雨天時浸入水に関する解析調査研究(横浜市) 調査研究年度 2012 年度 浸水対策の推進 (目 的) 分流式下水道の汚水管路においては,雨天時に浸入水が急 激に増加することにより,流入量が下水道施設の能力の余裕 を超える場合もあり,汚水管路からの溢水,処理施設の機能 低下または機能停止などの影響が懸念される。このような問 題に対処するためには,まず雨水浸入箇所を特定する必要が あるが,詳細調査には費用と期間を要する。 事例ベースモデリング技術は,過去の偏在性降雨と処理場 流入量の関係を統計的に分析することにより,机上の検討に よって,詳細調査を行う箇所を選定できる程度まで雨水浸入 箇所を大まかに絞り込む手法である。 本研究では事例ベースモデリング技術を用いて,横浜市西 部処理区を対象とした雨天時浸入箇所の絞り込み調査を行 うことを目的とする。 ② ① ④ ③ 浸入水の影響度 ランク 高 1 2 (結 果) (1)雨天時浸入水発生領域の確認と降雨量との関係 過去3年間の実績降雨を収集し,調査区域内の降雨に偏 在性があることを利用して,どの地区に多く雨が降った場 図-1 雨天時浸入水解析マップ 合に処理場の流入量が増加するか,影響度の評 価を行った。雨天時浸入水の評価は,最も影響 度の高い場所を1ランクとし順に5ランクに分 け,さらにその中を3ランクづつに分けて色分 け表示して雨天時浸入解析マップを作成した。 (図-1) その中でも,雨天時浸入水の影響を 大きい4地区のエリアを選定した。 (2)代表的な偏在性降雨を用いた検証 代表的な偏在性降雨に対して処理場流入量の 応答を見た結果を図-2 に示す。最北部での降雨 では図-2 右に示すように処理場の応答は無い が,中央部での降雨では図-2 左に示すように応 答が見られ,解析の妥当性を確認できた。 (3)雨天時浸入原因の把握 図-2 偏在性降雨に対する処理場流入量の応答 最も雨天時浸入水の影響の大きい候補地区① の管渠布設年度を整理したものを図-3 に示す。この地区 には,施工年度の古い(1985~87 年度)いずみ野地区が 含まれていた。また,現地踏査から,汚水マンホール蓋に 穴が空いているものを使用している箇所もあり,ここから 雨水が浸入していること等も想定された。 3 4 5 低 2000 2006 1994 2000 1996 1996 2005 1990 1995 1990 1998 2003 1999 20121999 1989 1993 2007 19991997 1998 20 04 19 98 1991 2003 2009 1994 2000 2000 20001998 2001 2003 1996 1997 1992 4 2007 1993 2000 2006 2007 1991 1988 2012 2007 凡例 19 92 1991 20032003 1994 1999 1987 1998 1995 2004 1996 ? ? ( ZP? ? ? ? ) 1988 1987 1993 ? ? ? ( ? ? ? ) 1988 ? ? ? ( ZP? ? 1988 ?) 1994 1996 2010 1993 1985 1985 - 1987 1999 1988 19 99 1988 - 1990 1991 - 19931996 2000 1995 2011 19 96 2003 2009 19 93 1994 ? ? ? ? ? ? 1981 - 1984 1991 2003 2004 汚水幹線 1988 1988 1993 解析区域 1988 1998 2008 1997 1995 1997 20 03 1993 2008 1997 1997 1994 - 19962005 1993 1997 1988- 1999 1997 2006 1996 1994 1995 2000 - 2002 2007 1996 1999 2005 2003 - 2005 1996 1999 1989 2011 1995 2006 - 2008 1991 1991 1986 1996 1996 2009 - 2012 1993 1993 1999 20 09 1988 1990 (まとめ) 本研究では,雨天時浸入水の発生する候補箇所を大まかに 把握することを目的としており,候補箇所を特定できたこと 図-3 候補地区①の管渠布設年度 から,その目的は達成できた。 今後は,詳細調査により具体的箇所の特定と原因の把握を行っていく必要があるといえる。 1986 1991 19 91 1994 2000 2001 1997 1993 1993 1999 1992 1992 1989 1991 1989 1990 1987 1988 1992 0 250 1991 19 97 1996 2012 2009 2010 19972009 1998 1993 500 ※ 横浜市, (公財)日本下水道新技術機構 問い合わせ先:研究第二部 池田 匡隆,伊藤 雄二,大西 学【03-5228-6598】 キーワード 雨天時浸入水,浸入水対策,浸入水絞込み手法,事例ベースモデリング技術 1, 000 m
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