金融財政ビジネス、2014年12月4日(第10457号)

0時
事通信社
昭 和 23年 7月 8日 第 3種 郵 便 物 認 可
毎 週 2回 月・木 曜 日発 行 (但 し祝 日を除く)
購 読 料 金 税 抜 月額 5,300円
104…
8178東 京 都 中央 区銀 座 5-15-8
③時事通信社2014
2014年 (平 成 26年 )
12月 4日 [木 ]
第10457号
学習指導要領と教育問題
巻頭言
証券保 管振替機構
顧問
竹内克伸
○
法人続減織を考える《
下》
番
機
歳 出・ 歳 入改革の青写真を
解説
求められる成 長力強化 との両立
日本総合研究所 調査部
主任研 究員
蜂屋勝弘
選L
一
『シルバ ー民主主義』の弊害
…
照一隅
泰久
財務省は警鐘を鳴らし続けるべ き
インタピュー
十
長岡賞・ 元大蔵事務次官 に聞 く
国際経済
10
中間選挙 で大 敗 したがベ ジ脇艤 曇
置
米 国 の格 差 問題 を考 える
「21世 紀 の資本論」の核心 と問題点
龍谷大学経済学部教授
竹中正治
○
…
・コラム
藤原作弥のカラム
141仙 台『芭蕉の辻』にて
スポーツサ回ン
15 『仲間、
信 じて :』 ∼プラインドサッカー
…
ノンフィクションライター
探剣卜
(Probe】
松瀬
学
16 政府、
地方創生の総含戦略策定ヘ
問われ る石破担当相 の指導力
News Eye
171純 利益、9.1%増 の5787億 円一三菱UFJの 14年 9月 中間連結決算
181純 利益、 2%減 の4795億 円一三井住友FGの 14年 9月 中間連結決算
News Eye
191純 利益、17。 3%減 の3552億 円―みずほFGの 14年 9月 中間連結決算
経済東奔西走
20 政府、日曜就労拡大へ舵【
フランス】
News Eye
5。
経済効果狙 うも反発必至
本 誌 掲 載 記 事 。写 真 な どの無 断 複 写 、複 製 、転 載 を禁 じます。
申間選挙て大は じ屹瘍べ り鱚蘊
米国●格差 問題を考え る
︲世紀 の資本論 の核心と問題点
﹁
2
﹂
みよう 。
︲ 世 紀 の資 本 論 は 英 語 版 で
﹁2
﹂
7 0 0ぐ に及 ぶ大著 であ るが、 英 語
で公式 要 約 版 が出 版 され て いる ︵
末
0で な
尾 参 考 文 献 参 照 ︶。 要 約 版 は 4
の で簡 単 に読 め る。原 著自 体 は、超
長 期 の過 去 にさ か のぼ った考 証 的 な
成 果 が評 価 され て いるよう だ が、 ピ
ヶ ッテ ィ の経 済 格 差 拡 大 原 理自 体 は
単 純 な ので、 要 約 版 で十 分 理解 でき
るだ ろう 。
ピ ヶ ッテ ィ の中 核 的 な命 題 は次 の
よう に要約 でき る。
︵
l︶資 本 ︵
資 産 ︶ のリ タ ー ン ︵
配
龍谷大学経済学部教授
竹中正治
9年東 大
た けなか ・まさ は る 7
経卒 、
東
京
三
菱銀行 ︵
現 三菱東京
UFJ銀行︶
為替資金部次長、調
査 部 次 長 、ワ シ ント ン駐 在 員事
7年 1月 国
務 所 長 な ど を経 て、0
際通貨研究 所チー フ エ コノミ ス
トo9年 4 から現 。2 京都
月
職
年
0
1
。
大学博士 ︵
経済学 ︶
著作 に﹁
稼ぐ
経 済 学 災 光文 社 ︶、﹁
なぜ 人 は市
場 に踊 ら され る のか ?穴 日本経
済新聞出版社︶
な ど。
伸 び率 を長期 的 に上 回 る の で、所 得
と富 の格 差 は税制 な ど で調整 しな い
当 、金 利 、賃 料 な ど︶ は労働 所得 の
第 一に指 摘 し ておき た い のは、例
えば 米 国 で1 9 8 0年 以降 顕著 に見
大 す る力 が働 く 。
済 が低 成 長 であ るほ ど こ の格 差 は拡
限 り 拡 大 が続 く ︵これ を ピ ケ ッテ イ
の ﹁
資 本 主 義 の原 理 ﹂ と呼 ぶ こと に
す る︶。
0世 紀 以 前 は資 本 のリ タ ー
︵
2︶ 2
ン ︵
特 に税 引 き後 のリ タ ー ン︶ と経
済成 長 によ る労働 所 得 の伸 び 率 のギ
ャ ップ は、資 本 のリ タ ー ンが高 い方
0世紀
向 に著 しく乖 離 し て いた が、 2
は そ の乖 離 は縮 小 し、 ほぼ 解 消 し た
︲世紀 入 って、
時 代 だ った 。 し か し 2
それ は再 び拡 大 に向 かう だ ろう 。経
初 頭 ま で の米 国 の資 本 所 得 比率 は お
0∼ 5%前 後 の レ ンジ で変 動
おむ ね 2
2
に占 め る資 本 所得 と労働 所 得 の比率
、
跡 資 本 所得 比率 の増加 の方向 に超
勢 的 に変 化 す るはず であ る。
0年 から 2 0 0 0年 代
と ころが、 8
﹁
資 本 主 義 の原 理 ﹂ に よ って所 得 格
差 の拡 大 が起 こるな らば 、 国 民 所得
ら れ る所得 の格 差 拡 大 が ピ ケ ッテ イ
の ﹁
資 本 主 義 の原 理 ﹂ で説 明 でき る
わ け ではな いことだ 。実 際 のと ころ、
世界的なベストセラーにな った フランスの経済学者トマ ・ピケ ツテイの ﹁
︲世紀 の資本論﹂に関して
2
は、米国のエコノミストの間 でも議論が盛んだ。格差拡大問題が話題を呼ぶ 一方 で、格
差 の抑制政策に
積極的なリベラル派は中間選挙 で大敗した。その背景を考える。
二 つの 中 核 命 題
近 々日本語訳も出版 され ると いう
︲世紀 の資本
ト マ ・ピケ ツテイの ﹁
2
︲世紀 の資本し は米国
払
P ︵
邦題 ﹁
2
の エコノミ ストは言う に及ばず 、
一
般 イ ンテリ読者層 の間 でも話題 にな
っている。筆者 が H月 に参加 した ワ
シ ント ンDC での全米 エコノミ スト
会合 でも話題 となり、現代 の経済的
格差拡大を説明す る上 でピケ ッテイ
の主張 の有効性 や限界 が議論 された。
私 が理解 した範囲 で、まず ピケ ッ
ティの主張 の核心と問題点を論 じ て
10
2014.12.4[木 ]金 融財政ビジネス 第 3種 郵便物認可
7
参 照 ︶。 そ れ に よ る と 9
7年 か ら 0年
の期 間 に ついて、 所 得 拡 大 の0
7% は
労 働 所 得 の格 差 拡 大 に求 め る こと が
︵
名 目 ︶。 6 %複 利 で資 本 が富 を拡 大
方 、 労働 所 得 の伸 び は 4 %と し よう
一
税 引 き後 ︶ だ と し よう 。
に6 % ︵
に超 富 裕 層 ︶ が税率 の低 い他 国 へ逃
特
一国 だ け で課 税 す れば 、富 裕 層 ︵
わ れ る政策 を提 起 し て いる。 これ は、
いう 、 現実 には到底 実 現 不 可 能 と思
し ており 、趨 勢 的 な 上 昇 は見 ら れ な
い。 2 0 0 0年 代 半 ば 以降 は同 比率
し て いく こと がピ ケ ッテ ィ の議 論 で
げ てし まう ので、グ ロー バ ルな 課 税
でき る。
は想 定 さ れ、 当 然 それ は労働 所 得 の
次 に所 得 格 差 の拡 大 と政 治 の関 係
除 く キ ャピ タ ルゲ イ ン︶
資本 所 得 ︵
の上 昇 が見 ら れ るが、 まだ これ が趨
な お、 日本 の資 本 所 得 比
から な い ︵
に ついて、 米 国 にお け る左 右 の議 論
でな いと有 効 ではな いと想 定 され て
し か し、資 本 所 得 に ついても 労働
複 利 4 % の伸 び を 凌 駕 す る。 し か
所 得 と 同 じ よう に、消 費 され る部 分
を取 り 上げ てみよう 。 これ に関 す る
も所 得 格 差 拡 大 の要 因 に はな って い
があ る。 従 って、実 際 に は 6 %複 利
格
ポ ー ル・
ク ルーダ マンの主 張 は、 ﹁
いるから だ 。
で資 本 が増殖 す る こと はあり え な い。
が前 提 にな る。
所得格差 と政 治
るが、 家 計 の総 所 得 に占 め るそ の シ
︲年 でも 4 % であ
ェアはピ ーク時 の8
1
7年 に は 0 % に低 下 し て いる。
り、 0
1
ま た キ ャピ タ ルゲ イ ンの同 比率 は 9
7
7年 が 8 % であ る。
年 が 4 %、 0
では、 労 働 所 得 の格 差 拡 大 要 因 は
実 際 の資 本 の増加 は、消 費 によ って
得 が消 費 さ れず に再 投 資 さ れ る こと
何 か。 これ に ついては様 々な 調査 研
資 本 の投 資 リ タ ー ン自 体 より も かな
弓F① Oo調 oい
差 は つく ら れ た ︵
のいお
早 川董 房、2 0 0 8
R ”匡σ①﹃
︶﹂︵
”︼
年 ︶ にま と めら れ て いる。 ク ルーダ
し それ が成 り 立 つた め には、 資 本 所
勢 的 な ト レ ンド にな るか どう か は分
5%
率 に ついては 1 9 8 0年 以降 、 2
0 %程度 の レ ンジ で変 動 し
前 後 から 3
ており 、趨 勢 的 な 上 昇 ト レ ンド は見
ら れ な い︶。
だ が、 こ の期 間 に米 国 の所 得 分 配
究 があ るが、 観 測 さ れ る事 実 と し て
C E O︶ と平
は、最 高 経 営 責 任 者 ︵
り 低 いも のにな る はず だ 。
維 持 す る こと に成 功 し てき た ことだ 。
の顕 著 な格 差 拡 大 が進 んだ。 例 えば 、
均 労働 者 の給 与 所 得 の格 差 拡 大 、高
後 者 は経 済 のグ ロー バ ル化 や技 術 革
比率 を占 め る のは自 己居 住 用 の住 宅
まず 技 術 革 新 やグ ロー バリゼ ー シ
ず 、 大衆 的 な 支 持 を 、 し かも富 裕 で
と ビ ッグ ビジ ネ ス優 先 にも か かわ ら
ロ的 に大 きな 比率 を占 め る資 本 は住
含 む不 動産 ︶
資 本 以外 の全 て の資 産 ︵
資 本 ﹂ と し て いる のだ が、 マク
を ﹁
も な ん でも な い層 の支 持 ま で獲 得 o
最 大 の謎 は、 共 和 党 の政 策 が富 裕 層
れ て いる。前 者 は政 治 的 ・経 営 組 織
宅 資 産 、 とり わ け そ の中 でも 大 きな
家 賃 ︶ は 1 0 0 %消 費 さ れ て いるわ
論 的 な文 脈 で語 ら れ る こと が多 く 、
の給 与 所 得 格 差 の拡 大 な ど が指 摘 さ
マンにと って米 国 の現 代 政 治史 上 の
機 械 ︶ によ る労 働
新 、 つまり 資 本 ︵
帰属
資 産 だ 。 それ が生 み出 す所 得 ︵
ま た こ の点 で、 ピ ケ ッテ ィは人的
家 計 の所 得 全 体 に占 め るト ップ 0
ー%
0年 頃 に は 4
の富 裕層 の シ ェアは、 8
3
%程度 だ った が、 2 0 0 0年 代 後 半
0
には 0
1づ 以上 も 上 昇 し 4%台 の後 半
に達 し て いる。 ま た、 ト ップ ー %が
0
占 め る比率 は 0
1 %前 後 から 2 %以上
に上 昇 し て いる。
資 本 主義 の
従 ってピ ケ ッテ ィ の ﹁
0年 間 の所
原 理 ﹂ 以外 の要 因 が過 去 3
得 格 差 拡 大 をも た ら し て いる こと に
な る。 こ の点 はピ ケ ッテ ィ自 身 も 承
の代 替 の文 脈 で語 ら れ てき た。
スキ ル労 働 者 と中 低 位 スキ ル労 働 者
知 し て いる ことな のだ が、 本 書 を読
ん で いな い層 で誤解 さ れ て いるよう
ョ ンと経 済 格 差 の関 係 に ついては、
技 術革 新 &
従 来 はク ルーダ マンも ﹁
な いか と考 え る に至 った と いう 。 つ
大 ﹂ と いう 因 果関 係 を あ る程度 受 け
入 れ て いた。 と ころ が、 実 は逆 では
け であ り 、 ピ ケ ッテ ィ の議 論 の穴 に
ピ ケ ッテ ィ の命題 でもう 一点 注 意
最 後 に、 ピ ケ ッテ ィは放 っておけ
資 本 所 得 の消 費
では、 何 が米 国 の こ の時 期 の所 得
資 産 ︶所 得 の
が必要 な のは、 資 本 ︵
な の で指 摘 し てお こう 。
拡 大 の要 因 な のか。 これ に ついては
消 費 の問題 だ 。 資 本 所 得 は配 当 や 利
ば 広 が るば かり の所 得再 分 配 のた め
グ ロー バ ルな累 進 課 税制 度 ﹂ と
の ﹁
グ ロー バリゼ ー シ ョン← 所 得 格 差 拡
C B O︶ の詳 細 な
連邦 議 会 予算 局 ︵
息 、賃 料 を生 む わ けだ が、 それ が仮
な って いる可 能 性 があ る。
末 尾参 考 文 献
分析 レポ ート があ る ︵
2014.12.4[木 ]金 融財政 ビジネス 第 3種 郵便物認可
まり 、 共 和 党 が より 先 鋭 に保 守 化 し
た結 果 生 じ た ﹁
党 派 主 義 と いう 政 治
ろ、 今 や黒 人 が大統 領 にな った時 代
﹁ 大 格 差 SI 鋼 日
3 蚕 y
︵
N T T出 版 、 2 0 1 4年 ︶ だ 。 本
の大 減 税 や所 得 税 の累 進 税率 の フラ
ット化 ︵
あ る いは事 実 上 の逆 転 ︶ で
民主 党 は公 民権 運 動 を支 持 す るリ ベ
低 所 得 者 層 にも広 が った。 し か し、
な感 覚 から それ に反 発 す る白 人層 が
し た 1 9 6 0年 代 には、 人種 差 別 的
例 えば 、 黒 人 の公 民権 運 動 が勃 興
ク ルーダ マンが志向 す る のは ミド
いだ ろう 。
ーダ マンの説 では上 手 く 説 明 できな
盤 を維 持 し て いる。 そ の理由 はク ル
の今 日 ま で共 和 党 が大衆 的 な支 持 基
た。 にも か かわ らず 、 2 0 1 0年 代
築 く ﹂ と いう 扇 動 が大衆 にも あ る程
度 の効 果 を持 った と考 え ら れ る。 し
︲年 に は崩 壊 し、 米 国 を
か し ソ連 は 9
脅 かす超 大 国 ではな く な ってしま っ
ー ガ ン大 統 領 が ソ連 を ﹁
悪 の帝 国 ﹂
と 呼 び 、 ﹁ソ連 を 圧 倒 す る軍 事 力 を
もう 一つの ﹁
共産 主 義 に対 す る被
0年 代 に は レ
害 妄 想 ﹂ に ついては、 8
し た技 術 環境 の中 で、優 位 に立 ち高
次第 に人 工知 能 に代 替 され る。 そう
域 も 、 コンベ ンシ ョナ ルな業 務 から
法 律 家 、 エ コノミ ストな ど の業 務 領
人 工知 能 の急 速 な発 達 で、医 師 や
二極 化 し て いく 。
と高 付 加 価 値 の知 的 創 造 的 労 働 者 に
向 が進 む。 そ の結 果 、 これ ま で のミ
ド ルク ラ スは、低 賃 金 の現 場労 働 者
う 技 術 革 新 によ る経 済 格 差 論 だ。 つ
とり わ け人 工知 能 の急 速 な発 達 が所
な の であ る。
あ る。 そし て、富 裕 層 と ビ ッグ ビジ
ラ ルな 立 場 を と った。南 部 の諸 州 は
ルク ラ ス社 会 への回帰 であ る。 そ の
所 得 を享 受 でき る のは、 人 工知 能 の
書 の主 た る内 容 は、情 報 技 術 革 命 、
ネ ス優 先 の政策 にも か か わ らず 、 共
伝 統 的 に は民主 党 の支 持 基 盤 が強 い
地 域 だ った が、 こ れ を 機 に 南 部 の
観 点 から 、経 済 格 差 の拡 大 、 ミド ル
機 能 を フルに活 用 しな がら それ と協
対 す る反 発 と、 共 産 主 義 に対 す る被
2
害 妄 想 であ った。﹂ ︵
8否 ︶
要 す る に共 和 党 は、 こ の二 つの大
和 党 が米 国 の大衆 的 支 持 、富 裕 でも
中 ・低 所 得 層 の自 人 ︵
従 来 の民主 党
ク ラ ス の解 体 と 二極 化 は、自 由 な米
的 な変 化 こそ が経 済 的 な不 平 等 と格
な い草 の根 保 守 層 の支 持 を維 持 し て
の支 持 層 ︶ が、 公 民権 運 動 に寛 容 で
と いう 内 容 だ。 これ は近 年 では目新
より 、 そ の反 大衆 的 な経 済 政 策 から
大衆 有 権 者 の目 を そら す こと に成 功
し た のだ と いう 。 こ の主 張 は、 同書
に進 み始 めた時 期 だ。 と ころ が同時
の9章 でさら に詳 述 され る のであ る
が、 私 は十 分 に合 点 が いかな い。
に、 こ の時 期 は保 守 派 ムーブ メ ント
が大 いに強 ま った時 期 でも あ る。
﹃保 守 派 ムーブ メ ント﹄ は、
一般
大 衆 の感 情 に アピ ー ルす る 2 つの こ
し か し私 は思う のだ が、 そ の変 化
0年 代 がピ ーク であ
のイ ンパク ト は 6
り、 0
7年 代 ま で影 響 が持 続 し た と し
0年 代 以降 の今 日 ま で保 守 派
ても 、 8
の政治 的 な武 器 と し て強 い効 果 を発
こら れ た 理由 を 以下 のよう にま と め
。
ム
υ
フ
衆 的 な情 念 を巧 み に利 用 す る こと に
戦後 から 1 9 7 0年 ご ろま では、
はな い共 和 党 の支 持 に転 換 す ると い
国 社 会 の優 位 点 であ る ﹁
機 会 の平 等 ﹂
を損 な い、 民主 主 義 的 な 政体 の基 盤
し い説 ではな い。 同 分 野 の関 連 書 籍
と を見 出 し、広 い大衆 支 持 基 盤 を掘
揮 し て いると考 え る のは、 かなり 無
格 差 拡 大が もたらす保 守 化
格差拡大と政治 ・社会 の関係 に関
し て、ク ルーダ マンと逆 の主張 をし
ている のがタイラー ・コー エン著 の
0∼ 5
革 新 の波 は、 お そら く 人 口 の1
1
コー エンによ ると、前 述 し た技 術
〓8 〓邸e ﹂ ︵
日経 B P社
年 ︶ な ど があ る。
械 と の 競 争 貧 ”お お き ∽
島 F
、 20 13
業 でき る業 務 ク ラ ス の人材 であ る、
まり 、 従来 のホ ワイ ト カ ラー ・ミド
ルク ラ ス の仕 事 を機 械 が代 替 す る傾
得 格 差 の 一層 の拡 大 をも た ら す と い
経 済 的 な成 長 と格 差 の縮 小 、 あ る い
う 政 治 的 に大 きな変 化 が生 じた。 こ
す ら掘 り 崩 す危 機 への道 だ と し て警
差 の大 きな要 因 な のではな いか穴 同
0弯 ︶
書1
そ の結 果 実 現 し た政 策 が、例 えば
0
8年 代 の レー ガ ン政権 や 2 0 0 0年
代 のブ ッシ ュ政権 によ る富 裕 層 優 遇
は少 な く とも成 長 の比 較 的 平 等 な 分
0年 代 は レーガ ン
配 が実 現 し た が、 8
政 権 の下 で、 所 得 格 差 の拡 大 が急 速
れ は米 国 政 治 史 の常 識 だ。
鐘 を鳴 ら す 。 こ の点 は、 私 も共感 で
り 起 こす こと に成 功 し た のであ る。
理 があ る のではな か ろう か。 な にし
き る。
と し ては、 エリ ク ・ブ リ ニ ョル フ ソ
ン、 ア ンド リ ュl oマカ フィー ﹁
機
そ の2 つと は自 人 の黒 人解 放 運 動 に
12
2014.12.4[木 ]金 融財政 ビジネス 第 3種 郵便物認可
れ な いと いう ︵
2 7 5否 ︶。 つま り 、
は頭 打 ち、 あ る いは減 少 す るかも し
を も た ら し、 それ 以外 の人 々 の所 得
% の人 々 にま す ま す経 済 的 な豊 か さ
中 位 ・下 位 所 得 の大衆 は スー パー リ
ッチ な階 層 や高 学 歴 イ ンテリ の富 裕
と から生 じ るも の であり 、 そも そも
め て身 近 な存 在 と自 分 を比 較 す る こ
同 じ地域 や職 場 の同僚 な ど自 分 に極
理由 は、 人 間 の格 差 に対 す る感 覚 は、
まな い保 守 的 な傾 向 が強 い。 第 二 の
割 合 が最 も多 く 、経 済 状 況 が最 も厳
が最 も 低 く 、ブ ルー カ ラー労働 者 の
最 も強 い のは、所 得 水 準 と教 育 水 準
否︶
﹁ァメ リ カ で いま 保 守 主 義 の力 が
力 を も た せ よう と し て いる穴 3 0 3
力 の影 を利 用 し てみず から の主 張 に
はなぜ な のかを、 私 もず っと考 え て
と し て働 いて いな いよう に見 え る の
と って順 風 、 保 守 派 にと っては逆 風
る状 況 が、 リ ベ ラ ル派 ︵
民主 党 ︶ に
た。 所 得 や富 の格 差 拡 大 問題 が これ
和 党 に対 し て予 想 以上 の大差 で負 け
齢 者 と貧 困層 が家 賃 の安 い土 地 に住
み分 け がま す ま す進 む。
﹁
所 得 の2極 化 が進 み、 多 く の高
不 安 定 化 す ると は限 らな いこと を歴
史 が語 って いる﹂ ︵
3 0 2ギ ︶。
実 際 、 戦 後 の米 国 でデ モと暴 動 の
水 準 が豊 かな 国 では社 会 秩 序 が悪 化 、
た から と い って、 米 国 のよう に絶 対
わ たり 低 下 し てき た。格 差 が拡 大 し
す ると、犯 罪率 が 一つの指 標 にな る
が、 米 国 の犯 罪率 は過 去 数 十 年 間 に
よう な こと はな い のだ と いう 。
﹁
社 会 不 安 の度 合 いを 数 値 で評 価
前 述 の通 り 、 ク ルーダ マンの説 明 に
グ マンの信 条 には惹 か れ る。
一方 、
分解 さ せ てはな ら な いと いう ク ルー
かと いう と、 健 全 な ミド ルク ラ スを
頼 り にす る人 た ち だ ﹂ ︵
3 0 6否 ︶
筆 者 自 身 は こ の問題 を どう 考 え る
党 穏 健 派 が支 持 す る社 会 福 祉 制 度 を
信 奉 す る人 た ち 、 もう 一方 は、 民主
かれ る。
一方 は、極 端 な 保 守 主 義 を
外 住 宅 地 だ﹂ ︵
同︶
の
﹁
低 所 得 層 は 2 つのグ ルー プ に分
所 得 の専 門 職 が多 い都 市 部 や都 市 郊
し い地 域 だ ﹂ ︵
3 0 5否 ︶
﹁一方 、 最 も リ ベ ラ ルな のは、 高
差 拡 大 問題 は、 地 球 温暖 化 問題 ︵
地
てお こ>
つ。
あ った ので、最 後 にそれ を書 き添 え
の専 門 家 から膝 を打 つよう な 回答 が
の エ コノ ミ スト会 合 で、 当 地 の政 治
え る べきな のか。 こ の点 に ついて前
派 にと って有 利 に働 いて いな いと考
れ とも格 差 拡 大 問題 は実 はリ ベ ラ ル
負 け た と考 え る のが正 し い のか、 そ
て順 風 だ った が、 そ れ 以外 の不 利 な
格 差 拡 大 問題 はリ ベラ ル派 にと っ
き た。
だ け盛 ん に問題 と し て議 論 され て い
9 % ではな く 、 5%
二極 化 は 1 %対 9
1
5%だ と いう o
対8
ま た経 済 的 格 差 の結 果 、低 所 得 者
む よう にな る未 来 。 そう いう 時 代 に、
0∼ 0年 代 であ
嵐 が吹 き荒 れ た のは 6
7
り 、 所 得 格 差 が縮 小 し た、 あ る いは
は無 理 を感 じ ており 、 経 済 格 差 がも
球 気 候 変 動 問題 ︶ と 同 じ よう な も の
と進 ん で いる社 会 だ が、 そう し た住
注 ︶ は、格 差 に手 を打 たな け れば 、
吹 き荒 れ ると予 測 す る論 者 も多 い。
私 は予 想 し て いる。 政 治 的 に保 守 的
にな り 、 変 化 を 好 ま な く な る のだ ﹂
同︶
︵
保 守 化 の理由 の第 一は、 米 国 でも
人 々が力 で問題 を解 決 し よう と す る
今年 H月 の米国 の中間選挙 では、
層 と自 分 を 比 較 し て不 満 を募 ら せ る
政 治 は ど のよ う な も のにな る か ?﹂
︵
3 0 0で ︶
﹁ア メ リ カ 社 会 が抗 議 活 動 に引 き
経 済 成 長 の成 果 が比較 的 平 等 に分 配
た ら す社 会 o政 治 的 な変 化 の事 実 認
層 は住 宅 コスト の安 い地 域 へ移 動 す
る。 米 国 はも とも と所 得 階層 によ る
裂 かれ、 こと によ ると政 治 的 暴 力 が
され た と リ ベ ラ ル派 が み る時 代 では
識 の点 では、 コー エンの見解 の方 に
で、 イ ンテリ層 や政 策 レベ ル ではさ
んざ ん議 論 され て いるが、 中 下 位 の
地 域 の住 み分 け が、 日本 より もず っ
し か し私 の見 方 は違 う ︵
中略︶ ア
な いかと いう 。
﹁
左 派 の論 者 ︵
ク ルーダ マ ンな ど
説 得 力 があ ると思 う 。
進 む高 齢 化 だ 。革 命 や抗 議 運 動 は血
中 略 ︶ こ の種
だ ろう と 主 張 す る。 ︵
リ ベラ ル派 であ る民主党 が保守 の共
述 のH月 に参 加 し た ワ シ ント ンD C
同 氏 に よ る と、 ﹁
米 国 に お け る格
所 得 層 の大衆 的 な関 心事 と は ほと ん
どな って いな い﹂ と いう も のだ った
これ は前 述 の コー エ ンの見解 と共 通
す るも のだ。
。
要 因 、 オ バ マ大統 領 の不 人 気 な ど で
メリ カ社会 はも っと保 守 的 にな ると、
のリ ベラ ル派 を想 定 し て いる、筆 者
気 盛 んな若 い世 代 がや る こと であ り 、
の主 張 を す る人 た ち は、 そう し た暴
結語
高 齢 者 層 は中 ・低 所得 層 も変 化 を好
2014.12.4[木 ]金 融財政 ビジネス 第 3種 郵便物認可
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藤原作 弥
仙台「芭蕉 の辻 iに て
内外 の有名な音楽・ オペ ラな どの芸術作品
をDVDや CDで 刊行 して い る「株式会社 ジェ
が増す」 と嵐山 は推理。 また芭蕉は、幕府か
ら命 を受 けた仙台藩 の 日光・東照宮工事 の模
ー・ ピー」 (JP)は 、東京外大 の先輩で 日立
様 も念入 りに偵察 して い る。
製作所 OBの 中西俊作 さんが興 した会社 。最
近好評 の作品が松尾芭蕉 の「お くのほそ道」で、
東照宮、格 岡天満宮、薬師堂な どを調査 、次
芭蕉が 1689(元 禄 2)年 曽良 と共 に陸奥行脚
に松 島を経 て訪れたのが石巻 。北上川流域 に
した紀行文学の映像版である。
は治水 と開拓 によって新田や新港 が築 かれ、
穀倉地帯 の産米 を江戸 へ送 るイ ンフラ施 設 を
な どとPR的 に書 き出 したの は、 さきに、
中西 さん か ら頂 戴 した このDVDを 今 で も
時 々観賞 し、芭蕉の世界 に浸 つているか ら。
同時平行的 に、JR東 海 の車内誌 「ひ ととき」
仙 台で は47白 5日 、青葉城、亀 岡八 幡宮、
視察 した。それ らの結果、芭蕉 は、仙台藩 に
は幕府 へ の謀反 の疑 いはな し、 との結論 を出
した一 とい う。
連載 の 「芭蕉の風景」 (小 澤賞 )や 、新潮社
の読書雑誌「波」の連載「芭蕉 とい う修羅」(嵐
は、宿泊地 が青葉城 に通ず る大町 と奥州街道
山光二郎 )を 毎月愛読 して い るので、気が付
が交差す る目抜 き通 りの国分町 の大崎庄左衛
けば、 いつの間 にか 日常生活 の 中 に、芭蕉 の
門方 だつた こと。現在 で もその辺 は仙台の 中
心地で、「芭蕉 の辻 」 と呼 ばれ る。昔、仙 台
私 が芭蕉 の仙台滞在 で強 い関心 を抱 いたの
存在 が見 え隠れす るようになって いた。
芭蕉 といえば、「月日は百代の過客 にして
…」の (漂 泊〉 と「夏草や兵 どもが夢の跡」
の〈
不易流行〉の二つがその主な思潮だが、
作品自体 は、旅行から戻 った5年 後 に、かな
り推敲 し、文学 として昇華 し、世 に問 うた も
のわが家 の居間 に も殷賑 を極 めた「芭蕉 の辻」
の錦版画 が掛 けてあった。現在 のその四つ角
は、 日本銀行、七十七銀行、明治安 田生命 な
どの支店 がある金融街 の 中心地 である。
しか し、 なぜ、 その四 つ角 が 「芭蕉の辻」
の。実際 の旅 は どうだったのか。金森敦子著
「芭蕉 は どんな旅 を したのか」 (晶 文社 )な ど
と言われ るかを、先 に仙台出張 の際、現地 で
調べ てみ ると、元禄時代の芭蕉以前 に、慶長
の専門書 にある、同伴者 ・ 曽良 の行動 な どか
年間 に伊達政宗 のスパ イ として全国を巡ち た
別 の 「芭蕉」 とい う密偵 の虚無僧が恩賞 とし
らは、別の旅の実態がほの見えて くる。
`
芭蕉が 道の奥、
特 に嵐山光二郎 の考察 は、
に残 した足跡 は、文学 としての吟行 よ りも、
仙台藩 に対す る幕府のスパ イ としての隠密活
て、四つ角 の建物 を政宗か ら賜 つた一 とい う
説 を聞 いた。 それが松尾芭蕉 スパ イ説 と混 同
されたのだ ろ うか ?そ れ とも、 いずれ の芭
蕉 もスパ イだったのだろうか8
動 が本筋一 とい う新説。仙台出身 の私 に とっ
ては誠 に興味深 い。 スパ イ稼業 は 「観察眼 に
゛
す くれた俳諧師な らではの任務で、曽良の調
な どと思案 しなが ら、以前、副総裁時代 に
`
何度 か訪れ た 日銀仙台支店 の前で暫 し 仙台
査力 と芭蕉 の直観 が合体すれ ば、情報 の精度
のウォール街、風景 に見 とれて いた。
ま た、 米 国 の低 所 得 層 、ボ ト ムか
0 %程度 ま では、 現 代 社 会 で基 本
ら2
的 にま っとう な仕 事 に就 け るだ け の
基 礎 的 な スキ ルが欠 け ており 、 それ
を な ん と か改善 しな い限 り 、 救 え そ
う にな いと いう 認 識 も 同氏 は披 歴 し
て いた。 こ の点 は保 守 、 リ ベラ ル双
方 にと って認 識 と し ては コンセ ンサ
スだ と思 わ れ る。 た だ し、 そ の対応
に ついては保 守 と リ ベラ ル では水 と
油 ほ ど の違 いが生 じ て いる。 これ が
今 日 の米 国 の政 治 の深 い溝 とな って
いると言 え よう 。
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本文で明記したものは除く︶
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