発電所の運転・建設年報 平成23年度

Ⅱ.運転および建設状況
1.敦賀発電所1号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・沸騰水型(BWR)
定格電気出力
:
35.7 万 kW(当初 33.1 万 kW、昭和 42 年 12 月から出力増加)
(1)概
要
平成 23 年1月 26 日から第 33 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、原子炉再循環系配管取替工事、原子炉格納容器電気ペ
ネトレーション取替工事などを、設備保全対策として、給水・復水系等の配管肉厚検査を実施して
いる。
当初の計画では、平成 24 年2月下旬に調整運転を開始、3月下旬に定期検査を終了する予定で
あったが、福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全対策を実施するため、定期検査期間を延長し
た。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、0%であった。
(2)運転状況(敦賀発電所1号機)
a.運転パターン
定格電気出力
35.7 万 kW
① 第33回定期検査
最大発電電力 0MW(最大熱出力 0MW)
100
電
気
① 第33回定期検査(H23.1.26 ~ )
出
3
50
力
(%)
0
平成23 年
平成24 年
平成23 年度
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 33 回定期検査
1)燃料集合体全数 308 体のうち、40 体(全て新燃料集合体で9×9燃料集
合体)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震裕度を一層向上させるため、格納容器冷却系等の配管サ
ポートやケーブルトレイを強化する。
・所内変圧器取替工事
所内変圧器のコイル絶縁性能が経年劣化の傾向にあることから、予防保
全として所内変圧器を新品に取り替える。
・原子炉再循環系配管取替工事
原子炉再循環系配管について、応力腐食割れに対する予防保全の観点か
ら、耐食性に優れた材料に取り替える。また、この取替え時の作業性を
23. 1.26
①
~
未定
考慮し、原子炉再循環系につながる原子炉停止時冷却系および非常用復
水器系の配管の一部、および原子炉再循環ポンプの延長ノズルについて
も取り替える。
・主復水器伝熱管修繕工事
復水器伝熱管からの海水漏えいを防止するため、伝熱管の肉厚測定を行
い、減肉が大きい伝熱管を取り替える。
・原子炉格納容器電気ペネトレーション取替工事
電気ケーブルが通っている原子炉格納容器の貫通部(電気ペネトレーシ
ョン)について、気密性を保つ樹脂の経年劣化に対する予防保全として
電気ペネトレーションを新品に取り替える。
・バイタル電源用無停電電源装置取替工事
給水制御系等の主要な制御系設備に電源を供給しているバイタル電源用
無停電電源装置の電子部品が製造中止となったことから、今後の保守性
を考慮し、最新設計のものに取り替える。
・プロセス計算機等取替工事
プラント運転データの監視を行うプロセス計算機や原子炉手動制御系制
御装置、移動式炉心内較正装置、警報装置の電子部品が製造中止となっ
たことから、今後の保守性を考慮し、最新設計のものに取り替える。
期
間
概
要
・原子炉圧力容器等の供用期間中検査
供用期間中検査として、原子炉圧力容器溶接部の超音波探傷検査、原子
炉再循環ポンプBのケーシング内面等の目視検査、原子炉再循環ポンプ
3台のケーシング溶接部*1の浸透探傷検査、原子炉再循環ポンプC入口
弁の内面等の目視検査を行い健全性を確認する。
*1:今定期検査で行う原子炉再循環系配管の取替範囲を検討していた際に、原子炉再循環ポンプ
のケーシングに溶接箇所が存在する可能性が認められたため、湿分分離器ドレンタンクフラ
ンジ部からの漏えいに伴う停止中(平成22年6月10日~7月30日)に現場調査を行った。そ
の結果、溶接箇所が確認されたため、浸透探傷検査を行い、健全性を確認した。溶接箇所は
供用期間中検査の対象であることから、今回の定期検査から供用期間中検査の計画に反映し
て点検を実施していくこととした。
3)設備の保全対策
・給水・復水系等の配管肉厚検査
日本原子力発電㈱が定めた配管肉厚管理点検計画に基づき、給水・復水
23. 1.26
系等の配管 298 箇所について、超音波検査(肉厚測定)等を実施する。ま
た、過去の点検で減肉が認められる部位 47 箇所を炭素鋼または耐食性に
①
~
優れた低合金鋼の配管に取り替える。
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
未定
非常用炉心スプレイ系統や格納容器スプレイリングの健全性確認、使用済
燃料池冷却系統ポンプの分解点検および非常用電源に接続した使用済燃料
貯蔵池水位監視カメラの設置等を行う。
5)定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
①海水戻り配管からの海水漏れに伴う非常用ディーゼル発電機(A)の待機
除外(H23.09.27)
6)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
平成 23 年1月 26 日
1月 26 日
0 時 00 分:発電停止
5 時 22 分:原子炉停止
2.敦賀発電所2号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
116.0 万 kW
(1)概
要
定格熱出力一定運転中の平成 23 年5月2日、定例の1次冷却材中のヨウ素濃度および希ガス濃
度の測定の結果、前回の測定値を上回る値が確認された。このため、燃料集合体から漏えいが発生
した疑いがあると判断し、漏えい燃料の特定調査を行うため、5月7日に原子炉を停止した。調査
の結果、燃料集合体1体に漏えいが確認された。原因は、燃料棒に偶発的に発生した微小孔(ピン
ホール)によるものと推定された。対策として、当該燃料集合体は、今後、再使用しないこととし
た。
当初の計画では平成 23 年9月上旬より第 18 回定期検査を開始する予定であったが、燃料漏えい
事象に伴う停止を継続し、8月 29 日より定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、亜鉛注入装置設置工事を、設備保全対策として、2次
系配管の点検を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、10.5%であった。
(2)運転状況(敦賀発電所2号機)
a.運転パターン
定格電気出力
116 万 kW
① 1次冷却材中の放射能濃度の上昇に伴う停止
② 第18回定期検査
a タービン弁定期試験
○
最大発電電力 1,220MW(最大熱出力 3,406MW)
100
電
a
○
気
① 1次冷却材中の放射能濃度
の上昇に伴う停止
(H23.5.7 ~ H23.8.28)
出
② 第18回定期検査(H23.8.29 ~ )
8
50
力
(%)
0
29
7
平成23 年
平成24 年
平成23 年度
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○1次冷却材中の放射能濃度の上昇
定格熱出力一定運転中の5月2日、定例の1次冷却材中の希ガス濃度とヨ
ウ素濃度の測定の結果、前回(4月 26 日)の測定値を上回ることが確認され
た。このため、燃料集合体からの漏えいが発生した疑いがあると判断し、漏
えい燃料の特定調査をするため、5月7日 17 時に発電を停止、20 時に原子
炉を停止した。
原子炉停止後、1次冷却材中の放射能濃度を低減させた後、原子炉に装荷
23. 5. 7
①
~
23. 8.29
されていた燃料集合体(193 体)を使用済燃料ピットに取り出し、燃料集合
体全数についてシッピング検査を実施した結果、1体の燃料集合体に漏えい
が確認された。
この燃料集合体1体について、水中カメラによる外観目視検査を実施した
ところ、異常は認められなかった。更に、超音波による調査を実施した結果、
漏えい燃料棒1本が確認された。この燃料棒1本について、ファイバースコ
ープを用いて詳細に外観観察を実施したところ、燃料棒表面に傷や異物等は
認められなかった。また、原子炉の運転や水質および燃料製造等の履歴の調
査を行ったところ、いずれの調査においても異常は認められなかった。
これらの結果から、今回の漏えいは、燃料棒に偶発的に発生した微小孔(ピ
ンホール)によるものと推定された。
対策として、当該燃料集合体は、今後、再使用しないこととした。
○第 18 回定期検査
1)燃料集合体全数 193 体のうち、97 体(うち 72 体は新燃料集合体への取
替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・亜鉛注入装置設置工事
23. 8.29
作業員の被ばく低減の観点から、コバルト-60等の放射性物質が1次
冷却材系統などの機器や配管内表面へ付着することを抑制するため、亜
②
~
未定
鉛を注入する※1装置を化学体積制御系に設置する。
※1:1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に皮膜を形成させること
により、コバルト-60等の放射性物質が機器・配管内表面への付着することを抑制し、1
次冷却材系配管などの線量を低減する。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検
日本原子力発電(株)が定めた「配管肉厚管理手引書」に基づき、2次系
配管 407 箇所について超音波検査等(肉厚測定)を実施する。
期
間
概
要
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
非常用炉心冷却系統の健全性確認、格納容器スプレイリングの健全性確認、
23. 8.29
使用済燃料ピットポンプの分解点検、使用済燃料ピットの水位監視カメラ
の設置については、燃料漏えいに伴う停止期間中に実施した。また、非常
②
~
用電源に接続した使用済燃料ピットの水位計および温度計を設置する。
5)運転再開予定
未定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
3.美浜発電所1号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
34.0 万 kW
(1)概
要
平成 22 年 11 月 24 日から第 25 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、耐震裕度向上工事、復水器伝熱管取替工事等を、設備
の保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
当初の計画では、平成 23 年4月上旬に調整運転を開始、4月下旬に定期検査を終了する予定で
あったが、福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全対策を実施するため、定期検査期間を延長し
た。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、0%であった。
(2)運転状況(美浜発電所1号機)
a.運転パターン
定格電気出力 ① 第25回定期検査
34万kW
電
最大発電電力 0MW(最大熱出力 0MW)
100
気
①第25回定期検査(H22.11.24~)
出
力 50
(%)
0
平成23年度
平成23年
4月
平成24年
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 25 回定期検査
1)燃料集合体全数 121 体のうち、37 体(うち 32 体は新燃料集合体)を取
り替える予定である。
2)主要工事等
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統
などの配管、格納容器排気系統やアニュラス排気系統などのダクト、蒸
気発生器や1次系冷却水クーラなどの機器の支持構造物の強化等を行
う。
・高サイクル熱疲労割れに係る対策工事
国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎ
による熱疲労)を踏まえ、2系列ある充てん配管のうち、使用していな
い系列の充てん配管、隔離弁などを撤去する。
・格納容器再循環サンプスクリーン取替工事*1
1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入に
より機能低下することを防止する観点からスクリーンをより表面積が大
H22.11.24
①
~
未定
きいものに取り替える。
*1:国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・
保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の
対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応
マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
・主変圧器取替工事
主変圧器のコイル絶縁性能が経年劣化の傾向にあることから、予防保全
として主変圧器を新品に取り替える。
・復水器伝熱管取替工事
復水器伝熱管からの海水漏えいを防止するため、伝熱管を銅合金製から
耐食性に優れたチタン製に取り替える。
・加圧器スプレイ弁取替工事
加圧器スプレイ弁の保守性向上の観点から、輸入弁から部品調達の容易
な国産弁へ取り替える。この取替えにあたっては、弁点検時の作業スペ
ース確保のため、弁の取付け位置を変更することから、弁に接続する出
入口配管等を取り替える。
・亜鉛注入装置設置工事
作業員の被ばくを低減する観点から、コバルト-60 等の放射性物質が機
器や配管内表面に付着することを抑制するため、1次冷却材中に亜鉛を
注入する装置*2を化学体積制御系統に設置する。
*2:1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に皮膜を形成させること
により、コバルト-60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷
却材系配管などの線量を低減する。亜鉛注入は、国内プラントでの実績がある。
期
間
概
要
・1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事*3
1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置
の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源
が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧
低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更する。
*3:敦賀発電所2号機で、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転
した事象を踏まえ、平成22年5月、原子力安全・保安院は、事業者に対し監視装置の電源が
喪失した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱が定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 413 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する。
(超音波検査
H22.11.24
400 箇所、内面目視点検 13 箇所)
また、配管取替え時の作業性を考慮した部位7箇所、および今後の保守
①
~
性を考慮した部位 86 箇所、合計 93 箇所を耐食性に優れたステンレス鋼
または低合金鋼の配管に取り替える。
未定
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認、使用済燃料
ピット冷却系統ポンプの分解点検および使用済燃料ピット水位監視カメラ
の設置等を行う。また、使用済燃料ピットの水位計と温度計の電源を非常
用電源に変更する。
5)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
平成22年11月24日
11月24日
10時30分:発電停止
12時25分:原子炉停止
4.美浜発電所2号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
50.0 万 kW
(1)概
要
平成 23 年 11 月 30 日からコーストダウン運転*1を開始、12 月8日にA-加圧器スプレ弁の点検
のため原子炉を停止し、12 月 18 日から第 27 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、耐震裕度向上工事、加圧器安全弁・加圧器スプレ弁お
よび加圧器逃がし弁他取替工事などを、設備の保全対策として、発電機固定子コイルおよび発電機
励磁機取替工事、2次系配管の点検を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
本年度(平成 23 年度)の設備利用率は、68.0%であった。
*1 コーストダウン運転
運転期間の末期において、1次冷却材系統のホウ素(制御材)濃度を低下させず、ホウ素濃
度を一定とし燃料の燃焼反応度の低下に伴い、電気出力を低下させていく運転をコーストダウ
ン運転という。通常は燃焼反応度の低下に伴い、1次冷却材系統のホウ素濃度を低下させなが
ら定格出力を維持している。
(2)運転状況(美浜発電所2号機)
a.運転パターン
定格電気出力 ① A-加圧器スプレ弁グランドリークオフ流量の増加による原子炉手動停止
② 第27回定期検査
50万kW
a タービン弁定期試験
b コーストダウン運転
最大発電電力509MW(最大熱出力1,445MW)
電 100
a
気
a
a
a
a
a
a
a
b
出
①
力
50
②第27回定期検査
(H23.12.18~)
(%)
0
30
平成23年度
8 18
平成23年
4月
平成24年
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○A-加圧器スプレ弁グランドリークオフ流量増加に伴う原子炉手動停止
定格熱出力一定運転中の 11 月9日頃から、2台ある加圧器スプレ弁のう
ち、A-加圧器スプレ弁のグランド部から1次冷却水をドレンタンクに回収
するグランドリークオフ配管の温度が若干高めであったことから、当該配管
内の流量等の監視を行っていたが、配管内の流量が液体廃棄物処理設備の処
理能力を超える可能性があったことから、12 月7日 20 時から出力降下を開
始し、8日3時 15 分に発電を停止、4時に原子炉を停止した。
当該弁の分解点検を実施した結果、1次冷却水が弁棒に沿って上昇するの
を防ぐために弁棒を覆っている金属製の蛇腹(ベローズ)の折り目(内側)
の溶接部1箇所に、全周にわたる貫通割れが確認された。また、B-加圧器
スプレ弁の分解点検の結果、ベローズに同様の貫通割れが確認された。
23.12. 8
①
~
23.12.18
グランドリークオフ流量が増加した原因は、ベローズ折り目の溶接部に貫
通割れが発生、1次冷却水がベローズ内に入り、弁棒に沿って上昇し、グラ
ンドリークオフ配管へ流入したためと推定された。
貫通割れが発生した原因は、ベローズ製造工程の溶接時に酸素濃度確認まで
行っていなかったため、酸素が多い状態で溶接を行った結果、溶接部に全周
にわたる幅の広い未溶着部が発生した。その後、このベローズに、プラント
運転に伴う1次冷却水系統の圧力・温度が加わった結果、未溶着部を起点と
して、応力腐食割れが発生・進展し、貫通割れに至ったものと推定された。
対策として、重ね合わせ溶接タイプのベローズの製造にあたっては、酸素
濃度が低いことを測定により確認し溶接を行うこととする。
当該弁(A弁およびB弁)については、当初計画通り、今回の定期検査で、
より信頼性の高い突き合せ溶接タイプのベローズを用いた新しい弁に取り替
えることとする。
また、当該弁と同様に、1次冷却水中の高温・高圧の状態で用いられてい
る重ね合わせ溶接タイプのベローズについては、今回の定期検査中に酸素濃
度を管理して製造したベローズに取り替える。
○第 27 回定期検査
1)燃料集合体全数 121 体のうち、41 体(うち 36 体は新燃料集合体への取
H23.12.18
替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
②
~
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震性を一層向上させるため、格納容器スプレ系統や余熱除
未定
去系統などの配管、中央制御室空調系統のダクト、原子炉盤の機器など
の支持構造物を強化する。
期
間
概
要
・加圧器安全弁、加圧器スプレ弁および加圧器逃し弁他取替工事
保守性向上の観点から、加圧器安全弁、加圧器スプレ弁および加圧器逃
し弁を輸入弁から部品調達の容易な国産弁へ取り替える。また、作業性
や今後の保守性を考慮し、各弁に接続する配管の前後一部を取り替える。
・化学体積制御系統小口配管他取替工事
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の
流れのない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、計
画的に対策工事*2を実施しており、今回は化学体積制御系統2箇所につ
いて溶接形状と材料を変更する。また、取替え時の作業性を考慮し、対
象箇所周辺の配管の一部と弁を取り替える。
※2:応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
・1次系強加工曲げ配管取替工事
国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面
で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材
系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、
管継手に取り替える。また、取替え時の作業性を考慮し、対象箇所周辺
H23.12.18
の配管の一部を取り替える。
・原子炉保護装置取替工事
②
~
原子炉保護装置*3について、電子部品が製造中止になったことから、今
後の保守性を考慮して、原子炉安全保護計装盤を最新設計のものに取り
未定
替える。
※3:1 次冷却材系統の圧力・温度信号などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ
断器および工学的安全施設を動作させるための装置。
・安全系計器用電源装置取替工事
安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の
保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替える。
・2次系熱交換器取替工事
復水器伝熱管からの海水漏えいを防止するため、伝熱管を銅合金製から
耐食性に優れたチタン製に取り替える。A-第2低圧給水加熱器の伝熱
管支持板部の管穴の一部に腐食が認められることから、予防保全として、
A-第2給水加熱器を耐食性に優れた材料 *4を使用した新品に取り替
える。
※4:管支持板部は炭素鋼から低合金鋼、伝熱管は銅合金からステンレス鋼へ変更する。
・1次冷却材ポンプ供用期間中検査
1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、A号機の主フランジ締め付
け部やケーシング内表面について、目視点検や超音波探傷検査を行い、
健全性を確認する。
期
間
概
要
・原子炉容器供用期間中検査
原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷
検査を行い、健全性を確認する。
3)設備の保全対策
・発電機固定子コイルおよび発電機励磁機取替工事
発電機固定子コイル、発電機励磁機回転子および固定子コイルの絶縁材
料が劣化傾向にあることから、予防保全として、発電機固定子コイルを
新しいものに取り替えるとともに、発電機励磁機を新品に取り替える。
・2次系配管の点検
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 826 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する。
H23.12.18
(超音波検査 797 箇所、内面目視点検 29 箇所)また、過去の点検におい
て減肉が確認された部位4箇所、配管取替時の作業性を考慮して取り替
②
~
える部位4箇所、今後の保守作業を考慮した部位 86 箇所、合計 94 箇所
を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替える。
未定
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等*5
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレリングの健全性確認および使用済燃
料ピットの温度計の電源を非常用電源に変更するとともに、更なる監視強
化のため、非常用電源に接続した使用済燃料ピットの広域水位計および監
視カメラを設置する。
また、非常用炉心冷却系統の耐震サポートおよび屋内外タンク基礎ボ
ルト等の点検を行う。
※5:使用済燃料ピット冷却系統ポンプの分解点検は、実施済である。
5)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
5.美浜発電所3号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
82.6 万 kW
(1)概
要
平成 23 年5月 14 日から第 25 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、耐震裕度向上工事、1次冷却材ポンプ電源監視回路改
造工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
本年度(平成 23 年度)の設備利用率は、12.4%であった。
(2)運転状況(美浜発電所3号機)
a.運転パターン
定格電気出力 ① 第25回定期検査
a タービン弁定期試験
82.6万kW
電 100
最大発電電力869MW(最大熱出力2,436MW)
a
気
出
力
①第25回定期検査
(H23.5.14~)
50
(%)
0
14
平成23年度
平成23年
4月
平成24年
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 25 回定期検査
1)燃料集合体全数 157 体のうち、57 体(うち 44 体は新燃料集合体で
55,000MWd/t の高燃焼度燃料への取替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・耐震裕度向上工事
設備の耐震性を一層向上させるため、余熱除去系統や内部スプレ系統な
どの配管、アニュラス循環系統のダクト、蒸気発生器などの機器の支持
構造物を強化する。
・1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事*1
1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置
の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源
が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧
低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更する。
*1
敦賀発電所2号機で、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転
した事象を踏まえ、平成 22 年5月、原子力安全・保安院は、事業者に対し監視装置の電源が
喪失した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
・原子炉照射試験片取出工事
23. 5.14
中性子照射による原子炉容器の材料特性変化を定期的に把握するため、
原子炉容器内部に設置している照射試験片を取り出す。(今回で4回目)
①
~
・1次冷却材ポンプ供用期間中検査
1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、C号機の主フランジ締め付
未定
け部やケーシング内表面について、目視点検や超音波探傷検査を行い、
健全性を確認する。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 1,444 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する。
(超音波検
査 1,412 箇所、内面目視点検 32 箇所)
また、配管の保守性を考慮した部位 102 箇所、配管取替時の作業性を考
慮して取り替える部位5箇所、合計 107 箇所を耐食性に優れたステンレ
ス鋼の配管に取り替える。
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレリングの健全性確認、使用済燃料ピ
ット冷却系統ポンプの分解点検および使用済燃料ピット水位監視カメラの
設置を行う。
5)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
期
間
23. 5.14
①
~
未定
概
平成23年5月14日
5月14日
要
11時00分:発電停止
12時59分:原子炉停止
6.大飯発電所1号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
117.5 万 kW
(1)概
要
平成 22 年 12 月 10 日から第 24 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、耐震裕度向上工事、化学体積制御系統小口径配管他取
替工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施した。
その後、平成 23 年3月 10 日に原子炉を起動、3月 13 日に調整運転を開始した。
調整運転中の7月 15 日にC-蓄圧タンク圧力の低下を確認したことから、7月 16 日に原子炉を
手動停止した。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
本年度(平成 23 年度)の設備利用率は、29.3%であった。
(2)運転状況(大飯発電所1号機)
a.運転パターン
定格電気出力
117.5 万 kW
100
①
②
a
b
第24回定期検査
C-蓄圧タンク圧力の低下に係る停止
タービン弁定期試験
電動主給水ポンプ定期運転
最大発電電力 1,186MW(最大熱出力 3,415MW)
a
ba
a
電
① 第24回定期検査
(H22.12.10~)
気
出 50
②C-蓄圧タンク圧力の低下に係る停止
(H23.7.16~
H23.9.20)
力
(%)
0
20
16
平成 23 年度
平成23 年
4月
平成24 年
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 24 回定期検査
1)燃料集合体全数 193 体のうち、56 体を全て新燃料集合体(55,000MWd/t
高燃焼度燃料)に取り替えた。このうち、A型燃料の 40 体については、
平成 20 年以降に大飯発電所で発生した燃料漏えいの対策として、燃料集
合体*1の下部ノズルにある流路孔を従来より小さくし、集合体下部コー
ナー部での1次冷却材の横向きの流れを減少させた改良型燃料を使用し
た。また、燃料集合体の外観検査(18 体)を実施した結果、異常は認め
られなかった。
*1 大飯発電所では平成 16 年から高燃焼度燃料を採用している。この燃料採用以降、平成 20 年に
大飯4号機で1体、平成 21 年に大飯2号機で2体、平成 22 年に大飯1号機で2体の計5体、
全てA型燃料で漏えいが発生しており、一部の漏えい燃料は試験施設で詳細調査中である。こ
れまでの調査で、漏えいの原因は、A型燃料の集合体下部コーナー部において、燃焼度が進ん
だ状態で、かつ原子炉の中央部に配置したケースで、燃料下部で隣接燃料への横流れにより燃
料棒が通常よりも大きく振動し、下部支持格子のバネ板部等で被覆管の摩耗が進み漏えいした
ものと推定された。当面の対策として、A型高燃焼度燃料では燃焼度制限(38,000MWd/t)を設
けて使用している。
2)主要工事等
22.12.10
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統
①
~
などの配管やアニュラス浄化系統や補助建屋よう素除去排気系統などの
ダクト、余熱除去クーラなどの機器の支持構造物を強化する。
未定
・化学体積制御系統小口径配管他取替工事
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の
流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、
計画的に対策工事を実施しており*2、今回は当該系統1箇所について耐
食性に優れた材料に取り替える。また、取替え時の作業性を考慮し、対
象箇所周辺の弁や配管の一部を取り替える。
*2 応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
・安全系計器用電源装置取替及び常用系直流電源装置他設置工事
安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の
保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替える。取替えにあたっては、
電気・計装装置のデジタル制御による消費電力の増加を見据えて、電源
容量(電源供給能力)が大きな装置に取り替える。また、この安全系計
器用電源装置のバックアップ電源となる安全系直流電源装置について、
今後の消費電力の増加を見据えて、新たに常用系直流電源装置を設置し、
安全系直流電源装置に接続している一部の機器を移設する。
期
間
概
要
・1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事
1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置
の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源
が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧
低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更する。
*3 敦賀発電所2号機で、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転し
た事象を踏まえ、平成 22 年5月、原子力安全・保安院は、事業者に対し監視装置の電源が喪失
した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
・格納容器再循環サンプスクリーン取替工事
1 次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入に
より機能低下することを防止する観点から、スクリーンをより表面積が
大きいものに取り替える。
また、同スクリーンを通過した異物が流量調整弁で閉塞しないよう弁開
度(隙間)を大きくするため、一部の流量調整弁を新品に取り替えると
ともに、弁の下流側に流量調整用オリフィスを設置する。
*4 国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保
安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策
が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュ
アルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
22.12.10
①
~
未定
・原子炉容器供用期間中検査
原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷
検査を行い、健全性を確認する。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱が定めた「2 次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 1,494 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する(超音波検査
1,448 箇所、内面目視点検 46 箇所)。また、過去の点検で減肉が確認さ
れた部位 47 箇所、配管取替え時の作業性を考慮した部位 46 箇所、合計
93 箇所を耐食性に優れたステンレス鋼または低合金鋼の配管に取り替
える。
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認、使用済燃料
ピット冷却系統ポンプの分解点検を行った。
5)定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
①C-蓄圧タンク圧力の低下に伴う原子炉手動停止
(H23.07.15)
6)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
期
間
概
平成22年12月10日
22.12.10
①
~
未定
要
10時00分:発電停止
12月10日
11時25分:原子炉停止
平成23年3月10日
19時10分:原子炉起動
3月13日 11時00分:調整運転開始
7月16日 20時53分:原子炉停止
(C-蓄圧タンク圧力の低下による)
7.大飯発電所2号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
117.5 万 kW
(1)概
要
平成 23 年 12 月 16 日から第 24 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、耐震裕度向上工事、化学体積制御系統小口径配管他取
替工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、72.3%であった。
(2)運転状況(大飯発電所2号機)
a.運転パターン
定格電気出力
117.5 万 kW
① 第24回定期検査
a タービン弁定期試験
b 電動主給水ポンプ定期運転
最大発電電力 1,208MW(最大熱出力 3,416MW)
100
a
a
b
b
a
a
a b
a
a
b
電
気
① 第24回定期検査
(H23.12.16~)
出 50
力
(%)
0
16
平成 23 年度
平成 23 年
4月
平成 24 年
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第24回定期検査
1)燃料集合体全数193 体のうち、65 体(うち60体は新燃料集合体で、
55,000MWd/t 高燃焼度燃料への取替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統
などの配管、アニュラス浄化系統や補助建屋よう素除去排気系統のダク
トの支持構造物を強化する。
・化学体積制御系統小口径配管他取替工事
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の
流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、
計画的に対策工事を実施しており、今回は化学体積制御系統1箇所に*1
ついて、耐食性に優れた材料に取り替える。また、取替え時の作業性を
考慮し、対象箇所周辺の弁や配管の一部を取り替える。
*1 応力集中が小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
・1次系強加工曲げ配管取替工事
23.12.16
国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面
で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材
①
~
系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、
芯金を使用せずに曲げ加工した配管に取り替える。
未定
・1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事*2
1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置
の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源
が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧
低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更する。
*2 敦賀発電所2号機で、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転し
た事象を踏まえ、平成22年5月、原子力安全・保安院は、事業者に対し監視装置の電源が喪失
した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
・常用系直流電源装置他設置工事
安全系直流電源装置について、今後の電気・計装装置のデジタル制御に
よる消費電力の増加に対応するため、常用系直流電源装置を新たに設置
し、安全系直流電源装置に接続している一部の機器を移設する。
3) 設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管1,198箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する。また、過去の点
検において減肉が確認された部位4箇所、配管取替時の作業性を考慮し
た部位4箇所、今後の保守性を考慮した部位12箇所、合計20箇所を耐食
性に優れたステンレス鋼の配管に取り替える。
期
間
概
要
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等*3
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレリングの健全性確認を行うととも
に、更なる監視強化のため、非常用電源に接続した使用済燃料ピットの温
度計、広域水位計および監視カメラを設置する。
また、非常用炉心冷却系統の耐震サポートおよび屋内外タンク基礎ボルト
23.12.16
等の点検を行う。
*3 使用済燃料ピット設備は、1・2号機共用設備であるため、使用済燃料ピット冷却系統ポンプ分
解点検は、現在実施中の1号機第24回定期検査で実施済みである。
①
~
5)運転再開予定
未定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対
策の実施状況を踏まえ、計画していく。
平成23年12月16日
12月16日
16時00分:発電停止
18時35分:原子炉停止
8.大飯発電所3号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
118.0 万 kW
(1)概
要
平成 23 年3月 18 日から第 15 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、低圧/高圧タービン取替工事、格納容器再循環サンプ
スクリーン取替工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施した。
当初の計画では、平成 23 年6月中旬に調整運転を開始、7月中旬に定期検査を終了する予定で
あったが、福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全対策を実施するため、定期検査期間を延長し
た。
その後、平成 24 年7月1日に原子炉を起動、7月5日に調整運転を開始、8月3日に定期検査
を終了した。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、0%であった。
(2)運転状況(大飯発電所3号機)
a.運転パターン
定格電気出力 ① 第15回定期検査
118 万 kW
100
電
①第15回定期検査(H23. 3.18~)
気
出 50
力
(%)
0
平成 23 年度
平成23 年
4月
平成24 年
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第15回定期検査
1)燃料集合体全数 193 体のうち、97 体(うち64体は新燃料集合体で、
55,000MWd/tへの取替え)を取り替えた。燃料集合体の外観検査(79体)
を実施した結果、異常は認められなかった。
2)BおよびD-蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×2台、合計6,764本)に
ついて、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、異常は認められなか
った。
3)主要工事等
・低圧/高圧タービン取替工事
国外で発生した低圧タービン円板での応力腐食割れ事象を踏まえ、予防
保全対策として、低圧タービンについて、円板と軸を一体成型した全一
体ロータ構造の採用や材料強度の変更等により信頼性の向上を図った最
新型に取り替えた。また、併せて高圧タービン(1基)についても、信
頼性向上の観点から、振動応力を低減した翼等を採用した最新型に取り
替えた。
*1
23. 3.18
①
~
今回の取替については、平成21年に事前了解している工事である。また、当該工事に伴い、タ
ービンの効率が向上することにより、定格熱出力一定運転において電気出力が最大約4%上昇
する。
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震性を一層向上させるため、主蒸気系統や主給水系統およ
24. 8. 3
び余熱除去系統の配管の支持構造物を強化した。
・格納容器再循環サンプスクリーン取替工事
1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入に
より機能低下することを防止する観点*2から、スクリーンをより表面積
の大きいものに取り替えた。
また、同スクリーンを通過した異物が流量調整弁で閉塞しないように弁
の開度(隙間)を大きくし、その下流側に流量調整用オリフィスを設置
した。
*2 国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保
安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策
が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュ
アルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
・600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対
策として、加圧器のサージ管台、安全弁管台、逃がし弁管台、スプ
レイライン管台について、600系ニッケル基合金で溶接された管台か
ら耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接された管台に取り替
えた。
期
間
概
要
・原子炉容器供用期間中検査
原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷
検査を行い、健全性を確認した。
4)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次
系配管 815 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施した結
果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最
小厚さを下回ると評価された箇所はなかった。(超音波検査 791 箇所、
内面目視点検 24 箇所)
今定期検査開始時に計画していた58箇所に、今後の保守性を考慮して41
23. 3.18
箇所を追加し、合計99箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合
金鋼の配管に取り替えた。
①
~
5)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認および使用済
24. 8. 3
燃料ピット冷却系統ポンプの分解点検、非常用炉心冷却系統の耐震サポー
ト、屋内外タンク基礎ボルト等の点検を行い、健全性を確認した。使用済
燃料ピットの監視強化のため、水位監視カメラを設置するとともに、水位
計と温度計の電源供給を常用電源から非常用電源に変更した。
平成23年3月18日
10時00分:発電停止
3月18日
11時58分:原子炉停止
平成24年7月1日
21時00分:原子炉起動
7月5日
7時00分:調整運転開始
8月3日
14時00分:定期検査終了
9.大飯発電所4号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
118.0 万 kW
(1)概
要
平成 23 年7月 22 日から第 14 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、低圧/高圧タービン取替工事、耐震裕度向上工事、原
子炉保護装置取替工事等を、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施した。
その後、平成 24 年7月 18 日に原子炉を起動、7月 21 日に調整運転を開始、8月 16 日に定期検
査を終了した。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、31.2%であった。
(2)運転状況(大飯発電所4号機)
a.運転パターン
定格電気出力 ① 第14回定期検査
a タービン弁定期試験
118 万 kW
100
最大発電電力 1,201MW(最大熱出力 3,418MW)
a
a
a
電
気
① 第14回定期検査
(H23.7.22~)
出 50
力
(%)
0
22
平成 24 年
平成 23 年度 平成23年
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 14 回定期検査
1)燃料集合体全数 193 体のうち、77 体(うち 56 体は新燃料集合体で、
55,000MWd/t への取替え)を取り替えた。燃料集合体の外観検査(49 体)
を実施した結果、異常は認められなかった。
2)BおよびD-蒸気発生器伝熱管全数(3,382 本×2台、合計 6,764 本)
について、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、異常は認められな
かった。
3)主要工事等
・低圧/高圧タービン取替工事
国外で発生した低圧タービン円板での応力腐食割れ事象を踏まえ、予防
保全対策として、低圧タービンについて、円板と軸を一体成型した全一
体ロータ構造の採用や材料強度の変更等により信頼性の向上を図った最
新型に取り替えた。
また、併せて高圧タービン(1基)についても、信頼性向上の観点から、
振動応力を低減した翼等を採用した最新型に取り替えた。
*1
23. 7.22
①
~
今回の取替については、平成21年に事前了解している工事である。また、当該工事に伴い、
タービンの効率が向上することにより、定格熱出力一定運転において電気出力が最大約4%
上昇する。
・耐震裕度向上工事
既設設備の耐震性を一層向上させるため、主蒸気系統や主給水系統およ
24. 8.16
び余熱除去系統の配管の支持構造物を強化した。
・600 系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対
策として、加圧器のサージ管台、安全弁管台、逃がし弁管台、スプレイ
ライン管台について、600 系ニッケル基合金で溶接された管台から耐食
性に優れた 690 系ニッケル基合金で溶接された管台に取り替えた。
・原子炉保護装置取替工事
原子炉保護装置*2について、電子部品が製造中止になったことから、今
後の保守性を考慮して、原子炉安全保護計装盤と原子炉安全保護ロジッ
ク盤を最新設計のものに取り替えた。
*2 1次冷却材系統の圧力・温度信号などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断
器および工学的安全施設を動作させるための装置
・原子炉照射試験片取出工事
中性子照射による原子炉容器の材料特性変化を定期的に把握するため、
原子炉容器内部に設置している照射試験片を取り出した。
(今回で3回目)
期
間
概
要
4)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次
系配管 965 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施した結
果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最
小厚さを下回ると評価された箇所はなかった。(超音波検査922 箇所、
内面目視点検43 箇所)
今定期検査開始時に計画していた48箇所に、今後の保守性を考慮して46
箇所を追加し、合計94箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合
金鋼の配管に取り替えた。
23. 7.22
5)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認および使用済
①
~
燃料ピット冷却系統ポンプの分解点検、非常用炉心冷却系統の耐震サポー
ト、屋内外タンク基礎ボルト等の点検を行い、健全性を確認した。使用済
24. 8.16
燃料ピットの監視強化のため、水位計と温度計の電源供給を常用電源から
非常用電源に変更するとともに、非常用電源から電源供給される水位監視
カメラを設置した。
平成23年7月22日
23時30分:発電停止
7月23日
2時21分:原子炉停止
平成24年7月18日
21時00分:原子炉起動
7月21日
7時00分:調整運転開始
8月16日
14時00分:定期検査終了
10.高浜発電所1号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
82.6 万 kW
(1)概
要
平成 23 年1月 10 日から、第 27 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、格納容器再循環サンプスクリーン取替工事、化学体積
制御系統小口径配管取替工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
当初の計画では、平成 23 年3月下旬に調整運転を開始し、4月中旬に定期検査を終了する予定
であったが、福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全対策を実施するため、定期検査期間を延長
した。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、0%であった。
(2)運転状況(高浜発電所1号機)
a.運転パターン
定格電気出力
①第 27 回定期検査
82.6 万 kW
100
電
①第 27 回定期検査
気
出
(H23.1.10~)
50
力
(%)
0
平成23 年
平成24 年
平成23年度
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 27 回定期検査
1)燃料集合体全数 157 体のうち、69 体(うち 52 体は新燃料集合体への取
替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・格納容器再循環サンプスクリーン取替工事
1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入に
より機能低下することを防止する観点 *1からスクリーンをより表面積
が大きいものに取り替える。
*1:国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・
保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の
対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応
マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
・化学体積制御系統他小口径配管取替工事
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の
流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、
計画的に対策工事*2を実施しており、今回は対象箇所2箇所について溶
接形状と材料を変更する。また、取替え時の作業性を考慮し、対象箇所
23. 1.10
周辺の弁や配管の一部を取り替える。
*2 :応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
・600 系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
~
①
国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対
未
定
策として、加圧器サージ管台について、600 系ニッケル基合金で溶接さ
れた管台から耐食性に優れた 690 系ニッケル基合金で溶接された管台に
取り替える。
・安全系計器用電源装置取替及び常用系直流電源装置他設置工事
安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の
保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替える。取替えにあたっては、
電気・計装装置のデジタル制御による消費電力の増加を見据えて、電源
容量(電源供給能力)が大きな装置に取り替える。
また、この安全系計器用電源装置のバックアップ電源となる安全系直流
電源装置について、今後の消費電力の増加を見据えて、新たに常用系直
流電源装置を設置し、安全系直流電源装置に接続している一部の機器を
移設する。
・1次冷却材ポンプ供用期間中検査
1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、B号機の主フランジ締
め付け部やケーシング内表面について、目視点検や超音波探傷検査
を行い、健全性を確認する。
期
間
概
要
・1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事*3
1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置
の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源
が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧
低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更する。
*3:国内PWRで、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転した事
象を踏まえ、平成 22 年5月、原子力安全・保安院は、事業者に対し監視装置の電源が喪失
した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 692 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する。(超音波検
査 672 箇所、内面目視点検 20 箇所)また、今後の保守作業を考慮した部
23. 1.10
位 34 箇所を耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替える。
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
~
①
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレリングの健全性確認、使用済
燃料
ピット冷却系統ポンプの分解点検および使用済燃料ピット水位監視カメラ
未
定
の設置等を行う。また、使用済燃料ピットの水位計と温度計の電源を非常
用電源に変更する。
5)定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
①タービン建屋内での協力会社作業員の負傷(H23. 2. 7)
②B-非常用ディーゼル発電機からの潤滑油漏えい(H23. 3. 9)
6)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全
対策の実施状況を踏まえ、計画していく。
平成23年1月10日
1月10日
10時03分:発電停止
12時20分:原子炉停止
11.高浜発電所2号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
82.6 万 kW
(1)概
要
平成 23 年 11 月 25 日から、第 27 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、高サイクル熱疲労割れに係る対策工事、1次系強加工
曲げ配管取替工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、68.3%であった。
(2)運転状況(高浜発電所2号機)
a.運転パターン
定格電気出力
①第 27 回定期検査
82.6 万 kW
a タービン弁定期試験
b コーストダウン運転
最大発電電力 875MW(最大熱出力 2,436MW)
100
a
電
a
a
a
a
a
a
b
①第 27 回定期検査
(H23.11.25~)
気
出
50
力
(%)
0
19 25
平成23 年
平成24 年
平成23年度
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 27 回定期検査
1)燃料集合体全数 157 体のうち、61 体(うち 56 体は新燃料集合体への取
替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・高サイクル熱疲労割れに係る対策工事
国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ(温度ゆらぎによ
る疲労)*1を踏まえ、2系列ある充てんラインのうち、使用していない
系列の充てん配管、隔離弁等を撤去する。また、安全注入系統の補助注
入ライン高温側2箇所、低温側1箇所に弁を追加するとともに、作業性
を考慮し、対象となる部分の周辺の配管の一部を取り替える。
*1
隔離弁のシートリークにより漏れ出た低温水(滞留した水)が高温水側に流入し、
高温水と低温水の境界が変動することにより、熱疲労が発生する可能性がある。
・1次系強加工曲げ配管取替工事
国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面
で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材
系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、
23.11.25
芯金を使用せずに曲げ加工した配管等に取り替える。
・安全系計器用電源装置取替及び常用系直流電源装置他設置工事
①
~
安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の
保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替える。取替えにあたっては、
未定
電気・計装装置のデジタル制御による消費電力の増加を見据えて、電源
容量(電源供給能力)が大きな装置に取り替える。
また、この安全系計器用電源装置のバックアップ電源となる安全系直流
電源装置について、今後の消費電力の増加を見据えて、新たに常用系直
流電源装置を設置し、安全系直流電源装置に接続している一部の機器を
移設する。
・原子炉容器供用期間中検査
原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷
検査を行い、健全性を確認する。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 773 箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する。
また、過去の点検において減肉が確認された部位3箇所、今後の保守作
業を考慮した部位 100 箇所、合計 103 箇所を耐食性に優れたステンレス
鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替える。
期
間
概
要
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等*2
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認および使用済
燃料ピットの温度計の電源を非常用電源に変更するとともに、更なる監視
強化のため、非常用電源に接続した使用済燃料ピットの広域水位計および
監視カメラを設置する。また、非常用炉心冷却系統の耐震サポートおよび
23.11.25
屋内外タンクの基礎ボルト等の点検を行う。
*2使用済燃料ピット冷却系統ポンプの分解点検は、実施済みである。
5)定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
①
~
①タービン建屋内での協力会社作業員の負傷(H23.12.31)
6)運転再開予定
未定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
平成23年11月25日
11月26日
23時02分:発電停止
2時26分:原子炉停止
12.高浜発電所3号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
87.0 万 kW
(1)概
要
平成 24 年2月 20 日から第 21 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事、1次系強加
工曲げ配管取替工事などを、設備の保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、94.4%であった。
(2)運転状況(高浜発電所3号機)
a.運転パターン
定格電気出力
①第 21 回定期検査
87 万 kW
a タービン弁定期試験
最大発電電力 933MW(最大熱出力 2,654MW)
100
a
電
a
a
a
a
a
a
a
a
a
(H24.2.20~)
気
出
①第 21 回
定期検査
50
力
(%)
0
平成23年度
平成23 年
4月
平成24 年
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
20
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 21 回定期検査
1)燃料集合体全数 157 体のうち、73 体(うち 56 体は新燃料集合体への取
替え)を取り替える予定である。
2)主要工事等
・原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の
流れのない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、
計画的に対策工事*1を実施しており、今回は、化学体積制御系統4箇所
および余熱除去系統1箇所について耐食性に優れた材料に取り替える。
また、取替え時の作業性を考慮し、対象箇所周辺の弁や配管の一部を取
り替える。
*1:応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
・1次系強加工曲げ配管取替工事
国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面
で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材
系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、
24. 2.20
芯金を使用せずに曲げ加工した配管等に取り替える。
・安全系計器用電源装置取替工事
①
~
安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の
保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替える。
未定
・1次冷却材ポンプ供用期間中検査
1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、C号機の主フランジ締め付
け部やケーシング内表面について、目視点検や超音波探傷検査を行い、
健全性を確認する。
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 1,222 箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する。
また、今後の保守作業を考慮した部位 118 箇所を耐食性に優れたステン
レス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替える。
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等*2
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認、使用済燃料
ピットの温度計および水位計の電源の非常用電源への変更、非常用電源に
接続した使用済燃料ピットの広域水位計および監視カメラの設置等を行
う。
*2:使用済燃料ピット冷却系統ポンプの分解点検は、実施済である。
期
間
概
要
5)定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
①蒸気発生器伝熱管の損傷(H24. 3.29)
24. 2.20
6)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
①
~
未定
実施状況を踏まえ、計画していく。
平成24年2月20日
2月21日
23時00分:発電停止
3時50分:原子炉停止
13.高浜発電所4号機
炉
型
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
定格電気出力
:
87.0 万 kW
(1)概
要
平成 23 年7月 21 日から第 20 回定期検査を開始した。
今回の定期検査では、主要工事等として、原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事、1次系強
加工曲げ配管取替工事などを、設備保全対策として、2次系配管の点検等を実施している。
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、計
画していく。
今年度(平成 23 年度)の設備利用率は、32.4%であった。
(2)運転状況(高浜発電所4号機)
a.運転パターン
定格電気出力
①第 20 回定期検査
87 万 kW
a タービン弁定期試験
最大発電電力 930MW
(最大熱出力 2,653MW)
100
a
a
a
電
①第 20 回定期検査
気
(H23.7.21~)
出
50
力
(%)
0
21
平成23 年
平成24 年
平成23年度
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
b.発電停止作業等
期
間
概
要
○第 20 回定期検査
1)燃料集合体全数 157 体のうち、97 体(うち 56 体は新燃料集合体)を取
り替える予定である。
2)主要工事等
・原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の
流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、
計画的に対策工事 *1を実施しており、耐食性に優れた材料に取り替え
る。また、取替え時の作業性を考慮し、対象箇所周辺の弁や配管の一部
を取り替える。
*1:応力集中が小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
・1次系強加工曲げ配管取替工事
国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面
で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材
系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、
23. 7.21
芯金を使用せずに曲げ加工した配管に取り替える。また、取替え時の作
業性を考慮し、対象箇所周辺の弁や配管の一部を取り替える。
①
~
・1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事
1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置
未定
の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源
が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧
低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更する。
*2 :敦賀発電所2号機で、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した
状態で運転した事象を踏まえ、平成 22 年5月、原子力安全・保安院は、事業者
に対し監視装置の電源が喪失した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備
改善を行うよう指示した。
・600 系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対
策として、600 系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器出入口管
台溶接部について、溶接部内面全周を研削した後、耐食性に優れた 690
系ニッケル基合金で溶接を行う。
・原子炉容器供用期間中検査
原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷
検査を行い、健全性を確認する。
期
間
概
要
3)設備の保全対策
・2次系配管の点検等
関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配
管 682 箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する。
また、過去の点検において減肉が確認された部位1箇所、今後の保守作
業を考慮した部位 19 箇所、合計 20 箇所を耐食性に優れたステンレス鋼
もしくは低合金鋼の配管に取り替える。
4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等
23. 7.21
非常用炉心冷却系統や格納容器スプレイリングの健全性確認、使用済燃料
ピット冷却系統ポンプの分解点検および使用済燃料ピット水位監視カメラ
①
~
の設置を行う。また、使用済燃料ピットの水位計と温度計の電源を非常用
電源に変更する。
未定
5)定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
①蒸気発生器伝熱管の損傷(H23. 8.18)
6)運転再開予定
原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の
実施状況を踏まえ、計画していく。
平成23年7月21日
7月22日
23時00分:発電停止
2時08分:原子炉停止
14.定期検査における主要工事等
(1)耐震裕度向上工事
設 備 の 耐 震 性 を 一 層 向 上 さ せ る た め 、機 器 や 配 管 、ダ ク ト な ど の 支 持 構 造 物 を 強 化 す る 。
プラント
回次(終了年度)
敦賀1 号
31回 (19年 度 )
49
86
3
0
138
32回 (21年 度 )
149
0
1,536
0
1,685
33回 (実 施 中 )
520
0
0
500
1,020
16回 (20年 度 )
44
0
0
0
44
17回 (22年 度 )
165
0
5
0
170
もんじゅ
H19.2~ H22.3
0
1
4
0
5
美浜1 号
23回 (20年 度 )
0
10
17
0
27
24回 (21年 度 )
199
119
6
13
337
25回 (実 施 中 )
327
24
15
0
366
24回 (20年 度 )
269
177
2
0
448
25回 (21年 度 )
293
5
20
24
342
26回 (22年 度 )
230
9
14
0
253
27回 (実 施 中 )
139
6
1
0
146
22回 (19年 度 )
10
0
0
0
10
23回 (20年 度 )
213
151
9
15
388
24回 (22年 度 )
192
16
15
0
223
25回 (実 施 中 )
73
2
3
0
78
22回 (20年 度 )
25
131
2
8
166
23回 (21年 度 )
282
11
4
10
307
24回 (実 施 中 )
229
42
12
0
283
21回 (19年 度 )
9
15
0
0
24
22回 (21年 度 )
291
82
4
8
385
23回 (22年 度 )
240
37
11
0
288
24回 (実 施 中 )
75
4
0
0
79
13回 (20年 度 )
29
0
0
0
29
14回 (21年 度 )
86
0
1
0
87
15回 (24年 度 )
8
0
0
0
8
12回 (20年 度 )
29
0
0
0
29
13回 (22年 度 )
86
0
1
0
87
14回 (24年 度 )
8
0
0
0
8
25回 (20年 度 )
62
132
4
0
198
26回 (21年 度 )
185
1
8
2
196
24回 (20年 度 )
0
0
2
0
2
25回 (21年 度 )
285
131
7
0
423
高浜3 号
19回 (21年 度 )
15
0
0
2
17
高浜4 号
18回 (20年 度 )
25
0
0
3
28
敦賀2 号
美浜2 号
美浜3 号
大飯1 号
大飯2 号
大飯3 号
大飯4 号
高浜1 号
高浜2 号
配管
ダクト
機器
架台
計
(2)耐震対応強化工事
新 潟 県 中 越 沖 地 震 を 踏 ま え 、消 防 自 動 車 の 車 庫 の 増 設 や 、自 衛 消 防 隊 詰 所 の 設 置 、地 震
計の設置・取替等を実施する。
敦賀発電所
ふげん
もんじゅ
美浜発電所
大飯発電所
高浜発電所
○
○
○
○
○
○
(凡例)
●:工事完了
○:工事実施中
△:工事計画あり
(3)600 系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
国内外PWRプラントにおける 600 系ニッケル基合金溶接部での応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保
全対策として溶接部表面の残留応力の低減や材料改善を目的として、
・原子炉容器冷却材出入口管台溶接部には、ウォータージェットピーニング工事または溶接部全周を切
削し、690 系ニッケル基合金で肉盛溶接工事
・原子炉容器炉内計装筒内面および溶接部には、ウォータージェットピーニング工事
・蒸気発生器出入口管台溶接部には、ショットピーニング工事
・加圧器管台溶接部は、レーザー外面照射応力改善(日本原子力発電㈱)または管台取替工事(関西電力㈱)
を施工する。
【原子炉容器(RV)冷却材出入口管台溶接部】
敦賀
美浜発電所
2号
1号
2号
3号
1号
入口
●
●
●
●
●
管台
(H20) (H19) (H20) (H19) (H19)
出口
●
●
●
●
●
管台
(H20) (H19) (H20) (H19) (H19)
大飯発電所
2号
3号
●
●
4号
●
1号
●
高浜発電所
2号
3号
●
●
(H18)
(H22)
(H20)
(H22)
(H20)
●
●
●
●
(H22)
(H20)
(H22)
(H20)
●
(H18)
(H20)
●
*
(H21)
4号
○
○
注)大飯発電所3号機のA-RV出口管台、大飯発電所4号機の出口管台、高浜発電所2号機、4号機の出入口管台については、
溶接部全周を切削し、690 系ニッケル基合金で肉盛溶接工事を実施。他はウォータージェットピーニング工事
【原子炉容器(RV)炉内計装筒内面】
美浜発電所
敦賀
2号
1号
2号
3号
●
●
●
●
(H22)
(H14)
(H13)
(H18)
1号
●
大飯発電所
2号
3号
●
●
4号
●
(H13)
(H14)
(H22)
【原子炉容器(RV)炉内計装筒溶接部】
敦賀
美浜発電所
2号
1号
2号
3号
1号
●
●
●
●
●
(H22)
(凡例)
(H19)
(H20)
(H19)
(H19)
(H20)
1号
●
高浜発電所
2号
3号
●
●
4号
●
(H14,16)
(H15)
(H20)
(H22)
4号
●
(H22)
大飯発電所
2号
3号
●
●
4号
●
1号
●
高浜発電所
2号
3号
●
●
(H19)
(H22)
(H20)
(H22)
(H20)
●:工事完了
○:工事実施中
△:工事計画あり
-:接液部が 600 系ニッケル基合金でないため対象外
(H20)
( ) 内は定検終了年度
【蒸気発生器(SG)出入口管台溶接部】
敦賀
美浜発電所
2号
1号
2号
3号
1号
*
*
入口
●
-
●
-
●
管台
(H20)
(H20)
(H19)
出口
●
-
●
-
●
管台
(H20)
(H20)
(H19)
【加圧器管台溶接部】
敦賀
美浜発電所
2号
1号
2号
3号
サージ
●
-
●
●
管台
(H20)
(H21) (H22)
逃がし弁・安全弁
●
-
-
-
・スプレイ弁管台 (H22)
(凡例)
大飯発電所
2号
3号
-
●
高浜発電所
2号
3号
*
●
●*
4号
●
4号
●*
(H18)
(H20)
(H20)
(H20)
(H20)
●
●
●
●
●
(H18)
(H20)
(H21)
(H20)
(H20)
1号
●
大飯発電所
2号
3号
●
●
4号
高浜発電所
2号
3号
●
●
4号
●
(H21)
(H22)
(H24)
(H22)
(H22)
-
-
-
(H24)
1号
-
-
1号
○
●
●
●
(H24)
(H24)
-
●:工事完了
○:工事実施中
△:工事計画あり
-:接液部が 600 系ニッケル基合金でないため対象外
-
(H21)
●
●
(H21)
(H22)
( ) 内は定検終了年度
*予防保全工事を実施する前の渦流探傷試験で、有意な信号指示が認められた部位については、以下
の補修工事を実施した。
【原子炉容器(RV)出口管台溶接部】
部位
A-管台
発電所
大飯3号
内
容
第13回定期検査で信号指示が認められた箇所を切削し、予防保全工事を実施、
第14回定期検査で溶接部全周を切削し、690系ニッケル基合金で肉盛溶接
【蒸気発生器(SG)入口管台溶接部】
発電所
敦賀2号
美浜2号
高浜2号
高浜3号
高浜4号
部位
A-SG
B,C-SG
A-SG
A,B,C-SG
A,B,C-SG
A,B,C-SG
内
容
信号指示が認められた箇所を切削し、予防保全工事を実施
溶接部全周を切削し、690系ニッケル基合金で肉盛溶接
管台の一部と溶接部を切断し、新しい配管を690系ニッケル基合金で溶接
溶接部全周を切削し、690系ニッケル基合金で肉盛溶接
溶接部全周を切削し、690系ニッケル基合金で肉盛溶接
溶接部全周を切削し、690系ニッケル基合金で肉盛溶接
(4)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事
高サイクル熱疲労割れ(温度ゆらぎによる疲労)事象を踏まえ、温度ゆらぎが発生する可能性のあ
る高温水と低温水の合流部や閉塞部について、配管の取替えや配管ルートの変更などを実施する。
敦賀発電所
余熱除去系統
1列撤去工事
(凡例)
高浜発電所
2号
1号
2号
3号
1号
2号
3号
4号
1号
2号
3号
4号
-
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
(H20) (H20) (H20) (H20) (H21) (H22) (H20) (H20) (H20) (H21) (H20) (H20)
-
分岐部管取替
充てん配管
大飯発電所
1号
配管合流部取替工事
1次冷却材閉塞
美浜発電所
●
-
(H20)
-
●
(H22)
●:工事完了
●
●
-
-
-
-
-
-
(H21) (H20)
○
●
△
(H22)
○:工事実施中
●
●
(H21) (H20)
△
△
●
●
(H21) (H22)
△:工事計画あり
△
○
●
●
(H21) (H20)
( ) 内は定検終了年度
(5)亜鉛注入装置設置工事
作業員の被ばく低減を図るため、コバルト-60 等の放射性物質が機器や配管内表面に付着するのを
抑制する効果がある亜鉛を1次冷却材中に注入する装置を化学体積制御系に設置する。
美浜発電所
敦賀
大飯発電所
高浜発電所
2号
1号
2号
3号
1号
2号
3号
4号
1号
2号
3号
4号
●
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
(H22)
(H21)
(H21)
(H21)
(H21)
(H20)
(H19)
(H17)
(凡例)
●:工事完了
○:工事実施中
(H20)
(H20) (H21)
△:工事計画あり
( ) 内は定検終了年度
(6)蒸気タービン取替工事
低圧タービン円板の翼溝部の応力腐食割れに係る予防保全対策として、低圧タービンを、熱処理に
より従来より耐食性を向上させた低合金鋼と発生応力が低減される構造(翼溝と翼根の大型化)を採
用したものに取り替える。
美浜発電所
敦賀発電所
大飯発電所
高浜発電所
1号
2号
1号
2号
3号
1号
2号
3号
4号
1号
2号
3号
4号
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
(H元)
(H20)
(H11)
(H 6)
(H 8)
(H11)
(H 9)
(H24)
(H24)
(H 6)
(H 7)
(H21)
(H22)
(凡例)
●:工事完了
○:工事実施中
△:工事計画あり
( ) 内は定検終了年度
(7)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事
1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防
止する観点から、スクリーンをより表面積の大きいものに取り替える。
美浜発電所
敦賀
大飯発電所
高浜発電所
2号
1号
2号
3号
1号
2号
3号
4号
1号
2号
3号
4号
●
○
●
●
●
●
●
●
○
●
●
●
(H22)
(H21)
(H22)
(H22)
(H24)
(H22)
(H22)
(H22)
(H22)
(H22)
(凡例)
●:工事完了
○:工事実施中
△:工事計画あり
( ) 内は定検終了年度
15. 高速増殖原型炉もんじゅ
炉
型
:
高速増殖炉(FBR)
(ナトリウム冷却高速中性子炉)
定格電気出力
:
28.0 万 kW
(1)建設状況
○工事進捗状況
平成6年4月5日の初臨界をもって、建設工事の進捗率は、100%となった。
○試験進捗状況(性能試験再開以降)
3段階に分けて実施する性能試験(炉心確認試験、40%出力プラント確認試験、出力上昇試
験)の全試験項目数を考慮して算出した試験進捗率は、炉心確認試験終了時点(平成 22 年7
月 22 日時点)において約 10%である。
区
分
概要
性能試験
(H22. 5. 6~)
進捗率
・炉心確認試験(H22. 5. 6~H22. 7.22)
10%
○性能試験の主要工程実績
・プラント特性予備試験(平成4年12月17日~平成5年6月16日)
・総
点
検(平成5年6月17日~平成5年7月29日)
・燃 料 装 荷 準 備(平成5年7月30日~平成5年10月11日)
・臨
界
・炉
物
試
理
試
験(平成5年10月12日~平成6年5月20日)
験(平成6年5月21日~平成6年11月15日)
・設
備
点
検(平成6年11月16日~平成7年2月16日)
・起
動
試
験(平成7年2月17日~
*
)
・炉 心 確 認 試 験(平成22年5月6日~平成22年7月22日)
*)2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため、H 7.12. 8 より中断
また H 9. 9.11~H10. 9.10 までの1年間、原子炉等規正法に基づく行政処分として原子炉停止
○概
要
高速増殖原型炉もんじゅは、ナトリウムを冷却材とした原子炉として、平成6年4月に初臨
界を達成し、平成7年8月には初送電を行った。しかし、電気出力 40%での試運転開始直後の
平成7年 12 月8日、
2次冷却系のナトリウムが室内に漏えいし燃焼する事故が発生したため、
原子炉を手動停止した。
科学技術庁(当時の規制官庁、現:文部科学省)は、事故原因の詳細調査を実施し、平成9
年2月 20 日に結果を取りまとめた。また、原子力安全委員会も原因究明および再発防止対策
等について調査・審議し、平成 10 年4月 20 日に結果を取りまとめた。これらの調査で明らか
となった反省点や問題点を踏まえ、「もんじゅ」の安全性および信頼性の向上を図り、技術的
信頼の回復を目的として安全性総点検を実施した。
漏えいの原因調査や安全性総点検結果を踏まえ、ナトリウム漏えい対策等に係る工事計画を
まとめ、平成 13 年6月6日、国に対して原子炉設置変更許可申請を行い、平成 14 年 12 月 26
日に許可を受けた。また、平成 14 年 12 月 27 日にナトリウム漏えい対策工事等の設計及び工
事の方法の変更認可申請を国に対して行い、平成 16 年1月 30 日に認可を受けた。その後、ナ
トリウム漏えい対策等に係る工事を平成 17 年9月1日から平成 19 年5月 23 日まで実施した。
また、工事で改造した設備や新規に設置した設備等の性能・機能を確認する工事確認試験を平
成 18 年 12 月 18 日から平成 19 年8月 30 日まで実施した。
平成 22 年4月 28 日に性能試験再開の了承が得られたことから、平成 22 年5月6日 10 時 36
分に原子炉を起動して性能試験の第1段階にあたる炉心確認試験を開始し、平成 22 年5月8
日 10 時 36 分に原子炉が臨界に達した。その後、炉心確認試験を平成 22 年7月 22 日まで実施
し、予定していた 20 項目全ての試験を完了した。
平成23年度 高速増殖原型炉もんじゅ運転状況
50
(%)
0
1・平成22年5月6日~5月16日
2・平成22年5月8日
3・平成22年5月23日~5月28日
4・平成22年5月24日
5・平成22年6月1日~6月2日
6・平成22年6月2日
7・平成22年6月4日~6月14日
8・平成22年6月4日
9・平成22年6月16日~6月19日
10・平成22年6月16日
11・平成22年7月7日~7月17日
12・平成22年7月7日
①平成 7年12月 8日~平成22年 5月 6日
2次主冷却系ナトリウム漏えい事故により停止中
②平成 8年12月18日~平成10年 5月29日
安全総点検実施
③平成 9年 3月 3日~ 平成 9年12月11日
平成8・9年度設備点検
④平成10年 9月28日~平成11年 9月17日
平成10・11年度設備点検
⑤平成12年10月16日~平成13年 3月23日
平成12年度設備点検
⑥平成13年 9月 8日~平成15年 2月20日
平成13・14年度設備点検
⑦平成15年 5月 6日~平成16年 3月12日
平成15年度設備点検
⑧平成16年 7月 5日~平成17年 3月30日
平成16年度設備点検
平成17年度設備点検
⑨平成17年 5月 16日~平成18年3月30日
平成18年度設備点検
⑩平成18年 4月 3日~平成19年 3月30日
平成19年度設備点検
⑪平成19年 4月 2日~平成20年 3月28日
⑫平成22年10月 1日~(平成24年3月31日現在継続中) 平成22年度・23年度設備点検
100
原
子
炉
出
力
平成23年
4月
平成23年度
5月
6月
7月
8月
12
9月
原子炉起動(試運転再開:午前10時36分) 13・平成22年7月22日
炉心確認試験終了
臨界
14・平成22年8月11日~8月17日 燃料交換作業
原子炉起動
(燃料集合体33体交換:平成22年8/11~8/17)
臨界
原子炉起動
臨界
原子炉起動
臨界
プラント状態
原子炉容器内
原子炉起動
ナトリウム温度 :約200℃
臨界
1次系ナトリウム温度:約200℃
原子炉起動
臨界
2次系ナトリウム温度:約200℃
10月
11月
12月
14
平成24年
1月
2月
3月
31
Aループ
主モータ
8
ポニーモータ
1
次
主
冷
却
系
17
1
6
12
30
19
4
Bループ
7
主モータ
ポニーモータ
4
主
Cループ
系
主モータ
ポニーモータ
統
1次メンテナンス 1
冷却系
の
循環ポンプ
運
Aループ
転
主モータ
ポニーモータ
状
2
態 次 Bループ
主
6
冷 主モータ
却 ポニーモータ 4
系
18
13
12
24
6
7
3
12
3
9
29,29
2
10
20
20
4
3
8,9
10
4
17
6
14
6
14
30
22
31
6
6
6
18
30
5
7
26
7
28、30,30
3
Cループ
主モータ
7
ポニーモータ
4 7
2次メンテナンス
冷却系
循環ポンプ
3
3,4
1
3
:ナトリウム充填
:運転
メンテナンス冷却系の循環ポンプに付いては、定格運転時のみの記載
29,29
(2)平成 22・23 年度設備点検
平成 22 年 10 月1日より開始した平成 22・23 年度設備点検は、原子炉格納容器漏えい率試験※
を除き、平成 24 年7月 31 日に終了した。当初予定では、平成 23 年5月下旬に設備点検を終了
する予定であったが、炉内中継装置の落下トラブルについて、炉内中継装置の引抜き方法を確定
したため、設備点検の主要工程を見直し、終了時期を変更した。今回の設備点検では、制御棒駆
動機構、1次および2次冷却系設備、換気空調設備、非常用ディーゼル発電設備、原子炉格納容
器等の点検や試験を実施した。
※原子炉格納容器漏えい率試験は、40%出力プラント確認試験を行う前に実施する予定
(3)水・蒸気系設備機能確認試験
平成 23 年2月 15 日より、40%出力プラント確認試験が行えるプラント状態であることを確認
するため、タービン・発電機等の水・蒸気系設備の機能確認を行う、「水・蒸気系設備機能確認
試験」を開始、蒸気発生器通水前までの試験が終了し、10 月 18 日より水・蒸気系設備を保管状
態としている。
「水・蒸気系設備機能確認試験」の試験項目は以下のとおりである。
水・蒸気系機能確認試験
概 要
状 況
試験名
復水・給水・補給水系 復水・給水・補給水系を運転し、各機器の運転状態を確 平成23年2月15日開始
運転試験
認する。
平成23年8月25日終了
復水脱塩装置運転試験 弁作動試験、復水脱塩装置通水試験等を実施し、各機器 平成23年4月26日開始
の運転状態を確認する。
平成23年7月5日終了
蒸気発生器廻り水・蒸 弁作動試験、蒸発器通水試験等を実施し、各機器の運転 平成23年8月24日開始
気系運転試験
状態を確認する。
平成23年10月18日中断
蒸発器ウォーミング操 ウォーミング操作が正常に実施できることを確認する。 未実施
作確認試験
主蒸気系(含抽気系・ 空気抽出系を運転し、復水器真空度が上昇することを確 平成23年6月30日開始
空気抽出系)運転試験 認する。
平成23年10月18日中断
蒸気タービン運転試験 グランド蒸気系を運転し、各機器の運転状態を確認する
。
発電機運転試験
発電機ガス設備作動試験、固定子冷却水系運転試験等を
実施し、各機器の運転状態を確認する。
原子炉制御系機能確認 プラント制御系の指令に従い、給水調節弁および過熱器
試験
バイパス弁が正常に動作することを確認する。
水漏えい検出設備運転 蒸発器通水時の水素濃度変化を測定する。
試験
冷却系総合運転試験
低温停止状態から通水待機状態、通水待機状態から低温
停止状態へ移行できることを確認する。
平成23年5月26日開始
平成23年5月30日終了
平成23年5月18日開始
平成23年10月18日中断
平成23年8月9日開始
平成23年8月10日終了
未実施
未実施
(4)炉内中継装置引抜き・復旧工事
○炉内中継装置の落下発生
(独)日本原子力研究開発機構は、平成 22 年5月6日 10 時 36 分に原子炉を起動して性能試
験の第1段階に当たる炉心確認試験を開始し、5月8日 10 時 36 分に原子炉が臨界に達した。
その後、炉心確認試験を7月 22 日まで実施し、予定していた 20 項目全ての試験を完了した。
8月 26 日、燃料交換後の片付け作業として、燃料交換時に使用した炉内中継装置を原子炉
容器内から取り出す作業を実施していたところ、炉内中継装置が落下する事象が発生した。調
査の結果、炉内中継装置を吊り上げるためのグリッパ部の不具合により、グリッパの爪が十分
開かなかったためと推定された。その後、グリッパの不具合への対策を行い、10 月 13 日に再
度吊り上げ作業を行ったところ、約 2.3m吊り上げた時点で予め設定した警報設定値まで吊り
上げ荷重が増加したため作業を中断した。
○炉内中継装置の引抜き・復旧作業の検討
平成 22 年 11 月 17 日、原子力機構は、炉内中継装置の内外面からの観察等を行った結果、
炉内中継装置の上部案内管と下部案内管の接続部が張り出しており、吊り上げ時に燃料出入口
孔スリーブと干渉するために、通常の方法では炉内中継装置を引き抜くことができないと判断
し、炉内中継装置と燃料出入孔スリーブを一体で引き抜く方針を決定した。
県は、炉内中継装置の落下トラブルが発生し、復旧が長期化しており、県民に新たな不安を
与えていること等を踏まえ、12 月 16 日に開催した「もんじゅ関連協議会」において、髙木文
部科学大臣、大畠経済産業大臣に対し、もんじゅの安全確保等について要請を行った。両大臣
からは、「もんじゅ」の安全確保について、国の責任として前面に立って進めていくとの方針
が示された。
同日、原子力機構は炉内中継装置と燃料出入孔スリーブを一体で引き抜く手順を取りまとめ
るとともに、工程の見直しを行い、平成 23 年度内の 40%出力プラント確認試験開始を目指す
方針を公表した。
原子力機構は、炉内中継装置落下に係る引抜き・復旧作業について、安全性の確保と向上を
多角的な観点で検討するため第3者の専門家からなる「炉内中継装置等検討委員会」を設置し、
作業手順や安全管理、作業における品質管理等について検討し、作業要領書への反映等を行う
とともに、工場でのモックアップ試験による事前の作業性確認などを行った上で、平成 23 年
2月 21 日、炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜きに係る準備作業に着手した。
○炉内中継装置引抜き作業の実施
平成 23 年5月 23 日、県の「もんじゅ総合対策会議」において、炉内中継装置引抜きに係る
文部科学省の対応と原子力機構の取組状況について説明があり、県は、原子力機構に対し、炉
内中継装置の復旧作業は、通常の作業とは異なる手順やステップを踏んで実施するため、安全
を最優先に一つ一つの作業を慎重かつ確実に進めるよう要請した。また、文部科学省に対して
は、原子力機構の日々の組織運営や安全活動はもちろんのこと、原子力機構が復旧作業におい
て、トラブルを発生させたり、ヒューマンエラー等を起こしたりしないよう、厳格に監視・監
督を行うように要請した。
5月 24 日、原子力機構は、炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜きに向けた作業
を開始し、6月 24 日に引抜き作業を完了した。その後、引き抜いた炉内中継装置と燃料出入
孔スリーブの分解点検調査を実施するとともに、炉内中継装置の落下による影響評価に着手し
た。その後、8月 29 日、炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜き作業のため一時的
に取り外していた原子炉容器上部の設備を戻す作業を開始し、11 月 11 日に作業を終了した。
県は、8月 23 日に原子力機構から、炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜き作業
の完了と設備全体の安全性を確保するための原子炉容器上部の復旧作業について報告を受け
るとともに、今後、引き抜いた炉内中継装置の点検・調査状況、炉内中継装置の落下による原
子炉容器内設備の健全性について詳細に評価を行っていくとの報告を受けた。県としては、落
下した装置が原子炉容器内の設備に対してどのような損傷を与えたのか詳細に調査・検証し、
慎重に評価するとともに、原子炉容器上部の復旧作業にあたっては、安全を最優先に一つ一つ
の作業を慎重に進めるよう求めた。
○炉内中継装置の落下に係る原因と対策等の報告
平成 24 年3月9日、原子力機構は、原子炉容器から引抜いた炉内中継装置についての点検・
調査、および炉内構造物に関する影響評価、炉内中継装置の落下に係る再発防止対策などの検
討を行い、これらの結果をとりまとめ、国および県へ報告した。
原子力安全・保安院は、本報告を受け、4月2日に原子力機構が提出した炉内中継装置の落
下に係る原因と対策等の報告書について、その内容は妥当であると判断した。また、設計に関
する技術的レビュー等が不十分であったことに対する根本原因分析を実施するよう指示した。
これに対し、原子力機構は、6月 15 日、根本原因分析結果をとりまとめ、国に報告書を提出
した。
県としては、報告内容や新しい炉内中継装置の機能確認について、県原子力安全専門委員会
において、慎重に審議を行っていくこととし、9月6日に県原子力安全専門委員会を開催し、
炉内中継装置の落下に係る原因と再発防止対策および炉内への影響評価について審議した。
○新炉内中継装置の据付と復旧工事の完了
平成 24 年5月 28 日、原子力機構は、落下した炉内中継装置に代わる新しい炉内中継装置を
原子炉内に据え付けた。6月 21 日に炉内中継装置の機能確認試験を行い、国の使用前検査に
合格した。その後、7月4日に原子力機構は、機能確認試験を終了した炉内中継装置を原子炉
内から引抜く作業を完了した。
8月8日、保安院は、炉内中継装置落下に伴う設備への影響についての評価並びに炉内中継
装置落下に関する根本原因分析についての評価を取りまとめ、落下に伴う設備への影響は認め
られないこと、炉内中継装置に係る検査・確認において燃料交換機能が正常に発揮できること
が確認された。また、根本原因分析については、適切に行われているが、対策の確実な実行に
際し、研究開発炉のために設計や保守管理等に係るノウハウの蓄積が少ないという特殊性等に
留意すべきと評価された。
県としては、同日、文部科学省と原子力機構から炉内中継装置の落下に係る復旧工事が完了
したことについて報告があり、異常時終結連絡書の提出を受けた。
高速増殖原型炉もんじゅ
炉内中継装置落下に係る主な経緯
平成22年
5月6日
5月8日
7月22日
8月26日
11月17日
原子力機構は性能試験のうち第1段階に当たる炉心確認試験を開始
「もんじゅ」が臨界に到達
原子力機構は性能試験のうち第1段階に当たる炉心確認試験を終了
燃料交換後の片づけ作業中に炉内中継装置が落下
原子力機構は炉内中継装置を通常の方法により引き抜くことができないと判断し、炉内中継装置
と燃料出入孔スリーブを一体で引き抜く方針を決定
12月16日
国は、文部科学大臣、経済産業大臣と知事の3者による「もんじゅ」関連協議会を開催し「もん
じゅ」の安全確保、地域振興等に対する国の方針等を確認
原子力機構は炉内中継装置と燃料出入孔スリーブを一体で引き抜く手順を取りまとめ今後の工
程の見直しを実施
平成23年
1月18日
2月21日
2月24日
5月10日
5月23日
5月24日
8月23日
8月24日
8月29日
9月30日
11月11日
平成24年
1月26日
3月9日
3月27日
6月15日
6月21日
7月19日
8月8日
原子力機構は「第1回炉内中継装置等検討委員会」を開催
炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜き・復旧工事開始(準備作業に着手)
原子力機構は「第2回炉内中継装置等検討委員会」を開催
原子力機構は「第3回炉内中継装置等検討委員会」を開催
県は「もんじゅ総合対策会議」を開催
原子力機構は炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜きに向けた作業を開始し、6月 24
日に引抜き作業を完了、引き抜いた炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの分解点検調査を実施
原子力機構から県に対し、炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜き作業の完了と設備全
体の安全性を確保するための原子炉容器上部の復旧作業について報告
原子力機構は「第4回炉内中継装置等検討委員会」を開催
炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜き作業のため一時的に取り外してい
た原子炉容器上部の設備を戻す作業(原子炉容器上部の復旧作業)を開始
文部科学省から県に対し、平成 24 年度概算要求を説明、今後の取り組みとして平成 23 年度に予
定していた 40%出力試験の実施については、来年夏を目途に策定される新原子力政策大綱の方向
性を踏まえて判断するとの説明
炉内中継装置と燃料出入孔スリーブの一体引抜き作業のため一時的に取り外していた原子炉容
器上部の設備を戻す作業(原子炉容器上部の復旧作業)を終了
原子力機構は「第5回炉内中継装置等検討委員会」を開催
原子力機構は原子力安全・保安院へ炉内中継装置の落下に係る原因と対策等について報告
原子炉上部機器等の据付状態に関する国の検査を受検し、原子炉上部の復旧作業が完了
原子力機構は原子力安全・保安院へ炉内中継装置の落下による変形に係る根本原因分析の拡充お
よび対策について報告
炉内中継装置の機能確認(国による使用前検査受検)
原子力安全・保安院は原子炉施設の事故・トラブルに対する INES(国際原子力・放射線事象評価
尺度)評価を行い、「0-(原子炉施設の安全性に影響を与えない事象)」と判断
原子力安全・保安院は炉内中継装置落下に伴う設備への影響についての評価並びに炉内中継装置
落下に関する根本原因分析についての評価を取りまとめ
文部科学省および原子力機構から県に対し、炉内中継装置の落下に係る復旧工事が完了したこと
を報告
炉内中継装置の落下に係る復旧完了
(5)屋外排気ダクト取替え工事
平成 20 年9月に見つかった原子炉補助建屋の屋上に設置している屋外排気ダクトの腐食孔に
係る恒久対策として、平成 23 年4月4日から当該ダクトの取替え工事および付帯工事(点検歩
廊の設置、雨避け屋根の設置等)を開始、10 月 15 日に完了した。
参考資料
(1)建設までの経緯
項
目
電源開発調整審議会に代わる閣議了解
申
原
子
炉
設
年月日
請
S55.12.10
申請書一部補正
S56.12.28
申請書一部補正
S58. 3.14
ダブルチェック諮問
S57. 5.14
原子力安全委員会答申
S58. 4.25
原子力委員会答申
S58. 4.26
許
可
S58. 5.27
設計及び工事の方法認可(1次)申請
S59.12. 1
工事計画認可(1次)申請
S59.12.12
原子炉設置変更許可申請
S60. 2.18
設計及び工事の方法認可(1次)
S60. 8. 2
工事計画認可(1次)
S60. 9. 6
原子炉設置変更許可
S61. 3.25
原子炉設置変更許可申請(2回目)
S61. 9.29
原子炉設置変更許可
(2回目)
S62. 2. 6
原子炉設置変更許可申請(3回目)
H 2. 7. 5
原子炉設置変更許可
(3回目)
H 3. 2.19
原子炉設置変更許可申請(4回目)
H13. 6. 6
原子炉設置変更許可
(4回目)
H14.12.26
原子炉設置変更許可申請(5回目)
H18.10.13
原子炉設置変更許可
H20. 2.19
可
内閣総理大臣から原子力安全委員会
および原子力委員会に諮問
S57. 7. 2
許
考
S57. 5.14
公開ヒアリング
置
備
(5回目)
2次主循環ポンプ、1次アルゴンガス系設備の変更
洗濯廃液処理系統の変更
試験用集合体の追加
ナトリウム漏えい対策等
初装荷燃料の変更計画
(2)建設状況
年月日
概
要
S58. 4. 1 発電所敷地造成工事開始
S60.10. 7 原子炉建物および原子炉補助建物建築特認
S60.10.16 危険物取扱所設置許可(原子炉建物・原子炉補助建物)
S60.10.23 特別地域内工作物新築許可(原子炉建物・原子炉補助建物等主要建物)
S60.10.25 原子炉建物・原子炉補助建物、タービン建物、ディーゼル建物、メンテナンス・廃棄物建物建築確認
S60.10.25 基礎掘削開始
S61. 1.13 原子炉建物基盤検査(岩検)開始(5回分割受検)
S61. 5. 8 原子炉建物基盤検査(岩検)終了
S61. 6. 1 77kV工事用変電所受電開始
年月日
概
要
S61. 7. 1 原子炉格納容器建方開始
S62. 1.17 原子炉格納容器上部半球部据付開始
S62. 4. 8 循環水管工事開始
S62. 4.24 原子炉格納容器耐圧漏えい試験完了
S62. 9. 1 メンテナンス・廃棄物処理建物、タービンおよびディーゼル建物工事開始
S63. 2.19 原子炉容器室内ナトリウム貯留槽据付終了
S63. 6.30 原子炉容器ガ―ドベッセル据付
S63.10.24 原子炉容器据付
S63.11.24 1次主冷却系主循環ポンプガードベッセル、1次主冷却系中間熱交換器ガードベッセル据付
元. 7.13
1次主冷却系中間熱交換器据付
元. 8.25
2次主冷却系過熱器据付
元.10. 5
2次主冷却系蒸発器据付
元.12.23
1次主冷却系主循環ポンプ据付
H 2. 3. 1 原子炉容器しゃへいプラグ据付
H 2. 4.18 275kV受電開始
H 2. 6.26 タ-ビン本体の据付
H 2. 8. 8 燃料交換装置本体据付
H 2.11.20 固体廃棄物貯蔵庫躯体工事開始
H 3. 3.22 ナトリウム搬入開始(第1回)
H 3. 3.29 メンテナンス・廃棄物処理建屋工事完了
H 3. 4.23 初装荷用ブランケット燃料(177体)搬入
H 3. 5.18 主要機器の据付完了
H 3. 5.18 総合機能試験(常温空気中試験)開始
H 3. 5.18 模擬炉心構成開始
H 3. 6.16 2次主冷却系予備昇温試験の配管熱変位測定で問題があることが判明
H 3. 7. 1 2次系オーバフロータンクのナトリウム受入れ開始
H 3. 8.23 1次系ダンプタンクのナトリウム受入れ開始
H 3. 9. 1 総合機能試験(アルゴンガス中試験)開始
H 3.10.14 炉外燃料貯蔵層オーバフロータンクのナトリウム受入れ開始
H 3.11. 7 ナトリウム搬入完了(第23回:約1,700トン)
H 3.11. 7 総合機能試験(ナトリウム中試験)開始:原子炉容器へのナトリウム充填開始
H 3.11.15 配管熱変位に関する工事認可申請(H3.12.18:認可)
H 3.12.25 2次系配管熱変位対策工事開始(H4. 3.31:完了)
H 4. 4.27 2次系配管熱変位対策完了に係る2次主冷却系へのナトリウム再充填開始
H 4. 4.30 ナトリウム中での制御棒駆動機構試験開始
H 4. 5.11 ナトリウム中での燃料取扱試験(炉内燃料移送試験)開始
H 4. 7. 7 第1回初装荷用炉心燃料(内側:24体)輸送
H 4. 8.31 ナトリウム中での冷却系総合試験開始
年月日
概
要
H 4. 9. 4 第2回初装荷用炉心燃料(内側:24体)輸送
H 4. 9.22 固体廃棄物貯蔵庫工事完了
H 4.11.13 第3回初装荷用炉心燃料(内側:24体)輸送
H 4.12.16 第4回初装荷用炉心燃料(内側:24体)輸送
H 4.12.16 総合機能試験終了:原子炉格納容器漏えい率試験(ナトリウム充填後)終了
H 4.12.17 性能試験(プラント特性予備試験)開始
H 5. 2. 7 プラント特性予備試験(昇温確認試験)開始
H 5. 3.19 第5回初装荷用炉心燃料(内側:13体、外側:11体)輸送
H 5. 5.18 第6回初装荷用炉心燃料(内側:17体)、試験用集合体A(内側炉心用:3体)輸送
H 5. 6.16 プラント特性予備試験(2次コールドトラップ再生評価試験)終了
H 5. 6.17 総点検開始
H 5. 7.29 総点検終了
H 5. 7.30 燃料装荷準備開始
H 5.10. 8 第7回初装荷用炉心燃料(外側:24体)輸送
H 5.10.11 燃料装荷準備終了
H 5.10.12 臨界試験開始(中性子源集合体装荷)
H 5.10.13 炉心燃料集合体装荷開始
H 5.10.22 試験用集合体B(ブランケット用:3体)輸送
H 5.12.21 第8回初装荷用炉心燃料(外側:20体)輸送
H 6. 3. 4 第9回初装荷用炉心燃料(外側:19体)、試験用集合体A(外側炉心用:2体)輸送
H 6. 4. 5 初臨界達成
H 6. 5.20 臨界試験終了(炉心燃料装荷作業終了)
H 6. 5.21 炉物理試験開始
H 6.11.15 炉物理試験終了
H 6.11.16 設備点検開始
H 7. 2.16 設備点検終了
H 7. 2.17 起動試験開始(核加熱試験)
H 7. 3.15 起動バイパス系統フラッシュタンク圧力低下現象のため原子炉手動停止
H 7. 4. 3 起動バイパス系統の改良工事開始(H8. 4.25:完了)
H 7. 5. 8 原子炉起動(起動試験再開)
H 7. 5.22 給水制御系試験中の給水流量の変動に伴う原子炉自動停止
H 7. 6.12 原子炉起動(起動試験再開)
H 7. 6.23 取替用ブランケット燃料(34体)輸送
H 7. 6.30 原子炉出力約40%到達
H 7. 7. 4 第1回取替用炉心燃料(内側:24体)輸送
H 7. 7.27 タービン定格回転数到達
H 7. 8.29 初併入(出力試験開始)
H 7.10.13 電気出力約40%到達
年月日
概
要
H 7.12. 1 第1回取替用炉心燃料(内側:19体、外側:5体)輸送
H 7.12. 8 2次主冷却系ナトリウム漏えい事故
H 8. 3.18 平成7年度設備点検開始
H 8. 8. 4 平成7年度設備点検終了
H 8.10.14 安全総点検(実施本部設置)
H 8.12.18 安全総点検開始
H 9. 3. 3 平成8・9年度設備点検開始
H 9. 9.10 科学技術庁より原子炉の運転停止命令(平成9年9月11日~平成10年9月10日)
H 9.12.11 平成8・9年度設備点検終了
H10. 5.29 安全総点検実施結果を公表
H10. 9.28 平成10・11年度設備点検開始
H11. 9.17 平成10・11年度設備点検終了
H12.10.16 平成12年度設備点検開始
H13. 3.23 平成12年度設備点検終了
H13. 9. 8 平成13・14年度設備点検開始
H15. 2.20 平成13・14年度設備点検終了
H15. 5. 6 平成15年度設備点検開始
H16. 3.12 平成15年度設備点検終了
H16. 7. 5 平成16年度設備点検開始
H17. 3.30 平成16年度設備点検終了
H17. 5.16 平成17年度設備点検開始
H17. 9. 1 ナトリウム漏えい対策工事開始
H18. 3.30 平成17年度設備点検終了
H18. 4. 3 平成18年度設備点検開始
H18.12.18 ナトリウム漏えい対策工事確認試験開始
H19. 2.19 原子炉建物基礎地盤ボーリング調査開始
H19. 3.30 平成18年度設備点検終了
H19. 4. 2 平成19年度設備点検開始
H19. 5.23 ナトリウム漏えい対策工事完了
H19. 8.30 ナトリウム漏えい対策工事確認試験完了
H19. 8.31 プラント確認試験開始
H20. 3.28 平成19年度設備点検終了
H20. 5.16 第1回初装荷燃料Ⅱ型(18体)輸送
H20. 7.18 第2回初装荷燃料Ⅱ型(14体)輸送
H20.12.16 第3回初装荷燃料Ⅲ型(6体)輸送
H21. 3. 9 屋外排気ダクト補修工事開始
H21. 5.27 屋外排気ダクト補修工事完了
H21. 6. 1 プラント確認試験再開
年月日
概
要
H21. 6.24 燃料集合体等の交換開始
H21. 7.12 燃料集合体等の交換終了
H21. 8.12 プラント確認試験終了
H21. 8.13 性能試験前準備・点検の開始
H21.10.30 第4回初装荷燃料Ⅲ型(18体)輸送
H22. 1.31 性能試験前準備・点検の終了
H22. 4. 1 水・蒸気系設備点検の開始
H22. 4.21 第5回初装荷燃料Ⅲ型(15体)輸送
H22. 5. 6 性能試験(炉心確認試験)開始(5月6日10時36分 原子炉起動、5月8日10時36分 臨界)
H22. 7.22 性能試験(炉心確認試験)終了
H22. 8.11 燃料集合体の交換開始
H22. 8.17 燃料集合体の交換終了
H22.10. 1 平成22・23年度設備点検(1次系・2次系等)開始
H22.12.28 水・蒸気系設備点検の終了
H23. 2.15 水・蒸気系設備機能確認試験の開始
H23. 2.21 屋外排気ダクト取替工事開始
H23. 2.21 炉内中継装置引抜き・復旧工事開始
H23.10.15 屋外排気ダクト取替工事完了
H23.10.18 水・蒸気系設備を保管状態に移行
H24. 7.31 平成22・23年度設備点検(1次系・2次系等)終了
H24. 8. 8 炉内中継装置引抜き・復旧工事終了
(3)プラント確認試験
平成 19 年8月 31 日より、長期間停止している機器・設備も含め、プラント全体の健全性確認
を行うプラント確認試験を実施し、平成 21 年8月 12 日に 141 項目全ての試験を完了した。主要
な確認内容については以下のとおりである。
a.燃料を安全に取り扱う機能の確認
燃料取扱設備について、各設備の機能確認を行った後、燃料取扱系計算機による自動運転等
により一連の燃料取扱機能を確認する試験や、燃料集合体に適切に冷却材が流れることを確
認する試験などを実施する。
b.原子炉を安全・安定に制御する機能の確認
制御棒駆動機構について、制御棒をつかんだ状態で引抜・挿入を行う駆動試験等を行い、正
常動作すること、及びスクラム試験を実施し、挿入が規定時間以内にできることを確認する
試験などを実施する。
c.原子炉を冷却する機能の確認
1次、2次主循環ポンプA、B、Cループの主モータによる起動特性、運転特性などの確認
を行い、安定してポンプが運転できることを確認する試験や、温度、流量に関する模擬信号
を入力し、所定の警報が発報すること、原子炉トリップ遮断器開信号等を入力し、インター
ロックが作動することを確認する試験などを実施する。
d.蒸気発生器の安全性および安全を監視する機能の確認
蒸気発生器の伝熱管について目視検査、アルゴンガス漏えい検査、渦流探傷試験により、蒸
気発生器の伝熱管に著しい減肉および腐食のないことを確認する試験などを実施する。
e.放射性物質の閉じ込め機能の確認
格納容器全体漏えい率試験を実施し、格納容器の漏えい率が許容値以下であることを確認す
る試験などを実施する。
f.非常用電源設備の電源供給機能の確認
外部電源がなくなった状態を模擬して、ディーゼル発電機が自動起動し、保安上必要とされ
る負荷が順次投入されることを確認する。
g.放射線監視及び管理する機能の確認
放射線監視装置(プロセスモニタリング設備、エリアモニタリング設備、固定モニタリング
設備)について、模擬信号を入力し、警報が正常に動作することを確認する試験などを実施
する。
(4)性能試験前準備・点検
平成 21 年 8 月 13 日から平成 22 年1月 31 日まで、原子炉が起動できる状態であることを確認
するための性能試験前準備・点検を実施した。主な試験項目については以下のとおり。
a.制御棒駆動機構関連試験
各制御棒を上限から下限位置間で駆動させ、正常に駆動することおよび駆動速度が既定値以
内であることを確認するとともに、上限位置からスクラム動作させ、全ストロークの 85%挿
入が 1.2 秒以内にできることを確認する。
b.原子炉格納容器全体漏えい率検査準備・実施
原子炉格納容器の漏えい率が許容値以下であることを確認する。
c.起動前点検
操作スイッチ、電源、弁等について正常であることを確認する。また、プラント状態につい
ても原子炉を起動できる状態であることを確認する。
(5)炉心確認試験
平成 22 年5月6日から平成 22 年7月 22 日にかけて、炉心の安全性や特性等を確認するため
炉心確認試験を実施した。炉心確認試験の項目数は 20 項目あり、制御棒の操作や循環ポンプの
運転等、プラント運転操作を伴う試験(10 項目)と伴わない試験 (10 項目)に分けることがで
きる。試験項目については以下のとおり。
プラント操作を伴う試験
試験名
制御棒価値確認
中性子計装特性試験
概
要
状
況
主炉停止系および後備炉停止系の各制御棒の反応度価値を測
5月6日開始
定する試験
5月29日終了
中性子計装設備について、検出器特性をプラントの実使用状
5月9日開始
態で確認する試験
5月9日終了
核出力校正確認
線源領域系中性子計装と広域系中性子計装による炉心の連続
5月9日開始
監視が可能なことを確認するため、オーバーラップ範囲およ
5月10日終了
び両者の比例関係を確認する試験
過剰反応度測定試験
反応度停止余裕測定試験
法令に基づく使用前検査を受検し、炉心が有している過剰反
5月31日開始
応度が安全上の技術基準を満たしていることを確認する試験
6月1日終了
法令に基づく使用前検査を受検し、炉心が有している反応度
6月1日開始
停止余裕が安全上の技術基準を満たしていることを確認する
6月3日終了
試験
流量係数評価
原子炉が臨界状態において、1次主冷却系流量を変化させ、
6月3日開始
流量変更前後の臨界制御棒位置を測定し、これと制御棒校正
6月14日終了
曲線から流量係数を求める試験
温度係数評価
フィードバック反応度
評価
1次主冷却系循環ポンプ
コーストダウン特性確認
未臨界度測定法適用性
評価
原子炉が臨界状態において、1次主冷却系温度を変化させ、
温度変更前後の臨界制御棒位置を測定し、これと制御棒校正
曲線から温度係数を求める試験
フィードバック反応度効果による自己安定化特性を確認する
試験
原子炉停止中に1次主冷却系循環ポンプを3ループ同時にト
リップさせ、1次主冷却系循環ポンプの コーストダウン特性
を確認する試験
高速炉における未臨界度測定法の開発のためのデータ取得を
行う試験
6月4日開始
6月14日終了
6月16日開始
6月19日終了
6月19日開始
7月22日終了
7月6日開始
7月20日終了
プラント操作を伴わない試験
試験名
空間線量当量率確認
ナトリウム純度確認
ナトリウム放射化量評価
アルゴンガス純度確認
放出放射性物質挙動評価
新型ナトリウム温度計
特性評価
圧力損失変化評価
燃焼係数評価
炉内中性子源効果評価
崩壊熱評価
概 要
管理区域、保全区域および周辺監視区域の外部放射線に係る
線量等量率等を測定し、基準を超えないことを確認する試験
ナトリウムのサンプリング・分析により、ナトリウムの純度
を確認する試験
1次系、2次系ナトリウムのγ核種分析の結果から、放射化
ナトリウム生成量およびナトリウム中濃度等を確認する試験
アルゴンガスサンプリング装置が所期の機能を満足すること
並びに1次系、2次系アルゴンガス中の不純物濃度が基準値
以内であることを確認する試験
運転に伴うトリチウムの挙動を把握し、その濃度が法令値以
下であることを確認する試験
「もんじゅ」配管における超音波温度計の系統温度変化時の
基本特性を把握するとともに、特性の長期的な変化、システ
ムの耐久性など、経年変化を確認するための基本データを取
得する試験
炉心を含む1次主冷却系の圧力損失の経時変化に関する基礎
データを取得する試験
Pu-241崩壊による反応度の減少傾向を測定する試験
中性子源強度の予測に資するため、原子炉停止時の中性子計
数率を測定し、外部中性子源と燃焼により生成された内部中
性子源の寄与を評価する試験
炉心確認試験において、出力上昇試験で行われる崩壊熱評価
に向けて予備的に冷却系の熱容量を評価する試験
状 況
5月11日開始
5月21日終了
5月17日開始
7月16日終了
5月17日開始
7月15日終了
5月18日開始
7月13日終了
6月2日開始
7月2日終了
6月4日開始
6月12日終了
5月7日開始
7月19日終了
5月8日開始
7月17日終了
7月6日開始
7月18日終了
6月5日開始
6月13日終了
16.敦賀発電所3,4号機
炉
型
定格電気出力
(1)
概
:
:
軽水減速軽水冷却・加圧水型(PWR)
153.8 万 kW(3,4号機とも)
要
平成 12 年2月 22 日に事前了解願いが提出された「敦賀発電所3,4号機増設計画」に
ついて、平成 14 年6月4日、資源エネルギー庁長官から、敦賀発電所3,4号計画を平成
14 年度の電源開発基本計画に組み入れることについて、知事意見の照会がなされた。
これを受けて県は、平成 14 年6月 13 日、知事意見書において、国において誠意と責任
ある対応がされることを前提として、敦賀発電所3,4号機増設計画を電源開発基本計画
に組み入れることに異存のない旨を回答した。また、知事意見書に明記した6項目につい
ては、要望書として取りまとめ、内閣総理大臣等に要望を行った。
平成 14 年7月 12 日、総合資源エネルギー調査会電源開発分科会が開催され、敦賀発電
所3,4号機増設計画を、国の電源開発基本計画に組み入れることが了承され、同年8月
2日、経済産業省は、敦賀発電所3,4号機増設計画の平成 14 年度電源開発基本計画への
組み入れを決定した。
平成 14 年 12 月 25 日、県は、敦賀発電所3,4号機増設計画について了解した。その後、
日本原子力発電㈱(以下「日本原電」という)は、電力自由化の進展に対応した計画の見
直しとして、設計や建設工法の合理化による建設費の低減や、運転開始時期の変更等を行
った。
県は、事前了解時に国と日本原電に対して要請した安全確保と地域振興等について、取
組状況を確認するとともに、変更後の建設計画に基づき、着実に建設を進めていくことを
確認したうえで、平成 16 年3月 29 日、国への原子炉設置変更許可申請手続き、準備工事
に係る県への許認可申請手続きを進めることについて了承した。
日本原電は、敦賀発電所3,4号機の増設について、平成 16 年3月 30 日、国に原子炉
設置変更許可申請を行うとともに、県に準備工事に必要な各種許認可の申請手続きを行っ
た。なお、3,4号機増設に伴い、敦賀発電所の送受電系統設備の構成を変更することか
ら、敦賀発電所2号機についても、非常用電源設備の受電系統の変更に係る原子炉設置変
更許可申請を行った。
平成 16 年7月2日、準備工事開始に必要な許認可手続きが終了したため、護岸・防波堤
の構築等の準備工事を開始した。
平成 17 年2月 22 日、原子力安全・保安院は、敦賀発電所の敷地周辺の活断層に関する
追加調査を行うよう指示した。これを受け、日本原電は、敷地周辺の海上音波探査やボー
リング調査などを開始した。
平成 18 年9月 19 日付けで原子力安全委員会は「発電用原子炉施設の耐震設計審査指針」
等の耐震安全性に係る安全審査指針類を改訂した。これを受け、日本原電は、敷地近傍に
おいて精度の高い詳細な調査を行った。これらの対応のため、平成 18 年 11 月 28 日、建設
工程の変更を行った。
平成 20 年3月 31 日、日本原電は、原子力安全・保安院に対し、敦賀発電所3,4号機
の安全審査における追加調査結果の報告を行った。
平成 21 年6月9日、準備工事における敷地造成工事が完了し、公有水面埋立法に基づく
竣功認可申請を行なった。県は、平成 21 年7月 14 日にこれを認可した。
平成 21 年 10 月 16 日、日本原電は、平成 18 年9月に改訂された「発電用原子炉施設の
耐震設計審査指針」の適用、および、これまでの審査実績、設計進捗等の反映のため、国
に対し、原子炉設置変更許可の補正申請を行なった。
平成 22 年 10 月 21 日、原子力安全・保安院による安全審査が継続中であることから、日
本原電は、県および敦賀市に対し、敦賀発電所3,4号機の着工延期に係る報告を行った。
平成 22 年 12 月3日、日本原電は、補正申請後の安全審査の過程において、国から原子
炉建屋周辺斜面の地震時におけるすべり安定性に関する指摘があったことを踏まえ、斜面
の安定性を更に向上させるための追加工事を行うこととし、原子炉設置変更許可申請の一
部補正を行った。
平成 23 年2月2日、日本原電は、電気事業法に基づく平成 22 年度供給計画変更届出書
を国に提出し、敦賀3,4号機の着工時期を平成 22 年 10 月から平成 24 年3月に、営業運
転開始時期を3号機は平成 28 年3月から平成 29 年7月に、4号機は平成 29 年3月から平
成 30 年7月に変更したとの報告を県に行った。
平成 24 年3月 27 日、日本原電は、経済産業省に平成 24 年度供給計画を届出し、敦
賀発電所3,4号機の着工年月および使用開始年月については、今後の国におけるエネ
ルギー政策、安全規制に係る状況等を踏まえ、記載することとした。
〈敦賀発電所3,4号機の増設計画概要〉
位置
電気出力
福井県敦賀市明神町1番地
3号機 153.8万kW(原子炉熱出力446.6万kW)
4号機 153.8万kW(原子炉熱出力446.6万kW)
原子炉の型式
着工
改良型加圧水型軽水炉
3号機 ※
4号機 ※
使用開始年月 3号機 ※
4号機 ※
※着工年月および使用開始年月については、今後の国におけるエネルギー政策、安
全規制に係る状況等を踏まえ、供給計画に記載予定。(平成 24 年3月 27 日現在)
(2)建設までの経緯
項
目
年
月
日
備
考
県、敦賀市へ事前了解願いを提出
環境影響評価書
経済産業大臣へ提出
第1次公開ヒアリング
平成12. 2.22
平成13.12.25
県、資源エネルギー庁長官へ
知事意見書を提出
平成14. 6.13
平成14. 6. 4 資源エネルギー
庁長官から増設に係る意見照会
総合資源エネルギー調査会
電源開発分科会
平成14. 7.12
電源開発基本計画に組み入れを
了承
電源開発基本計画決定
平成14. 8. 2
県、敦賀市
平成14.12.25
原
子
炉
設
置
変
更
許
可
事前了解
平成14. 2.22
申請
平成16. 3.30
申請書一部補正
平成21.10.16
平成22.12. 3
ダブルチェック諮問
(---------)
第2次公開ヒアリング
(---------)
原子力安全委員会答申
原子力委員会答申
許可
平成14. 1.16
経済産業大臣から確定通知受領
(---------)
(---------)
電気工作物変更届
(---------)
工事計画認可申請
(---------)
工事計画認可
(---------)
(3)準備工事開始までの経緯
項
目
年
月
日
準備工事開始に係る許認可申請
平成16. 3.30
準備工事開始に係る許認可
平成16. 6.29
準備工事開始
平成16. 7. 2
備
考
17. 原子炉廃止措置研究開発センター(ふげん)
炉
型
(1)概
:
重水減速軽水冷却・圧力管型(ATR)
要
新型転換炉ふげん発電所は、平成 15 年3月 29 日に運転を終了し、平成 20 年2月 12 日に廃止措
置計画が認可されたことを受け、原子炉廃止措置研究開発センターに改組された。
≪廃止措置計画の主な経緯≫
平成 15 年3月 29 日 運転終了
平成 15 年6月 26 日 自家用電気工作物廃止報告書の提出
平成 16 年2月 20 日 原子炉の運転に関する承認(原子炉に燃料を再度装荷できないようにする措置)
平成 18 年 11 月7日 廃止措置計画認可申請
平成 20 年2月 12 日 廃止措置計画認可
平成 24 年3月 22 日 廃止措置計画変更届出
当初の廃止措置計画では平成 40 年度の完了を目指すとしていたが、使用済燃料の搬出先である
東海研究開発センター再処理施設の運転再開が平成 25 年度となる予定であることを踏まえて計画
を変更し、平成 24 年3月 22 日に国や県に報告した。
廃止措置工程
変更前(終了年度)
変更後(終了年度)
使用済燃料搬出期間
平成 24 年度
平成 29 年度
原子炉周辺設備解体撤去期間
平成 29 年度
平成 34 年度
原子炉本体解体撤去期間
平成 38 年度
平成 43 年度
建屋解体期間
平成 40 年度
平成 45 年度
平成 23 年 12 月1日から平成 24 年3月 23 日にかけて、第 24 回定期検査を実施し、使用済燃料
の取扱いまたは貯蔵に関係する設備について、原子炉等規制法に基づく国の検査を受けた。
廃止措置に係る作業として、平成 23 年度については、復水器等の解体撤去や重水系・ヘリウム
系等の汚染除去工事等を実施した。また、運転で使用した重水(運転終了時 約 240 トン)を再使
用のためにカナダへ搬出することとしており、平成 23 年度も搬出先の受入基準を満たすために重
水に含まれるコバルト-60 を除去した上で、重水約 40 トンを搬出した(累計搬出量 約 240 トン)。
なお、使用済燃料については、平成 23 年度は輸送を実施していない。
「ふげん」を活用した研究開発については、文部科学省の委託を受けた(財)原子力安全技術セン
ターが「試験研究炉等廃止措置安全性実証等(研究開発段階炉の調査)」を継続しており、平成 23
年度は、平成 22 年度と同様に除染技術に係る試験として、試料の加工と除染試験を平成 24 年2月
15 日まで実施した。
(財)若狭湾エネルギー研究センターは、民間企業との共同研究として、小型レーザー除染装置の
実地試験を平成 24 年2月 29 日から平成 24 年3月9日まで実施した。
また、(独)原子力安全基盤機構の委託事業として(独)原子力研究開発機構が継続的に実施してい
る高経年化のための調査研究に関して、平成 23 年度は、機械特性試験データの拡充を目的とした
試験装置の導入、ステンレス鋳鋼の機械特性試験や高経年化分析室(ホットラボ)を活用した金属組
織観察を平成 23 年8月 29 日から平成 24 年3月 16 日まで実施した。
廃止措置作業
解体撤去
○復水器等の解体撤去
工事
・B復水器中部胴等の解体撤去
汚染除去
○原子炉補助建屋および原子炉建屋機器の残留重水回収
工事
・原子炉建屋内計装機器・配管等の残留重水回収
実施期間
H24. 8.29
~
継続中
H24. 9.27
~
継続中
H24. 2.27
~
継続中
・カランドリアタンク等のトリチウム除去
H21. 2.16
~
継続中
○汚染状況等の調査
H24. 6.21
~
継続中
○原子炉補助建屋機器のトリチウム除去
・重水浄化系のトリチウム除去
○原子炉建屋機器のトリチウム除去工事
その他
≪参考:これまでの廃止措置作業実績≫
廃止措置作業
実施期間
解体撤去
○第3・4給水加熱器等の解体撤去工事
H20. 5.14
~ H20.11.26
工事
○第5給水加熱器等の解体撤去工事
H21. 8.21
~ H22. 2.16
○主蒸気管等の解体撤去工事
H20. 7. 4
~ H21. 1.16
○タービン補器冷却系熱交換器等の解体
H21. 1.28
~ H21. 3.11
○復水器周辺機器等の解体撤去工事
H22.9.6 ~ H23. 3.25
○復水器等の解体撤去工事
H23. 9.12
~ H24. 3.21
汚染除去
○重水循環ポンプ用熱交換器のトリチウム除去工事
H20. 5.14
~ H20.12.19
工事
○ヘリウム浄化系等の残留重水回収およびトリチウム除
H21. 1.26
~ H22.11.30
H21.10. 5
~ H22. 3.16
H22.11.24
~ H23. 5.20
・ポイズン供給系等の残留重水回収
H22. 9. 6
~ H22.11.12
・劣化重水貯槽等の残留重水回収
H23. 5.10
~ H23. 9. 6
・重水貯槽等の残留重水回収
H23. 7.25
~ H24. 3.21
去工事
○残留重水回収工事
・重水浄化系等の残留重水回収
○原子炉補助建屋機器のトリチウム除去工事
・ポイズン供給系等のトリチウム除去
~
H23. 2.21
○放射性腐食生成物の除去工事
・重水循環ポンプ用熱交換器の放射性腐食生成物
の除染
~ H23. 9.29
~
H21.12.22
~ H22. 3.25
H22.12. 1
~ H23. 3.11
廃止措置作業
その他
○汚染状況等の調査
実施期間
H20. 8. 1
~ H21. 3.30
H21. 4. 8
~ H22. 2.26
H22. 6.22
~ H23. 3.16
H23. 6.23
~ H24. 3.13
作業項目
廃止措置計画における各期間
使用済燃料搬出期間
年度
平成23年度(2011年度)
月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
1. 年間廃止措置作業
(1) 使用済燃料の搬出
(なし)
(2) 重水の搬出
① 重水搬出
② 重水搬出準備作業(Co-60除去、有機物濃度、電気伝導度の低減)
(3) 主要施設・設備の解体撤去工事
① 原子炉冷却系統施設解体撤去工事
a) タービン設備等の機器の解体撤去
a‐1)復水器等の解体撤去
(4) 主要設備・機器における核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物による
汚染の除去工事(除染試験を含む)
① 重水系・ヘリウム系等の汚染の除去工事
a) 残留重水回収及びトリチウム除去
a‐1)原子炉補助建屋及び原子炉建屋機器の残留重水回収
a‐2)原子炉補助建屋機器のトリチウム除去
a-3)原子炉建屋機器のトリチウム除去
イ)カランドリアタンク等の常温通気乾燥によるトリチウム除去
ロ)遮へい冷却水の抜出し等作業
;計画
;実績
備考
原子炉廃止措置研究開発センター年間廃止措置作業実績
2月
3月
復水器の一部及び
周辺機器・配管類
(H22 年度済)
タービン建屋
復水器B上部機器・配管類
タービン建屋
原子炉格納容器
タービン設備
(原子炉建屋)
主蒸気管及びタービン主要弁
(H20年度済)
原子炉補助建屋
ヘリウム
浄化系
発電機
制御棒
第4給水加熱器
(H20 年度済)
原子炉
復水器
海水
第5給水加熱器
(H21 年度済)
重水系・ヘリウム系
第3給水加熱器
(H20 年度済)
排気筒
重水浄化系
燃料交換機
非常用炉心冷却系
復水貯蔵タンク
重水循環ポンプ
海水
原子炉補機冷却海水系
H23年度解体撤去工事範囲
:
H23年度汚染の除去工事範囲 :
蒸気放出プール
使用済燃料
プール水
貯蔵プール
冷却・浄化系
原子炉補助建屋
平成 23 年度原子炉廃止措置研究開発センター解体撤去工事及び汚染の除去工事範囲
廃止措置主要工程 (新旧対象表)
廃止措置準備期間
平成
15年度
(2003)
平成
16年度
(2004)
平成
17年度
(2005)
平成
18年度
(2006)
使用済燃料搬出期間
平成
19年度
(2007)
平成
20年度
(2008)
平成
21年度
(2009)
平成
22年度
(2010)
平成
23年度
(2011)
原子炉周辺設備解体撤去期間
平成
24年度
(2012)
平成
25年度
(2013)
平成
26年度
(2014)
平成
27年度
(2015)
平成
28年度
(2016)
平成
29年度
(2017)
建屋解体
期間
原子炉本体解体撤去期間
平成
30年度
(2018)
平成
31年度
(2019)
平成
32年度
(2020)
平成
33年度
(2021)
平成
34年度
(2022)
平成
35年度
(2023)
平成
36年度
(2024)
平成
37年度
(2025)
平成
38年度
(2026)
平成
39年度
(2027)
平成
40年度
(2028)
使用済燃料搬出
主
要
施
設
の
解
体
撤
去
原子炉冷却系統施設、計測制御系統施設 等の解体
核燃料物質取扱施設・貯蔵施設、重水系・ヘリウム系 等の解体
原子炉領域の解体
換気系解体
管理区域解除
建屋解体
汚
廃
染
棄
の
物
除
処
去
理
・
重水搬出、トリチウム除去
建屋除染
核燃料物質による汚染の除去
放射性廃棄物の処理処分
廃止措置準備期間
平成
15年度
(2003)
平成
16年度
(2004)
平成
17年度
(2005)
平成
18年度
(2006)
使用済燃料搬出期間
平成
19年度
(2007)
平成
20年度
(2008)
平成
21年度
(2009)
平成
22年度
(2010)
平成
23年度
(2011)
平成
24年度
(2012)
平成
25年度
(2013)
平成
26年度
(2014)
平成
27年度
(2015)
平成
28年度
(2016)
平成
29年度
(2017)
平成
30年度
(2018)
平成
31年度
(2019)
平成
32年度
(2020)
平成
33年度
(2021)
平成
34年度
(2022)
建屋解体
期間
原子炉本体解体撤去期間
原子炉周辺設備解体撤去期間
平成
35年度
(2023)
平成
36年度
(2024)
平成
37年度
(2025)
平成
38年度
(2026)
平成
39年度
(2027)
平成
40年度
(2028)
平成
41年度
(2029)
平成
42年度
(2030)
平成
43年度
(2031)
平成
44年度
(2032)
平成
45年度
(2033)
使用済燃料搬出
主
要
施
設
の
解
体
撤
去
原子炉冷却系統施設、計測制御系統施設 等の解体
核燃料物質取扱施設・貯蔵施設、重水系・ヘリウム系 等の解体
原子炉領域の解体
換気系解体
管理区域解除
建屋解体
汚
廃
染
棄
の
物
除
処
去
理
・
重水搬出、トリチウム除去
建屋除染
核燃料物質による汚染の除去
放射性廃棄物の処理処分
18. 原子力発電所に関する特記事項
(1)福島第一原子力発電所事故に係る対応について
平成 23 年3月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震と津波により、東京電力(株)福
島第一原子力発電所において、原子炉が冷却できず炉心燃料が溶融する過酷事故が発生
した。福島第一原子力発電所事故については、国および東京電力が事故の収束に向けた
様々な対応を行い、12 月 16 日、国は、福島第一原子力発電所1~3号機の原子炉が安定
状態(万一事故が発生した場合においても、敷地境界における被ばく線量が十分低いこ
と)に至ったと判断した。その後、
「東京電力(株)福島第一原子力発電所1~4号機の廃
止措置等に向けた中長期ロードマップ」を策定、廃止措置に向けて必要な現場作業や研
究開発等が進められている。
福井県は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、県内原子力発電所の安全確保に向け
た様々な対応をとっている。
①福島県への環境モニタリング支援
平成 23 年3月 12 日から職員を福島県に派遣し、モニタリングカー・可搬型モニタ
リングポストによる環境放射能測定等を実施した。また、ポケット線量計や可搬型モ
ニタリングポストなどの原子力防災資機材の提供を行った。
②福井県内の環境放射線モニタリングの強化
平成 23 年3月 15 日から福井県内の環境放射線モニタリング体制を強化し、浮遊じ
ん、降下物、水道水等の放射能濃度の測定を行った。これまでの測定では、福島第一
原子力発電所事故の影響と考えられるごく微量の放射性ヨウ素(I-131)や、放射性セシ
ウム(Cs-134、Cs-137)が検出されたが、環境安全上問題のないことを確認している。
また、食の安全と安心を確保するため、県内産の農畜産物として牛肉約 20 試料、県
内各市町で生産された米(コシヒカリなど)や稲わら約 120 試料について放射能測定を
実施した。その結果、全ての試料において放射性物質は検出されなかった。
③国への要請、対応
平成 23 年3月 14 日、県原子力安全専門委員会が、敦賀発電所、美浜発電所の現地
調査を行った。この結果等を踏まえ、3月 17 日、知事は経済産業大臣政務官に対し、
事故の原因究明と安全確保対策等に関する緊急要請を行った。また、3月 23 日には「も
んじゅ」の安全確保、環境放射能調査体制の強化等に関して文部科学省事務次官に対
して要請を行った。4月 19 日、知事は経済産業大臣に対し、今回の事故を踏まえた新
たな安全基準を示すこと等を要請した。さらに、5月4日に経済産業大臣が美浜発電
所を視察した際に、4月 19 日の要請事項を再度要請した。
国は、5月6日に、事業者が実施した緊急安全対策の確認結果およびその審査基準
を公表する一方で、中部電力に対して、浜岡原子力発電所の停止要請を行った。
5月 31 日、原発が立地する 14 道県で構成する「原子力発電関係団体協議会」は、
経済産業大臣に福島第一原発事故の原因について国が責任を持って示すこと、浜岡原
発の全面停止を要請した一方で他の原発は安全としたことについて安全基準などの判
断根拠を示すことを緊急要請した。
国は、6月7日にIAEAへの報告書を公表するとともに、事業者に対してシビア
アクシデントが発生した場合でも迅速に対応するための措置を講じるよう指示し、6
月 18 日、事業者からの報告に対して対応措置が適切に実施されていると評価した。そ
の後、停止中の原発の再稼働を立地地域に求めることとしていたが、7月6日、経済
産業大臣は、急遽全ての原子力発電所の安全性に関する総合的評価(ストレステスト)
を行い、この結果を定期検査で停止中のプラントの起動の前提にすることを表明した。
また、同日、原子力安全委員会委員長は経済産業大臣に対し、既設の発電用原子炉
施設について、設計上の想定を超える外部事象に対する頑健性に関して、総合的に評
価を行うことを要請し、そのための総合的な評価手法および実施計画を作成し、原子
力安全委員会に対して報告するよう要請を行った。7月 11 日には、内閣官房長官、経
済産業大臣および内閣府特命担当大臣の連名により、
「我が国原子力発電所の安全性の
確認について」が公表され、安全性に関する総合評価を一次評価と二次評価により行
うとされた。
これらを受け、原子力安全・保安院は、7月 15 日、21 日に原子力安全委員会に対し
て評価手法および実施計画案を報告し、同委員会の了承を得た。その後、国は7月 22
日、各事業者に対して、ストレステストを実施し、その結果を報告するよう指示した。
県は、定期検査中の原子力発電所の再稼働にあたっては、ストレステストだけでは
不十分であり、県の要請に国が応えなければ再稼働は認められないとする立場に変わ
りはなく、9月 15 日、改めて経済産業大臣および文部科学大臣に対して、地震や津波、
高経年化など福島事故の知見を反映した新たな安全基準を国として設定し、定期検査
で停止しているプラントの安全性を国が厳格に確認するよう要請を行った。また、10
月 19 日には内閣府特命担当大臣に対し、新たな安全基準で発電所の安全を確認するこ
とや、今後のエネルギー確保の展望と原子力発電の将来方向に対する国の責任ある見
解を早急に示すことなどを要請した。
一方、県内三事業者においては、関西電力が 10 月 28 日に大飯発電所3号機、11 月
17 日に同4号機についての一次評価結果をとりまとめ、原子力安全・保安院および県
に報告した。原子力安全・保安院は、これらの評価結果を審査するにあたり、有識者
から意見を聴取しつつ進めることとし、11 月 14 日に「発電用原子炉施設の安全性に関
する総合性評価(いわゆるストレステスト)に係る意見聴取会」を設置した。そして、
大飯発電所3、4号機のストレステストについて、意見聴取会での意見も踏まえ、平
成 24 年2月 13 日に審査結果を取りまとめ、原子力安全委員会に報告した。原子力安
全委員会は、外部有識者の参加を得た「発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評
価検討会」を開催して技術的観点から確認を行い、3月 23 日、大飯発電所3、4号機
のストレステストに関する原子力安全・保安院の報告の確認結果に関する見解を公表
した。
また、国は、本県の要請に応え、地震や津波、高経年化の事故への影響等を技術的
観点から検証するため、原子炉工学や地震工学など様々な分野の専門家で構成する4
つの意見聴取会を設置し、福島第一原発事故の事実解明や原因究明、技術的課題の検
討を行い、平成 24 年2月、中間とりまとめを公表した。
意見聴取会名
検
討
内
容
委員数
開催回数*1
(設置日)
技術的知見に関する
事故の発生及び事象進展について現時点までに判
8名
意見聴取会(H23.10.24)
明している事実を分析し、それらを基に技術的課題
(9 回)
を整理
地震・津波に関する
福島第一・第二原子力発電所、女川及び東海第二原
24 名
意見聴取会(H23.09.30)
子力発電所で観測された地震動や津波を評価し、耐
(26 回*2)
震安全性の知見を検討
建築物・構造に関する
福島第一・第二原子力発電所、女川及び東海第二原
意見聴取会(H23.09.29)
子力発電所の建屋や機器への影響等を検討
高経年化技術評価に関する
福島第一原発事故における経年劣化事象の影響の
意見聴取会(H23.11.29)
有無を検討
15 名
(9 回)
12 名
(15 回)
*1 開催回数は平成 24 年8月末まで *2 地震動、活断層、津波関係も含む
○大飯発電所3,4号機の再稼働について
国は、平成 24 年4月3日に原子力発電所に関する四大臣会合を設置し、4月6日に
「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」を決定した。これを
もとに大飯発電所3,4号機の安全性について議論をおこない、4月 13 日、大飯3,
4号機の安全性が十分に確保されていること、今夏の電力需給等を踏まえ再起動が必
要であるとの結論を出した。
この決定を踏まえ、4月 14 日、経済産業大臣が来県し、知事に対して四大臣会合で
決定した判断基準および原子力発電所の再稼働の必要性について、地元としての理解
を求めた。これに対し、知事は、国のエネルギー政策に積極的に協力・貢献してきた
立地地域の思いを重く受け止め、電力消費地の理解について責任を持って対応するよ
う求めた。
5月 10 日、知事は、内閣府副大臣に対し、内閣総理大臣が先頭に立ち、原子力政策
に対する国の明確な姿勢を示すとともに、原子力規制庁の早期発足を求めた。また、
5月 15 日には、経済産業副大臣に対し、原子力政策に対する国の明確な姿勢を示すと
ともに、再稼働にあたっては、新たな規制機関が発足するまでの間、大飯3,4号機
の安全を確認する特別な監視体制を整備するよう求めた。
これらの要請に対し、6月4日、内閣府特命担当大臣、内閣官房副長官、経済産業
副大臣が来県し、知事に対し、大飯3,4号機の再稼働に関する政府の判断について
理解を求めるとともに、県が国に対し求めた特別な監視体制を整備することなどの説
明を行った。これに対し、知事は、原子力発電所の再稼働の必要性などについて、内
閣総理大臣が国民に向かって訴えること等を要請した。
内閣総理大臣は、6月8日、
「福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を
防止できる対策と体制は整っており、国民の生活を守るために大飯3,4号機を再起
動すべきである」と表明した。
知事は、6月 11 日、県原子力安全専門委員会委員長より、福島第一原発事故を踏ま
えた県内原子力発電所の安全対策の実施状況や大飯3,4号機の安全性など、同委員
会が取りまとめた報告書の提出を受け、6月 12 日には、委員長とともに大飯発電所の
現場確認を行った。
その後、知事は、6月 14 日、県議会の全員協議会において、各会派の再稼働に対す
る考え方を聞くとともに、同日、おおい町長から再稼働を了承する旨の報告を受けた。
また、6月 15 日、関西電力社長から、発電所の安全・安定運転に対する事業者として
の決意を確認するとともに、免震事務棟などの建設を急ぐよう要請した。
これらを踏まえ、知事は、6月 16 日、内閣総理大臣に対し、原子力発電所再稼働に
対する国民の理解の促進など8項目を要請し、国から責任ある回答が得られたことか
ら、国民生活と日本経済のため、大飯3,4号機の再稼働を同意する旨を伝えた。
国は、6月 16 日、大飯3,4号機を再起動することを決定し、関西電力に対し、再
起動に向けた準備作業に取りかかるよう指示した。また、経済産業副大臣を責任者と
する特別な監視体制を立ち上げ、大飯原子力防災センター(オフサイトセンター)に設
置した。
関西電力は、6月 16 日、特別な監視体制のもと、大飯発電所3,4号機の再稼働準
備を開始し、3号機は7月1日に原子炉起動、5日に調整運転を開始、8月3日に営
業運転を再開した。また、4号機は、7月 18 日に原子炉起動、21 日に調整運転を開始、
8月 16 日に営業運転を再開した。
原子力発電所に関する四大臣会合 開催実績
回
開催日
概要
第1回
H24.04.03
総理大臣が経産大臣に対し、原発の再起動を判断するにあたり、福島第一原発
事故の原因分析を踏まえた安全性についての判断基準を策定するよう指示
第2回
H24.04.05
経産大臣が、安全性についての判断基準案を提示
第3回
H24.04.06
「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」を決定、関西
電力に対し、大飯3,4号機の更なる安全性・信頼性向上に向けた実施計画を
提出するよう指示
第4回
H24.04.09
大飯3,4号機が安全性に関する判断基準を満たしているかを確認するととも
に、再起動の必要性について議論
第5回
H24.04.12
大飯3,4号機の安全性の確認、再起動の必要性について、議論を継続
第6回
H24.04.13
大飯3,4号機が判断基準に適合し、安全性が十分に確保されていることを確
認するとともに、再起動の必要性が存在すると判断
第7回
H24.05.30
政府が行った立地自治体等への原発の再起動に関する説明状況について報告・
議論、関係自治体からは一定の理解が得られつつあると認識
第8回
H24.06.16
大飯3,4号機の再起動することを政府として判断
○新しい原子力規制機関の発足について
平成 23 年8月 15 日、国は、原子力安全規制に関する組織について、原子力安全行
政に対する信頼回復とその機能向上を図るために改革を進めることとし、原子力安全
庁(仮称)を設置するとともに、新たな規制の仕組みの導入など規制のあり方や関係制
度の見直しなどを行うこととする「原子力安全規制に関する組織等の改革の基本方針」
を閣議決定した。
知事は、9月 15 日には経済産業大臣に、10 月 19 日には内閣府特命担当大臣に対し、
原子力安全規制体制の見直しにおいては発電所に近い現場において強い権限と指導力
を持つ組織とするよう要請した。
平成 24 年1月6日、国は、バックフィット制度や 40 年運転制限制の導入といった
原子力安全規制の転換方針を公表した。これを受け、1月 11 日、知事は内閣府副大臣
に対し、原子力発電所の運転期間を 40 年に制限する科学的根拠や安全規制の全体像を
早期に明らかにするよう要請した。1月 31 日、原子力規制庁の発足や原子力安全規制
や制度の見直しなどといった原子力組織制度改革法案等が閣議決定された。2月 23 日、
知事は経済産業副大臣に対し、新たな安全規制に係る制度の詳細を明示することを要
請した。
その後、法案が成立せずに新しい規制組織が当初予定の平成 24 年4月1日に発足し
なかったことから、知事は5月 10 日には内閣府副大臣に、6月4日には原発事故担当
大臣、内閣官房副長官、経済産業副大臣に、原子力規制庁の早期設置を要請した。
法案は、国会での審議・修正を経て、平成 24 年6月 20 日に成立した。これを受け、
9月 16 日に原子力規制委員会および原子力規制庁が発足した。
④県内事業者への要請、対応
平成 23 年3月 12 日、知事は関西電力社長、日本原子力発電社長、日本原子力研究
開発機構理事長に対し、安全確保体制の強化を図り、安全に万全を期すよう要請する
とともに、翌 13 日には、各事業者の原子力事業本部長等に対して、安全管理の徹底と
早期の対策実行などを強く要請した。
3月 20 日には、知事は関西電力社長に対し、海水ポンプの地震・津波対策、送電線
系統の強化など、今回の災害から必要と考えられる様々な方策について、積極的な投
資を惜しまないという明確な姿勢を出すとともに、緊急炉心冷却系統の健全性確認な
どに定期検査で特別点検を実施することを要請した。
県は、4月1日、県原子力安全専門委員会と合同で「安全対策検証委員会」を設置
し、事業者が実施すべき追加対策等について協議を行った。この結果を踏まえ、4月
2日、事業者に対し、発電所の安全対策に係る実行計画を策定するよう要請した。こ
れに対し、県内事業者は4月8日、県に安全対策の実行計画を報告した。
その後、検証委員会では事業者の実施した緊急時訓練の現場確認等を行うとともに、
計画の内容について検証を行った。10 月 14 日に開催した検証委員会では、過酷事故に
備えて、機器・設備などハード面での安全対策の強化はもとより、事故対応の人員体
制の充実や緊急時の通信機能の強化などソフト面の対策も重要であるなどの意見が出
され、県はこれらの指摘等をとりまとめ、10 月 17 日、事業者に対し、積極的に対応す
るよう要請した。これを受け、事業者は 11 月 28 日、福島第一原発事故を踏まえたソ
フト面等の安全対策について、具体的計画をとりまとめた報告書を県に提出した。県
は同日に検証委員会を開催して、その内容を確認した。
12 月 26 日に公表された東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(政
府事故調)の中間報告で指摘された原子力災害時の初動体制の問題点等を踏まえ、平
成 24 年3月 23 日、県内三事業者は、初動対応要員の更なる増員や協力会社による発
電所支援体制の構築などの追加安全対策を取りまとめて県に報告した。
また、7月5日に東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の報告
書が、7月 23 日には政府事故調の最終報告書がとりまとめられた。これを受け、7月
27 日、知事は関西電力に対し、各種事故調の報告書の内容を精査し、必要な対策につ
いて整理することなどを要請した。
参考1.東北地方太平洋沖地震の概要
地
震
名
地 震 発 生 時 刻
発生場所(震源位置)
規模(マグニチュード)
最
大
震
度
発
震
機
構
:平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震
:平成 23 年3月 11 日 14 時 46 分 18.1 秒
:三陸沖(北緯 38 度 06.2 分、東経 142 度 51.6 分、深さ 24km)
:9.0 (モーメントマグニチュード)
:7(宮城県栗原市)
:西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(CMT解)
○最大余震
地 震 発 生 時 刻 :平成 23 年3月 11 日 15 時 15 分 34.2 秒
発生場所(震源位置) :茨城県沖(北緯 36 度 07.2 分、東経 141 度 15.1 分、深さ 43km)
規模(マグニチュード) :7.6 (モーメントマグニチュード)
※気象庁ホームページより
震度分布図
東北・関東地方拡大図
※「災害時地震・津波速報 平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震」
(平成 23 年8月 17 日 気象庁)より
津波観測施設で観測された津波の高さ
○矢印は、津波観測施設が津波により被害を受けたためデータを入手できない期間があり、後続の波でさらに高くなっ
た可能性があることを示す。
○観測施設には、内閣府、国土交通省港湾局、海上保安庁、国土地理院、愛知県、四日市港管理組合、兵庫県、宮崎県、
日本コークス工業株式会社の検潮所を含む。
「災害時地震・津波速報 平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震」
(平成 23 年8月 17 日 気象庁)より
東北地方太平洋沖地震による津波の高さ
※原子力・エネルギー図面集 2012 より
参考2.福島第一原子力発電所事故の概要
○福島第一原子力発電所の設備概要
設置位置:福島県双葉郡大熊町
1号機
2号機
3号機
4号機
5号機
6号機
46.0
78.4
78.4
78.4
78.4
110.0
建設着工
S42. 9
S44. 5
S45.10
S47. 9
S46.12
S48. 5
営業運転開始
S46. 3
S49. 7
S51. 3
S53.10
S53. 4
S54.10
原子炉形式
BWR-3
電気出力(万 kW)
BWR-4
格納容器形式
BWR-5
マーク I
マーク II
燃料集合体数(体)
400
548
548
548
548
764
被災前の運転状況
運転中
運転中
運転中
定検中
定検中
定検中
(H22.11.30~)
(H23.01.03~)
(H22.08.14~)
※原子力安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書
(平成 23 年6月 原子力災害本部)より
○福島第一原子力発電所における被災状況
1号機
被災前の運転状況
観測された地震動
運転中
全ての周期帯で
基準地震動を下
回った
津波の遡上高さ
(主要建屋敷地高さ)
外部電源
非常用電源
(非常用ディーゼ
ル発電機)
海水ポンプ
直流電源
施
設
へ
の
影
響
炉心冷却機能
水素爆発
2号機
3号機
運転中
運転中
一部の周期帯で 一部の周期帯で
基準地震動を上 基準地震動を上
回った
回った
11.5~15.5m
(10m)
全て喪失した(全5回線)
4号機
定検中
全ての周期帯で
基準地震動を下
回った
起動したが、津波により使用不能になった
津波で機能が喪
失した
非常用復水器が
直流電源喪失等
により十分機能
せず、原子炉水位
を維持できなく
なり、炉心損傷に
至った
原子炉建屋で水
素爆発
原災法 第 10 条通報
原災法 第 15 条通報
3/11 15:42
全交流電源
喪失
3/11 16:36
非常用炉心
冷却装置による
注水不能
津波で機能が喪失した
影響はなかった
津 波 で 機 能 が 喪 が、最終的にバッ
テリーが枯渇し
失した
た
原子炉隔離時冷 原子炉隔離時冷
却系が電源喪失 却系と高圧注水
等により制御不 系が直流電源枯
能になるととも 渇等により機能
に、代替注水に移 喪 失 す る と と も
行できず、炉心損 に、代替注水に移
行できず、炉心損
傷に至った
傷に至った
-
原子炉建屋で水
素爆発
3/11 15:42
全交流電源
喪失
3/11 16:36
非常用炉心
冷却装置による
注水不能
3/11 15:42
全交流電源
喪失
3/13 5:10
原子炉冷却
機能喪失
津波で機能が喪
失した
(定検中で炉心に
燃料はなかった)
3号機で発生し
た水素が流入し、
原子炉建屋で水
素爆発
―
―
○福島第一原子力発電所事故に係る調査報告書
調査主体
政府原子力災害対策本部
報告書名
公表日
原子力安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本
H23.06.07
国政府の報告書
H23.09.11(第 2 報)
― 東京電力福島原子力発電所の事故について ―
東京電力福島原子力発電所に
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検
おける事故調査・検証委員会
証委員会
[政府事故調]
(畑村洋太郎委員長他 11 名)
中間報告
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検
証委員会
H23.12.26
最終報告
H24.07.23
調査主体
報告書名
公表日
国会 東京電力福島原子力発
国会事故調 東京電力福島原子力発電所事故調査
電所事故調査委員会
委員会 報告書
H24.07.05
[国会事故調]
(黒川清委員長他9名)
福島第一原子力発電所事故調
東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故の検討と
H23.10.27
査検討会
対策の提言
H24.08.02(改訂)
福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか
H23.12.21
福島原発事故独立検証委員会報告書
H24.02.28
福島原子力事故調査報告書(中間報告書)
H23.12.02
福島原子力事故調査報告書
H24.06.20
(日本原子力技術協会、電力、
メーカ等の専門家 15 名)
Team H2O プロジェクト
(大前研一 他)
福島原発事故独立検証委員会
[民間事故調]
(北澤宏一委員長他5名)
東京電力㈱福島原子力事故調
査委員会
(山崎雅男副社長他 14 名)
○福島第一原子力発電所以外の主なプラントの状況
観測された地震動
津波の遡上高さ
(主要建屋の高さ)
施
設
へ
の
影
響
外部電源
非常用電源
(非常用ディ
ーゼル発電
機(DG))
海水ポンプ
運転停止後の
原子炉の状況
福島第二原子力発電所
1号機
一部の周期帯で基準地震
動を上回った
最大約 18.7m
(12m)
1回線が確保(全4回線)
された
全3台起動したが、津波に
より使用不能になった
津波で機能が喪失した
女川原子力発電所
1号機
一部の周期帯で基準地震
動を上回った
最大約 13.8m
(13.8m)
1回線が確保(全5回線)
されたが、起動変圧器が停
止し外部電源は喪失した
全2台起動
影響なし
仮設分電盤・ケーブル、高 非常用電源が確保され、3
圧電源車等で電源を復旧、 月 12 日未明、冷温停止状
海水ポンプのモータを緊 態となった
急に取替え、3月 14 日夕
方、冷温停止状態となった
東海第二発電所
すべての周期帯で基準地
震動を下回った
最大約 5.3m
(8m)
全て喪失した
(全3回線)
全3台起動したが、DG 用
海水ポンプ1台が津波で
使用不能となり、2台運転
となった
上記 DG 用1台以外には影
響はなかった
非常用電源が確保され、3
月 15 日未明、冷温停止状
態となった
参考3.安全対策検証委員会の開催実績
回 開
次 年
月
催
会
日
場
1 H23. 4. 1
県庁
2 H23. 4. 8
県庁
3 H23. 4.25
県庁
4 H23.10.14
県庁
5 H23.11.28
県庁
議題(カッコ内は説明者)
○各電力事業者の安全確保対策の実効性の確保について(県)
○福島第一原子力発電所の原子力災害に対する福井県の対応につ
いて (県)
○経済産業省 平成23年福島第一・第二原子力発電所事故を踏ま
えた他の発電所の緊急安全対策の実施について(指示)(県)
○東北地方太平洋沖地震を踏まえた対応状況について(県)
○県内各電力事業者の安全対策の実行計画について
・福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上対策の実行
計画について (関西電力㈱、日本原子力発電㈱)
・福島第一原子力発電所事故を踏まえたもんじゅの安全性向上対
策の実行計画について (日本原子力研究開発機構)
○実行計画の取組み状況および指摘事項への対応について
(関西電力㈱、日本原子力発電㈱、日本原子力研究開発機構)
○福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上対策実行計画
の実施状況について
(関西電力㈱、日本原子力発電㈱、日本原子力研究開発機構)
○若狭湾沿岸における津波堆積物調査の実施状況について
(関西電力㈱)
○福島第一原子力発電所事故を踏まえたソフト面等の安全対策
実行計画について
(関西電力㈱、日本原子力発電㈱、日本原子力研究開発機構)
参考4.ストレステストの評価結果例(大飯発電所3号機)
(2)高浜発電所3,4号機のプルサーマル計画について
①MOX燃料加工契約の経緯
平成 11 年6月に事前了解した関西電力高浜発電所3,4号機のプルサーマル計画につい
ては、平成 11 年9月に英国BNFL社で製造中の3号機用MOX燃料および既に発電所に
搬入していた4号機用MOX燃料の検査不正が判明したため、関西電力は当該MOX燃料
の使用を取り止めた。
このBNFL問題を受け、関西電力は、加工契約(本契約)を結ぶ前に、元請会社およ
び海外MOX燃料加工会社が契約するに適切であるかを評価するため、事前に各会社の品
質保証システムを監査する(以下、「システム監査」という)など、海外MOX燃料調達に
係る品質保証の仕組みを改善した。
この改善した仕組みに基づき、関西電力は、海外MOX燃料調達に向けて、平成 16 年5
月から6月にかけて、元請会社候補である原子燃料工業株式会社熊取事業所(以下、「原
燃工」という。)および海外MOX燃料加工会社候補であるコジェマ社・メロックス工場
に対しシステム監査を実施したが、同年8月に、美浜3号機事故が発生したことを受け、
関西電力自らの判断で海外MOX燃料調達に係る手続きを中断した。
その後、平成 20 年1月 30 日に、関西電力は、プルサーマル計画の準備作業を再開する
こととし、前回行ったシステム監査から年月が経過していることから、再度、平成 20 年2
月に原燃工およびコジェマ社から工場の所有権を移転されたメロックス社メロックス工場
(以下、「メロックス」という)に対し、システム監査を実施した。その結果を報告書とし
て取りまとめ、平成 20 年3月 17 日に県、高浜町等に提出した。
県は、関西電力の報告書の確認を行うため、高浜町とともに、関西電力原子力事業本部
および原燃工に現地調査を行い、関係者からのヒアリングや関係書類の確認を実施し、3
月 31 日に関西電力に対し、報告書の確認結果を伝えた。同日、関西電力は、原燃工との間
でMOX燃料加工の本契約を交わし、メロックス工場でMOX燃料を製造することとした。
②輸入燃料体検査申請
関西電力は、輸入燃料体検査申請に向けて、原燃工の品質保証計画等について書類審査
を行うとともに、平成 20 年 10 月 16 日に原燃工熊取事業所、10 月 20 日から 23 日にメロッ
クスに対して、関西電力向けのMOX燃料に係る品質保証活動の実施状況を確認するため
定期監査を実施した。
この定期監査の結果を踏まえ、平成 20 年 11 月 10 日、関西電力は、経済産業省に対して、
電気事業法に基づき高浜発電所3,4号機用MOX燃料に係る輸入燃料体検査申請を行う
とともに、同日、県、高浜町等に輸入燃料体検査申請の報告を行った。
県は、報告内容の確認を行うため、高浜町とともに、平成 20 年 11 月 18 日に関西電力原
子力事業本部および 11 月 26 日に原燃工へ現地調査を行い、関係者からのヒアリングや関
係書類の確認を実施した。その後、平成 21 年1月 15 日に開催した県原子力安全専門委員
会で、原子力安全・保安院から、「申請の内容は、国が要求している事項を満足している
ことを確認した。」との説明を受け、また、県による確認結果も報告し、委員会では関西
電力の輸入燃料体検査申請の審査結果の内容は妥当と判断された。平成 21 年1月 16 日、
県は、関西電力に対し、確認結果を伝えた。
③MOX燃料の製造と輸送
関西電力は、1月 30 日に、メロックス工場においてMOX燃料 16 体の製造を開始した
が、平成 21 年6月、原燃工とメロックスが実施している自主検査において、ペレットの性
状を確認するための自主検査の一つを実施したところ、一部のペレットで目標値の範囲内
に収まらない測定値を示すものがあった。
関西電力および原燃工は、検査の結果を慎重に確認した結果、当該ペレットを使用しな
いこととし、平成 21 年8月 19 日に、MOX燃料の製造体数を 16 体から品質が確認できた
ペレットのみを用いた 12 体に変更することを決定し、県、高浜町に報告した。その後、9
月1日に、関西電力は、経済産業省に対し、輸入燃料体検査申請書の変更連絡(3号機8
体(変更なし)、4号機4体(8体から変更))を行った。
平成 21 年 10 月9日、関西電力は、経済産業省に対し輸入燃料体検査補正申請を行い、
同日、県、高浜町に、その内容を報告し、県は、報告内容の確認を行うため、高浜町とと
もに、平成 21 年 11 月 12 日に関西電力原子力事業本部および 11 月 16 日に原燃工へ現地調
査を行い、関係者からのヒアリングや関係書類の確認を実施した。
平成 21 年 12 月 21 日に開催した県原子力安全専門委員会で、原子力安全・保安院から、
「試験結果は技術基準を満足するものであること、また、品質保証活動の結果は要求事項
を満足するものであること」との説明を受け、また、県による確認結果も報告し、委員会
では関西電力の輸入燃料体検査補正申請の審査結果の内容は妥当と判断された。
平成 22 年4月9日、関西電力は、製造したMOX燃料 12 体について、仏国から日本に
向けての海上輸送を開始し、6月 30 日に高浜発電所へ受け入れた。受け入れの際、県およ
び高浜町は、輸送容器表面の線量率を測定するなど、輸送容器の安全性を確認した。
④高浜3号機の工事計画認可とMOX新燃料の輸入燃料体検査
平成 22 年7月 23 日、関西電力は、県および高浜町等に対し、高浜発電所3号機用MO
X新燃料8体について国による輸入燃料体検査を受検すること、および、高浜発電所3号
機で使用する燃料にMOX燃料を追加する手続きとして、国に対して工事計画認可申請を
行うことを報告し、同日、工事計画認可申請を行った。
その後、7月 26 日から 27 日にかけて、国は、高浜発電所において、高浜発電所3号機
用MOX新燃料8体の輸入燃料体検査を実施し、27 日に県および高浜町は、同検査に立ち会
った。
8月 12 日、国は、関西電力に対し、高浜発電所3号機用MOX燃料の輸入燃料体検査の
合格証を交付し、県は、10 月6日に県原子力安全専門委員会を開催し、原子力安全・保安
院から輸入燃料体検査と工事計画認可申請の審査結果について説明を受けた。
高浜発電所3号機は、10 月 13 日に第 20 回定期検査を開始し、12 月1日、関西電力は、
定期検査での点検および作業が順調に進捗し、燃料装荷の準備が整ったことから、県およ
び高浜町に対し、燃料装荷を 12 月3日に開始し、5日にMOX燃料を装荷する計画である
ことを報告した。その後、12 月 22 日に原子炉を起動、25 日に調整運転を開始し、平成 23
年1月 21 日に、経済産業省の最終検査である総合負荷性能検査を受け、営業運転を再開し
た。
県および高浜町は、現地において、MOX燃料装荷に向けた準備状況やMOX燃料装荷
作業、原子炉起動、調整運転開始および総合負荷性能検査に立ち会い、安全性を確認した。
⑤高浜4号機用MOX燃料(第1回製造分)の輸入燃料体検査
平成 23 年2月1日、国は、第1回製造分の高浜4号機用MOX新燃料4体の輸入燃料体
検査を実施し、県および高浜町は、同検査に立ち会った。その後、2月 16 日、国は、関西
電力に対し、4号機用MOX新燃料4体の輸入燃料体検査の合格証を交付した。
⑥第2回製造分MOX燃料について
平成 22 年1月 26 日に輸入燃料体検査申請を行い、4月6日に製造を開始した高浜3,
4号機用の第2回製造分MOX燃料 36 体については、当初 36 体を連続して製造すること
としていたが、平成 22 年1月から6月にかけて、メロックス工場において複数の材料取扱
設備の故障が発生したことに伴い、平成 22 年のMOX燃料製造量が減少したため、平成 22
年に高浜3号機分 20 体、平成 23 年に高浜4号機分 16 体に分割製造することとし、平成 22
年8月 31 日、関西電力は、国に対し、輸入燃料体検査申請の変更連絡を行った。
平成 22 年9月 29 日に高浜3号機分MOX燃料 20 体の製造が完了したことから、関西電
力は、11 月9日に、経済産業省に対し、輸入燃料体検査補正申請を行い、県および高浜町
に報告した。
平成 23 年3月 25 日、関西電力は、高浜3号機分MOX新燃料 20 体を仏国から輸送する
準備を行っていたが、平成 23 年3月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震の状況を踏ま
え、輸送関係機関と調整した結果、輸送を延期することとした。
また、高浜発電所3号機用MOX燃料 20 体について、うち 16 体については、国の輸入
燃料体検査を平成 23 年 12 月 31 日までに受検することとしていたが、12 月 27 日、国に対
し、この期限を「未定」とする変更連絡を行った。なお、この手続きに合わせ、平成 23 年
中に製造する予定であった高浜発電所4号機用MOX燃料 16 体を平成 24 年以降に延期す
ることとした。
(3)美浜発電所2号機の高経年化技術評価について
平成 23 年7月 22 日、県および美浜町は、関西電力株式会社から、法令に基づき実施され
た美浜発電所2号機の運転開始後 40 年目の高経年化技術評価結果と長期保守管理方針(高経
年化技術評価結果に基づき今後 10 年間に実施すべき保守管理に関する方針)を取りまとめた
高経年化技術評価書の提出を受けるとともに、この長期保守管理方針を保安規定に定めるた
め、経済産業省に対して保安規定の変更認可申請を行ったことについて報告を受けた。県は
福島第一原発事故以降、国に対して事故の知見を今後の高経年化プラントの安全対策に反映
することを求めており、事業者としてもこのことについて積極的に努めていくよう求めた。
原子力安全・保安院は、長期保守管理方針に係る保安規定の変更認可申請について、発電
所への立入検査や(独)原子力安全基盤機構による技術的妥当性の確認結果を踏まえつつ、高
経年化技術評価に関する意見聴取会で専門家の意見を聴取し、総合的な審査を行った結果、
審査基準に適合するものと判断し、平成 24 年7月 19 日に変更認可した。