米国における腎不全の 増加:どう対処すべき か? Allan J. Collins, MD, FACP Professor of Medicine University of Minnesota ! Director, Chronic Disease Research Group USRDS 2013 ADR 発表データ • 公的機関からの助成金および契約: 米国国立衛生研究所、 HRSA、米国腎臓 財団、アムジェン、ケリックス・バイオファーマシューティカルズ、ブリスト ル・マイヤーズ スクイブ、ダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズ、ノバルテ ィスファーマ、エヌエックスステージ、武田薬品工業、 ゾール・メディカル • 理事会:腎臓健康オーストラリア理事会、The Kidney Foundation Karachi、IKEA-J KEEP、KDIGO、腎臓病予防ネットワーク • 諮問委員会:エヌエックスステージ、ケリックス・バイオファーマシューテ ィカルズ、アムジェン、ZS Pharma、バイエル • 疫学・臨床試験デザインコンサルティング:アムジェン、ケリックス・バイオ ファーマシューティカルズ、DaVita Clinical Research、 エヌエックスステージ、 ZS Pharma USRDS 2013 ADR 米国における腎不全の増加 • 米国の医療制度に対し腎臓病はどのような影響を及ぼすか" • CKDとESRDの間にはどのような関係があるか" • 世界的なESRDの増加" • 血圧、血中の脂質および糖に対する現在の医療はCKD患者と非 CKD患者でどのように異なるか" • CKD進行患者における心不全治療と腎保護療法の現状" • ESRD患者が世界的に増加しつつある状況で、対処が必要な問題は 何か USRDS 2013 ADR 基本的なメディケアプラン(フィー・フォー・サービス)におけるCKD、うっ血 性心不全(CHF)、糖尿病(DM)、ESRDの患者数および医療費の分布:2001年 図p.1(第2巻) 基本的なメディケアプラン加入患者数(2001 年) 基本的なメディケアプランの医療費(2001年) (30,648,445人;平均年齢69.7歳) (1,830億ドル) なし:69.8% なし:39.1% 基本的なメディケアプラン(フィー・フォー・サービス)加入者で特定の期間に受診した患者。DM、CKD、CHFは 2000∼2001年の保険請求から求めた。費用は2001暦年分である。 USRDS 2013 ADR 基本的なメディケアプラン(フィー・フォー・サービス)における CKD、CHF、DM、ESRDの患者数および医療費の分布:2011年 図p.1(続き、第2巻) 基本的なメディケアプラン加入患者数(2011 年) 基本的なメディケアプランの医療費(2011年) (31,699,027人;平均年齢69.1歳) (3,550億ドル) なし:61.2% なし:34.0% 基本的なメディケアプラン(フィー・フォー・サービス)加入者で特定の期間に受診した患者。DM、CKD、CHFは 2010∼2011年の保険請求から求めた。費用は2011暦年分である。 USRDS 2013 ADR 罹患率 ハリスコ州、メキシ 未補正のESRD罹患率の コ 国際比較 罹患率(100万人当たり) 図12.1(第2巻) 米 ハリスコ州とマレーシアで何が起 国 こっているのだろうか?" 日本 シンガポール ギリ シャ カナ ダ オーストリ ア ニュージーラン チリ ド ボスニア・ヘルツェゴビ マレーシア ナ 罹患率はすべて未補正。日本のデータは透析患者のみを対象としてい る。 USRDS 2013 ADR フィンラン ド 未補正のESRD有病率の 有病率 日本 国際比較 図12.1(続き、第2巻) 米 有病率(100万人当たり) 国 シンガポール ハリスコ州、メキシ コ 治療率の上昇は 生存率の改善を示唆している! カナ ダ ギリ オーストリ シャ ア ニュージーラン チリ ド フィンラン ド 有病率はすべて未補正。日本のデータは透析患者のみを対象としてい る。 USRDS 2013 ADR マレーシア ボスニア・ヘルツェゴビ ナ 腎臓病の負荷による政策立案者のジレンマ • 腎臓病はメディケアの負担額が最も大きい慢性病のひとつ" • 世界的に増加している腎臓病は高・中所得国にとってきわ めて大きな問題であり、多くの低所得国にとっては対処の しようがない問題である" • 現在でも予防が唯一の合理的アプローチであるが、スクリ ーニングについてはいくつか問題が提起されている" • 高所得国はESRD予防に対する手段を講じていないばかり か、予算削減に動いている! USRDS 2013 ADR 治療法別に示すESRDに対する メディケア医療費の総額(人・年) 図11.7 (第2巻) PPPY費用(1,000ドル) 血液透析 ESRDの期間有病率。メディケアを第2支払人とする患者を除く。 USRDS 2013 ADR 腹膜透析 移植 なぜCKDの進行とESRDを予防しなければならないのか。 どのように予防するのか • 治療の標的となる高リスク集団を特定する ▪ 糖尿病と高血圧 ▪ 保健省は医療負担を是正するためにこの最も医療費がかかる患者集団に焦点 を当て続ける必要がある" • リスク因子の管理が基本:ポイントを外さないこと! ▪ 塩分管理 ▪ 体重管理 " ▪ 禁煙を目指し、あきらめずに何度でも禁煙を試みる" ▪ なんらかの運動を行う" ▪ 血圧コントロール ▪ 血糖コントロール" • CKD集団ではESRDに至る確率よりもその前に死亡する確率が 5∼20倍高いため、死亡は現実的な問題である! USRDS 2013 ADR eGFRレベル別に示す年齢で標準化した総死亡率 年齢で標準化した値(100人・年当たり) および心血管事象発現率 N=1,000,000 ( クレアチニン検査を受けた Kaiser Permanente会員) 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 eGFR Goら、NEJM 2004 年齢で標準化した値(100人・年当た 11.36 死亡率 4.76 0.76 60+ 21.80 11.29 2.11 0 eGFR ≥60 60+ 30∼44 30-44 15∼29 15-29 ) Go ASら、 N Engl J Med 2004;351(13):1296-1305 USRDS 2013 ADR 30∼44 15∼29 < 15 ESRD進行の16倍以上 3.65 45∼60 45-59 45∼60 死亡リスク: 20 10 1.08 36.60 CV発現率 30 り) Age-Standardized Rate (per 100 person-years) 40 14.14 <<15 15 推定GFR別に示す歩行可能な成人1,120,295例の年齢で標準化した 総死亡率(パネルA)、心血管事象発現率(パネルB)および入院率(パ り) 年齢で標準化した入院率(100人・年当た ネルC) 推定GFR(ml/min/1.73 m2) 事象数 Go ASら、 N Engl J Med 2004;351:1296-1305. USRDS 2013 ADR GFRとアルブミン尿で示す 相対リスクの複合ランキン グ (死亡、CVD、ESRD、 G1 eGFRのス テージ (ml/ min/ 1.73m 正常/ > 105 亢進 90-104 アルブミン尿(ACR)のステージ(mg/g) A1 A2 A3 至適/ 高値 極高値/ 正常高値 < 10 10-29 30-299 ネフローゼ域 300-199 ≥ 2000 9 75-89 G2 軽度低下 G3a 軽度∼ 45-59 G3b 中等度 中等度∼ 30-44 G4 高度低下 高度低下 15-29 G5 腎不全 < 15 60-74 Levey ASら、Lancet 2010 USRDS 2013 ADR CKDのリスク因子のコントロール 血圧が標的範囲内であったNHANES参加者の割合(1回の検査でeGFRが60 未満かACRが30以上であった糖尿病患者については130/80未満。その他の 場合は140/90未満) eGFR > 60および eGFR < 60または ACR ≤ 30 ACR ≥ 30 改善の必要あり! eGFRはCKD-EPI式により算出した。 USRDS 2013 ADR LDLコレステロールが標的範囲内であった NHANES参加者の割合 図1.13(第1巻) 非CKD患者 全CKD患者 (%) 参加者の割合 改善は可能! 調査対象:20歳以上のNHANES調査参加者(1988∼1994年と2005∼2010年)。 1回の検査で推定したeGFR とACR。透析患者は2005∼2010年のNHANESから除外。 eGFRはCKD-EPI式により算出した。 USRDS 2013 ADR CKDのリスク因子のコントロール グリコヘモグロビン(A1C)が7%未満であったNHANES参加者の割合 eGFR > 60および eGFR < 60または ACR ≤ 30 ACR ≥ 30 糖尿病コントロールはどの集団でも改善されて いるが、理想にはほど遠い! eGFRはCKD-EPI式により算出した。 USRDS 2013 ADR CKDマーカーによるDM、HTNのリスク因子の コントロール • 高血圧症一般集団の65∼70%で血圧がコントロールされている" ▪ CKDマーカー陽性患者の血圧をコントロールすることで、脳卒 中、急性心筋 塞(AMI)、CHF、および突然死のリスクが大幅 に低くなる" • CKDマーカーによるLDLコレステロールのコントロールは効果が小さ い • 糖尿病一般集団における血糖コントロールは21世紀になって50%に 達した" ▪ CKDマーカー陽性患者の血糖コントロールはeGFRを使用するこ とでさらに改善される" ▪ しかし、ACRマーカーによる血糖コントロールについては研究が 必要 USRDS 2013 ADR CKD患者および非CKD患者における心血管疾患(2011年) 図 4.1(第 1巻) CKD患者(2011年) なし:38.7% 非CKD患者(2011年) なし:61.7% 2011年を通してメディケアのフィー・フォーサービスの対象となった66歳以上のCVD患者における 2011年12月31日の点有病率 USRDS 2013 ADR CHFと医学的管理 • CKD集団ではCHFの有病率が高く、これが医療提供者に とって医学的管理上の問題となっている" • 心不全による入院率はCKDのステージが上がるにつれ高 くなる" • 進行CKD患者では高血圧のコントロールがさらに難しく なる" • CKD集団では各ステージでどのような種類の医学的管理 が行われているのだろうか? USRDS 2013 ADR 心血管疾患による入院率(メディケア、2011年*) メディケア加入者(66歳以上)の入院率(1,000人・年当たり) メディケア加入者 不 明 定 / 不 能 特 C KD 患 者 全 非 C KD 患 者 (66歳以上) * 2013年USRDS ADR 第1巻 第3章 図3.5 USRDS 2013 ADR 非CKD集団と各ステージのCKD集団との間のCHF治療に使用され るACE/ARB療法の違い* 2007年 2011年 非CKD集団とステージ4∼5のCKD集団との差は21.2% 非CKD集団とステージ4∼5のCKD集団との差は26.1% β遮断薬 非CKD患者 全CKD患者 ステージ1-2 ステージ3 ステージ45 非CKD患者 全CKD患者 ステージ1-2 ステージ3 ステージ4-5 * 2012年、2013年USRDS ADR 第1巻 第 4章 USRDS 2013 ADR メディケアパートD加入者のESRDへの移行期における ACE-I/ARB/レニン阻害薬の使用(2011年) 患者の割合(%) 図5.17(第1巻) 全コード 585.1 慢性腎臓病、ステージ1 585.2 慢性腎臓病、ステージ2(軽度) 585.3 慢性腎臓病、ステージ3(中等度) 585.4 慢性腎臓病、ステージ4(重度) 585.5 慢性腎臓病、ステージ5(「585.6: 不明/特定不能 慢性透 析を必要とするステージ5*」 を除く) " 慢性腎臓病、不明/特定不能のもの *USRDS解析では、ICD-9-CMコード585.6で ESRD 2728フォームまたはESRDの他の指標が 適用されない患者は、コード585.5とみなさ ESRD移行前または移行後の四半期数 " れる。詳細については付録Aを参照。 CKDステージの推定は1回の測定に基づく。 臨床症例の定義として、異常が3ヵ月以上持 67歳以上のメディケア加入CKD患者における点有病率 USRDS 2013 ADR 続していることがCKDの条件となる。 メディケアパートD加入者のESRDへの移行期における β遮断薬の使用(2011年) 患者の割合(%) 図5.18(第1巻) 全コード 585.1 慢性腎臓病、ステージ1 585.2 慢性腎臓病、ステージ2(軽度) 585.3 慢性腎臓病、ステージ3(中等度) 585.4 慢性腎臓病、ステージ4(重度) 585.5 慢性腎臓病、ステージ5(「585.6: 不明/特定不能 慢性透 析を必要とするステージ5*」 を除く) " 慢性腎臓病、不明/特定不能のもの *USRDS解析では、ICD-9-CMコード585.6で ESRD 2728フォームまたはESRDの他の指標が 適用されない患者は、コード585.5とみなさ ESRD移行前または移行後の四半期数 " れる。詳細については付録Aを参照。 CKDステージの推定は1回の測定に基づく。 臨床症例の定義として、異常が3ヵ月以上持 67歳以上のメディケア加入CKD患者における点有病率 USRDS 2013 ADR 続していることがCKDの条件となる。 メディケアパートD加入者のESRDへの移行期における DHP系カルシウムチャネル拮抗薬の使用(2011年) 患者の割合(%) 図5.19(第1巻) 全コード 585.1 慢性腎臓病、ステージ1 585.2 慢性腎臓病、ステージ2(軽度) 585.3 慢性腎臓病、ステージ3(中等度) 585.4 慢性腎臓病、ステージ4(重度) 585.5 慢性腎臓病、ステージ5(「585.6: 不明/特定不能 慢性透 析を必要とするステージ5*」 を除く) " 慢性腎臓病、不明/特定不能のもの *USRDS解析では、ICD-9-CMコード585.6で ESRD 2728フォームまたはESRDの他の指標が 適用されない患者は、コード585.5とみなさ ESRD移行前または移行後の四半期数 " れる。詳細については付録Aを参照。 CKDステージの推定は1回の測定に基づく。 臨床症例の定義として、異常が3ヵ月以上持 67歳以上のメディケア加入CKD患者における点有病率 USRDS 2013 ADR 続していることがCKDの条件となる。 メディケアパートD加入者のESRDへの移行期における 利尿薬の使用(CKDステージ別、2011年) 図5.20(第1巻) チアシド系利尿薬 ループ系利尿薬 チアシド系および 患者の割合(%) ループ系利尿薬 全コード 不明/特定不能 585.1 慢性腎臓病、ステージ1 585.2 慢性腎臓病、ステージ2(軽度) 585.3 慢性腎臓病、ステージ3(中等度) 585.4 慢性腎臓病、ステージ4(重度) ESRD移行前または移行後の四半期数 585.5 慢性腎臓病、ステージ5(「585.6: 慢性透 析を必要とするステージ5*」 を除く) " 慢性腎臓病、不明/特定不能のもの *USRDS解析では、ICD-9-CMコード585.6で ESRD 2728フォームまたはESRDの他の指標が 67歳以上のメディケア加入CKD患者における点有病率 適用されない患者は、コード585.5とみなさ " れる。詳細については付録Aを参照。 CKDステージの推定は1回の測定に基づく。 USRDS 2013 ADR 臨床症例の定義として、異常が3ヵ月以上持 続していることがCKDの条件となる。 進行CKD患者におけるCHFの治療-1 • CKDのステージが上がるにつれてCVDによる入院が増加している" • CKDのステージが上がるにつれてACE/ARBの使用が減り、この傾向は 各年の報告で示されている(2012年、2011年、2010年のUSRDS ADR) • 利尿薬については、ループ利尿薬およびループ利尿薬+チアジド系利尿 薬の使用が増加している" • カルシウムチャネル拮抗薬の使用が増えている" • これらのデータから、医療提供者は血圧と体液量をコントロールする医 薬品を用いて治療を行っているが、大規模無作為化臨床試験(RCT)で 示された心臓保護作用のあるACE-I/ARBの使用は減少していることが示 唆される USRDS 2013 ADR 進行CKD患者におけるCHFの治療-2 • ACE-I/ARB治療の一貫した減少には複数の要素が関係している" ▪ ACE/ARBは高カリウム血症を引き起こす可能性がある。" ▪ eGFR を上昇させ透析に至るまでの時間を延長するためにACE/ ARBが中止されることがある(RCTデータなし) " • ACE/ARB治療が減少し始めた時点は、CHF/AMI事象が増加し始めた 時点と一致する" • CKD進行集団では、ACE-I/ARB治療の減少により、 ESRDのリスク低 減と引き換えにCVDおよび死亡のリスクが高くなることが考えられる" • 致死的事象が、ESRD事象よりも5∼20倍高くなると思われる USRDS 2013 ADR 進行CKD患者におけるACE-I/ARBの中止: データは何を示しているか • 2010年に行われた試験 " " 「進行慢性腎臓病患者におけるレニン-アンジオテンシン系阻害薬中 止の影響」 (Ahmed, Kamath, Kossi & El Nahas; Nephro Dial Transplant (2010) 25: 3977-3982)" ▪ 低GFRの治療のために腎臓専門医を紹介された患者52例を対象としたレトロス ペクティブ試験。共存疾患の重症度に関するデータはほとんどない" ▪ 2 ACE-I/ARBの中止により、MDRD式で計算したeGFR は16 ml/min/1.73 m から 2 26 ml/min/1.73 m に上昇 ▪ 1∼3ヵ月以内の投与中止への反応および評価項目で患者を分類" ▪ 結果:5例死亡、CHF患者7例中4例で症状増悪、利尿薬変更から12ヵ月後までに 血圧上昇 USRDS 2013 ADR 進行CKD患者におけるACE-I/ARBの中止: 小規模試験のデータは何を示しているか • 論評" ▪ 紹介患者集団を対象とした観察試験" ▪ 症例数が少ない N=52、 DM患者は46% ▪ 試験登録時の平均eGFR値は22.9 ml/min/1.73 m2 であり、 eGFRはクリニックでの治療で16.4 ml/min/1.73 m2 に低下" ▪ ACE-I/ARB中止前の体重変化、使用薬剤数、用量の変化に関 するデータなし" " ▪ この試験の追跡調査が2011年のNephro Clin Pract誌上で行 われた USRDS 2013 ADR 慢性腎臓病患者におけるレニンアンジオテンシン系 阻害薬の中止:反応の予測因子 (Goncalvesら、Nephron Clinical Practice 2011; c348-c354) • 試験を完了した患者は43例のみ。他の患者は一次医療に戻されたためフ ォローアップから脱落" ▪ 試験の転帰は、生存例、腎移植例、死亡例で分類" • 生存例の平均フォローアップ期間:32ヵ月 • 腎移植例の平均フォローアップ期間:12ヵ月 • 死亡例の平均フォローアップ期間:22ヵ月 ▪ 死亡例を除くすべての患者で収縮期血圧が上昇" • 生存例:133から150 mm Hgに上昇 • 腎移植例:132から149 mm Hgに上昇 • 死亡例:132から127 mm Hgに低下 ▪ この小規模試験は評価項目に基づくものである USRDS 2013 ADR 進行CKD患者におけるACE-Iの中止 (Goncalvesら、Nephron Clinical Practice; 2011 v119: c348-c354) • 「本試験は対照群を用いない観察試験であり、従ってデ ータの解釈には注意が必要である」" • 「試験およびフォローアップの対象とした少数の患者か ら、RAS阻害薬中止と寛解、ESRDまたは死亡について 大胆な結論を引き出すことはできない」 USRDS 2013 ADR Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) の2012年CKDガイドライン • 比較的若年の患者(60歳未満)では、拡張期血圧90 mm Hg以上または収縮期血圧140 mm Hg以上を目指した薬物療法を検討すべきである。目標は140/90 mm Hg未満であ るが、質の高いエビデンスに基づく数値は収縮期閾値のみである • 高齢の患者(60歳以上)では、拡張期血圧90 mm Hg以上または収縮期血圧150 mm Hg以上を目指した薬物療法を検討すべきである。目標は 150/90 mm Hg未満である" • 糖尿病患者および慢性腎臓病患者では、薬物療法開始の閾値は 140/90 mm Hgであ る。目標は140/90 mm Hg未満である • 黒人以外の患者の場合、最初に使用できる薬剤クラスはチアジド系利尿薬、カルシウム チャネル拮抗薬(CCB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシ ン受容体拮抗薬(ARB)である" • 黒人患者の場合、最初に使用できる薬剤クラスはチアジド系利尿薬またはCCBである。" • 慢性腎臓病患者の場合、一般にACE阻害薬またはARBを使用すべきである USRDS 2013 ADR Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) の2012年CKDガイドライン • CKD患者に対するACE-I/ARBの使用は、良好な結果が得られたRTC に基づいている • CKD進行患者でACE-I/ARBを中止すると腎臓移植療法までの時間が 延長するかどうかについては立証されていない" • 是正につながる一定の臨床状況が考えられる" ▪ 体液量のチェック:CKD患者では体液量が減量していることがあ り、塩喪失が認められることがある" ▪ 平均血圧が低すぎると糸球体の灌流とろ過に影響することがあ る:ACE-I/ARBのみでなくすべての薬剤を検証すること USRDS 2013 ADR CKDとESRD:予防に向けて進歩してきたか • ESRDの発現率はどうなっているか" • 維持透析集団の増加についてどのように考えられるか" • 死亡率は実際に低下しているのか" • 腎臓病に関して高所得国が犯した過ちから他の国は何を 学べるのだろうか USRDS 2013 ADR 治療法別の患者数 図p.3(第2巻) 維持透析患者数 患者数(1000単位) (2011年:430,273例) この30年間で初めて 新規透析導入患者数が減少 移植患者数 (185,626例) ESRD罹患患者数 (115,643例) ESRD罹患率および12月31日の点有病率 USRDS 2013 ADR 新規透析導入患者数と総死亡数の傾向 (1980年∼2011年) 新規透析導入患者数と 死亡数との差が大きく なっている 透析患者の総死亡数 " 全新規透析導入患者数 USRDS 2013 ADR 透析患者死亡例の絶対数と割合の経時的変化 (1980年∼2011年) 透析患者の総死亡数 " 変化率(%) USRDS 2013 ADR 2013 年USRDS ADR参考表H.3 ESRDの補正罹患率および1年間の変化率 線:ヒスパニック系患者 に関する追加補正 ESRD罹患率。年齢、性別および人種について補正。2010年に報告されたESRD患者を参 照 USRDS 2013 ADR 記号:1年間の変化率(%) 縦棒:100万人当たりの割合(%) 図1.2(第2巻) CKDに関する公衆衛生上の目標 • 死亡とESRDのリスクを低減させるために、高リスク集団を標的と したスクリーニングを行う" • 進行したステージでもCKD治療の基本はACE-I/ARBである" • DMおよびHTN集団の高リスクCKD下位集団においてリスク因子の コントロールを改善する" ▪ CKD集団ではリスク因子コントロールが不十分 " • 可能であれば、まず移植を行う(CKD患者を把握する必要があ る)" • 透析療法に適した患者の選択(可能な場合)" • CKD/ESRD集団の増加をモニタリングし、治療を受けられるように する USRDS 2013 ADR " " ご清聴いただきありがとうございまし た USRDS 2013 ADR
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