価値を創造するIT 部門であり続けるために

価値を創造する IT 部門であり続けるために
~IT 部門の未来予想。IT 部門のなくなる日!?~
運用レス 3.0
2014 年 9 月
ビーエスピーグループ
Empower your Business & Change your Work Style
~ しなやかな IT でお客様のビジネスとワークススタイルの変革を応援します 〜
---目次--------------------------------------------------------------------第 1 章. IT 部門を取り巻く環境の変化
p4~11
1-1.外部環境
-はじめに
-ビジネス環境の急激な変化への対応
-新しい技術の活用(ビジネスイノベーション)
-IT コストと投資動向
p4~
1-2. 現在の IT 部門のポジション
p6~
1-3. IT 部門は如何にしてビジネスに貢献するか ~役割の河を越える~
-IT 部門の課題は「ビジネスの改善と拡大」を実現すること
-IT 部門と事業(ビジネス)部門のギャップを埋める
p7~
1-4. IT 部門は如何にしてビジネスを拡大するか ~テクノロジーの河を越える~
-IT とビジネスが直結する Hyperscale 企業
-最新鋭のテクノロジーをビジネスへ取り込む
p8~
1-5. 現状を把握し、活動方針を決める「価値分析」
-経営資源の有効活用
-コア業務とノンコア業務
p10~
第 2 章.継続した安全・品質管理と品質向上に取り組む IT 部門へ
p12~17
2-1. 役割の変革
-従量課金の有効活用 ~クラウドスタイル~
-戦略的アウトソーシング
p13~
2-3. テクノロジーの変革
-自動化の追求
-継続的デプロイメント ~クラウドスタイル~
-DevOps への取り組み ~クラウドスタイル~
p16~
2014 年 8 ⽉更新 第2版
---目次--------------------------------------------------------------------第 3 章.さらなるビジネス貢献を実現する IT 部門へ
p19~24
3-1. 役割の変革
-BPA(Business Process Analysis)/BPM(Business Process Management)
-SMO(Service Management Office)
p20~
3-2 テクノロジーの変革
-OSS を活用する ~クラウドスタイル~
-ビッグデータ活用 ~クラウドスタイル~
p24~
第 4 章. IT 部門の更なる進化を目指して
p25~27
4-1. Infrastructure as a code ~クラウドスタイル~
p25
4-2. 「モノ言わぬシステム管理者」から「モノ言うシステム管理者」へ
p26
巻 末. ビーエスピーグループのソリューションとサービス
3
P28
2014 年 8 ⽉更新 第2版
4
2014 年 8 ⽉更新 第2版
第 1 章. IT 部門を取り巻く環境の変化
~はじめに~
ITが企業活動、事業活動に必須の存在になって長く、近年は、更にクラウドを
利用した各種 IT サービスの登場により、ITを利用するハードルが下がり、専門
知識が無くても高度な IT を簡単に利用することができる時代になっています。
IT部門でなくともITを容易に利用することができる環境が整い、事業部門自ら
ITを選択し、ビジネスニーズに応じて活用できるようになっています。昨今のI
Tの進化によって、従来のIT部門が果たしてきた「役割」や「技術」に留まって
いては、事業活動上のニーズを満たすことが出来なくなっています。
5
2014
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年 8 ⽉更新 第2版
第
1.1
1 外部環境
境
ビジネス環境
ビ
境の急激な
な変化への対
対応
急激に変化
急
化するビジネ
ネス環境に遅
遅れず対応す
するための
の有効な手段
段として、IT
T
への期待は
へ
は、さらに高ま
まっています
す。アウトバ
バウンドとイン
ンバウンドの
の両方向に
進むグローバ
進
バル化や、携帯からス
スマートデバ
バイス、ウェア
アラブル端末
末へと急速
に進化する
に
モバイル端
端末の普及、また蓄積の
の進む様々なビッグデー
ータや高速
速
処理を提供
処
供するクラウド
ドサービスの
の出現などは
は、IT に対
対して新しいビジネスモ
デル、ワーク
デ
クスタイルの
のため、スピードとアジリ
リティ、さらに
にはスケーラ
ラブルな対
応を求めてい
応
います。
新しい技術
新
の活用(ビジ
ジネスイノベ
ベーション)
高速なクラウ
高
ウドコンピューティングと
とビッグデー
ータを活用し
した IoT(Intternet of
Things)に代
T
代表される新
新技術、これ
れらを工学的
的に研究しビ
ビジネスに展
展開するア
プローチがあ
プ
あります。こ
これらの新し
しい技術は、 既存ビジネ
ネスの拡大は
はもとより、
革新的なサ
革
サービスや新
新規事業を興
興す際には
は、インターネ
ネット同様に
に必須な技
術となってい
術
います。
IoT
Internett of Things
一意に識
識別可能なもの
のがイ
ンターネ
ネットに接続され
れ、情
報交換す
することにより相
相互
に制御す
する仕組みであ
ある
IT コストと投
投資動向
企業のITサ
企
サービスに掛
掛ける総コス
ストは、削減
減の方向に向
向かっていま
ます。しかし
し、
一方で、事業
一
業の競争力
力と関係性の
の高いシステ
テム、技術へ
への開発投
投資を増や
す企業は多
す
多く、その原資
資をシステム
ム運用領域
域の自動化、
、効率化を進
進めること
によって捻出
に
出する構造
造があります(図 1)。
図 1:IT 原資
資の移動
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年 8 ⽉更新 第2版
第
1-2.
1
現在の
の IT 部門の
のポジション
ン
現在のIT部
現
部門は、大き
きな転換期に
に差し掛かっ
っています。
。ITを利用することの
ハードルが低
ハ
低くなり、リテ
テラシーの高
高い特定の
の個人でなく
くとも事業部
部門が自らク
ク
ラウドやITを
ラ
を利用するこ
ことが可能に
になりました
た。事業部門
門は、各々で
でITコストを
を
予算化し、ビ
予
ビジネスに直
直接ITを活
活用することを
を考えています。
これが、昨今
こ
今、部門IT(図 2)と呼ば
ばれているも
ものであり、マーケティ
ィング領域や
や
制御系の仕
制
仕組みの中な
など、従来の
のIT部門との
の関わりが希
希薄な領域
域で活用さ
れ始めてい
れ
ます。従来
来のIT部門の
の仕事の進 め方では、事業部門が
がこの領域
で求めるスピ
で
ピードやコス
ストに対応す
することが難
難しい場合が
があります。さらには、
新たなIT領
新
領域、先端的
的な新技術を
をベースにし
したビジネス
スに直接貢献するとい
う対応も必要
う
要になります
す。
図 2:従来の
の IT 部門と
と部門 IT の関係
7
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年 8 ⽉更新 第2版
第
1-3.
1
IT 部門は如何に
にしてビジネ
ネスに貢献す
するか ~役
役割の河~
IT部門の多
I
多くは、ITシ
システムの企
企画・開発・運
運用を主な業
業務としてい
います。主
な役割として
な
て、システム
ム化による業
業務プロセス
スの効率化や
や、生産性を
を高めるこ
とを目指して
と
ています。業
業務アプリケ
ケーションの
の運用領域に
においても、データの
保全やアプ
保
プリケーション
ンの改修など
ど、安心・安
安全、動いて
ていて当たり
り前を基本と
と
して活動して
し
てきました。リスクコントロールを重
重視し、ガバナンス、コン
ンプライアン
ン
スに重きをお
ス
おく企業とし
しては当然の
の活動であ ると言えます
す。
IT 部門の課
課題は「ビジ
ジネスの改善
善と拡大」を実
実現すること
しかし、現在
し
在のIT部門は、顧客や
や事業(ビジネ
ネス)部門の
の期待に十分に応える
る
ことが出来て
こ
ているでしょ
ょうか。求めら
られている 「ITを使った
たビジネスの
の改善、拡
大」を実現す
大
するためには
は、ビジネス
スに踏み込み
み、その時々
々の状況に
に応じて最
適のタイミン
適
ングでITサー
ービスを提供
供していくこ
ことが不可欠
欠です。例え
えば、顧客
や事業部門
や
門から、「サー
ーバを至急使
使いたい」と
とリクエストが
が来た場合
合、可能なリリ
リ
ース時期と事
ー
事業部門の
の期待値の間
間には、多く
くの場合隔た
たりが存在し
します。
IT 部門と事
事業(ビジネス
ス)部門のギ
ギャップを埋
埋める ~役
役割の河~
IT利用のハ
I
ハードルが下
下がったことで、専門的
的な知識がな
なくとも、大半
半のITサー
ー
ビスを簡単に
ビ
に活用できるようになり
りました。ビジ
ジネスニーズ
ズを的確につかみ活
用のヒントや
用
やアイディアさえあれば
ば、適切なIT
Tサービスを
を選択し、ビジネスに
利用すること
利
ともできるよ
ようになりまし
した。
ビジネスニー
ビ
ーズや業務
務運用の課題
題を共有しな
ないIT部門
門であっては
は、顧客や
事業(ビジネ
事
ネス)部門との会話が成
成り立たず、 コミュニケー
ーションをとることが
困難です。こ
困
ここでは事業
業部門とIT
T部門の間に
にある、役割
割の認識のギ
ギャップを
「役割の河」
「
(図 3)と定
定義します。
図 3:役割の
の河
8
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年 8 ⽉更新 第2版
第
1-4.
1
IT 部門は如何に
にしてビジネ
ネスを拡大す
するか ~テ
テクノロジーの河~
新たな企業
新
業形態として「ITでビジネ
ネスを行う」 企業群があ
あります。この企業群は
は、
最先端の
最
IT
T 技術を積極
極的に活用
用、主にイン
ンターネットを
を用いたIT
Tそのもので
で
ビジネスを行
ビ
行います。G
Google やア
アマゾンに代
代表されるこれらの企業
業群を、ここ
では
で Hype
erscale企業
業 と定義します。一方 、企業活動
動、事業活動
動を支えるI
Tとして、業
T
務の効率化
化、省力化、安全、安心
心の実現で事
事業を支え
える、すなわ
ち「ビジネス
ち
スにITを使う
う」企業群が
があります。こ
これらを En
nterprise企
企業 と定義
義
します。
し
IT とビジネス
スが直結す
する Hypersccale 企業
Hyperscale
H
企業は、IT
Tとビジネスを直結し、最
最新技術を
を駆使してス
スピードとア
ジリティ(俊敏
ジ
敏性)、スケ
ケーラビリティ
ィの要素を持
持ったITで
でビジネスを興していま
す。クラウドコ
す
コンピューテ
ティングやO
OSSを積極
極的に採用し
し、その特性
性を最大限
に活かしたビ
に
ビジネスを行
行います。
OSS
Open Source Softwaree
ソフトウェ
ェアの設計図に
にあた
一方、Enter
一
rprise 企業の多くは、ガ
ガバナンス、
、安全、安心
心を重視し、
、ITをビジ
ネスの生産性
ネ
性と効率性
性を高める道
道具として使
使っています
す。Enterprisse 企業にお
お
いても、Hyp
い
perscale 企業
業が取り込ん
んでいるよう
うな先進技術
術の活用が
が求められて
て
おり、自社の
お
のビジネスに
にITを直結さ
させなけれ ばなりません
ん。しかし、現状、この
2 つの企業群
群の IT 活用
用レベルには隔たりが あり、「テクノ
ノロジーの河
河」(図 4)が
が
流れています
流
す。
るソース
スコードを、インター
ネットな
などを通じて無償
償で公
開し、誰
誰でもそのソフト
トウェ
アの改良
良、再配布が行
行える
ようにす
すること。また、そ
そのよ
うなソフトウェア。
ソースコ
コードがあれば、
、その
図 4:IT 活用
用レベルを隔
隔てる「テク
クノロジーの 河」
ソフトウェ
ェアの類似品を
を作
成したり
り、そのソフトウェ
ェア
で利用さ
されている技術
術を転
用するこ
ことができる。
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最新鋭のテクノロジーをビジネスへ取り込む
Enterprise 企業のIT部門は、保守的な姿勢や判断が多く、クラウドコンピュー
ティングなどの新しい技術の採用するために、慎重に検討を行います。時間を
掛けて判断し、リスクの無いいわゆる「安全・安心」の実現を優先します。これ
は、ビジネス環境の変化スピードをもって追随する際は、常に足枷になってし
まいます。そのため、IT部門に頼らず「事業部IT」で対応する場合が出てきま
す。
事業部 IT とは
企業のIT部門とは別に、IT
にかかる予算を持ち、ビジ
ネスにITを直接活用してい
る事業部門のIT機能・組織
(要員とプロセスを有する)
を指す。第2IT 部門ともい
う。
一方、Hyperscale 企業にも課題があります。急激な成長による、ガバナンス不
足や安全・安心といった要素が弱くなってしまうことです。それぞれのお互い
の企業群が「河」を越えるため、優れた技術とノウハウの橋渡しと相互の得意
領域を補完する「橋」=「Innovation Bridge」が必要です。
例:製造業の R&D 内のIT
活用、公共事業の基幹業
務(発電や運行システム)、
マーケティング部門のIT、
など (BSP 定義)
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第
1-5.
1
現状を
を把握し、活
活動方針を決
決める「価値
値分析」
ビジネスに直
ビ
直接貢献す
するこれからのIT部門へ
へと変革して
ていくために
には、持てる
る
リソース(ヒト
リ
ト・モノ・カネ
ネ)とケイパビ
ビリティ(能力
力)を最大限
限活用するこ
ことが必要
です。
で
経営資源の
経
の有効活用
これからの
こ
IIT 部門が、外部環境の
の変化に強
強く、経営に貢
貢献するサ
サービス部門
門
へ変わってい
へ
いくためには
は、まず、業
業務の価値分
分析を行い
い企業価値を
を高める固
有の部分と、
有
、汎用的、一
一般的な部
部分を見極め
め、経営資源
源を有効活用すること
が求められま
が
ます。
図 5 は、縦軸
軸に長期間
間保有価値を
を、横軸に固
固有性、汎
汎用性を配し
した4象限の
の
価値分析マ
価
マップの一例
例です。円の
の大きさは、 その機能ご
ごとのリソース
スの大きさ
を表していま
を
ます。必要と
とされる機能
能を分析し、 本来どの象
象限に置くべ
べきか、現
状はどうなっ
状
っているかを
を表します。
一般的には
一
は右上の象限
限がその企業にとって、
、「ビジネス
スに貢献する
る業務領域」」
であり、左下
で
下の領域は「「安定、高品
品質、低価格
格を実現す
する業務領域
域」になりま
す。
す
図 5:価値分
分析マップ
11
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第
コア業務とノ
コ
ノンコア業務
務
価値分析に
価
に基づき、コア業務とノン
ンコア業務を
を選別し、ビ
ビジネスに貢
貢献するた
めのアプロー
め
ーチ方法を
を決め実行し
します。ビジ
ジネスに直結
結するコア業
業務につい
ては、リソー
て
ースを重点投
投入し、新し
しい技術も積
積極的に採用
用します。同
同時にケイ
パビリティを
パ
を高めるため
めの組織改革
革や人材育
育成を進めま
ます。
コア業務
務
コア業務
務とは、本業のこ
ことを
表します
す。 建設会社で
であ
れば建物
物を建てること、製
造会社であれば製品を
を作る
一方、ノンコ
一
コア業務にお
おいても、戦
戦略的に自社
社で取り組むべき業務
務について
はリソースを
は
を投入します
す。汎用的な
な業務は、標
標準化して自動化します
す。さらに、
コモディティ
コ
ィ化が進み、他社に任せ
せたほうが良
良い業務は
はアウトソーシ
シングを利
用します。
用
こと、施
施療院であれば患
患者
を治療す
することなどです
す。コ
ア業務は
は全ての企業に
に存
在し、コ
コア業務の中でサー
ビス・製
製品の開発や品質向
図 6:コア業
業務に専念し
し、ノンコア業
業務を減ら す
上、納期
期短縮などを目
目指す
ことが、企業として正面
面から
取り組む
むべき課題と言
言えま
す。
ノンコア
ア業務
企業によ
よる違いが少な
なく、ま
た人によ
よる違いも少ない業
務を表し
します。コア業務
務を
安定・安
安全・高品質で遂
遂行
するため
めの業務が多く
く、常
に業務効
効率化やコスト
ト削減
を課題と
として求められて
てい
ます。
12
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第 2 章.継続した安全・品質管理と品質向上に取り組む IT 部門へ
~安定・高品質・低価格を実現する領域に必要な変革~
IT部門が過去から未来に向けて永続的に担う重要な役割は、安定・安心・低
価格、現状を定期的に評価し、改善ポイントがないかを見直し、継続的に改善
し続けること。改善には終わりがありません。
サービスレベルや契約、品質目標などの定性的または定量的な指標に基づ
き、成長を検証していく役割を担います。また、新技術や手法の採用にも積極
的に取り組むことによって、右上の領域へのリソースシフトや、ケイパビリティの
向上を目指します。
13
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2-1. 役割の変革
従量課金の有効活用 ~クラウドスタイル~
クラウドサービスに代表される従量課金を有効に活用します。これまでのIT予
算は、予算額を確定する為に、従量課金より一括の投資が好まれてきました。
然しながら、一括投資をしても運用フェーズで必要な費用は固定化することが
難しく、資産償却も発生します。また、ハードウェアやソフトウェアのEoS(End
of Support) により、運用フェーズに入っても周期的に更新費用がかかります。
EoS対策を含めた運用費は年々増加する傾向です。
EoS
End of Support
メーカやベンダが製品の
サポート(問い合わせ受
実際、あるユーザでは、クラウドサービスを利用するにあたって、曜日によって
トランザクション数が大きく変化したり、大きなイベントによりサーバの負荷が増
えたりすることを想定、コストミニマムにする為に、トランザクションが増え、サー
バの負荷がアップする時だけ、動的にサーバのインスタンスタイプを大きくして
運用する方法を取っています。これにより最小のコストで最高の効果を得てい
ます。
付、ソフトウェアのバグ
の修正、脆弱性対応など)
を終了すること。
戦略的アウトソーシング
アウトソーシングにはいくつかの手法があります。企業にとって有限の
資源であるリソースをより有効に活用することが目的であり、自社のケ
イパビリティ(能力)を高めることに集中することができます。「価値
分析」に基づき、ノンコア業務やコモディティ化した業務(ヘルプデス
クや、給与計算など)をアウトソースすることで戦略的領域にリソース
をシフトすることができます。また、自社ではできない低コストかつ高
品質のサービスを選ぶこともできます。
ノンコア業務をアウトソーシングする場合は、BPA(Business Process
Analysis)よって標準化・可視化されていれば比較的容易に外部に出す
ことが可能になります。また、BPR(Business Process Re-engineering)
や BPO(Business Process Outsourcing)によって標準化・アウトソー
スまでを依頼するなど幅広い選択肢があります。SaaS などのクラウド
サービスの利用も一種のアウトソーシングと言えます。戦略的な領域で
あっても外部に委託したほうが生産性や能力が高い場合は、提携やパー
トナリングといった方法もあります。
全体最適の視点から、アウトソース、インソースや外部サービスの利用
といった観点での見直しを定期的に行うことも戦略立案の一環として重
14
BPA
Business Process Analysis
企業内の戦略・プロセス・IT
の整合性を取りながら、 継
続的な改善を進めるために、
企業資産をより効果的に可
視化、分析、共有する
2014 年 8 ⽉更新 第2版
要であり、役割を越えるための一つの要素としてとらえるべきです。こ
こでは、アウトソーシングを行う 7 つの主な目的をご紹介します。
BPR
Business Process
Re-engineering
全体最適の視点から、アウトソース、インソースや外部サービスの利用
といった観点での見直しを定期的に行うことも戦略立案の一環として重
要であり、役割を越えるための一つの要素としてとらえるべきです。こ
こでは、アウトソーシングを行う 7 つの主な目的をご紹介します。
企業活動における目標(売
上高、収益率など)を設定し、
それを達成するために業務
内容や業務の流れ、組織
構造を分析、最適化するこ
<アウトソーシングを行う 7 つの主な目的>
1.コスト削減
(自社で保有するよりも低コストで実現できる場合)
2.コア業務への集中
(ノンコア業務をアウトソーシングする)
3.品質向上
(自社よりも低コストで高品質な場合)
4.専門技術領域
(ノンコア領域でコアビジネスに影響を与えない領域)
5.リスク対策
(EoS、資産保全、要員確保対策など)
6.商品化・サービスの短納期化
(外部のリソース、ノウハウの活用による短納期化)
7.固定費の変動費化
(初期投資費用を抑え、ランニング費用の償却費を抑える)
さらに、アウトソーシングは定期的に見直すことが重要です。業務の委
託元と委託先でサービスレベルについては定期的に議論し「停止する場
合があること」「サービスが停止した時の対応を、業務部門と取り決め
ておくこと」「より高いサービスのレベルを期待するのであれば、場合
によっては新たな投資が必要となること」「コストを下げるには、サー
ビスレベルに踏み込む必要がある場合があること」などです。
と。
BPO
Business Process
Outsourcing
自社の業務プロセスの一部
を、継続的に外部の専門的
な企業に委託すること
SLA
Service Level Agreement
サービス提供者(プロバイ
ダ)とサービス委託者(顧客)
同時に、ベンダーロックインを防ぐためには、マネジメントを確実に行
いロックインを防ぐための SLA(Service Level Agreement)とともに
締結、契約、可視化によるブラックボックス抑止などを行う必要もあり
ます。相互の自立と成熟の中で、相互に設定するサービスレベル指標に
基づいて、役割を明確にし、継続した安全管理、品質管理、品質向上に
取り組んでいくことが、「コスト削減」と「品質向上および信頼性向上」
を同時に実現する一つの解と言えます。
15
との間で契約を行う際に、
提供するサービスの内容と
範囲、品質に対する要求
(達成)水準を明確にして、
それが達成できなかった場
合のルールを含めて、あら
かじめ合意しておくこと。
2014 年 8 ⽉更新 第2版
2-2. テクノロジーの変革
自動化の追求
現状の業務や作業を、高品質かつ低コストで実現するための手法として、自
動化は最もポピュラーなアプローチです。さまざまなITサービスの利用によっ
て「自動化は既にやりつくした」と思われる傾向があります。所説、「自動化した
瞬間から陳腐化が始まる」とも言われており、自動化された瞬間にそれ以上の
改善がなくなってしまい、時代の変化やビジネス環境の変化とは関係が薄い
技術とも思われているようです。
自動化へのあくなき挑戦
最新の自動化を例に挙げると、システムオペレーションだけでなく、WEBイン
タフェースからの入力の自動化や、変更管理プロセスによって承認を受けた
プログラムを本番環境に自動リリースするといった仕組み、更には構成管理
DB への同期なども実装することができるようになってきました。
自動化の範囲を、発想も新たに再検討し、新たな技術を使って実装すること
で、さらなる品質向上とコスト削減、コア業務への集中を図れることができます。
これまでに自動化した領域の見直しを行い、新しい技術で再構築するなどの
アプローチを実践してみてはどうでしょうか。
RBA(Run Book Automation)の登場
RBA
自動化領域は、古くはバッチ処理の自動化から、帳票の仕分け、監視ツール
とカバーする領域を広げ、昨今では自動化の新しいソリューションとして、RB
A(Run Book Automation)も登場しています。RBAとは、その名のとおり、Run
Book(作業手順書)に則って処理を自動化するソリューションです。
Run Book Automation
「Run Book Automation」の
略で、Run Book とは運用手
順書を指し、運用手順書に
基づいたオペレーション業
生い立ちは、クラウドサービスを提供するためのプロバイダが、大量のサーバ
などの機器の設定を、短期間で一度に変更するために作られたものです。RB
Aも進化を続け、あらゆるオペレーションを自動化することを目指しています。
手作業のオペレーションが残っている業務の標準化、可視化を進め、RBAを
活用することによって更なる自動化を進めることができます。
しかし、RBA適用の前提として、作業手順書が明確になっていない場合は、
適用することができません。また、誤った作業手順書では、自動化そのものが
失敗してしまうことも。作業手順書を正確に作成し、業務を最適化して適用す
るためには、今後も継続的に自動化ソリューションの適用を検討し、さらなる自
動化のアプローチを追究していくべきと考えます。
16
務や管理を自動化しようと
するソリューションを言いま
す。
2014 年 8 ⽉更新 第2版
継続的デプロイメント ~クラウドスタイル~
これまでは、開発と運用が分離され、開発が作った機能を運用側で品質チェ
ックを行い、デプロイ(実際の運用環境に展開する)をしていました。今後は、
バッチサイズを小さくし、品質を高める工夫が必要です。「バッチサイズを小さ
くする」とは、一度に多くの機能をリリースするのではなく、少しずつ機能をリリ
ースすることです。万一、機能に問題があっても、一つ前のバージョンに戻す
ことが簡単に出来ることです。
デプロイ
ソフトウェアの分野で、開発
したソフトウェアを利用でき
るように実際の運用環境に
展開することをデプロイとい
う。サーバコンピュータ上で
運用され外部からネットワ
ークを通じて利用されるソフ
これまでのバッチサイズの大きなデプロイは、時として戻すことすら出来ない場
合があります。バッチサイズを小さくすることは、リスクを最小化することも可能
になります。バッチサイズを小さくすると、デプロイの回数が増える為、運用が
複雑化される様に思われますが、毎日、あるいは毎週のデプロイメントで同じ
オペレーションを行う必要がある場合は、デプロイメントの自動化をすればよい
わけです。
また、開発のプロセスも複雑になります。1人で開発を行うシステムはほとんど
無く、Amazon や Facebook の様な Hyperscale 企業においては、数百人の開
発者が同時に開発を行っています。この場合一番気になるのは、お互いの開
発するプログラム同士がお互いの機能に干渉しないかという問題です。ここで
も、迷わずにテストの自動化をすべきと考えます。
テストの自動化とは、お互いが開発するプログラムを、ソースコードを管理する
リポジトリに入れることで、自動でビルドとテストをする仕組みのことです。継続
的インテグレーションとも言われています。この自動テストを実装すれば、「昼
食をとって帰ってくる間に終わっている」でしょう。ソフトウェア開発、運用のあら
ゆるプロセスを自動化することで、継続的デプロイメントが可能になります。
DevOps への取り組み ~クラウドスタイル~
今後ますます、開発(Dev)と運用(Ops)は切り離すことが出来ません。継続的デ
プロイメントを実施するには、テストを自動化し、品質を向上する必要がありま
す。また、いくらテストを自動化し、継続的インテグレーションが実現できたとし
ても、デプロイのバッチサイズが大きいと効果はありません。開発と運用はもっ
と連携を深めるべきです。これは、これまで築いて来たITの規範を破壊するも
のかもしれませんが、実際に実行している企業は存在する。
これらのクラウドスタイルは夢のように思えるかもしれません、また、Facebook
や Amazon といった巨大 Web サービスベンダーだからこそできると思っている
方もいると思います。
17
トウェアや、他のソフトウェア
から参照されるコンポーネ
ントなどを、利用可能な状
態にする、アクセス可能に
する、といったニュアンスが
あります。
2014 年 8 ⽉更新 第2版
しかし、スタートアップや中小企業の Web サービスベンダーは既に実現してい
ます。Enterprise 企業の IT 部門もこのスタイルを学び、効率性を高めるアプロ
ーチが必要と考えます。
18
2014 年 8 ⽉更新 第2版
第 3 章.さらなるビジネスへ貢献する IT 部門へ
~競争力、社会的貢献・価値を高める領域に必要な変革~
IT 部門として、ビジネス貢献のため、業務プロセスを理解し、ITによる直接貢
献を提案していくことが必要です。また、クラウドを始めとする新技術の採用と
活用によって、ビジネスのスピードアップ、アジリティの実現に貢献します。IT
部門は企業全体を見渡し、これまでのシステム視点からサービス視点に変革
し、縦割りを崩し、全体最適を実現する組織となるべきです。
19
2014
2
年 8 ⽉更新 第2版
第
3-1.
3
役割の
の変革
BPA(Busine
B
ess Processs Analysis)/
/BPM(Busiiness Proceess Management)
IT 部門はこ
これまでの役
役割に加えて
て、ビジネス
スの改善・改
改革を直接担
担うことを目
指す必要が
指
があります。
これは、IT
こ
部
部門は企業
業全体を見る
ることができ
き、多くの企業
業で課題に
になっている
る
縦割りの組織
縦
織構造(個別
別最適化)を
を技術力に
によって崩す
すことができる
る唯一の部
部
門と考えられ
門
れるからです
す。事業部 IT
I も基本は
は個別最適で
であり、企業
業全体として
て
の全体最適
の
適の流れには
は反するもの
のになります
す。IT 部門に
による全体最
最適を実現
現
するためには
す
は「業務プロ
ロセス」の可
可視化および
び標準化が必須であり、このアプ
ローチが
ロ
BP
PA(Businesss Process Analysis)/B
A
BPM(Busiiness Process
Managemen
M
nt)になります
す。
IT 部門は、業務プロセ
セスを支える IT サービス
スを、システ
テム運用によ
よって提供し
し
ており「業務
て
務プロセス」の
の実行に必
必要な多くの
の情報を保有
有しています
す。まずは、
BPA
B によって
て業務プロセスにかか
かる情報を整
整理・分析し
し可視化しま
ます。この情
情
報を「業務プ
報
プロセス」の中心に据え
え、そのプロ
ロセスにまつ
つわる、戦略
略、組織、プ
ロセス、デー
ロ
ータ、システム、インフラ
ラといった横
横のつながり
りをデータベ
ベース化しま
ま
す。さらにプ
す
プロセスを実
実行するため
めのスキルセ
セットやリソー
ースについて
ても管理対
対
象とします。
象
作成したデ
データベース
スに基づき「「業務プロセ
セス」の視点
点で、手戻り
なく最適な状
な
状態で継続
続的に改善す
することによ
よって、IT 部門が全体最
部
最適の視点
点
でビジネスを
で
を支援するこ
ことができる
るのです。こ
これが BPM の基本的な
な考え方で
す。
す
図 7:ビジネ
ネスと IT つな
なぐ
20
2014
2
年 8 ⽉更新 第2版
第
誤解を与え
誤
てはいけな
ないのは、BP
PM は無駄を
をあぶり出し
して排除することが目
的の活動で
的
ではなく、企業
業全体で戦
戦略目標を達
達成すること
とを目的とす
する管理手
法であるとい
法
いうことです
す。単なるプロ
ロセスフロー
ーを管理する
ることではあ
ありません。
BPM
B
によって解決でき
きる課題は、現システム
ムの複雑性の
の解消、業務
務プロセス
のブラックボ
の
ボックス化の解消、不十
十分な可視化
化による管理
理工数の増
増大などがあ
あ
げられます。
げ
。また、作成
成した各種ド
ドキュメント類
類を、ライフサイクルを通
通して再利
利
用することに
用
により手戻りも防止できます。
BPM
B
のメリッ
ットは、業務
務プロセスに
に関する様々
々な情報を利
利用して、業
業務遂行時
時
の整合性の
の
の確認、リード
ドタイムの短
短縮、変更に
における影響
響範囲の確
確認、サービ
ビ
スデスクにお
ス
おける対応の
の迅速化な
などがあげら
られます。BP
PM はノンコア業務への
の
依存度を低
依
低下させ、コア
ア業務への
のシフトを支援
援します。し
しかも、標準
準化されたノ
ノ
ンコア業務は
ン
は、アウトソーシングす
することが容易
易になります
す。BPM を構
構築・確立
し、適切に運
し
運用すること
とによって、将来にわた
たって新規の
の「業務プロ
ロセス」の構
構
築、変更、あ
築
あるいは廃止
止において、効率的に
に構築するこ
ことができるよ
ようになりま
ま
す。
す
SMO(Servic
S
ce Managem
ment Officee)
IT部門は、I
I
ITによる新
新しい価値を
を創出する役
役割を果たす
すため役割
割の河を超え
え
なければな
な
りません。併
併行して、企
企業のIT部 門として、全
全体最適化とガバナン
スの実現を担
ス
担うことも必
必要です。
・各種のデー
・
ータを活用し
し、経営判断
断に資する
る情報の提供
供、「何かを生み出す」
情報を提供
情
供します。
・BPA/BPM
・
M による真の
のIT活用を実
実現、柔軟な
な経営を支
支援します。
・ITサービス
・
スマネジメン
ントを実現、ベ
ベンダーマ
マネジメント(
(ソーシング管理)によ
る全体最適
る
化を図ります
す。
・これまでIT
・
T部門が携わ
わらなかった
た事業ITの
の領域を受け
け持ちます
図 8:IT サー
ービスの構造
造
21
2014
2
年 8 ⽉更新 第2版
第
また、サービ
ま
ビスカタログ
グによる、ビジ
ジネスとITの
の整合性お
および貢献度
度の可視化
を図り、ビジ
を
ジネスの拡大
大に対して新
新技術を活用
用するためのプロセスを整備しま
す。
す
・「ビジネスを
・
を知る」 コミ
ミュニケーシ
ションとビジネ
ネス視点の
の醸成としての「場」を策
策
定する。
・「サービス化
・
化」 サービ
ビスカタログによって、ビ
ビジネスとIT
Tサービスの
の整合性を
図り、さらにサービス
スレベルによ
よってビジネ
ネス貢献への
の貢献度を可
可視化しま
す。
サービス
スカタログ
サービス
スプロバイダ(情
情報シ
ステム部
部門/外部サー
ービス
事業者)がエンドユーザ
ザー
(従業員
員/顧客)に向け
けて
提供中の IT サービスを
をまと
めたリス
ストのこと。現状にお
いて稼動
動中で利用可能
能な
IT サービスを一覧でき
きるよう
図 9:サービ
ビスカタログ、サービスレ
レベルの表
表
文書やデータベ
ベース
にした文
などを指
指します。
ビジネスとIT
ビ
Tサービスを
を結ぶSMO
Oの設置と、
、人材の育成
成
IT部門の組
I
組織変革には
は、これまで
でのような、企
企画・開発・運用といっ
った括りでは
は
なく、提供し
な
しているITサ
サービスを全
全体最適化 して、サービ
ビス視点でビ
ビジネスに
貢献する組
貢
組織・機能とし
して SMO(S
Service Mannagement Office)の設
O
置を提唱し
し
ます。ビジネ
ま
ネス視点でITを捉え、事
事業部門とコ
コミュニケー
ーションを図
図り、タイムリ
ーに最新の
ー
の技術を提供
供していくた
ために、サー
ービスカタログ
グに基づい
いて、サービ
ビ
ス提供のため
ス
めの業務プ
プロセス、管理のための
のマネジメン
ントプロセスを
を、サービス
ス
視点で提供
視
供する組織・機
機能になります。
人材育成の
人
の機能も持ち
ち合わせ、IT
T部門として
て必要な、ビ
ビジネスや最
最新技術に
に
精通した要員
精
員を育成す
する活動も行
行います。IT
Tサービスに
による貢献度
度と、組織・
人材の成長
人
長を可視化し
し、継続的に
に改善し続け
けていること
とも可視化、IT部門の
価値をアピー
価
ールすること
とも可能にし
します。
22
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第
図 10:SMO(Service Management
M
t Office)
23
2014 年 8 ⽉更新 第2版
3-3. テクノロジーの変革
OSS を活用する ~クラウドスタイル~
運用、開発に発生する様々なプロセスの自動化することで、クラウドのメリットを
最大限に享受することができます。しかし「自動化がそんなに簡単に出来るの
か?」という疑問が残ります。その場合、Web サービスベンダーの多くが活用し
ている OSS(Open Source Software)を利用します。EoS やベンダーロックイン
回避、ライセンス料などを考えれば、OSS は少しの技術力を付けることで簡単
に使えます。
世界的によく使われている、Github や Subversion というプログラムソースコード
を管理するリポジトリや Chef、Puppet といった構成管理ツール、仮想環境を自
動で作成する Vagrant、また、Genkins の様なテスト自動化を実現するツール
は全てオープンソースです。これらのオープンソースは Web サービスベンダー
により、より使いやすく改修されています。自動化ツールは世界中で最も実績
のあるソフトウェア領域であり、OSS といって敬遠する必要はありません。現在
の OSS は、強力なパートナーになりえます。
ビッグデータ ~クラウドスタイル~
Hyperscale 企業が生み出し、近年、急速に発展してきたデータ活用に関する
技術を、エンタープライズ企業が利用、運用することは非常に有効であり、具
体的には、分散・並列処理やインメモリ、これらを含む NoSQL などのテクノロジ
ーをエンタープライズ企業が自社のシステムに適用・運用します。その場合、
・継続して運用できる(Sustainable) ソフトウェア
・安定して運用できる(Stable) データ保全性能やフォルトトレラントな環境
を加えたツール、ソリューションの利用をお勧めします。また、新しい技術を最
大限に活用するための新たなアーキテクチャを取り入れ、リアルタイムな意思
決定とビジネス遂行を支援するイベント駆動アーキテクチャなど、これまでの
技術では為しえなかった世界を実現するアーキテクチャの OSS 展開が望まれ
ています。
24
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第 4 章. IT 部門の更なる進化を目指して
~インフラ、運用管理者も企画し、コードを書き、自ら仕事を楽しくすべき~
IT 部門の役割が、業務改革の提案・推進、戦略実現に必要なシステムの提案
へと変化していることは、これまでの内容からお分かりいただけたでしょう。
しかし、それに対応できている IT 部門は少なく、その大きな要因として「人」の
部分があります。これからの IT 部門は、開発、インフラ管理、運用管理の垣根
を越え、自ら企画し、新しい技術を取り込み、コードを書き、運用する、真の IT
プロフェッショナル集団へ進化しなくてはなりません。
25
2014 年 8 ⽉更新 第2版
4-1. Infrastructure as a code ~クラウドスタイル~
クラウドのインフラ環境は、プログラムを書くことで変更することが可能です。プ
ログラムといっても、シェルスクリプトの様な簡易プログラミング言語でも構いま
せん。これにより、夜間にサーバのインスタンスタイプを変更したり、負荷に応
じて、サーバのインスタンスを増加させたりすることが出来ます。よく使うサーバ
構成などはテンプレートとして作っておき、再利用することも可能です。
従来の様に、メーカに注文をしてから納品まで、数ヶ月も待つ必要はありませ
ん。イニシャルコストを下げて、システムを作成できる。スモールスタートし、シ
ステムが効果的であることを確認した後に拡張することが可能になります。
ビッグデータ分析などで利用する場合、イニシャル時に効果を測定することが
難しいシステムでも、最小限の投資で始めることが可能です。サーバ構成をプ
ログラミングにより作成することが可能な為、何百台にも及ぶサーバを自動で
構成することも出来ます。
26
2014 年 8 ⽉更新 第2版
4-2. 「モノ言わぬシステム管理者」から「モノ言うシステム管理者」へ
IT部門の役割については、「ITを使いたいときに使いたい人が使えるようにす
る」、この一言が多くを語ります。一見当たり前のことを支えるのが、システム管
理者の役割であり、日進月歩で進化する IT を活かしてこれを実現します。
日々の業務を正常に稼動させるためにシステム管理者は、継続的な品質の
改善のための努力を求められます。ひとたび障害が発生すれば、最優先に回
復作業に取り掛からなくてはならず、さらにユーザからの多数の問い合わせ対
応にもきちんと応じることも求められます。
IT 部門には大量の情報が集まります。日々蓄積される情報には、システムリソ
ースの稼働状況、障害情報、ユーザからの各種問い合わせを通じたサービス
レベルの状況など様々です。これらの情報は IT サービス運用の品質を高め、
ひいては IT サービスが貢献領域を拡げていくための重要な情報源とノウハウ
の源となります。IT 部門の仕事はこれらの情報を分析整理し、全社の課題解
決のための考察を行い、必要と判断したものに関しては事業部門、利用者部
門に対してきちんと伝えることが重要です。
「モノ言うシステム管理者、IT サービス提供者」を目指し、「ITIL」を活用すると
同時に、ビジネスに直接貢献するための新しいツールやフレームワーク、先端
技術を意欲的に取り込み、集積された膨大な情報を分析、活用します。また、
改善活動には終わりはありません。改善できる部分はまだまだあります。常に
未来を意識します。
ITIL®
IT サービスマネジメントの
ベストプラクティスをまとめ
た、公開されたフレームワ
結果として、事業活動における IT の利活用の ToBe モデルの提言が可能にな
り、その実現に貢献していくことができます。IT 部門、システム管理者は、縁の
下の力持ちではなく、「もの言うシステム管理者」として、IT 部門からの事業貢
献、企業価値の変革に取り組むこと、それを私達は提言します。
27
ーク
※ITIL®は AXELOS
Limited の登録商標です。
2014 年 8 ⽉更新 第2版
巻 末. ビーエスピーグループのソリューションとサービス
ビーエスピーグループは、IT 部門による事業貢献をご支援してまいります。
ソリュ ーシ ョン
ア プローチ
領域
タ
活
用
シ
ス
テ
ム
運
用
サク
ラ
ビウ
ス ド
B
P
O
B
C
P
人コ
材ン
育サ
成ル
主なツール
サービス
○
○
○
○
○
Waha‼ Transformer
A-AUTO,BSP-RM
Be.cloud
○
R&FW、infoScoop
MDMアセスメ ント
ー
ー
デ
事業貢献の領域 役割の河を超える
コ スト削減
運用レス、自動化
品質向上、R B A
○
経営資源の
有効活用
価値分析
○
役割の変革
B PA ,B PR
サービス視点
サー ビスカタログ
コア・ノンコア業務
○
○
○
ARIS
○
○
○
○
LMIS,ASMO
コア業務へのシフト
○
○
○
○
○
ASMO,運用BPO
戦略的
アウトソ ー シング
ア ウト ソ ー シ ングの7つの目的
ソ ー シング&ガバナンス
○
○
○
○
○
運用BPO
事業継続
BCP/対策
○
○
○
○
Quick‐EDD
スマー トデ バイスの活用
適用領域の拡大
○
○
○
○
infoScoop
イノベーション(専門性)IT部門はいかにしてビジネスを拡大するか テクノロジーの河を超える
ITによるビジネス貢献
最新テクノロジーの採用
○
○
○
Be.Cloud
APAMA.Terracotta
データ活用
ビッグデータ
○
○
○
APAMA,Terracotta
事業部ITの台頭
クラウドの活用
○
○
○
Be.cloud,GrooForce
ベンダーロックイン解消
EOS、OSS
○
○
○
○
Be.Cloud,infoScoop
インフ ラ 構築の変革
Infrastructure as a code
○
○
○
Be.cloud
クラウドスタイル
従量課金
○
○
○
Be.Cloud
DevOps
デプロイ
○
○
○
LMIS,infoScoop
セキュリティ
シ ングルサインオン
ログ収集、ログ分析
○
○
○
infoScoop
Waha!
APAMA, Terracotta
○
28
2014 年 8 ⽉更新 第2版
1.参考文献:日経コンピュータ 2012 年 6 月 7 日号
「IT 部門にこそ縦割り組織が壊せる」
2.本文引用:システム管理者の会 推進委員リレーコラム 日本を支えるシステム管理者の君へ
第 2 回 もはや縁の下の力持ちではない- 「モノ言うシステム管理者」を目指して
執筆:沼倉 正 氏(国分株式会社、現システム管理者の会推進委員)
第 5 回 「SLA」は背後霊それとも守護霊
執筆:足立 伸男 氏(第一生命情報システム株式会社、前システム管理者の会推進委員)
本資料の文中に掲載されている社名または製品名は、各社の商標または登録商標です
Copyright © BSP Incorporated. All rights reserved.
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