2015年にブレークする 技術はこれだ!

特集
特 集
決定!
I Tインフラテクノロジー AWARD 2015
年にブレークする技術はこれだ!
2015
2015年にブレークする
技術はこれだ!
2015年にブレーク必至のテクノロジーとは何か。
の初代グランプリに輝いたのは、コン
本誌は「ITインフラテクノロジー AWARD 2015」を選出。
テナー型仮想化基盤「Docker」である。
グランプリ、準グランプリ、特別賞を発表する。
2014年6月にバージョン1.0が登場した
(池上 俊也、白井 良)
Dockerは、主要OSベンダーやクラウ
ドサービス事業者がこぞってサポート
日経BP社は2014年12月22日、ITイ
と見られる「グランプリ」と「準グラ
を表明。IT業界で今最も注目度が高
ンフラを対象とした新たなアワード
ンプリ」を選出。また、急速な普及は
い技術だ。本誌8月号のテクノロジー
「ITインフラテクノロジー AWARD」
不透明なものの、インパクトが特に強
最前線でも取り上げた。
の受賞技術・製品・サービスを選出、
い技術・製品・サービスについて「特
詳しくは後述するが、Dockerはソー
発表した。本アワードは、
クラウドサー
別賞」を選出した。
スコードを扱うようにITインフラを構
ビスやビッグデータ基盤など、ITイン
フ ラ の 急 速 な 進 歩 を 受 け、 日 経
48
初代グランプリは「Docker」
築・共有・実行できる技術である。コ
ンテナーと呼ぶ単位でITインフラを構
SYSTEMSが中心となって今後注目
では、2015年にブレーク必至の技術・
成するソフトウエア群をパッケージ化
すべき技術・製品・サービスを選出す
製品・サービスは何か。図1に挙げた
した。その手軽さや高速性などがグラ
るものだ。
のが、グランプリ、準グランプリ、特
ンプリの評価対象となった。
今回が初めての選出で、翌年企業へ
別賞の3賞だ。
準グランプリに輝いたのは、分散デー
の導入が急速に進む(ブレークする)
ITインフラテクノロジー AWARD
タ処理エンジン「Apache Spark」だ。
NIKKEI SYSTEMS 2015.1
Apache Sparkは、次世代のビッグデー
タ基盤として注目される分散データ処
理エンジンである。ディスクへの書き
込みを減らすなどして、従来の分散
グランプリ
Docker
(コンテナー型仮想化基盤)
データ処理エンジン「MapReduce」に
比べて10 ~ 100倍の性能を確保した点
が評価された。
準グランプリ
特別賞には、高速フラッシュメモ
リー「ULLtraDIMM SSD」が選ばれ
Apache Spark
(分散データ処理エンジン)
た。ULLtraDIMM SSDは、サーバー
のDIMMスロットに直接挿入できるフ
特別賞
可能なサーバーマシンが一部に限られ
ULLtraDIMM SSD
特 集
ラッシュストレージ。現段階では利用
(高速フラッシュメモリー)
さが審査員の評価を集めた。
年にブレークする技術はこれだ!
2015
ているものの、その着眼点や性能の高
1 「ITインフラテクノロジー AWARD 2015」の結果
図
なお、準グランプリに続く技術・
製 品・ サービス と し て は「Java8」
「SoftLayer」が挙がった。
ステアリングコミッティーが選出
本アワードの審査に当たっては、ま
ず日経SYSTEMS編集部で約50のノミ
ネート技術・製品・サービスを決定し、
それを基に6名から成るステアリングコ
ミッティーで議論して決定した(図2)
。
ステアリングコミッティーに参加し
たのは、石田裕三氏(野村総合研究所
上級アプリケーションエンジニア)
、漆
原 茂氏(ウルシステムズ 代表取締役
社長)
、佐藤一郎氏(国立情報学研究
2 審査会の様子
図
所 教授 アーキテクチャ科学研究系)
、
新 野 淳 一 氏(P u b l i c k e y 編 集 長/
が決定したDocker、Apache Spark、
ある。Dockerは、コンテナーと呼ぶ
Blogger in Chief)
、森 正弥氏(楽天
ULLtraDIMM SSDの選出理由を詳し
単位でDBサーバーやAPサーバーと
執行役員 楽天技術研究所 代表)―
く紹介しよう。
いったミドルウエア、フレームワーク
である(次ページの図3)
。いずれもIT
インフラへの造詣が深く、中立的な視
点も持つ。この5人に加えて、日経
ソースコードのように扱える
「Docker」
やライブラリーといったソフトウエア
をパッケージ化するほか、一連の設定
手順もファイル化した技術だ。ソース
SYSTEMS編集長の森側真一も、ステ
ステアリングコミッティーに参加し
コードを扱うようにITインフラの構
アリングコミッティーに参加した。
た審査員のほぼ全員が推薦したのが、
築・運用が可能である。また、OSを
以下では、
ステアリングコミッティー
コンテナー型仮想化基盤のDockerで
仮想化して高速に動作できる点も、大
NIKKEI SYSTEMS 2015.1
49