マーケットウィークリー・810号 産業ニュース 2015.1.1 国産航空機「MRJ」、15年5月にも初飛行 作成者:冨ケ原信久 半世紀ぶりとな る国産機「MR J」が初飛行 三菱重工(7011)の子会社である三菱航空機は、小型ジェット旅客 機「三菱リージョナルジェット(以下、MRJ)」の初飛行を、15年5 月下旬に計画。6月に国際商談の場であるパリ航空ショーを控え、実績 を示す。MRJはオールジャパンで開発したプロペラ機「YS-11( 1973 年に生産終了)」以来の国産機で、座席数70-90クラスの次世代小型機。 価格は1機約47億円(カタログ価格)。08年に開発を開始したが、採用 したプラット&ホイットニー製エンジン「PW1200G」シリーズの調 達が遅れるなど計画を3度延期した。14年6月にエンジンが納入され、 その後の開発にめどがついたようだ。初飛行後は5機のテスト機で飛行 試験を行い、国から安全認証を取得する必要がある。17年4-6月に予定 しているANA(9202)への初号機納入に向け、一歩前進といえよう。 「MRJ」は寡占 化している小型 機航空機産業に 挑む 「MRJ」がターゲットとするのは近距離輸送で、競合機と比べ運 航経済性に優れる。羽田-函館間を例にすると競合機が1フライト当り の燃料量が2,950ℓに対し、「MRJ」は2,180ℓ。年間消費量が6フライ ト/日×365日とすると、燃費は約1.5億円軽減できる計算だ。受注数は 14年8月のJALグループ32機導入の基本合意を含めて407機。同クラ スの市場は伯エンブラエル社と加ボンバルディア社が2強だが、その中 で実績のない企業としては健闘。だが、エンブラエル社はMRJと同 タイプのエンジンを採用した改良機を開発中で、納入時期を18年前半 と計画し、競争が激化する可能性がある。「MRJ」は低騒音や客室 の快適性に優位性があるが、価格競争力や供給能力、納入後のサポー トなど総合力も求められそうだ。 政府も日本の航 空機産業育成に 支援 三菱航空機は今後20年間に、同クラスの航空機市場規模を5,000機超 と予測。この間に50%のシェア獲得を目指す。事業の黒字化は20年代 早期に達成したい考え。20年代後半には次世代機の開発も視野にある。 政府もMRJの当初開発費計画(1,500億円)の1/3を負担。航空機産 業は民間単独では事業化が難しく、産業の育成を支援した。さらに、 政府は国産エンジンなど「純国産」ジェット機を目指す計画策定にも 着手。世界の航空機産業は現在25兆円規模だが、20年度には50兆円規 模に倍増する見通し(日本航空機開発協会)。日本企業のシェアは現 在4%程度だが、30年代にシェア20%とする目標を掲げるもよう。航空 機は1機あたり部点数が300万点と自動車の3万点と比べすそ野が広く、 日本経済への波及効果も期待できそうだ。 ◇MRJに納入見込みの主な企業 ◇三菱航空機に出資した企業 銘柄名 ブリヂストン コード 5108 ナブテスコ 6268 住友精密工業 三菱重工 6355 7011 ジャムコ 7408 企業名 コード 出資比率 三菱重工 7011 64.0 三菱商事 8058 10.0 トヨタ自 7203 10.0 住友商事 8053 5.0 三井物産 8031 5.0 東京海上 8766 1.5 日揮 1963 1.5 三菱電機 6503 1.0 三菱レイヨン(三菱ケ 三菱ケミカル 1.0 ミカル子会社) 4188 日本政策投資銀行 未公開 1.0 納入品 車輪(タイヤ) フライト・コントロール・アクチュ エーター 降着システム 航空機組立、主翼、胴体部分 ラバトリー(化粧室)、ギャレー (調理室)、内装パネル、収納 ボックス (出所)各種資料からCAM作成 (出所)三菱航空機資料よりCAM作成 (単位:%)
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