共通プラットフォーム 21 神戸に医薬品専用のBCP拠点を整備 「ID倉庫」のビジョンを具体化する 第 回 今秋、 大塚倉庫は神戸市北区に延べ床面積約1万坪の「西 日本ロジスティクスセンター」を稼働させる。グループの BCP(事業継続計画)拠点として運用すると同時に、医薬 品の共通プラットフォームの基地として機能させる。 「ID倉 庫」のビジョンを具体化するモデル拠点と位置付けている。 (進行役:本誌編集部) 物流拠点をショールームに ── 医 薬 品 専 用の西 日 本ロジスティクスセン ターが、2015年秋に完成します。 大 塚 倉 庫 濵 長 一 彦 社 長「アクセスが良く 地 震リスクの低い内 陸 部に、 免 震 構 造の施 設 を建 設して医 薬 品 専 用の共 同 物 流センターの せなくなる恐れがあります。 とりわけ大 塚 製 BCP拠点として利用します。それと同時に、 当社が『ID倉庫』と銘打って開発を進めて 薬工場が約 %のシェアを握っている輸液は、 いる新しい庫内オペレーションを全面的に導入 大塚倉庫 濵長一彦 代表取締役社長 で、力の出しがいがありました」 具 体 化していく過 程は非 常にクリエーティブ を強く求められていた。 それを一 緒に考えて な物 流 戦 略をお持ちで、 それに合 致する施 設 大塚倉庫さんの場合は全く違いました。明確 話ばかりになってしまうことも多いのですが、 決まっていて、 後はいかに安く造るかという りました。 倉 庫の建 設は初めからスペックが 竹中工務店 豊増史郎 常務執行役員「われ われにとって大 変にやりがいのある仕 事にな ──設計のポイントは? 置を提案して承認を受けました」 その二つの役 割を併せ持った大 規 模 施 設の設 なる拠 点を大 消 費 地に求めていましたので、 トフォームを大きく展 開していく上での核と アです。 一 方、 大 塚 倉 庫としては共 通プラッ み増して、 それを消 費 地に置くというアイデ 災した場 合に復 旧にかかる日 数 分の在 庫を積 することを提 案しました。 万が一、 工 場が被 検討するグループの全体会議で、物流でカバー それがなければ手術ができなくなってしまう、 ──BCP拠点とは? 竹 中・ 豊 増「 医 薬 品の共 通プラットフォーム して先 進モデル拠 点にします。 I D 倉 庫をお 大 塚 倉 庫・ 濵 長「 大 塚グループは医 薬 品の主 として運 用するということでしたので、 提 案 絶 対に切らすことのできない製 品ですので関 要 工 場を四 国に置いています。 そのため懸 念 に当たって医薬品に強い人材をプロジェクトメ 客さまに見ていただくショールームとしての役 されている南 海トラフ地 震が発 生して工 場が ンバー に加えて社 内で侃々諤々 の議 論を重ね 係者には強い危機感があります」 被 災したり、 本 州とのアクセスが寸 断されて ました。 倉 庫の設 計では縦の動 線をどこに置 割を持たせます。 その設 計と施 工を竹 中 工 務 しまうようなことが起きれば、 安 定 供 給とい くか、柱のスパンをどう取るかということが、 店さんにお願いしました」 う医 薬 品メーカーとしての社 会 的 責 任を果た 「 しかし、 そのために工 場を分 散するのは いかにも負 担が大きい。 そこでリスク対 策を 50 企 画 広 告 大塚倉庫 西日本ロジスティクスセンター 所在地 神戸市北区赤松台1丁目2番 (中国自動車道 神戸三田 IC 至近地) 規模 敷地面積約 4 万平方メートル、 延べ床面積約 3 万 2000 平方メートル 構造 地上 4 階建て 基礎免震構造 建物構成 1∼3階:輸液 4 階:治験薬およびピッキングエリア トラックバース 両面バース (7 台+2 台) 設備 発電機能付きガス空調(GHP/ 1∼30 度)、 LED 照明、非常用発電機(72 時間対応) など 着工・完成 2014 年 9月着工、15 年秋完成予定 オペレーションや保 管 効 率に大きく影 響して きます。 柱の位 置がたとえ センチ違っ ても るというアプローチで設 計に取り組みました。 ロー を考え、 それに合 致したハードを設 計す 「 そこでまず、 入 荷から保 管、 ピッキング、 出 荷までの作 業を最も効 率 的に処 理できるフ 1パレット置けなくなってしまう恐れがある」 大 震 災 以 降、 人を守るという観 点から建 物の かなり広 範 囲で起きたことでした。 阪 神 淡 路 物が崩れてしまって出荷できないという事態が、 建 物はそれほど被 害を受けていないのに、 荷 ──免震機能については? 成長に向け決意を示す その結果、例えば最上階の4階は多品種管理 耐 震 性の改 善が進みましたが、 3・ 以 降は 竹 中・ 豊 増「 東 日 本 大 震 災の教 訓の一つは、 を伴う、治療薬を効率的に保管するため、屋 10 て細 部を詰めていきます。 そうやって仮 説を 仮説ですので、それを大塚倉庫さんに確認し ただし、 われわれが考えたフロー はあくまで その分、 広く使えて自 由にレイアウトできる。 根を軽くすることで柱を2本ずつ飛ばしました。 のかという判 断が大 事になります。 その点で 崩れを防いで、 なおかつ経 済 性を確 保できる で性 能が変 動しますので、 どう計 画すれば荷 ました。ただし、免震装置の種類、配置など ワードの一つになり、倉庫への免震適用が進み それに加えて『荷物を守る』という言葉がキー きましたので、 解析力には自信を持っています」 検 証する中で、 また化 学 反 応のようにお互い ました」 ──かなり大規模な投資になります。 当社は独自のシミュレーションツールを開発し、 大 塚 倉 庫・ 濵 長「 トラックバースの位 置や幅 大塚倉庫・濵長「当社が工場隣接型以外の自 からプラスアルファのアイデアが出てくる。そ なども、 ちょっとした違いで作 業 効 率が全く 社センターを建設するのは実は今回が初めてな 他のどこよりも多く荷崩れの実験を繰り返して 変わってくる。感覚的には分かっていましたが、 内外にはっきりと示すつもりです」 高 1 千 億 円の実 現に向けたわれわれの決 意を して展 開することで、 当 面の目 標とする売 上 共通プラットフォームのインフラを自社施設と センター の設 置を検 討しています。 消 費 地に 並行して現在、関東地区と中部地区にも自社 共 同 物 流センター を構 築します。 また関 西と 供給を効 率 的に実 行するため、 消 費 地に近い 品で培ってきたノウハウを外部へ提供し、安定 のです。 しかし現 在は、 大 塚グループの医 薬 れを設 計に反 映させるという作 業を繰り返し 11 竹中さんのシミュレーション結果を見て、あら ためて驚かされました」 竹中工務店 豊増史郎 常務執 行役員
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