Case Case000 157 最新事例:社会・公共ソリューション 社会福祉法人 敬世会 訪問看護・介護サービスをITで改革 ケアの充実へ業務の生産性向上を実現 NSSOLの支援で現場のノウハウを「Careluxl」に結実 背景 ソリューション 成果 訪問看護・介護サービスの業 務生 産 性を高め、利用者へのケアを充実させ る。現場スタッフの移動や記録書作成 作業を減らしてケアの時間を増やすと ともに、事務所における請求などの業 務をスピードアップしたいと考えた。 文書の電子化・標準化により、現場ス タッフがタブレットで外出先から安全に 利用者情報の参照や、記録書の作成 を行えるようにする。 事務所では、 スタッ フ自動割 付、請求システムとのデータ 連携などで業務を効率化する。 現場スタッフが事務所に寄らず 直行・ 直帰できるようになり、1日の訪問可能 件数が2倍に増加。より多くの利用者、 より広い地域へ看護・介護が提供可 能になった。事務所の請求関連事務に 要する日数も大幅に短縮されている。 社会福祉法人 敬世会 常務理事 永井 智恵子氏 社会福祉法人 敬世会 草薙 貴光氏 訪問看護・介護サービスの改革へITの活用を検討 26 Key to Success 2014 Winter 者の状態やケアの内容が記録できる ように、現場スタッフと深夜まで議論 敬世会が訪問看護・介護サービス パートナーとしてNSSOLを選定する。 して記録フォーマットを決めたのです 事業者支援システム「Careluxl」 を導 「NSSOLは、訪問看護・介護の課題 が、NSSOLはそれを見事に電子化し 入した背景には、長年の課題を抜本的 を解決しようという志を共有できる会 てくれました」 と永井氏は評価する。 に解決したいという思いがあった。 社です。より良いものを一緒に作って 事 務 所 の業務 の生産性向上では 常務理事の永井智恵子氏は「訪問 いこうという熱意を持ち、私たちの要 NSSOLの技術力がカギとなった。 看護や介護サービスの業務内容をじっ 望をシステムにする高い提案力・技術 草薙氏は「Careluxlでは、利用者と くり考えたときに、スタッフが利用者 力を備えていると感じました」と永井 現場スタッフのスケジュールを入力す のご自宅と事務所を往復する時間や 氏は語る。 ると瞬時に割り付けが行われ、 管理者・ 責任者または事務スタッフが微調整す 記録書を作成する時間などが長すぎ がりました。本来の看護・介護へより 敬世会とNSSOLのノウハウを結集 完成度の高いシステムを構築 な技術が盛り込まれています」 と語る。 するとともに、訪問看護・介護の地域拠点となる事務所を県内に展開して、24時間 多くの時間を割くには、ITで業務を改 プロジェクトが始まるとNSSOLは、 敬世会はこれからも訪問看護・介護 365日、 自宅でも施設と同じ水準のケアを利用者が受けられるようにしている。 革し、生産性を飛躍的に高めることが 要件を敬世会からヒアリングしながら、 の 充 実 に 邁 進して いく。永 井 氏 は 同会がITの活用を検討したのは2010年ごろである。訪問看護・介護では、本来の 不可欠だと感じていました」 と語る。 必要な機能を設計・実装していった。 「Careluxlを活用することで、より多く ケアのほかにスタッフの移動や付随業務に時間がかかるという課題がある。利用者の 訪問看護・介護の現場には特有の ハードルは高かったがNSSOLは完成 の幅広い地域の利用者に、より充実し 基本情報が持ち出せないため、事務所に寄ってメモをとる、ケアの後は記録書を作成し 課題がある。 度の高いシステムを構築したという。 た看護・介護が提供できるようになり て事務所へ提出するなどである。事務所でも、多数の利用者の希望日時と現場スタッフ 「利用者の基本情報をまとめたカル 「N S SOLからはいつも適切な質問 ました。今後もNSSOLとはこれまで の割り付け (スケジュール調整) や、記録文書の管理、請求業務の煩雑さに悩んでいた。 テは、 事務所の外へ持ち出せないので、 がくるため、私たちも訪問看護・介護 と変わらない、おつきあいをお願いし 現場スタッフは記録を参照するため事 の業務を体系的に整理することがで たいと思います」 と述べる。 「信頼できる医療と心温まる介護のネットワーク」 を目指して1997年に設立された社 ることが大きな課題として浮かび上 会福祉法人敬世会。香川県を中心に特別養護老人ホームや介護老人保健施設を運営 NSSOLの独自技術を盛り込みシステムを開発 社会福祉法人 敬世会 所在地:香川県坂出市川津町1986番地8 設立:1997年 事業内容:社会福祉事業(訪問看護・介護、特別養 護老人ホーム・介護老人保健施設運営) きました。また、最小限の操作で利用 Key to Success れば済みます。情報漏洩対策でも高度 務所へ立ち寄る必要がありました。現 敬世会は課題解決に向け、新システムの開発を決断。ITパートナーとして、新日鉄住 場スタッフは記録を見てメモをとるの 金ソリューションズ(以下、NSSOL) を選定する。NSSOLは要件を整理し、紙で記録・ ですが、時間も限られており内容が不 保管していた基本情報を電子化・標準化して一元管理する仕組みをベースに、 現場スタッ 十分になりがちです。看護・介護内容 フが事務所の外でもタブレットで簡単かつ安全に基本情報の参照と看護・介護記録 の記録も手書きで、担当者ごとにまと の作成ができるシステムを開発。事務所の業務についても、 既存システムとの連携でデー め方が違っていました」 (永井氏) タ入力作業を不要にしたほか、鉄鋼の生産計画策定で培った最適化技術を応用したス 事務をとりまとめる草薙貴光氏は タッフ自動割付機能で、利用者とスタッフの相性までを考慮した割り付けを実現した。セ 「事務所では利用者の指定日時などに キュリティも万全だ。利用者の基本情報には、登録したタブレットにUSBキーを差し込 基づき、スタッフを割り付けるのです んだ状態でしかアクセスできないうえ、タブレットには情報が残らないようになっている。 が、人数が多く条件が複雑なため、2〜 ■敬世会が導入した訪問看護・介護サービス事業者支援システム「Careluxl」 訪問活動実施 既存 ケアマネシステム 訪問計画 作業 訪問記録 作成作業 既存 請求システム モニタリング 作業 Careluxl対象範囲 サービス提供票 現場 (タブレット) 請求データ 訪問記録入力 3日先までが精一杯でした。また、既存 訪問件数は2倍に、請求事務の日数が短縮され、就労機会も拡大 システムの情報を紙に印刷したり、手 新システム「Careluxl(ケアラクスル)」 は2014年4月から本格稼働を開始しており、 書きの看護・介護記録を基に、別のシ 成果は既に出ている。訪問看護・介護の現場スタッフは、強固なセキュリティを持つタブ ステムへデータを手入力する作業があ レットを活用することで、利用者宅との間の移動に際して直行・直帰が可能になり、1日 り、毎月請求を終えるまでに何日もか 当たりの訪問可能件数が2倍に増加した。繁忙期においてもスタッフを確実に割り付け かっていました」 と振り返る。 られるようになり、訪問先としてカバーする地域も広がっている。 こうした課題はどの訪問看護・介護 事務所では、紙文書の管理や入力作業が減るなどで業務が大幅にスピードアップし サービスにも共通するものだが、対応 た。特に請求関連事務に要する日数は大幅に短縮されている。また、スタッフ自動割付 できるパッケージソフトウエアは存在 機能により、2〜3日分が限度だった現場スタッフの割り付けは1週間分が実施可能に しなかった。さまざまな検討を経て、 なった。非常勤スタッフの割り付けも容易なため、就労機会の拡大にも貢献している。 敬世会は新システムの開発を決断。IT 利用者・職員データ 訪問計画・実績データ 文書ファイル など 事務所 (PC) 訪問スケジュール 策定 文書管理 システム 訪問計画・実績 確認・承認 ■コアテクノロジー スタッフ自動割付、最適化システム、データ自動連携、USBキー認証、Windowsタブレット ■システム概要 ●サーバー:3台(WindowsおよびLinux) ●事務所用および現場タブレット用アプリケーション:Careluxl Key to Success 2014 Winter 27
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