超音波振動を利用した噴霧ノズル

超音波振動を利用した噴霧ノズル
岡山大学自然科学研究科(工)
神田岳文
概要
塗装において低流量での噴霧を利用することは、塗膜の薄膜化とともに有機溶剤の使用量の低
減にも寄与する。従来広く利用されているエアスプレーなどの加圧気体による噴霧では、圧力を
下げることによって低流量とするため、噴霧角が広がらないという問題があった。本研究では吐出
時に超音波振動を付与することにより、低流量でも噴霧角を広げることに成功している。また、この
方法では低流量でも比較的高い粘度の流体を一様に微粒化して吐出することが出来る。
本研究では、吐出時に超音波振動を付与するために、吐出ノズルに超音波振動子により振動を
加えている。超音波振動子を使用する吐出ノズルに合わせて設計し、シミュレーションに基づいて
振動の状態を調整することにより、低流量でも効果的に一様に微粒化を行い、噴霧角を広げるこ
とが可能となった。
超音波振動の利用
液柱
ノズル
圧力
振動方向
表面波
超音波照射前
表面波振幅が臨界点
を越えると微粒化
液柱に表面波発生
ノズルとその振動方向
ノズルの振動方向
ノズル口の振動方向
ノズル口
※スプレーイングシステムスジャパン製
相当径 0.13mm
※楕円状のノズル口をねじり方向に振動させる
ねじり振動の生成
ランジュバン型ねじり振動子
圧電素子
ねじり振動子用圧電素子
変位方向
ボルト
分極方向
×8
金属ブロック
電極
分極方向
組み合わせ
噴霧デバイスの構造
振動状態の解析結果
噴霧デバイスの断面
85mm
固定部
φ24mm
ノズル
キャップ
PZT
※ランジュバン型ねじり振動子先端に噴霧ノズルを装着
※有限要素法を利用して振動状態の解析を行いデバイスを設計
噴霧状態の評価
噴霧状態
試作した噴霧デバイス
※液糸・液膜の状態と噴霧角により噴霧状態を評価
●
▲
×
液糸
液糸
噴霧角
微粒化されてない
微粒化ムラ無
微粒化ムラ有
噴霧実験の結果
水の噴霧結果
エチレングリコールの噴霧結果
流量15ml/min
流量20ml/min
26.46mPa・s 20ml/min
5.56mPa・s 20ml/min
流量25ml/min
26.46mPa・s 25ml/min
5.56mPa・s 25ml/min
50
縦振動
20
噴霧角度[deg]
噴霧角度[deg]
30
ねじり振動
10
ねじり振動
40
縦振動
30
20
10
0
0
20
40
60
駆動周波数[kHz]
80
0
0
20
40
駆動周波数[kHz]
謝辞
本研究は、以下の方々のご指導、ご協力をうけて実施しました。記して謝意を表します。
産業技術総合研究所 川崎慎一朗
岡山大学大学院自然科学研究科 鈴森康一教授、脇元修一准教授
岡山大学大学院自然科学研究科博士前期課程 岸亨、露木俊介
岡山大学工学部機械システム系学科 大藤翔輝
60
80