IT 予算の速報値 - 日本情報システム・ユーザー協会

プレスリリース
報道関係者各位
2015 年 1 月 15 日
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
「企業 IT 動向調査 2015」(IT 予算の速報値)を発表
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)は、IT ユーザー企業
の投資動向や IT 戦略動向などを定点観測する「企業 IT 動向調査 2015」を実施しました。
IT 戦略立案や予算策定の一助となるために、IT 予算に関する速報値を発表します。
調査対象は国内上場企業およびそれに準ずる企業です。本調査の IT 予算は、当該年度
に支出予定の金額(キャッシュベース)を基本としています。金銭的な支出を伴わない
費用(償却費等)は除外しています。なお、最終集計・分析結果は 4 月上旬に発表する
予定です。今回発表の速報値と若干のズレが生じる可能性があることをご了承ください。
調査概要は本リリース最終ページをご参照ください。
■IT 予算は微増傾向。4 割強が 2015 年度の IT 予算を前年度より増やす
過去2年間のアベノミクスによる経済政策により、経常利益が過去最高水準を記録す
るなど、経済の好循環が生まれ始めています。IT 予算にも、その影響が現れているよう
に思われます。
2015 年度の IT 予算の対前年比を調査したところ、回答企業(※調査対象は国内上場
企業およびそれに準ずる企業)の 4 割強(42.0%)は、2014 年度よりも IT 予算を「増や
す」と回答しました。「減らす」と回答した企業の割合は 2 割弱(18.2%)で前年度計
画よりも 10.3 ポイントも減少しました。
IT 予算を「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いて求めた DI(ディフュージョ
ン・インデックス)は、2015 年度予測では 23.8 でした。2014 年度計画(15.4 ポイント)
よりも大きく増加しました。IT 予算を前年度より「減らす」企業が減ったことが、DI
改善の背景にあります。
図 1●IT 予算の増減(計画ベース、前年度比)
(n=680)
15年度予測
14年度計画
0%
20%
16.9
40%
60%
25.1
29.0
10%以上増加
80%
39.7
14.9
27.6
10%未満増加
不変
-1-
11.9
13.1
10%未満減少
100%
6.3
15.4
10%以上減少
DI値
23.8
15.4
全体的には IT 予算を取り巻く環境は良いようですが、楽観視はできません。IT 予算
を「増やす」企業の内訳を見ると、「10%以上増やす」割合は前年度計画より 10 ポイン
ト以上も少ない 16.9%となりました。2015 年度は前年度よりも大規模投資案件は減少し
そうです。消費税の再増税の議論も続いており、予断は許さない状況といえます。
■売上高 1000 億円未満の中堅・中小企業での IT 投資が活発
売上高規模別に IT 予算の増減を集計した結果を図 2 に示します。すべての売上高規模
で DI がプラス(IT 予算を増やす企業が減らす企業よりも多い状況)でした。
DI が最も高かったのが売上高 100 億~1000 億円未満の層です。2015 年度予測の DI
は 29.5 ポイントで、2014 年度計画よりも 11.8 ポイント上昇しました。売上高 100 億円
未満の層も DI が 28.0 でした。中堅中小規模の企業において、IT による企業競争力強化
を積極的に推し進めようという姿勢が見て取れます。
売上高 1 兆円以上の層では、DI は 2014 年度計画のマイナス 3.4 からプラスに転じ、
2015 年度予測は 10.0 ポイントになりそうです。IT 予算を減らす企業の割合が大きく減
ったことが DI 改善の背景にあります。
図 2●売上高規模別にみた IT 予算の増減
20%
1000億円~
1兆円未満
(n=147)
15年度予測
14.3
14年度計画
6.7
10%以上増加
21.1
36.7
13.3
10%未満増加
10.0
不変
-2-
4.6
16.0
36.7
10%未満減少
8.8
14.3
10.0
16.7
10.0
10%以上減少
DI値
28.0
16.6
16.1
20.4
17.0
30.0
30.0
12.0
29.9
19.0
5.4
10.4
26.4
26.5
28.6
14年度計画
4.8
40.5
16.6
100%
7.7
41.7
25.5
29.1
14年度計画
80%
45.8
8.3
19.0
15年度予測
60%
23.2
29.2
14年度計画
15年度予測
40%
17.9
15年度予測
1兆円以上
(n=30)
100億~
1000億円未満
(n=326)
100億円未満
(n=168)
0%
29.5
17.7
11.6
12.2
10.0
-3.4
■社会インフラやサービスの DI が高い、金融も大幅改善
業種グループ別に IT 予算の増減を集計した結果を図 3 に示します。DI が最も高かっ
たのが、電気や水道、ガスといった「社会インフラ」分野です。2015 年度の DI は 42.6
ポイント。2015 年度の IT 予算を前年度よりも「増やす」と回答した企業は 6 割(59.6%)
に達しました。「サービス」分野の DI も 36.3 ポイントと高いのですが、ここには情報
通信サービス業も含まれているため底上げされている可能性があります。
IT コストの削減・適正化を進めている「金融」分野の DI は例年低くなるのですが、
今回の調査では 21.1 ポイントと大きく上昇しました。攻めの IT 投資を積極的に行おう
という姿勢に変わる転換点にあるようです。
図 3●業種別にみた IT 予算の増減
建築・土木
(n=66)
15年度予測
20%
10.6
28.8
14.1
27.3
16.8
15年度予測
24.2
15年度予測
23.4
15年度予測
12.1
23.0
31.0
10%以上増加
3.0
23.4
19.1
25.7
10.6
10.6
38.9
8.8
34.5
10%未満増加
不変
-3-
10%未満減少
7.1
6.4
18.6
10%以上減少
21.1
3.0
42.6
29.8
14.9
8.0
25.2
15.1
6.1
39.4
17.0
5.9
16.8
15.2
36.2
38.3
14年度計画
10.1
20.1
11.4
16.7
36.4
21.2
15.6
5.7
10.1
31.1
33.3
社会インフラ
(n=47)
9.1
14年度計画
14年度計画
14.4
42.9
10.9
12.6
14.1
14.4
DI値
19.6
22.8
9.4
14.8
26.4
24.4
6.1
13.6
14.8
39.7
12.6
31.1
14年度計画
10.6
26.6
23.0
29.9
14年度計画
100%
9.1
39.1
17.2
17.2
80%
28.8
22.7
14年度計画
15年度予測
60%
50.0
18.2
14年度計画
15年度予測
40%
24.2
サービス
(n=113)
金融
(n=33)
商社・流通
(n=119)
機械器具製造
(n=174)
15年度予測
素材製造
(n=128)
0%
4.4
36.3
14.1
■根強い業務効率化ニーズ、経営の「見える化」に対するニーズも高い
どういった分野に IT 予算は振り向けられるのでしょうか。「IT 投資で解決したい中期
的な経営課題」を優先度の高い 1 位から 3 位まで回答した結果を図 4 に示します。
あらかじめ用意した 15 個の選択肢の中で、群を抜いて回答が多かったのが「業務プロ
セスの効率化(省力化、業務コスト削減)」と、「迅速な業績把握、情報把握(リアルタ
イム経営)」でした。いずれも回答企業の 2 割が、IT 投資で解決したい中期的な経営課題
の 1 位として挙げました。解決したい課題として 3 位までに挙げた企業の割合は、前者(効
率化)が半数超えの 52.0%、後者(情報把握)が 41.4%でした。優先順位 1 位の経営課題
としては、上記に「営業力の強化」「グローバル化への対応」「IT 開発・運用コストの削
減」などが続きます。
図 4●IT 投資で解決したい中期的な経営課題(1 位~3 位)
0.0
10.0
業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)
20.0
22.0
11.6
10.1
営業力の強化
7.4
グローバル化への対応
8.0
5.0
IT開発・運用のコスト削減
7.8
6.4
6.5
40.0
17.4
20.4
迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)
ビジネスモデルの変革
30.0
50.0
12.6
9.4
7.8
4.3
10.2
4.4 3.9
顧客重視の経営
5.0
3.9 2.4
業務プロセスの質・精度の向上(ミス、欠品削減等)
4.4
10.6
10.0
商品・サービスの差別化・高付加価値化 3.4 3.4 3.0
社内コミュニケーションの強化 2.8
7.0
業務プロセスのスピードアップ(リードタイム短縮等) 2.7
8.7
企業としての社会的責任の履行
2.3 3.7
(セキュリティ確保、個人情報の保護等)
企業間(グループ、業界、取引先間)の情報連携 2.0
7.3
5.4
5.0 3.3
BCP(事業継続計画)の見直し 1.9 4.1
0.8
経営の透明性の確保
1.5
(内部統制、システム監査への対応等)
7.2
9.3
4.0
-4-
1位(n=1080)
2位(n=1080)
3位(n=1080)
60.0
(%)
■調査概要
「企業 IT 動向調査」は、IT ユーザー企業の IT 動向を把握することを目的に、1994 年度
から実施している調査です。経済産業省商務情報政策局の監修を受け、一般社団法人日本
情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)が行っています。
「企業 IT 動向調査 2015」の調査期間は 2014 年 10 月 28 日から 11 月 17 日。調査対象は、
東証一部上場企業とそれに準じる企業の 4000 社で、各社の IT 部門長に調査票を郵送して
回答を得ました。調査の有効回答社数は 1125 社。本リリースの IT 予算に関する有効回答
数は 680 社、IT 投資で解決したい経営課題に関する有効回答は 1080 社です。
本リリースは、調査結果をいち早くユーザー企業の皆様にお役立ていただくために「速
報値」として公開するものです。正式なデータや分析結果については、ダイジェスト版を
2015 年 4 月上旬に、詳細な分析結果を掲載した報告書は同年 5 月に発行する予定です。
■JUAS ライブラリーのご紹介
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)は、「企業 IT 動向調査」
をはじめとした様々な調査の報告書を紹介する「JUAS ライブラリー」を Web サイト上に
開設しています。有償販売している報告書についても、発売から 2 年以上が経過したもの
については無償で公開しています。
調査報告書には、日本における IT 活用の歴史と先達の経験が詰まっており、調査実施か
ら年数が経っても、今後の IT 活用の方向性を見極めるために有用であると考えました。そ
こで今回、発行から一定期間が経った報告書を公開いたしました。幅広い分野の皆様の調
査・研究に役立てていただければ幸いです。
JUAS ライブラリーの URL はこちら→
http://www.juas.or.jp/servey/library/
■本リリースに関するお問い合わせ先
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
〒103-0012
担当:各務(かがみ)
東京都中央区日本橋堀留町 2-4-3
電話:03-3249-4101
新堀留ビル
電子メール:[email protected]
-5-