情報工学研究院 九州工業大学 機械情報工学研究系 准教授 鈴木 恵友 炭素ナノ 炭素ナノ微粒子 ナノ微粒子を 微粒子を用いた新規研磨材 いた新規研磨材による 新規研磨材による 難加工半導体基板( ) 難加工半導体基板(サファイヤ、 サファイヤ、SiC) の高効率研磨に 高効率研磨に関する研究 する研究 1 サファイア基板 サファイア基板の 基板の製造プロセス 製造プロセス 2 研磨装置外観 スピードコント ローラー プラテン 加工ヘッド 装置名:マルトー社製ML-160A サファイア基板 京セラ株式会社HPより引用 スラリーは半導体基板の平坦化プロセス制御の決め手 化学的作用 :スラリー中の化学成分によって化学反応層を形成 機械的作用 :スラリー中の研磨粒子により化学反応層を除去 Chemical Mechanical Polishing・・・化学機械研磨 CMPとは とは 3 ガラス 難 高 加 硬 工 度 加工学Ⅰ–除去加工– 日本機械学会著作兼発行より引用 物質硬度の比較 Al2O3 SiC ダイヤモンド 難加工材料:高硬度かつ化学的に安定 ⇓ 通常のCMPプロセスでは 高効率に加工することが困難 サファイア基板 ・・・ ダイヤモンド基板 パワー半導体;自動車分野 LED;照明・液晶分野 SiC基板 SiC基板 難加工半導体基板の加工需要の増加 半導体の適用分野の拡大に伴い、シリコン半導体だけでなく、 従来技術とその 従来技術とその問題点 とその問題点① 問題点① 4 → 被研磨近傍での基板表面改質および化学反応性向上 土肥,佐野,黒河,會田, 2014年度精密工学会春季大会学術講演会論文集 D02 ③ 革新的CMP/P-CVM融合加工法 坂本,久保田,峠, 砥粒加工学会誌,57 (2013) 518 ② SiC基板の紫外光支援研磨に関する研究 山内,佐野ら, 精密工学会誌,78 (2012) 947 ① 触媒表面基準エッチングによる単結晶SiC,GaN表面の平滑化 新規研磨手法および装置 装置 ☆新たに研究が進められている研磨手法 材料除去速度は向上せず、表面欠陥が増加 ⇒加工レートと欠陥抑制の両立が難しい ⇒材料除去速度を向上するため相対速度の増大,研磨荷重の増加 化学反応性が低く、高硬度であるため長時間の加工が必要(数日) 現状の難加工基板の加工方法:ポリウレタン製パッドを使用 従来技術とその 従来技術とその問題点 とその問題点② 問題点② 5 水酸化フラーレンのモデル フラーレンの特徴 1. 高硬度と高い反応性 高硬度 高い反応性 2. 均一な粒子径,分子直径は 約 1nm 均一な粒子径 3. 高い対称性(サッカーボール形状) 高い対称性 4. 水酸化フラーレンは親水性 親水性の分子 親水性 ・水酸化フラーレン混合スラリーのメリット 消耗品交換頻度↓ ①加工レートの 加工レートの向上 レートの向上 ⇒研磨時間の短縮化⇒ 低コスト化 ②欠陥抑制効果 ③既存の 装置にそのまま 既存のCMP装置 装置にそのまま導入可能 にそのまま導入可能⇒専用装置の開発は不要 水酸化フラーレン溶液 0.015wt% 0.020wt% 0.080wt% 水酸化フラーレン混合スラリー 新技術: 炭素ナノ微粒子を用いた新規研磨材 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 6 会合 水酸化フラーレン 付加反応 C60 1nm Diamond SiO2 水酸化フラーレン 10nm 紫外線照射 5nm カーボンナノボール 紫外線照射 ナノ微粒子の 吸着・保持 3nm〜 C60会合体 5nm 100nm サイズ Diamond SiO2 表面改質 フラーレンポリマーなど 50nm 水酸化フラーレン混合による新規炭素微粒子の作製 7 難加工基板CMPの高効率研磨を実現させるため, 水酸化フラーレンが吸着したダイヤモンド微粒子の表面改質を行った 化学反応性 7 0.3ml/min 12 Φ12 厚さ1mm 密度3.98g/cm3 スラリー流量 pH 研磨 研磨レート レート レート[[μm μm/hour] /hour] 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.025 上昇率 ダイヤモンドの粒径 ダイヤモンドの粒径[μm] 粒径[μm] 0.1 水酸化フラーレンあり 水酸化フラーレンなし 1 1.ダイヤモンドスラリーの粒径に関わらず、 水酸化フラーレンを 水酸化フラーレンを混合 フラーレンを混合することにより 混合することにより, することにより,研磨レートの 研磨レートの上昇 レートの上昇が確認された. 上昇 ウェハの仕様 0.1wt% 60min (1)0.025μm (2)0.1μm (3)1μm 60/60min-1 Suba600(溝なし) 45.9kPa(6.6psi) 水酸化フラーレン濃度 ダイヤモンドの粒径 (ロット1) ポリシングパッド 圧力 回転速度 (プラテン/ヘッド) 研磨時間 研磨条件 水酸化フラーレン混合による 研磨レートの変化 0 1 2 3 4 研磨レートの上昇率(C60有/C60無) 8 60/60min-1 60min 0.025μm 0.1μm 1μm 0.1wt% 0.3ml/min 12 回転速度 (プラテン/ヘッド) 研磨時間 ダイヤモンドの粒径 (ロット2) 水酸化フラーレンの濃度 スラリー流量 pH 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.025 0.1 ダイヤモンドの粒径 ダイヤモンドの粒径[μm] 粒径[μm] レーザー照射前 レーザー照射後 MRR上昇率 1 1.ダイヤモンドスラリーの粒径に関わらず、 水酸化フラーレンを 水酸化フラーレンを混合 フラーレンを混合することにより 混合することにより, することにより,研磨レートの 研磨レートの上昇 レートの上昇が確認された. 上昇 2.研磨レートの上昇はダイヤモンド粒径が1μmの場合が最も高かった. ⇒紫外線照射前後 紫外線照射前後で 紫外線照射前後で約69パーセントの 69パーセントの向上 パーセントの向上が確認された. 向上 Suba600(溝なし) 45.9kPa(6.6psi) 研磨条件 355nm 50kHz 270mW 60min ポリシングパッド 圧力 波長 パルス周波数 照射強度 照射時間 レーザ照射条件 研磨 研磨レート レート レート[μm/hour] [μm/hour] 0 0.5 1 1.5 2 水酸化フラーレン混合スラリーの表面改質による 材料除去レートの変化 研磨条件 研磨レートの上昇率(レーザ照射有/無) 9 0.3ml/min 12 水酸化フラーレンの濃度 スラリー流量 pH ダイヤモンドスラリー単体に紫外線を 照射しても研磨レート向上は見られない 2. 減少 増加 水酸化フラーレン混合と表面改質 による研磨レート向上効果を証明 ダイヤモンドスラリーのみに紫外線を照射した場合,ダイヤモンドの粒径が 0.025μm,0.1μm において研磨レートが減少する傾向が見られた. ダイヤモンドの粒径が1μmではレーザを照射しても研磨レートにほとんど変化しない. 0wt% ダイヤモンドの粒径 1. 0.025μm 0.1μm 1μm レーザ照射条件 波長 355nm パルス周波数 50kHz 照射強度 270mW 照射時間 60min 研磨条件 ポリシングパッド Suba600(溝なし) 圧力 45.9kPa(6.6psi) 回転速度 60/60min-1 (プラテン/ヘッド) 研磨時間 60min 研磨条件 ダイヤモンドスラリー(単体)への紫外線照射の影響 10 • サファイヤ、SiC基板に代表される難加工基板のCMP の高効率研磨を実現させるため、水酸化フラーレンが 吸着したダイヤモンド微粒子の表面改質を行った。 • 水酸化フラーレンを混合でも研磨レートの向上が確認さ れたが、紫外線照射をすることでさらなる効果が得られ た。 • ダイヤモンドスラリーの粒径0.025µm,0.1µm,1µmによ り効果に差があり、最大で3倍の効果が確認された。 • 表面改質については、水酸化フラーレンナノ粒子が、ダ イヤモンドの表面に吸着することと、紫外線によりフラー レンが結合する効果があることが確認されている(未公 開資料) まとめ 11 高硬度材料以外にも適用可能 • 金型の表面性状の改質 • 3Dプリンタによる造形後の平滑化処理 水酸化フラーレンを用いた改質技術の適用 • 研磨加工用工具の表面改質への適用 SiC, サファイア, ダイヤモンド, セラミック等・・・ 基板に合せてスラリーの粒径をカスタマイズ可能 • 高硬度、難加工基板のCMP用スラリー 想定される 想定される用途 される用途 12 • 今後、表面改質により研磨レートが向上する原 理の追究のため、実験データを取得し、砥粒の カスタマイズをする場合の条件設定を行う • 水酸化フラーレンは高価であるので、 低コスト化が必要 • 現在、本技術により加工レートの向上と欠陥の 抑制効果は実証したが、さらなる効率化が可能 実用化に 実用化に向けた課題 けた課題 13 • 半導体検査装置を開発中の企業や評価機関と の連携を希望。 • 試験的なデータをより幅広く取得するために、 難加工基板の研磨技術を持つ企業との共同研 究を希望。スラリーの試験的な導入も歓迎。 • 低コスト化については、水酸化フラーレンの回 収・リサイクル方法を確立しつつある。 • さらなる効率化については、母材粒子や表面改 質方法の工夫により克服できると考えている。 企業への 企業への期待 への期待 14 • • • • 発明の名称 :研磨材 出願番号 :特願2011-117617 出願人 :国立大学法人九州工業大学 発明者 :鈴木 恵友、木村 景一、 カチョーンルンルアン パナート 齋藤 貴志、是澤 龍哉 本技術に 本技術に関する知的財産権 する知的財産権 15 ☆その他の九州工業大学との共同研究について ⇒産学連携推進センター Web: http://www.ccr.kyutech.ac.jp/index.html E-mail: [email protected] ☆特許の取り扱いについて⇒ ⇒知的財産部門 Web: http://www.ccr.kyutech.ac.jp/f_chizai/ E-mail: [email protected] 九州工業大学 イノベーション推進機構 リサーチアドミニストレーションセンター URA助教 小川由紀子 TEL/FAX 093-884-3565 e-mail [email protected] web: http://www.kyutech.ac.jp/ura/ お問い合わせ先 わせ先 16
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