資料ST第15-1-2 発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に係る 審査における主要な論点整理 ~九州電力株式会社 川内原子力発電所1号機及び2号機~ 補足資料 (平成24年5月29日までに確認した内容) 緊急安全対策などの防護措置の実現可能性に関する評価 (1)防護措置の成立性(防火水槽の地震に対する耐性) (2)防護措置の信頼性(地震発生時にみやま池が防護措置に及ぼす影響) (1)防護措置の成立性(防火水槽の地震に対する耐性) 地震・津波の重畳時の防護措置における移動ルートと作業エリア【電源確保】 1号 非常用ディーゼル 発電機盤 EL.+13.3m 1号 非常用ディーゼル 発電機貯油槽 1号 動力変圧器 EL.+13.3m 2号 動力変圧器 EL.+13.3m 2号 非常用ディーゼル 発電機盤 EL.+13.3m 2号非常用ディーゼル 発電機盤へ接続の場合 又は 2号非常用ディーゼル 発電機室経由動力変圧器 へ接続の場合 1号・2号 動力変圧器高圧側 へ接続の場合 2号機 地下タンク ルート1 1号機 ルート2 2号 非常用ディーゼル 発電機貯油槽 高圧発電機車保管場所 EL.+33.0m 1号非常用ディーゼル 発電機盤へ接続の場合 又は 1号非常用ディーゼル 発電機室経由動力変圧器 へ接続の場合 ■ 高圧発電機車は津波の影響を受けない高台(EL.+33.0m)に配備。 ■ 全交流電源喪失時には、構内の被害状況に応じて、高圧発電機車を ディーゼル発電機盤又は動力変圧器(高圧側)へ接続するために移動 し、電源ケーブルの繋ぎ込みを行い、高圧発電機車を起動することで 給電を開始する。 緊急安全対策要員移動ルート 高圧発電機車移動ルート (点線はタービン建屋を経由して動力変圧器高圧側へ接続する場合 のルート) 地下タンク (主な機器・設備配置の高さ関係) 非常用ディーゼル発電機貯油槽 非常用ディーゼル発電機盤 動力変圧器 T.P.(=EL.0m) ▽ 高圧発電機車 トラック 大型ホイールローダ 大型油圧ショベル EL.+33m EL.+13m EL.+5m 1 地震・津波の重畳時の防護措置における移動ルートと作業エリア【給水確保:海水取水】 取水ピット 2号補助建屋横の防火水槽 P P 地下タンク 1号 非常用ディーゼル 発電機貯油槽 P P 代替緊急時 対策所 P 2号機 P ルート1 1号補助建屋横の防火水槽 1号機 2号 非常用ディーゼル 発電機貯油槽 1号復水タンク 1号 使用済燃料 ピット 仮設ポンプ、仮設ホース フォークリフト、トラック 大型ホイールローダ 大型油圧ショベル (主な機器・設備配置の高さ関係) 復水タンク 防火水槽 T.P.(=EL.0m) ▽ 取水ピット EL.+5m 2号 使用済燃料 ピット EL.+13m EL.+33m 2号復水タンク ルート2 仮設ポンプ、仮設 ホース保管場所 EL.+33.0m 地下タンク ■ 仮設ポンプ、ディーゼルエンジン発電機、仮設ホース等資機材は津波 の影響を受けない高台(EL.+33.0m)に配備。 ■ ユニック車により仮設ポンプ等の設置場所まで運搬し、取水ピットか ら復水タンク、使用済み燃料ピットまで仮設ポンプ、ディーゼルエン ジン発電機、仮設ホースを設置する。 緊急安全対策要員移動ルート 資機材運搬車両移動ルート 仮設ホースの布設ルート 2 地震・津波の重畳時の給水源確保作業の手順【給水確保:海水取水】 1.仮設ポンプ の設置作業 【取水ピット】 取水ピット 発電機 P P 3.仮設ホースの布設作業 約300m 約300m 2号補助建屋横の防火水槽 約100m 発電機 P P 約200m 約100m ベント管の金網を取り 外し、仮設ホースを入 れ、ロープにて固縛す る。 発電機 P P 6.復水タンクへの 仮設ホースの設置作業 2号機 約200m 4.仮設ポンプの設置作業 【防火水槽】 1号機 1号復水タンク 2号復水タンク 1号 使用済燃料 ピット 2号 使用済燃料 ピット 1号補助建屋横 の防火水槽 4.仮設ポンプの設置作業 【防火水槽】 消防用水槽(組立式) 防火水槽が使用で きない場合に使用 する。 (主な機器・設備配置の高さ関係) 仮設ポンプ・仮設ホース ディーゼルエンジン発電機 5.仮設ポンプの設置作業 【消防用水槽】 T.P.(=EL.0m) ▽ P 仮設ポンプ・仮設ホース ディーゼルエンジン発電機 復水タンク 防火水槽 消防用水槽(組立式) 5.仮設ポンプ(水中ポンプ) 取水ピット EL.+13m の設置作業【消防用水槽】 発電機 EL.+33m :仮設ポンプ :ディーゼルエンジン発電機 :仮設ホースの布設ルート :仮設ホースの布設長さ EL.+5m 3 防火水槽の地震に対する耐性 緊急安全対策における冷却用水源確保時に、中間受槽として、耐震Cクラスである防火水槽を使用することとしているため、防火水槽の地震 (2×Ss)に対する耐性について確認した。 防火水槽について、2次元動的有限要素法解析(材料非線形解析)を用いて評 価を実施している。 2号補助建屋横の 事業者においては、防火水槽が地震に 対する耐性を有していることを確認した ものの、防火水槽の代替設備として、 消防用水槽(組立式)を配備したとして いる。 防火水槽 1号補助建屋横の 防火水槽 1号燃料取扱建屋横の 防火水槽 2号機 1号機 図-1 防火水槽位置図 図-2 平面図及び断面図 ・幅×奥行×高さ(mm) 3700×3700×940 ・容量 約10m3 ・質量 約58kg 参考図 消防用水槽(組立式) 表-1 曲げに対する評価結果※1 最も厳しい評価位置を記載 防火水槽(保守的に妻壁はモデル化していない) 評価位置 EL.(m) Y 照査用層間 変形角 限界層間変 形角 結果 1/100 (1/200)※2 OK 10. 埋戻土 側壁 0. 0.49/100 (0.98/200) < 表-2 せん断に対する評価結果※1 -10. 最も厳しい評価位置を記載 評価位置 -20. 岩盤 側壁 -30. 照査用せん断力 (kN) 216 < せん断耐力 (kN) 結果 350 OK X -50. -40. -30. -20. -10. 0. 10. 図-3 解析モデル 20. 30. 40. 50. ※1 評価は、「原子力発電所屋外重要土木構造物の耐震性能照査指針・マ ニュアル」(土木学会、2005)による 消防用水槽(組立式)は、地震及び津 波の影響を受けない高台に保管してい る。また、訓練により、消防用水槽(組 立式)の組立が10分程度で可能なこと 、緊急安全対策で用いる仮設ポンプに よる送水が可能であるとしている。 なお、事業者では、今後も消防用水槽 (組立式)を用いた防護措置の訓練を 継続的に実施するとしている。 ※2 建築基準法施行令の規定及び「鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐 震設計指針・同解説」(日本建築学会、1999)による使用限界状態の指標 【確認結果】 防火水槽の地震に対する耐性について確認した結果、2×Ssに対する耐性を有していることを確認した。 また、信頼性向上のため、代替設備として消防用水槽(組立式)を配備していること、訓練を実施した上で、送水作業が可能であることを確認した。 4 (2)防護措置の信頼性(地震発生時にみやま池が防護措置に及ぼす影響) 発電所の南側に位置するみやま池は、発電所の補給水、雑用水に利用するための淡水を貯水している事業者所有の天然池である(ストレス テストでは、地震時には水源として期待しない評価としている)。 みやま池と発電所敷地の関係は、以下のとおりであり、地震時にみやま池が防護措置に及ぼす影響を確認した。 川内原子力発電所平面図 凡 みやま池横断面図 例 A-A' 断面図 EL.13mの範囲 EL.13.0mの範囲 .0m EL.5 .0m H.W.L.+17.400m 約6m EL.23m程度 盛 土 3.0m EL.1 みやま池越流堰 みやま池越流堰 (暗渠) (暗渠) (開渠) (開渠) みやま池 EL.8 断面図作成位置 断面図作成位置 暗渠② B-B' 断面図 水路 水路 みやま池 H.W.L.+17.400m 開渠 3.0m EL.1 EL.20.0m (越流堰EL.17.4m) B’ A’ 【確認結果(その1)】 仮に、クリフエッジとなる地震の影響により、みや ま池周辺の法面が崩壊したとしても、みやま池の 最高水位(EL.17.4m)と周辺地形との関係からは、 直ちに発電所側に池の水が流出することはないこ とを確認した。 暗渠① みやま池 A B 水路標準断面図 越流堰付近断面図 (暗 渠①) (開 渠) (暗 渠②) 5,348 400 450 EL.17.400 m 3,200 3,480 350 越流堰 3,200 3,200 400 【確認結果(その2)】 みやま池の水は、越流堰を越えて流下し、発電 所敷地内の水路を通じて海へ自然流下する。 本越流堰は、コンクリート構造物であり、地震に 対して安定した構造である。 仮に、越流堰が地震により損壊したと想定し、か つ水路が健全である場合には、最大約13.5㎥/s の流水があるものの、水路は十分な通水能力 (約30㎥/s )を有することから、発電所への影響 はないことを確認した。 5 越流堰と水路(開渠)の同時損壊を仮定した場合 防護措置の成立性に対して最も厳しいケースとして、クリフエッジ地震動により、水路(暗渠①)が健全であるものの、みやま池の越流堰と水 路(開渠)が同時に損壊することを想定した場合に、みやま池の水が水路(開渠)から発電所敷地に流出することが考えられるため、緊急安全 対策設備の設置場所、アクセスルート及び作業場所に及ぼす影響について確認した。 評価にあたっては、緊急安全対策設備が設置されているEL.13.0mの敷地を対象とし、みやま池の水が流れ出す範囲は水路(開渠)から発 電所敷地南側の電源確保、給水確保に影響を与えるように広がるものとして確認した。 敷地の浸水範囲を流量一定の水路と仮定し、 ベルヌーイの定理より、水深と流速を算出。 発電所敷地から 海側に自然流下 (身長1.6mの場合) B 発電所南側のみを 自然流下 A A 水路(開渠) ⇒損壊<閉塞> B 凡 例 高圧発電機車 及び仮設ポンプ 等移動ルート 越流堰 ⇒損壊<水が流出> 水路からオーバーフローし、 発電所敷地に流入 水路(暗渠①) ⇒通水機能維持 <水が流下> 仮設ホース 布設ルート 高圧発電機車他 資機材保管場所 A 電源確保(ケーブル布設) 水深:7cm、流速0.55m/s B 給水確保(ホース布設) 水深:7cm、流速1.68m/s みやま池越流堰 想定浸水範囲 (EL.13.0m) 洪水避難時に水中歩行できる領域 〔地下空間における浸水対策ガイドライン(国交省)より引用〕 【確認結果】 みやま池から流出した水は、EL.13.0mの発電所敷地に流入するが、緊急安全対策の設備の設置場所及びアクセスルートへの影響はないこ とを確認した。また、作業場所に及ぼす影響については、水深と流速の関係を評価した結果、国土交通省のガイドラインに示されている水中歩 行が可能(安全避難可能)な領域内にあり、緊急安全対策の成立性に影響しないことを確認した。 【更なる安全確保】 事業者は、現状においても、みやま池の水の流出が緊急安全対策の成立性に影響しないと考えているものの、更なる安全性の向上を目的とし て、当面の間、みやま池の水位を低下させた運用を講じることとしている。 6
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