を用いて次式が成立する.
invαb = invα0 + 2
x1 + x2
tan α0
z1 + z2
(13)
x2 = 0 を用いて上式を x1 について解き,次式を得る.
x1 =
(invαb − invα0 ) · (z1 + z2 )
2 tan α0
(14)
求めた αb を用いて x1 を求める.
(tan 22.365◦ − 22.365π/180 − tan 20◦ + 20π/180) · (25 + 37)
2 tan 20◦
= 0.529
x1 =
(15)
(2) 前問で求めた通り.
(3) かみ合い率 ε は次式で与えられる.
√
√
(dk1 /2)2 − (dg1 /2)2 + (dk2 /2)2 − (dg2 /2)2 − a sin αb
ε=
πm cos α0
(16)
ここで,歯先円直径 dk および基礎円直径 dg は次式の通り.
dk = (z + 2)m
dg = mz cos α0
(17)
(18)
従って,かみ合い率 ε は次の通り求められる.
√
√
(dk1 /2)2 − (dg1 /2)2 + (dk2 /2)2 − (dg2 /2)2 − a sin αb
ε=
πm cos α0
√
√
(81/2)2 − (75/2 cos 20◦ )2 + (117/2)2 − (111/2 cos 20◦ )2 − 94.5 sin 22.365◦
=
2π cos 20◦
= 1.779
(19)
[第 IV 問]
標準平歯車対なので,大小歯車ともに転位係数は 0 のままで,中心間距離 (軸間距離) を
増加させてバックラッシを確保する.
法線バックラッシ量 Cn = 0[mm] でかみ合わせた場合のかみ合い圧力角 αb′ = α0 [deg]
とする.αb′ を用いて法線バックラッシ Cn = 0.2[mm] をとるための中心距離増加量
δ ′ [mm] を求めると,次の通りである.
δ′ =
Cn /2
0.2/2
=
= 0.292
′
sin αb
sin 20◦
(20)
中心間距離 a′ = a0 + δ ′ [mm] は次式の通り求められる.
a′ = a0 + δ ′ =
1
(20 + 34) × 4 + 0.292 = 108.292
2
(21)
中心間距離 a′ で歯車対をかみ合わせたときのかみ合い圧力角 αb′′ [deg] は次式より求め
られる.
αb′′
= cos
−1
(
)
( a cos α )
108 × cos 20◦
0
0
−1
= cos
= 20.420
a′
108.292
(22)
αb′′ を用いて法線バックラッシ Cn = 0.2[mm] をとるための中心距離増加量 δ ′′ [mm] を
求めると,次の通りである.
δ ′′ =
Cn /2
0.2/2
=
= 0.287
′′
sin αb
sin 20.420◦
(23)
中心間距離 a′′ = a0 + δ ′′ [mm] は次式の通り求められる.
a′′ = a0 + δ ′′ =
1
(20 + 34) × 4 + 0.287 = 108.287
2
(24)
中心間距離 a′′ で歯車対をかみ合わせたときのかみ合い圧力角 αb′′′ [deg] は次式より求め
られる.
αb′′′
= cos
−1
(
)
( a cos α )
108 × cos 20◦
0
0
−1
= cos
= 20.413
a′′
108.287
(25)
αb′′′ を用いて法線バックラッシ Cn = 0.2[mm] をとるための中心距離増加量 δ ′′′ [mm] を
求めると,次の通りである.
δ ′′′ =
Cn /2
0.2/2
=
= 0.287
′′′
sin αb
sin 20.413◦
(26)
δ ′′′ = δ ′′ となったので,法線バックラッシ Cn = 0.2[mm] でかみ合わせるには,中心間
距離 a = 108.287[mm] である.