量子乱流

量子乱流�
大阪市大院理�坪田�誠�
前半��量子乱流:1
1. 乱流とは何か?
2. 統計則の重要性
3. 乱流に「渦」は必要か?
�
後半���量子乱流:2
1. 量子乱流
2. 量子乱流研究の最近の発展
1. 乱流とは何か?�
乱流の、明確で、ユニークな定義は無い。�
その定義は、人に依って、本に依って、異なる。�
しかし、「乱流とはこういうものだ」という共通の
認識はある。�
�乱流とはどのようなものか?�
…
単純で規則的な流れ������層流�
“渦らしきもの”の放出�
“渦らしきもの”の放出がより頻
繁になり、より乱れる。�
乱流:速度場が時間的
空間的に乱れている。
とんぼの横を過ぎる流れ�
層流�
乱流�
http://www.nagare.or.jp/mm/2004/gallery/iida/dragonfly.html
(日本流体力学会のwebより,中村瑞木氏,飯田明由氏作成)
“渦らしきもの”が見える。�
気象衛星ひまわりの画像�
台風--”渦らしきも
の”が見える。�
2次元乱流�
乱流は、理学(物理、数学)から工学(流体工
学、航空工学など)に至る幅広い分野で研究
されてきた。�
乱流研究の目標
**�乱流の予測と制御�** (木田・柳瀬「乱流力学」朝倉書店)�
しかし、乱流は非常に複雑な現象で、その解明は容易でない。
多自由度の非線形非平衡の動的現象
Feynman� 「乱流は、古典物理学の未解決の重要問題である」�
単に複雑だと言っているだけでは益がない。何か手がかり
は無いか?�
Da Vinci のメッセージ
Leonard Da Vinci
(1452-1519)
乱流は渦に注目
しなさい。�
ダ・ヴィンチは水の流れ(乱流)を観
察し、それが大小様々な渦から成る
ことを見い出した。�
「乱流」に関する共通認識�
1.  速度場や圧力場が時間空間的に乱れた流れ
2.  レイノルズ数が大きい
3. 統計則が重要:べき則が現れる
4. 広いスケールにエネルギーが分布し、自己相
似的なカスケードでエネルギーが輸送される(実
空間と波数空間の両方で)。�
2. レイノルズ数が大きい�
U`
レイノルズ数 :�速度を特徴付ける無次元量 Re =
⌫
⌫
U:代表速度、�����:代表長さ、�������:動粘性係数
`
速度場 v(r, t)に対する Navier-Stokes方程式:
@v
1
+ (v · r)v =
rp + ⌫ v
@t
⇢
�
慣性項(非線形項)�
粘性項�
Re=慣性項/粘性項�
無次元化すると�
@v
+ (v · r)v =
@t
1
1
rp +
v
⇢
Re
レイノルズの相似則�
乱流遷移とレイノルズ数(1)
1883年の実験�
臨界レイノルズ数 2000
入り口の微小撹乱を最小にすると 13000
近年の実験では 90000�
乱流遷移とレイノ
ルズ数(2)
種子田定俊氏�
3.統計則が重要:べき則が現れる
流体中のある場所で速度の時間変化を観測すると。。�
• 平均速度はわかる。
• ある時刻の速度を予言することは不可能。�
• 速度のヒストグラムは、再現可能。�
坪田が思う乱流の定義�
必要条件
場(普通は、速度場)が時間・空間的に乱れている。�
十分条件
乱れた場が、再現可能な統計則に従う。
! 典型的には、Kolmogorovの-5/3則
�
乱流(強い非平衡定常状態)を特徴付け
る秩序変数を見出したい!�
乱流の最も重要な統計則!
-- Kolmogorovの-5/3則(K41) --�
•  Kolmogorov則の意味
•  Kolmogorov則の導出�
乱流の最も重要な統計則
(1941, Kolmogorov)
E=
∫
1 2
v dr =
2
E(k) :エネルギースペクトル
k のスケールの eddy(渦運動)がもつ
エネルギー�
∫ E (k )dk
エネルギー保有領域
k〜k0=1/ℓ0 付近でエネルギーεが注入さ
れる。�
慣性領域
粘性は効かない。非線形相互作用により、
エネルギーεは高波長領域へ輸送される。
コルモゴロフ則が成立。�������
€
E(k)=Cε2/3 k--5/3
エネルギー散逸領域
コルモゴロフ波数 k〜kK=(ε/ν3)1/4
付近で粘性が効き、エネルギーεは熱に
変換される。�
木田、柳瀬「乱流力学」(朝倉書店、1999)�
慣性領域は、大きなスケールの渦が小さな渦に
分裂するRichardson cascadeにより成り立っている
と信じられている。�
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピューターを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
←大スケールでεでエネルギーが注入される。�
←大スケールから小スケールへεでエネ
ルギーが移動�
←小スケールでεでエネルギーが除去される。�
波数 k のエネルギー:����������������������������コルモゴロフ・スペクトル
�
E(k) = Cε k
2 3 −5 3
種々の実験で観測されたコルモゴロフ-5/3則�
k-5/3�
木田、柳瀬「乱流力学」(朝
倉書店、1999)�
慣性領域は、大きなスケールの渦が小さな渦に
分裂するRichardson cascadeにより成り立っている
と信じられている。�
�
!
い
な
い
が
人
見た
も
誰
は
程
過
ド
ー
ケ
ス
カ
の
こ
,
し
しか
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピューターを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
←大スケールでεでエネルギーが注入される。�
←大スケールから小スケールへεでエネ
ルギーが移動�
←小スケールでεでエネルギーが除去される。�
波数 k のエネルギー:������������������������������コルモゴロフ・スペクトル
�
E(k) = Cε k
2 3 −5 3
古典乱流の場合、渦は不安定で、同定も容易でない。�
層流�
乱流�
http://www.nagare.or.jp/mm/2004/gallery/iida/dragonfly.html
(日本流体力学会のwebより,中村瑞木氏,飯田明由氏作成)
Kolmogorov-5/3則の導出!
1. 次元スケーリング解析�
設定
1. 発達した�一様等方乱流の定常状態を考える。
2. 慣性領域
•  エネルギー注入、散逸の詳細に依らず、普遍的振る舞いを示す。
•  特徴的なスケールが無く、自己相似的にエネルギーは低波数から高
波数に流れる。! E(k)は、 エネルギー輸送率 ✏ と波数kだけで決まる。�
E(k) ⇠ ✏a k b
[E(k)] = L3 T 2 , [✏] = L2 T
a = 2/3, b =
3
, [k] = L
1 なので�
5/3 ! E(k) = C✏2/3 k
C: Kolmogorov定数����C=1.4 – 1.8 �
5/3
Kolmogorov-5/3則の導出!
2. Navier-Stokes(NS)方程式からの導出(1/2)�
NS方程式から出発して、-5/3則の解析的導出は行われていない。�
1.  エネルギースペクトルと速度2点相関関数
Z
Z
1
1
1
v(r)
< v(r)2 >=
dr =
E(k)dk
2
V
2
0
Wiener-Khinchin
Z 1 theorem:
1
(x) :速度2点相関関数
E(k) =
eikx (x)dx
2⇡
E(k) / k
2
1
n
() < |v(r + x)
v(r)|2 > / xn
1
Kolmogorov-5/3則の導出!
1. Navier-Stokes(NS)方程式からの導出(2/2)�
1.  エネルギースペクトルと速度2点相関関数
E(k) / k
2. 速度差
n
() < |v(r + x)
v(r, x) = v(r + x)
���乱流は自己相似的と仮定
v(r)|2 > / xn
1
v(r)
v(r, x) =
h
v(r, x)
h はどうなるか?�� もし h=1/3 なら、n-1=2/3、よって n=5/3 �
x
3. 縦速度差 vk (r, x) = [v(r + x) v(r)] ·
⌦
↵
x
p
p次のモーメント
Sp (x) = ( vk (x))
2
3
��・Kolmogorovの2/3乗則�������������������������多くの実験が支持�
S2 (x) ⇠ x
4
S3 (x) =
✏x
��・Kolmogorovの4/5則���������������������������NS方程式から導出される。
5
���!�これらは h=1/3 を支持。
3.乱流に「渦」は必要か? -乱流の分類-!
� 波乱流(波動乱流)�
⇤
Hamiltonian ZH [ (r, t), (r, t)]
(r, t) = ak (t)eikr dk
H=
Z
⇤
!k ak ak dk
+ Nonlinear terms
非線形相互作用する微小振幅波が作る乱流 ! 波乱流�
�
@ak
i
= VL + V N L , VL = ! k a k
@t
乱流の分類�
波乱流
@ak
i
= VL + VN L
@t
弱乱流
VL
Critical balance
VL ⇠ V N L
強乱流
VN L
VL ⌧ V N L
VL ⌧⌧ VN L
渦、ソリトン等の位相欠陥が発生�
強励起�
渦が作る乱流
Hydrodynamic turbulence etc.
古典乱流に関するテキスト�
•  U. Frisch, Turbulence, Cambridge Univ. Press, 1995
•  P. A. Davidson, An Introduction for Scientists and
engineers, Oxford Univ. Press, 2004
•  S. Nazarenko, Wave Turbulence, Springer, 2010�
量子乱流�
大阪市大院理�坪田�誠�
1.  量子乱流�
2.  超流動ヘリウムの量子乱流�
3. 量子乱流のエネルギースペクトル�
4. 量子渦の可視化�
5. 原子気体BECの量子渦と乱流�
[1] M. Tsubota, M. Kobayashi and H. Takeuchi, Phys. Rep. 522 (2013) 191; arXiv: 1208.0422.
[2] M. Tsubota, K. Kasamatsu and M. Kobayashi, in Novel Superfluids, ed. K. H. Bennemann
and J. B. Ketterson (Oxford University Press, Oxford, 2013), Vol. 1, p.156; arXiv: 1004.5458. �
1.量子乱流とは何か?
量子流体 --->�低温で量子凝縮した流体
ボース系 --> 超流動4He、原子気体ボース・アインシュタイン�
���������������������凝縮体(BEC) etc.
フェルミ系 --> 超流動3He、金属電子系 etc.
量子乱流 --> 量子流体で生じる乱流�
量子乱流研究の舞台
超流動ヘリウム(since 1950’s)、��原子気体BEC(since 1995)
量子流体の特徴�
ボース凝縮の結果、秩序変数が出現�������
�
Ψ(r,t ) = n 0 (r,t ) exp(iθ (r,t ))
!
∇θ (r,t )
超流動速度場 v s (r,t ) =
m
循環の量子化�
€
h
κ = ∫ v s ⋅ dr = n
m
量子化された循環を持つ、超流動の渦 -->�量子渦�
量子渦は、ボース凝縮体中の超流体の渦である.!
超流体の全ての回転的流れは、量子渦が担う.�
(i) 循環が量子化される.�
∫v
s
⋅ ds = κn
n = 0, 1, 2, · · ·
κ =h/m
n≧2 の渦は不安定。�
全ての渦は厳密に同じ循環を持つ.�
(ii) 粘性拡散による減衰機構が働かない.�
渦は安定.�
〜Å
ρ s (r)
(iii)渦芯が非常に細い.�
�
コヒーレンス長のオーダー
rot v s
r
量子乱流の典型例
量子渦タングルが作る乱流�
量子渦の芯の運動�
構成要素が明確なので、量子乱流の方が古典乱
流より簡単かも知れない。�
古 典 乱 流� vs. �量 子 乱 流�
渦芯の
運動�
・渦は生まれては消える不安定な
存在。明確に定義できない。
・循環の異なる渦が混在している。
循環が保存しない。�
・量子渦は安定な位相欠陥。
・量子渦の循環は全て同一で保
存する。�
量子渦のダイナミクスの記述法�
量子渦糸モデル (Schwarz)��ビオ・サバール則
κ ( s − r) × d s
v s (r ) = ∫
3
4π
s−r
r
s
量子渦は、ビオ・サバール則に従い周りに超流動速度場を作り、自分自
身それに乗って動く。有限温度では、常流体との相互摩擦を取り入れ
る。�
Gross-Pitaevskii (GP)モデル
iθ( r )
Ψ(r
)
=
n
(r)e
巨視的波動関数
0
�
∂Ψ(r,t) & ! 2∇ 2
2)
i!
= (−
+ Vext (r) + g Ψ(r,t) +Ψ(r,t)
∂t
' 2m
*
2. 超流動ヘリウムの量子乱流�
液体 4Heは 2.17K (λ 温度) 以下でボース凝縮を起こして超流
動状態となる。
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピューターを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
その流体力学は2流体モデルにより記述される.�
2流体モデル
�
系は、非粘性の超流体と粘性をもつ常
流体の混合である.
point
j = ρ sv s + ρ n v n
ρ = ρs + ρn
温度(K)
密度�
速度場
粘性�
エントロ
ピー�
超流体�
ρ s (T )
v s (r )
0
0
常流体�
ρ n (T )
v n (r )
η n (T )
sn (T )
€
€
2流体モデルは、実験で観測されたさまざまな超流動性
を説明することができた.
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピューターを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
熱機械効果, フィルム・フロー etc.
しかし, …….
超流動は、速く流れると、壊れる(1940年代)。
(i) vs < v c
(ある臨界速度)
t→∞
vs
vs
2流体間に相互作用は無く、超流動は減衰しない。�
(ii) v s > v
�
vs
c
vs =0
量子渦のタングルができる。それを介して2流体は相互作
用をし、超流動は減衰する。�
1955 �Feynman は、これが量子渦タングルから成る超流動成
分の乱流であると提案した.
Progress in Low Temperature Physics
Vol.I (1955), p.17
1957 Vinen は、超流動乱流(量子乱流)を観測した.
渦タングルと常流体の間に働く相互摩擦が、超流動の減衰を
引き起こす.
超流動 4Heの熱カウンター流に関して、多くの実験が行われた.�
量子渦タングル�
1980’s�K. W. Schwarz� Phys.Rev.B38, 2398(1988)
3次元量子渦糸のダイナミクスの直接数値計算を行い、定量的に
温度差 △Tを求めることに成功した.
量子渦糸モデル (Klaus Schwarz)
r
s
量子渦は、ビオ・サバール則に従い周りに超流動速度場を作り、自分自身
それに乗って動く。有限温度では、常流体との相互摩擦を取り入れる。�
β
κ
s˙ 0 =
s$ × s$$ +
4π
4π
∫
'
L
(s1 − r ) × ds1 + v
s1 − r
3
s,a
(s)
s˙ = s˙ 0 + α s$ × ( v n − s˙ 0 ) − α $s$ × [s$ × ( v n − s˙ 0 )]
€
非局所項を無視する近似を LIA(Localized Induction
Approximation:局所誘導近似)と言う。
�
β
s˙ 0 =
s$ × s$$ + v s,a (s)
4π
Schwarzの計算(1)
PRB38, 2398(1988)
Schwarz
1.
LIA
LIAは渦間の相互作用を無視
している。�
Schwarzの計算(2)
PRB38, 2398(1988)
1. 
2.
LIA
熱カウンター流中の渦タングルの成長�
渦糸モデル
K. W. Schwarz, Phys. Rev. B38, 2398 (1988).��������
渦糸モデル(局所誘導近似=渦間相互作用を
無視)の計算により、統計的平衡状態を得た。�
H. Adachi, S. Fujiyama, M.Tsubota, Phys.
Rev. B81, 104511(2010)(Editors
suggestion)
渦間相互作用を考慮した、より正確な計算
(full Biot-Savart則)を行い、実験結果と定量
的一致を得た。�
vs
vn
LIA と Full Biot-Savartの比較
Full Biot-Savart
渦間相互作用は必要。
T = 1.6 K
LIA
渦は異方的となり層構造を作る。
Comparison between the LIA and full BS calculation
Vortex Line Density(
Anisotropic parameter
)
LIA
LIA
full Biot-Savart
full Biot-Savart
Isotropic
tangle
The LIA calculation is quite different from the full Biot-Savart one.
The LIA is not correct.
観測との定量的比較� H. Adachi, S. Fujiyama, M. Tsubota, Phys.
Rev. B81, 104511(2010) (Editors suggestion).
L : 渦の密度, vns : 熱カウンター流の相体速度�
1.3 K
1.6 K
1.9 K
2.1 K
γ(s/cm2)
Our calculation
γ(s/cm2)
Experiment
�
54
109
140
157
59
93
133
(154)
Childers and Tough, Phys. Rev. B13,
1040 (1976)
γ(T)
�3. 量子乱流のエネルギースペクトル�
常流体が存在しない状況で、量子乱流のエネルギースペクトルを調べ
た研究は、3つある。�
Decaying Kolmogorov turbulence in a model of superflow
C. Nore, M. Abid and M.E.Brachet, Phys.Fluids 9, 2644 (1997)
Gross-Pitaevskii (GP) モデル
Energy Spectrum of Superfluid Turbulence with No Normal-Fluid
Component
T. Araki, MT and S.K.Nemirovskii, Phys.Rev.Lett.89, 145301(2002)
渦糸モデル�
Kolmogorov Spectrum of Superfluid Turbulence: Numerical Analysis of
the Gross-Pitaevskii Equation with a Small-Scale Dissipation
M.Kobayashi and MT, Phys. Rev. Lett. 94, 065302 (2005), J. Phys. Soc. Jpn.74, 3248 (2005).
修正 GPモデル
C. Nore, M. Abid and M.E.Brachet, Phys.Fluids 9, 2644(1997)
Taylor-Green vorticesを初期
条件としてGP方程式を解き、
量子乱流(渦タングル)を求
めた.
4�
t=2�
8�
6�
10�
渦の再結合が頻繁に起こり、
そのたびに短波長音波が放
出され、それが量子渦のカス
ケードを乱す。�
12�
K41を調べるためには、全エネルギーを分解する必要がある(Nore et
al., 1997)
全エネルギー
1
g 2)
*&
2
E=
dxΦ ( −∇ + Φ + Φ
∫
'
2
*
∫ dx ρ
ρ exp(i θ )
Φ=
E = E int + Eq + Ekin
運動エネルギー
圧縮性エネルギー
�
非圧縮性エネルギー
2
1
=
dx ( Φ ∇θ )
∫
∫ dx ρ
Ekin
c
kin
E
1
c
(
)
=
dx
Φ
∇
θ
∫
dx
ρ
∫
[
i
kin
E
2
]
with
1
i 2
with
(
)
=
dx
Φ
∇
θ
∫
∫ dx ρ
[
]
c
rot ( Φ ∇θ ) = 0
i
div ( Φ ∇θ ) = 0.
非圧縮性運動エネルギーEkini が、K41を示すはず!�
C. Nore, M. Abid and M.E.Brachet, Phys.Fluids 9, 2644(1997)
△: 2 < k < 12
○: 2 < k < 14
□: 2 < k < 16
n(t)
E(k)
E(k)〜 k -n(t)
5/3
t
スペクトルの指数 n(t) の時間変化�
k
ある瞬間のエネルギースペクトル�
指数は一時的に 5/3 を示すが、その後はずれてゆく。これは、再結合時
に放出される音波が、量子渦のカスケード過程を乱すためと考えられる。�
Kolmogorov spectrum of quantum turbulence
M. Kobayashi and M. Tsubota, Phys. Rev. Lett. 94, 065302 (2005),
J. Phys. Soc. Jpn. 74, 3248 (2005)
1. 高速フーリエ変換を用いるために、波数空間でGP方程式
を解いた。
2. 量子乱流の統計的定常状態を作った。そのために、
2-1�短波長フォノンを消すために、短波長のみで作用する散
逸項を導入した。
2-2�ランダムポテンシャルを動かして、大スケールでエネル
ギーを注入した。�
�
実空間の GP 方程式
∂
2
2
i Φ(r, t ) = −∇ − µ + g Φ(r, t ) Φ( r, t )
∂t
[
]
フーリエ空間の GP 方程式
∂
i Φ( k,t ) = (k 2 − µ ) Φ(k, t )
∂t
g
+ 2 ∑ Φ(k1 ,t ) Φ* (k2 ,t ) Φ (k − k1 + k2 ,t )
V k1 ,k 2
2
ξ =1 gΦ
2
渦芯を与えるヒーリング長
GP 方程式を高精度で解くために、立方体中で周期境界条件を用
いて擬スペクトル法を用いる。�
小スケールの散逸をどうやって導入するか?
小スケールの散逸を入れた GP 方程式
∂
2
{i − γ (k)} Φ(k,t ) = ( k − µ) Φ (k,t )
∂t
g
+ 2 ∑ Φ(k1 ,t ) Φ* (k2 ,t ) Φ (k − k1 + k2 ,t )
V k1 ,k 2
2
ξ =1 gΦ
�
2
:渦芯を与えるヒーリング長
γ (k ) = γ 0 θ (k − 2π / ξ )
ξ 以下の小スケールのみで働く散逸項を入れた。�
ξ以下のスケールでは量子渦の運動は無く、音波しかない。�
この散逸項は、後にGP-BdG連立方程式の解析により正当化される。
M. Kobayashi and M. Tsubota, PRL 97, 145301 (2006)
大スケールのエネルギー注入をどう行うか?
以下の時空相関を満たすように、ランダムポテンシャルを動
かす:
2
2
#
(x − x ! ) (t − t ! ) &
2
V(x, t)V(x !, t !) = V0 exp % −
−
(
2
2
2X 0
2T0 ('
%$
�
このX0が、エネルギーが注入さ
れるエネルギー保有領域を決
める。�
量子乱流の定常状態を得る(1)
各エネルギー成分の時間発展�
量子渦(芯)
中央面での位相�
動くランダムポテンシャル�
量子乱流の定常状態を得る(2)
各エネルギー成分の時間発展�
この系のカスケード過程�
Vortices
Phonons
この描像を確認するために、以下を計算する。
(1) 非圧縮性運動エネルギーEkini の散逸率 ε
(2) リチャードソンカスケードのエネルギー流束 Π
Vortices
Phonons
(1)非圧縮性運動エネルギーEkini の散逸率ε
定常状態において、大スケー
ルのエネルギー注入を切り、
Ekini の減衰を見る .
i
d Ekin
ε=−
≈ 12.5 ± 2.3
dt
(2) リチャードソンカスケードのエネルギー流束 Π
Ensemble averaged over 50
states.
← エネルギー散逸率 ε〜12.5
1. Πは慣性領域でほぼ一定。
2. Π はεにほぼ等しい。.
これらは、下図のカスケード
過程を示す。�
量子乱流定常状態のエネルギースペクトル�
エネルギースペクトルはコルモゴロフ則を示す。.
量子乱流が、古典乱流の
最も重要な統計則をを示
す事がわかった。�
2π / X0
2π / ξ
€
4. 量子渦の可視化�
ミクロンサイズの水素固体粒子を用いて、量子渦の可視化に成功'
G. P. Bewley, D. P. Lathrop, K. R. Sreenivasan, Nature 441, 588(2006)
T < Tλ
T > Tλ
1mm
€
GP モデルによる量子渦の再結合�
量子渦の再結合の可視化�
再結合(t=t0)前後で渦間距離
2
8 mm
Real time movie
M. S. Paoletti, M. E. Fisher, D. P. Lathrop,
Physica D (2010)
' |t
が満たす関係�
t0 |
M. S. Paoletti, R. B. Fiorito, K. R. Sreenivasan, D. P. Lathrop
J. Phys. Soc. Jpn. 77, 111007(2008)
熱カウンター流の可視化に成功した。�
Vortex tangle
q
熱カウンター流中で水素微粒子の速度を測った。�
Upward particles
q
vn =
ρ ST
�
常
流
体
超
流
体
€
�
Downward particles
上向き粒子は vnをfollowする。
ρ
vs = − n vn
ρs
€
下向き粒子は(多分)量子渦の影響で揺
らぐその速度は vsより小さい。�