環境負荷低減活動 ものづくりと環境負荷 小糸製作所では、自動車照明器を中心に、より安全で快適な製品を提供するための生産活動を行っています。 しかしながら、ものづくりにおいては材料・エネルギーなどの資源を消費し、また大気や水域への環境負荷物質の 排出や廃棄物の発生を伴います。 小糸製作所は、ものづくりにおける環境負荷を低減するため、省エネルギー、化学物質削減、廃棄物量低減など の取り組みを展開しています。 また、製品のライフサイクルにおける総合的な視点により、環境負荷低減施策を推進し、地球環境、地域社会との 共存に努めています。 下の図は、ものづくりにおけるそれらの投入量と排出量の全体像を示したものです。 2013年度 実績 排出量 投入量 製品 原材料 製 造 樹脂材料 : 38,429t 有機溶剤 塗料類 : 1,519t PRTR届出対象 化学物質 : 559.5t ヘッドランプ リアコンビネーションランプ 標識灯 他 部品加工 (樹脂成形・塗装・蒸着) 組 立 大気への 排出 CO2 : 62.0千t PRTR届出対象 化学物質: 166.0 t エネルギー 製品梱包 電力 : 108,437 千kWh 都市ガス: 3,348 千m3 2,367 t LPG : 334 kl 重油 : 水域への 排出 再原料化 排 水 : 347千t (下水道排水量及び 排水処理場排水量) 樹脂材: 436 t 廃棄物 水 社外再資源化 熱利用 : 5,997 t 市 水 : 282千t 工業用水 : 702千t PRTR届出対象 化学物質: 13.4 t 小糸製作所 環境報告書2014 7 環境に配慮した製品 小糸製作所は、環境への影響度が大きい「資源枯渇」、「地球温暖化」、「環境汚染」に着目し、持続可能な循環型 社会に向け取り組みを行っています。 製品の開発・設計においては、自動車燃費向上とCO2削減のため「省電力化」と「軽量化」を強力に推進し、 また「環境負荷物質の低減」に早くから着手して、人と地球にやさしい製品の開発と提供に努めています。 省電力化 LEDヘッドランプ ハイブリッド車、電気自動車など環境対応車では、バッテリー負荷低減のため省電力化がますます重要となります。 当社は省電力化を強力に推進するため、他社に先駆けランプ光源のLED化に取り組んで参りました。 LEDヘッドランプはディスチャージヘッドランプの約40%の省電力となり、バッテリーの負荷低減に寄与します。 当社は白色LEDを使用したLEDヘッドランプを2007年5月世界で初めて量産化し、現在までに高級車から小型車、 軽自動車まで様々な車種にLEDヘッドランプが装着されています。 今後白色LEDの性能向上にあわせ、更なる省電力LEDヘッドランプを開発して参ります。 消費電力(W/台) LEDヘッドランプ(ロービーム)の省電力化 LED光束 ハロゲン 110W 世界初量産化 LEDヘッドランプの 消費電力 5灯式 100W/台 ディス チャージ 90W LED性能 LEXUS LS600h 3灯式 66W/台 第5世代 第4世代 TOYOTA PRIUSα 1灯式 20W/台 第3世代 日産スカイライン ほか 2灯式 52W/台 TOYOTA PRIUSα ほか 第1世代 1灯式 44W/台 第2世代 ダイハツ ムーヴカスタム ほか 2007 2009 2011 2013 2014 2016・・・(年) LED標識灯 LED標識灯消費電力 (w/台) (自動車1台当たり) 100 標識灯は従来より白熱電球が使われておりましたが、 LEDはこの白熱電球に比べて、小型、省電力、長寿命 のため、ランプの小型化、軽量化、省電力化が図れ、 自動車の燃費向上、CO2削減に貢献できます。 消費電力▲90% 50 0 小糸製作所 環境報告書2014 LED標識灯の採用率 (%) 50 8 白熱電球 LED 0 02年度 13年度 小型化・軽量化 当社は開発、設計、生産技術、調達が一体となり、部品点数削減、樹脂化等により製品の小型化・軽量化に取り組み、 車両の燃費効率向上に貢献しています。 ヘッドランプ部品の小型化・軽量化 〔2機能アクチュエータ〕 車の安全性向上のために内蔵している異なる機能を持つアクチュエータを統合し、1つで2機能のアクチュエータを 世界で初めて開発・量産し、小型・軽量化を図りました。 レベリングアクチュエータ 車体前後の傾きに対し、 光軸を上下に動かす アクチュエータ質量 統合 ▲50% スイブルアクチュエータ ハンドルの舵角に応じて 光軸を左右に動かす 2機能統合アクチュエータ 光軸を上下/左右に動かす 従来品 開発品 〔次世代LEDヘッドランプユニット〕 ロービーム/ハイビーム切替 LED1灯式ユニット(量産化世界初) 光学技術と小型※LDMの開発によりLEDユニットを2灯から1灯とし、大幅な小型・軽量化を実現しました。 【従来品】 【開発品】 ・LED2灯式ユニット ・LDM別体 ロービーム用 LEDユニット ユニット質量 ・LED1灯式ユニット ・LDM内蔵 ハイビーム用 LEDユニット ▲60% ロービーム用 LDM ハイビーム用 LDM 従来品 開発品 ※LDM:LEDドライバーモジュール LEDの点灯制御 環境負荷物質の削減 当社は1998年より、いち早く環境負荷物質の削減に取り組み、1999年には電球(ガラス)の鉛フリー電線に切り替えを 実施、その他メッキ部品の六価クロムフリー化、LEDの砒素全廃、ディスチャージバルブの水銀フリー化等、積極的に 推進してきました。 ディスチャージバルブには、放電灯である蛍光灯等と同様に極微量ながら環境負荷物質の水銀が含まれていました。 当社は関係メーカーと共同研究を進め、従来と同等性能の水銀フリーディスチャージバルブと、水銀フリーに対応した 小型・軽量の点灯装置(バラスト)を世界で初めて開発し、2004年から量産しています。 これにより、小型車や大衆車にも採用が拡大するなど普及が進み、夜間走行の安全性向上につながっていること、 更に、この開発により世界的に環境負荷物質規制が進展し環境保全に寄与したことなどが評価され、文部科学省より 「平成25年度科学技術賞(開発部門)」を受賞しました。 小糸製作所 環境報告書2014 9 環境に配慮した生産 小糸製作所の各生産拠点では、 「地球温暖化防止」、「環境負荷物質の低減」、「資源循環」の3つを最重要課題と 位置付け、「人と地球にやさしいものづくり」に取り組んでいます。 地球温暖化対策 地球温暖化防止対策として、省エネルギーや生産効率の向上 CO2排出量・CO2原単位の推移 など、エネルギーロスの低減に取り組み、CO 2 排出量低減を推進 80 しています。 60 2013年度から2015年度の3ヵ年計画において、2015年度までの 40 削減目標は生産金額あたりのCO2排出量(CO2原単位) 20 2012年度比△4%設定しています。 2013年度は生産量増加の中、 0 排出量を前年同等に抑制し、2012年度比△1.3%、低減目標を 達成しました。 CO 2 排出量 低減の活動として、重油燃料からCO 2 排出割合の CO2原単位(t-CO2/百万円)※2 62.0 0.4 0.33 排出量(千t) ※1 0.2 0 '08 '09 '10 '11 '12 '13年度 ※1電気は電気事業連合会の受電端07年度CO2排出係数、 都市ガス・LPG・重灯油は省エネ法・温対法に基づく係数を 使用し、静岡・榛原・相良工場のCO2排出を算定。 日本自動車部品工業会より示される目標管理のための 電気排出係数が13年度変更されたため、表記全ての年度 において数値を昨年度までと変更しております。 ※2 生産金額(百万円)あたりのCO2排出量(t-CO2) 少 な い 電 気 ・ ガ スへの転換を進めてきました。 エネルギー転換(構成比の変化) 2013年度 2000年度 2013年現在、エネルギー構成比率が最も高い(約8割)電気の 低減に重点を置き、CO2排出量の更なる低減に取り組んでいます。 (t - C O 2 / 百万円) (千t - CO 2 ) 重油等 10% 都市ガス 10% LPG 15% 都市ガス 11.3% LPG 8.8% 電気 65% 重油等 1.0% 電気 78.9% 電力削減活動 電力削減活動として、使用量の多い生産工程では、 工法改善や設備改善、設備更新等による電力削減を 進めています。 バネ使用のシュータによる電力使用量削減 文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞) 空箱投入 2013年度は、従来からのサイクル短縮等の工法改善、 高効率なトランスやエアーコンプレッサーへの更新等の ほか非稼働時の自動電源停止や生産関連の表示灯、 照明のLED化にも取り組みました。 完成品 また、事務所等間接部門においても、空調温度設定や 運転時間管理の徹底、節電パトロールなど、電力使用 の見直し、適正化を継続して実施しています。 駆動源とエネルギー エアーシリンダー⇒エアー ⇒コンプレッサー⇒電気 バネ(バランサー) △ 24kwh/年 小糸製作所 環境報告書2014 10 環境負荷物質の管理と低減 生産において使用される塗料、薬品等の原材料や副資材には、環境負荷の原因となる化学物質が含まれているもの があります。これら環境負荷物質に対し、取扱量、排出量の管理強化、更に使用効率向上や代替化などの低減活動 を進めています。 2013年度PRTR法※1対象物質の排出・移動量 PRTR法対象物質の管理 166.0t 2013年度のPRTR法届出対象物質(第1種指定物質)は トルエン、スチレン等の8物質で、これらの物質の取扱量は 559.5t/年、大気排出及び廃棄物等移動量は179.4t/年と なっています。 大気排出量 ※1 PRTR法: 特定化学物質の環境への 排出量の把握等及び管理 の改善の促進に関する法律 取扱量 13.4t 559.5t VOC(揮発性有機化合物)の削減 廃棄物等 移動量 水域 0t 当 社 の V O C 排 出 量 は (社)日本自動車部品工業会の VOC 排出量と排出量原単位推移 排出量原単位 「環境自主行動計画」と整合させ、目標を「2015年までに 排出量(t) (kg/百万円) 環境負荷物質 1 , 1 1 5 2 6 . 9 低減WG設置 VOC排出量を2000年度比30%低減」に設定。 30 非揮発性洗浄剤 への切替え 低減活動の結果、2013年度VOC排出量は2000年度比 1,000 66.9%低減となりました。又、VOC排出量原単位※2も前年 20 770 度比2.1%低減しています。 19.1 14.0 17.3 15.6 なお、有害大気汚染物質3物質 ※3 は2003年3月全廃を 500 14.3 排出量 506 456 7 8 1 10 達成以降、使用実績はありません。 399 383 369 ※2 生産金額あたりのVOC排出量 ※3 有害大気汚染物質:ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン 0 '00 '08 '09 '10 '11 '12 '13 0 '15 年度 資源循環 当社は全工場から出る排出物(廃棄物、有価物、再生物)のムダのない資源循環に努めています。廃棄物について は、生産での効率的資源活用の指標として、廃棄物原単位を設定し低減に取り組んでいます。また、2002年に全工場 のゼロエミッション※4達成後は、樹脂類を中心とした再資源化を推進しています。 ※4 ゼロエミッション:工場から排出される不要物(排出物)の内、直接埋立処理される廃棄物がゼロの状態 再資源化の推進 2012年度迄に再資源化率※5 95%以上という独自目標を設定し、再資源化向上(熱利用排出物低減)に取り組んで きました。 2013年度は再資源化量6,118t/年(a+b)であり、継続して再資源化率95%を維持出来ています。 (%) 工場排出物量(13年度) 再資源化 工場排出物の再資源化率 100 (マテリアルリサイクル) 社内再資源化 (マテリアルリサイクル) a 436t b 5,682t 社外 排出物 95 目標 実績 80 熱利用 (サーマルリサイクル) 工場排出物の排出量と廃棄物原単位低減活動 2013年度工場排出物の排出量は6,433t、この内、 廃棄物※6として処理した量は3,000tでした。 継 続 的 に 取 り 組 ん で き た 樹 脂 の不良ロス低減活動等 により、廃棄物原単位(生産高当り廃棄物量)は、 1.59t/億円、基準年度(2008年度)比△12%となりました。 ※5 再資源化率:(a+b)/(a+b+c) 60 '02 c 315t 95 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 年度 工場排出物量と廃棄物量(原単位) (t) ■ 排出物 ■ 廃棄物 ● 廃棄物原単位 8,000 6,000 4,000 2,000 0 (t/億円) 2 1.59 6,433 '08 '09 '10 '11 '12 0 '13 年度 ※6 廃棄物:処理費が発生し、処理業者へ処理委託している排出物量 小糸製作所 環境報告書2014 11 1 3,000 環境に配慮した物流 小糸製作所の物流は、製品をお客さまへお届けする製品納入物流と工場間の部品物流が大半を占め、トラック輸送 が中心です。この製品・部品の運搬は、主に関係会社のコイト運輸が担っています。 コイト運輸は2004年2月グリーン経営認証を取得、小糸製作所と連携し輸送事業の環境貢献型経営を目指し、 トラック輸送時のエネルギー削減、CO2削減、及び物流過程で排出する廃棄物低減を重点に環境負荷低減に努めて います。 物流のエネルギー削減、CO2削減 小糸製作所の物流全体のCO 2 排出量は、 2006年4月に施行された改正省エネルギー 法に基づいた算出方法にて算定しています。 (千t-CO2/年) 15 物流CO2排出量、エネルギー原単位の推移 CO2排出量 (kl/億円) 11.7 2 10 2013年度はCO 2 排出量11.7(千t)と、輸送量 1.79 エネルギー原単位 の増加や、輸送中継地点変更等の影響に 1 5 より前年度より増加しており、エネルギー 原単位 ※ 1 1. 79(kl/億円) も前年度比微増と 0 0 なっています。今後、更なる低減に努めて '07 '08 '09 '10 '11 '12 13年度 まいります。 ※1 エネルギー原単位(kl/億円):売上高(億円)あたりの物流エネルギー使用量(原油換算kl) 輸送時のエネルギー削減改善方法として、輸送ルート集約化による走行距離 の短縮、低床車の切替促進による積載効率の向上に努めてきました。これら 取り組みにより輸送効率は高まるものの、通常はトラック1台当りの燃費は 悪化する傾向にあります。そのため従来のエコドライブを更に進化する為、 デジタルタコグラフやドライブレコーダーの映像を活用し、アイドリングストップ の徹底とともに、エコドライブ/優良運転方法の共有化を図っています。 その結果、平均燃費は5.40km/Lに改善され、燃費としては業界最高水準を 維持しています。 コイト運輸(株)はこれらの取り組みが評価され、「平成26年度環境大臣表彰」 環境大臣賞表彰式 を受けました。 グリーン調達/グリーン購入 小糸製作所では、部品・材料のグリーン調達、事務用品等のグリーン購入に 努め、循環型社会構築に向けた取り組みを推進しています。 調達先を対象に、調達方針説明会、及び月々仕入先情報連絡会を開催、 環境関連法令の遵守や環境負荷物質規制への理解を深めています。 欧州廃車指令による環境負荷4物質(六価クロム・カドミウム・鉛・水銀)の 規制に対しては、調達先との相互協力により切替えを完了しています。 また、部品等に含まれる環境負荷物質については、環境負荷物質管理 データベースを構築し、管理の強化を図っています。 小糸製作所 環境報告書2014 12 調達方針説明会
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