柿ちゃんの写真レシピ 「滝と渓流編」 Vol. 29 水と緑は相性の良く被写体です。新緑の季節、山や高原に出かけた際、滝やきれいな渓流に出会うことが多 くあります。写欲がそそられます。滝や渓流の撮影の基本は「スローシャッターで切る」で流れを雲海のよ うに柔らかく写します。反対にデジタルカメラはISO感度を変えられます。高いISO感度に設定するこ とで高速シャッターになって水の力強さや迫力が表現されます。デジタルカメラはこの両方を撮ることが出 来ます。「スローシャッター」や「高速シャッター」にする方法には下記の方法が有ります(例)。 ISO感度 絞り設定 フィルター等 スローシャッター 低くする(100 や Lo1) 大きい NDやPL(偏光フィルター) 高速シャッター 高くする(3200 や 6400) 小さい 使わない ●「滝や渓流」を撮る時の必須アイテム ①:丈夫な三脚 ②:リモートコード (ルミコントロールでも可能) ③:NDフィルター(№8 程度) ④ ④:PLフィルター *リモートコードやルミコントーロールが無ければセルフタイマーを 使用します。 ② ③ ② □低速と高速の表現 水量の多い滝を、低速シャッター(①)と高速シャ ッター(②)で撮影した作例です。①は水の流れが 白く絹の様な滑らかな優しい雰囲気になっていま す。②は水の動きが止まり力強くダイナミックな印 象を受けます。 ① ISO感度を変えるとシャッタースピードが 変わります。ISO感度を下げるとシャッター スピードが遅くなりますし、高くすると速くな ります。これらはデジタルカメラだから出来る ことで、撮影の幅が広がっています。 ② ① ニコン D7000 16-85 ㎜ (55 ㎜) *ND8使用 ② 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 ピクチャーコント スタンダード ニコン D7000 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 16-85 ㎜ ピクチャーコント スタンダード (55 ㎜) ロール 天 ロール 天 ISO感度 100 ISO感度 3200 絞り f/19 絞り f/8 シャッタースピ- 2秒 シャッタースピー 1/500 秒 ド ド 露出補正 なし 露出補正 なし ピント合わせ AF ピント合わせ AF □緑 陰 周りを新緑に囲まれた神馬の滝。遠くから見ると滝と呼べるか?ですが 手前にも一滝が有りました。この時期は渓流沿いの新緑も美しく滝と渓 流の両方が引き立ちます。背景の神馬はここから見ると水煙で靄がかか ったようになっています。新緑、渓流、そして滝とよくばっていますが 視線が手前の新緑から神馬の滝まで行くようにポジションアングルを決 めています。また、絹の糸のように柔らかい表現をするためにISO感 度は 100 で絞りはf/22 まで絞り込んでいます。緑に隠れた滝が浮か び上がっています。 おしながき 天高く 産 写 地 道 具 ニコンD7000 ■こんな滝の撮り方 【70-200 ㎜(75 ㎜)ISO200 f/22 1 秒】 【12-24 ㎜(12 ㎜)ISO100 f/22 1 秒 美 量 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 17-35 ㎜ ピクチャーコントロール スタンダード (35 ㎜) ISO感度 100 絞り f/22 シャッタースピード 1.5 秒 露出補正 -1.0 ピント合わせ AF 岡山県 神馬の滝 調 【70-200 ㎜(200 ㎜)ISO1600 f/1 1 -1.5】 【18-200 ㎜(31 ㎜) 天 1/1000 秒】 ISO100 f/22 1秒 -2.5】 □梅雨時の渓流 6 月の梓川は雪解け水がおおく滔々と流れています。 上高地の定番と言われる河童橋の下に降りて撮ってい ます。定番写真と揶揄する人もいますが「定番写真」ほ ど難しい被写体です。広い川の中で川中にある大きな石 で水が白濁しいていました。広角レンズで近づいて撮っ ています。雪解けの水量と流れの優しさを出すためにス ローシャッターにしていますし、透明感も出すためにP Lフィルターで水面の反射を抑えています。また、 f/22 まで絞り込んだことで風景写真の基本であるパ ンフォーカスになっています。季節を出すために木々の緑も配置していますし左上に残雪の乗鞍を配置した ことが相まって初夏の上高地が表現されています おしながき 産 春の水辺 地 写 道 具 調 ニコンD7000 量 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 12-24 ㎜ ピクチャーコントロール スタンダード (12 ㎜) ISO感度 100(Lo1) 絞り f/22 シャッタースピード 2秒 露出補正 -1.5 ピント合わせ AF 東京都日野市 昭和記念公園 美 天 □新緑の水面 渓流の上には橋が有ります。渓流の両岸にある木々たちが初夏 の光尼「輝いています。晴天の午後 1 時前後に川面が緑の反射 に覆われますが橋の影が反射に濃淡を付けて画面に変化を付 けています。本来ならスローシャッターで絹の糸のように柔ら かく描写するところですが、勢いも表現したくて 1/15 秒にし ています。流れの勢いも出ました。岩で白濁した流れを白い矢 印のようになるポジションから撮っています。バランスを整え ているとともに奥行きも出しています。 おしながき 新緑の水面 産 写 地 道 具 ニコンD7000 美 量 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 18-200 ㎜ ピクチャーコントロール スタンダード (62 ㎜) ISO感度 100 絞り f/11 シャッタースピード 1/15 秒 露出補正 +0.5 ピント合わせ AF 東京・ 御嶽渓谷 調 天 □波 紋 植物園の中に作られた人工の渓流です。両岸には渓流を 覆い尽くさんばかりの初夏の光に輝く高木が有ります。 風のない日。高木の新緑が水面を緑一色に染めていまし た。木々の反射も入っていますし画面の左上には太陽の 木漏れ日も落ちています。これだけですと平凡ですから 小石を投げいれて波紋を作りました。変化とともに動き のある画面になっています。一つではなく大きさが違う 小石を三つ程度、投げ入れることがコツです。見た目以 上に暗いために ISO 感度を 6400 まで上げています。 おしながき 産 地 薫 風 写 道 具 調 ニコンD7000 量 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 16-85 ㎜ ピクチャーコントロール スタンダード風 (22 ㎜) ISO感度 6400(ISO オート) 絞り f/11 シャッタースピード 1/125 調布市 神代植物公園 美 天 秒 露出補正 -0.5 ピント合わせ AF □水面の宝石 山で降った雨が、長い年月をかけて地中を旅している間に不 純物などが取り除かれてピュアな水となって麓の川に湧水と なって溢れています。湧きだしているために小さな揺らめき があります。川底には小石が並んでいます。そこに太陽が当 たり水面が宝石のような輝きを放っています。この様な被写 体はブレが出ると形が崩れますし速すぎると水面の揺らめき が少なくなって輝きも足らなくなります。1/15 秒 1/60 秒 1/250 秒で撮り比べています。1/250 秒がイメージに近い 写り方です。 おしながき 天高く 産 写 地 道 具 ニコンD7000 美 量 露出モード A(絞り優先) ホワイトバランス 晴 70-300 ㎜ ピクチャーコントロール スタンダード (195 ㎜) ISO感度 400 絞り f/8 シャッタースピード 1/180 秒 露出補正 -1.0 ピント合わせ AF 静岡県 柿田川 調 天 □C-PL(円偏光)フィルターの使い方 C-PL フィルター使用 C-PLフィルター未使用 C-PLフィルターは水面の反射を抑えてクリアーな色調の作品にしてくれます。反面、川底等が写り過 ぎて趣のない作品になります。この日は青空に白い雲が浮かんで綺麗な渓流風景でした。川岸に降りると 手前の水たまりに青空と雲が」写りこんで初夏の渓流が現れていました。左はC-PLを使っています。 青空や雲の写り込みが無く平凡です。右がC-PLフィルター未使用です。青空と白い雲が」写り込んで 初夏の渓流風景が表現されています。 □こんな水面写真 写り込みを撮っていたところ、二羽の鴨が泳いできました。 渓流の一部をアップで撮っています。水彩画のような温かみ 緑一色の中で建屋のベージュ色が良いコントラストを生ん を出したかったので+1.0 の露出補正をしています。 でいますし、鴨が作り出した波紋が動きも出しています。 【55-300 ㎜(300 ㎜) ISO3200 f/13 1/500 秒 +1.0】 【70-300 ㎜(300 ㎜) ISO800 f/5.6 1/500 秒 -1.0】 新緑の写り込みです。静かな雰囲気を優先してそのもの スイレンの池です。空が水面に写り込んでいます。適当に風が ズバリを撮っています。絵のような写真になっています。 有りました。空の写り込み部分が抽象画野様になりました。 【18-200 ㎜(170 ㎜) ISO200 f/11 1/90 秒】 動きも出ています。イメージになるまで待つ忍耐が必要です。 【マイクロ 85 ㎜ ISO400 f/8 1/500 秒 -0.5】
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