高性能床版防水に適合した 新たな橋梁レベリング層用アスファルト混合物 設計・施工暫定要領 平成26年12月 東日本高速道路㈱ 1.総説 1.1 背景 橋梁コンクリート床版の防水層として 2010 年より技術基準化された「床版防水層グレ ードⅡ」上の舗装に対して、従前のものより施工性を向上させることが求められたことを 背景に,NEXCO 総研舗装研究室では橋梁レベリング層用混合物に着目し研究を進めた。 現場の調査や種々の試験の結果,冬季などの低温環境下で SMA を床版防水層グレードⅡ (以下, 「防水 GⅡ」 (グレードⅡ(S)含む))上に舗設した場合に防水工と SMA の接着 について温度依存性が高く、施工が難しい状況が判明した。 これを受けて,2013年7月に構造物施工管理要領の改定が行われ,防水GⅡについて低温 条件での基準試験が新たに追加された。しかし,施工性の改善において,橋梁レベリング 層用混合物についても検討することとなり,防水GⅡに対応した新たなレベリング層用混 合物を開発した。 1.2 混合物の名称 コンクリート床版の橋梁レベリング層に使用する,アスファルト混合物の名称は表1-1 のとおりとする。 表1-1 コンクリート床版の橋梁レベリング層に使用する混合物の名称 粗骨材の最大粒径 混合物名称 (mm) 13 FB 13 FB13は,細粒分が多い連続粒度の混合物であり,施工した際に平滑(Flat)な舗装底面 (Bottom)になることを目指して開発したことから,Flat Bottomの頭文字をとって,この 名称とした。 1.3 要求性能 混合物は次の性能を満足しなければならない。 性能 1:混合物と床版防水層との界面に隙間(以下「Cavity」と言う)を極力作らない こと。 性能 2:耐流動性,水密性,はく離抵抗性が,SMAⅡ型と同等以上であること。 性能 3:低温下の施工でも混合物の各種性状及び施工性に影響が少ないこと。 性能 4:床版防水層との接着状態が良好であること 性能 5:室内試験での性状が,実際に使用するプラントで製造する混合物で再現できる こと 防水GⅡ上の舗装の損傷について検証を行ったところ,Cavityに水が浸入することによ り舗装の耐久性が損なわれることがわかった。また,従来のSMAは低温下での施工時に 1 Cavityが形成されやすいことがわかったため,これらの要求性能を定めた。 要求性能確認の流れを図1-1に示す。 材料試験 標準マーシャル試験 設計アスファルト量の決定 水浸マーシャル試験 【性能1 確認】 裏面MPD測定 【性能2 確認】 ホイールトラッキング(WT)試験 配 合 試 験 設計配合の決定 【性能2 確認】 加圧透水試験 【性能2 確認】 水浸WT試験 【試験練り】 施工管理要領 Ⅱ建設工事関係 1-2 試験練りに従い実施 【性能1・3・5確認】 実機による適温・低温転圧供試体での 裏面MPD測定 【性能3・5確認】 実機による適温・低温転圧供試体での 加圧透水試験 試 験 練 り 【性能3・5確認】 実機による適温・低温転圧供試体での 水浸WT試験 決定配合 【試験舗装】 施工管理要領 Ⅱ建設工事関係 1-3 試験舗装に加え,模 擬コンクリート床版上での試験を実施 【性能4 確認】 防水GⅡとの接着状態確認 引張接着性試験・打音試験 試 験 舗 装 【本施工】 【性能4 確認】 防水GⅡとの接着状態確認 引張接着性試験・打音試験 図1-1 要求性能確認の流れ 2 本 舗 装 1.4 適用範囲 FB13は,コンクリート床版の橋梁レベリング層に用いるものとする。 これまでコンクリート床版の橋梁レベリング層にはSMAを用いてきたが,「締固めにく い」などの難施工性(特に舗設起終点や端部といった転圧が困難な箇所,冬季や夜間など 外気温や舗設基面温度が低い条件など)が指摘されていた。このような実態を踏まえ,本 暫定要領1.3要求性能を満足するFB13を橋梁レベリング層に用いることとした。なお,以 下のケースについては,現場状況に応じ個別に検討するものとする。 ① 鋼床版上の橋梁レベリング層。 ② 橋梁レベリング層厚35mmを確保できない場合。 1.5 舗装厚 FB13の仕上がり厚さは3.5cm以上を標準とする。 FB13の仕上がり厚さについて,設計要領第一集舗装編(以下「設計要領」 )に定めるレ ベリング層の厚さは4cmであるが,供用中の橋梁レベリング層に対応するため3.5cm以上 を標準とすることとした。なお,この厚さは床版防水層の厚みを考慮しない厚さとする。 また,骨材の最大粒径5mmを選定する場合は、SMAⅢ型を使用するものとする。 2.材料 2.1 アスファルト FB13に使用するアスファルトは,改質アスファルトを標準とする。 FB13に使用するアスファルトは,耐流動性や耐水性を考慮し,改質アスファルトの使用 を標準とした。なお,改質アスファルトの品質は,設計要領「3-4-2材料規定(4)アスフ ァルト(c)改質アスファルト」によるものとし、改質アスファルトの性状は,地域区分に よらず「一般用」を用いるものとする。また,材料試験の方法及び頻度は,舗装施工管理 要領(以下,「施工管理要領」)「Ⅱ建設工事関係 1.アスファルトコンクリート舗装 1-1材 料試験および配合試験」及び「Ⅲ補修工事関係 1.新規混合物による工法 1-1材料試験およ び配合試験」をそれぞれ適用する。 2.2 骨材 FB13に使用する骨材は,設計要領「3-4-2材料規定 (1)粗骨材 (2)細骨材 (3)石 粉」によるものとする。 粗骨材の品質は,設計要領「3-4-2材料規定 表3-19」に示す, 「高機能舗装を除く表・基 層・中間層」を適用するものとする。また,材料試験の方法及び頻度は,施工管理要領「Ⅱ 建設工事関係 1.アスファルトコンクリート舗装 1-1材料試験および配合試験」及び「Ⅲ補 修工事関係 1.新規混合物による工法 1-1材料試験および配合試験」をそれぞれ適用する。 3 3.配合設計 3.1 混合物の諸基準 (1)骨材の粒度 FB13における骨材の配合設計粒度は,表3-1に示す粒度範囲を標準とする。なお,使 用する骨材の密度が0.2以上異なる場合は,配合比の修正を必要とする。 表3-1 FB13の配合設計標準粒度範囲 ふるい目の開き 通過質量百分率 (mm) (%) 19.0 100 13.2 97.5~98.0 4.75 63.0~74.5 2.36 42.5~57.5 0.6 26.5~36.0 0.3 18.0~24.0 0.15 9.0~11.5 0.075 6.0~7.5 (2)配合試験 FB13は,配合試験において,表3-2に示す値を満足しなければならない。 表3-2 マーシャル安定度試験及び配合特性基準値 項目 基準値 マーシャル安定度 (kN) 6以上 空隙率 (%) 3.5以下(目標値3.0) 水浸マーシャル残留安定度 75以上 60℃ 48時間 (%) 粗粒度 アスモル率 1.0以下 (%) 45%以上 (3)混合物性状 FB13は,混合物性状試験において,表3-3に示す値を満足しなければならない。 4 表3-3 FB13混合物性状基準値 確認性能 項 目 確認方法 基準値 混合物底面形状 CTメータによる混合物裏面 (MPD) のキメ深さ測定 性能2 動的安定度(DS) ホイールトラキング(WT)試験 1000 回/mm以上 性能2 水密性 加圧透水試験 150kPa 24hr 1.0×10-7 cm/sec以下 水浸WT試験 平均はく離率 5 %以下 性能1 性能2 耐水性・ はく離抵抗性 MPD 0.4 mm 以下 (1)骨材の粒度 1) 表3-2及び表3-3の諸基準値を満足する場合は表3-1の範囲によらずとも良い。また, 使用する骨材の密度が0.2以上異なる場合には,設計要領3-4-4(1)解説2)(c)に従い配合 比の修正を行うものとする。 2) アスファルトプラントにおける現場配合のバラツキを抑えるため,各骨材が5%以 上の配合割合となるように設定する。 (2)配合試験 1) 標準マーシャル安定度試験及び水浸マーシャル安定度試験は, 「舗装調査・試験法 便覧 (社)日本道路協会」(以下, 「試験便覧」)のB001を適用する。 2) 理論最大密度を求める際に用いる骨材の密度は,見掛け密度とする。ただし,吸水 率が1.5%を超える粗骨材については,見掛け密度とかさ密度の平均の密度を用いる ものとする。また,同じく理論最大密度を求める際に用いるアスファルトの密度は, 15℃密度とする。 3) 混合物密度は見掛け密度を用いるものとし,測定は試験便覧B008を適用する。 4) 試験は3粒度について実施し,2.36mmふるい通過量において±2.5%変化させるもの とする。 5) 標準マーシャル安定度試験供試体のアスファルト量は,推定設計アスファルト量を 中心に0.5%間隔で5点とする。なお,アスファルト量は混合物全質量に対する質量百 分率で計算するものとする。 6) 混合温度及び突固め温度は,メーカー推奨値を参考にする。 7) マーシャル供試体の突固め回数は,地域区分,交通量区分によらず両面各50回とす る。 8) 表3-2の各基準値を満足し,標準的には空隙率3.0%となるアスファルト量を各粒度 の設計アスファルト量とする。この空隙率については,過去の配合実績やその他事 由がある場合,3.5%以下の範囲で任意の値としても良い。 9) 水浸マーシャル安定度試験は,各粒度について設計アスファルト量を中心に3点の アスファルト量の供試体各3個について実施するものとする。なお,水浸マーシャル 5 安定度は,使用するアスファルトや骨材の影響を大きく受けるため,材料の選定に 十分注意しなければならない。 10) 粗粒度は粗骨材の質量程度を表す指標で,以下の式にて算出する。 粗粒度 ∑ 13.2 , 4.75 , 2.36 各ふるい累積残留質量百分率 100 11) アスモル率は細骨材・石粉・アスファルトの混合物全質量に占める質量割合を表す 指標で,以下の式にて算出する。 アスモル率 % ※ 細骨材質量 石粉質量 アスファルト質量 混合物全体質量 100 防水GⅡ上の舗装の損傷要因として,Cavityに水が浸入することが多く,FB13の開発の基軸は,SMA Ⅱ型の性能を確保しつつCavityを小さくすることであった。そのためには粗骨材量を少なく,アスモル 量を多くすることが効果的であり,種々の検討結果から「粗粒度」及び「アスモル率」を見出し,今 後実施される配合試験の効率化を図る目的でこの2つの指標を設けた。 (3)混合物性状 1) 混合物底面形状(MPD) 混合物底面形状は,試験便覧S022-3Tを適 用し実施する。WT試験供試体(300*300*50) を4枚作製し,供試体の型枠底板に接する面 を測定面とし,図3-1に示すように供試体の 転圧方向を揃えて配置する。この中心にCT メータの中心がくるように置き,測定を行 う。きめ深さは,区間B・D・F・HのMPDの平 均値とし,同一位置で2回測定し,その平均 図 3-1 混合物底面形状測定時の供試体配置 値を1回目のMPDとする。この供試体を各々90°回転させて2回目,3回目の測定を行 い,この3回の平均値をMPDとし評価する。 2) 動的安定度(DS) 動的安定度は,試験便覧B003を適用し実施する。1)で使用した供試体のうち3枚を 用いて実施し,平均値で評価する。 3) 水密性 水密性は,試験便覧B017Tを適用し実施する。試験条件は150kPaで24時間加圧し, この後10分間の透水量を測定する。1)で使用した供試体のうち,2)で使用しなかった 1枚からφ100mmコアを3個採取し実施し,平均値で評価する。 4) 耐水性・はくり抵抗性 耐水性・はく離抵抗性は,NEXCO試験法244を適用し実施する。1配合につき供試 体2枚で実施し,平均値で評価する。 6 3.2 結果の報告 FB13の配合試験結果報告書は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-1材料及び配合試験 (4)結果の報告」及び「Ⅲ補修工事関係 1-1材料及び配合試験 (3)結果の報告」をそ れぞれ適用する。なお,報告書は,支社の技術指導部署(以下「支社」 )を通じて,本社 の技術基準担当部署(以下「本社」 )及び㈱高速道路総合技術研究所道路研究部舗装研究 室(以下「舗装研究室」 )に送付するものとする。 4.試験練り 4.1 目的と試験のひん度 FB13の試験練りは,試験舗装に先立って,検査されたプラントの混合性能,機械的特 性を把握すると同時に,示方配合に基づいて製造された混合物の性状から混合条件を決 定することのほか,本暫定要領1.3に示す要求性能を確認することを目的とする。 FB13の試験練りにおける試験項目・試験方法及びひん度は,施工管理要領「Ⅱ建設工 事関係 1-2試験練り (1)目的と試験のひん度」及び「Ⅲ補修工事関係 1-2試験練り (1) 目的と試験のひん度」をそれぞれ適用する。また,要求性能の確認のため,表4-1に示す 試験項目・試験方法及びひん度で実施するものとする。 表4-1 FB13の試験練りにおける施工管理要領以外の試験項目とひん度 確認項目 性能1・5 試験項目 混合物底面形状測定 加圧透水試験 性能5 試験方法 注(1) 注(2) 試験便覧S022-3T 3回/1配合 試験便覧B017T 3個/1配合 NEXCO試験法244 2枚/1配合 試験便覧S022-3T 3回/1配合 試験便覧B017T 3個/1配合 NEXCO試験法244 2枚/1配合 水浸ホイールトラッキング試験 注(3) 混合物底面形状測定 性能3 試験ひん度 加圧透水試験 注(1) 注(2) 水浸ホイールトラッキング試験 注(3) 注(1) 供試体について,性能1・5では最適締固め温度で,性能3では最適締固め温度- 60℃でローラーコンパクタにて転圧したWT供試体を各々4枚作製する。この際, WT供試体型わくは常温(20℃程度)のものを用いるとともに,混合物の温度調 整は型わく外で行い,所定の温度で型わく内へ投入し,速やかに転圧を行うもの とする。なお,混合物投入直前に,型わく底盤面の温度を放射温度計にて3点測 定しておく。また,転圧回数,転圧圧力は,両温度条件ともに同一でなければな らない。試験については,本暫定要領「3.配合設計3.1混合物の諸基準 解説(3) 混合物性状 1)混合物底面形状(MPD)」に従い実施するものとし,性能3にお 7 ける目標値はMPD0.5mm以下とする。 注(2) 性能3及び性能5における混合物底面形状測定で使用した供試体の各1枚を使用 し,φ100mmコアを3個採取した供試体を使用し,本暫定要領「3.配合設計3.1混 合物の諸基準 解説(3)混合物性状 3)水密性」に従い実施する。なお、目標値 は表3-3に示す基準値とする。 注(3) 性能3及び性能5における混合物底面形状測定で使用した供試体の各2枚を使用 して実施する。なお,目標値は,表3-3に示す基準値とする。 4.2 方法 FB13の試験練りの方法は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-2試験練り (2)方法 (b) アスファルト混合物」を適用する。また,本暫定要領4.1に示す試験を実施し,混合物の 判定を実施する。 4.3 決定すべき事項 FB13 の試験練りで決定すべき事項は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-2 試験練り(3) 決定すべき事項 (b)アスファルト混合物」を適用する。 4.4 結果の報告 FB13 の試験練りにおける結果報告は,「Ⅱ建設工事関係 1-2 試験練り (4)結果の報 告」及び「Ⅲ補修工事関係 1-2 試験練り (2)結果の報告」をそれぞれ適用する。なお, 報告書は,支社を通じて本社及び舗装研究室に送付するものとする。 5.試験舗装 5.1 目的と試験のひん度 FB13の試験舗装は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-3試験舗装 (1)目的と試験の ひん度」及び「Ⅲ補修工事関係 1-3試験舗装 (1)適用範囲」をそれぞれ適用する。なお, FB13は,施工管理要領に示すSMAⅡ型と同様の試験項目とする。また,建設工事におい て防水GⅡ上にFB13を施工する場合は,要求性能の確認のため原則として表5-1に示す試 験項目・試験方法及びひん度で実施するものとする。 8 表5-1 FB13の試験舗装における施工管理要領以外の試験項目とひん度 確認性能 試験項目 引張接着性試験 性能4 レベリング層の浮き 試験方法 ひん度 建研式引張試験 機による計測(注1) 打音検査 その他 3点/工区 全面 施工要領書 (注3) 基準値 0.6N/mm2以上(試験 (注2) 温度23℃の場合) 異常がないこと による 注1:引張接着試験の際,試験体は,FB13の舗設後φ100mmのコアで完全に防水工を切断 する必要があるので,コアカッターは模擬床版の上面に切込みが入るまで切断する。 注2:試験温度が高いと舗装体が破壊し,適正な試験値とならない場合がある。従って, 舗装体の温度が十分に低下していること,気温の低い時間帯に試験を実施すること, 必要に応じて試験部位を冷却するなどして舗装体温度の低い状態(23℃以下)を構築 し試験を行うことが望ましい。なお,試験後は,破断面位置と混合物裏面状態(Cavity の有無等)を確認し記録する。 注3:構造物施工管理要領「2-6床版防水 2-6-5施工 (2)防水層」及び「3-15床版防水 3-15-7 施工 (2)防水層」に示す施工要領書をいう。 5.2 方法 FB13の試験舗装は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-3試験舗装 (2)方法 (b)ア スファルト混合物」及び「Ⅲ補修工事関係 1-3試験舗装 (3)方法」をそれぞれ適用する。 また,建設工事において防水GⅡ上にFB13を施工する場合は,防水GⅡとの接着状態の確 認及び本施工に向けた検討を行うため,原則として次の事項を追加する。 (1)試験舗装のデータ計測ヤード(工区)は,縦7m程度,横10m(試験舗装幅員)程度, 厚さ100mm程度のコンクリート版(以下, 「模擬床版」)を舗設基面として工区毎に設置 する。なお,コンクリート種別及び鉄筋の有無は特に定めないが,表面仕上げは,コン クリート施工管理要領「2-4-6 表面仕上げ」を適用する。また,工区数は特に定めない が,確認が必要な施工パターンの数だけ設定すればよい。 ※ 建設工事の場合,試験舗装の規模は1,000㎡程度であることから,完成2車線の橋梁の幅員が概ね10m なので延長方向は100m程度の規模となる。前後のニュートラルゾーンを各25mとし,3工区で工区間の ニュートラルゾーンを15mとしたとき,工区の延長は約7mとなる。 (2)模擬床版上は,本施工で使用する防水GⅡを施す。なお,防水GⅡの施工にあたって は,構造物施工管理要領の関連項目を適用する。 (3)模擬床版に施した防水GⅡ表面の舗設直前の温度を引張接着試験の位置(3点)にお いて測定しておく。 (4)舗設後,防水GⅡを施した範囲において表5-1に示す試験を実施する。 (5)密度測定及び加圧透水試験は,模擬床版を含む全層をコアカッターにより切断し, 必要な範囲を水平方向に切断し採取したものを使用して実施する。 9 (6)試験舗装前後の高さ及び仕上がり面積を測量し,FB13の仕上がり体積を算出する。 なお,高さの測定は,水糸による方法を基本とする。また,試験舗装に使用したFB13 の重量(出荷重量-廃棄重量)を求め,全体の体積と重量により密度を算出し,締固 め度を求め,(5)により求めた締固め度と比較し,本施工における日常管理試験を検 討する際の参考とする。 試験舗装幅員 10m程度 (7)試験舗装を実施する工区の例を図5-1に示す。 7m程度 Nゾーン 1工区 Nゾーン 2工区 : 防水GⅡ : 引張接着試験 ※ 工区内は模擬床版を構築する Nゾーン 3工区 Nゾーン : 密度測定及び加圧透水試験用コア 図5-1 試験舗装工区の例 5.3 日常管理試験方法の検討 FB13を防水GⅡ上に舗設する場合は,防水GⅡと舗装の接着が強力でコアが採取できな い場合がある。試験舗装において表5-1に示す引張接着性試験を実施した場合は,接着状態 を確認し,本施工における締固め度の管理手法を検討しなければならない。なお,締固め 度の管理方法は図5-2を参考に決定すればよい。ただし,気象条件等により,試験舗装では コア採取が出来たが,本施工では採取出来ない場合がある。コアによる管理を基本とする が,状況に応じて重量/体積による方法でもよい。また,表5-1に示す引張接着性試験を実 施していない場合は,本施工における引張接着性試験による接着状態により,図5-2を参考 に決定すればよい。 10 試験舗装結果 (引張接着試験) 破断状態 舗装コアの凝集破壊 否 接着剤の凝集破壊 防水GⅡと舗装又は防水GⅡと床版の界面 及び防水工の凝集破壊 可 コア採取の可否 舗設体積と出荷合材 及び廃棄合材の重量 より密度を算出 引張接着試験の試験体を利用して 密度測定 ※ 引張接着試験の舗装コアが凝集破壊の場合でも,コアを整形して密度測定が可能であれば両者を実施し て確認を行う。この場合,どちらの締固め度を採用するかはコアの状態により監督員が判断する。 破断状態の例 舗装コアの凝集破壊 接着剤の凝集破壊 防水GⅡの凝集破壊 図5-2 日常管理(締固め度)手法の決定フロー 5.4 模擬床版の撤去 新設など施工ヤード内に構築した模擬床版は試験舗装終了後, 撤去しなければならない。 撤去後の復旧は,その層の標準舗装用混合物にて復旧する。ただし,将来的に模擬床版を 存置しても支障がない場合はこの限りではない。 5.5 決定すべき事項 FB13 の試験舗装で決定すべき事項は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-3 試験舗装(3) 決定すべき事項 (b)アスファルト混合物」及び「Ⅲ補修工事関係 1-3 試験舗装 (4)決 11 定すべき事項」を適用する。また,本暫定要領 5.3「日常管理試験方法の検討」に示す締 固め度の管理方法についても決定しなければならない。 5.6 結果の報告 FB13の試験舗装における結果は,「Ⅱ建設工事関係 1-3試験舗装 (4)結果の報告」及 び「Ⅲ補修工事関係 1-3試験舗装 (5)結果の報告」をそれぞれ適用して報告を行うもの とする。なお,報告書は,支社を通じて本社及び舗装研究室に送付するものとする。 6.本施工 6.1 日常管理試験の目的とひん度 FB13の日常管理試験は,現場における材料,配合,施工が規定値を満足しているか,ま た,変動がどの程度あるかを確認し,工事期間中の日々の品質管理を行うための試験であ る。 日常管理試験の項目及びひん度は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-4本施工 (1)日 常管理試験の目的と項目及びひん度」及び「Ⅲ補修工事関係 1-4本施工 (1)日常管理試 験の目的と項目及びひん度」に規定される事項並びに,試験舗装により決定した日常管理 手法をそれぞれ適用し,実施するものとする。なお,日常管理試験で測量(高さは水糸に よる方法を基本とする)により舗装の体積を求める場合の測定位置は,建設工事の場合, 対象橋梁の床版出来型調書における測定位置と合わせればよい。補修工事の場合は,橋軸 方向の測定間隔は5m程度,横断方向の測定間隔は,施工の両端及び中間2点の4点を基本と し,床版の状態により任意に定めるものとする。 6.2 出来形管理 FB13の出来形管理は,施工管理要領「Ⅱ建設工事関係 1-5出来形基準」及び「Ⅲ補修工 事関係 1-5出来型基準」をそれぞれ適用し,実施するものとする。 6.3 施工上の注意事項 FB13を舗設する場合は,以下の事項に注意を払う必要がある。 (1)防水GⅡとFB13の接着については,敷均し温度,初期転圧温度に加え,防水GⅡ上面 温度が高い方が良い。FB13の温度管理を高めに行うとともに,試験舗装時に確認した 舗設直前の模擬床版面温度と,防水GⅡとFB13の接着状態の関係を参考に本施工に望む と良い。 (2)中温化剤は,床版防水層とFB13の熱接着状態が不良となる場合があるので,特別な 理由がない限り使用してはならない。 (3)ホットジョイント施工の場合,先行アスファルトフィニッシャ(以下, 「AF」)と後 追AFの離隔を極力近づけ,速やかに転圧に入ることが望ましい。離れすぎると,ホッ 12 トジョイント部の転圧開始温度が低下し,当該箇所の床版防水層とFB13の接着状態が 不良となる場合がある。 (4)AFの機種によっては排気装置の位置の関係から,防水GⅡの舗装接着機構を舗設前 に損傷させてしまう場合がある。試験舗装を活用するなどして,本施工の事前に状態 を確認しておくこと。 (5)各種ローラや端部施工で使用する小型転圧機械などで,アスファルト混合物の付着 を防止するために付着防止剤等を噴霧または散布する場合がある。この液体が舗設前 の床版防水層面へ流出し,滞水または湿潤状態のまま舗設してしまうと,床版防水層 とFB13の接着状態が不良となる場合があるので,転圧機械への付着防止措置を行う際 は,細心の注意を払わなければならない。 (6)合材ダンプ並びに各種車両のエアコン等により,舗設前の床版防水層に滞水するこ とがある。 (5)と同様に細心の注意を払わなければならない。 6.4 結果の報告 FB13の本施工における結果報告は, 「Ⅱ建設工事関係 1-4本施工 (2)結果の報告」及 び「Ⅲ補修工事関係 1-4本施工 (2)結果の報告」をそれぞれ適用する。なお,報告書は 支社を通じて本社及び舗装研究室に送付するものとする。 13
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