Worksheet2-08

刑法各論 Worksheet(2-08)
刑法各論 Worksheet(2-08)
個人的法益に対する罪(財産罪) (17)権利行使と恐喝罪
【設例】Xは、Aと共同して設立した会社の経営から退くにあたり、設立時の出資金 18 万円
のうちの 15 万円の返却を受けた。ところが、Aが残金 3 万円をすぐに支払おうとし
なかったので、Xは、他の 3 名と共謀して、Aに対し「俺達の顔を立てろ」などと申
し向け、要求に応じなければ身体に危害を加えられるかもしれないと畏怖させて、残
金 3 万円を含む 6 万円をXに交付させた。
Xの罪責を論じなさい。
【参考】最判昭和 30 年 10 月 14 日・刑集 9 巻 11 号 2173 頁(出資金の返還と恐喝罪)
【Q1】設例におけるXのいずれの行為について、何罪の成否が問題となるか。また、その犯
罪は成立すると考えられるか。
【Q2】恐喝の意義を明らかにし、詐欺罪との違いを説明しなさい。
【Q3】本件Xの行為について、何の犯罪も構成しないとする見解(無罪説)の根拠は何か。
【Q4】権利行使の範囲内であって恐喝罪の成立が否定される場合には脅迫罪の成立を認める
見解(脅迫罪説)は、その根拠を、どのように説明するか。
2015/01/08 10:36
刑法各論 Worksheet(2-08)
【Q5】交付させた財物または財産上の利益の全体について恐喝罪の成立を認める見解(恐喝
罪説)の根拠を説明しなさい。
個人的法益に対する罪(財産罪) (18)不動産の二重売買と横領罪
【設例】Yは、自分が所有する宅地(以下、「本件宅地」という。)を、自宅を新築する予定で
あるBに売却する契約を締結し、売買契約書を作成して、交付した。
Yは、Zに対して金銭債務を有していた。そこで、Yは、すでに本件宅地をBに売却
していた事実を知っているZと情を通じて、所有権移転登記を終えていなかったため
に本件宅地の登記名義がYのままであることを利用して、YのZに対する金銭債務の
代物弁済に充てるために、本件宅地をZに売却して、Z名義への所有権移転登記を完
了した。
YとZの刑事責任を論じなさい。
【参考】最判昭和 31 年 6 月 26 日・刑集 10 巻 6 号 874 頁(代物弁済としての所有権取得と横領罪共犯の成否)
【Q1】設例におけるYとZのいずれの行為について、何罪の成否が問題となるか。また、そ
の犯罪は成立すると考えられるか。
【Q2】Yは、本件宅地とは別のマンションに居住していたのであるが、本件宅地を「占有」
していると認めることができるか。窃盗罪における「占有」と対比して、横領罪にお
ける「占有」の意義を明らかにしなさい。
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【Q3】YとBは、本件宅地の売買契約を締結し、売買契約書を作成しているので、本件宅地
をB(=他人)の財物と認めることができるのか。売買契約における所有権の移転時
期を説明しなさい。
【Q4】Xが所有権移転登記をしていなかったので、本件宅地の登記名義が事実上残っていた
に過ぎない。このような場合にも、横領罪における占有を認めることができるか。
【Q5】第二譲受人Zが本件宅地の所有権を適法に取得しているか否かを検討したうえで、Z
について、横領罪の共同正犯の成立が認められるか。積極説と消極説を比較しなさい。
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