27P-pm174 ラット肺における加齢に伴う D- アミノ酸の増加と老化関連性疾患との関連性の 検討 1 1 ◯河西 亜希子 1 , 山下 直美 1 , 楯 直子( 武蔵野大薬) 【目的】近年、加齢に伴い増加する生体内の D-アミノ酸とアルツハイマー病や白 内障などの老化関連疾患との関係が指摘されてきている。しかし、肺で発症する 肺気腫や慢性気管支炎といった老化関連疾患と D-アミノ酸との関連についての報 告は未だ無い。そこで我々は、加齢に伴って増加する D-アミノ酸が肺組織に及ぼ す影響(形態変化、機能低下等)について追究したいと考えた。具体的には、肺組 織を構成する主要なタンパク質である Elastin と CollagenⅠが含有する D-Ser と D-Asp の加齢に伴う量的変化、及び肺組織内における発現状況について解析した。 【方法】8 週齢、12 月齢、24 月齢の各 Wister 系統ラット由来の肺から Elastin と CollagenⅠをそれぞれ抗体カラムで抽出・精製した。キラル分離用カラムを用い た HPLC 法によって、これらの試料中の D-Ser と D-Asp について定量的な分析を行 った。また、肺組織内における D-アミノ酸の発現状況・形態は、組織切片を蛍光 標識抗体にて標識し、共焦点顕微鏡を用いて観察した。 【結果と考察】ラット肺に発現する CollagenⅠにおいて、加齢に伴い D-アミノ酸 が増加することが HPLC 法によって明らかになった。特に D-Ser の増加が顕著であ った。一方、Elastin に関しては、加齢に伴う D-Ser、D-Asp の増加は観測されな かった。次に老化に伴う D-アミノ酸の有意な増加が認められた CollagenⅠについ て、共焦点顕微鏡を用いて組織内発現状況の観察を行った。その結果、加齢が進 んだ個体ほど CollagenⅠが、細気管壁結合組織中に密集して存在していることが 明らかとなった。CollagenⅠは組織に強度と柔軟性を与える役割を果たしている が、含有する Ser、Asp の異性化によって構造変化を起こし、肺の形態と機能に影 響を与え、老化関連性疾患を誘発している可能性が示唆された。
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