31 大豆の早播が豆腐の加工適性に及ぼす影響 緒方

大豆の早播が豆腐の加工適性に及ぼす影響
○緒方大輔・内川 修・森田茂樹・浦
(福岡農林試)
広幸
く,タンパク質含有率も同様の結果を示した(表
【目的】
北部九州地域における大豆の播種適期は7月
2)。このことから,タンパク質含有率が低下し
上~中旬であり,播種期から出芽期にかけての梅
たことで,豆腐の破断応力が低下した可能性が示
雨による湿害が問題となっている。播種期の湿害
唆された。
一方,フクユタカはタンパク質含有率が低い
を回避する方法としては,早播栽培があげられる。
一方,大豆の形質として重要な項目の一つに豆腐
にもかかわらず破断応力が最も高くなっており
加工適性があるが,早播した場合の豆腐加工適性
(表2),タンパク質含有率以外の要因も示唆さ
については知見が少ない。そこで,早播栽培が豆
れた。
腐加工適性に及ぼす影響について検討した。
表2 年次,播種期,品種・系統ごとの豆腐の破断応
力およびタンパク質含有率
【材料および方法】
本研究は 2012 年と 2013 年の2か年,福岡県農
業総合試験場内で行なった。フクユタカ,サチユ
タカ,系統Aおよび系統Bの2品種・2系統を供
試し,試験構成は表1の通りとした。
表1 試験区の構成
年次
播種密度
(条間×株間)
6月13日 70cm×30cm
播種日
【早播】
2012年 【適期播】
試験規模
7月30日 70cm×15cm
【早播】
6月12日 70cm×30cm 12.6m2 /区×3反復
【晩播】
2012年
2013年
【播種期】 早播
適期播
晩播
【品種・系統】 フクユタカ
サチユタカ
系統A
系統B
年次(A)
播種期(B)
品種・系統(C)
A×B
A×C
B×C
A×B×C
7月9日 70cm×20cm 10.1m2 /区×3反復
【晩播】
2013年 【適期播】
【年次】
7月9日 70cm×20cm
7月30日 70cm×15cm
破断応力
(gw/cm 2)
52.4
41.8
30.2 a
55.8 b
55.4 b
65.4 b
28.6 a
61.2 b
33.2 a
10.1m2 /区×3反復
**
**
**
ns
ns
**
ns
タンパク質
含有率(%)
47.1
45.8
45.7 a
46.6 b
47.0 b
45.8 b
47.7 c
47.4 c
44.9 a
**
**
**
**
**
ns
ns
注)2本仕立てとし,中耕培土や薬剤散布などは適宜行なった。
豆腐の加工適性評価として,加熱絞り法によ
り得られた豆乳に 0.25%のにがり(塩化マグネ
注1)表中の値は2か年の平均を示す。
注2)異英字間にはRyanの多重検定より5%水準で有意差があること
を示す。
注3)**は分散分析により1%水準で有意差があること,nsは有意差
が無いことを示す。
シウム)を加え,固めた豆腐の破断応力をテクス
チュロメーターで測定した。数値が高いほど豆腐
以上要するに,北部九州において大豆を栽培
の加工適性は優れると評価した。また,近赤外分
する場合,早播では,適期播および晩播に比べ,
析機により,大豆のタンパク質含有率を測定した。
タンパク質含有率が低下し,その結果豆腐の破断
応力が低くなる可能性が示唆された。一方で,播
種期と品種・系統間に交互作用がみられたことか
【結果および考察】
豆腐の破断応力は,年次,播種期および品種・
系統間の違いにより有意差がみられ,また,播種
ら,播種期にかかわらず豆腐破断応力の高い品種
の育成は可能と考えられた。
期と品種・系統間には交互作用がみられた(表
2)。特に,早播は,他の播種期に比べ有意に低
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