人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船

2015宇宙ユニットシンポジウム
宇宙にひろがる人類文明の未来
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
平成27
平成27年
27年1月11日
11日
三菱重工業株式会社
執行役員フェロー
淺田 正一郎
© 2014 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.
目
次
黎明期の有人宇宙飛行
現在の有人宇宙機
宇宙への未来の船
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-1-
1
黎明期の有人宇宙飛行
最初の有人宇宙飛行
最初の有人月面着陸
先駆者
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-2-
最初の有人宇宙飛行
1961年
1961年4月12日にソビエト社会主義連邦
12日にソビエト社会主義連邦
共和国(ソ連)はR
共和国(ソ連)はR-7ロケットでガガーリン
飛行士を乗せたボストーク1
飛行士を乗せたボストーク1号の打上げに
成功
現在公開中の
ガガーリンの
映画パンフレット
R-7ロケット
ロケット
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-3-
2
最初の有人月面着陸
アメリカ合衆国(米国)はアポロ11
アメリカ合衆国(米国)はアポロ11号の打上げを
11号の打上げを
行い、アームストロング飛行士とオルドリン飛行
士が1969
士が1969年
1969年7月20日に
20日に月面に人類として始めて
日に月面に人類として始めて
着陸
サターンVロケット
サターン ロケット
・人類が製造した最大のロケット
・直径10m×
×全長102m
m
・直径
全長
・打上げ時総重量3038.5トン
トン
・打上げ時総重量
人類最初の月面の足跡
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-4-
先駆者
最初の有人飛行に使われたソ連のR
最初の有人飛行に使われたソ連のR-7ロケットも、最初の
人類月面着陸に使われたサターンV
人類月面着陸に使われたサターンVロケットも、先駆者で
あるフォンブラウン博士がベース
フォンブラウン博士は第2
フォンブラウン博士は第2次世界大戦中
に、ドイツでV
に、ドイツでV-2ロケットの開発を実施
終戦時に、V
終戦時に、V-2の開発者や製造設備を
ソ連と米国が接収
ソ連のR
ソ連のR-7はV-2の発展型
米国のアポロ計画はフォンブラウン博
士が主導
フォン
ブラウン
博士
©NASA
V-2
ロケット
http://www.warhistoryonline.com/war-articles/stealing-a-v2-rocket-in-poland.html
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-5-
3
現在の有人宇宙機
米国;スペースシャトル
ロシア;ソユーズ
中国;長征2F
中国;長征2F
最初の有人月面着陸
国際宇宙ステーション
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-6-
米国;スペースシャトル
NASAが開発し、
NASAが開発し、1981
が開発し、1981年に初号
1981年に初号
機打上げ
世界唯一の部分
世界唯一の部分再使用型
唯一の部分再使用型宇宙
再使用型宇宙
輸送機
135回
135回打上げ、133
打上げ、133回
133回成功
低軌道へ24.4
低軌道へ24.4トン
24.4トン
2011年に引退
2011年に引退
現在、米国/NASA
現在、米国/NASAは
/NASAは
有人宇宙機を持っていない
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
©JAXA
©NASA
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4
ロシア;ソユーズ
1957年に世界最初の人工衛星
1957年に世界最初の人工衛星
を打ち上げたR
を打ち上げたR-7の発展型
1800機以上打上げ
1800機以上打上げ、
機以上打上げ、
約100機
100機失敗
低軌道に5
低軌道に5~8トン
現在、中国の長征
現在、中国の長征2F
、中国の長征2Fと
2Fと共に世
界で有人打上げ可能なロケット
界で有人打上げ可能なロケット
の一つ
©JAXA
http://en.wikipedia.org/wiki/Soyuz_(rocket_family)
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
-8-
中国;長征2F
中国;長征2F
長征ロケットは1970
長征ロケットは1970年
1970年に初号機打上げ以降
、現在まで
、現在まで200
まで200機打上げ
200機打上げ
現在、長征2
現在、長征2号、長征3
号、長征3号、長征4
号、長征4号の3
号の3機種
を運用中
長征2F
長征2F型
2F型により、有人宇宙船「神舟」の打上
げ/中国版宇宙ステーション「天宮」への有
人輸送も実施
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
Ⓒ CASC
CZ-2F
-9-
5
国際宇宙ステーション
高度約400km
高度約400kmの円軌道を飛行
400kmの円軌道を飛行
全長73m
全長73m、
73m、幅108.5m
108.5m、質量344
、質量344トン
344トン
1998年から組み立てが開始され、
1998年から組み立てが開始され、2011
年から組み立てが開始され、2011年に完成
2011年に完成
6人のクルーが交代で滞在
Ⓒ CASC
人類唯一の恒久的宇宙施設
参加国は、米国
参加国は、米国、ロシア、カナダ、日本
米国、ロシア、カナダ、日本
、ESA加盟の各国(ベルギー、デンマー
ESA加盟の各国(ベルギー、デンマー
ク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ
、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、
スイス、イギリス)の15
スイス、イギリス)の15カ国
15カ国
©NASA
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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人類が宇宙へ漕ぎ出す船の変遷
Ⓒ CASC
1961年の最初の有人宇宙飛行から現在まで、宇宙への
1961年の最初の有人宇宙飛行から現在まで、宇宙への
アクセス手段の大きな技術的飛躍はない。
スペースシャトル
スペースシャトルで一旦、部分再使用型が登場したが、現状は
シャトルで一旦、部分再使用型が登場したが、現状は
全て従来どおりの使い捨て型ロケットに先祖帰り。
アポロ計画以降、人類は月にも40
アポロ計画以降、人類は月にも40年以上行っていない。
40年以上行っていない。
唯一の大きな進歩は、国際宇宙ステーションが存在し、
常時6
常時6人の人類が地球周回軌道上に滞在していること。
さて、人類が宇宙へ漕ぎ出す未来の船はどうなるのでしょうか?
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
- 11 -
6
宇宙へ漕ぎ出す未来の船
米国の近未来の計画
再使用型宇宙機
宇宙エレベータ
火星基地
未来のロケットエンジン
ワープ
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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米国の近未来の計画(1)
NASAは
NASAは2019年の初飛行を目指して宇宙探査
2019年の初飛行を目指して宇宙探査
を担うSLS/Orion
を担うSLS/Orionを開発中
SLS/Orionを開発中
©NASA
117m
Orion
©NASA
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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7
米国の近未来の計画(2)
米国の近未来の計画( )
民間会社による有人宇宙船の開発~2017
民間会社による有人宇宙船の開発~2017年
2017年
NASAは国際宇宙ステーションへの人員輸送の
NASAは国際宇宙ステーションへの人員輸送の
ため下記の2
ため下記の2社と契約
SpaceX社による
SpaceX社によるFalcon9/
社によるFalcon9/Doragon
Falcon9/Doragon
Boeing社による
Boeing社によるCST
社によるCSTCST-100
©SpaceX
©Boeing
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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再使用型宇宙機(
再使用型宇宙機(1)
宇宙機( )
従来の使い捨て型から再使用型宇宙機へ
打上げ頻度が増すと、航空機の様な何度も使える
機体の利用が進む
各国で研究開発が進んでいる
日本の再使用型ロケットの動向
2010年代までに再使用型ロケット
2010年代までに再使用型ロケット
実験機及びエアブリージングエン
ジン搭載型実験機を検討
JAXAでは
JAXAでは2020
では2020年前後の実験機実
2020年前後の実験機実
現に向け、再使用観測ロケット等
の研究開発を推進
©JAXA
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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8
再使用型宇宙機(
再使用型宇宙機(2)
宇宙機( )
海外の再使用型ロケットの動向
海外の再使用型ロケットの動向
米国ではSpaceX
米国ではSpaceX社が
SpaceX社がFalcon9
社がFalcon9の
Falcon9の
再使用を目指して飛行試験を実施
再使用に向けた再突入機としては、
再使用に向けた再突入機としては、
米国X
米国X-37B及び欧州
37B及び欧州IXV
及び欧州IXVがあげられ
IXVがあげられ
る。
http://www.nasaspaceflight.com/
http://news.discovery.com
X-37はすでに
37はすでに2010
はすでに2010年から運用飛行を行って
2010年から運用飛行を行って
いるが、米空軍が運用しているため詳細は不
いるが、米空軍が運用しているため詳細は不
明
欧州ではリフティングボディ型の再突入機
欧州ではリフティングボディ型の再突入機IXV
ではリフティングボディ型の再突入機IXV
の実験を2015
の実験を2015年春に
2015年春に計画しており、将来の再
年春に計画しており、将来の再
使用輸送機に必要な設計データを取得する
使用輸送機に必要な設計データを取得する
http://www.spacenews.com/
http://www.esa.int/
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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宇宙エレベータ
地上
地上と宇宙をエレベーターでつなぐ、
地上と宇宙をエレベーターでつなぐ、
これまでにない輸送機関
これまでにない輸送機関
① 静止
静止衛星から、地上へ向けてケーブル
衛星から、地上へ向けてケーブル
を伸ばす
② また重さが偏る
また重さが偏るので反対側
重さが偏るので反対側も
ので反対側も伸ばす
③ これを繰り返していくと、下へ伸ばした
これを繰り返していくと、下へ伸ばした
ケーブルはやがて地上に到達し、地上
と宇宙を結ぶ長大な1本の紐になる
と宇宙を結ぶ長大な1本の紐になる
④ このケーブルに昇降機を取り付け、人
このケーブルに昇降機を取り付け、人
や物資を輸送できるようにしたものが宇
宙エレベーター
出展;宇宙エレベータ
出展;宇宙エレベータ協会
エレベータ協会
http://www.jsea.jp/abouthttp://www.jsea.jp/about-se/Howse/How-toto-knowknow-SE.html
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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9
火星基地
火星基地(1)
基地
現在活動中・計画中の火星探査機
米国
米国
マーズローバー;
Opportunity、
Opportunity、Curiosity
軌道周回衛星;
©NASA
Mars Reconnaissance Orbiter、MAVEN
欧州;
欧州;Mars
欧州;Mars Express、
Express、ExoMars(計画中)
ExoMars(計画中)
インド;
インド;Mars
インド;Mars Orbiter Mission
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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火星基地
火星基地(2)
基地
MARS ONE
オランダ企業が火星への移住を企画
オランダ企業が火星への移住を企画
「火星への片道切符」に140
「火星への片道切符」に140カ国から
140カ国から20
カ国から20万人が
20万人が
応募
最終的に
最終的に2023年には
2023年には10
年には10名が火星に移住
10名が火星に移住
出典;http://www.mars-one.com/
出典;
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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10
未来のロケットエンジン
未来のロケットエンジン(1)
ロケットエンジン
プラズマビームMagnetized Beam Plasma Propulsion;
このプラズマビームを放射する基地を、惑星間飛行経路の各拠点に
このプラズマビームを放射する基地を、惑星間飛行経路の各拠点に
設置し、それにより宇宙船を
設置し、それにより宇宙船を推進
http://
http://www.nasa.gov/vision/universe/solarsystem/magbeam.html
://www.nasa.gov/vision/universe/solarsystem/magbeam.html
レーザービーム;
レーザービーム;
レーザーによって宇宙船に
レーザーによって宇宙船に電力を供給し、
宇宙船に電力を供給し、
電気推進で推進。
電気推進で推進。
レーザーによって推進剤を加熱して、その
膨張を利用する方式。
http://www.kml.k.uhttp://www.kml.k.u-tokyo.ac.jp/rpl/index.html
太陽帆Solar Sail;
太陽風を受けて推進、太陽から放射される
太陽風を受けて推進、太陽から放射される
光子の圧力を使う
光子の圧力を使う
イカロス
©JAXA
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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未来のロケットエンジン
未来のロケットエンジン(2)
ロケットエンジン
磁気帆M
磁気帆Magnetic sail;
sail;
太陽風に含まれる陽子
太陽風に含まれる陽子や電子などの荷電粒子が
陽子や電子などの荷電粒子が、
や電子などの荷電粒子が、宇宙船が作る磁場
宇宙船が作る磁場
を磁力線に垂直に通過して移動すると、力が生じる(電磁誘導、フレミ
ングの法則)
ングの法則)
核パルス推進Nuclear
核パルス推進Nuclear pulse propulsion;
propulsion;
ロケット後方で核爆発を繰り返し発生させ、
ロケット後方で核爆発を繰り返し発生させ、 その衝撃で推進する方式
その衝撃で推進する方式
反物質エンジン;
反物質エンジン;
物質と反物質が接すると、高エネル
物質と反物質が接すると、高エネルギ
と反物質が接すると、高エネルギーを放射して消滅
ーを放射して消滅する
消滅する
http://www.nasa.gov/centers/goddard/news/topstory/2006/
http://www.nasa.gov/centers/goddard/news/topstory/2006/
antimatter_spaceship.html
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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11
ワープ
地球から16.1
地球から16.1光年
16.1光年(
光年(約152兆キロメートル
152兆キロメートル)
兆キロメートル)の距離にある恒星グリーゼ832
の距離にある恒星グリーゼ832の惑星として、地
832の惑星として、地
球に非常に似た環境を持つ星「グリーゼ832c
球に非常に似た環境を持つ星「グリーゼ832c」を、ニューサウスウェールズ大学
832c」を、ニューサウスウェールズ大学の研究チ
」を、ニューサウスウェールズ大学の研究チ
ームが発見しました。
ームが発見しました。
他の地球型惑星へは光の速度
他の地球型惑星へは光の速度でも
の速度でも16.1
でも16.1年かかる
16.1年かかる
ボイジャーは太陽系外に向けて飛行中であるが、
ボイジャーは太陽系外に向けて飛行中であるが、太陽
は太陽系外に向けて飛行中であるが、太陽と
太陽との相対速
度は約
度は約17.06km/秒
17.06km/秒であり、この速度では28
あり、この速度では28万年もかかる
28万年もかかる
他の星を訪問する手段としては
他の星を訪問する手段としてはワープのみ?
する手段としてはワープのみ?
映画インターステラではワープ
映画インターステラではワープ
を使って、太陽系外地球型惑
星を訪問
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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まとめ
現在の有人宇宙船は、宇宙開発が始まってから
大きな進歩はない
現在は月面基地も、火星基地も存在しない
宇宙への橋頭堡として国際宇宙ステーションが
宇宙への橋頭堡として国際宇宙ステーションが
存在する
「人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船」を
実現するには大きな技術的飛躍が必要
人類が宇宙に漕ぎ出すための未来の船
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12