大阪大学大学院 理学研究科 化学専攻 Aコース 表面化学研究室 2014.4現在 学生12名 D3:上羽 D1:河北 M2:村上、渡辺 M1:大隅、奥井、西村、若山 B4:伊藤、岡上、木下、國枝 むな かた 教授 : 宗像 利明 准教授:加藤 浩之 助教 : 山田 剛司 研究背景 2)非占有準位は、表面化学反応や デバイス動作原理の理解にも重要である。 例1:表面における化学反応 Naphthalene/Cu(111) 非占有準位へ 電子が励起 [112] e- 1 nm e- injection/transfer e- LUMO trap LUMO ・電子、ホール(空孔)のダイナミクス、 おもな実験手法 -15 特にフェムト(10 )秒スケール ・時間・角度分解2光子光電子分光 における時間変化を知りたい (Time&Angle Resolved-2PPE) ・顕微2光子光電子分光 (Micro-2PPE) 本研究室では2光子光電子分光 ・2光子光電子放射顕微鏡 (2PPE-PEEM) (2PPE)を主とした実験研究を行う ・走査トンネル顕微鏡/分光(STM/STS・zV) EF molecular excitation EF ・非占有準位の情報は、占有準位に 比べて少ない(実験的困難が伴う) 電子の通り道 ⇒反応開始の きっかけの一つ e- ・基板-分子間の相互作用 ・表面電子状態の変化 ・分子の変形、吸着構造の形成 例2:有機デバイス 発光 EF これらを理解することは、表面における 反応性や機能性を解明する鍵となる HOMO h+ Metal Organic Organic Metal Organic Metal 2光子光電子分光 (2PPE)の原理と測定 2PPEの励起過程 COHERENT Verdi-10 YVO4 LASER Evac Final Energy 占有・非占有準位を同時に高い 分解能(時間・空間・エネルギー) で計測する 750 ~ 950 nm Em 76 MHz 100 fs, THG Generator (Home made) Δ1hv: unoccupied 3.91 eV ~ 4.96 eV, ~0.13 nJ/pulse Resonance Ei 1/2λPlate hv Photon Energy ルブレン薄膜の2PPE 電子励起過程の検討 Rubrene 0.8 ML/HOPG 2PPE p-pol. Photoemission Intensity UPS HOMO bulk vacuum Ln E hν = 4.43 eV L1 c IPS1 IPS2 IPS1 & Ln IPS2 ルブレン グラファイト Ln E EF 1 2 3 4 Intermediate Energy / eV E Evac L0 Pump sample EF mechanical stage Thickness-dependent L0 lifetime 10 4 10 constant… 6 7 3 10 2 10 0 5 Thickness/ML 0 5 τ1 = 184 fs (b) Δt 2D- detector τ2 = 1780 fs (e) (f) 1 nm (g) 3 nm 1 nm V Tunneling Current 単層膜 (0~1ML) 探針-試料間に流れるトンネル電流を 画像化し(STM)、単一分子レベルで電子分光 (STS or zV分光)を行う。 0 π/a -1 k|| / Å a 1 nm 20 nm 1 2 Position / nm 3 多層膜 (>2ML) 2PPE被覆率変化 dz/dV (nm/V) 2 3 4 5 6 7 Sample Bias (V) (b) IPS 8 n=2 n=3 n=1 数値 微分 非占有準位 (IPS:鏡像準位)を分 子レベルで検出 1 nm LUMO IPS (n=1) (b) 2√3 3 4 5 6 7 Sample Bias (V) 8 1 nm IPS (n=1) (a) HOPG 3 4 Sample Bias (V) 2 L 5 1 nm 2PPE Intensity Raw Data IPS>2ML IPS>1M multilayer ? (c) dz/dV (nm/V) z (nm) 1nm (*ドイツ・イエナ大学 物理学科 T.Fritz研との共同研究を含む) M. Shibuta, et alJ. Phys. Chem. C 115, 19269 (2011). R. Yamamoto, Phys. Chem. Chem. Phys, 149601 (2012). “理解” から “実証” へ ( 知見を活用するための橋渡し ) 非占有準位 1 nm hv=4.33 eV, p-pol IPS (n=1) 0.2 ・分子-分子間の電子状態カップリングをデザイン Coverage Dependent 2PPE I=20pA 0.1 波数空間におけるエネルギー分散関係を計測することで吸着分子 の軌道の結合性、対称性や電荷伝達機構(局在・非局在性)を議論 できる。LUMO+2は負分散を示し、鏡像準位(IPS)の折り返しとバンド 分裂は、STM/LEEDで求められた格子定数(~1.4nm)を反映している ことがわかった。 例) 良導/絶縁、共鳴/非共鳴、… (j) LUMO HOPG 清浄表面 Averaged Data 0 例) 良導/絶縁、共鳴/非共鳴、… STMによる非占有準位の局所計測 フィードバックON 条件のまま、試料 電圧を掃引しつつ、 探針-試料間距離 計測を行う -0.1 k|| / Å-1 ・基板-分子間の電子状態カップリングをデザイン まずは プロトタイプ (hv=4.54eV) Source Au Source Drain Organic Semiconductor 1.83 1.67 1.50 1.33 1.17 1.00 0.83 IPS<1ML 0.67 0.50 0.33 0.17 IPSclean Clean 超構造ごとに非占有準位を計測した結果、 3.0 2.5 3.5 4.0 STMで計測した非占有準位は2PPEと良い対応を示した。 Intermediate Energy (eV) T. Yamada, et al, J. Phys. Chem. C 118, 1035 (2014). Evac あmn Au Gate Metal LUMO EF Insulator Metal Gate LUMO Au Drain Semiconductor Au 1.7 eV 0.9 eV HOMO 1.0 eV HOMO-1 HOMO-1 HOMO 占有準位 単分子層で MIS 構造を実現 単分子膜の作成と吸着構造の確認 2.33 2.17 2.00 E オリゴチオフェン誘導体 一般的な有機薄膜トランジスタ Coverage (ML) 2.33 電子状態の確認 ・有機単分子膜トランジスタ Insulator (a) m*/me=-2.1±0.2 ・表面に機能性分子を吸着 (a)HOPG清浄面にナフタレン分子を吸着させ、(b)-(d)では単分子膜が形成 された。(e)占有(f)非占有STM像はHOMOやLUMOの形状を反映している。 (i)(j)多層膜では層状に成長する。単分子層とは周期性や電子状態が異なる ことがzV計測や2PPEで示された。 T. Yamada, et al, Chem. Phys. Lett.546, 136 (2012). ルブレン/HOPG 3D(表示) 3.2 吸着分子の電子状態を理解して、機能をデザインする HOMO 0 SAMPLE 2𝑚𝑒 𝐸𝑘𝑖𝑛 𝑠𝑖𝑛𝜃 ℏ (ℏ𝑘∥ ) 2 𝐸 = 𝐸0 + 2𝑚∗ 𝑘∥ = negative dispersion LUMO+2 挑戦的課題として: 機能性吸着分子表面の設計 (i) (h) Apparent Height / 0.05nm/ div 30° A 3.4 例) 導電性、光感受性、発光、イオン感受性、… 5 nm (d) HOMO -0.2 検出器に2次元検出器を採用することにより、微 小領域からの放出光電子の角度分布を一括して とらえることが可能。 HOPG 1 nm 3.6 Third harmonics hν= 4.04~4.64 eV -π / a 2000 120 K not dispersive θ 10 1000 delay/fs 2√3 island 14.4 eV 310 K 10 ナフタレン薄膜の構造と層成長 TIP (a)PbPc(~0.3ML)、(b)CuPc(~0.6ML)蒸着後の LUMOの電子状態マッピング 40μm×40μm Schwarzschild Objective NA: 0.29, WD: 40 mm ナフタレン薄膜の電子状態 : 局所分光と2PPEとの比較 W or PtIr 0.15mm 9 2 多層膜では、LUMO (L0) の励起電子の寿命は膜厚と共に ~ ps まで増大する。 寿命の膜厚依存は、電子の緩和機構が~3 MLを境に変化することを示しており、 基板への(トンネリングによる)緩和以外の脱励起過程を考える必要がある。 (c) 8 Ek Experimental Cross Correlation Exponential Decay Pile Up & Exponential Decay = + + 10 3 10 0 (a) I. Yamamoto, et al. , Surf. Sci. 602,2232 (2008). R. Yamamoto, et al., Surf. Sci. 605,982 (2011). Energy Analyzer VG-R3000 E~2.5 meV 0 H0 0.15 μm の光学ステージの移動で 1 フェムト秒 (10-15 s) の遅延時間 を生じる。 (b)CuPc ここに数式を入力します。c 5 Energy / eV delay 金属フタロシアニン 有機顔料(新幹線、道路標識、CD-R etc..)や 有機半導体(有機電界効果トランジスタ、 有機太陽電池)の材料として幅広く利用される。 14.4 eV 4 L0 lifetime/fs delay Side View (MeC32N8H16) Me=metal Fix energy & Scan グラファイト ルブレン 2.5 ML L0 Intensity Beam splitter Top View 角度分解2PPEによる電荷伝達機構の考察 ルブレン薄膜の時間分解2PPE:励起電子の緩和ダイナミクス Probe PbPc (a)PbPc:ランダム配置 (b)CuPc:島状成長 吸着構造の不均一性に伴う、 電子状態の場所依存性を捉えた。 Final energy from EF /eV (EK) IPS2 グラファイト 3rd harmonics (3ω) generation (a)PbPc MePc HOMO→ LUMO+2 ルブレン:高移動度を有する有機半導体。 Ln強度の被覆率依存性、偏光(p/s)依存性測定から表面準位 (IPS1) を介した共鳴励 起が起こっていることが分かった。 量子化学研究室(奥村教授、北河助教)との共同研究で分子軌道計算を行い、Lnで示された 原子様分子軌道(SAMO)とIPSの混成が起こっていることを示した。 J. Park et al., J. Phys. Chem. C 116, 5821 (2012)、T. Ueba, et. al, J. Phys. Chem. C 117 , 20098 (2013). Ti:Sa laser δ- PbPc 1ML/HOPG 4 IPS1 有機分子薄膜は様々な要因によって 不均一に成長するため、場所により 電子状態が異なる →電荷移動機構に大きな影響を与える。 レーザー光を回折限界まで絞り、 微小領域の光電子分光と電子 状態マッピングを同時に行う Evac hν = 4.28 eV -2 -1 0 Initial Energy / eV 凝集構造: 分子-基板間相互作用 数10nm ~sub-µm e- e- δ+ 分子間相互作用 分子配向 IPS1 IPS (Image Potential State) 鏡像準位 分子内双極子 CuPc Hemispherical Analyzer (VG-CLAM4) ΔE ~ 20 meV ConcaveMirror f = 400 mm Ln* N C Me e- COHERENT Mira900-F Ti:Sa LASER 共鳴励起 Δ2hv: occupied 集合状態 532 nm, ~8 W, CW Ei(<0) EK Sample Pb or Cu 有機分子の薄膜成長 μ-metal UHV Chamber <1×10-10 Torr Photoemission Intensity Em(>0) EF=0 金属フタロシアニン薄膜の顕微・角度分解2PPE 実験装置 e- ・有機分子吸着表面の非占有準位測定 ・光励起時のキャリアダイナミクスの計測 ・表面の不均一さに伴う局所電子状態の計測 ・吸着構造と電子状態の相関の解明 ・機能性有機薄膜の作成・計測 Kinetic Energy / eV 1)分子が表面に吸着すると、 新たな吸着構造や電子状態ができる 本研究室のねらい 走査トンネル顕微鏡で構造確認 時間分解2PPEでダイナミクスの検討 スペーサー層の厚さで、ダイナミクスが大きく変化 !! Pump / Probe = 2.76 eV (2w) / 4.13 eV (3w) 浸漬法で作成 LUMO F.Schreiber, Prog.Surf.Sci. 65 (2000) 151. 4TCnS-SAM ピット構造 VS = -0.4 V It = 1.5 nA 75×75 nm2 Au ・吸着構造と電子状態は、デザインどおりか。 ・電荷のダイナミクスを、如何に抑制するか。 4TC5S-SAM
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