薬局新聞 1月号 「肺炎」

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2015
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2015 January
肺炎
肺炎とは?1-3)
肺炎は主に細菌やウイルスなどが、
肺に入り込んで起こ
る肺の炎症をいいます。
誤嚥性(ごえんせい)肺炎とは
主な症状は、
発熱、
咳や痰、
息苦しさや胸の痛み、
だるい
怠感)
、
食欲不振などです。しかし、
高齢の方では症状
これらの分類とは別に、
「誤
肺炎の原因となる細菌やウイルスは、
体の中や日常生活
通常、
飲み込んだ飲食物は食
が体の中に入ってきても、
体に備わっている様々な防御機
誤って食道と隣り合っている気
で体の抵抗力
(免疫力)
が弱まっている場合は、
それらを
しまうことで起こります。また、
インフルエンザによりダメージを受けた気管支などに細菌
しずつ気管の方へ流れ込むこと
(
があまり出ない場合もあります。
嚥性肺炎」
があります。
の場に普通に存在しています。
通常は、
それらの細菌など
道へ行くようになっていますが、
構が働いて、
細菌などを排除します。
しかし、
何らかの原因
管
(空気の通り道)
に入り込んで
防御しきれず感染する可能性があります。
例えば、
風邪や
寝ている間に、唾液や胃液が少
が付着して、
肺炎を起こすこともあります。
肺炎の種類1)
でも起こることがあります。
いずれ
も、
口の中などにいる細菌が飲食
物や唾液、胃液とともに気管に流
れ込むことが原因です。
肺炎の分類の仕方にはいくつかありますが、
「 肺炎に
誤嚥性肺炎は、
高齢者の方に多
分類などがあります。
入った物を咳などで取り除く力が
なった場所」
や
「肺炎の原因となった病原体の種類」
による
肺炎になった場所による分類
市中肺炎
病院の外で日常生活を送っている人が感染した肺炎
院内肺炎
他の病気で入院中に病院内で感染した肺炎
肺炎の原因となった病原体の種類による分類
細菌性肺炎
肺炎球菌や黄色ブドウ球菌など、細菌が
原因で起こる。
ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルスや、
風邪のウイルスで
あるRSウイルス、
アデノウイルスなどウイルス
が原因で起こる。
その他
細菌やウイルス以外が原因で起こる肺炎。
マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎などがある。
この中で最も多いのは細菌が原因の肺炎で、中でも
肺炎球菌によるものが多くなっています。
いです。高齢者は、誤って気管に
弱くなっているためと、
抵抗力
(免
疫力)
が下がっているためです。
肺炎の治療法
肺炎の原因になっている病原体を抑える薬(抗菌薬)
による治療が行われます。病原体が何なのかによって、
治療に使われる薬も異なって
きます。
肺炎は早めの治療が効果的
ですが、原因の病原体の特定
には時間がかかることもある
ため、
特定されるまでは、
病原
体を推定して治療が行われる
ことになります。
2015 年 1 月号
治療薬の例
体調管理に気をつける
肺炎の原因
使われる薬の例4)
肺炎球菌
抗菌薬
(細菌を抑える薬)
で治療
ペニシリン系
(パセトシン、
サワシリンなど)
セフェム系
(メイアクトなど)
ペネム系
(ファロムなど)
ニューキノロン系
(クラビット、
ジェニナック、
グレースビットなど)
抗菌薬はウイルスには効かないが、細菌性
ウイルス
肺炎も一緒に起こしていることも多いた
(RSウイルスなど)
め、
その場合は、
抗菌薬が使われる。
マイコプラズマ
抗菌薬で治療
マクロライド系
(クラリス、
ジスロマックなど)
ニューキノロン系やテトラサイクリン系
(ミノマイシンなど)
も有効
その他、
いろいろな症状をやわらげるために、
咳を鎮め
る薬、
痰を出しやすくする薬、
気管支を広げて呼吸を楽にす
る薬、
熱を下げる薬などが、
症状に合わせて処方されます。
薬以外では、
体力・抵抗力を高めるためにも、
保温して安
静にするとよいでしょう。
また、
熱や食欲不振による脱水
症状を防ぐため、
水分を十分に補給し、
栄養もしっかりとる
ようにしましょう1)。
肺炎の予防法1、2)
疲労やストレスは、抵抗力(免疫力)を低下させます。
十分な休養と栄養をとりましょう。
また、
持病の治療をきちんと行うことも大切です。
肺炎球菌のワクチンがあります
全ての肺炎を防げるわけではありませんが、肺炎球菌
による肺炎予防にはワクチンがあります。
65歳以上の方には、
肺炎球菌ワクチンの定期接種
(自治体が費用を一部負担)
が実施されています。
今年度
(∼平成27年3月31日)
の対象の方は、
今年
度、65、70、75、80、85、90、95、100 歳となる方と
101歳以上の方、また、60∼64 歳で心臓、腎臓、呼
吸器、
免疫の機能に障害がある方が対象になります。
平成27年度から平成30 年度までは、該当する年
度に65、
70、
75、
80、
85、
90、
95、
100 歳となる方な
どが対象になります。予防接種実施医療機関など詳
しくは自治体にお問い合わせください。
誤嚥性肺炎を予防する
食べ物はよく噛んで、
ゆっくり食べるようにする。
体力や抵抗力を落とさないよう、
体調管理に気をつけま
誤って気管に入ったら、
うつ伏せで背中を叩くなどして、
できるだけ早く外に出す。
病気や呼吸器の病気をお持ちの方は、
注意が必要です。
歯磨きやうがいをして、
口の
中をいつも清潔に保つ。
しょう。
特に、
肺炎が重症化しやすい高齢者の方や、
慢性の
風邪やインフルエンザに注意する
肺炎は風邪やインフルエンザに罹った後に起こりやすい
です。
風邪などに罹らないよう、
うがいや手洗い、
マスクな
どの予防を行いましょう。
インフルエンザの予防にはワクチ
ンも有効です。
【参考文献】
長時間横になった状態でい
ると、口の中のものが気管
に入りやすくなるため、
寝た
きりの状態は避け、上体を
起こした姿勢をできるだけ
保つようにする。
1)アステラス製薬:なるほど病気ガイド 肺炎 http://www.astellas.com/jp/health/healthcare/pneumonia/index.html
2)MSD:肺炎予防.jp http://www.haien-yobou.jp/index.xhtml
3)日本呼吸器学会:呼吸器の病気 http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=1 4)小川聡、武藤正樹監修:今日のcommon disease 診療ガイドライン 市中肺炎