アスリートスタイルトレーニングの 有効性の検討 (株)アークアスリート 樋口彰美、森口直知 国際武道大学 山本利春、笠原政志 慶應義塾大学ラグビー部 太田千尋 背景 ストレングストレーニングのメゾサイクル 1 例1 TR期 2 3 4 5 オフ・シーズン 休養 筋肥大 筋力強化 6 7 8 9 プレ・シーズン パワー強化 10 11 12 イン・シーズン ピリオダイゼーションの比較 1 例1 2 休養 TR期 例3 TR期 4 5 筋肥大 休養 6 オフ・シーズン TR期 例2 3 筋力 オフ・シーズン プレ・シーズン 筋肥大 筋力 7 8 9 10 プレ・シーズン パワー イン・シーズン パワー 年間通して試合がある場合 11 12 イン・シーズン トレーニング環境の理想と現実 アスリートの指導を重ねる中で“時間的”、“設備的 側面”での制限を強く感じていた。理想的なプログラ ム、ピリオダイゼーションが導入できない現場が多い。 多くのアスリートやチームは、短時間、短期間のト レーニング環境の中で、効率的且つ効果的なトレー ニング方法を模索している。 アスリートスタイルトレーニングの基本コンセプト より効率的にトレーニング効果を求めるならば、 競技動作時における様々な条件と合致させるべきである。 ・競技動作は主に全身運動であり、パーツの運動ではない。 ・競技動作は主に自立支持であり、座位や臥位ではない。 ・競技動作は、適切な動きを自らの調整能力で導き出すため、 筋力を鍛える際に考案された軌道に沿うものではない。 自立支持(スタンディングポジション) 方向性に合致した筋・関節の連動・協働を伴う全身運動 アスリートスタイルトレーニングの基本コンセプト http://www.you-plaza.com/ 本研究の目的 本研究は、アスリートスタイルトレーニ ング(以下、AST)の実施がパフォー マンスに及ぼす影響を検討することを目 的とする。 方法 ■対象 健常な男子体育大生14名(年齢:19.1±1.4歳、身長:171.6±3.9cm、体重:64.5±7.0kg) 以上をAST群7名、非AST群7名とした。 ■トレーニング設定 【トレーニング目的】 MBスロー投擲距離の向上 【1セッションのトレーニング時間】 30分 【トレーニング頻度】 2回/週 【期間】 4週間 ■測定項目 各種MBスロー投擲距離、各動作の筋活動 ■比較検討 AST群と非AST群におけるトレーニング効果の比較 各種メディシンボールスロー測定 MBサイドスロー(右)1kg・2kg MBサイドスロー(左)1kg・2kg MBチェストスロー1kg・2kg MBワンハンドスロー(利き手のみ)1kg・2kg トレーニングプログラム(非AST) ベンチプレス ツイストシットアップ レッグプレス ダンベル ワンハンドローイング トレーニングプログラム(AST) ケーブルプッシュ リフトアップ バーベルトルソーローテーション BODS トレーニングプロトコル AST群 非AST群 ケーブルプッシュ(10RM×3sets) ベンチプレス(10RM×3sets) ⇓ 1set目を開始した2分後に2set目を開始(以降 同じ)。合計3sets ⇓ バーベルトルソーローテーション(20RM×3sets) ツイストシットアップ(20RM×3sets) ⇓ 1set目を開始した2分後に2set目を開始(以降 同じ)。合計3sets ⇓ リフトアップ(10RM×3sets) レッグプレス(10RM×3sets) ⇓ 1set目を開始した2分後に2set目を開始(以降 同じ)。合計3sets ⇓ BODS右(10RM×3sets) ワンハンドローイング右(10RM×3sets) ⇓ 1set目を開始した2分後に2set目を開始(以降 同じ)。合計3sets ⇓ BODS左(10RM×3sets) ワンハンドローイング左(10RM×3sets) 1set目を開始した2分後に2set目を開始(以降 同じ)。合計3sets ※ 負荷強度はRM法を用いる。 各MBスローパフォーマンス上昇率 各MBパフォーマンスを総合的にみた上昇率 考察 ASTの動き MBスローの動き 動作的類似性も高く、“自立支持”・“出力方向への全身運動” を繰り返して行うことでトレーニング効果が得られ、パフォーマン スがより向上したと推察される AST実施時の筋活動 Pre測定 Post測定 外側広筋 外側広筋 広背筋 広背筋 外腹斜筋 外腹斜筋 外側広筋 広背筋 外腹斜筋 外側広筋 広背筋 外腹斜筋 AST実施時の筋活動 Pre測定 Post測定 外側広筋 外側広筋 広背筋 広背筋 外腹斜筋 外腹斜筋 MBスロー実施時の筋活動 Pre測定 Post測定 外側広筋 外側広筋 広背筋 広背筋 外腹斜筋 外腹斜筋 外側広筋 広背筋 外腹斜筋 外側広筋 広背筋 外腹斜筋 MBスロー実施時の筋活動 Pre測定 Post測定 外側広筋 外側広筋 広背筋 広背筋 外腹斜筋 外腹斜筋 まとめ MBスローパフォーマンスの測定結果を総合した上昇率は、 AST群は非AST群に比べ有意に高い結果を示した。 この結果はAST前後においてAST実施時やMBスロー時の筋活 動が改善される傾向が見られたことが影響していると推察 される。 したがって、ASTのコンセプトである出力方向に合致した 全身運動・自立支持、及び動作的類似性が今回のMBスロー パフォーマンスに有効に働いたのではないかと考えられる。 現場への提言 本研究より、時間的制限や環境的制限があり、より 短時間、短期間のトレーニングでパフォーマンス向上 を目的とした場合、自立支持、出力方向に合致した 全身運動というコンセプトからなるASTを実施すること で、効率的に運動パフォーマンスを向上させる事が できるだろう。
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