大豆の早播が豆腐の加工適性に及ぼす影響 ○緒方大輔・内川 修・森田茂樹・浦 (福岡農林試) 広幸 く,タンパク質含有率も同様の結果を示した(表 【目的】 北部九州地域における大豆の播種適期は7月 2)。このことから,タンパク質含有率が低下し 上~中旬であり,播種期から出芽期にかけての梅 たことで,豆腐の破断応力が低下した可能性が示 雨による湿害が問題となっている。播種期の湿害 唆された。 一方,フクユタカはタンパク質含有率が低い を回避する方法としては,早播栽培があげられる。 一方,大豆の形質として重要な項目の一つに豆腐 にもかかわらず破断応力が最も高くなっており 加工適性があるが,早播した場合の豆腐加工適性 (表2),タンパク質含有率以外の要因も示唆さ については知見が少ない。そこで,早播栽培が豆 れた。 腐加工適性に及ぼす影響について検討した。 表2 年次,播種期,品種・系統ごとの豆腐の破断応 力およびタンパク質含有率 【材料および方法】 本研究は 2012 年と 2013 年の2か年,福岡県農 業総合試験場内で行なった。フクユタカ,サチユ タカ,系統Aおよび系統Bの2品種・2系統を供 試し,試験構成は表1の通りとした。 表1 試験区の構成 年次 播種密度 (条間×株間) 6月13日 70cm×30cm 播種日 【早播】 2012年 【適期播】 試験規模 7月30日 70cm×15cm 【早播】 6月12日 70cm×30cm 12.6m2 /区×3反復 【晩播】 2012年 2013年 【播種期】 早播 適期播 晩播 【品種・系統】 フクユタカ サチユタカ 系統A 系統B 年次(A) 播種期(B) 品種・系統(C) A×B A×C B×C A×B×C 7月9日 70cm×20cm 10.1m2 /区×3反復 【晩播】 2013年 【適期播】 【年次】 7月9日 70cm×20cm 7月30日 70cm×15cm 破断応力 (gw/cm 2) 52.4 41.8 30.2 a 55.8 b 55.4 b 65.4 b 28.6 a 61.2 b 33.2 a 10.1m2 /区×3反復 ** ** ** ns ns ** ns タンパク質 含有率(%) 47.1 45.8 45.7 a 46.6 b 47.0 b 45.8 b 47.7 c 47.4 c 44.9 a ** ** ** ** ** ns ns 注)2本仕立てとし,中耕培土や薬剤散布などは適宜行なった。 豆腐の加工適性評価として,加熱絞り法によ り得られた豆乳に 0.25%のにがり(塩化マグネ 注1)表中の値は2か年の平均を示す。 注2)異英字間にはRyanの多重検定より5%水準で有意差があること を示す。 注3)**は分散分析により1%水準で有意差があること,nsは有意差 が無いことを示す。 シウム)を加え,固めた豆腐の破断応力をテクス チュロメーターで測定した。数値が高いほど豆腐 以上要するに,北部九州において大豆を栽培 の加工適性は優れると評価した。また,近赤外分 する場合,早播では,適期播および晩播に比べ, 析機により,大豆のタンパク質含有率を測定した。 タンパク質含有率が低下し,その結果豆腐の破断 応力が低くなる可能性が示唆された。一方で,播 種期と品種・系統間に交互作用がみられたことか 【結果および考察】 豆腐の破断応力は,年次,播種期および品種・ 系統間の違いにより有意差がみられ,また,播種 ら,播種期にかかわらず豆腐破断応力の高い品種 の育成は可能と考えられた。 期と品種・系統間には交互作用がみられた(表 2)。特に,早播は,他の播種期に比べ有意に低 ─ 31 ─ p029-045cs6.indd 31 2014/07/31 15:43:10
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